JP2005225563A - 衛生用紙入りカートン - Google Patents

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Abstract

【課題】 開封時の外観および手触りがよく、またティシュのクロス取りの取出しが容易で、角部に引っ掛かって破れるという問題を解決するのと同時に、使用中に箱の中にティシュペーパーが落下せずにティシュペーパー一組一組ずつをポップアップ方式で継続してスムーズに取出すことができるフィルムレスカートンを提供する。
【解決手段】 箱の上下少なくとも一方の面に箱内に収納した紙の取出口形成のために、その取出口形状に沿って切込線が形成され、かつ該取出口を有する面の内側にその取出口を被覆するフィルムが配置されていない衛生用紙入りカートンにおいて、該取出口を形成する切取部は、中間部の帯状切取部と長手方向両端部の端部切取部からなり、かつ前記上下少なくとも一方の面における対角線方向に傾斜して形成されている。
また前記取出口を形成する切取部は、その中央部分が括れた形状に形成され、両端部側は前記中央部よりも広がった形状に形成されていることを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、主にティシュペーパー等の衛生用紙を収納したカートンに関するものである。更に詳しく述べると、紙箱の上下少なくとも一方の面に、衛生用紙を取出すための紙の取出口(開口部)を設けると共に箱の内面に取出口を被覆する窓貼りフィルムの貼りつけを必要としない所謂フィルムレスティシュカートンの取出口の構造に関する。
特に本発明は、使用時の操作性と安全性に配慮して、取出口を形成する切取部の形状を手先で扱い易く、優しい印象をもつフォルムとし、また箱内部に積層されて収納されている紙の最初の1枚目を取出口から取出し易くし、また、2枚目以後の紙も取出口から外部に引出すときに、縦方向に一直線状に取出したり、斜め方向にクロスさせて引出すことを想定して、その場合にも取出し易い取出口の構造に関するものである。
なお、本発明でいう「衛生用紙」とは、ティシュペーパー(顔ふき紙、化粧紙などと呼ばれるもの)、ちり紙、ペーパータオル(キッチンペーパーなど)、トイレットペーパー(ロールを除く)、ワッティング(紙綿)などの使い捨て紙を総称する概念である。
家庭やオフィス等で広く使われているティシュペーパーを収納したカートンは、略直方体の収納箱の一面(通常は箱の上面)に、ティシュペーパーを取出すための取出口を設けた構造である。使用者は、箱の一面(通常は箱の上面)に設けられているほぼ楕円形状のミシン目状切込線に沿って切取片を切り離して、取出口(開口部)を細長く開く。この取出口の内面には、通常、取出口を被覆するポリエチレンフィルム等のフィルムが貼着され、フィルムの中央部には直線状のスリットが設けられている(例えば、特許文献1参照。)。
このようなカートンにおいては、内容物であるティシュペーパーはフィルムのスリットを通して外部へ引出される。カートン内部のティシュペーパーは、通例2枚一組として、一組一組が継続して箱から取出せるように交互に折り重ねられて収納され、スリットからティシュペーパー1組が引出されたときに、次のティシュペーパー1組が箱の内部からスリットに保持される位置まで引出されるように、所謂ポップアップ方式で折り畳まれている。
箱の内面に貼着した前記フィルムは、外部の塵や異物に対して内容物を保護し、また、ティシュペーパーを外部に取出す際に、フィルムのスリット間での摩擦により所謂ポップアップしたティシュペーパーが箱の内部に落ち込むことを防ぎ、ティシュペーパーを所定位置に保持する役割を果たしている。
これに対し、ポリエチレン等のプラスチックフィルムの材料コストおよび同フィルムを箱に貼りつける工程を省く目的で、取出口内面にフィルムを貼着しない構造の所謂「フィルムレスティシュカートン」が既に提案されている。すなわち、ティシュペーパーの箱の取出口にフィルムを貼着しないで、取出口を観音開き状に開口可能したティシュペーパー包装箱が知られている(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照。)。
また、前例と同様な「フィルムレスティシュカートン」において、箱の長手方向に細長く、ほぼひし形に形成した取出口の長手方向両端部を特定な角度形状に開口させることで、取出し中のティシュペーパーを取出口の両端部で保持できるようにして、箱内部への落ち込みをなくしたティシュペーパー入りカートンが知られている(例えば、特許文献5参照)。
更に、取出口の形状をひし形に限定しないで、取出口の両端縁にスリットを形成してティシュペーパーを挟むようにしたカートンも知られている(例えば、特許文献6参照)。
近年、環境問題の一つである廃棄物の処理に関して、特に容器包装廃棄物について、消費者の分別排出、自治体の分別収集、事業者のリサイクル責任を明確にした「容器リサイクル法」が1997年から本格施行され、循環型経済社会の構築に向けた動きが加速している。こうした動きの中で、ティシュペーパー、キッチンペーパーなどの衛生用紙の使用済みカートンを廃棄するとき、取出口に貼着したプラスチックフィルムをカートン本体からひき剥がし、分別して廃棄しなければならないため、廃棄時に手間がかかってしまうという新たな問題が発生している。
そのため例えば、非特許文献1で知られている「フィルムレスティシュカートン」や、特許文献7で知られているティシュペーパー包装箱は、カートンを古紙として回収し、リサイクルするとき、紙とプラスチックとに分別する手間を省き、そのまま押しつぶすだけでリサイクル処理にまわすことができる利点により消費者の注目を集めている。
実公昭41−6464号公報 実開昭57−167080号公報 特開平9−150871号公報 実開平4−80878号公報 実開平6−72883号公報 特開平9−30573号公報 実開昭63−144492号公報 王子製紙広報誌「森の響」、王子製紙広報室、2003年6月20日発行、夏号、P25-26
しかしながら前記特許文献2〜6の場合、取出口両端部の形状が直線状であったり、フラップ端部の形状が角張っていたりすることにより、ティシュペーパーを外部に取出す際に、ティシュペーパーが取出口の角部等に引っかかりやすく、上方に引き上げたときに破れたり、ティシュペーパー一組一組ずつがポップアップ方式で継続してスムーズに取出すことができないという問題がある。また、取出しの際にティシュペーパーが箱とこすれて発生する音が意外に大きく、気になるといった問題もあった。
ティシュペーパーの紙力は、収納箱内に保持されているティシュペーパーを引出す方向での紙力が問題であるが、紙力はティシュペーパーの他の品質要件との関連もあり、その変更は容易ではない。また、ティシュペーパー取出口の大きさは、大きい方が破れにくいが、大きすぎるとポップアップしたティシュペーパーを取出口の所定位置に保持しにくくなり、箱の中に落ちやすくなるという問題が発生する。
一方、特許文献5に示すカートンは、略ひし形状をした取出口の長手方向両端部の開口角度を60度から170度に設定したものであるが、その開口角度が60度未満のものではティシュペーパーを取出す際に角部に引っ掛かって破れたり取出しにくくなる一方、170度を超えると把持機能が低下して、ティシュペーパーが箱の中に落下しやすいなどの問題があった。
また、特許文献6のカートンの場合はスリットの入り口が狭いので、ティシュペーパーが取出し易いと言えないと共に、スリット部の形状が滑らかな形状でないので、ティシュペーパーが角部に引っ掛かるという問題があった。
前述した問題を改善する試みとして、本出願人は、非特許文献1により「フィルムレスボックス」を開示している。この「フィルムレスボックス」は、ジッパー形式の切取部で形成する紙の取出口と、その取出口の前後両側に紙を保持する一対のフラップを設けた構造である。この「フィルムレスボックス」は前記取出口を形成する切取部の左右両端部のフォルムを円弧状の曲線により構成することで、箱内のティシュペーパーを外に引出す際に、切取部の角などに引っ掛かって破れるのを防ぎ、また使用中に箱の中にティシュペーパーが落下せずにティシュペーパー一組一組ずつをポップアップ方式で継続してスムーズに取出すことができるようにしたものである。しかしながら、紙の取出口を形成する切取部の形状は幅が細い帯状であるため、ジッパーを開封操作する際に摘み上げにくく、開封しにくかった。また開封時、幅の狭い切取部で手が擦れて傷つくおそれがある。さらに、取出口にゆとりがないので箱内部に積層されて収納されている紙の一枚目を取出口から取出し難く、さらに、2枚目以後の紙も取出口から外部に引出すときに、使用者の利き手の方向や、紙を斜めの方向に引出す場合は、フラップ部分が損傷したり、フラップに紙がひっかかることがあるなど不都合な点があった。
そこで本発明は、上記問題を解決し開封が容易で、開封後の最初の一枚目、および2枚目以後のティシュペーパーの取出しも容易な衛生用紙のカートンを提供するものであり、角部に引っ掛かって破れるという問題を解決するのと同時に、使用中に箱の中にティシュペーパーが落下せずにティシュペーパー一組一組ずつをポップアップ方式で継続してスムーズに取出すことができ、取出す紙と取出口の摩擦力を大きくして、残り枚数が減ったときにも、ポップアップしている紙が箱の内部に落下しにくくさせ、さらにカートン使用後の廃棄時に、紙とプラスチックとに分別する手間が省けるフィルムレスティシュカートンを提供するものである。
上記の課題を解決するために本発明の第1は、略直方体形状の箱の上下少なくとも一方の面に、取出口を形成するための切込線が配置され、該取出口を有する面の内側にその取出口を被覆するフィルムが配置されていない衛生用紙入りカートンにおいて、
該取出口を形成するために、少なくとも、切込線によって囲まれた細長い切取部が配置され、該切取部は、該取出口を有する面の長辺方向の基準線に対し、傾斜角度θだけ傾いて配置されていることを特徴とする衛生用紙入りカートンである。
本発明の第2は、前記切取部の中心線Y1が前記長辺方向となす傾斜角度θは、前記取出口を有する面の長辺と、前記取出口を有する面の対角線y−yがなす角度Yを最大角とする範囲内であること(Y≧θ>0)を特徴とする第1の発明に記載の衛生用紙入りカートンである。
本発明の第3は、略直方体形状の箱の上下少なくとも一方の面に、取出口を形成するための切込線が配置され、該取出口を有する面の内側にその取出口を被覆するフィルムが配置されていない衛生用紙入りカートンにおいて、
該取出口を形成する切取部は、中間部の帯状切取部と長手方向両端部の端部切取部からなり、
前記中間部の帯状切取部においては、その中央部分が括れた形状に形成され、両端部側は前記中央部よりも広がった形状に形成され、
前記長手方向両端部の端部切取部においては、前記帯状切取部と一体に形成されながらその帯状切取部よりも広幅に形成され、
また、前記取出口を形成する切取部を挟んだ両側に、箱の長手方向に沿って外側に向かって膨らんだ曲線状の折れ線によって構成される第1ヒンジ部を形成して、前記切込線と前記ヒンジ部を構成する曲線状の折れ線とによって囲まれた横長の一対の第1フラップ部が形成され
さらに、前記切取部の長手方向両端部の外側に、箱の短手方向に沿う折れ線によって構成される第2ヒンジ部を形成して、前記端部切取部に接する舌片状の第2フラップ部が形成され、
ていることを特徴とする第1又は2の発明に記載の衛生用紙入りカートンである。
本発明の第4は、前記帯状切取部は中央部ほど幅の狭い形状であることを特徴とする第3発明に記載の衛生用紙入りカートンである。
本発明の第5は、前記帯状切取部を形成するための切込線は、2本または2組の切込線からなることを特徴とする第1発明から第4発明の何れかに記載の衛生用紙入りカートンである。
本発明の第6は、前記端部切取部の外縁を構成する端部切込線は、波形状をした滑らかな切込線として形成され、この波形の切込線により該端部切取部には双丘形の摘み部が形成されることを特徴とする第3発明又は第5発明の何れかに記載の衛生用紙入りカートンである。
本発明の第7は、前記帯状切取部と端部切取部は折れ線により区分されていることを特徴とする第3発明から第6発明の何れかに記載の衛生用紙入りカートンである。
本発明の第8は、前記帯状切取部とその両端部に位置する端部切取部は、切込線によって分離できるように構成され、かつ前記帯状切取部の長手方向両端部に食い込むように、端部切取部に連結された指先押込部が相対向して対となるように形成されていることを特徴とする第3発明から第7発明の何れかに記載の衛生用紙入りカートンである。
本発明の第9は、前記帯状切取部とその両端部に位置する端部切取部を分割する切込線は、円弧状切込み線と、その円弧状切込み線の両端基部に連なる直線状切込線で形成されていることを特徴とする第8発明に記載の衛生用紙入りカートンである。
本発明の第10は、前記帯状切取部を切取った後に、前記ほぼ扇形をした円弧状切込み線と第1フラップ部との間に、衛生用紙を挟み込むための保持部が形成されることを特徴とする第9発明に記載の衛生用紙入りカートンである。
本発明の第11は、前記一対の第1フラップ部の両側に設けられた曲線状の折れ線は、その端部の折れ線が中央部の折れ線より太く、浅い型押し筋で形成されたものであることを特徴とする第2発明から第10発明の何れかに記載の衛生用紙入りカートンである。
本発明のティシュペーパー、キッチンペーパーなどの衛生用紙を収納したカートンは、取出口を形成する細長い切取部は、カートン内に収容されている紙に折畳み線の方向に対して該取出口を有する面の対角線方向に傾斜して配置されているから、ポップアップしている紙と取出し口の摩擦力を大きくなり、そのために、残り枚数が減ったときも、ポップアップしている紙が箱の内部に落下しにくくさせる効果がある。
また、取出口を形成する切取部は、衛生用紙取出し口を有する面の対角線方向に傾斜して形成されているから、その取出口の形態のユニークさが使用者に独特の印象を与えることになり、心理的にも消費者の購買意欲を高める効果を発揮する。
さらに、前記のように切取部は、カートンの上面または下面の対角線方向に傾斜して形成されている(すなわち取出口を形成する切取部の中心線の傾斜角度θは、取出口を有する面の長辺(または長辺方向の中心線)と、前記取出口を有する面における対角線がなす角度Yを最大角とする範囲内であることにより、カートンの側面と切取部との間に手で持つことができる幅広の空間を確保できるので持ちやすい。
さらにまた、使用者がカートンからティシュペーパーを取出すときの動線を考えてみると、カートンが水平面に置かれていても、立てた状態に置かれていても、使用者の手の動きは、ティシュペーパーの取出位置からその使用者の手前に向かって斜め上向きに動くことが多いものである。そのため、ティシュペーパーを箱から引出す方向は、前記取出口の中心軸とクロスする方向であるので、ティシュペーパーが引き出し易い。
前記のように切取部がカートンの上面または下面の対角線がなす角度方向に傾斜して形成されていることにより、従来のものよりも取出口の長手方向の開口寸法を大きく設定することが可能となり使いやすい。
第2形態の紙の取出口を形成する切取部を、中間部と長手方向両端部とに区分し、前記中間部においては、中央部分は括れた形状に形成され、両端部側は前記中央部よりも広がった形状に形成され、前記長手方向両端部においては、前記中間部と一体に形成されながらその中間部よりも幅広に形成することにより、紙の取出口を形成する切取部の形状を、独特の形状に仕上げることにより開口部の見た目が優美でやわらかな印象となり、審美的に優れている。
また、取出口を形成する切取部は、長手方向両端部を双丘形に幅広くすることにより、取出口を開封する際に、両端部が摘み易く、開封が容易である。さらに、開封後に衛生用紙の最初の一枚を取出すのも幅の広い取出口端部に、指を容易に差し入れることができ、確実に最初の一枚を摘み上げることができ、さらに取出口で手を擦って傷つけるおそれがない。さらにまた取出口を左右および前後に対称な形状に形成しているため、平面置き、立て置きなどいろいろな置き方に対応し、使用者の利き手に左右されずに、また老若人を問わず誰にでも使いやすい工夫がなされている。
取出口は、フィルムを配置しなくても、前記取出口を有する面の対角線方向に傾斜して形成されていると共に、取出口中間部が括れ、かつ取出口中間部に向かって両側から弧状に張り出した横長で一対の第1フラップ部にペーパーが挟まれながら取出されるので、取出し途中のペーパーが箱の中に落下することがなく、取出しが容易である。また、前記一対の第1フラップ部の挟み込み作用により、ペーパーが1枚または1組毎に取出され易いので、重なって必要以上に取出されることも防止できる。
また、前記取出口の長手方向両端部は、波形状をした滑らかな切込線として形成されているためティシュペーパー等の取出しに際して、ティシュペーパーが取出口の両端部に引っかかって破れることがない。特に箱入りのティシュペーパーの場合、一般にインターフォルドという折り方で交互に折り畳んで積層収納されているため、ティシュペーパーの取出される方向が交互に変化するものであるが、ティシュペーパーの折り畳み方向の変化に対応して振り分けがなされて、ティシュペーパーの取出し方向の移動がスムーズに行われることになり、紙の破れや引っ掛かりの防止に優れている。また、こうした作用によりティシュペーパー取出しの際に箱とティシュペーパー間の摩擦が軽減され、ティシュペーパーの取出しの音は発生しにくく、静かに取出すことができる。
また、取出口における中央開口部の幅を狭くすることで、ペーパーを取出さないときには、塵や異物も侵入し難い構造である。
本発明は、カートンを開封する際に、使用者それぞれのニーズに合わせて、例えば図11または図12に示すように、ティシュペーパー取出口を形成する切取部の開口面積を大きくも小さくも調節できる。
さらに、取出口の内側にフィルムを配置しなくてもよいので、廃棄時に紙製カートンとフィルムの分別作業が必要なくなり、環境にやさしい製品である。さらに、フィルムを無くすことにより材料費の節約に留まらず、フィルムの貼付作業を含むカートンの製造工程が短縮でき、省エネルギ、省資源を達成できる。
次に本発明の実施形態に基づいて、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は、ティシュペーパー、キッチンペーパーなどの衛生用紙を収納する略直方体形状のカートンであり、少なくとも箱上面に紙の取出口を有している。この発明において、カートンに収納される衛生用紙は、ティシュペーパー(顔ふき紙、化粧紙などとも称する)、ちり紙、ペーパータオル(キッチンタオル、キッチンシート、あくとりシートと呼ばれる主にキッチンで使用されるペーパーを含んでいる)、トイレットペーパー(但しロールを除く)、ワッティング(紙綿)、などの使い捨て紙である(紙パルプ技術便覧第5版、第459頁参照、1992年1月30日発行、紙パルプ技術協会編集・発行)。本発明においては、これらの使い捨て紙の総称として、衛生用紙と言う語句を用いている。一般に、「ティシュペーパー」と言う語句は、顔ふき紙、トイレットペーパーなどの使い捨て紙全般を指す語句として用いる場合も多いが、狭義では、通常ドライクレープを有し、主に顔拭き用として用いるフェイシャルティシュペーパーに限定して用いており、本明細書では後者を採用した。また、「ペーパータオル」は、ふきん、タオルの代用品としてパルプ繊維を主原料として製造されるペーパーであり、この内、主にキッチンにおいて使用されるものをキッチンペーパーと称している。
本発明におけるカートンは、木材パルプ、古紙などを原料とする厚紙などの紙材料を主体に製造した収納箱であって、主にティシュペーパー、ペーパータオル、等の衛生用紙を収納した収納箱であり、箱の内面に取出口を被覆するスリットを有する窓貼りフィルムを設けない、所謂フィルムレスティシュカートンの取出口の構造に特徴がある。
更に詳しく述べると、略直方体形状のカートンの上下少なくとも一方の面(通常は上面)に、衛生用紙を取出すために、切取線によって囲まれた細長い切取部(開口部)を設ける。該切取部は、取出口を有する面における長辺方向を基準として(傾斜角θ=0)、この方向に対して傾斜角θだけ傾斜して配置されている。切取部の傾斜角度θを具体的に述べると、前記取出口を有する面の長辺と平行な線X1と、前記取出口を有する面の前記対角線y−yがなす角度Yを最大角とする範囲内であること(Y≧θ>0)が好ましい。
なお、該切取部は切取部の長手方向の中心線に対し左右対称形であることが好ましく、この場合、切取部の傾斜角度θは切取部の中心線の傾斜角度を指すことになる。
図1のカートンは、前述したように、箱の上下少なくとも一方の面(矩形の面)の一方の対角線方向に傾斜している。またこのカートンは、中央がくびれ、また箱の長手方向両端に向かって広がった「蝶ネクタイ」形状あるいはボーン形状(中央部が細く端部が丸く膨らんだ骨の形状)の取出口を有し、該取出口を有する面の内側にフィルムが配置されていない衛生用紙入りカートンであって、取出口用の切取部形成のため、箱の長手方向に伸びる切込線11および、該切込線11の両端に連続する端部切込線12を設けている。前記取出口を形成する両切込線11、12により囲まれてほぼ蝶ネクタイ形の切取部(開口用切取部)13を形成するとともに、前記切取部13の外側に、箱長手方向に伸びかつ箱の外側に向かって膨らんだ曲線状の折れ線16によって構成された第1ヒンジ部を形成している。これにより、前記切込線11とヒンジ部を構成する曲線状折れ線16で囲まれた横長の一対の第1フラップ部17が形成されている。
また、前記切取部の長手方向両端部の外側に箱の短手方向に沿って外側に向かって膨らんだ曲線状の折れ線18によって構成される舌片状の第2ヒンジ部を形成して、前記端部切込線12と曲線状折れ線18とに囲まれた第2フラップ部19,19を形成する。切込線11の外側の折れ線16および端部切込線外側の折れ線18は通常の罫線で形成することもできる。
また、開口用切取部13の両端付近に折れ線15を設けて該切取部13を中央部の帯状切取部24と両端の端部切取部14とに区分けし、端部切取部14を切り取りのための摘み部とし、開封の際には帯状切取部24と端部切取部(摘み部)14とは箱上面から一体として切取られるように構成する。開封の際に、開口用切取部13の摘み部として使われる端部摘み部14は摘み上げやすいように広幅で双丘形に形成している。
箱の中央長手方向に伸びる切込線11は、直線状の切れ目(スリット)で形成されていても、部分的につながりを有するミシン目状の切れ目でもよく、包装業界で「ジッパー」と呼称されている切れ目が鉤形に屈曲した開封用破断線(包装産業の周知・慣用技術集第281頁参照、昭和53年12月20日特許庁発行)、あるいは、2重線のミシン目でもよい。
また前記切込線11は、取出口形成のための切取部の幅方向に所定間隔をおいて平行でも湾曲してもよい。例えば、図1に示すように、中央部分が括れ、該中央部から両端に向かって漸増するように湾曲した切込線により形成することができる。
一方、端部切込線12は、波形状の曲線により構成され、例えば図1に示すように、連続する滑らかな波形状の曲線により形成されている。この切込線はミシン目状切込線またはジッパーでもよいが、切断面をなめらかにする為、連続した切れ目または、切れ目の寸法より短いつなぎ部(接続部)を有する不連続の切れ目とすることが好ましい。
取出口10からカートンに収納された衛生用紙を取出すときには、取出口の端部に形成されたいずれか一方の第2フラップ部19を指で押圧し、これを箱内側に押し込んでから、そこから繋がっている波形状の双丘形の摘み部14を破断し、その開口した部分から指を入れて、双丘形の摘み部14を摘み上げて、双丘形の摘み部および双丘形の摘み部と一体に形成された切取部13を箱上面から切り取り、開封する。開封後は、取出口の幅の広い端部から指を入れ、最上部の1枚目の衛生用紙をつまんで上方に引出す。衛生用紙を引出す際の力に応じて、前記一対の第1フラップ部17は、箱の外側に膨らんだ曲線状の折れ線16に沿って、斜め上方に向かって傾斜して立ち上がりながら衛生用紙が引出される。そして、これに続く次の衛生用紙が引出されると、開口した部分から立ち上がる第1フラップ部17および取出口両端に突き出した舌片状の第2フラップ部19は、衛生用紙を弾力的に挟み込んで保持する働きもする。また、衛生用紙が取出される際、第2フラップ部19は衛生用紙の引き出し方向が交互に変わるのをスムーズにガイドするガイド片としても機能する。
なお、前記のように一対の第2フラップ部19のヒンジを構成する折れ線18は、カートン上面の長辺側に(箱の外側に)向かって膨らんだ曲線状、好ましくは円弧状とすることにより、該フラップ部には斜め上方に開いた時に閉じ傾向の力(折り曲げ前の状態に戻ろうとする力)が働く。このために、取出中の衛生用紙を一対の第2フラップ部19で弾力的に挟んで開口部の所定位置に保持する力が働くと共に、衛生用紙を開口部から上に向かって立てるように押さえて挟持し、中身の衛生用紙が少なくなっても、衛生用紙がカートン内へ落下することが防止できる。衛生用紙を取出さない時には、第2フラップ部が折り曲げ前の状態に戻ろうとして蓋の役割をはたし、外部の塵や異物の侵入を防止する働きをする。
このようにフラップに閉じ傾向の力が働き、衛生用紙を保持したり、蓋の役割をはたす作用効果は第1フラップ部についても同様である。
尚、前述のように箱内に積層した衛生用紙は1組ずつ互い違いに折り込まれているため、引出すときには引き出し方向が交互に入れ替わる。従って、取出口の両端部には、滑らかな波形曲線で構成された半円形状の外縁をもった第2フラップ部19が形成されている。この半円形状に突き出した第2フラップ部19は、衛生用紙の引き出し方向が交互に入れ替わるのを振り分ける作用があり、また、第2フラップ部を含む取出口端部と第1フラップ端縁によって取出し中の衛生用紙を保持する挟み部として機能する。
前記開口用切取部13を構成する切込線の間隔は、狭すぎると開口用切取部の切り取りが難しくなり、また広すぎると塵や異物がカートンの中に入り易くなり好ましくない。従って、切取部13の中央部の最も狭い部分でその間隔は5〜25mm、好ましくは15〜18mm、切取部13の両端の最も広い部分でその間隔は20〜50mm程度であり、より好ましくは、その両端部分は少なくとも指2本分程度の幅に形成するのがよい。
本発明のカートンは、少なくとも上面に取出口10を有しているが、さらに、この上面と対向する下面に一対の底上げ部材23を形成してもよい。このように下面に底上げ部材を設けることで、残りの衛生用紙が少なくなってきた時、底上げ部材をカートンの内側に略90度折り曲げて、内部の衛生用紙を上面側に押し上げることにより衛生用紙の最後の1枚まで安定してポップアップでき、衛生用紙が取出し易くなる。
また、上面に本発明の取出口を配置したカートンを側面を下にして垂直に立てて使用するとき、カートンの内側に底上げ部材を折り曲げて使用すると、箱の中の衛生用紙の束がその重みで湾曲したり、下方にずれ下がるのを防止できるために、衛生用紙の取出し性の低下を防ぎ、特に狭い場所において使用するのに便利である。
なお図1の実施例における取出口の形状は、ほぼ「蝶ネクタイ」に似た形状としたが、必ずしもこのような形状のものに限られるものではなく、このほかにも図14に示すように、従来と同じ取出口10を形成する切取部形状のものや、図15のように、カートン上面の中央部に帯状切取部13が平行な2本のミシン目からなる切込線11と波形状をした端部切込線12とにかこまれて形成されているものなどの、種々の取出口形状のものに適用することが可能である。
次に、図面を用いて本発明をさらに説明するが、本発明はこの例に限定されるものではない。図1〜図3は本発明を実施する形態の一例であって、図中、同一の符号を付した部分は同一物を表わし、基本的な箱の構成は従来のもの(ティシュペーパーカートン)と同様である。
図1は箱の上面に、曲線からなるティシュペーパー取出口を設けた本発明のカートンの一例を示す展開図である。図2は図1のカートン上面の取出口の開封状況を示す斜視図である。また、図3はティシュペーパーを取出すときの使用状態の断面図であり、カートンの下面に設けた底上げ部材を内側に折り曲げている使用状態の一例を示すものである。
図1に示すように本発明のカートンは、厚紙を所要の展開形状に打ち抜いて折れ線や切込線を入れたカートンブランクを形成し、このブランクを折れ線を介して直方体形状に組み立て使用する。このカートンは、箱上面における一つの長辺を基準とした場合、上面の対角線方向に、一例として8度から12度の傾きを有するティシュペーパー取出口10を設けたものであり、下面には箱内のティシュペーパーが残り少なくなったときに取出しやすいように、また、ティシュぺーパーの落ち込みを防ぐために、底上げするためのプッシュアップ片を設けた例である。図1において、符号1と2は矩形の上面板と下面板であり、両者は対称的に形成されている。3と4は同じく長方形の一対の側面板であり、また5は下面板の一方の側縁に連接した糊代片を示している。上面板1と下面板2は、側面板3と4よりも幅広に形成されている。ティシュペーパー取出口10は、上面板に形成されている。符号6と7に示すのは上面板1と下面板2と両端縁に連接した端面板であり、8と9は側面板3と4の両端縁に連接した内フラップである。なお、端面板6と7は、カートン製造時に、前記内フラップ8と9の上に折り重ねて筒状の箱本体の両端面を封緘するものである。端面板6と7の寸法は、製箱時に筒状本体の両端面を封緘するときに、端面板の先端部を互いに重ね合せて固着しうる寸法に形成されている。
次にティシュペーパー取出口の構成を図1の実施例について説明する。図1に示したティシュペーパー取出口10は、上面板1における長辺に平行な線X1を基準線として、この線に対してθだけ傾斜して配置されているとともに、前記取出口を有する面の長辺と平行な線X1と、前記取出口を有する面の前記対角線y−yがなす角度Y(本例の場合は約25度)を最大角とする範囲内で、任意の角度θに傾けた状態で細長く設けられている。すなわちこの取出口10は、上面板中央に、上面板の長辺から角度θだけ傾いた方向に、所定の間隔を置いた2本のミシン目状の開封用切込線11、11と、切込線11、11の両端部をそれぞれ連結する波形状の端部切込線12、12とによって囲まれて形成される。そして、この取出口10を形成する開口用切取部13には、切込線11、11により囲まれ帯状切取部24が形成され、また帯状切取部24の両端に摘み部用折れ線15を設け、前記端部切込線12と摘み部用折れ線15により囲まれた双丘形摘み部(端部切取部)14が形成される。帯状切取部24と双丘形の摘み部14とは一体に形成されて開口用切取部13を構成し、上面板1から切離して取出口10を開口する。
図1の切込線11は内側に湾曲した曲線状の切込線の例である。したがって、帯状切取部24の幅は中央部分が狭く、両端部に向かって漸増する。さらに、帯状切取部24に連接する双丘形の摘み部14は、開封時に指で摘むのに十分に幅が広く、摘み上げやすくなっている。また、波形状の端部切込線12はつなぎ部(接続部)を有する不連続の切込線で構成されている。
前記開口用切取部13の両側には、箱の長手方向に伸び、かつ箱の外側に向かってわずかに膨らんだ曲線状折れ線16によって構成されたヒンジ部を形成している。
そして、前記切込線11および端部切込線12によって開口する取出口10の開口端縁と、曲線状折れ線16とによって囲まれた横長の第1フラップ部17が、取出口10の対向する長辺側に一対になって、中央に突き出すように形成される。
また、波形状の端部切込線12の外側には、外側に向かって膨らんだ曲線状の折れ線18を配置して、端部切込線12と折れ線18とにより囲まれた舌片状の第2フラップ部19を形成している。
切込線11と端部切込線12とにより形成される開口用切取部13は中央程狭幅の形状で、切込み線全体は連続した滑らかな曲線状をなしており、取出口10両端部の波形状曲線部と、第1フラップ部17端縁の曲線部により、カートンから取出すティシュペーパー等の衛生用紙を挟み、滑らかに取出しできると共に、カートン内部への紙の落下を防止することができる。特に、箱入りのティシュペーパーのように、インターフォルダーと呼ばれている加工機で交互に折り畳んで収納されている場合は、取り出し時に、取出されるティシュペーパーの取出し方向が交互に変化するため(図3参照)、フラップ端部の挟み部も交互に入れ替わることになるが、上述したように、取出口端部が連続した滑らかな波形状により形成されているため、この挟み部間をティシュペーパーがスムーズに移動することができ、紙の破れや引っ掛かりの防止に優れている。
また、ヒンジ部を構成する曲線状折れ線16の端部が破断すると、ティシュペーパーが引出される時に、引っ掛かりスムーズに引き出しができなくなったり、ティシュペーパーが破れたりするといった問題を引き起こす。ヒンジ部となる曲線状折れ線16端部の破断を回避するために、曲線状折れ線16端の部分には、箱の長辺側に向かって湾曲した小さな略円弧状切込線20を形成することができる。この小さな略円弧状の形状は、例えば曲率半径が数mmであってもよく、円弧でなく円弧に近い曲線でも構わない。また、円形、楕円形等に打ち抜いてもよい。
また、図1に示すカートンの場合、下面板2に底上げ部材用のU字形または逆U字形の切込線21を設け、その切込み線の両端を結ぶようにヒンジ部となる折れ線22を設け、切込線21と折れ線22により囲まれた一対の底上げ部材23、23を形成する。この底上げ部材は、半円状の切込線21により形成された底上げ部材23が左右に分離され、それぞれ折れ線22をヒンジ部として折り曲げ可能に形成されている。左右対称に形成された底上げ部材23はワンプッシュで左右同時に箱の内側に折り曲げることができる。
因みに、図1に示すカートンの場合、長手方向の寸法は、一例として242mmであり、短手方向の寸法は116mmであり、高さは、50mmである。また、取出口10の長手方向の寸法は140mmに形成されている。また、取出口10の開口用切取部13を構成する2本のミシン目の切込線11と11の間隔は、中央の一番幅の狭い部分で18mmに形成されている。取出口10端部では、指を入れてティシュペーパーを容易に取出しうる程度の大きさとするのが良い。また、取出口のヒンジ部を構成する曲線状折れ線16が円弧状の場合の曲率半径が小さすぎると閉止力が大きくなりすぎ、逆に大きすぎると閉止力が小さくなりすぎる。又、このヒンジ部は円弧でなく円弧に近い曲線でもよく、適切な閉止力が得られればよい。
本発明のカートンにおいては、図2、図3に示すように箱の内部に収納されたティシュペーパーPを取出すため取出口を開封するときに、左右いずれか一方の第2フラップ部19を折れ線18より押し下げて、端部切込線12の下に指を入れて双丘形摘み部15を摘み上げ、双丘形摘み部15とともに一連の開口用切取部13を切り取り、開口する。開口した取出口10の幅の広い端部から最上部のティシュペーパーを摘んで上方に引出すと、一対の第1フラップ部17、17は外側に膨らんだ曲線状の折れ線16に沿って斜め上方に向かって折り曲がり可能であり弾力的に傾斜する。
さらにこれに続く次のティシュペーパーが、開口した部分から引出され、前記一対の第1フラップ部17の対向辺間と、第1フラップ部17の端縁と第2フラップ部19を含む開口端部とに弾力的に挟み込まれて保持される。また、取出口10に引出されるティシュペーパーは、取出口10を斜めに横切るように、対向する第1フラップ部17、17の両縁および、取出口端部の右下と左上のように斜めで向き合う端部に保持されるように引出すこともできる。
また、前記一対の第1フラップ部17、17は、ヒンジとなる折れ線16をカートン上面の長辺側の外側に向かって膨らんだ円弧状とすることにより、斜め上方に開いた時に閉じ傾向(折り曲げ前の状態に戻ろうとする力)が働く。このために、取出中のティシュペーパーを一対の第1フラップ部17と第2フラップ部19で弾力的に挟んで開口部の所定位置に保持する力が働くと共に、中身のティシュペーパーが少なくなっても、ティシュペーパーがカートン内部へ落下するのを防止する。ティシュペーパーを取出さない時には、フラップ部が折り曲げ前の状態に戻ろうとしてカートンの蓋の役割をはたし、外部の塵や異物の侵入を防止する。
なお、箱内のティシュペーパーの残量が少なくなったときには、図3に示すように、下面板2に設けた一対の底上げ部材23を箱の内側に折り曲げて使用することができる。すなわち、下面板2の切込線21を破断し、折れ線22をヒンジ部として底上げ部材23をカートンの内側に略90度折り曲げるもので、それぞれの底上げ部材23、23を順に折り曲げる。折り曲げられた底上げ部材23、23により、内部のティシュペーパーを上面側に押し上げる。これにより上面の取出口10からティシュペーパーの最後の1枚まで安定してポップアップさせることができる。
本発明の取出口10に設ける切込線11の図1とは異なる例を図4に示す。図4はミシン目状の切込線が2重線で構成されている2組の切込線を設けた例である。図4は、実質的に同一寸法の2本の平行なミシン目からなる2重線(ダブルミシン目線)が1組の切込線として構成されている例であって、上記した2重線(ダブルミシン目線)として構成されている1組の切込線が、開口用切取部13の両側にそれぞれ配設されている例を示す上面板の平面図である。長短異なる寸法の切込部を有する2本のミシン目を平行に配置し、かつそれぞれのミシン目の切込部を千鳥状に配置した例を示しており、長い切込部を有するミシン目がカートンの内側に位置し、短い切込部を有するミシン目がカートンの外側に位置するように配置されている。開口用切取部13の両側に、このような切込部の寸法の異なる2種類のミシン目を千鳥状に配置すると、開口用切取部を指で摘んで切取るとき、ミシン目に沿って凹凸状の切り口が形成されるため見栄えがよく、開口用切取部の縁が毛羽立ったり、ささくれ立ったりすることがなく、不均一なギザギザの切断面にならない。また、開口用切取部を切取るとき小さな力で簡単に裂開できるので開け易く、切り裂き時の音も小さくできる。
さらに本発明のカートンを、古紙を主体とする多層抄き白板紙で製造したときも、前記のとおり開口用切取部の縁を比較的なめらかに綺麗に切取ることができるので、印刷や色彩を施した周囲の紙の上層部を薄く剥がし取ること無く切取ることができる(紙層剥離が防止できる)。なお図示省略したが、切込線は、直線状でなければならない必要性はなく、波刃により波形に設けてもよい。さらにこの切込線はマイクロ刃と呼ばれる通常のミシン目より細かい切れ目でもよく、これらはすべて本発明の切込線として用いることができる。
図5は、図1、図4とは別の例を示し、上面板1に設けられた取出口10を形成する第1フラップ部17の外側の曲線状折れ線16の両端を太く浅い型押し筋で形成した例を示す平面図である。
切込線11により開設される取出口10において、第1フラップ部17のヒンジ部を構成する曲線状折れ線16端部は、衛生用紙を箱から取出す作業を繰り返し行う間に破断しやすい部分である。この部分の破断を回避するために図1の実施例に示すような略円弧状切込線20を設ける代わりに、図5に示すように、曲線状折れ線16の端部を太くしている。曲線状折れ線16の中央部を構成する通常の折れ線は、カートンのブランクの紙厚全体に折筋を刻設している。曲線状折れ線16の端部に施される折筋は、ブランクの紙厚の半分程度の深さの折筋を刻設した、浅い折筋で、さらに中央部分の折れ筋の3本分の幅の折筋を刻設している。通常の折筋の3本分の幅の折筋を設けることで3倍の太さに形成されている。このように衛生用紙の取出しを繰り返し、第1フラップ部17が曲折することで破断しやすかった曲線状折れ線16の端部を、浅く、かつ太い折れ線とすることで、強化し、破断を回避することができるようにした。
図6、図7は本発明のカートンの底上げ部材の変形例である。また、これらは、図1の底上げ部材と形状が異なるもので、切込線21により囲まれ、折れ線22をヒンジ部(支点)として下面板2に折り曲げ可能に形成されている。底上げ部材23は、図6が左右対称形状の楕円形状の一例であり、図7は先端中央に凹みが形成された曲線により構成された一例で、底上げ部材の形状はここに図示したものに限定されず、曲線、折れ線などいろいろな形状のものが使用可能である。
図8は、図1、図4とはティシュペーパー取出口形状が異なる別の実施例を示すものであるが、蝶ネクタイ形状の切取部13の他の例を示す平面図である。
中央長手方向に伸びる2本または2組の切込線11は、中央の部分が箱幅方向に所定間隔をおいて平行で、その一端部から箱長手方向両端部に向かってその幅が漸増するような斜めに広がった形状に設けられている。平行な切込線と斜めに広がった切込線とが中央部付近で接続するように構成され、斜めに広がった切込線の端部には波形状の端部切込線12が設けられている。
切込線11により囲まれて開口用切取部13が形成され、その開口用切取部13の両端付近には折れ線15を設け、端部切込線12により囲まれた双丘形摘み部(端部切取部)14を形成している。すなわち開口用切取部13は、その中央部の帯状切取部24と、両端部に一体に形成された双丘形摘み部14から形成され、これを上面板1から切り取り、取出口10が開口する。取出口10は蝶ネクタイ形に似た形状に形成されている。
また、切込線11、11の外側には、上面板1の長辺の端縁に向かって膨らんだ曲線状の折れ線16によって構成された第1ヒンジ部を形成し、曲線状の折れ線16と切込線11とによって囲まれた略台形で横長の第1フラップ部17が一対形成される。また双丘形の摘み部14の外側にも、上面板1の短辺に平行な折れ線18を設け、端部切込線12と折れ線18とにより囲まれた舌片状の第2フラップ部19が形成される。
図8に示す取出口10は、開封の手順や衛生用紙を取出す際の第1フラップ部17、第2フラップ部19の作用などは、図1に示したものと同様である。
またこの実施例でもカートンのティシュペーパー取出口10は上面板の中央付近に配置され、取出口の形状は左右前後対称の形状に形成される。従って使用者は、利き手に左右されずに使用できる。また使用時のカートンの置き方も、横置き、縦置き何れも使用可能で、狭い場所において使用することができる。また、収納されたティシュペーパーの残りが少なくなったときにも、中身のティシュペーパーの取出性が低下しない。
図9は、本発明のテッシュペーパー取出口部の別例を示す要部拡大図である。
この実施例に示す衛生用紙入りカートンは、テッシュペーパー取出口10を形成する切取部13が、中間の帯状切取部24とその両端部に位置する端部切取部14とにより区分されて構成されていることは先に説明した実施例と同じである。相違点は、両切取部分14と24が、つなぎ(接続部)を有する不連続の切込線25と26とによって分割分離できるように構成されている点である。
すなわち、本例に示すカートンは、中間の帯状切取部と、両端部に位置する端部切取部の何れか一方又は双方に対する使用者のニーズに合わせた切取除去が行えるようにして、取出口10の開口面積を調節可能にしたものである。具体的に説明すると、取出口10を切取除去しようとするときカートンの使用者が小さい取出口が欲しいときは、使用者が端部切取部14を除去しなければ、箱の中にゴミが入りにくくなり、またカートンの使用者が大きな取出口が欲しいときは、使用者がさらに端部切取部14を除去すれば取出口の開口面積が大きくなるから、テッシュペーパーの取り出がしやすくなるのである。
また、本例に示したカートンは、中間に位置する帯状切取部24の長手方向両端部に、取出口を開封する際に必要な、指先押込部27、27を帯状切取部24の両端に相対向して対となるように形成させたものである。この指先押込部27、27は、指先孔28を形成するため円弧状切込線25、25が帯状切取部の長手方向両端部に食い込んで互いに向き合うように設けられている。また、前記円弧状切込線25の両端基部に連なる直線状切込線26,26を設けることで、中間の帯状切取部24と、その両端部に位置する端部切取部14が分離分割できるように構成されている。そして、前記円弧状切込み線25、25と第1フラップ部17との間に、ティシュペーパーの端部を挟み込むための保持部29が形成されている。
尚、ここでいう「円弧状切込線」とは、図9に示した180度円弧状切込線のみならず、図示省略した90度円弧状切込線、及び90度以下の鋭角を含む円弧状切込線を含む概念である。
上記の構成において、上記取出口10を切取除去するときは、円弧状切込線25、25で囲まれた前記指先押込部27、27の一方に対し指先を押圧して開被した後、その指先を指先孔28に引っ掛けた状態のまま裏側に滑り込ませて中間の帯状切取部24を引き上げる。さらに図10に示されるようにその帯状切取部を切込み線11に沿って端の方から上方に引き上げて帯状切取部24を除去する。このとき千切れやすい帯状切取部24は、切込線11の方向に裂開するので、小さい力で裂開でききるとともに、帯状切取部24を切取った際に周囲の紙を剥がして外観を損なうこともない。
次に、取出口の開口面積の調節方法を説明する。図11(A)は、テッシュペーパー取出口を形成する切取部において、中間の帯状切取部を除去し、両端部に位置する端部切取部を両方とも残した状態を示した状況を示す図である。図11(B)は、テッシュペーパー取出口を形成する切取部において、中間の帯状切取部と、両端部に位置する端部切取部の一方を除去し、他方を残した状況を示す図である。
また、図12(A)はテッシュペーパー取出口を形成する切取部を全面開封した状況を示す図である。図12(B)は、テッシュペーパー取出口を形成する切取部において、両端部に位置する端部切取部を除去し、中間の帯状切取部を残した状態を示した状況を示す図である。
図中、斜線を施した区域は、開封個所を示している。このように、カートンを開封する際に、使用者それぞれのニーズに合わせて、図11(A〜B)または図12(A〜B)に示したように、ティシュペーパー取出口を形成する切取部の開口面積を大きくも小さくも調節できるという効果がある。
また、上記構成において、図11(A)に示すように、指先押込部27、27を端部切取部14と連結した状態でその内側に対向するように残存させたときは、この残存する指先押込部27、27の形状は円弧状に形成されているから、箱内から最初のティシュペーパーを取出口10から上方に向けて引出すときは、ティシュペーパーを取出す際に指先押込部27はティシュペーパーのガイドとして機能する。すなわちティシュペーパーは、指先押込部27の円弧状部に沿って緩やかに絞り込まれて引っ掛かることなくスムーズに取出される。
さらに上記引出されたティシュペーパーに追随してカートンから引きだされた次のティシュペーパーの端部が、円弧状の指先押込部27に沿って緩やかに絞りこまれて保持部29に入り込み、その保持部29はティシュペーパーの端部を挟み込んで立てた状態に保持する。したがって、ティシュペーパーの取出し性が一層良好となるのである。
本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、帯状切取部や端部切取部の裏面に、くじ、或いは占いなどを適宜印刷しておけば、帯状切取部や端部切取部を切取る楽しさを味わえる。また、点数や景品引き換え券を印刷しておけば、点数を集める楽しみ、プレゼントをもらえる楽しみを提供できる。
また本実施例(例えば図1参照)の下面板2に設けた左右一対の底上げ部材23を箱の内側に押込んだとき、前記左右一対の底上げ部材23の支点となる折れ線22、22の部分に力が働いて前記支点部分は若干外側に反ることとなる。その反った面をテーブル等において使用すると、独楽のように箱を回転させることができるため、使用後も子供の遊具として使用できる楽しみがある。
また、第1フラップ部のヒンジを構成する曲線状折れ線16は、必要とされる応力の程度に応じて通常の折り筋線のほか、ミシン目で構成することもでき、さらに折り筋線とミシン目が交互に繰り返すように構成させる等の手段により、第1フラップ部17の開閉を容易にするものであってもよい。
さらに図9の例では、両切取部14と24が、切込線25と26とによって分割分離できるように構成して、指先押込部27を端部切取部14に一体となるように設けたが、図13(A)または(B)に示したように、帯状切取部と端部切取部の境界部の直線状切取り線を折れ線15に代え、指先押込部27により開口部を形成してから、帯状切取部24と端部切取部14の全体を切取るようにすることもできる。
また、カートンを開封する際に、切取部13が破断したり切取部の周辺部に切れ目が生じたりしないようにするためには、カートンの材質を考慮する必要がある。本発明におけるカートンは、木材パルプ、古紙などを原料とする厚紙により製造することが好ましく、この場合、JISP8116−2000に規定する引裂強度が、縦方向2500〜2900mN、横方向3000〜3400mNの範囲であることが好ましい。引裂強度が低すぎると破断し易く、必要以上に引裂強度があると開口しにくくなったりするため、好ましくない。
尚、従来の衛生用紙入りカートンにおいては、JISP8116−2000に規定する引裂強度が、縦方向2300mN程度、横方向2800mN程度の厚紙が使用されており、本発明においては、取出口の構造上、従来より強度アップした厚紙を使用することが好ましいと言える。
また、本発明のフィルムレスカートンは、以下の点において、従来提案されている他のフィルムレスカートンより優れ、従来のフィルム付きカートンと同様の効果が得られることが確認できた。すなわち本発明のフィルムレスカートンは、手指を痛めることなく、容易に開封ができ、箱内部に積層されて収納されている紙の一組目を取出口から取出し易く、また、2組目以後の紙も取出口から外部に引出すときに、縦方向に一直線状に取出したり、斜め方向にクロスさせて引出すことが可能であるから、使用者は利き手に左右されずに使用できる。また、カートンの取出口においてティシュの触れる部分が少なく、かつ開口部形状が滑らかなので、ティシュを一組ずつ取出す際に、
(1)ティシュを取出す際の音が、従来のフィルム付きカートンとほぼ同程度に小さい。
(2)ティシュを取出す際の紙紛の発生が少ない。
等の効果もある。
箱上面に、ティシュペーパー取出口を設けた本発明のカートンブランクの一例を示す展開図である。 カートン上面の取出口を開封するときの状態の一例を示す斜視図である。 箱下面に設けた底上げ部材を箱内側に折り曲げて使用している状態を示す断面図である。 本発明のカートンのティシュペーパー取出口の中間部を形成する切込線が2重線の切込線で形成されている例を示す箱上面の平面図である。 第1フラップ部の両側に設けられた折れ線を、太く、浅い型押し筋で形成した部分拡大平面図である。 箱下面に形成される底上げ部材の変形例を示す下面板の平面図である。 図6とはまた別の底上げ部材の変形例を示す下面板の平面図である。 テッシュペーパー取出口部の他の例を示す平面図である。 テッシュペーパー取出口部の別例を示す要部拡大図である。 同上取出口部の開封状況を示す斜視図である。 (A)は中間の帯状切取部を除去し、両端部に位置する端部切取部を両方とも残した状況を示す平面図、また(B)は中間の帯状切取部と端部切取部の一方を除去した例を示す平面図である。 (A)は帯状切取部と、端部切取部の両方とも除去した状況を示す平面図、また(B)は中間の帯状切取部を残し、両端部に位置する端部切取部を除去した状況を示す平面図である。 (A)〜(B)は指先押込部の変形例を示す平面図である。 取出口を傾斜させた本発明の他の変形例を示す平面図である。 図14と同様に本発明の他の変形例を示す平面図である。
符号の説明
1 上面板
2 下面板
3、4 側面板
5 糊代片
6、7 端面板
8、9 内フラップ
10 取出口
11 切込線
12 端部切込線
13 切取部(開口用切取部)
14 端部切取部(摘み部)
15 折れ線
16 曲線状折れ線
17 第1フラップ部
18 折れ線
19 第2フラップ部
20 略円弧状切込線
21 切込線
22 折れ線
23 底上げ部材
24 帯状切取部
25 ほぼ扇形をした円弧状切込線
26 直線状切込線
27 指先押込部
28 指先孔
29 保持部

Claims (11)

  1. 略直方体形状の箱の上下少なくとも一方の面に、取出口を形成するための切込線が配置され、該取出口を有する面の内側にその取出口を被覆するフィルムが配置されていない衛生用紙入りカートンにおいて、
    該取出口を形成するために、少なくとも、切込線によって囲まれた細長い切取部が配置され、該切取部は、該取出口を有する面の長辺方向の基準線に対し、傾斜角度θだけ傾いて配置されていることを特徴とする衛生用紙入りカートン。
  2. 前記切取部の中心線Y1が前記長辺方向となす傾斜角度θは、前記取出口を有する面の長辺と、前記取出口を有する面の対角線y−yがなす角度Yを最大角とする範囲内であること(Y≧θ>0)を特徴とする請求項1に記載の衛生用紙入りカートン。
  3. 略直方体形状の箱の上下少なくとも一方の面に、取出口を形成するための切込線が配置され、該取出口を有する面の内側にその取出口を被覆するフィルムが配置されていない衛生用紙入りカートンにおいて、
    該取出口を形成する切取部は、中間部の帯状切取部と長手方向両端部の端部切取部からなり、
    前記中間部の帯状切取部においては、その中央部分が括れた形状に形成され、両端部側は前記中央部よりも広がった形状に形成され、
    前記長手方向両端部の端部切取部においては、前記帯状切取部と一体に形成されながらその帯状切取部よりも広幅に形成され、
    また、前記取出口を形成する切取部を挟んだ両側に、箱の長手方向に沿って外側に向かって膨らんだ曲線状の折れ線によって構成される第1ヒンジ部を形成して、前記切込線と前記ヒンジ部を構成する曲線状の折れ線とによって囲まれた横長の一対の第1フラップ部が形成され
    さらに、前記切取部の長手方向両端部の外側に、箱の短手方向に沿う折れ線によって構成される第2ヒンジ部を形成して、前記端部切取部に接する舌片状の第2フラップ部が形成され、
    ていることを特徴とする請求項1又は2に記載の衛生用紙入りカートン。
  4. 前記帯状切取部は、中央部ほど幅の狭い形状であることを特徴とする請求項3に記載の衛生用紙入りカートン。
  5. 前記帯状切取部を形成するための切込線は、2本または2組の切込線からなることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の衛生用紙入りカートン。
  6. 前記端部切取部の外縁を構成する端部切込線は、波形状をした滑らかな切込線として形成され、この波形の切込線により該端部切取部には双丘形の摘み部が形成されることを特徴とする請求項3又は5に記載の衛生用紙入りカートン。
  7. 前記帯状切取部と端部切取部は折れ線により区分されていることを特徴とする請求項3〜6の何れか1項に記載の衛生用紙入りカートン。
  8. 前記帯状切取部とその両端部に位置する端部切取部は、切込線によって分離できるように構成され、かつ前記帯状切取部の長手方向両端部に食い込むように、端部切取部に連結された指先押込部が相対向して対となるように形成されていることを特徴とする請求項3〜7の何れか1項に記載の衛生用紙入りカートン。
  9. 前記帯状切取部とその両端部に位置する端部切取部を分離する切込線は、ほぼ円弧状切込み線と、その円弧状切込み線の両端基部に連なる直線状切込線で形成されていることを特徴とする請求項8に記載の衛生用紙入りカートン。
  10. 前記帯状切取部を切取った後に、前記円弧状切込み線と第1フラップ部との間に、衛生用紙を挟み込むための保持部が形成されることを特徴とする請求項9に記載の衛生用紙入りカートン。
  11. 前記一対の第1フラップ部の両側に設けられた曲線状の折れ線は、その端部の折れ線が中央部の折れ線より太く、浅い型押し筋で形成されたものであることを特徴とする請求項2〜10の何れか1項に記載の衛生用紙入りカートン。
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