JP2005225215A - インクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】インクを循環する静電式のインクジェット記録装置において、循環系に存在するインクの濃度を適正に所定濃度に保つことができ、従って、所定濃度のインクによる安定したインク液滴の吐出が可能であり、高画質な画像を安定して記録できる記録装置を提供する。
【解決手段】前記循環手段による循環経路の途中に配置されて前記インクを貯留するサブタンクが、底面の水平部分の面積が総底面積の50%以下であり、かつ最低位置に排出口を有することにより、前記課題を解決する。
【選択図】図3

Description

本発明は、静電式のインクジェット記録装置の技術分野に関するものであり、詳しくは、安定した濃度のインクで画像記録を行うことができる静電式のインクジェット記録装置に関する。
インクに静電力を作用させてインク液滴を吐出する静電式のインクジェット記録方式の1つとして、色材を含み、かつ、荷電した微粒子成分(以下、色材粒子とする)を絶縁性のキャリア液(分散媒)に分散してなるインクを用い、画像データに応じてインクジェットヘッドの吐出電極に電圧(駆動電圧)を印加してインクに静電力を作用させることにより、インクの吐出を制御して、オンデマンドで記録媒体に画像を記録する方式が知られている。
色材粒子を有するインクを用いる静電式のインクジェット記録では、例えば、記録媒体にバイアス電圧を帯電させた上でインクジェットヘッドに対面させた状態で、インクの各吐出部に対応して形成された吐出電極に駆動電圧を印加することにより、吐出部(および吐出部近傍)のインクに静電力をインクに作用させる。
この静電力の作用により、色材粒子が泳動して吐出部に集まり(すなわち、吐出部でインクを濃縮し)、かつ、駆動電圧の印加開始からの時間経過に応じて、インクのメニスカスが成長して円柱状のテーラーコーンと呼ばれる状態となり、さらにメニスカスが成長して細長い柱状の曳糸と呼ばれる状態となって、この曳糸が分断することにより、インク液滴として吐出される。
このような静電式のインクジェットにおいて、各吐出部にインクを供給する方法の一例として、インクを貯留するタンクからインクジェットヘッドにインクを供給し、インクジェットヘッド内において各吐出部と連通する所定のインク流路にインクを流し、吐出されずにインク流路を通過したインクをインクジェットから前記タンクに戻す、所定の循環経路でインクを循環する方法が例示される。
例えば、特許文献1には、図9に示されるように、色材粒子を有するインクを静電式のインクジェットヘッド200(以下、記録ヘッド200とする)から吐出して、記録媒体Pに画像を記録するインクジェット記録装置において、インクを貯留するタンク202からポンプ204によってタンク206にインクを供給し、タンク206から水頭圧をかけつつ重力落下で記録ヘッド200にインクを供給すると共に、記録ヘッド200から吐出されなかったインクをタンク202に戻す循環系を有するインクジェット記録装置が開示されている。また、このインクジェット記録装置は、劣化したインクを廃棄するタンク210、および新規(未使用)インクを貯留するタンク214を有する。
また、このインクジェット記録装置では、循環しているインクの劣化状態を検出し、その結果に応じて、ポンプ204を停止してタンク206のインクを全てタンク202に回収し、次いで、バルブ208を開いて劣化したインクをタンク210にインクを廃棄し、タンク202が空になったら、バルブ212を開いてタンク214から新規インクをタンク202に供給して、再度、循環を行う。
特開平10−244690号公報
ここで、このような静電式のインクジェット記録装置におけるインクの循環系では、ポンプ204による送液量、すなわちインクの循環系における循環量は、ヘッド200に供給することができるインク流量に制限される。
そのため、インクの循環量が少ない場合には、タンク206において色材粒子の一部が沈降して堆積してしまい、その結果、タンク206から記録ヘッド200に供給されるインクの濃度(インク中の色材粒子の量)が低下する等、循環系内において、インクの濃度が不均一となってしまう。
インクの濃度が低くなれば、たとえ濃縮を行っても吐出するインク液滴の濃度が低くなる。その結果、画像の濃度低下やニジミ等による画質低下を生じてしまい、目的とする画質の画像を記録できなくなる。さらに、インク濃度が吐出限界濃度を下回ると、インク液滴の吐出すなわち画像記録ができなくなってしまう。
また、静電式のインクジェットにおいては、インクの濃縮および吐出は、色材粒子の荷電にも大きく依存するので、インク濃度の変動は、インク濃縮およびインク液滴吐出の不安定化を招き、これによっても画質が低下してしまう。
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決することにあり、色材粒子(色材を有し、かつ荷電した微粒子)を絶縁性の分散媒に分散してなるインクを用いる静電式のインクジェット記録装置において、インクジェットヘッドにインクを供給するために循環されるインクの濃度(インク中における色材粒子量)を安定して所定濃度に維持することができ、これにより、所定濃度のインクによる安定したインクの濃縮やインク液滴の吐出を可能として、高画質な画像を安定して記録することができるインクジェット記録装置を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明は、少なくとも色材を有し、かつ、荷電した粒子を分散媒に分散してなるインクに静電力を作用させて、前記インクの液滴を吐出するインクジェットヘッドと、前記インクを貯留するメインタンクと、前記メインタンクからインクジェットヘッドを経てメインタンクに戻る経路を含む所定経路で前記インクを循環するインクの循環手段と前記循環手段による循環経路の途中に配置されて前記インクを貯留する、底面の水平部分の面積が総底面積の50%以下であり、かつ最低位置に排出口を有する、少なくとも1つのサブタンクとを有することを特徴とするインクジェット記録装置を提供する。
このような本発明のインクジェット記録装置において、前記サブタンクは、底面に水平部分を有さないのが好ましく、また、前記サブタンクの1つが、水頭圧を生じさせつつ前記インクジェットヘッドにインクを供給する供給サブタンクであり、かつ、この供給サブタンクはオーバーフロー機能によって前記水頭圧を一定圧に保ち、さらに、前記循環手段は、供給サブタンクをオーバーフローしたインクを、インクジェットヘッドを介さずに前記メインタンクに戻すのが好ましく、また、前記サブタンクの1つが、前記インクジェットヘッドよりも下方に配置され、インクジェットヘッドに供給され吐出されなかったインクを回収し、インクを前記メインタンクに戻す回収サブタンクであるのが好ましく、さらに、前記粒子の濃度が規定値よりも高い高濃度インクおよび前記分散媒の少なくとも一方を前記メインタンクに補充する、インク補充手段を有するのが好ましい。
さらに、前記メインタンクから前記インクジェットヘッドまでの循環経路の途中に異物除去手段を有することが好ましい。
上記構成を有する本発明によれば、色材を有し、かつ荷電した微粒子を絶縁性の分散媒に分散してなるインクを用い、このインクを所定の経路で循環させることによってインクジェットヘッド(その各吐出部)にインクを供給する静電式のインクジェット記録装置において、例えば、水頭圧を生じさせつつインクジェット記録ヘッドにインクを供給する供給サブタンクなどのサブタンク内で、前記微粒子が沈降して堆積することや、微粒子同士が滞留して結合すること等を防止でき、従って、循環系内におけるインク濃度の不均一や、インクジェットヘッドでの吐出口(孔)の詰まり等を生じることなく、循環系全域に適正濃度のインクを循環することができる。
そのため、本発明のインクジェット記録装置は、所定濃度のインクによる安定したインク液滴の吐出が可能であり、高画質な画像を安定して記録することができる。
以下、本発明のインクジェット記録装置について、添付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説明する。
まず、本発明の静電式のインクジェット記録で用いるインクについて説明する。
本発明のインクジェット記録装置は、静電式のインクジェット記録を行うものであり、色材を含み、かつ荷電を有する微粒子成分(以下、色材粒子とする)を、絶縁性のキャリア液(分散媒)に分散してなるインクを用い、このインクに、後述するように、吐出電極への駆動電圧の印加、あるいはさらに記録媒体Pに帯電させたバイアス電圧による静電力を作用させて、この静電力の作用によりインクを濃縮してインク液滴を吐出する。
キャリア液は、高い電気抵抗率(109Ω・cm以上、好ましくは1010Ω・cm以上)を有する誘電性の液体(非水溶媒)であるのが好ましい。キャリア液の電気抵抗が低いと、制御電極に印加される駆動電圧により、キャリア液自身が電荷注入を受けて帯電してしまい、色材粒子の濃縮がおこらない。また、電気抵抗の低いキャリア液は、隣接する制御電極間での電気的導通を生じさせる懸念もあるため、本発明には不向きである。
キャリア液として用いられる誘電性液体の比誘電率は、5以下が好ましく、より好ましくは4以下、さらに好ましくは3.5以下である。このような比誘電率の範囲とすることによって、キャリア液中の色材粒子に有効に電界が作用し、泳動が起こりやすくなる。
なお、このようなキャリア液の固有電気抵抗の上限値は1016Ωcm程度であるのが望ましく、比誘電率の下限値は1.9程度であるのが望ましい。キャリア液の電気抵抗が上記範囲であるのが望ましい理由は、電気抵抗が低くなると、低電界下でのインクの吐出が悪くなるからであり、比誘電率が上記範囲であるのが望ましい理由は、誘電率が高くなると溶媒の分極により電界が緩和され、これにより形成されたドットの色が薄くなったり、滲みを生じたりするからである。
キャリア液として用いられる誘電性液体としては、好ましくは直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、または芳香族炭化水素、および、これらの炭化水素のハロゲン置換体がある。例えば、へキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、アイソパーC、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM(アイソパー:エクソン社の商品名)、シェルゾール70、シェルゾール71(シェルゾール:シェルオイル社の商品名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(アムスコ:スピリッツ社の商品名)、シリコーンオイル(例えば、信越シリコーン社製KF−96L)等を単独あるいは混合して用いることができる。
このようなキャリア液に分散される色材粒子は、色材自身を色材粒子としてキャリア液中に分散させてもよいが、好ましくは、定着性を向上させるための分散樹脂粒子を含有させる。分散樹脂粒子を含有させる場合、顔料などは分散樹脂粒子の樹脂材料で被覆して樹脂被覆粒子とする方法などが一般的であり、染料などは分散樹脂粒子を着色して着色粒子とする方法などが一般的である。
色材としては、従来からインクジェットインク組成物、印刷用(油性)インキ組成物、あるいは静電写真用液体現像剤に用いられている顔料および染料であればどれでも使用可能である。
色材として用いる顔料としては、無機顔料、有機顔料を問わず、印刷の技術分野で一般に用いられているものを使用することができる。具体的には、例えば、カーボンブラック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムイエロー、カドミウムイエロー、チタンイエロー、酸化クロム、ビリジアン、コバルトグリーン、ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、ぺリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料、等の従来公知の顔料を特に限定なく用いることができる。
色材として用いる染料としては、アゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノンイミン染料、キサンテン染料、アニリン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ペンゾキノン染料、ナフトキノン染料、フタロシアニン染料、金属フタロシアニン染料、等の油溶性染料が好ましく例示される。
さらに、分散樹脂粒子としては、例えば、ロジン類、ロジン変性フェノール樹脂、アルキッド樹脂、(メタ)アクリル系ポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニールアルコールのアセタール変性物、ポリカーボネート等を挙げられる。
これらのうち、粒子形成の容易さの観点から、重量平均分子量が2,000〜1000,000の範囲内であり、かつ多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が、1.0〜5.0の範囲内であるポリマーが好ましい。さらに、前記定着の容易さの観点から、軟化点、ガラス転移点または、融点のいずれか1つが40〜120℃の範囲内にあるポリマーが好ましい。
このようなインクにおいて、インクの濃度(インク中における色材粒子の含有量(色材粒子あるいはさらに分散樹脂粒子の合計含有量))は、インク全体に対して0.5〜30重量%の範囲が好ましく、より好ましくは1.5〜25重量%、さらに好ましくは3〜20重量%の範囲であることが望ましい。色材粒子の含有量が少なくなると、印刷画像濃度が不足したり、インクQと記録媒体P表面との親和性が得られ難くなって強固な画像が得られなくなったりするなどの問題が生じ易くなり、一方、含有量が多くなると均−な分散液が得られにくくなったり、インクジェットヘッド10等でのインクQの目詰まりが生じやすく、安定なインク吐出が得られにくいなどの問題が生じるからである。
また、キャリア液に分散された色材粒子の平均粒径は、0.1〜5μmが好ましく、より好ましくは0.2〜1.5μmであり、更に好ましくは0.4〜1.0μmである。この粒径はCAPA−500(堀場製作所(株)製商品名)により求めたものである。
色材粒子をキャリア液に分散させた後(必要に応じて、分散剤を使用しても可)、荷電制御剤をキャリア液に添加することにより色材粒子を荷電して、荷電した色材粒子をキャリア液に分散してなるインクとする。なお、色材粒子の分散時には、必要に応じて、分散媒を添加してもよい。
荷電制御剤は、一例として、電子写真液体現像剤に用いられている各種のものが利用可能である。また、「最近の電子写真現像システムとトナー材料の開発・実用化」139〜148頁、電子写真学会編「電子写真技術の基礎と応用」497〜505頁(コロナ社、1988年刊)、原崎勇次「電子写真」16(No.2)、44頁(1977年)等に記載の各種の荷電制御剤も利用可能である。
なお、色材粒子は、制御電極に印加される駆動電圧と同極性であれば、正電荷および負電荷のいずれに荷電したものであってもよい。
また、色材粒子の荷電量は、好ましくは5〜200μC/g、より好ましくは10〜150μC/g、さらに好ましくは15〜100μC/gの範囲である。
また、荷電制御剤の添加によって誘電性溶媒の電気抵抗が変化することもあるため、下記に定義する分配率Pを、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上とする。
P=100×(σ1−σ2)/σ1
ここで、σ1は、インクの電気伝導度、σ2は、インクを遠心分離器にかけた上澄みの電気伝導度である。電気伝導度は、LCRメーター(安藤電気(株)社製AG−4311)および液体用電極(川口電機製作所(株)社製LP−05型)を使用し、印加電圧5V、周波数1kHzの条件で測定を行った値である。また遠心分離は、小型高速冷却遠心機(トミー精工(株)社製SRX−201)を使用し、回転速度14500rpm、温度23℃の条件で30分間行った。
以上のようなインクを用いることによって、荷電粒子の泳動が起こりやすくなり、濃縮しやすくなる。
インクの電気伝導度は、100〜3000pS/cmが好ましく、より好ましくは150〜2500pS/cm、さらに好ましくは200〜2000pS/cmである。以上のような電気伝導度の範囲とすることによって、制御電極に印加する電圧が極端に高くならず、隣接する記録電極間での電気的導通を生じさせる懸念もない。
また、インクの表面張力は、15〜50mN/mの範囲が好ましく、より好ましくは15.5〜45mN/mさらに好ましくは16〜40mN/mの範囲である。表面張力をこの範囲とすることによって、制御電極に印加する電圧が極端に高くならず、ヘッド周りにインクが漏れ広がり汚染することがない。
さらに、インクの粘度は0.5〜5mPa・secが好ましく、より好ましくは0.6〜3.0mPa・sec、さらに好ましくは0.7〜2.0mPa・secである。
このようなインクは、一例として、色材粒子をキャリア液に分散して粒子化し、かつ、荷電調整剤を分散媒に添加して、色材粒子に荷電を生じさせることで、調製できる。具体的な方法としては、以下の方法が例示される。
(1)色材あるいはさらに分散樹脂粒子をあらかじめ混合(混練)した後、必要に応じて分散剤を用いてキャリア液に分散し、荷電調整剤を加える方法。
(2)色材、あるいはさらに分散樹脂粒子および分散剤を、キャリア液に同時に添加して、分散し、荷電調整剤を加える方法。
(3)色材および荷電調整剤、あるいはさらに分散樹脂粒子および分散剤を、同時にキャリア液に添加して、分散する方法。
図1に、本発明のインクジェット記録装置の一例の概念図を示す。
前述のように、本発明のインクジェット記録装置10は、このようなインクを用い、このインクに静電力を作用させることによりインク液滴を吐出する、静電式のインクジェット記録装置である。
このようなインクジェット記録装置10(以下、記録装置10とする)は、基本的に、保持手段12、搬送手段14、記録手段16、インク循環手段18、および、溶媒回収手段20を有しており、これらを筐体26に収容して構成される。
保持手段12は、記録前の記録媒体Pを保持する給紙トレイ30と、フィードローラ32と、記録後の記録媒体Pを保持する排出トレイ34とを備えている。
給紙トレイ30は、記録装置10に設定される所定の装填部に着脱可能な筐体である。図示例においては、装填部は、筐体26内の下方図中左側に設定され、給紙トレイ30は、記録媒体Pの取出部を前方にして、筐体26の内部に挿入されて、後端部(前記取出部と逆端側)を若干筐体から突出した状態で、所定の装填部に装填される。
また、フィードローラ32は、前記装填部に装填された給紙トレイ30の取出部に対応して配置される半月ローラである。
給紙トレイ30内には、記録前の記録媒体Pが複数枚積層されて収容される。画像の記録時には、フィードローラ32により、記録媒体Pが給紙トレイ30から1枚ずつ取り出され、後述する記録媒体Pの搬送手段14に供給される。
排出トレイ34は、画像を記録された記録媒体Pを収容するものであり、図示例においては、一部を筐体26から突出して、給紙トレイ30の装填部の上方に、記録媒体Pの排出方向先端を下方にして傾けて配置される。
記録後の記録媒体Pは、搬送手段14により搬送されて排出部から排出され、排出トレイ34内に順次積層されて収容される。
搬送手段14は、静電吸着等を利用して、給紙トレイ30から供給された記録媒体Pを排出トレイ34まで所定の経路で搬送するものであり、搬送ローラ対36と、搬送ベルト38と、ローラ40(40a、40b、および40c)と、導電性プラテン42と、記録媒体Pの帯電装置44および除電装置46と、分離爪48と、ガイド50と、定着ローラ対52とを備えている。
搬送ローラ対36は、記録媒体Pの搬送経路上の、フィードローラ32と搬送ベルト38との間の位置に設けられている。
フィードローラ32により給紙トレイ30から取り出された記録媒体Pは、次いで、搬送ローラ対36により挟持搬送され、搬送ベルト38表面の帯電装置44(スコロトロン帯電器44a)に対面する所定の位置に供給される。
帯電装置44は、スコロトロン帯電器44aと、高圧電源44bとを備える。スコロトロン帯電器44aは、記録手段16(ヘッドユニット60)の上流(記録媒体Pの搬送方向の上流 以下、単に上流とする)に、搬送ベルト38に対面して配置される。また、高圧電源44bの負側の端子はスコロトロン帯電器44aに接続され、その正側の端子は接地されている。
搬送ベルト38は、エンドレスベルトであり、3つのローラ40によって、略三角形状に張架されている。
この搬送ベルト38は、表面(記録媒体Pの静電吸着面)が絶縁性で、裏面(ローラ40との接触面)が導電性となっている。また、ローラ40のうちの少なくとも1つは、図示していない駆動源に接続されており、記録時には所定の速度で回転駆動され、これにより搬送ベルト38も記録媒体Pの搬送方向(図中矢印方向)に回転する。
搬送ベルト38内側の記録手段16(ヘッドユニット60)に対応する位置には、搬送ベルト38の内面に接触して、平板状の導電性プラテン42が配置されている。
図示例においては、ローラ40bは接地されており、従って、搬送ベルト38の裏面を介して、ローラ40aおよび40c、ならびに導電性プラテン42も接地される。これにより、搬送ベルト38の記録手段16(ヘッドユニット60)に対面する位置は、後述する静電式のインクジェットにおいて、インク液滴を吐出させる制御電極の対向電極として機能する。
前述のように、記録媒体Pは、フィードローラ32によって搬送ローラ対36に供給され、搬送ローラ対36によって、搬送ベルト38表面スコロトロン帯電器44aに対面する所定の位置に供給される。また、駆動源となっているローラ40の回転によって、搬送ベルト38も回転する。
この位置に搬送された記録媒体Pの表面は、スコロトロン帯電器44aにより所定の負の高電位(例えば、約−1.5kV)に均一に帯電される。搬送ベルト38の表面は絶縁性であり、この負の高電位の帯電により、記録媒体Pは、搬送ベルト38の表面に静電吸着され、搬送ベルト38の回転によって、同方向に搬送され、記録手段16に搬送され、搬送ベルト38によって断続的に搬送されつつ、静電式のインクジェットによる画像記録に供される。記録手段16については、後に詳述する。
また、記録媒体Pに帯電した負の高電位は、後述する静電式のインクジェットにおけるインク液滴吐出のバイアス電圧として作用する。
記録手段16の下流には、下流に向かって、除電装置46、分離爪48、ガイド50および定着ローラ52が配置される。
除電装置46は、コロトロン除電器46aと、高圧電源46bとを備えている。コロトロン除電器46aは、搬送ベルト38の表面に対向する位置に配置されている。また、高圧電源46bの一端はコロトロン除電器46aに接続され、他端は接地されている。
記録後の記録媒体Pは、コロトロン除電器46aにより除電される。これにより、記録媒体Pを、搬送ベルト38から分離し易くなる。
除電装置46により除電された記録媒体Pは、分離爪46により搬送ベルト38上から分離(剥離)され、ガイド48に案内され定着ローラ対52に供給される。
定着ローラ対52は、少なくとも一方がヒートローラとなっている搬送ローラ対である。記録媒体Pは、定着ローラ対52により挟持搬送されつつ、静電式のインクジェットによって記録された画像が加熱定着される。
画像を定着された記録媒体Pは、定着ローラ対52によって排出部から排出され、排出トレイ28内に、順次、積層される。
前述のように、帯電手段44によって帯電され、搬送ベルト38に吸着された記録媒体Pは、搬送ベルト38によって記録手段16に搬送され、画像を記録される。
記録手段16は、静電式のインクジェットによって、記録媒体Pを記録するものであり、ヘッドユニット60と、ヘッドドライバ62と、記録媒体Pの位置検出装置64とを備えている。
ヘッドユニット60は、図2に示すように、静電式の(インクジェット)記録ヘッド70、供給サブタンク100、および回収サブタンク102等を支持部材104等に固定してなるものである。また、支持部材104は、ガイドレール106aおよび106bによって、搬送ベルト38による記録媒体Pの搬送方向(図2中矢印x方向)と直交する方向(以下、主走査方向とする)に移動自在に支持されており、図示しない駆動源によって回転されるボールねじ108によって、主走査方向に走査される。
図示例の記録装置10は、いわゆるシャトルタイプのインクジェット記録装置であり、搬送ベルト38によって記録媒体Pを断続的に搬送しつつ、この断続的な搬送に同期して(搬送の停止中に)、主走査方向に支持部材104(すなわち、記録ヘッド70)を走査しつつ記録画像に応じてインクを吐出することにより、記録媒体Pの全面に画像記録を行う。従って、記録ヘッド70は、後述する吐出部の列(行方向)を搬送ベルト38による記録媒体Pの搬送方向(矢印x方向)と一致して配置される。
なお、本発明は、このようなシャトルタイプのインクジェット記録装置に限定はされず、対応する記録媒体Pの幅方向(走査搬送方向と直交する方向)の全域にわたって吐出部(ノズル)の列を有する、いわゆるラインヘッドを用いるインクジェット記録装置であってもよいのは、もちろんである。
また、図示例は、図面を簡易にし、本発明の構成をより明瞭に示すためにモノクロのインクジェット記録装置を例示しているが、本発明は、シアン、マゼンタ、イエローおよび黒のインクを吐出して画像記録を行う、カラーの静電式のインクジェット記録装置であってもよいのも、もちろんである。
供給サブタンク100は、後述するメインタンク130からインクを供給され、貯留するインクを記録ヘッド70に供給するものである。
図3に、供給サブタンク100(回収サブタンク102)の一例の概略斜視図を示す。
この供給サブタンク100は、下面が開放する中空の四角柱の下に、上部(底面)が開放する中空の逆四角錐を設けた形状を有するものである。従って、供給サブタンク100の底面(床面)は、水平部分を有さず、全面が一点(最低部)に向かって傾斜している。
このような供給サブタンク100には、メインタンク130からのインクの供給ライン110(記録ヘッド70からの排出管124)が上方から挿入される。
また、最低部(逆四角錐の頂点)には、記録ヘッド70(後述するインク流路78)に接続する供給管112が接続される。さらに、側面には、メインタンク130に接続するオーバーフロー管114が接続される。また、内部には、好ましい形態として、後述する異物除去手段150のフィルター150bが設置されている。
供給サブタンク100の天井は、貫通孔100aを有しており、タンク内部は大気開放した状態となっている。また、供給サブタンク100は、記録ヘッド70よりも上方に配置される。
従って、供給サブタンク100に流入したインクは、重力によって落下して、内部に設置されたフィルター150bを通過し、供給管112から記録ヘッド70に供給される。
また、供給サブタンク100に供給されたインクの量がオーバーフロー管114の高さを超えた場合には、インクがオーバーフローして、重力落下によってオーバーフロー管114からメインタンク130に戻される。従って、記録ヘッド70にインクを供給する供給サブタンク100のインク液面は、一定位置に保たれ、記録ヘッド70へのインクの供給量および水頭圧(インクの供給圧)は、このオーバーフローする位置(オーバーフロー管114の接続部)の高さに応じた一定値に保たれる。
他方、回収サブタンク102は、オーバーフロー管114すなわちインクのオーバーフロー機能を有さない以外は、基本的に、供給サブタンク100と同じ構成を有するものである。また、供給サブタンク102は、記録ヘッド70よりも下方に配置される。
回収サブタンク102においては、上部から記録ヘッド70からの排出管124が挿入され、記録ヘッド70に供給されたが吐出に供されなかったインクが流入する。さらに、最低部には、メインタンク130にインクを戻す戻りライン134が接続される。
回収サブタンク102の天井にも貫通孔102dが形成され、内部は大気開放しているので、回収サブタンク102に流入したインクは、重力による落下で戻りライン134からメインタンク130に戻される。
なお、供給サブタンク100、記録ヘッド70、および回収サブタンク102を含むインクの循環系に関しては、後に詳述する。
前述のように、本発明の記録装置10は、キャリア液に色材粒子を分散してなるインクを用いる。
ここで、供給サブタンク100および回収サブタンク102の底面には、水平な部分が無い。さらに、記録ヘッド70への供給管112および戻りライン134(インクの排出口)は、各々、供給サブタンク100および回収サブタンク102の最下部(底面の最下部)に接続される。
そのため、仮に、供給サブタンク100や回収サブタンク102内において、供給されたインクの色材粒子が沈降しても、色材粒子はサブタンク内に堆積することなく記録ヘッド70やメインタンク130に排出される。
本発明の記録装置10は、色材粒子を含有するインクを循環する静電式のインクジェット記録装置において、好ましくは図示例のように底面に水平部分を無くし、かつ、最下部に排出口を設けることにより、サブタンク内に色材粒子が堆積することや、色材粒子同士が滞留して結合することを防止できるので、後述するインクの循環系において、インク濃度(インク中における色材粒子の量)が不均一となることを防止して、循環系全域に適正濃度のインクを循環することができ、さらに、ヘッドでの吐出口(孔)の詰まりや循環経路の詰まり等も防止することができる。
そのため、本発明のインクジェット記録装置は、所定濃度のインクによる安定したインク液滴の吐出が可能であり、高画質な画像を安定して記録することができる。
また、好ましくは、図示例のようにサブタンクの上部からインクを流入する構成とすることにより、インクの流入による撹拌効果を得ることができるので、色材粒子の堆積をより好適に防止することができ、かつ、循環系内におけるインク濃度の不均一性を、より好適に防止できる。
本発明において、サブタンクの形状は図示例に限定はされず、各種の形状が利用可能である。その一例の模式図を、図4に示す。
なお、図4の各例においては、オーバーフロー管およびインクを供給する管を図示しないが、このままの構成で回収サブタンク102して使用してもよく、オーバーフロー管114を設けて、供給サブタンク100として使用してもよいのは、もちろんである。
例えば、角柱ではなく、図4(A)に示すように、円柱の下部に逆円錐を設けた構成が好適に例示される。
また、逆円錐や逆角錐を利用するのにも限定はされず、例えば、図4(B)に示されるように、円柱を平面状に斜めに切断して、その面を底面とし、その最低位置に排出口を設けた構成や、図4(C)に示されるように、(四)角柱を平面状に斜めに切断して、その面を底面とし、その最低地位に排出口を設けた構成も好適である。
さらに、柱状ではなく、図4(D)に示されるような逆円錐形状で、その最低位置(円錐の頂部)に排出口を設けた構成や、図4(E)に示されるような逆(四)角錐形状で、その最低位置(角錐の頂部)に排出口を設けた構成も好適である。
ここで、本発明においては、サブタンクは、底面に水平部分を有さず、図3や図4に示す例のように、底面の全面が最低位置の1点に向かって傾斜するような底面形状を有するのが好ましい。
しかしながら、記録装置10の設計上、底部に水平部分が必要な場合も有り得る。この際には、図5に模式的に示すように、底面bの水平部分の面積を総床面積の50%以下とする。これにより、前記本発明の効果を好適に発現して、サブタンク内における色材粒子の堆積を防止することができる。
また、底面に水平部分を有する場合には、この水平部分の上部から落下するようにサブタンクへのインクの供給を行うのが好ましい。これにより、水平部分においてインクの落下および流勢による撹拌効果を得ることができ、色材粒子の堆積を好適に防止できる。
本発明において、サブタンクの容量にも特に限定はなく、記録装置10の記録能力(生産性)や後述するポンプ136の送液量等に応じて、適宜、決定すればよいが、好ましくは、3〜50mL(ミリリットル)である。
サブタンクの容量をこの範囲とすることにより、後述するインクの循環効率、および循環による撹拌効率をより向上できるので、色材粒子の堆積をより好適に防止することができる。また、後述する補充液を補充した後のインクの循環によって、サブタンク内を含む循環系のインクQを速やかに所定濃度とすることができ、より安定したインク液滴の吐出を行うことができる。
図示例においては、供給サブタンク100は、ボールねじ120aとモータ120bとからなる昇降手段によって、他方、回収サブタンク102は、ボールねじ122aとモータ122bとからなる昇降手段によって、それぞれ、上下方向の位置を調整可能に構成される。
これにより、記録ヘッド70へのインクQの供給量や供給圧、後述する記録ヘッド70のインク流路78内の圧力等を、適宜、調整/設定することが可能となる。
図6に、記録ヘッド70の概念図を示す。なお、図6において、(A)は一部断面斜視図を、(B)は断面図を、それぞれ示す。
記録装置10においては、前述のように、帯電手段44によって負の高電圧に帯電(バイアス電圧を帯電)されて搬送ベルト38に静電吸着された記録媒体Pを、搬送ベルト38によって断続的に搬送し、この搬送に同期して支持部材104を走査しつつ、ヘッドドライバ62による制御の下、記録画像すなわち供給された画像データに応じて記録ヘッド70の各吐出部を変調駆動して吐出をon/offすることにより、インク液滴Rをオンデマンドで吐出して、記録媒体Pに目的とする画像を記録する。
なお、記録ヘッド70は、図7に概念的に示すように、多数の吐出部を二次元的に配置したマルチチャンネル構造のインクジェットヘッドであるが、図4においては、構造を明瞭に示すために、吐出部の一部のみを示す。
記録ヘッド70は、色材粒子(色材を含み、帯電した微粒子)をキャリア液に分散してなるインクQに、静電力を作用させてインク液滴Rとして吐出する、静電式のインクジェットヘッドで、ヘッド基板72と、吐出基板74と、インクガイド76とを備えている。
記録ヘッド70において、ヘッド基板72と吐出基板74は、互いに対面して所定の間隔離間して配置され、その間に、各吐出口96にインクQを供給するためのインク流路78が形成される。インクQは、インク循環手段18によってインク流路78を含む所定の経路で循環され、記録時には、インク流路78内を所定方向に所定の速度(例えば、200mm/sのインク流)で、例えば、図中矢印a方向に流される。
従って、インク流路78の上流には供給サブタンク100の供給管112が接続され、同下流には回収サブタンク102へのインクの排出管124が接続される。
ヘッド基板72は、全ての吐出部に共通なシート状の絶縁性基板であり、その表面には、電気的にフローティング状態である浮遊導電板80が設けられている。
浮遊導電板80には、画像の記録時に、後述する第1制御電極82および第2制御電極84に印加される駆動電圧に応じて誘起される誘導電圧が発生する。また、誘導電圧の電圧値は稼動チャンネル数に応じて自動的に変化する。この誘導電圧により、インク流路78内のインクQに含まれる色材粒子は付勢されて吐出基板74側に泳動し、すなわち、後述する吐出口96のインクQの濃縮が、より好適に行われる。
なお、浮遊導電板80は必須の構成要素ではなく、必要に応じて適宜設けるのが好ましい。また、浮遊導電板80は、インク流路78よりもヘッド基板72側に配置されていればよく、例えばヘッド基板72の内部に配置してもよい。また、浮遊導電板80は、吐出部が配置される位置よりもインク流路78の上流側に配置される方が好ましい。また、浮遊導電板80に所定の電圧を印加するようにしても良い。
他方、吐出基板74は、ヘッド基板72と同様に全ての吐出部に共通なシート状の絶縁性基板であり、絶縁性基板86と、第1制御電極82と、第2制御電極84と、ガード電極88と、絶縁層90,92および94とを備えている。また、吐出基板74には、各インクガイド76に対応する位置に、インクの吐出口96が貫通して開口しており、インクガイドの先端部分98を吐出基板74の表面から突出してインクガイド76が挿通している。前述のように、ヘッド基板72と吐出基板74とは離間して配置され、その間にインク流路78が形成される。
記録ヘッド70においては、互いに対応する第1制御電極82、第2制御電極84、吐出口96、およびインクガイド76等によって、1つのインクの吐出部が構成される。
第1制御電極82および第2制御電極84は、それぞれ絶縁性基板86の図中上面および下面の表面に、各々に対応する吐出口96の周囲を囲むようにリング状に設けられた円形電極である(図7参照)。絶縁性基板86および第1制御電極82の表面には、その表面を保護すると共に平坦化する絶縁層92が被覆され、同様に、絶縁性基板86および第2制御電極84の表面には、その表面を平坦化するための絶縁層90が被覆されている。さらに、絶縁層92の上には、ガード電極88が形成され、ガード電極88および絶縁層92の上には、その表面を平坦化するための絶縁層94が形成される。
なお、第1制御電極82および第2制御電極84はリング状の円形電極に限定されず、インクガイド76に臨むように配置される電極であれば、例えば略円形電極、分割円形電極、平行電極、略平行電極など、どのような形状であっても良い。
図6および図7に示すように、記録ヘッド70において、インクガイド76、第1制御電極82および第2制御電極84、吐出口96等で構成される各吐出部は、マトリクス状に2次元的に配置されている。
具体的には、記録ヘッド70は、図7(B)および(C)に示すように、行方向(図7横方向)に配列された吐出部の列を、列方向(図5縦方向))に3行(A行、B行、C行)有する。なお、図7においては、行方向に5個(1列、2列、3列、4列、5列)の、計15個のマトリクス状に配置された吐出部を示している。
各行の吐出部は、列方向に対して所定の間隔離間して配置される。また、各行は、吐出部を行方向に互いに1/3ピッチずらして、自身の吐出部が他行の吐出部の間(行方向の間)に位置するように配置される。
図示例においては、行方向が吐出部の配列方向(いわゆるインクジェットのノズル列方向)であり、記録ヘッド70は、列方向と前記主走査方向とを一致し、かつ、行方向と記録媒体Pの搬送方向(図2x方向)とを一致して配置される。
図7(A)に示すように、ガード電極88は、吐出口96および制御電極に対応する領域が円形に開口するシート状の電極である。すなわち、ガード電極88は、各制御電極の間に形成される。
また、図7(B)に示すように、同じ列に配置された吐出部の第1制御電極82は、相互に接続され、かつ、図7(C)に示すように、同じ行に配置された吐出部の第2制御電極84は、相互に接続されている。
さらに、図示は省略するが、第1制御電極82および第2制御電極84は、それぞれ、駆動電圧(パルス電圧)を印加して、各電極を変調駆動してインク液滴Rの吐出をon/offするための、パルス電源に接続されている。
従って、同一列に配置された第1制御電極82は同時かつ同一電圧レベルの駆動電圧が印加(on)され、同様に、同一行に配置された第2制御電極84は同時かつ同一電圧レベルに駆動電圧が印加(on)される。
また、第2制御電極84がonで、かつ第1制御電極82がonの場合にはインクQがインク液滴Rとして吐出(吐出on)され、第1制御電極82および第2制御電極84の少なくとも一方がoffの場合にはインクは吐出されない(吐出off)。
なお、制御電極は、第1制御電極82および第2制御電極84の2層電極構造に限定されず、単層電極構造でもよいし、3層以上の電極構造としても良い。
先にも述べたが、ガード電極88は、図7(A)に示すように、各吐出口96の周囲に形成された第1制御電極82および第2制御電極84に相当する部分がリング状に開口する、全ての吐出部に共通なシート状の電極である。すなわち、ガード電極88は、各制御電極間に配置される電極である。絶縁層92およびガード電極88の表面には、その表面を保護するとともに、平坦化する絶縁層94が被覆されている。
ガード電極88には所定の電圧が印加されており、隣接する吐出部のインクガイド76の間に生じる電界干渉を抑制する役割を果たす。
なお、ガード電極88は必須の構成要素ではない。また、吐出基板74には、第1制御電極82または第2制御電極84からのインク流路78方向への反発電界を遮蔽するために、第2制御電極84よりインク流路78側にシールド電極を設けても良い。
インクガイド76は、凸状の先端部分96を持つ所定厚みのセラミック製平板である。図示例においては、同一行の吐出部のインクガイド76は、ヘッド基板72上の浮遊導電板80の上に配置された同じ支持体47の上に所定の間隔で配置される。インクガイド76は、吐出基板74に開孔された吐出口96を貫通し、先端部分96を吐出基板74の記録媒体P側の最表面(絶縁層94の図中上側の表面)よりも上部に突出している。
インクガイド76の先端部分96は、記録媒体Pに向かって、漸次、細くなる略三角形状(ないしは台形状)に成形されている。
なお、先端部分96(最先端部)は、金属が蒸着されているのが好ましい。この先端部分96の金属蒸着は必須の要素ではないが、これにより、先端部分96の誘電率が実質的に大きくなり、強電界を生じさせ易くできるという効果がある。
なお、インクガイド76の形状は、インクQ内の色材粒子を先端部分96に向けて泳動(すなわちインクQを濃縮)させることができれば、特に制限的ではなく、例えば先端部分96は凸状でなくても良い等、自由に変更してもよい。また、インクの濃縮を促進するために、毛細管現象によってインクQを先端部分96に集めるインク案内溝となる切り欠きを、インクガイド76の中央部分に図中上下方向に沿って形成しても良い。
図示例において、記録媒体Pに記録される1行は、列方向に対して、第2制御電極84の行数に相当する3つのグループに分割され、A行、B行およびC行の各行によって、時分割した3回の画像記録によって記録される。前述のように、記録媒体Pは、列方向に搬送されるので、行方向(副走査方向)に、各行の有する記録密度(吐出部密度)の3倍の記録密度の画像記録を行うことができる。
例えば、図7に示す例の場合、第2制御電極84は、所定のタイミングで1行ずつ、順次、on(例えば400〜600Vの高電圧レベル、またはハイインピーダンス状態)され、残りの全ての第2制御電極84はoff(接地レベル(接地状態))にされる。また、第1制御電極82は、全ての列が同時に、画像データ(記録画像)に応じて、列単位でonされる。これにより、各々の吐出部におけるインクの吐出/非吐出(インク吐出のon/off)が制御され、画像データに応じたオンデマンドでインク液滴の吐出を行い、画像を記録する。
上記のように、下層の第2制御電極84の行を順次onし、画像データに応じて上層の第1制御電極82をon/offした場合、第1制御電極82が画像データに応じてonされるため、列方向のそれぞれの吐出部を中心として、その両側の吐出部では、第1制御電極82が高電圧レベルまたは接地レベルに頻繁に変化する。この場合、画像の記録時にガード電極88を所定のガード電位、例えば接地レベル等にバイアスすることにより、隣接する吐出部の電界の影響を排除することができる。
記録ヘッド70では、第1制御電極82または第2制御電極84の一方、または両方で、インク吐出のon/offの制御を行うかは何ら制限的ではない。すなわち、制御電極側のインクon/offの時の電圧値と記録媒体P側の電圧値との差分が所定値よりも大きい場合にはインクが吐出され、所定値よりも小さい場合にはインクが吐出されないように、制御電極側および記録媒体P側の電圧を適宜設定すればよい。
従って、記録ヘッド70においては、図示例とは逆、すなわち第1制御電極82を1列毎に順次onし、画像データに応じて、第2制御電極84をonすることで、インク吐出をon/offすることも可能である。
この場合、列方向は第1制御電極82の1列毎にonされ、列方向のそれぞれの吐出部を中心として、その両側の列の吐出部の第1制御電極82は常に接地レベルになるため、この両側の列の吐出部の第1制御電極26がガード電極88の役割を果す。このように、上層の第1制御電極82で各列を順次オンし、画像データに応じて下層の第2制御電極84を駆動する場合には、ガード電極88を設けなくても、隣接する吐出部の影響を排除し、記録品質を向上させることができる。
また、この態様では、インクQ中の色材粒子を正帯電させ、記録媒体側を負の高電圧に帯電させているが、これに限定されず、逆に、インク中の色材粒子を負に帯電させ、記録媒体P側を正の高電圧に帯電させても良い。このように、色材粒子の極性を本態様と逆にする場合には、対向電極18、記録媒体Pの帯電ユニット18、各々の吐出部の第1制御電極82および第2制御電極84への印加電圧極性等を上記の例と逆にすれば良い。
位置検出装置64は、フォトセンサ等の従来公知の位置検出手段であり、帯電装置64とヘッドユニット60との間の搬送ベルト38による搬送経路上において、記録媒体Pが所定の位置に搬送されたことを検出するものである。
位置検出装置64による記録媒体Pの検出結果は、ヘッドドライバ62に供給される。
ヘッドドライバ62は、ヘッドユニット60の記録ヘッド70に、駆動信号を供給するものである。
ヘッドドライバ62には、スキャナやコンピュータ等の外部装置から画像データが入力される。ヘッドドライバ62は、位置検出装置64による記録媒体Pの検出結果を参照して、記録媒体Pが所定位置に搬送された時点で、記録媒体Pの搬送タイミングおよび供給された画像データに応じた各制御電極の駆動信号を、ヘッドユニット60の記録ヘッド70(そのパルス電源)に供給する。記録ヘッド70は、この駆動信号に応じて、前述のように、各行の第2制御電極84を順次駆動し、かつ、各列の第1制御電極82を画像データに応じて変調駆動する。これにより、記録ヘッド70からインクが吐出され、記録媒体Pには、画像データに対応した画像が記録される。
前述のようなインクQを用いる静電式のインクジェットにおいては、従来のインクジェット方式のように、インク全体に力を作用させて、インクを記録媒体に向けて飛翔させるのではなく、主に、キャリア液に分散させた固形成分である色材粒子に力を作用させて、インクを飛翔させる。以下、記録手段16(記録ヘッド70)におけるインク液滴R吐出の作用を説明する。
なお、以下の例では、色材粒子は正荷電しており、従って、吐出onでは第1制御電極82および第2制御電極84には、正の駆動電圧が印加され、記録媒体Pには、負の高電圧(バイアス電圧)が帯電される。
画像の記録時には、インクQは後述するインク循環手段18によって循環され、インク流路78内を図中右側から左側(図6中矢印a方向)に向かって所定の速度で流れる。
また、前述のように、記録媒体Pは、帯電装置44によって負の高電圧に帯電されて、搬送ベルト38に静電吸着され、搬送ベルト38の回転によって搬送され、記録手段16のヘッドユニットに対面する位置に至る。
記録媒体Pに帯電する負の高電圧は、静電式のインクジェットにおけるバイアス電圧として作用し、また、記録媒体Pおよび搬送ベルト38は、記録ヘッド70の制御電極に対する対向電極として作用するのは、前述のとおりである。
前述のように、搬送ベルト38によって、記録媒体Pが所定の位置に搬送されると、ヘッドドライバ62は、記録媒体Pの搬送タイミングおよび画像データに応じて、記録ヘッド70に駆動信号を供給し、記録ヘッド70は、これに応じて、各行の第2制御電極84を順次駆動し、かつ、各列の第1制御電極82を画像データに応じて変調駆動し、インク吐出を画像データに応じて変調してon/offする。
ここで、第1制御電極82および第2制御電極84の少なくとも一方がoffであり、すなわちバイアス電圧のみが印加されている状態では、インクQには、バイアス電圧とインクQの色材粒子の荷電とのクーロン引力、色材粒子間のクーロン反発力、キャリア液の粘性、表面張力、誘電分極力等が作用し、これらが連成して、色材粒子やキャリア液が移動し、図6(B)に概念的に示すように、吐出口96から若干盛り上がったメニスカス状となってバランスが取れている。
また、このクーロン引力等によって、色材粒子は、いわゆる電気泳動でバイアス電圧が帯電された記録媒体Pに向かって移動する。すなわち、吐出口96のメニスカスにおいては、インクQが集まって濃縮された状態となっている。
この状態から、インク液滴Rを吐出するための駆動電圧(パルス電圧)が印加される。すなわち、図示例においては、第1制御電極82および第2制御電極84の両方がonされると、前記バイアス電圧に駆動電圧が重畳され、先の連成に、さらにこの駆動電圧の重畳によって連成された運動が起こり、静電力によって色材粒子およびキャリア液がバイアス電圧(対向電極)側すなわち記録媒体P側に引っ張られ、メニスカスが成長して、その上部から略円錐状のインク液柱いわゆるテーラーコーンが形成される。また、先と同様に、色材粒子は電気泳動によってメニスカスに移動しており、メニスカスのインクQは濃縮され、色材粒子を多数有する、ほぼ均一な高濃度状態となっている。
駆動電圧の印加開始後、さらに有限な時間が経過すると、色材粒子の移動等により、電界強度の高いメニスカスの先端部分で、主に色材粒子とキャリア液の表面張力とのバランスが崩れ、メニスカスが急激に伸びて曳糸と呼ばれる直径数〜数十μm程度の細長いインク液柱が形成される。
さらに有限な時間が経過すると曳糸が成長し、この曳糸の成長、レイリー/ウエーバー不安定性によって発生する振動、メニスカス内における色材粒子の分布不均一、メニスカスにかかる静電界の分布不均一等の相互作用によって曳糸が分断され、インク液滴Rとなって吐出/飛翔し、かつ、バイアス電圧にも引っ張られて、記録媒体Pに着弾する。
曳糸の成長および分断は、さらにはメニスカス(曳糸)への色材粒子の移動は、駆動電圧の印加中は連続して発生する。また、駆動電圧の印加を終了(第1制御電極82および第2制御電極84の少なくとも一方をoff)し、有限な時間が経過した時点で、バイアス電圧のみが印加された図6(B)のメニスカスの状態に戻る。
前述のように、インクQはインク循環手段18によって循環される。
インク循環手段18は、インクQを貯留するメインタンク130と、供給ライン110と、戻りライン134と、ポンプ136とに、前述のヘッドユニット60およびオーバーフロー管114と、好ましい態様として後述する異物除去手段150のフィルター150aとを加えて構成される。また、メインタンク130には、インクの補充手段138が接続される。
図8に、インク循環手段18の概念図を示す。
メインタンク130に貯留されたインクQは、ポンプ136によって汲み上げられて、異物除去手段150のフィルター150aを通過し、供給サブタンク100に供給される。なお、メインタンク130には、貯留するインクを撹拌するための撹拌手段や、インクQの温度を一定に保つための温度調節手段を設けるのが好ましい。
供給サブタンク内のインクQは、前述のように、一定の水頭圧を生じさせつつ供給管112から記録ヘッド70のインク流路78に供給される。また、記録ヘッド70に供給されたインクQは、前述のように、駆動電圧の印加に応じて、吐出部からインク液滴として吐出され、記録媒体Pに着弾する。
一方、供給サブタンク100内でオーバーフロー管の高さまで至ったインクQは、供給サブタンク100をオーバーフローして、オーバーフロー管114からメインタンク130に戻される。すなわち、供給サブタンク100をオーバーフローしたインクは、記録ヘッド70を経由することなくメインタンク130に戻されて、再度、循環に供される。
また、記録ヘッド70に供給され、吐出されることなくインク流路78を通過したインクQも、記録ヘッド70の排出管124から回収サブタンク102に供給され、ここから戻りライン134によってメインタンク130に戻されて、再度、循環に共される。
ここで、インク循環手段18には、好ましい態様としてメインタンク130から記録ヘッド70までの間の循環経路内の色材粒子の一部が沈降して堆積してしまうことで沈降・堆積物等の異物が生じた場合や、循環経路に異物が混入した場合に、記録ヘッド70に供給されるインクに異物が混入することを防ぐための異物除去手段150が設けられる。
本実施形態では、異物除去手段150として、上述のように、サブタンク100内にフィルター150aを、供給ライン110中にフィルター150bをそれぞれ設けている。
フィルター150aおよびフィルター150bは、少なくとも記録ヘッド70内に混入して異物となる可能性のある大きさの物質を除去できる必要があり、かつ円滑なインクの循環を妨げない必要がある。これに応じて異物除去手段150のフィルター150aおよびフィルター150bとしては、メッシュフィルターが好ましく例示され、特に目の大きさが30〜70μmのメッシュフィルタが好ましく例示される。
このようなフィルターをサブタンク100内および供給ライン中に設け、設置したフィルターにインクを通すことで、循環経路中のインクに異物が生じた場合でも、異物を除去することができ、記録ヘッド70に供給されるインクに異物が混入することを防止できる。これにより、循環経路中に異物が生じた場合でも、記録ヘッド70での吐出口(孔)の詰まりや、循環経路の詰まりを防止することができる。
ここで、フィルターを配置する場合、位置、配置数は、上記の形態に限定されず、インクタンク130から記録ヘッド70までの循環経路の途中の少なくとも1ヶ所に設ければよいが、配置する位置としては、特に、供給サブタンク100、供給ライン110、供給管112、メインタンク130に設けるのが好ましい。また、フィルタは、メインタンク130から記録ヘッド70までの循環経路に設けるのが好ましいが、記録ヘッド70からメインタンク130まで、例えば、排出管124、回収サブタンク102、戻りライン134やメインタンク130から後述する補充手段138までの間等に設けてもよい。
さらに、異物除去手段は、メッシュフィルターに限定されず、例えばスポンジフィルター、不織布等を用いることができ、特に、連続気泡タイプのスポンジフィルター、三次元不織布等の様に三次元タイプでメッシュに粗から密の勾配があるものは、目が詰まりにくく長持ちするので好ましい。
メインタンク130には、インクQの補充手段138が接続される。
補充手段138は、インクの補充液である高濃度インクの貯留部と、同じくインクの補充液であるキャリア液(希釈液)の貯留部と、両者をメインタンクに供給する供給手段とを有して構成される。補充手段138は、インクQの使用状況(例えば、記録枚数や吐出総数等)などに応じて、高濃度インクおよびキャリア液の各量を調整して、バルブ140を開放してメインタンク130に補充する。
補充手段138において、高濃度インクおよびキャリア液の補充量は、循環されているインクQの濃度、循環系内に存在するインクQの量等に応じて、メインタンク130から給液されメインタンク130に戻る循環系内に存在するインクが、予め設定された所定のインク量およびインク濃度となるように、適宜、決定すればよい。
なお、インクQの濃度は、光透過性の検出部における透過光量の測定による方法等の公知の方法で測定すればよい。また、補充するインク量は、例えば、前の補充時からのインク吐出量を画像データや全吐出部の総吐出回数のカウントで求め、あるいはさらに予め測定した経時に対するインクの蒸発量を求めて算出すればよい。循環系内に存在するインク量は、インクQの循環を停止してメインタンク130内のインク量をレベルメータ等で測定してもよく、もしくは、循環時におけるインク供給路102、記録ヘッド70およびインク回収路104内のインク量は当然既知にできるので、循環中にメインタンク130内のインク量をプートセンサ等で測定することで求めてもよい。
ここで、本発明の記録装置10においては、インクQの循環系に存在する総インク量をV[L(リットル)]、循環系における循環液量すなわちポンプ136による送液量をa[L/min(リットル/分)]とした際に、下記式
6×V>a>V÷6
を満たすのが好ましい。
なお、インクQの循環系中に存在する総インク量とは、記録ヘッド70内、両サブタンク内、メインタンク130内等を含めて、循環経路中に存在するインクQの総量であり、例えば、循環を停止してインクQをメインタンク130に戻し、静止状態となった際のメインタンク130内のインクQの量とすればよい。また、前記方法も利用可能である。
前述のように、色材粒子をキャリア液に分散してなるインクQを用いる静電式のインクジェットは、インクを濃縮して吐出を行う。そのため、画像記録を行うにしたがって循環系内を循環するインクQの濃度が低下し、このインク濃度の低下が画像濃度や吐出安定性の低下等を招く。
そのため、静電式のインクジェット記録装置においては、インクの吐出状況に応じて、高濃度インクおよびキャリア液の量を調整して補充することにより、インクの補充およびインクの濃度調整を行って、インクの濃度を所定濃度に維持する。
当然のことであるが、記録装置10においては、メインタンク130に補充した補充液を迅速に循環して、迅速に循環系内のインクQを所定濃度にするのが好ましい。
上記式「6×V>a>V÷6」を満たすことにより、循環系内に存在する全てのインクQが、10〜360秒の間に循環系を循環するので、補充手段138からメインタンク130に補充液を補充した後に、速やかにインク循環系内の全てのインクQを、補充された補充液に応じた所定濃度とすることができる。従って、安定的にインクQの濃度を所定濃度に維持して、所定の濃度のインクQによって、適正に濃縮されたインク液滴を安定して吐出して、高画質な画像を安定して記録することができる。
なお、インクQを循環して記録ヘッド(各吐出部)にインクを供給するインクジェット記録装置では、インクの循環量は記録ヘッドに供給可能なインク量で制限される。
これに対し、図示例の記録装置10においては、液面高さを所定位置に保って水頭圧を生じさせつつ記録ヘッド70にインクを供給し、かつオーバーフローしたインクQを記録ヘッド70以外の部位(図示例ではメインタンク130)に供給する、供給サブタンク100を有する。これにより、記録ヘッド70へのインクの供給量および供給圧を適正に保ちつつ、任意にインクQの循環量(ポンプ136の送液量)を設定することができるので、本発明の静電式のインクジェット記録装置を、より好適に実現することが可能となる。
図示例の記録装置10は、好ましい態様として、記録ヘッド70よりも下方に位置する回収サブタンク102を有し、ここから、記録ヘッド70から吐出されなかったインクを、メインタンク130に戻している。しかしながら、本発明は、図2や図8に示される循環系に限定はされず、各種の構成の循環系が利用可能である。
例えば、回収サブタンク102を設けずに、吐出されずに記録ヘッド70のインク流路76を通過したインクQを、直接、メインタンク130に戻すようにしてもよい。
本発明の記録装置10においては、補充手段138からメインタンク130への補充液の供給位置と、ポンプ136によるインクQの吸込口の距離を、装置構成等に対して可能な範囲で大きくするのが好ましい。この距離が小さいと、補充液が直接的にポンプ136に吸い込まれて、記録ヘッド70に供給されるインク濃度が高くなってしまう可能性があり、また、距離が大きい程、メインタンク130内での補充液の撹拌効率を上げ、メインタンク130内すなわち循環系内におけるインク濃度の均一性を、より高くできる。
また、本発明の記録装置10においては、補充手段138からのメインタンク130への補充液の供給位置と、供給サブタンクや回収サブタンク102からメインタンク130へのインクQの供給位置との距離を、装置構成等に対して可能な範囲で小さくするのが好ましい。この距離を小さくすることにより、メインタンク130に補充された補充液をサブタンクから落下して供給されるインクQの流勢で撹拌することができ、補充液を供給した際におけるメインタンク130内のインクQの濃度を、速やかに均一にできる。
記録装置10の上部には、溶媒回収手段20が配置される。
溶媒回収手段20は、記録ヘッド70から記録媒体P上に吐出されたインクから蒸発するキャリア液や、画像定着時にインクから蒸発するキャリア液等を回収するもので、排出ファン140と、活性炭フィルタ142とを備えている。活性炭フィルタ142は、筐体26の上面(図中上側)の裏面に取り付けられ、排出ファン140は、活性炭フィルタ142の上に取り付けられている。
筐体22内部のキャリア液成分を含む空気は、排出ファン140により、活性炭フィルタ142を介して筐体22の外部に排出される。その際、筐体22内部の空気中に含まれる分散溶媒成分は、活性炭フィルタ142によって吸着除去される。
以下、記録装置10の作用を説明する。
記録装置10では、画像の記録時に、給紙トレイ30に収納された記録媒体Pがフィードローラ32により1枚ずつ取り出され、搬送ローラ対36により挟持搬送されて搬送ベルト38上の所定位置に供給される。
搬送ベルト38上に供給された記録媒体Pは、帯電装置44により負の高電位に帯電され、搬送ベルト38の表面に静電吸着される。この負の高電位は、搬送ベルト38への静電吸着のみならず、静電式インクジェットにおけるバイアス電圧として作用する。
搬送ベルト38の表面に静電吸着された記録媒体Pは、搬送ベルト38の回転によって所定速度で搬送される。
これに同期して、ヘッドドライバ62は、位置検出装置64による記録媒体Pの検出結果を参照して、記録媒体Pの搬送タイミングおよび供給された画像データに応じた各制御電極の駆動信号を記録ヘッド70(そのパルス電源)に供給する。
記録ヘッド70(支持部材104)は、主走査方向に走査されつつ、供給された駆動信号に応じて、各行の第2制御電極84を順次駆動し、かつ、各列の第1制御電極82を画像データに応じて変調駆動し、記録ヘッド70からインクが吐出し、記録媒体Pに画像データに対応した画像を記録する。
画像記録後の記録媒体Pは、除電装置46により除電され、分離爪48により搬送ベルト38から分離され、ガイド48に沿って定着ローラ対52に供給される。そして、定着ローラ対52により挟持搬送されつつ、記録された画像が加熱定着され、排出トレイ28内に積層された状態でストックされる。
このような画像記録中は、インクQは、ポンプ136によってメインタンク130から汲み上げられ、供給ライン110を移送されて供給サブタンク100に供給され、ここから供給管112によって記録ヘッド70に供給され、吐出に供される。また、供給サブタンク100をオーバーフローしたインクQは、オーバーフロー管114によってメインタンク130に戻され、再度、循環に供される。
さらに、記録ヘッド70に供給されたが、吐出されなかったインクQは、回収サブタンクに供給され、ここから戻りライン134によってメインタンク130に戻され、再度、循環に供される。
ここで、記録装置10においては、供給サブタンク100および回収サブタンク102は、共に、底面に水平部分を有さず、かつ、最低位置に排出口(供給管112および戻りライン134)が形成されるので、サブタンク内でインクQの色材粒子が堆積することや、色材粒子同士が滞留して結合すること等がない。
そのため、記録ヘッド70の吐出口96等の詰まりがなく、かつ、循環系内のインク濃度を、安定的に所定濃度に維持して、所定の濃度のインクQによって、適正に濃縮されたインク液滴を安定して吐出して、高画質な画像を安定して記録することができる。
なお、記録装置10においては、例えば記録枚数が所定枚数となった時点で、検出したインク濃度等に応じてインク補充手段138からメインタンク130に補充液(高濃度インクおよび/またはキャリア液)を補充する。
ここで、本発明の記録装置10においては、好ましくは、循環系内のインクQの総インク量Vおよびインクの循環量aが、式「6×V>a>6÷V」を満たすので、循環系内に存在する全てのインクQが、10〜360秒の間に循環系を循環する。そのため、補充液の補充後に、速やかにインク循環系内の全てのインクQを、補充されたインクに応じた所定濃度とすることができる。
以上、本発明のインクジェット記録装置について、詳細に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんのことである。
本発明のインクジェット記録装置の一例の概念図である。 図1に示すインクジェット記録装置のヘッドユニットの部分概略斜視図である。 図2に示すヘッドユニットに設置されるサブタンクの一例の概略斜視図である。 (A)〜(E)は、本発明のインクジェット記録装置に用いられるサブタンクの別の例の概念図である。 本発明のインクジェット記録装置に用いられるサブタンクの別の例の概念図である。 図1に示すインクジェット記録装置の記録ヘッドの概念図であり、(A)は斜視図、(B)は断面図である。 (A)、(B)および(C)は、図2に示す記ヘッドを説明するための概略図である。 図1に示すインクジェット記録装置のインク循環系の概念図である。 従来のインクジェット記録装置のインク循環系の概念図である。
符号の説明
10 (インクジェット)記録装置
12 保持手段
14 搬送手段
16 記録手段
18 インク循環手段
20 溶媒回収手段
26 筐体
30 給紙トレイ
32 フィードローラ
34 排出トレイ
36 搬送ローラ対
38 搬送ベルト
40 ローラ
42 導電性プラテン
44帯電装置
46 除電装置
48 分離爪
50 ガイド
52 定着ローラ対
60 ヘッドユニット
62 ヘッドドライバ
64 位置検出手段
70 記録ヘッド
72 ヘッド基板
74 吐出口基板
76 インクガイド
78 インク流路
80 浮遊導電板
82 第1制御電極
86 第2制御電極
86 絶縁性基板
88 ガード電極
90,92,94 絶縁層
96 吐出口
98 先端部分
100 供給サブタンク
102 回収サブタンク
104 支持部材
106 ガイドレール
108 ボールねじ
110 供給ライン
112 供給管
114 オーバーフロー管
130 メインタンク
134 戻りライン
136 ポンプ
138 補充手段
150 異物除去手段
150a、150b フィルター

Claims (6)

  1. 少なくとも色材を有し、かつ、荷電した粒子を分散媒に分散してなるインクに静電力を作用させて、前記インクの液滴を吐出するインクジェットヘッドと、
    前記インクを貯留するメインタンクと、
    前記メインタンクからインクジェットヘッドを経てメインタンクに戻る経路を含む所定経路で前記インクを循環するインクの循環手段と
    前記循環手段による循環経路の途中に配置されて前記インクを貯留する、底面の水平部分の面積が総底面積の50%以下であり、かつ最低位置に排出口を有する、少なくとも1つのサブタンクとを有することを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記サブタンクは、底面に水平部分を有さない請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記サブタンクの1つが、水頭圧を生じさせつつ前記インクジェットヘッドにインクを供給する供給サブタンクであり、
    かつ、この供給サブタンクはオーバーフロー機能によって前記水頭圧を一定圧に保ち、さらに、前記循環手段は、供給サブタンクをオーバーフローしたインクを、インクジェットヘッドを介さずに前記メインタンクに戻す請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記サブタンクの1つが、前記インクジェットヘッドよりも下方に配置され、インクジェットヘッドに供給され吐出されなかったインクを回収して、前記メインタンクに戻す回収サブタンクである請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記粒子の濃度が規定値よりも高い高濃度インクおよび前記分散媒の少なくとも一方を前記メインタンクに補充する、インク補充手段を有する請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記メインタンクから前記インクジェットヘッドまでの循環経路の途中に異物除去手段を有する請求項1〜5に記載のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
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