JP2005226204A - 不燃繊維とその製造方法、布撚糸、不燃布帛 - Google Patents
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Abstract
【課題】獣毛繊維を加熱耐炎化処理してなる不燃繊維であって、羊毛などの風合い、肌触り、加工性など優れた特性を持ち合わせ、しかも完全に不燃性の繊維とその製造方法、不燃糸及び不燃布帛を提供する。
【解決手段】本発明の不燃繊維は、繊維を加熱参加し、耐炎化繊維とすることにより不燃化した繊維であって、前記繊維が獣毛である。本発明の不撚糸は、糸を加熱酸化し耐炎化糸とすることによって不燃化したいとであって、前記糸を構成する繊維が獣毛繊維である。本発明の不燃布帛は、布帛を加熱酸化し、耐炎化布帛とすることにより不燃化した布帛であって、前記布帛を構成する繊維が獣毛繊維である。本発明の不燃繊維の製造方法は、獣毛繊維を酸化雰囲気で、350℃以上500℃以下の温度まで加熱し、耐炎化処理する。
【選択図】 図2
【解決手段】本発明の不燃繊維は、繊維を加熱参加し、耐炎化繊維とすることにより不燃化した繊維であって、前記繊維が獣毛である。本発明の不撚糸は、糸を加熱酸化し耐炎化糸とすることによって不燃化したいとであって、前記糸を構成する繊維が獣毛繊維である。本発明の不燃布帛は、布帛を加熱酸化し、耐炎化布帛とすることにより不燃化した布帛であって、前記布帛を構成する繊維が獣毛繊維である。本発明の不燃繊維の製造方法は、獣毛繊維を酸化雰囲気で、350℃以上500℃以下の温度まで加熱し、耐炎化処理する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、獣毛繊維を加熱耐炎化処理してなる不燃繊維、及びその製造方法に関する。詳しくは獣毛繊維の柔軟で肌触りがよい特性を有し、かつ着火や着炎がなく、発煙の少ない不燃繊維とその製造方法、不撚糸及び不燃布帛に関する。
羊毛、モヘア、カシミヤ、アンゴラ等からなる獣毛繊維は風合いや、保温性、吸湿性、肌触りなど優れた特性を有し、衣料を中心とする用途と共に工業、産業資材など幅広い分野で使用されている。このような獣毛繊維は一般的な合成繊維と比較すると燃えにくい繊維ではあるが、しかし炎に接触すると毛髪の燃えるような臭いや、煙の発生と共に縮れながら燃え、着火源がある限り燃焼していく。
一方、不燃性繊維や不燃性織物はその用途に応じて多くの材料や、商品が開発され特に超高層ビルやホテル、あるいは病院や老人ホームなどの壁材、絨毯、カーテンなどのインテリア材料、あるいは新幹線などの車輌内装材料等は、不慮の火災に対する不燃の特性とともに、発煙量を少なくすること、あるいは有毒ガスを発生させないなど、安全性と信頼性の面から幅広い分野で不燃性繊維や織物の研究開発がなされ市場に展開されている。
また、インテリア材料だけでなく身近な衣料の分野においても、消防服や警備員、警察などの制服は基本的には不燃性の物が望まれている。
従来、不燃繊維や不燃織物としては、ガラス繊維や炭素繊維など、燃えない材料を用いたものが使用されており、従ってこれらの製品は基本的に不燃性であり、煙や有毒ガスの発生も少ない。特許文献1ではガラス繊維やカーボン繊維さらに芳香族ポリアミド繊維などからなる合撚糸にフッ素樹脂を含浸し焼成した不燃糸が提案されている。しかしながらガラス繊維や炭素繊維は風合いや、人が触れた時の触感はあまり良くなく、工業材料的な感じを拭い去ることができなく、インテリア材料として快適な生活空間や環境を作り上げていくには問題が多い。
また、衣料材料分野では不燃の特性を持つ材料がいまだ開発されていない。例えば特許文献2では難燃加工剤(アミノホスハゼンと酸触媒)を原料繊維(綿、麻、レーヨン、絹、羊毛)に含浸させ乾燥させたのち、キュアーして難燃化する加工方法が提案されている。
また特許文献3にはポリフェニレンサルファイド繊維を含み、木綿、羊毛、アクリルニトリル繊維、ポリエステル繊維およびポリアミド繊維から選ばれた少なくとも1種とよりなる難燃性に優れたポリフェニレンサルファイド繊維が提案されている。
さらに特許文献4ではフェノール樹脂繊維と芳香族ポリアミド繊維と、チタニウムまたはジルコニウムの金属鎖塩で処理された羊毛を所定比率で混合した繊維よりなる防火繊維布が提案されている。
しかし、現実的にはいずれも難燃性あるいは防炎性のレベルであり、有毒ガスや煙の発生を抑えることができなく、不燃性の用途への展開には問題も多い。また「羊毛の炭化」という表現も特許文献5には多く使われているがこの文献等で使われている「炭化」は原料羊毛中に含まれる植物繊維や、不純物あるいはセルローズ材料などを不活性有機溶剤および無水塩化水素などで処理することに「炭化」という表現が使われており、本発明の加熱耐炎化処理、あるいは加熱処理炭化処理とまぎらわしい表現であるが本発明の内容とは基本的に異なる。
特開2001−64836号公報
特開昭64−40673号公報
特開2001−55640号公報
特開昭62−90349号公報
特公昭59−1802号公報
前述のように、インテリア材料や衣料材料などの分野において、完全に不燃であって、かつ風合いや肌触り、保温性などこれらの高度な要求を総合的に満たし得る不燃繊維はいまだ実現していない。ガラス繊維やカーボン繊維などからなるインテリア材料は耐磨耗性、クリーニング性などの面で十分な特性を持ち得ないと同時に、皮膚が触れたときのかゆみや、チクチクとするアレルギー的な不快感はインテリア材料としても問題が多く、特に衣料材料としては致命的なものである。
本発明は、前記した従来の問題を解決するため、獣毛繊維を加熱耐炎化処理してなる不燃繊維であって、長い歴史のもとで使用されてきた羊毛などの風合い、肌触り、加工性など優れた特性を持ち合わせ、しかも完全に不燃性の繊維とその製造方法、不燃糸及び不燃布帛を提供する。
本発明者らは、上記目的を達成すべく研究を重ね、獣毛繊維を使用しその加熱条件をコントロールすることによって、獣毛の優れた特性を損なうことなく、かつ完全な不燃特性を兼ね備えた繊維を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明の不燃繊維は繊維を加熱酸化し、耐炎化繊維とすることにより不燃化した繊維であって、前記繊維が獣毛繊維であることを特徴とする。
本発明の不撚糸は、糸を加熱酸化し耐炎化糸とすることにより不燃化した糸であって、
前記糸を構成する繊維が獣毛繊維であることを特徴とする。
前記糸を構成する繊維が獣毛繊維であることを特徴とする。
本発明の不燃布帛は、獣毛繊維を耐炎化処理した繊維を用いた布帛、獣毛繊維を構成繊維とする糸を耐炎化処理した糸を用いた布帛、若しくは布帛を加熱耐炎化処理してなる布帛であって、前記布帛はアルコール燃焼試験において着火および着炎がないことを特徴とする。
本発明の不燃繊維の製造方法は獣毛繊維を酸化雰囲気で350℃以上500℃以下の温度まで加熱し、耐炎化処理することを特徴とする。
本発明によれば獣毛繊維を加熱耐炎化処理してなる不燃繊維であって獣毛繊維の風合いや肌触り、保温性などの特性を持ち合わせ、尚且つ着火、着炎、あるいは煙が出ないか又は僅少である不燃繊維を実現できる。また静電気の発生が少なく軽量の不燃繊維を実現できる。
次に本発明の製造方法によれば、獣毛繊維を350℃以上の温度まで所定条件で昇温させ加熱耐炎化処理することにより獣毛繊維の優れた多くの特徴を持ち合わせたまま安価な方法で不燃繊維を製造できる。また市場から獣毛繊維の古物として廃棄される繊維や織物においても本発明の製造方法で加熱耐炎化処理することにより、不燃材料として再生でき資源の再利用としても効果的である。
前記構成において耐炎化処理後の重量減少率が40%以上70%以下であることが好ましい。加熱処理による重量減少は、獣毛繊維中の低温分解性の有機物が除去され、これらの低温分解性物質を加熱除去することによって、発煙や臭いなどのガスの発生を防止することができる。
低温分解性物質は示差熱天秤で分析した結果では50〜120℃くらいの間では繊維中の水分が気化し、230℃くらいから分解による重量減少が始まる。これらの重量減少は温度の上昇と共に進行していくが、耐炎化処理の最終温度を少なくとも350℃以上500℃以下の温度まで加熱することによって獣毛繊維の風合いと共に不燃の特性を付加することができる。
また、本発明の不燃繊維は低温分解性物質を除去することにより、重量が減少するため航空機や車輌などの不燃材料として使用した場合、軽量化がはかれて好ましい。
獣毛繊維は羊毛、モヘア、アルパカ、カシミヤ、ラマ、ビキュ−ナ、キャメル、アンゴラからなる群から選ばれることが好ましい。獣毛繊維は柔軟でしなやかであり、保温性などの特徴も持ち合わせており、耐炎化処理をした後もこれらの特性が維持でき好ましい。特に羊毛は好ましい獣毛繊維である。
次に、獣毛繊維を加熱耐炎化処理した繊維を用いた布帛、または獣毛繊維をあらかじめ布帛に加工した後、加熱耐炎化処理した布帛であって、前記布帛はアルコール燃焼試験において着火および着炎がない不燃性布帛である。
また布帛が織物、編物、不織布から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。着火や着炎がなく発煙も少ない布帛は衣料やインテリア等の材料として安全であり信頼性も高く好ましい。
また前記不燃性布帛において加熱耐炎化処理後の帯電半減期時間が1/2以下であるこが好ましい。獣毛繊維を加熱耐炎化処理した繊維は静電気の発生が小さく、耐炎化処理前の布帛と比較して1/2以下であると低湿度環境下で使用しても静電気のわずらわしさや、埃の付着も少なく好ましい。
次に本発明の不燃繊維の製造方法は、獣毛繊維を少なくとも350℃以上の温度まで加熱し耐炎化させる。耐炎化処理のための最高温度は500℃以下が好ましい。より好ましい最高温度は400℃である。
耐炎化処理のための最高温度が350℃以下であると、アルコール燃焼試験において着火し、発煙量も多く不燃材料として問題がある。また500℃を越えて加熱処理すると獣毛繊維の機械特性が低下し、獣毛繊維や布帛としての特性が得られない。
また、前記した低温分解性物質を徐々に除去するためには獣毛の重量減少が始まる前の温度から加熱を開始し、1分間に0.5〜3.0℃の温度範囲で昇温させていくことが好ましい。最も好ましい昇温速度は1.5℃±0.5℃/分である。
昇温速度が速い場合は、繊維自体が燃焼してタール化したり、あるいは低温分解性物質を含んだまま耐炎化された状態になり、燃焼試験において着火や煙の発生が多くなり不燃繊維として使用できない。また熱劣化により部分的に粉状化し、繊維の形態を保持することができなく、獣毛繊維としてのしなやかさや風合いを損ねることになる。また昇温速度が遅い場合には耐炎化処理に必要な最高温度まで上げていくために時間がかかりすぎ製造コストが高くなる。
また獣毛繊維を加熱耐炎化処理した繊維は静電気の発生が小さく、冬場のホテルやホールなどの絨毯などのように低湿度環境下で使用しても静電気のわずらわしさや、埃などの付着が少なく、絨毯やカーテンなど不燃性を兼ね備えたインテリア材料や、車輌、自動車、航空機の内装材料として使用できる。
次に本発明の不燃材料の製造方法によれば、原毛、梳毛の段階、糸状、織物状(織物や編物、あるいは不織布の状態)などどのような形状においても加熱耐炎化処理ができ、前記本発明の不燃繊維や不燃布帛を効率よく合理的に製造できる。また紡績工場や市場から回収された中古獣毛繊維や、製造ラインでの屑繊維なども耐炎化処理することにより、不燃性の断熱材やクッション材としてリサイクルでき利用価値を高めることができる。
本発明の不燃繊維はスクールバスや観光バスなどの座席シート、ホテル、劇場、ホールなどの絨毯やカーペットや壁材、自衛隊や消防士、警察などの制服、航空機や車輌の壁材あるいは座席シート織物など幅広い分野で獣毛繊維の優れた特性と同時に不燃特性を兼ね合わせて持つ新しい不燃材料として用途が拡大できる。また本発明の不燃繊維はその用途に応じて他の材料からなる難燃や不燃繊維と混紡して使用することもできる。
(実施例)
以下、本発明について具体的な実施例、及び比較例を挙げてさらに詳しく説明する。
以下、本発明について具体的な実施例、及び比較例を挙げてさらに詳しく説明する。
本発明の諸特性の評価は下記の方法に基づき実施した
(1)不燃繊維のスケール模様の確認
獣毛繊維の顕微鏡写真は日立製作所製(形式S−300N)走査型電子顕微鏡を用いて撮影した。
(2)重量減少率
重量減少率(%)=(加熱処理前重量−加熱処理後重量)/加熱処理前重量×100
(3)静電気の測定
JIS L 1094「織物及び編物の帯電性試験方法」(半減期測定法)による。
(4)強度保持率
引張試験機:オートグラフ 島津製作所製
測定条件:チャック間距離:200mm 引張速度:200mm/分
強度保持率(%)=加熱処理後強度/加熱処理前強度×100
(5)アルコール燃焼炎試験
図5は、以下の実施例、比較例において用いた燃焼試験の方法を示すものである。この燃焼試験は、鉄道営業法で定められている鉄道車両用材料の燃焼性規格に準じたものである。図5において、41は測定器の台、42は供試材を45°の角度で保持するための傾斜保持具、43はアルコール容器をのせるためのアーム、44はアルコール容器をのせるためのコルク台、45はエチルアルコール鉄製容器、46は炎、50は供試材(布帛)である。供試材(布帛)50はB5判(182mm×257mm)の大きさで、傾斜保持具42で45°の角度で保持される。エチルアルコール鉄製容器45の底の中心が、供試材(布帛)50の下面中心の垂直下方25.4mm(1インチ)のところにくるように、熱伝導率の低いコルク台44の上にエチルアルコール鉄製容器45をのせる。そして純エチルアルコール0.5ccを入れて着火し、燃料が燃え尽きるまで放置する。燃焼性判定は、アルコールの燃焼中と燃焼後に分けて、燃焼中は供試材への着火、着炎、発煙状態、炎の状態などを観察し、燃焼後は残炎、残じん、炭化、変形状態などを調査する。なお、供試材の試験前処理は、通気性のある室内で直射日光を避け、床面から1m以上離して5日以上経過させたものを用いる。燃焼性の判定規格は表1に示す通りである。
(1)不燃繊維のスケール模様の確認
獣毛繊維の顕微鏡写真は日立製作所製(形式S−300N)走査型電子顕微鏡を用いて撮影した。
(2)重量減少率
重量減少率(%)=(加熱処理前重量−加熱処理後重量)/加熱処理前重量×100
(3)静電気の測定
JIS L 1094「織物及び編物の帯電性試験方法」(半減期測定法)による。
(4)強度保持率
引張試験機:オートグラフ 島津製作所製
測定条件:チャック間距離:200mm 引張速度:200mm/分
強度保持率(%)=加熱処理後強度/加熱処理前強度×100
(5)アルコール燃焼炎試験
図5は、以下の実施例、比較例において用いた燃焼試験の方法を示すものである。この燃焼試験は、鉄道営業法で定められている鉄道車両用材料の燃焼性規格に準じたものである。図5において、41は測定器の台、42は供試材を45°の角度で保持するための傾斜保持具、43はアルコール容器をのせるためのアーム、44はアルコール容器をのせるためのコルク台、45はエチルアルコール鉄製容器、46は炎、50は供試材(布帛)である。供試材(布帛)50はB5判(182mm×257mm)の大きさで、傾斜保持具42で45°の角度で保持される。エチルアルコール鉄製容器45の底の中心が、供試材(布帛)50の下面中心の垂直下方25.4mm(1インチ)のところにくるように、熱伝導率の低いコルク台44の上にエチルアルコール鉄製容器45をのせる。そして純エチルアルコール0.5ccを入れて着火し、燃料が燃え尽きるまで放置する。燃焼性判定は、アルコールの燃焼中と燃焼後に分けて、燃焼中は供試材への着火、着炎、発煙状態、炎の状態などを観察し、燃焼後は残炎、残じん、炭化、変形状態などを調査する。なお、供試材の試験前処理は、通気性のある室内で直射日光を避け、床面から1m以上離して5日以上経過させたものを用いる。燃焼性の判定規格は表1に示す通りである。
繊度(繊維の直径)20〜25μmで繊維長さ70〜100mmの羊毛原料((株)日興テキスタイル社製)を500g用意した。この原料はオーストラリア産の原毛を3回のカード処理をしたものを用いた。前記、羊毛原料をアルミニューム製容器に入れ、オーブンに挿入しその後、50℃から400℃までの温度範囲において1分間に1.2℃の昇温条件で加熱し耐炎化処理を行った。その後オーブンの電源を切り250℃まで温度が下がった後、オーブンから取り出し羊毛からなる不燃繊維を製作した。この不燃繊維の重量減少率は56%であった。繊維の外観を走査型電子顕微鏡で1000倍に拡大し観察した結果、図1は原毛、及び図2は耐炎化処理後の不燃羊毛の顕微鏡写真であり、加熱耐炎化処理の後も図1同様の羊毛のスケール模様を確認でき、発泡や繊維の崩れは見られなかった。また耐炎化処理後の羊毛繊維に都市ガスのバーナー炎を接触させても着火、着炎がなく繊維は赤色化するのみで発煙もなく良好な不燃繊維を得ることができた。
アルパカ100%の撚り糸(8/20:20番手/8本撚り)をオーブンに300g入れ、50℃から400℃までの温度範囲において1分間に1.56℃の昇温条件で400℃まで温度を上げ加熱耐炎化処理を行った。
その後オーブンの電源を切り250℃の温度でオーブンから取り出しアルパカからなる不燃繊維を製作した。この不燃繊維の重量減少率は53%であった。繊維の外観を走査型電子顕微鏡で1000倍に拡大し観察した結果、図3はアルパカの原毛、及び図4は耐炎化処理後の、アルパカの不燃繊維の顕微鏡写真であり、耐炎化処理の後も図3同様のアルパカのスケール模様がそのまま残り、正常な耐炎化処理による不燃糸を得ることができた。また都市ガスのバーナー炎を接触させても着火、着炎、発煙もなく全く燃えない糸を得ることができた。
この撚り糸の加熱処理前の引張り強度は4.2Kgfであり伸びは18%であった。また、加熱処理後の引張り強度は1.1Kgfであり伸びは7%であった。
羊毛糸(日興テキスタイル社製)20番手4本撚りを1mの長さに切断し、50℃から400℃までの温度範囲で1.2℃/分の速度で昇温させ、各温度における前記羊毛糸の重量と長さの測定をし、単位長さ当たりの重量変化の測定を行った。耐炎化処理前の羊毛糸は2.1mg/cmであった。
昇温初期から300℃まではほとんど変化がなく、300℃で取り出した場合は1.8mg/cm、350℃の場合が1.5mg/cmであり、400℃で取り出した場合は1.4mg/cmになっており、単位長さ当たりの重量は処理前の羊毛糸と比較し400℃まで耐炎化処理することにより33%小さくなり軽量化の不燃羊毛糸を得ることができた。
実施例1の条件で羊毛繊維を加熱耐炎化処理した不燃繊維を用い、ローラミル及びローラカード(フリッチ・ジャパン株式会社製)によりシート状のワタにした後、ニードルパンチ(大和機工株式会社製)でパンチングして乾式不織布を作製した。不織布の目付重量はそれぞれ161g/m2、あった。この不織布を試料としアルコール燃焼試験を実施した結果、着火・着炎・発煙が全くなく、また燃焼試験後の不織布に溶融など形跡も見られず、羊毛不織布の肌触りや、しなやかさを持つ不燃材として優れた特性を維持していた。
実施例1の羊毛原料を用いあらかじめローラミルおよびローラカード(フリッチ・ジャパン株式会社製)によりシート状のワタにした後、ニードルパンチ(大和機工株式会社製)でパンチングして乾式不織布を作製した。不織布の目付重量は460g/m2であった。
この乾式不織布を用い加熱炭化処理温度を50℃から表1の最高加熱温度までの温度範囲で、同表の昇温速度に基づき昇温し、前記羊毛不織布の加熱耐炎化処理を実施した。各実施例で得られた不燃繊維のアルコール燃焼試験、風合い性、重量減少率の結果を表1に示す。また風合いは手に接触させた感覚で表示し耐炎化処理前と同等を◎とし、劣る場合は×とした。
この乾式不織布を用い加熱炭化処理温度を50℃から表1の最高加熱温度までの温度範囲で、同表の昇温速度に基づき昇温し、前記羊毛不織布の加熱耐炎化処理を実施した。各実施例で得られた不燃繊維のアルコール燃焼試験、風合い性、重量減少率の結果を表1に示す。また風合いは手に接触させた感覚で表示し耐炎化処理前と同等を◎とし、劣る場合は×とした。
表1のとおり、実験No.1及び実験No.2は本発明の範囲であったので、結果はいずれも良好であった。これに対して比較No.1は最高加熱温度が600℃であったため、風合いが硬くなり好ましくなかった。比較No.2は昇温温度が速すぎ、着火が起こり、風合いが硬くなり好ましくなかった。比較No.3とNo.4は最高加熱温度が300℃であり、耐炎化できず着火が起こり好ましくなかった。
実施例4の実験No.1の加熱耐炎化処理前後の不織布を室温20℃、湿度40%の環境試験室に24時間放置した後、JIS L1094の帯電試験方法(半減期測定法)に基づき測定した結果を表2に示す。本試験では不織布に6000Vの静電気を帯電させこの電圧が1/2になるまでの時間を測定し帯電状態を表2に比較した。
表2の結果から明らかなとおり、本発明の実施例品は耐炎化処理後の不織布の半減期時間は処理前の約1/10であり帯電防止効果が大きく静電気の発生の少ない不燃布帛を得ることができた。
本発明の繊維、糸及び布帛は、不燃繊維であるので、不燃性が求められている航空機、鉄道車輌、船舶、自動車などの内装材料及び高層ビルや、病院などのインテリア材料等に用途を拡大できる。また帯電防止効果が大きく、冬場のホテルやホールなどの絨毯などのように低湿度環境下での使用に好適である
41 測定器の台
42 傾斜保持具
43 アルコール容器をのせるためのアーム
44 アルコール容器をのせるためのコルク台
45 エチルアルコール鉄製容器
46 炎
50 供試材(布帛)
42 傾斜保持具
43 アルコール容器をのせるためのアーム
44 アルコール容器をのせるためのコルク台
45 エチルアルコール鉄製容器
46 炎
50 供試材(布帛)
Claims (8)
- 繊維を加熱酸化し耐炎化繊維とすることにより不燃化した繊維であって、前記繊維が獣毛繊維であることを特徴とする不燃繊維。
- 前記獣毛繊維が羊毛、モヘア、アルパカ、カシミヤ、ラマ、ビキュ−ナ、キャメル、アンゴラからなる群から選ばれる請求項1に記載の不燃繊維。
- 糸を加熱酸化し耐炎化糸とすることにより不燃化した糸であって、前記糸を構成する繊維が獣毛繊維あることを特徴とする不燃繊維。
- 獣毛繊維が耐炎化処理した繊維を用いた布帛、獣毛繊維を構成繊維とする糸を耐炎化処理した糸を用いた布帛、若しくは布帛を加熱耐炎化処理してなる布帛であって、前記布帛はアルコール燃焼試験において着火および着炎がないことを特徴とする不燃性布帛。
- 前記加熱炭化処理後の帯電半減期時間が1/2以下であることを特徴とする請求項4に記載の不燃性布帛。
- 前記布帛が織物、編物及び不織布から選ばれる少なくとも一つである請求項4に記載の不燃性布帛。
- 獣毛繊維を酸化雰囲気で350℃以上500℃以下の温度で加熱し炭化処理することを特徴とする請求項1に記載の不燃繊維の製造方法。
- 前記耐炎化処理後の重量減少率が70%以下である請求項7に記載の不燃繊維の製造方法。
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