JP2016065585A - 無段変速機のライン圧制御装置 - Google Patents

無段変速機のライン圧制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】無段変速機のライン圧の低下機会の拡大を図り、燃費および音振動をいっそう抑制可能な無段変速機のライン圧制御装置を提供すること。
【解決手段】車両の運転状態を含む車両情報に基づいて、無段変速機に供給するライン圧を調節するライン圧制御バルブを制御する車両制御装置を備えた無段変速機のライン圧制御装置であって、前記車両情報に基づいて車両走行状態が定常走行状態に保持されることを予測する定常走行状態保持予測手段(ステップS102〜S105の処理を行う構成)を設け、車両制御装置は、定常走行状態保持の予測時に、前記ライン圧を、入力トルク要求に対して動力伝達部分の滑りを抑える通常ライン圧としての目標ライン圧よりも低圧側の定常走行時用低ライン圧に制御することを特徴とする無段変速機のライン圧制御装置とした。
【選択図】図3

Description

本発明は、トロイダル型無段変速機やVベルト式無段変速機などの無段変速機のライン圧制御装置に関する。
従来、ベルト式無段変速機では、供給されるライン圧を調圧して、プライマリ圧およびセカンダリ圧を形成し、目標とする変速比を得るようにしている(例えば、特許文献1参照)。
特開2014−126158号公報
近年、車両では、燃費の向上が望まれている。
この燃費向上の手段の1つとして、無段変速機においてライン圧を抑えることが検討されている。すなわち、ライン圧を抑えることで、フリクションロスを軽減でき、これにより、燃費や音振動を抑えることができる。
そこで、上述のライン圧の低下を実行するのにあたり、的確なタイミングで実行することにより、燃費および音振動の抑制効果を高めることが望まれる。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、無段変速機のライン圧の低下機会の拡大を図って燃費および音振動の抑制効果向上を図ることが可能な無段変速機のライン圧制御装置を提供することを目的とする。
本発明の無段変速機のライン圧制御装置は、
車両の運転状態を含む車両情報に基づいて、無段変速機に供給するライン圧を調節する調圧手段を制御するライン圧制御手段を備えた無段変速機のライン圧制御装置であって、
前記車両情報に基づいて車両走行状態が定常走行状態に保持されることを予測する定常走行状態保持予測手段を設け、前記ライン圧制御手段は、前記定常走行状態の保持予測時に、前記ライン圧を、入力トルク要求に対して動力伝達部分の滑りを抑える通常ライン圧よりも低圧側の定常走行時用低ライン圧に制御することを特徴とする無段変速機のライン圧制御装置とした。
本発明の無段変速機のライン圧制御装置にあっては、車両走行状態が定常走行状態に保持される定常走行状態保持予測時に、ライン圧を、通常ライン圧よりも低圧側の定常走行時用低ライン圧に制御する。
この定常走行状態に保持された場合には、車速の変動や変速比の変動が抑えられ、通常ライン圧よりも低圧としても、無段変速機では、滑りが生じることなく動力伝達を行うことができ、これにより、燃費および音振動抑制を図ることができる。
そして、通常ライン圧よりも低圧の定常走行時用低ライン圧への制御は、定常走行状態の保持を予測した時点で実行するため、実際に定常走行状態保持を検出してから制御するものと比較して、低ライン圧(定常走行時用低ライン圧)への制御機会を拡大できる。
したがって、低ライン圧(定常走行時用低ライン圧)への制御機会の拡大を図ることにより、燃費および音振動のさらなる抑制が可能となる。
図1は実施の形態1の無段変速機のライン圧制御装置を備えたハイブリッド車両の全体構成を示す概略構成図である。 図2は前記ハイブリッド車両の要部を示す構成説明図である。 図3は実施の形態1の無段変速機のライン圧制御装置によるライン圧制御における処理の流れを示すフローチャートである。 図4は実施の形態1の無段変速機のライン圧制御装置によるライン圧制御の動作例を示すタイムチャートである。 図5は実施の形態1の無段変速機のライン圧制御装置との比較例による図4と同様の走行時の動作例を示すタイムチャートである。 図6は実施の形態2の無段変速機のライン圧制御装置によるライン圧制御における処理の流れを示すフローチャートである。 図7は実施の形態2の無段変速機のライン圧制御装置による減速時のライン圧制御の動作例を示すタイムチャートである。 図8は実施の形態2の無段変速機のライン圧制御装置との比較例による図7と同様の走行時の動作例を示すタイムチャートである。 図9は実施の形態3の無段変速機のライン圧制御装置によるライン圧制御における処理の流れを示すフローチャートである。
以下、本発明の無段変速機のライン圧制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施の形態に基づいて説明する。
(実施の形態1)
まず、実施の形態1における無段変速機のライン圧制御装置の構成を、[全体システム構成][車両制御装置の構成][ライン圧制御処理の構成]に分けて説明する。
[全体システム構成]
本実施の形態1の無段変速機のライン圧制御装置は、ハイブリッド車両に搭載している。このハイブリッド車両の駆動系は、図1に示すように、エンジンEと、駆動モータMGと、無段変速機CVTと、駆動輪Wとを備えている。
なお、エンジンEと駆動モータMGとの間、および駆動モータMGから駆動輪Wまでの間には、それぞれ、駆動力の伝達を断接するクラッチを設けるのが好ましい。また、これらのクラッチは、少なくともいずれか一方のみを設けてもよい。
エンジンEは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンであり、車両制御装置10からのエンジン制御指令に基づいて、エンジン始動制御やエンジン停止制御やスロットルバルブのバルブ開度制御が行われる。
駆動モータMGは、ロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルが巻き付けられた同期型モータジェネレータであり、車両制御装置10からの制御指令に基づいて、インバータ20により作り出された三相交流を印加することにより制御される。この駆動モータMGは、バッテリ30からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作する。さらに、駆動モータMGは、ロータがエンジンEや駆動輪Wから回転エネルギを受ける場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機として機能し、バッテリ30を充電することもできる。
無段変速機CVTは、本実施の形態1では、ベルト式無段変速機を用いている。このベルト式の無段変速機CVTは、動力伝達部分として、図2に示すようにプライマリプーリ101、セカンダリプーリ102にベルト103を掛け渡して駆動力伝達を行う構成を備えている。そして、無段変速機CVTは、プライマリ圧Ppri、セカンダリ圧Psecを制御することにより、各プーリ101,102の円錐部を軸方向に移動させて、変速比を可変とした周知のものである。なお、無段変速機CVTの入力側には、前後進切換機構104が設けられている。
この無段変速機CVTにおけるライン圧は、図1に示すライン圧制御バルブ41により制御される。すなわち、無段変速機CVTは、エンジンEにより駆動されるCVTオイルポンプ50で形成された油圧が、油圧供給回路51を介して供給される。そして、この油圧供給回路51には、油圧制御回路40が介在されている。
また、この油圧制御回路40は、無段変速機CVTに供給する最大圧としてのライン圧を調節するライン圧制御バルブ41が設けられている。さらに、油圧制御回路40には、目標変速比を実現するためのプライマリ圧を設定するプライマリプーリ圧制御バルブ42およびセカンダリ圧を設定するセカンダリプーリ圧制御バルブ43が設けられている。
[車両制御装置の構成]
車両制御装置10は、入力側に、センサ群60とナビゲーション装置70とを備えている。
センサ群60は、車速センサ61、アクセル開度センサ62、エコモードスイッチ63を含み、エンジンEの制御に必要な情報、無段変速機CVTの目標変速比を設定するのに必要な情報を検出するセンサが設けられている。
なお、エコモードスイッチ63は、運転者により投入されるスイッチである。このエコモードスイッチ63の投入(ON)時には、車両制御装置10は、相対的に低燃費走行となるようにエンジンEおよび無段変速機CVTを制御する。また、図外のアクセルペダルの急操作に対しては、緩やかな操作となるようにアシストする。例えば、急なアクセルペダル操作を行った場合でも、ゆっくりとアクセルペダルを踏んでいく操作に補正するとともに、アクセル操作に対する応答を緩やかにして、過剰な燃料噴射を抑える。
ナビゲーション装置70は、記憶装置71と、演算装置72と、ディスプレイ(図示省略)と、を有している。
前記記憶装置71は、道路曲率半径、勾配、交差点、信号、踏み切り、横断歩道、制限速度、料金所等の道路環境情報や、道路属性情報(高速道路・幹線道路・一般道・住宅街等)を含む地図情報を記憶している。
前記演算装置72は、GPS衛星からの信号を受信し、この自車両の地球上の絶対位置を検出する。そして、記憶装置71に記憶されている地図を参照し、自車両が現在存在している位置である現在地を特定するとともに、この現在地から目的地までの予定走行経路を設定する。また、この予定走行経路およびその経路上の道路環状情報・道路属性情報は、演算装置72から車両制御装置10に出力される。また、図示を省略したディスプレイは、車室内に設けられ、ドライバから目視可能となっている。
さらに、前記記憶装置71は、過去の走行区間における自車両の走行データ(車速データや変速比データ)も保存する。すなわち、この記憶装置71は、自車両が過去に走行した走行区間における走行状態、つまり、後述する定常走行状態であったか否かと、各走行区間と関連付けて記憶する。
また、ナビゲーション装置70には、通信装置73が接続されている。この通信装置73は、図示を省略した無線基地局およびインターネット等の通信ネットワークを介して、交通情報や統計交通データを有するデータセンタ80との無線通信(テレマティクス通信)を行う。この「通信」は双方向であり、通信装置73を介して、車両制御装置10あるいはナビゲーション装置70からデータセンタ80へ情報を送信可能であり、逆に、データセンタ80から情報を受信して、走行予定道路の状態を入力することが可能である。なお、走行予定道路の状態を知る情報としては、少なくとも、後述する定常走行状態の保持が可能であるか否かを判定するための情報を入力する。
なお、前記通信装置73としては、携帯電話機、DSRC、無線LANなど様々なものを採用することができる。
[ライン圧制御処理の構成]
次に、車両制御装置10によるライン圧制御処理の構成を、図3のフローチャートに基づいて説明する。
このライン圧制御処理は、通常ライン圧制御と、定常走行時低圧制御と、を行う。
通常ライン圧制御は、周知の制御であり、ライン圧PLを、車両の運転状態に基づく入力トルク要求に応じた目標ライン圧tPLに制御する。
なお、入力トルク要求は、周知のように、アクセル開度と車速(入力回転数)とに基づいて設定することができ、アクセル開度が大きいほど入力トルク要求が大となる。また、低車速ほど、駆動モータMGによるアシストトルクが大きくなる。
通常ライン圧としての目標ライン圧tPLは、無段変速機CVTにおいて要求される入力トルクを伝達した際に、ベルト103と両プーリ101,102との間で滑りが生じることが無く、また、通常のトルク変動があっても、滑りが生じることが無い圧力である。なお、通常のトルク変動とは、一般的な加減速要求によるトルク変動であって、通常ライン圧(目標ライン圧tPL)は、このような加減速要求に、即座に対応可能な圧力に設定する。具体的には、目標ライン圧tPLは、入力トルク要求を伝達できるライン圧に、1よりも大きな安全係数(例えば、1.3〜1.5程度の値)を乗じた値に設定する。
一方、定常走行時低圧制御は、ライン圧PLを、通常ライン圧よりも低圧側の定常走行時用低ライン圧PLminに向けて低下させる制御である。定常走行時用低ライン圧PLminは、定常走行状態において無段変速機CVTにおいて滑りが生じることなく、あるいは滑りを所定の範囲内に抑制してトルク伝達可能な圧力である。具体的には、定常走行時用低ライン圧PLminとして、例えば、入力トルク要求を伝達できるライン圧に、上述の通常ライン圧に用いる安全係数よりも小さな係数(例えば、1.0〜1.1程度)を乗じた値に設定する。したがって、入力トルク要求の変動時には、ライン圧PLを通常ライン圧としての目標ライン圧tPLに復帰させる必要がある。
以下、この定常走行時低圧制御の処理の流れを図3のフローチャートにより説明する。
この定常走行時低圧制御は、図示を省略したイグニッションスイッチがONとなることで開始する。
最初のステップS101では、後述するライン圧を低下させる定常走行時低圧制御の実行中を示す低圧制御フラグFが1にセットされているか否か判定し、セットされていれば、ステップS109に進み、セットされていない場合はステップS102に進む。なお、低圧制御フラグFは、初期状態では0にセットされており、初回の処理ではステップS102に進む。
続くステップS102では、エコモードがONであるか否か判定し、エコモードがONの場合はステップS103に進み、エコモードがOFFの場合はステップS111に進む。なお、ここでエコモードがONとは、エコモードスイッチ63がONに操作され、エコモード制御の実行中であることを意味する。すなわち、このエコモードは、エコモードスイッチ63がONであっても、所定の解除条件でエコモードOFFとなる。この解除条件としては、例えば、車速が設定車速以下となった場合や、緊急回避操作とみなす操作が実行された場合などがある。
そこで、前述のエコモードONとは、単に、エコモードスイッチ63がONとなっているだけではなく、エコモード制御に基づくエンジンEや無段変速機CVTなどのエコモード制御が実行可能な条件を満足していることを示す。
ステップS102にてYES(肯定)の場合に進むステップS103では、GPS衛星情報(経度、緯度情報)に基づいて、自車両が現在走行している地点を示す現在地情報を入手し、続くステップS104に進む。
このステップS104では、ステップS103で得た現在地情報と、ナビゲーション装置70の演算装置72から現在地および目的地までの走行予定経路を取得し、現在走行している道路および走行予定道路の道路種別情報を入手した後、ステップS105に進む。なお、道路種別情報とは、高速道路、一般道路、自動車専用道路といった道路の種別を示す情報である。
そして、ステップS105では、現在、高速道路を走行しているか否か判定し、高速道路走行時にはステップS106に進み、高速道路以外の走行時はステップS111に進む。
ステップS105において高速道路走行時に進むステップS106では、無段変速機CVTのライン圧PLを低下させる指示を出力し、続くステップS107では、ライン圧制御バルブ41を、定常走行時用低ライン圧PLminを形成すべく起動させる。
定常走行時用低ライン圧PLminを形成する定常走行時低圧制御を開始した後に進むステップS108では、ライン圧PLを定常走行時用低ライン圧PLminに制御していることを示す低圧制御フラグFを1にセットし、1回の処理を終了(エンド)する。
一方、ステップS102とステップS105のいずれかでNO(否定)判定された場合に進むステップS111では、前述した通常ライン圧制御を実行し、ライン圧PLを、車両の運転状態に応じた必要な圧力である目標ライン圧tPLに制御する。
次に、ステップS101に戻り、このステップS101において低圧制御フラグF=1の場合について説明する。
この低圧制御フラグF=1の場合は、定常走行時低圧制御の実行中であり、ステップS109に進み、予め設定された定常走行時低圧制御の解除条件が成立したか否か判定する。そして、解除条件が成立した場合には、ステップS110に進み、解除条件が非成立の場合は、ステップS106に戻り、定常走行時用低ライン圧PLminを形成する定常走行時低圧制御を継続する。
また、ステップS109にて解除条件が成立した場合に進むステップS110では、低圧制御フラグFを0にリセットした後、ステップS111に進んで、通常ライン圧制御を実行する。
(実施の形態1の作用)
以下に、実施の形態1の作用を、比較例と比較しつつ説明する。
なお、比較例は、センサ群60が検出する車両走行状態に基づいて、走行状態が定常状態に保持された時点で、定常走行時用低ライン圧PLminに制御するようにした例である。
図4は実施の形態1の動作の一例を示すタイムチャートであり、図5は比較例の動作の一例を示すタイムチャートである。
また、両タイムチャートは、それぞれ、共通した運転状態を行った場合の動作を示しており、すなわち、図4に示すように、一般道を走行した後、高速道路を走行した場合の動作例を示している。
ここで、まず、図5に示す比較例について説明する。
この比較例では、t0の時点から上述のように、一般道を走行し、t11の時点で高速道路の走行を開始している。
そして、高速度路の走行を開始したt11の時点の後、定常走行状態を検出したt12の時点から、定常走行時用低ライン圧PLminに向けてライン圧PLを低下させる。この比較例では、定常走行状態の判定は、入力トルク、プライマリ回転数および図示を省略した変速比が、それぞれ、予め設定されたばらつき幅Hの範囲内に収まった場合としている。
それに対し、本実施の形態1では、エコモードがONであり、かつ、高速道路の走行を開始したt11の時点で、定常走行状態に保持されると予測し、定常走行時低圧制御により定常走行時用低ライン圧PLminに向けてライン圧PLを低下させる。
すなわち、t11の時点で、図3のフローチャートにおいて、ステップS101,S102,S105にてYES(肯定)判定し、ステップS106,S107の処理により、ライン圧PLを定常走行時用低ライン圧PLminに向けて低下させる。
このように、本実施の形態1では、ライン圧PLを定常走行時用低ライン圧PLminに向けて低下させるタイミングが、実際に定常走行状態に保持されるタイミングよりも早くなり、図5に示す比較例よりも燃料消費量を低下させることができる。なお、図4において二点鎖線は、図5に示す比較例のライン圧PLの変化および燃料消費量の変化を示している。
また、定常走行状態に保持される予測を、エコモードON、かつ、高速道路走行時の両条件の成立により行うため、高い確率で予測することができる。すなわち、高速道路では、例えば、オートクルーズコントロール装置などにより一定車速で走行するなどのように、定常走行状態に長期間保持される可能性が高い。また、運転者がエコモードを選択している(エコモードON)場合、車両の運転状態は、車速変化や変速比変化が生じにくい。
すなわち、単に定常走行状態を検出して定常走行時用低ライン圧PLminに制御した場合、その後、短時間で運転者が加速操作や減速操作を行って定常走行状態が解除される可能性がある。このように運転者の操作により入力トルクが変動した場合、定常走行時用低ライン圧PLminではこの変動への対応が緩慢になり、運転者に違和感を与えるおそれがある。本実施の形態1では、定常走行状態に長期間保持される可能性が高い高速道路の走行時に定常走行時用低ライン圧PLminに制御するため、運転状態変化に応じ目標ライン圧tPLに復帰させる際の違和感を与える頻度を抑えることができる。
さらに、定常走行時低圧制御の開始条件に、エコモードONを含んでいるため、上記のように定常走行状態の解除の際のトルク変動が緩慢であっても運転者に違和感を与えにくい。
(実施の形態1の効果)
以下に、実施の形態1の効果を列挙する。
1)実施の形態1の無段変速機のライン圧制御装置は、
車両に搭載され、駆動輪Wを駆動する駆動源としてのエンジンEおよび駆動モータMGと、
エンジンEおよび駆動モータMGと駆動輪Wとの間の駆動力伝達経路中に設けられた無段変速機CVTと、
前記車両の運転状態を含む車両情報に基づいて、前記無段変速機CVTに供給するライン圧PLを調節する調圧手段としてのライン圧制御バルブ41を制御するライン圧制御手段としての車両制御装置10と、
を備えた無段変速機のライン圧制御装置であって、
前記車両情報に基づいて車両走行状態が定常走行状態に保持されることを予測する定常走行状態保持予測手段としてのステップS102〜S105の処理を行う構成を設け、
前記ライン圧制御装置としての車両制御装置10は、前記定常走行状態の保持予測時に、前記ライン圧PLを、通常ライン圧としての目標ライン圧tPLよりも低圧であり、前記無段変速機CVTの動力伝達部に滑りが生じる圧力よりも高圧の定常走行時用低ライン圧PLminに制御することを特徴とする。
定常走行状態保持予測時には、ライン圧PLを、定常走行時用低ライン圧PLminに制御することにより、走行を継続しつつ燃費および音振動抑制を図ることができる。
そして、定常走行時用低ライン圧PLminに低下させる定常走行時低圧制御を、定常走行状態の保持を予測した時点で実行するため、実際の定常走行状態保持を検出するよりも前の時点で、定常走行時低圧制御を開始することができる。
これにより、定常走行時用低ライン圧PLminへの制御機会を拡大して、燃費および音振動のさらなる抑制が可能となる。
加えて、定常走行状態の保持を予測するため、定常走行状態からの変動が生じにくく、定常走行時用低ライン圧PLminから通常ライン圧(目標ライン圧tPL)への変動頻度を抑え、この変動に伴って違和感が生じるのを抑えることができる。
2)実施の形態1の無段変速機のライン圧制御装置は、
前記車両の走行モードとして走行状態変化を抑えたエコモードを設定するエコモード設定手段としてのエコモードスイッチ63を備え、
前記車両情報を得る手段として、自車両の走行位置を検出可能であるとともに、目的地までの走行経路を設定可能なナビゲーション装置70を備え、
前記定常走行状態保持予測手段(ステップS102〜S105の処理)は、前記ナビゲーション装置70による自車両の走行道路種別判定と、エコモード設定状態と、により定常走行状態保持予測を行うことを特徴とする。
したがって、ナビゲーション装置70に基づいて自車両の走行経路の種別判定を行うことにより、実際に定常走行状態となる以前に、定常走行状態の保持予測が可能となる。
同様に、エコモードの設定時には、運転状態変化が抑制され、定常走行状態となる可能性が高く、定常走行状態の保持予測が可能であるのに加え、定常走行状態からの解除動作が緩慢となっても、運転者に与える違和感を抑えることができる。
3)実施の形態1の無段変速機のライン圧制御装置は、
前記定常走行状態保持予測手段(ステップS102〜S105の処理)は、前記ナビゲーション装置70による自車両の走行道路種別が高速道路であり、かつ、前記エコモードの設定時に、前記定常走行状態保持と予測することを特徴とする。
すなわち、高速道路走行時は、他の種別の道路と比較して、定常走行状態を保持する可能性が高く、かつ、エコモード設定時も、エコモード非設定時と比較して、定常走行状態を保持する可能性が高い。
よって、高速道路走行時、かつ、エコモード設定時に定常走行状態の保持予測を行うことにより、定常走行状態となる前に、高い精度で定常走行状態の保持を予測することができる。
加えて、無段変速機CVTは、特に、高速走行時のフリクション損失が大きく、燃費に悪影響を与えている。この高速道路走行時に、定常走行時用低ライン圧PLminに制御することにより、高速走行時の燃費を改善することができる。
(他の実施の形態)
次に、他の実施の形態の電力変換装置について説明する。
なお、他の実施の形態は、実施の形態1の変形例であるため、実施の形態1と共通する構成には実施の形態1と同じ符号を付して説明を省略し、実施の形態1との相違点のみ説明する。
(実施の形態2)
実施の形態2は、定常走行状態の保持予測の他の例であり、実施の形態1において示したエコモードONによる高速道路走行時と並列に以下に説明する条件を加えた例である。
図6は、実施の形態2におけるライン圧制御処理の流れを示すフローチャートである。この実施の形態2において、ステップS104bでは、現在走行している道路および走行予定道路の道路種別情報に加え、記憶装置71において走行予定道路の過去の走行データが存在する場合にはそれを読み込む。
そして、ステップS105において、非高速道路走行時に進むステップS105bでは、走行予定道路の過去の走行データが定常走行状態を保持していたか否かを判定し、定常走行状態保持時には、定常走行状態が保持すると予測してステップS106に進む。また、ステップS105bにおいて、過去データが定常走行状態を保持していない場合にはステップS111に進む。
したがって、実施の形態2では、エコモードONの場合、高速道路走行時に加え、非高速道路走行時であっても、走行予定道路を過去に定常走行状態を保持して走行を行った場合には、定常走行状態を保持と予測して、定常走行時低圧制御を実行する。
これにより、定常走行時低圧制御により定常走行時用低ライン圧PLminとして走行する機会を拡大し、燃費および音振動抑制性能を向上できる。
(実施の形態2の作用)
次に、実施の形態2の作用を比較例との比較に基づいて説明する。
実施の形態2では、エコモードONで、高速道路走行時、あるいは、過去に定常走行状態を保持して走行した道路を走行する際には、実施の形態1と同様に、定常走行時低圧制御により定常走行時用低ライン圧PLminに制御する。
なお、実施の形態1では、一般道路から高速道路へ加速して移行した場合について説明したため、実施の形態2では、一般道路において、過去に定常走行状態を保持しない走行区間から、定常走行状態を保持した走行区間に、減速して移行した場合について説明する。
図8に示す比較例では、t0の時点からt21の時点まで、一般道において過去に定常走行状態を保持しなかった走行区間を走行し、t21の時点から過去に定常走行状態を保持した走行区間での走行を開始している。
そして、過去に定常走行状態を保持した走行区間の走行を開始したt21の時点の後、入力トルク、プライマリ回転数、変速比が安定した定常走行状態を検出したt22の時点から、定常走行時用低ライン圧PLminに向けてライン圧PLを低下させる。
それに対し、本実施の形態2では、図7に示すように、エコモードがONであり、かつ、過去に定常走行状態を保持した走行区間に入ったt21の時点で、定常走行状態保持予測により、ライン圧PLを定常走行時用低ライン圧PLminに向けて低下させる。
すなわち、t21の時点で、図6のフローチャートにおいて、ステップS101,S102,S105bにてYES(肯定)判定し、ステップS106,S107の処理により、ライン圧PLを定常走行時用低ライン圧PLminに向けて低下させる。
このように、本実施の形態2にあっては、減速時にあっても、ライン圧PLを定常走行時用低ライン圧PLminに向けて低下させるタイミングが、実際に定常走行状態に保持されるタイミングよりも早くなる。よって、図8に示す比較例よりも燃料消費量を低下させることができる。なお、図7において二点鎖線は、図5に示す比較例のライン圧PLの変化および燃料消費量の変化を示している。なお、実施の形態1にあっても、減速しながら一般道から高速道路に入った場合には、実施の形態2にて説明したのと同様の動作を行う。
2-1)実施の形態2の無段変速機のライン圧制御装置は、
前記ナビゲーション装置70は、過去の走行データを記憶する記憶装置71を備え、
前記定常走行状態保持予測手段(ステップS103、S104、S104b、S105、S105bの処理を実行する構成)は、走行経路が、過去に定常走行を行った走行区間を走行する場合に、前記定常走行状態保持を予測することを特徴とする。
したがって、定常走行時低圧制御により定常走行時用低ライン圧PLminとして走行する機会を拡大し、燃費および音振動抑制性能を向上できる。
また、高速道路以外の種別の道路であっても、過去に定常走行状態を保持した走行区間にあっては、定常走行状態を保持する可能性が高く、高い精度で定常走行状態の保持予測を行うことができる。
(実施の形態3)
実施の形態3は、定常走行状態の保持予測の他の例であり、実施の形態1において示したエコモードONによる高速道路走行時と並列に以下に説明する条件を加えた例である。
図9は、実施の形態3におけるライン圧制御処理の流れを示すフローチャートである。この実施の形態3において、ステップS104cでは、道路種別情報に加え、通信装置73を用いて、データセンタ80から走行予定道路の先行車両の走行データを入手する。
なお、先行車両の走行データとは、時間的に自車両よりも僅かに前に走行した先行車両の走行データであってもよいが、その他にも、前日や、一週間あるいは数週間前の同曜日の同時刻帯に走行した車両の走行データを用いてもよい。
そして、ステップS105において、非高速道路走行時に進むステップS105cでは、先行車両の走行データが定常走行状態を保持していたか否かを判定し、定常走行状態保持時には、定常走行状態が保持すると予測してステップS106に進む。また、ステップS105cにおいて、先行車両の走行データが定常走行状態を保持していない場合にはステップS111に進む。
したがって、実施の形態3では、エコモードONの場合、高速道路走行時に加え、非高速道路走行時であっても、走行予定道路を先行車両が定常走行状態を保持して走行を行った場合には、定常走行状態を保持と予測して、定常走行時低圧制御を実行する。
これにより、定常走行時低圧制御により定常走行時用低ライン圧PLminとして走行する機会を拡大し、燃費および音振動抑制性能を向上できる。
3-1)実施の形態3の無段変速機のライン圧制御装置において、
前記車両情報を取得する手段として、交通データとしての走行データを取得する通信装置73を備え、
前記定常状態予測手段(ステップS103、S104、S104c、S105、S105cの処理を実行する構成)は、前記交通データに基づいて定常走行状態保持を予測することを特徴とする。
したがって、定常走行時低圧制御により定常走行時用低ライン圧PLminとして走行する機会を拡大し、燃費および音振動抑制性能を向上できる。
また、高速道路以外の種別の道路であっても、先行車両が定常走行状態を保持した走行区間にあっては、定常走行状態を保持する可能性が高く、高い精度で定常走行状態の保持予測を行うことができる。
以上、本発明の無段変速機のライン圧制御装置を実施の形態に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
例えば、実施の形態では、本発明の無段変速機のライン圧制御装置をハイブリッド車両へ適用した例を示した。しかし、本発明の無段変速機のライン圧制御装置は、ハイブリッド車両以外の動力源がエンジンのみ、モータのみといった車両にも適用可能である。また、駆動輪は前輪、後輪、4輪のいずれの車両にも適用することができる。
また、無段変速機としてベルト式のものを示したが、これ以外にも、トロイダル型無段変速機など、他の形式の無段変速機を用いてもよい。
また、実施の形態では、定常走行状態保持予測手段におけるナビゲーション装置による自車両の走行道路種別判定において、高速道路走行時に、定常走行時用低ライン圧に制御する例を示したが、道路種別としては、高速道路に限定されない。例えば、定常走行状態に保持されると予測できる道路であれば、自動車専用道路など、高速道路以外の道路であってもよい。
実施の形態3では、交通データとしての走行データを、データセンタから取得するようにした例を示したが、こうような交通データは、データセンタ以外にも、車両と車両との間の通信などの他の手段から取得してもよい。
また、実施の形態3では、交通データとして、先行車両の走行データを用いた例を示したが、これに限定されず、所定時間内の平均的な車両の走行データなど、他のデータを用いることも可能である。
10 車両制御装置(ライン圧制御手段)
41 ライン圧制御バルブ(調圧手段)
50 CVTオイルポンプ
60 センサ群
70 ナビゲーション装置
71 記憶装置
73 通信装置(通信手段)
CVT 無段変速機
E エンジン(駆動源)
MG 駆動モータ(駆動源)
PLmin 定常走行時用低ライン圧
tPL 目標ライン圧(通常ライン圧)
W 駆動輪

Claims (5)

  1. 車両に搭載され、駆動輪を駆動する駆動源と、
    この駆動源と前記駆動輪との間の駆動力伝達経路中に設けられた無段変速機と、
    前記車両の運転状態を含む車両情報に基づいて、前記無段変速機に供給するライン圧を調節する調圧手段を制御するライン圧制御手段と、
    を備えた無段変速機のライン圧制御装置であって、
    前記車両情報に基づいて車両走行状態が定常走行状態に保持されることを予測する定常走行状態保持予測手段を設け、
    前記ライン圧制御手段は、前記定常走行状態の保持予測時に、前記ライン圧を、入力トルク要求に対して動力伝達部分の滑りを抑える通常ライン圧よりも低圧側の定常走行時用低ライン圧に制御することを特徴とする無段変速機のライン圧制御装置。
  2. 請求項1に記載の無段変速機のライン圧制御装置において、
    前記車両の走行モードとして走行状態変化を抑えたエコモードを設定するエコモード設定手段を備え、
    前記車両情報を得る手段として、自車両の走行位置を検出可能であるとともに、目的地までの走行経路を設定可能なナビゲーション装置を備え、
    前記定常走行状態保持予測手段は、前記ナビゲーション装置による自車両の走行道路種別判定と、前記エコモードの設定状態と、により定常走行状態保持予測を行うことを特徴とする無段変速機のライン圧制御装置。
  3. 請求項2に記載の無段変速機のライン圧制御装置において、
    前記定常走行状態保持予測手段は、前記ナビゲーション装置による自車両の走行道路種別が高速道路であり、かつ、前記エコモードの設定時に、前記定常走行状態保持と予測することを特徴とする無段変速機のライン圧制御装置。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の無段変速機のライン圧制御装置において、
    前記ナビゲーション装置は、過去の走行データを記憶する記憶装置を備え、
    前記定常走行状態保持予測手段は、走行経路が、過去に定常走行を行った走行区間を走行する場合に、前記定常走行状態保持を予測することを特徴とする無段変速機のライン圧制御装置。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の無段変速機のライン圧制御装置において、
    前記車両情報を取得する手段として、交通データを取得する通信手段を備え、
    前記定常状態予測手段は、前記交通データに基づいて定常走行状態保持を予測することを特徴とする無段変速機のライン圧制御装置。
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