JP2005226776A - トリポード型等速自在継手 - Google Patents

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Abstract

【課題】 安価なトリポード型等速自在継手を提供する。
【解決手段】 内周に軸方向に延びる三本のトラック溝12を形成し、各トラック溝12の向かい合った一対の側壁をローラ案内面14とした外側継手部材10と、外周に半径方向に突出した三本の脚軸24を形成したトリポード部材20と、トリポード部材20の脚軸24に回転自在に支持されたローラアセンブリ30とを具備し、前記ローラアセンブリ30を外側継手部材10のローラ案内面14に沿って転動させるようにしたトリポード型等速自在継手において、ローラアセンブリ30として内輪32の内径と外輪34の外径が円筒面で内外輪の両側面が平坦な面で形成されている単列深溝玉軸受を利用する。
【選択図】 図1

Description

この発明はトリポード型等速自在継手に関する。トリポード型等速自在継手は、自動車や各種産業機械の動力伝達系において、駆動側の回転軸と従動側の回転軸を連結して等角速度でトルクを伝達するために用いられる等速自在継手のうち、角度変位と軸方向変位を許容する摺動式等速自在継手に属する。
従来、自動車の駆動力伝達部では、駆動軸の回転力を従動軸を介して各車軸へと伝達させるため、等速自在継手が用いられている。そのうちのトリポード型等速自在継手は、図9に示すように、内周面に軸方向に延びた三つのトラック溝1aをもった外側継手部材1と、半径方向に突出した三本の脚軸2aを備えたトリポード部材2とを有し、トリポード部材2の各脚軸2aに転動体を介して回転自在に支持させたローラ3を外側継手部材1のトラック溝1aに係合させることにより、外側継手部材1とトリポード部材2との間でトルクを伝達する構造となっている。脚軸2aとローラ3との間に介在させる転動体はほとんど針状ころの総ころタイプで、稀にボールのものがある。また、ローラ3の具体的構成や転動体の配置等についてはさまざまなタイプのものが考案され、要求性能に合わせて使い分けられている。
特開2000−227124号公報
上述のとおり、脚軸と外側継手部材のトラック溝の間にはさまざまなタイプのローラや転動体が考案され、要求性能に合わせて使い分けられているが、高性能になるほど部品点数も多く形状も複雑でコストアップになっている。最も一般的なトリポード型等速自在継手においてもローラ、ころ、ワッシャ、止め輪など多くの部品で構成され、組み立ても特殊であるため低価格化が困難となっている。
本発明の主要な目的は、安価なトリポード型等速自在継手を提供することである。
本発明は、内周に軸方向に延びる三本のトラック溝12を形成し、各トラック溝12の向かい合った一対の側壁をローラ案内面14とした外側継手部材10と、外周に半径方向に突出した三本の脚軸24を形成したトリポード部材20と、トリポード部材20の脚軸24に回転自在に支持されたローラアセンブリ30とを具備し、前記ローラアセンブリ30を外側継手部材10のローラ案内面14に沿って転動させるようにしたトリポード型等速自在継手において、内輪の内径と外輪の外径が円筒面で内外輪の両側面が平坦な面で形成されている単列深溝玉軸受によって前記ローラアセンブリ30を構成させたことを特徴とするものである。世間一般に数多く流通している玉軸受、特に安価な単列深溝玉軸受を利用することにより、安価なトリポード型等速自在継手を提供することができる。
請求項2の発明は、請求項1のトリポード型等速自在継手において、外側継手部材10のローラ案内面を、前記単列深溝玉軸受の外輪34が転動する平坦面14と、前記外輪34の両側面を保持するつば面18とで構成し、脚軸24の外周面を球面としたことを特徴とするものである。このような構成とすることにより、ローラアセンブリ30が外側継手部材10に対して常に軸方向にのみ転がるため、転がり抵抗が少なく、低振動となる。
請求項3の発明は、請求項1のトリポード型等速自在継手において、外側継手部材10のローラ案内面14をトラック溝12に向かって凸円弧となった部分円筒面とし、脚軸24の外周面を円筒面としたことを特徴とするものである。このような構成を採用することにより、脚軸24の軸心の交点が振れ回ることによる脚軸24の傾きをローラ案内面14にて吸収することができる。
ここで、脚軸24の軸心の交点が振れ回ることによる脚軸24の傾きについて説明するならば次のとおりである。図2に示すように継手が作動角をとった場合、つまり、外側継手部材10とトリポード部材20とが折れ曲がった場合、トリポード部材20の三本の脚軸24のうちの一本が時計0時の位置にあり、他の二本がそれぞれ時計の4時と7時の位置にある状態を考えると、三本の脚軸24の軸心の交点が外側継手部材10の軸心Oに対してずれ、トルクの伝達時には、そのずれ分を半径として軸心Oのまわりを脚軸24の軸心の交点O´が振れ回ろうとするため、図2(B)の上側の脚軸24を基本として考えると、他の二本の脚軸24は、二点鎖線で示す作動角0度の場合に比較して傾きを生じる。脚軸24の軸心の交点が振れ回ることによる脚軸24の傾きとはこのことを意味する。
請求項4の発明は、請求項1のトリポード型等速自在継手において、外側継手部材10のローラ案内面14をつば面のない平坦面とし、脚軸24の外周面を太鼓状としたことを特徴とするものである。このような構成を採用することにより、脚軸24の軸心の交点が振れ回ることによる脚軸24の傾きを脚軸24と内輪32との嵌合部分で吸収することができる。
大量生産されている単列深溝玉軸受を利用することにより、単列深溝玉軸受の製作に用いられる現有加工機および組み立て機がそのまま使えるため、非常に精度の高い、それでいて低コストな中間部材となり、これを使ったトリポード型等速自在継手は、組み立ても容易で低コストなものとなる。単列深溝玉軸受は非常に精度が高く、転がり抵抗も少なくなっていることより、トリポード型等速自在継手の作動性を向上させることができる。
以下、図面に従って本発明の実施の形態を説明する。
図1および図2に示すように、トリポード型等速自在継手は外側継手部材10とトリポード部材20とローラアセンブリ30を主要な構成要素としている。
外側継手部材10は一端にて開口したカップ状で、底部側から突出した軸部16のセレーション軸にて駆動軸または従動軸と結合するようになっている。外側継手部材10の内周には円周方向三等分位置に軸方向に延びるトラック溝12が形成してある。各トラック溝12の、円周方向に向かい合った一対の側壁がローラ案内面14を提供する。ローラ案内面14はここでは外側継手部材10の軸線と平行な平坦面である。
トリポード部材20は、ボス部22と、ボス部22の円周方向三等分位置から半径方向に突出した脚軸24とからなる。ボス部22には従動軸または駆動軸と結合するためのセレーション孔26が形成してある。脚軸24はここではその軸線上に曲率中心をもった球状を呈している。
脚軸24の外周にローラアセンブリ30が位置する。ローラアセンブリ30は内外径共に円筒面の単列深溝玉軸受で構成されている。すなわち、図3に示すように、内輪32と外輪34と玉36と保持器38がローラアセンブリ30の構成要素である。内輪32の内径と外輪34の外径は円筒面で、内外輪32,34の両側面(図3における内外輪の上下面)は平坦な面で形成されている。外輪34は外側継手部材10のローラ案内面14を転動するようになっている。なお、図1では外輪34が左右のローラ案内面14と接しているように図示してあるが、厳密には、継手の回転方向によって一対のローラ案内面14のいずれか一方と接することとなる。また、この実施の形態では、ローラ案内面14の両側(図の上下)につば面18が設けてあり、外輪34を保持するようになっている。
次に、図4に示す実施の形態は、上に述べた図1の実施の形態ではローラ案内面14が平坦であったのを、トラック溝12側に向かって凸円弧となった部分円筒面としたものである。
図5に示す実施の形態は、ローラ案内面14を傾斜させ、開いた方向にのみつば面18を設けたものである。トラック溝12の中心に対してローラ案内面14の傾斜角を符号θで表してある。この場合、傾斜角により、負荷方向の片側つば面のみの接触抵抗が発生し、非負荷側の抵抗がないため、低振動となる。
図6に示す実施の形態は、外側継手部材10の半径方向外側(図の上側)のつば面18を延長して、ローラアセンブリ(単列深溝玉軸受)30の内輪32の側面までつば面18で保持したものである。脚軸24と内輪32から伝わる力36のみで受けるのではなく、内輪32から外側継手部材10にも伝えることにより、玉軸受にかかるアキシアル方向の力を軽減して軸受強度を上げることができる。
図7に示す実施の形態は、外側継手部材10のローラ案内面14をトラック溝12側に向かって凸円弧をなす部分円筒面とし、脚軸24の外周面を円筒面としたものである。脚軸24の外周面にローラアセンブリ(単列深溝玉軸受)30の内輪32を嵌合させ、脚軸24の軸方向の移動を規制する止め輪28を設けてある。この実施の形態の場合、脚軸24の軸心の交点が振れ回ることによる脚軸24の傾きをローラ案内面14にて吸収する。
図8に示す実施の形態は、外側継手部材10のローラ案内面14はつばのない平坦面とし、脚軸24の外周面は、脚軸24の軸心の交点が振れ回ることによる脚軸24の傾きを吸収できるような太鼓状とし、その脚軸24にローラアセンブリ(単列深溝玉軸受)30の内輪32を嵌合させ、脚軸24の軸方向の移動を規制する止め輪を設けてある。この実施の形態の場合、脚軸24の軸心の交点が振れ回ることによる脚軸24の傾きを脚軸24と内輪32との嵌合部分で吸収する。
本発明の実施の形態を示すトリポード型等速自在継手の横断面図である。 Aは図1の継手の縦断面図、Bは図2におけるトリポード部材の模式的側面図である。 ローラアセンブリ(単列深溝玉軸受)の断面図である。 別の実施の形態を示すトリポード型等速自在継手の横断面図である。 さらに別の実施の形態を示すトリポード型等速自在継手の横断面図である。 さらに別の実施の形態を示すトリポード型等速自在継手の横断面図である。 さらに別の実施の形態を示すトリポード型等速自在継手の横断面図である。 さらに別の実施の形態を示すトリポード型等速自在継手の横断面図である。 従来の技術を示すトリポード型等速自在継手の横断面図である。
符号の説明
10 外側継手部材
12 トラック溝
14 ローラ案内面
16 軸部
18 つば面
20 トリポード部材
22 ボス部
24 脚軸
26 セレーション孔
28 止め輪
30 ローラアセンブリ(単列深溝玉軸受)
32 内輪
34 外輪
36 玉
38 保持器

Claims (4)

  1. 内周に軸方向に延びる三本のトラック溝を形成し、各トラック溝の向かい合った一対の側壁をローラ案内面とした外側継手部材と、外周に半径方向に突出した三本の脚軸を形成したトリポード部材と、トリポード部材の脚軸に回転自在に支持されたローラアセンブリとを具備し、前記ローラアセンブリを外側継手部材のローラ案内面に沿って転動させるようにしたトリポード型等速自在継手において、内輪の内径と外輪の外径が円筒面で内外輪の両側面が平坦な面で形成されている単列深溝玉軸受によって前記ローラアセンブリを構成させたことを特徴とするトリポード型等速自在継手。
  2. 外側継手部材のローラ案内面を、前記深溝玉軸受の外輪が転動する平坦面と、前記外輪の両側面を保持するつば面とで構成し、脚軸の外周面を球面としたことを特徴とする請求項1のトリポード型等速自在継手。
  3. 外側継手部材のローラ案内面をトラック溝に向かって凸円弧となった部分円筒面とし、脚軸の外周面を円筒面としたことを特徴とする請求項1のトリポード型等速自在継手。
  4. 外側継手部材のローラ案内面をつば面のない平坦面とし、脚軸の外周面を太鼓状としたことを特徴とする請求項1のトリポード型等速自在継手。
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