JP2005225949A - 熱硬化性ポリウレタンエラストマー用組成物及び熱硬化性ポリウレタンエラストマー - Google Patents

熱硬化性ポリウレタンエラストマー用組成物及び熱硬化性ポリウレタンエラストマー Download PDF

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Abstract

【課題】 ポリオールの製造工程で薄膜蒸留等の後処理工程を追加しなくても、環状エステルオリゴマーが少なく、かつ分子量分布を制御できるポリエステルポリオールを用いて、ブリード、ブルーム、アウトガス等の不純物発生が極めて少なく、かつ高反撥弾性である熱硬化性ポリウレタンエラストマー用組成物及びそれらを反応してなる熱硬化性ポリウレタンエラストマーを提供する。
【解決手段】 有機ポリイソシアネート(A)、ポリオール(B)を含有してなる熱硬化性ポリウレタンエラストマー用組成物において、前記ポリオール(B)が、少なくとも1種の加水分解酵素の存在下、多価アルコールと多価カルボン酸とを反応させてなるポリエステルポリオールを含むことを特徴とする熱硬化性ポリウレタンエラストマー用組成物に関する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、加水分解酵素の存在下、多価アルコールと多価カルボン酸とを反応させてなるポリエステルポリオールを主成分として含む熱硬化性ポリウレタンエラストマー用組成物及びそれらを反応してなる熱硬化性ポリウレタンエラストマーに関するものである。さらに詳しくは、前記熱硬化性ポリウレタンエラストマー用組成物より得られる注型体が、ブリード、ブルーム、アウトガス等の不純物の発生が極めて少なく、かつ高反撥弾性である熱硬化性ポリウレタンエラストマーに関する。
熱硬化性ポリウレタンエラストマーは、引張強度、耐摩耗性、耐油性に優れ、さらに、分子中に架橋構造を有することから、熱可塑性ポリウレタンエラストマーよりも、圧縮永久歪みに優れることで知られている。
なかでも、ポリエステルポリオールを原料とするエステル系の熱硬化性ポリウレタンエラストマーは、耐熱性、機械強度、耐油性に優れることから、搬送ベルト、キャスター、ソリッドタイヤ、ロール、ブレード、シール、ガスケット等の工業部材として幅広く使用されてきた。
しかし、従来の金属系エステル化触媒の存在下、多価アルコールと多価カルボン酸またはその誘導体を反応させて得られるポリエステルポリオールでは、副生成物として環状エステルオリゴマーを多量に有し、かつ分子量分布が広いため、これを主成分として得られる熱硬化性ポリウレタンエラストマーは、注型体中の非反応成分が内部から表面に移行し液状で存在するブリード、非反応成分が注型体内部から表面に移行し固体で存在するブルーム、非反応成分が注型体内部から表面に移行し気化するアウトガス等の現象が発生すること、また反撥弾性が低いという問題がある。
近年、需要が伸長している複写機・OA機器向け各種ロール及びクリーニングブレードや、HDD用パッキング材等の電子部材用途では、ロール及びブレードの表面汚染や、HDDの誤作動の原因となる樹脂部材からのブリード、ブルーム、アウトガス等の発生を嫌うことから、これらに対して厳しい基準が設定されるようになってきた。従って、その要因物質となっている、ポリエステルポリオール中に含まれる環状エステルオリゴマーの削減が求められている。
また、物性面においては、従来のポリエステルポリオールを使用したエステル系ウレタンエラストマーは反撥弾性が低く、例えば、OA機器向け給紙ロールでは、ロールの反撥弾性不足から、給紙の高速化に対応できない問題がある。
これらに対して、開環重合系で製造するラクトン系ポリエステルポリオールにおいて、エステル交換触媒の代わりに、錫系ラクトン開環触媒を用いて、エステル交換反応を抑制しながら開環重合を優先的に進め、環状エステルオリゴマーをポリオール中0.5重量%以下に抑制する方法(例えば特許文献1参照)が提案されている。
しかしながら、前記方法は、エステル交換反応を制御することにより環状エステルを削減できるだけでなく、分子量分布も狭くできることから物性面においても反撥弾性を向上させることができるが、多価アルコールと多価カルボン酸またはその誘導体の縮合系で製造するポリエステルポリオールでは、反応自体が進まないことから、前記方法を適用することはできない。
縮合系で製造するポリエステルポリオール中の環状エステルを削減する手法としては、ポリエステルポリオール製造後の薄膜蒸留処理により、環状エステルオリゴマーを強制的に0.2重量%未満に除去するポリオールを使用する技術(例えば特許文献2参照)が提案されている。
しかしながら、この方法は、熱可塑性ポリウレタンへの適用についてのみ記載されており、熱硬化性ポリウレタンエラストマーへの適用については一切記載されていない。また、ポリエステルポリオールを製造した後に薄膜蒸留工程を経ることから、新規生産設備の導入と、生産工程の追加が必要となり、生産コストが高くなる欠点がある。さらに、薄膜蒸留処理によって、従来の金属系エステル化触媒を用いて製造されるポリエステルポリオール中の環状エステル量は強制的に削減できても、分子量分布の制御はできないことから、熱硬化性ポリウレタンエラストマーの反撥弾性の向上は望めない。
特開2001−261798号公報(特許請求の範囲、請求項1) 特開2002−3567号公報(実施例、0034〜0042)
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ポリオールの製造工程で薄膜蒸留等の後処理工程を追加しなくても、環状エステルオリゴマーが少なく、かつ分子量分布を制御できるポリエステルポリオールが得られ、かかるポリエステルポリオールを用いて、ブリード、ブルーム、アウトガス等の不純物発生が極めて少なく、かつ高反撥弾性である熱硬化性ポリウレタンエラストマー用組成物及びそれらを反応してなる熱硬化性ポリウレタンエラストマーを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成すべく、鋭意研究した結果、加水分解酵素の存在下に多価アルコールと多価カルボン酸とを反応させることにより、環状エステルオリゴマーが少なく、かつ分子量分布を制御したポリエステルポリオールを得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、有機ポリイソシアネート(A)、ポリオール(B)を含有してなる熱硬化性ポリウレタンエラストマー用組成物において、前記ポリオール(B)が、少なくとも1種の加水分解酵素の存在下、多価アルコールと多価カルボン酸とを反応させてなるポリエステルポリオールを含むことを特徴とする熱硬化性ポリウレタンエラストマー用組成物を提供するものである。また、本発明は上記熱硬化性ポリウレタンエラストマー用組成物を反応させ、成形してなる熱硬化性ポリウレタンエラストマーを提供するものである。
本発明の熱硬化性ポリウレタンエラストマー用組成物は、環状エステルオリゴマー含有量の少ないポリエステルポリオールを主成分とすることにより、ブリード、ブルーム、アウトガスの発生が極めて少ない熱硬化性ポリウレタンエラストマーを得ることができる。また、ソフトセグメント成分であるポリエステルポリオールは、非環状の低分子量エステル成分が少なく分子量分布が狭いため、ゴム弾性が強く発現し、反撥弾性に優れた熱硬化性ポリウレタンエラストマーを得ることができる。
本発明の熱硬化性ポリウレタンエラストマー用組成物は、有機ポリイソシアネート(A)及びポリオール(B)を含有してなるものであり、前記ポリオール(B)が、少なくとも1種の加水分解酵素の存在下、多価アルコールと多価カルボン酸とを反応させてなるポリエステルポリオールを主成分として含むものである。
本発明に使用する有機ポリイソシアネート(A)としては、特に制限がなく、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、粗製ジフェニルメタンジイソシアネート(ポリメリックMDI)が挙げられ、これらの内、1種または2種以上を併用して用いることができる。
ポリオール(B)としては、少なくとも2個の活性水素を有する化合物を用いることができ、本発明では、特に少なくとも1種の加水分解酵素の存在下、多価アルコールと多価カルボン酸とを反応させてなるポリエステルポリオールを主成分として含むものである。
ポリエステルポリオールの原料として使用することができる多価アルコールとしては、1分子中に少なくとも2個以上の活性水素基を含有する化合物であれば特に制限がなく、例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オタンジオール,1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、その他種々の糖類等が挙げられ、これらの内、1種または2種以上を併用して用いることができる。
ポリエステルポリオールの原料として使用することができる多価カルボン酸としては、1分子中に少なくとも2個以上のカルボキシル基を含有する化合物であれば特に制限がなく、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸またはその誘導体、無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、ピロメリット酸二無水物等の多価カルボン酸無水物が挙げられ、これらの内、1種または2種以上を併用して用いることができる。
前記ポリエステルポリオールの使用量は、ポリオール(B)中の環状オリゴマーの含有率を低減し、かつ分子量分布を狭くするためには、全ポリオール(B)中50重量%以上であることが好ましく、100重量%であることが最も好ましい。
前記加水分解酵素としては、エステル合成反応を触媒するものであれば特に制限はなく、加水分解作用としてカルボキシル基(例えば、エステル基やペプチド基)に作用する加水分解酵素が酵素反応機構上好ましい。例えば、EC(酵素番号)3.1群に分類されるカルボキシエステラーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、ホスホリパーゼ、アセチルエステラーゼ、コレステロールエステラーゼ、モノアシルグリセロールリパーゼ、ラクトナーゼ、リポプロテインリパーゼなどのエステル加水分解酵素類、EC3.4群に分類されるアミノペプチターゼ、キモトリプシン、トリプシン、ズブチリシン等のペプチド結合に作用する加水分解酵素類等を挙げることができる。前記加水分解酵素の中でエステル化反応に対して高活性である観点より、エステル加水分解酵素であるクチナーゼまたはリパーゼであることが好ましい。これらのうち、反撥弾性に優れた熱硬化性ポリウレタンエラストマーを得る観点より、クチナーゼの使用が特に好ましい。
前記加水分解酵素として使用するクチナーゼとしては、アスペルギルス(Aspergillus)属、フザリウム(Fusariumu)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属、ヘルミントスポルム(Helminthosporm)属、フミコラ(Humicora)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、リゾクトニア(Rhizoctonia)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)、ウロクラジウム(Ulocladium)、ボトリチス(Botrytis)属、グロメレラ(Glomerella)属、ファイトフソーラ(Phytophthora)属、ネクトリア(Nectria)属、モニリニア(Monilinia)属、ブルメリア(Blumeria)属、ピレノペジザ(Pyrenopeziza)属、アルテルナリア(Alternaria)属、アスコチタ(Ascochyta)属等の微生物から得られるクチナーゼが挙げられる。
前記加水分解酵素として使用するリパーゼとしては、アスペルギルス(Aspergillus)属、アクロモバクター(Achromobacter)属、バシラス(Bacillus)属、カンジダ(Candida)属、クロモバクター(Chromobacter)属、フザリウム(Fuarium)属、フミコラ(Humicola)属、ハイフォザイマ(Hyphozyma)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、リゾムコール(Rhizomucor)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、リゾプス(Rhizopus)属、ムコール(Mucor)属、テルモマイセス(Thermomyces)属等の微生物から得られるリパーゼ、植物種子から得られるリパーゼ、動物組織から得られるリパーゼ、パンクレアチン、ステアプシン等が挙げられる。上記酵素は、少なくとも1種使用することが必要であるが、2種以上を併用して使用することも可能である。上記加水分解酵素の中で、ブリード、ブルーム、アウトガスの発生が少ない熱硬化性ポリウレタンエラストマーを得る観点より、クリプトコッカス(Cryptococcus)属由来のクチナーゼ、または、カンジダ(Candida)属由来のリパーゼの使用が好ましい。
本発明に使用するポリオール(B)としては、本発明の目的とする性能を損ねない範囲で、前記ポリエステルポリオール以外のポリオールを用いることができる。かかるポリオールとしては、例えば、金属系エステル化触媒の存在下、多価アルコールと多価カルボン酸とを反応してなるポリエステルポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、及びポリブタジエンポリオール等が挙げられる。前記金属系エステル化触媒としては、例えば、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等のチタン系エステル化触媒、モノブチル錫酸、ジブチル錫オキサイド等の錫系エステル化触媒等が挙げられる。
本発明の熱硬化性ポリウレタンエラストマー用組成物は、上記有機ポリイソシアネート(A)及びポリオール(B)を主成分とするが、その他に、必要により鎖伸長剤を使用することができる。
鎖伸長剤としては、少なくとも2個以上のイソシアネート基と反応する活性水素を有し、50〜400の分子量を有する化合物を用いることができる。かかる化合物としては、例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オタンジオール,ネオペンチルグリコール、2,−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、分子量400までのポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、分子量400までのポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、分子量400までのポリブチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ヒマシ油、4,4'−ジオキシジフェニルプロパン、ジオキシメチルヒロドキノン等の低分子量グリコールが挙げられる。
また、エタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、ポリオキシポロピレントリアミン(商品名:ジェファーミンT−403、ハンツマン社製)等の脂肪族ポリアミン、4,4’−メチレン−ビス−2−メチルシクロヘキシルアミン等の脂環族ポリアミン、トリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、クロロアニリン変性ジクロロジアミノジフェニルメタン、3,5−ビス(メチルチオ)−2,4−トルエンジアミン、3,5−ビス(メチルチオ)−2,6−トルエンジアミン、メチレンジアニリン/塩化ナトリウム錯体、1,2−ビス(2−アミノフェニルチオ)エタン、トリメチレングリコール−ジ−p−アミノベンゼン等の芳香族ポリアミンが挙げられる。
前記鎖伸長剤は、有機ポリイソシアネートと反応させる方法としては、特に限定がなく、イソシアネート末端プレポリマーを生成するときに配合し反応させることもできるし、成形時に架橋剤として配合し、有機ポリイソシアネートと反応させることもできる。
本発明の熱硬化性ポリウレタンエラストマー組成物には、前記成分以外にも熱硬化性ポリウレタンエラストマーのブリード、ブルーム、アウトガスに影響を与えない範囲で触媒、消泡剤、難燃剤、可塑剤、充填剤、着色剤、耐候安定剤、耐光安定剤及び酸化防止剤等の物質がいずれも使用可能である。
本発明の熱硬化性ポリウレタンエラストマー用組成物を用いて熱硬化性ポリウレタンエラストマーを製造するには、プレポリマー法、セミプレポリマー法及びワンショット法の何れも用いることができる。
プレポリマー法としては、例えば(1)有機ポリイソシアネート(A)、ポリオール(B)、及び必要に応じ鎖伸長剤をあらかじめ反応させて得たイソシアネート末端プレポリマーを主剤とし、脂肪族ポリアミンまたは芳香族ポリアミンを架橋剤として混合・注型する方法;(2)有機ポリイソシアネート(A)、ポリオール(B)、及び必要に応じ鎖伸長剤をあらかじめ反応させて得たイソシアネート末端プレポリマーを主剤とし、低分子量グリコールを架橋剤として混合・注型する方法が挙げられる。また、セミプレポリマー法としては、例えば(3)有機ポリイソシアネート(A)、ポリオール(B)、及び必要に応じ鎖伸長剤をあらかじめ反応させて得たイソシアネート末端プレポリマーを主剤とし、ポリオール(B)と低分子量グリコールをプレミックスした液を架橋剤として混合・注型する方法が挙げられる。さらに、ワンショット法としては、例えば(4)有機ポリイソシアネート(A)、ポリオール(B)、及び必要に応じ鎖伸長剤をそれぞれ一括混合して注型する方法が挙げられる。
(1)〜(4)のいずれの方法においても、1分子中に3個以上のイソシアネート基を有する成分か、または1分子中に3個以上の活性水素基を有する成分を含んでいることが好ましい。さらに、上記熱硬化性ポリウレタンエラストマー用組成物は、前記(1)の場合、前記主剤のイソシアネート基と前記架橋剤のアミノ基とを、イソシアネート基のモル数/アミノ基のモル数が0.8〜1.3(モル比)の範囲で配合し、また前記(2)〜(4)の場合、イソシアネート成分とポリオール成分、さらに必要に応じて任意に添加される成分を、イソシアネート基のモル数/水酸基のモル数が0.5〜1.2(モル比)の範囲で配合し、高速攪拌で混合・注型すれば好適に熱硬化性ポリウレタンエラストマーを製造することができる。
このとき、混合・注型には通常用いられるエラストマー注型機、低圧成形機、射出成形機等を使用することができる。
また、成形方法は、エラストマー成形機より吐出した混合発泡液をモールドにオープン注入するモールド成形方法、成形機の吐出口に直結したモールドに混合発泡液を直接射出するインジェクション成形方法等が挙げられ、モールドの形状に応じて任意の形状に熱硬化性ポリウレタンエラストマーを成形することができる。
以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、本文中の「部」は重量基準であるものとする。次に実施例において使用した各原料を示す。
<ポリエステルポリオールの合成>
(合成例1)
2L4ッ口フラスコに1,4−ブチレングリコール489部、アジピン酸704部、クチナーゼ[クリプトコッカス エスピー エスー2(Cryptococcus sp S−2:FERM P−15155)に由来するもの]を10部仕込み、さらに水1.2部を加えて、窒素導入管より窒素ブローしながら40℃で反応させた。72時間反応させた後、減圧脱水し、酸価が0.8、水酸基価が56のポリエステルポリオールを得た。以後このポリエステルポリオールをポリオール1という。
(合成例2)
2L4ッ口フラスコに1,4−ブチレングリコール489部、アジピン酸704部、Novozyme435(リパーゼ、Candida antarcticaに由来するもの、ノボザイムス社製、商品名)を10部仕込み、窒素導入管より窒素ブローしながら40℃で反応させた。72時間反応させた後、減圧脱水し、酸価が0.7、水酸基価が56のポリエステルポリオールを得た。以後このポリエステルポリオールをポリオール2という。
(合成例3)
2L4ッ口フラスコに1,4−ブチレングリコール489部、アジピン酸704部、テトラブチルチタネートを0.04部仕込み、窒素導入管より窒素ブローしながら220℃で反応させた。20時間反応させた後、酸価が0.9、水酸基価が56のポリエステルポリオールを得た。以後このポリエステルポリオールをポリオール3という。
<イソシアネート末端プレポリマーの合成>
(合成例4)
2L4ッ口フラスコにポリオール1を1000部、2,4−トリレンジイソシアネートを236部仕込み、窒素導入管より窒素パージしながら80℃で5時間反応させた。一旦、60℃に降温後、1,4−ブチレングリコールを34部加え、再び80℃で5時間反応し、イソシアネート当量が935のイソシアネート末端プレポリマーを得た。以後このイソシアネート末端プレポリマーをプレポリマー1という。
(合成例5)
合成例4のポリオール1の代わりにポリオール2を用い、合成例4と同様の方法でイソシアネート当量が935のイソシアネート末端プレポリマーを得た。以後このイソシアネート末端プレポリマーをプレポリマー2という。
(合成例6)
合成例4のポリオール1の代わりにポリオール3を用い、合成例4と同様の方法でイソシアネート当量が935のイソシアネート末端プレポリマーを得た。以後このイソシアネート末端プレポリマーをプレポリマー3という。
前記方法にて合成したポリオール1、2及び3について環状エステルオリゴマー含有量、及び分子量分布を測定した結果を表1に示す。また、各項目の測定方法を以下に説明する。
<環状エステルオリゴマー含有量の測定>
前記合成例で得られたポリエステルポリオールを内標液に溶解して、試料溶液を作製した。この試料溶液を無水酢酸でアセチル化処理し、溶液Aを得た。溶液Aを下記条件にてガスクロマトグラフィー(機種:GC−9A、島津製作所製)で測定し、ガスクロマトグラフのピーク面積より、環状エステルオリゴマー含有量を算出した。なお前記アセチル化処理は同分子量の環状エステルオリゴマーと直鎖状エステルオリゴマーのピークを分離する目的で行った。
(GC測定条件)
カラム :SE−30、1.1m
カラム温度 :13→330℃、昇温速度15℃/分
注入口温度 :280℃
検出器温度 :290℃
検出器 :FID
キャリアーガス:He 35mL/分
燃焼ガス :Air 50kPa、H 59kPa
<ポリエステルポリオールの分子量分布の測定>
前記合成例で得られたポリエステルポリオールを試料として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(機種:GPC−8220、島津製作所製)にてポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定した。Mw/Mnを算出することにより、分子量分布を評価した。
Figure 2005225949
表1より、加水分解酵素の存在下、多価アルコールと多価カルボン酸を反応させて得たポリオール1及び2は、金属触媒の存在下、多価アルコールと多価カルボン酸を反応させて得たポリオール3よりも、環状エステル含有量が少なく、分子量分布も狭いことがわかる。
<プレポリマー法による成形>
実施例1、2、比較例1
合成例4〜6で得たイソシアネート末端プレポリマーをA液、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジアミノジフェニルメタン(MBOCA)をB液とし、A液とB液を別々のタンク内でそれぞれ80℃(A液)、120℃(B液)に温調した。温調したA液及びB液をエラストマー成形機のヘッド内でアミノ基のモル数/イソシアネート基のモル数の比が0.9となるように設定して混合攪拌し、混合液を所定の形状の金型に注入した。型温120℃で2時間、一次硬化させ、さらに110℃で16時間、熟成させ、熱硬化性ポリウレタン成形物を作製した。
<ワンショット法による成形>
実施例3、4及び比較例2
合成例1〜3で得たポリエステルポリオールをA液、ミリオネートMR−200(ポリメリックMDI、粗製ジフェニルメタンジイソシアネート、日本ポリウレタン工業製、商品名)をB液とし、A液とB液を別々のタンク内でそれぞれ80℃(A液)、25℃(B液)に温調した。温調したA液及びB液をエラストマー成形機のヘッド内でイソシアネート基のモル数/水酸基のモル数の比が1.05となるように設定して混合攪拌し、混合液を所定の形状の金型に注入した。型温120℃で2時間、一次硬化させ、さらに110℃で16時間、熟成させ、熱硬化性ポリウレタン成形物を作製した。
前記の熱硬化性ポリウレタン成形物を試料として、アウトガス量、硬度、及び反撥弾性を測定した。各項目の試験方法を以下に説明する。
<アウトガス量の測定>
DIN 75201 試験法Bに準じ、125mm×50mm×1mmの試料を所定密閉定容器内にて120℃で6時間加熱処理を行った。天板に付着したアウトガス成分を試験前後の重量変化で追跡し、単位重量当たりのアウトガス発生量を算出した。
<硬度、反撥弾性の測定>
前記試料について、JIS K 7312に準じて測定した。
実施例1、2及び比較例1について前記項目について測定した結果を表2に示す。表2より、プレポリマー法により成形した本発明の熱硬化性ポリウレタンエラストマーは通常の熱硬化性ポリウレタンエラストマーよりもアウトガス発生量が少なく、反撥弾性に優れていることがわかる。
Figure 2005225949
実施例3、4及び比較例2について前記項目について測定した結果を表3に示す。表3より、ワンショット法により成形した本発明の熱硬化性ポリウレタンエラストマーは通常の熱硬化性ポリウレタンエラストマーよりもアウトガス発生量が少なく、反撥弾性に優れていることがわかる。
Figure 2005225949

Claims (5)

  1. 有機ポリイソシアネート(A)及びポリオール(B)を含有してなる熱硬化性ポリウレタンエラストマー用組成物において、前記ポリオール(B)が、少なくとも1種の加水分解酵素の存在下、多価アルコールと多価カルボン酸とを反応させてなるポリエステルポリオールを含むことを特徴とする熱硬化性ポリウレタンエラストマー用組成物。
  2. 前記ポリエステルポリオールが、ポリオール(B)成分中、50重量%以上である請求項1記載の熱硬化性ポリウレタンエラストマー用組成物。
  3. 前記加水分解酵素がクチナーゼ及びリパーゼからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1又は2記載の熱硬化性ポリウレタンエラストマー用組成物。
  4. 前記加水分解酵素がクチナーゼである請求項3記載の熱硬化性ポリウレタンエラストマー用組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の熱硬化性ポリウレタンエラストマー用組成物を反応させ、成形してなる熱硬化性ポリウレタンエラストマー。
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