以下、本発明の本実施の形態を図面を参照して説明する。本発明に係る印刷データ作成装置として、公知の布帛印刷用のインクジェットプリンタ1(図1、図2参照)に接続し、インクジェットプリンタ1で印刷を行うための印刷データを作成する、公知のパーソナルコンピュータ200(図3参照)を例に挙げて説明する。
被印刷媒体であるTシャツ等の布帛は、印刷後に洗濯され、色落ちが発生することがある。また、布帛の繊維の種類によっては、毛羽立ちが発生したり、逆に毛羽立ちが落ち着いたりして、表面状態が変化し、色が変化して見えるようになることもあり、結果的に、印刷された画像が印刷前にイメージされた印刷結果とは異なる色合いの画像となってしまうことがある。そこで、本発明の印刷データ作成装置及び印刷データ作成工程では、被印刷媒体の印刷後に行われる洗濯後の色合いが、印刷前にイメージされた色合いとなるような色合いで印刷を行う印刷データを作成する。
まず、Tシャツ等の布帛を印刷するインクジェットプリンタ1について図1を参照して説明する。図1は、インクジェットプリンタ1の全体的な構成を示した斜視図である。図1に示すように、インクジェットプリンタ1は、左右方向を長手方向とする略直方体形状の筐体2を有し、その底面の略中央に、前後方向に向かう二本のレール3が列設されている。二本のレール3は、筐体2の垂直方向に立ち上げられた図示外の基部上にそれぞれ支持されており、その上部に、レール3に沿って筐体2の前後方向に移動可能な平板状のプラテン支持台(図示外)を支えている。そして、プラテン支持台の略中央に垂直に立ち上げられた支柱の上端には、取り換え可能なプラテン5が固定されている。
プラテン5は、平面視、筐体2の前後方向を長手方向とする略長方形状の板体であり、その上面に、例えばTシャツなどの布帛からなる被記録媒体を水平に載置するためのものである。プラテン5の上面には、印刷面を緊張状態にして載置されるTシャツ等の載置位置が印刷中にずれたりしないようにするため、滑り止め部材(図示外)が設けられている。また、プラテン5とプラテン支持台との間の略中間の位置にて支柱に固定されたトレー4は、プラテン5の上面と略平行な底面を有し、平面視、その外周がプラテン5より一回り大きめに構成されたトレーである。このトレー4は、利用者がTシャツ等をプラテン5に載置する際に、Tシャツのそで等を受けて筐体2の底面には落ちないように保護するためのものである。
また、プラテン支持台を移動させるためにレール3が設けられたプラテン駆動機構6の後端部にはプラテン駆動モータ7が設けられて、このプラテン駆動モータ7の駆動によって、プラテン支持台がレール3に沿って筐体2の前後方向に移動する。すなわち、プラテン駆動モータ7の駆動軸と、レール3の前端(筐体2の前面側にあたるレール3の端部)付近に設けられたプーリー(図示外)との間に駆動ベルト(図示外)が架け渡されており、その駆動ベルトに固定されたプラテン支持台が、ステッピングモータであるプラテン駆動モータ7の駆動によってレール3に沿って筐体2の前後方向に往復移動されるようになっている。
また、筐体2の前後方向の略中央で、かつ、プラテン5の上方の位置にて、筐体2の両側面間には、インクジェットヘッド21を搭載したキャリッジ20の移動を案内するためのガイドレール9が架設されている。このガイドレール9の左端付近に設けられたキャリッジモータ24と、右端付近に設けられたプーリー25との間に架設されているキャリッジベルト26は、ガイドレール9よりも下方の位置にて筐体2の左右にわたって配置されている。キャリッジベルト26はキャリッジ20の背面に固定されており、キャリッジモータ24の駆動によって、同じく背面に設けられた係合部(図示外)に係合されたガイドレール9に沿って、キャリッジ20が筐体2の左右方向に往復移動されるようになっている。キャリッジモータ24はDCモータであり、ガイドレール9に設けられたリニアエンコーダ(図示外)からの出力に基づき、キャリッジ20の位置検出が行われる。
また、本実施の形態のインクジェットプリンタ1では、シアンインク,マゼンタインク,イエローインク,ブラックインクが用いられている。そこで、インクジェットプリンタ1の左側面には、各インクを収容したインクカートリッジを着可能に収容するための4つのインクカートリッジ収容部30がそれぞれ設けられており、各インクカートリッジ収納部30には、それぞれブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクが収容されている。
そして、各インクカートリッジ収容部30には、それぞれインク供給用チューブ10a〜dが連結されており、ガイド部材40及びチューブ支持部材60を経由して、各色のインクジェットヘッド21に接続されている。尚、このインク供給用チューブ10a〜dは、ポリエチレン等からなる可撓性のチューブであり、インクジェットプリンタ1において、キャリッジ20の移動等に対応して屈曲や捩れが生じるような柔軟性を有する。また、ガイド部材40は、筐体2の左右方向の略中央であって、プラテン5の上方の位置に設けられ、キャリッジ20の背後において4本のインク供給用チューブ10a〜dを支持するものである。そして、チューブ支持部材60は、キャリッジ20の上端に設けられて4本のインク供給用チューブ10a〜dを支持するものである。
キャリッジ20には、4つのインクジェットヘッド21が搭載されている。各インクジェットヘッド21は、各インクを噴射するための、噴射チャンネル(図示外)を例えば128個ずつそれぞれ備えており、各噴射チャンネルには、各々個別に駆動される圧電アクチュエータ(図示外)が設けられ、各噴射チャンネルに対応してインクジェットヘッド21の底面に孔設された微細な噴射ノズル(図示外)から下向きに、インクの液滴が噴射されるように制御されている。よって、各インクカートリッジ収容部30に収容されているブラックインクが、インク供給用チューブ10a〜dによってインクジェットヘッド21に供給され、噴射ノズルから噴射される。
また、キャリッジ20がガイドレール9の右端に移動した位置には、各インクジェットヘッド21のノズル面に対して密着・離脱が可能な吸引キャップ23を有するパージユニット22が設けられている。パージユニット22には吸引ポンプ(図示外)が設けられており、各吸引キャップ23がインクジェットヘッド21に密着しているときに、吸引キャップ23を介してインクの吸引を行うことが可能となっている。また、印刷が行われないときには吸引キャップ23でインクジェットヘッド21のノズル面が覆われ、インクの乾燥が防止されている。
尚、ガイドレール9よりも前方の位置にて筐体2の左右にわたってクリアランスセンサ8が設けられている。クリアランスセンサ8は、記録実行時にプラテン5がレール3に沿って筐体2の前方から後方へ移動する際に、プラテン5に載置された被記録媒体の皺やゴミなどの障害物を検出する。
また、筐体2の右側手前の位置には、インクジェットプリンタ1の操作を行うための操作パネル28が設けられている。この操作パネル28には、ディスプレイ175、印刷ボタン182、中止ボタン183及びプラテン送りボタン188等が設けれている。そして、このプラテン送りボタン188が押下されるとプラテン5が被記録媒体であるTシャツ等の布帛をセット又は取り外し可能な位置にプラテン5が移動し、印刷ボタン182が押下されると、パーソナルコンピュータ200から受信した印刷データの印刷が開始される。また、印刷中に中止ボタン183が押下されると印刷が中止される。
次に、図2を参照して、インクジェットプリンタ1の電気的構成について説明する。図2は、本実施の形態のインクジェットプリンタ1の電気的な構成を示すブロック図である。図2に示すように、インクジェットプリンタ1の制御を司るCPU110が設けられており、CPU110には、バス190を介し、CPU110が実行するインクジェットプリンタ1の動作を制御するための制御プログラム等を記憶したROM120と、データを一時的に記憶するRAM130とが接続されている。
またCPU110には、バス190を介して、インク噴射を行うインクジェットヘッド21の各噴射チャンネルに設けられた圧電アクチュエータ(図示外)を駆動させるためのヘッド駆動部140と、インクジェットヘッド21を搭載したキャリッジ20を駆動するためのキャリッジモータ24、印刷時に被印刷対象の布帛であるTシャツを保持するプラテン5を送り出すタイミングや速度を調整するプラテンローラ(図示外)を駆動するためのプラテン駆動モータ7をそれぞれ制御して駆動させるためのモータ駆動部150と、パーソナルコンピュータ200を含めた外部機器にUSBケーブル(図示外)で接続して通信が行えるようにするためのUSBインタフェース160とが接続されている。
さらに、操作パネル28(図1)には、ディスプレイ175や電源ランプ172、データランプ173、エラーランプ174が設けられており、これらの表示処理を行う表示制御部170がバス190を介してCPU110にと接続されている。また、操作パネル28には、印刷ボタン182、中止ボタン183、プラテン送りボタン188(図1参照)に加え、メニューボタン184、左矢印ボタン185、右矢印ボタン186、確定ボタン187が設けられており、これらの入力の検知を行う入力検知部180が、バス190を介してCPU110にと接続されている。このディスプレイ175には、パーソナルコンピュータ200から受信中であったり、受信後印刷待機中であったり、印刷中であったり、印刷が完了したりした、印刷データのデータ名やサイズ等の情報が表示される。また、各種設定を行うためのメニュー画面(図示外)が表示されたり、エラー発生時にはエラーの内容が表示されたりする。また、メニューボタン184が押下されるとディスプレイ175にメニュー画面が表示され、左矢印ボタン185は、ディスプレイ175に表示されているカーソルを左へ移動させ、右矢印ボタン186は右へ移動させる。また、確定ボタン187が押下されると、カーソルが選択している項目に確定される。
そして、インクジェットプリンタ1のROM120には、インクジェットプリンタ1の動作を制御するための制御プログラム等や、印刷処理を実行するための印刷実行プログラムを記憶したプログラム記憶エリアと、プログラムの実行に必要な設定や初期値、データ等の情報を記憶したプログラム関係情報記憶エリア等が設けられている。
また、インクジェットプリンタ1のRAM130には、パーソナルコンピュータ200から受信した印刷データを記憶する受信印刷データ記憶エリアと、印刷ボタン182の押下により印刷が実行されている印刷データを記憶する印刷中データ記憶エリアと、各種設定情報が記憶される設定情報記憶エリア等が設けられている。
次に、図3乃至図5を参照して、パーソナルコンピュータ200について説明する。図3は、パーソナルコンピュータ200の電気的構成を示すブロック図であり、図4は、パーソナルコンピュータ200のRAM230の模式図であり、図5は、パーソナルコンピュータ200のハードディスクドライブ(以下、「HDD」という。)250の模式図である。図3に示す、パーソナルコンピュータ200は、例えばUSB等の規格に基づく通信ケーブルによってインクジェットプリンタ1に接続しており、グラフィックソフトで作成された画像データやスキャナで取り込まれた画像データ、デジタルカメラで撮影された画像データ等の各種画像データを印刷するための印刷データを画像データに基づいて作成し、作成された印刷データをインクジェットプリンタ1へ送信する。
図3に示すように、パーソナルコンピュータ200には、パーソナルコンピュータ200の制御を司るCPU210が設けられている。このCPU210には、バス290を介し、CPU210が実行するBIOS等のプログラムを記憶したROM220と、データを一時的に記憶するRAM230と、データの記憶媒体であるCD−ROM241を挿入し、データの読み込みを行うCD−ROMドライブ240と、データの記憶装置であるHDD250とが接続されている。
さらに、CPU210には、バス290を介して、インクジェットプリンタ1を含めた外部機器との通信を行うためのUSBインタフェース260と、利用者に操作画面を表示するためのモニタ271の画面表示処理を行う表示制御部270と、利用者が操作の入力を行うキーボード281やマウス282が接続され、それらの入力の検知を行う入力検知部280とが、接続されている。なお、パーソナルコンピュータ200には、図示外のフロッピー(登録商標)ディスクドライブ、音声等の入出力部、各種インタフェースなども設けられている。
なお、CD−ROM241には、印刷データ作成プログラムや、このプログラムの実行時に使用される設定やデータ等が記憶されており、導入時には、CD−ROM241からHDD250に設けられたプログラム記憶エリア251(図5参照)やプログラム関係情報記憶エリア252(図5参照)に記憶されるようになっている。尚、パーソナルコンピュータ200の印刷データ作成プログラム及びその使用データ等の取得方法はCD−ROM241によるものに限らず、フロッピー(登録商標)ディスクやMOといった他の記録媒体であっても限らず、また、パーソナルコンピュータ200をネットワークに接続させ、ネットワーク上の他の端末から取得してもよい。
尚、図4に示すように、RAM230には、印刷データを作成する元になる画像データである入力RGBデータを一時的に記憶する入力RGBデータ記憶エリア231、入力RGBデータから変換されたL*a*b*データを記憶する変換L*a*b*データ記憶エリア232、L*a*b*データから変換されたCMYKデータを記憶する変換CMYKデータ記憶エリア233、CMYKデータから作成された印刷データを記憶する印刷データ記憶エリア234、その他のプログラムの実行中の一時的なデータを記憶するその他の実行時情報記憶エリア235等が設けられている。さらに、RAM230には、図示外の各種記憶エリアが設けられている。
また、図5に示すように、HDD250には、印刷データ作成プログラムを始めとするパーソナルコンピュータ200で実行される各種のプログラムを記憶するプログラム記憶エリア251、プログラムの実行に必要な設定や初期値、データ等の情報を記憶したプログラム関係情報記憶エリア252、入力RGBデータからL*a*b*データへ変換するための色変換テーブルを記憶する入力側色変換テーブル記憶エリア253、L*a*b*データからCMYKデータへ変換するための色変換テーブルを記憶する出力側色変換テーブル記憶エリア254、画像データを記憶する画像データ記憶エリア255等が設けられている。さらに、HDD250には、図示外の各種記憶エリアが設けられている。
したがって、本実施の形態のインクジェットプリンタ1では、パーソナルコンピュータ200において印刷データ作成プログラムが実行されて印刷データが送信され、その印刷データ受信後、操作者がプラテン5へTシャツをセットし、印刷ボタン182が押下されると、まずキャリッジ20の移動経路が記録開始位置となるように、プラテン5がプラテン駆動モータ7の駆動によってレール3に沿って筐体2の後方に移動される。そして、キャリッジ20が筐体2の右方向から左方向へ移動しながら、記録指示に従ってインクジェットヘッド21からインクを吐出して1ラインの記録が行われる。そして、1ライン分プラテン5が筐体2の後方から前方へ移動され、次いで、キャリッジ20が筐体2の左方向から右方向へ移動しながら、記録指示に従ってインクジェットヘッド21からインクを吐出して1ラインの記録が行われる。そしてさらに1ライン分プラテン5が筐体2の後方から前方へ移動される。これらの動作が繰り返されることによって、Tシャツへの印刷が行われる。そして、印刷が終了すると、プラテン5がTシャツを取り外し可能な位置まで送り出されるので、操作者は印刷の終了したTシャツを取り外す。
ここで、パーソナルコンピュータ200及びインクジェットプリンタ1における色表現について説明する。パーソナルコンピュータ200のモニタ271等で色を表示する場合には、画像を形成する各画素毎にRGB値形式と呼ばれる形式で色が表現されている。これは、R(Red:赤)、G(Green:緑)、B(Blue:青)の光の三原色を用いる色の表現方法であり、赤を表すR値、緑を表すG値、青を表すB値の3種の数値により色を表現している。パーソナルコンピュータ200等で扱われるグラフィックソフトで作成された画像データやスキャナで取り込まれた画像データ、デジタルカメラで撮影された画像データ等はこれらの形式で色表現がなされていることが多い。
また、インクジェットプリンタ1等でインクを噴射させて印刷を行う場合には、CMYK値形式と呼ばれる形式で色が表現されている。これは、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の色の三原色に、K(ブラック)を加えた4色を用いる色の表現方法であり、C値、M値、Y値、K値の4種の数値により色を表現している。この形式で作られた印刷データを印刷するために、インクジェットプリンタ1では、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のインクが使用され、C値でシアンインクの噴射量が、M値でマゼンタインクの噴射量が、Y値でイエローインクの噴射量が、K値でブラックインクの噴射量が決定される。
このように、パーソナルコンピュータ200のモニタ271において表示されている画像データをインクジェットプリンタ1で印刷するためには、画像データをRGB値形式からCMYK値形式に変換する必要がある。そこで、L*a*b*値形式と呼ばれる色表現を仲介して、RBG値形式からCMYK値形式へ各画素の色表現方法を変換する。このL*a*b*値形式は、L*値、a*値、b*値の3種の数値により色を表現している。L*値は明度を表しており、a*値は赤から緑へ変化する色の度合いを示しており、正の値で数字が大きいほど赤が強く、負の値で数字が大きいほど緑が強くなっている。また,b*値は青から黄色へ変化する色の度合いを示しており、正の値で数字が大きいほど黄が強く、負の値で数字が大きいほど青が強くなっている。
そして、一般的にはRGB値形式をL*a*b*値形式へ変換する入力側色変換テーブル、L*a*b*値形式をCMYK値形式へ変換する出力側色変換テーブルが用いられている。RGB値とモニタ上での実際の表現色とはモニタの機種に依存するため、入力側色変換テーブルはモニタの機種毎に定義されている。そして、CMYK値と印刷結果の色合いとはインクジェットプリンタ1の機種やインクの種類に依存するため、出力側色変換テーブルはインクジェットプリンタ1の機種毎に定義されている。
そこで、本実施の形態の印刷データを作成する過程で発生する各データについて、図6を参照して説明する。図6は、印刷データの作成過程における各データの推移図である。図6に示すように、印刷データ340を作成するための基になるデータは入力RGBデータ310である。これは、グラフィックソフトで作成された画像データやスキャナで取り込まれた画像データ、デジタルカメラで撮影された画像データ等であり、RGB値形式で表現されている。そして、この入力RGBデータ310の各画素のRGB値が入力側色変換テーブル410に基づいてL*a*b*値に変換されると、変換L*a*b*データ320が作成される。そして、この変換L*a*b*データ320の各画素のL*a*b*値が出力側色変換テーブル420に基づいてCMYK値に変換されると、変換CMYKデータ330が作成される。そして、誤差拡散法により疑似階調処理が行われて印刷データ340が作成される。尚、入力RGBデータ310は入力RGBデータ記憶エリア231に記憶され、変換L*a*b*データ320は変換L*a*b*データ記憶エリア232に記憶され、変換CMYKデータ330は変換CMYKデータ記憶エリア233に記憶され、印刷データ340は印刷データ記憶エリア234に記憶される。
本発明の目的は、被印刷媒体の印刷後に行われる洗濯後の印刷結果の色合いが、入力RGBデータ310がモニタ271に表示された色合いとなるような色合いで印刷を行う印刷データ340を作成することである。そこで、本発明では、洗濯が行われることを想定した出力側色変換テーブル420を作成し、変換CMYKデータ330を作成する際にこの出力側色変換テーブル420を使用する。また、洗濯後の印刷結果の色合いは、被印刷媒体である布帛の種類(例えば、綿、レーヨン等)や洗濯方法(水洗いやドライクリーニング)等の洗濯条件により異なる。そこで、本実施の形態では、布帛の種類と洗濯方法との組み合わせ毎に出力側色変換テーブル420を作成し、操作者による洗濯条件の指示に従って出力側色変換テーブル420を決定して、変換CMYKデータ330を作成する。尚、入力側色変換テーブル410はHDD250の入力側色変換テーブル記憶エリア253に、出力側色変換テーブル420は出力側色変換テーブル記憶エリア254に記憶されている。
ここで、出力側色変換テーブル420の作成方法について説明する。まず、一般的に広く用いられているカラーパッチであるIT8のカラーパッチを被印刷媒体に印刷し、洗濯する。そして、洗濯後のカラーパッチを測色計で測色し、各カラーパッチのL*a*b*値を求める。これにより、あるカラーパッチについて、CMYK値(出力データ)、L*a*b*値(洗濯結果)が判明するため、L*a*b*値とCMYK値の対比テーブルである出力側色変換テーブル420を作成することができる。尚、全てのCMYK値の組み合わせに対するカラーパッチを印刷し、測色して出力側色変換テーブを作成するのではなく、所定種類のカラーパッチのみを印刷、測色して各カラーパッチのL*a*b*値を取得し、測色していない色については、周知の色補完方法(例えば、CMYK値をパラメータとして順に変化させ、体積補完を行う)により、IT8の測色データに基づいて補完して出力側色変換テーブルを作成してもよい。
本実施の形態では、布帛の種類と洗濯方法の違いによる4種類の出力側色変換テーブル420を準備する。綿を水洗いした場合の第1出力側色変換テーブル421,綿をドライクリーニングした場合の第2出力側色変換テーブル422,レーヨンを水洗いした場合の第3出力側色変換テーブル423,レーヨンをドライクリーニングした場合の第4出力側色変換テーブル424である。図7は、綿を水洗いした場合の第1出力側色変換テーブル421の模式図であり、図8は、綿をドライクリーニングした場合の第2出力側色変換テーブル422の模式図であり、図9は、レーヨンを水洗いした場合の第3出力側色変換テーブル423の模式図であり、図10は、レーヨンをドライクリーニングした場合の第4出力側色変換テーブル424の模式図である。尚、L*a*b*値の各値は(L*値,a*値,b*値)と表し、CMYK値の各値は(C値,M値,Y値,K値)と表すこととする。尚、RGB値はそれぞれ「0」〜「255」の256階調で表現され、CMYK値はそれぞれ「0」〜「255」の256階調で表現され、L*a*b*値は、L*値「0」〜「100」の101階調、a*値「−128」〜「127」の256階調、b*値「−128」〜「127」の256階調で表現される。
図7に示すように、綿を水洗いした場合の第1出力側色変換テーブル421では、L*a*b*値(50,0,0)はCMYK値(138,117,117,28)に変換され、L*a*b*値(50,0,10)はCMYK値(128,112,148,36)に変換され、L*a*b*値(50,0,20)はCMYK値(120,110,179,43)に変換され、L*a*b*値(50,0,30)はCMYK値(115,110,212,46)に変換され、L*a*b*値(50,0,40)はCMYK値(112,110,252,46)に変換され、その他のL*a*b*値については省略されている。
また、図8に示すように、綿をドライクリーニングした場合の第2出力側色変換テーブル422では、L*a*b*値(50,0,0)はCMYK値(132,111,110,19)に変換され、L*a*b*値(50,0,10)はCMYK値(127,105,144,30)に変換され、L*a*b*値(50,0,20)はCMYK値(118,106,178,41)に変換され、L*a*b*値(50,0,30)はCMYK値(106,102,205,44)に変換され、L*a*b*値(50,0,40)はCMYK値(110,105,246,40)に変換され、その他のL*a*b*値については省略されている。
また、図9に示すように、レーヨンを水洗いした場合の第3出力側色変換テーブル423では、L*a*b*値(50,0,0)はCMYK値(58,60,44,14)に変換され、L*a*b*値(50,0,10)はCMYK値(68,101,134,16)に変換され、L*a*b*値(50,0,20)はCMYK値(68,97,132,22)に変換され、L*a*b*値(50,0,30)はCMYK値(47,45,109,19)に変換され、L*a*b*値(50,0,40)はCMYK値(74,45,120,29)に変換され、その他のL*a*b*値については省略されている。
また、図10に示すように、レーヨンをドライクリーニングした場合の第4出力側色変換テーブル424では、L*a*b*値(50,0,0)はCMYK値(51,50,36,13)に変換され、L*a*b*値(50,0,10)はCMYK値(65,97,130,9)に変換され、L*a*b*値(50,0,20)はCMYK値(67,88,128,13)に変換され、L*a*b*値(50,0,30)はCMYK値(47,35,107,19)に変換され、L*a*b*値(50,0,40)はCMYK値(67,43,115,27)に変換され、その他のL*a*b*値については省略されている。
次に、図11を参照して、入力側色変換テーブル410について説明する。図11は入力側色変換テーブル410の模式図である。入力側色変換テーブル410では、RGB値に対応して変換されるL*a*b*値が記憶されている。尚、RGB値の各値を(R値,G値,B値)と表すこととする。図11に示す例では、RGB値(119,119,119)はL*a*b*値(50,0,0)に変換され、RGB値(125,119,102)はL*a*b*値(50,0,10)に変換され、RGB値(129,119,85)はL*a*b*値(50,0,20)に変換され、RGB値(132,118,67)はL*a*b*値(50,0,30)に変換され、RGB値(135,118,48)はL*a*b*値(50,0,40)に変換され、その他のRGB値については省略されている。
次に、入力RGBデータ310、変換L*a*b*データ320及び変換CMYKデータ330について説明する。図12は、入力RGBデータ310の一例である入力RGBデータ311の模式図であり、図13は、図12に示す入力RGBデータ311を入力側色変換テーブル411を用いて変換された変換L*a*b*データ321の模式図であり、図14は、図13に示す変換L*a*b*データ321が第1出力側色変換テーブル421(綿を水洗い)を用いて変換された場合の変換CMYKデータ331の模式図であり、図15は、図13に示す変換L*a*b*データ321が第2出力側色変換テーブル422(綿をドライクリーニング)を用いて変換された場合の変換CMYKデータ332の模式図であり、図16は、図13に示す変換L*a*b*データ321が第3出力側色変換テーブル423(レーヨンを水洗い)を用いて変換された場合の変換CMYKデータ333の模式図であり、図17は、図13に示す変換L*a*b*データ321が第4出力側色変換テーブル424(レーヨンをドライクリーニング)を用いて変換された場合の変換CMYKデータ334の模式図である。
図12に示すように、入力RGBデータ310の一例である入力RGBデータ311の1番目の画素のRGB値は(129,119,85)であり、2番目の画素のRGB値は(128,0,0)であり、3番目の画素のRGB値は(0,128,0)であり、4番目の画素のRGB値は(0,0,128)であり、5番目の画素のRGB値は(0,150,150)であり、6番目の画素のRGB値は(200,200,0)であり、7番目の画素のRGB値は(70,70,70)であり、8番目以降の画素については省略されている。
また、図13に示すように、変換L*a*b*データ320の一例であり、図12に示した入力RGBデータ311が入力側色変換テーブル411を用いて変換された変換L*a*b*データ321の1番目の画素のL*a*b*値は(50,0,20)であり、2番目の画素のL*a*b*値は(26,48,39)であり、3番目の画素のL*a*b*値は(48,−48,49)であり、4番目の画素のL*a*b*値は(11,41,−67)であり、5番目の画素のL*a*b*値は(56,−34,−10)であり、6番目の画素のL*a*b*値は(79,−13,78)であり、7番目の画素のL*a*b*値は(30,0,0)であり、8番目以降の画素については省略されている。
また、図14に示すように、綿を水洗いした場合の第1出力側色変換テーブル421を用いて変換された場合の変換CMYKデータ331では、1番目の画素のCMYK値は(120,110,179,43)であり、2番目の画素のCMYK値は(76,255,255,107)であり、3番目の画素のCMYK値は(242,33,255,28)であり、4番目の画素のCMYK値は(255,249,61,66)であり、5番目の画素のCMYK値は(226,68,132,20)であり、6番目の画素のCMYK値は(86,43,255,5)であり、7番目の画素のCMYK値は(130,160,153,114)であり、8番目以降の画素については省略されている。
また、図15に示すように、綿をドライクリーニングした場合の第2出力側色変換テーブル422を用いて変換された場合の変換CMYKデータ332では、1番目の画素のCMYK値は(118,106,178,41)であり、2番目の画素のCMYK値は(73,255,249,102)であり、3番目の画素のCMYK値は(219,25,255,17)であり、4番目の画素のCMYK値は(255,242,51,53)であり、5番目の画素のCMYK値は(219,61,127,12)であり、6番目の画素のCMYK値は(76,38,255,0)であり、7番目の画素のCMYK値は(127,153,147,107)であり、8番目以降の画素については省略されている。
また、図16に示すように、レーヨンを水洗いした場合の第3出力側色変換テーブル423を用いて変換された場合の変換CMYKデータ333では、1番目の画素のCMYK値は(68,97,132,22)であり、2番目の画素のCMYK値は(27,93,70,44)であり、3番目の画素のCMYK値は(61,13,105,11)であり、4番目の画素のCMYK値は(75,84,23,21)であり、5番目の画素のCMYK値は(104,22,39,6)であり、6番目の画素のCMYK値は(22,14,78,1)であり、7番目の画素のCMYK値は(52,40,43,31)であり、8番目以降の画素については省略されている。
また、図17に示すように、レーヨンをドライクリーニングした場合の第4出力側色変換テーブル424を用いて変換された場合の変換CMYKデータ334では、1番目の画素のCMYK値は(67,88,128,13)であり、2番目の画素のCMYK値は(26,88,66,39)であり、3番目の画素のCMYK値は(57,10,104,6)であり、4番目の画素のCMYK値は(72,83,20,17)であり、5番目の画素のCMYK値は(103,20,37,1)であり、6番目の画素のCMYK値は(19,9,76,0)であり、7番目の画素のCMYK値は(50,36,42,29)であり、8番目以降の画素については省略されている。
次に、パーソナルコンピュータ200で行われる印刷データ作成処理について、フローチャートを参照して説明する。この印刷データ作成処理は、印刷画面500にて洗濯条件の指定がなされて印刷が指示されると実行される。図18は、印刷画面500のイメージ図であり、図19は印刷データ作成処理のフローチャートであり、図20は、印刷データ作成処理の中で実施される出力側色変換テーブル決定処理のフローチャートである。
図18に示すように、印刷画面500には「印刷します。よろしいですか?洗濯条件を選択して下さい。」のメッセージが表示され、洗濯条件欄、OKボタン、キャンセルボタンが設けられている。洗濯条件欄ではラジオボタンにより、布種類及び洗濯方法を指定できるようになっている。布種類は「綿」,「レーヨン」の2種類から選択することができ、洗濯方法は「水洗い」,「ドライクリーニング」の2種類から選択できるようになっている。そして、OKボタンが選択されると印刷データ作成処理が実行され、キャンセルボタンが選択されると印刷データ作成処理は実行されない。尚、ラジオボタンにより洗濯条件が指定されていない場合には、「洗濯条件を指定して下さい。」等のメッセージの表示された印刷画面500が表示され、操作者に選択条件の指定が促される。
図19に示すように、印刷データ作成処理では、まず指定された洗濯条件にしたがって出力側色変換テーブル420の決定処理が行われる(S1)。具体的には、図20に示すように、印刷画面において布種類で「綿」が選択されており(S11:YES)、洗濯方法で「水洗い」が選択されていれば(S12:YES)、第1出力側色変換テーブル421に決定される(S13)。また、布種類で「綿」が選択されており(S11:YES)、洗濯方法で「ドライクリーニング」が選択されていれば、「水洗い」が選択されていないので(S12:NO)、第2出力側色変換テーブル422に決定される(S14)。また、「レーヨン」が選択されていれば、布種類で「綿」が選択されていないので(S11:NO)、洗濯方法で「水洗い」が選択されていれば(S15:YES)、第3出力側色変換テーブル423に決定される(S16)。また、布種類で「レーヨン」が選択されて、「綿」が選択されておらず(S11:NO)、洗濯方法で「ドライクリーニング」が選択されており、「水洗い」が選択されていなければ(S15:NO)、第4出力側色変換テーブル424に決定される(S17)。
このようにして、出力側色変換テーブル420が決定されると(S1)、印刷される画像データが入力RGBデータ記憶エリア231にセットされる(S2)。そして、1つ目の画素のRGB値が読み込まれる(S3)。図12に示す入力RGBデータ311の例では、画素番号「1」のRGB値(129,119,85)が読み込まれる。そして、読み込まれたRGB値に対応して入力側色変換テーブル410に記憶されているL*a*b*値が取得され、RGB値がL*a*b*値に変換され、変換L*a*b*データ記憶エリア232の該等画素番号欄に記憶される(S4)。次いで、S1で選択された出力側色変換テーブル420において、変換されたL*a*b*値に対応して記憶されているCMYK値が取得され、L*a*b*値がCMYK値に変換され、変換CMYKデータ記憶エリア233の該当が祖番号欄に記憶される(S5)。例えば、RGB値(129,119,85)は、図11に示す入力側色変換テーブル411が参照されて、L*a*b*値(50,0,20)に変換される。そして、洗濯条件として「綿・水洗い」が選択されていれば、S1にて第1出力側色変換テーブル421(図7参照)が選択され、CMYK値(120,110,179,43)に変換される。
そして、全ての画素について変換が行われたか否かの判断が行われる(S6)。まだ1つ目の画素の処理が行われたのみで、全ての画素についての処理が行われていないので(S6:NO)、S3へ戻り、次の画素のRGB値の読み込みが行われる(S3)。次いで、入力側色変換テーブル410から読み込まれたRGB値に対応して記憶されているL*a*b*値が取得され、RGB値がL*a*b*値に変換され(S4)、S1で選択された出力側色変換テーブル420において、変換されたL*a*b*値に対応して記憶されているCMYK値が取得され、L*a*b*値がCMYK値に変換される(S5)。そして、全ての画素についての変換が行われていないので(S6:NO)、S3へ戻る。図12に示す入力RGBデータ311の例では、RGB値(128,0,0)がL*a*b*値(26,48,39)に変換され(図13参照)(S4)、CMYK値(76,255,255,107)に変換される(図14参照)(S5)。
そして、S3〜S6の処理が繰り返し行われ、全ての画素についての変換が行われたらS6:YES)、誤差拡散法やディザマトリックス法による疑似階調処理を行い、印刷データが作成される(S7)。そして、作成された印刷データがインクジェットプリンタ1へ送信され(S8)、本処理は終了する。
以上のようにして、RGB値形式の色表現がL*a*b*値形式の色表現に変換され、選択条件に基づいて選択された出力側色変換テーブル420に基づいてL*a*b*値形式の色表現がCMYK値形式の色表現に変換されて印刷データが作成される。そして、その印刷データがインクジェットプリンタ1へ送信されて、印刷が行われる。被印刷媒体は印刷後に洗濯されるが、洗濯後の色合いに基づいて作成された出力側色変換テーブル420を使用してCMYK値が決定されて印刷が行われているので、洗濯後の印刷結果の色合いは、パーソナルコンピュータ200のモニタ271に表示された画像データの色合いとなる。
尚、上記実施の形態におけるパーソナルコンピュータ200が「印刷データ作成装置」に該当し、パーソナルコンピュータ200のHDD250の入力側色変換テーブル記憶エリア253及び出力側色変換テーブル記憶エリア254が「色変換テーブル記憶手段」に該当する。また、印刷画面500のラジオボタンが「選択条件指定手段」に該当し、布種類を指定するラジオボタンが「布帛入力手段」に該当し、洗濯方法を指定するラジオボタンが「洗濯方法入力手段」に該当する。また、図20に示す印刷データ作成処理(図19に示す印刷データ作成処理のフローチャートのS1)の処理を行うCPU210が「色変換テーブル選択手段」に相当し、図19に示す印刷データ作成処理のフローチャートのS2〜S7の処理を行うCPU210が「印刷データ作成手段」に相当する。
尚、本発明は、以上詳述した第1の実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。以下に、本発明を適用する第1の実施の形態の変形例について説明する。上記実施の形態では、布帛種類として「綿」及び「レーヨン」を例に挙げているが、布帛種類はこれに限らず、シルク、ウール、キュプラ、種々の混紡繊維や化学繊維等の他の布帛を選択できるようにしてもよいことは言うまでもない。また、洗濯方法として「水洗い」及び「ドライクリーニング」を例に挙げているが、洗濯方法はこれに限らないことは言うまでもない。他の洗濯方法として、「洗剤を使用した水洗い」、「アイロンがけ」、「水洗い2回」、「水洗い3回」等、洗剤・柔軟剤等の有無や種類、アイロンがけの有無などの洗濯方法、又は、洗濯の回数を選択できるようにしてもよい。また、「自然乾燥」、「日陰干し」、「乾燥機」等洗濯後の乾燥方法も加味して洗濯方法を分類してもよい。尚、これらの他の布帛種類や洗濯方法を扱う場合には、それぞれに対応した出力側色変換テーブル420を作成する。また、洗濯しない場合の出力側色変換テーブル420(従来の洗濯を考慮していない出力側色変換テーブル)も準備して、「洗濯しない」を選択できるようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、「洗濯条件指定手段」である「布帛入力手段」、「洗濯方法入力手段」として印刷画面500のラジオボタンを使用しているが、これらの洗濯条件の入力方法はラジオボタンによるものに限らず、リストボックス、コンボボックス、チェックボックスによる選択や、テキストボックスへの文字入力等の他の入力方法であってもよい。
また、被印刷媒体として使用する布帛の種類により洗濯方法が決まっている場合には、操作者により入力された布帛種類に基づいて洗濯方法を決定するようにしてもよい(請求項2)。例えば、上記実施の形態の印刷画面500(図18)の入力を制御するプログラムにおいて、図21のフローチャートに示すような処理を行い、布種類が「レーヨン」であれば、洗濯方法を「ドライクリーニング」に決定するようにしてもよい。
図21のフローチャートは、印刷画面500が表示されると実施される印刷画面500の入力受付処理のフローチャートである。印刷画面500が表示され、マウス操作又はキーボード操作により「レーヨン」のラジオボタンが選択されると(S51:YES)、布種類として「レーヨン」が指定される(S61)。具体的には、印刷画面500のラジオボタンに選択表示がなされ、その他の実行時情報記憶エリア235に設けられている布種類を記憶する記憶エリアに「レーヨン」を指定する情報が記憶される。そして、洗濯方法として「ドライクリーニング」が指定される(S62)。具体的には、印刷画面500の「ドライクリーニング」のラジオボタンに選択表示がなされて、「水洗い」のラジオボタンを選択不能とさせる。そして、その他の実行時情報記憶エリア235に設けられている洗濯方法を記憶する記憶エリアに「ドライクリーニング」を指定する情報が記憶される。そして、S51へ戻る。
そして、入力の受付処理が継続される中で(S51〜S56:NO)、「OK」ボタンが選択されたら(S51〜S55:NO、S56:YES)、洗濯条件の指定はされているので(S68:YES)、本処理は終了し、図19に示す印刷データ作成処理が開始される。また、「キャンセル」ボタンが選択された場合には(S51〜S54:NO、S55:YES)、記憶された洗濯条件がクリアされて(S67)、本処理は終了する。
また、マウス操作又はキーボード操作により「綿」が選択された場合には(S51:NO、S52:YES)、布種類として「綿」が指定される(S63)。具体的には、印刷画面500のラジオボタンに選択表示がなされ、その他の実行時情報記憶エリア235に設けられている布種類を記憶するエリアに「綿」を指定する情報が記憶される。そして、すでに布種類として「レーヨン」が指定されており、洗濯方法として「ドライクリーニング」が確定され、「水洗い」のラジオボタンを選択不能とされている場合には、洗濯方法欄が選択可能とされる(S64)。そして、S51へ戻る。
そして、「水洗い」が選択されたら(S51,S52:NO、S53:YES)、洗濯方法として「水洗い」が指定される(S65)。具体的には、印刷画面500の「水洗い」のラジオボタンに選択表示がなされて、その他の実行時情報記憶エリア235に設けられている洗濯方法を記憶する記憶エリアに「水洗い」を指定する情報が記憶される。また、「ドライクリーニング」が選択されたら(S51〜S53:NO、S54:YES)、洗濯方法として「ドライクリーニング」が指定される(S66)。そして、S51へ戻る。やがて「OK」ボタンが選択されたら(S51〜S55:NO、S56:YES)、洗濯条件の指定はされているので(S68:YES)、本処理は終了し、図19に示す印刷データ作成処理が開始される。尚、布種類と洗濯方法との両方が指定されていないにもかかわらず「OK」ボタンが選択されたら(S56:YES、S68:NO)、「洗濯条件を指定して下さい。」等のメッセージが表示され(S69)、S51へ戻り、印刷画面500への入力の受付処理が継続される。
尚、この場合には、印刷画面500の布種類のラジオボタンが「洗濯条件指定手段」の「布帛入力手段」に該当し、図21に示すフローチャートのS62の処理を行うCPU110が「洗濯方法決定手段」に相当する。
また、被印刷媒体として使用する布帛が1種類に決まっている場合や、布帛の種類により洗濯後の色合いにあまり差がないような布帛を扱う場合には、洗濯条件の指定として洗濯方法のみを指定するようにしてもよい(請求項3)。例えば、被印刷媒体として「綿」のみを扱う場合には、印刷画面600(図22参照)にて操作者に洗濯方法の指定のみを行わせる。図22は、印刷画面600のイメージ図である。図22に示すように、印刷画面600には、「印刷します。よろしいですか?洗濯方法を選択して下さい。」のメッセージが表示され、洗濯方法欄、OKボタン、キャンセルボタンが設けられている。洗濯方法欄では、ラジオボタンにより、「水洗い」,「ドライクリーニング」の2種類から洗濯方法が選択できるようになっている。そして、OKボタンが選択されると印刷データ作成処理が実行され、キャンセルボタンが選択されると印刷データ作成処理は実行されない。尚、ラジオボタンにより洗濯条件が指定されていない場合には、「洗濯条件を指定して下さい。」等のメッセージの表示された印刷画面600が表示され、操作者に選択条件の指定が促される。
また、パーソナルコンピュータ200では、出力側色変換テーブルとして第1出力側色変換テーブル421(綿・水洗い)(図7参照)及び第2出力側色変換テーブル422(綿・ドライクリーニング)(図8参照)のみを準備する。そして、印刷データ作成処理(図19参照)の出力側色変換テーブル決定処理(S1)において、洗濯方法として「水洗い」が指定された場合には第1出力側色変換テーブル421を使用し、洗濯方法として「ドライクリーニング」が指定された場合には第2出力側色変換テーブル422を使用する。この場合には、印刷画面600のラジオボタンが「洗濯条件指定手段」である「洗濯方法入力手段」に該当する。
また、上記実施の形態では、パーソナルコンピュータ200で印刷データを作成しているが、印刷データを作成する「印刷データ作成装置」はパーソナルコンピュータ200に限らず、インクジェットプリンタ1で印刷データを作成し、インクジェットプリンタ1を「印刷データ作成装置」としてもよい。
この場合には、操作パネル28のメニューボタン184、左矢印ボタン185、右矢印ボタン186、確定ボタン187の操作により、ディスプレイ175に「洗濯条件設定画面」を表示させ、洗濯条件を指定するようにすればよい。図23は、洗濯条件設定画面の一例である洗濯条件設定画面700のイメージ図である。図23に示すように、洗濯条件設定画面700には「布種類を選択して下さい」のメッセージ、「綿」ボタン、「レーヨン」ボタン、「OK」ボタン、「キャンセル」ボタンが表示されいる。例えば、左矢印ボタン185、右矢印ボタン186、確定ボタン187の操作により「綿」ボタンが選択されている状態で確定ボタン187が操作されると、「OK」ボタン又は「キャンセル」ボタンが選択可能となり、「OK」ボタンが選択されている状態で確定ボタン187が操作されると、選択条件として布の種類が「綿」で入力される。そして、次に洗濯方法を選択するための第2洗濯条件設定画面(図示外)が表示されるようにして、洗濯条件の入力を操作パネル28により行えるようにし、最終的に指定された洗濯条件の確認画面(図示外)を表示して、確認画面に設けられた「OK」ボタンが選択されたら印刷データ作成処理を実行させるようにすればよい。尚、この場合には、操作パネル28が「選択条件指定手段」、「布帛入力手段」、「洗濯方法入力手段」に該当する。
そして、パーソナルコンピュータ200からインクジェットプリンタ1へ入力RGBデータ310を送信させる。また、インクジェットプリンタ1のROM120には入力側色変換テーブル410及び出力側色変換テーブル420を記憶させておき、図19に示す印刷データ作成処理をインクジェットプリンタのCPU110で行うようにすればよい。尚、S8の「印刷データの送信」は「印刷データの出力(印刷)」となる。この場合には、インクジェットプリンタ1のROM120が「色変換テーブル記憶手段」に該当し、図20に示す印刷データ作成処理(図19に示す印刷データ作成処理のフローチャートのS1)の処理を行うCPU110が「色変換テーブル選択手段」に相当し、図19に示す印刷データ作成処理のフローチャートのS2〜S7の処理を行うCPU110が「印刷データ作成手段」に相当する。
また、インクジェットプリンタ1を「印刷データ作成装置」とする場合には、パーソナルコンピュータ200において、入力側色変換テーブル410を用いた入力RGBデータ310から変換L*a*b*データ320への変換処理(図19の印刷データ作成処理のS2,S3,S4,S6のみ)までを行い、変換L*a*b*データ320をインクジェットプリンタ1へ送信してもよい。そして、インクジェットプリンタ1には、出力側色変換テーブル420をROM120に記憶させておき、変換L*a*b*データ320から変換CMYKデータ330への変換処理を行うようにしてもよい。
つまり、インクジェットプリンタ1のCPU110において、受信した変換L*a*b*データ320の画素のL*a*b*値が1つずつ読み込まれ、操作パネル28の操作により指定された洗濯条件に基づいて選択された出力側色変換テーブル420を用いてCMYK値に変換され、すべての画素についてCMYK値への変換が行われたら、疑似階調処理を行って印刷データが作成される。そして、印刷データの出力(印刷)が行われる。この場合には、インクジェットプリンタ1のROM120が「色変換テーブル記憶手段」に該当し、操作パネル28の操作により指定された洗濯条件に基づいて、その洗濯条件と同じ洗濯条件で洗濯されたテストパッチを測色することにより作成された出力側色変換テーブル420を選択するCPU110が「色変換テーブル選択手段」に相当し、「色変換テーブル選択手段」で選択された出力側色変換テーブル420を用いて変換L*a*b*データ320から変換CMYKデータ330を作成し、疑似階調処理を行って印刷データを作成するCPU110が「印刷データ作成手段」に相当する。