JP2005224604A - 血液浄化膜およびそれを用いた血液浄化器 - Google Patents

血液浄化膜およびそれを用いた血液浄化器 Download PDF

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Abstract

【課題】血小板の活性化に起因する血栓の生成を抑制し、使用後の血液浄化器内に吸着
する蛋白量を減少させた、優れた血液適合性を有する血液浄化膜および血液浄化器を提供
すること
【解決手段】選択分離層が膜の血液接触面側に存在する血液浄化膜であって、少なくと
も膜の血液接触面がポリマー粒子の集合体で形成され、乾燥状態での血液接触面のポリマ
ー粒子径に対する湿潤状態での血液接触面のポリマー粒子径の比が1より大きく、かつ、
湿潤状態での膜血液接触面の中心面平均粗さ(Ra)が8nm未満である、血液適合性の非常
に優れた血液浄化膜、及びそれを挿填した血液浄化器。
【選択図】 なし

Description

本発明は新規な血液浄化膜および血液浄化器に関する。本発明の血液浄化器は、血液適
合性に優れた血液浄化器として、医療分野などに好適に用いられる。
血液浄化器は、血液透析、血液濾過、血液濾過透析、持続緩徐式血液濾過透析あるいは血漿分離等、血液中の特定成分を分離することで血液中の不要物を除去する目的で使用されている。
このような血液浄化器、特に中空糸状の血液浄化膜が挿填された中空糸型血液浄化器では、血液導出入部であるヘッダー及び中空糸等の血液接触面において、血液成分(例えば、血液凝固系などの凝固因子や止血細胞である血小板など)の活性化が起こることがしばしば認められている。
また、最近では、通常の血液透析の他に、より質の高い透析療法を目的として不要物の除去量を高めるために、血液濾過、あるいは血液濾過透析療法が施行されるようになってきている。しかし、これらの濾過療法は、通常の血液透析に比して使用時の膜間圧力差(血液側と透析液側あるいは濾液側の圧力差)が高いために、従来の血液浄化膜を使用していた場合では血漿蛋白が吸着しやすい傾向があり、この場合でも凝固因子や血小板などの活性化が起こることがあった。このような血液成分の活性化は、最終的には、残血と呼ばれるヘッダー内や中空糸膜内での血栓形成に至るので、残血性を改善するために様々な試みが成されてきた。
化学的なアプローチとしては、ヘッダーや中空糸膜の血液接触面に親水性ポリマーやヘ
パリン等の抗血栓性物質を固定化する技術が知られている。しかし、この方法では、材料
の表面修飾という工程を付加する必要がある上に、固定した物質の溶出や脱落、滅菌操作
による抗血栓性物質の活性の失活等の問題が十分に解決されていなかった。
これに対して、物理的なアプローチとしては、近年発展が著しい表面解析技術を利用し、血液接触面の平滑性を制御することで局所的な血液の流れを改善しようとする技術が挙げられる。例えば、特許文献1では、ヘッダーの内表面を平滑にする試みが成されているが、血液浄化器においては、血液と接触する大部分は血液浄化膜の内表面が占めるため、ヘッダー表面の改良だけでは残血を改善するのに十分とはいえなかった。
血液浄化膜の内表面を平滑にする試みとしては、例えば、特許文献2、3、5および非特許文献1を挙げることができる。このうち、特許文献2および3の技術は走査型白色干渉顕微鏡を用いて表面平滑性を特定したものであるが、特許文献2ではミクロンオーダーの表面構造を特定したに過ぎない。また、いずれも膜が実際に使用される際の条件、すなわち湿潤状態での表面特性について考慮されていなかった。特許文献5および非特許文献1の技術は、原子間力顕微鏡を用いて湿潤状態の表面平滑性が特定されているが、特許文献5では乾燥状態では粒子構造が観察されない膜に限られており、非特許文献1では表面改質したセルロース膜に限られている。膜表面の微細な構造は、膜素材や製膜条件によって全く異なるものと考えられるので、これらの知見を別の膜に適用することは容易ではなかった。
一方、血液浄化器においては、残血問題以外に分離性能を改善する試みも数多くなされ
ており、膜そのものやハウジングの設計に多くの改良が加えられている。例えば、特許文
献4では、先に述べた表面解析技術を利用して、膜を形成するポリマーの粒子径、および
乾燥時の粒子径と湿潤時の粒子径との比率を特定することで、血中蛋白の選択分離性を高
めている。ところが、この技術は、比較的粒子径が大きいケース(粒子径が50〜250nm)
に限定されるものであり、また、血中蛋白の選択分離性を改善することだけを目的とする
ものであった。
以上述べたとおり、血液浄化膜及び血液浄化器に関する従来技術においては、膜を形成するポリマー粒子が、乾燥時、湿潤時のいずれも50nmに満たないナノスケールで血液適合性に大きく関与することは知られていなかった。
特開2000-70680号公報 特開2000-126286号公報 特開平11-309353号公報 特開2002-45662号公報 特開2003-10322号公報 M. Fukuda, M. Miyazaki, T. Hiyoshi, M. Iwata, T. Hongou Newly Development Biocompatible Membrane and Effects of its Smoother Surface on Anti-thrombogenisity Journal of Polymer Science(アメリカ),(John Willy & Sons Inc.,), 1999, 10巻 72, p.1249-1256(1999)
本発明は、従来技術において十分に達成されていなかった血小板の活性化に起因する血
栓の生成を抑制し、使用後の血液浄化器内に吸着する蛋白量を減少させた、優れた血液適
合性を有する血液浄化膜および血液浄化器を提供することを目的とする。
本発明者らは、血液浄化膜のうち、血液と接触する膜表面の構造に着目し、膜表面を構
成するポリマー粒子がどの程度の大きさで、どのような状態で積層し、ひいてはどのよう
な粗さなのか、といった構造因子が血液適合性を大きく左右すると考えた。
本発明者らは、このような観点にたち、鋭意研究を進めた結果、血液浄化膜の血液と接
触する側の面が、少なくともナノメーターオーダーのポリマー粒子の集合体で形成されて
おり、実際の使用状況下ではポリマー粒子が水で膨潤し、かつ膜表面が平滑である、血液
適合性の非常に優れた血液浄化膜、とそれらを挿填した血液浄化器を見出し、本発明をす
るに至った。
すなわち、本発明は以下の内容を包含するものである。
(1)少なくとも血液接触面がポリマー粒子の集合体で形成され、該血液接触面側に選
択分離層が存在する血液浄化膜において、乾燥状態でのポリマー粒子の平均直径に対する
湿潤状態でのポリマー粒子の平均直径の比が1より大きく、かつ、湿潤状態での血液接触
面の中心面平均粗さ(Ra)が8nm未満であることを特徴とする血液浄化膜。
(2)少なくとも血液接触面がポリマー粒子の集合体で形成され、該血液接触面側に選
択分離層が存在する血液浄化膜において、乾燥状態での血液接触面のポリマー粒子径に対
する湿潤状態での血液接触面のポリマー粒子径の比が1より大きく、かつ、湿潤状態での
血液接触面でのポリマー粒子径が30nm未満であることを特徴とする血液浄化膜。
(3)血液浄化膜が疎水性ポリマーおよび親水性ポリマーよりなる上記(1)又は(2)に記載の血液浄化膜。
(4)疎水性ポリマーがポリスルフォン系ポリマー、親水性ポリマーがポリビニルピロ
リドンである上記(1)〜(3)のいずれかに記載の血液浄化膜。
(5)血液浄化膜が、血液濾過または血液濾過透析用または持続緩徐式血液濾過透析用
である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の血液浄化膜。
(6)血液浄化膜が筒状プラスチック容器内に挿填され、該血液浄化膜の両端部が束ね
られており、その両端部が封止剤で包埋された血液浄化器であって、該血液浄化膜が上記
(1)〜(5)のいずれかに記載の血液浄化膜である血液浄化器。
本発明は、ポリマー粒子径を50nmに満たないナノメーターオーダーで制御することで血液適合性を向上させることを初めてなし得たものである。本発明によれば、実際の使用状況下、すなわち水の存在下において、血液浄化膜を形成するポリマー粒子が適度に膨潤し、血液接触面が極めて平滑になる。その結果、血小板の活性化や血中蛋白の吸着を抑制できるので残血性が改善され、しかも透過性能が長時間にわたって維持されるという効果も奏する。さらに、この血液浄化膜を挿填した血液浄化器もまた、血液適合性に優れるものである。
本発明によると、紡糸原液の相溶性を高め、それを製膜して得られた血液浄化膜の血液との接触面の構造を最適化することにより、血小板の活性化に起因する血栓の生成を抑制し、使用後の血液浄化器内の中空糸膜に吸着する蛋白量を減少させた、血液適合性の非常に優れた血液浄化膜および血液浄化器が得られる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
血液浄化膜の代表的な機能である血液中の特定成分の選択分離性は、血液浄化膜の血液
と接触する面の選択分離層がどのような構造であるか、ということにより決められる。そ
して、選択分離層はポリマー粒子の集合体でもあるので、選択分離層の構造は、ポリマー
粒子の粒子径や積層状態によって決められることは知られていた。本発明者らは、血液浄
化膜のもう一つの代表的な機能である血液適合性についても、前記選択分離層の構造、す
なわちポリマ−粒子の粒子径や積層状態によって大きく左右されると考えたのである。
本発明では、血液浄化膜を構成する湿潤状態および乾燥状態でのポリマー粒子径、ある
いは血液浄化膜の中心面平均粗さ(Ra)を測定する手段として、原子間力顕微鏡での観察
を応用することにより評価を行うことができる。原子間力顕微鏡は物質表面の原子間力を
検知し、増幅することによって画像化を可能としている。そのため、乾燥状態では勿論、
湿潤状態でも、3次元的な画像を捉えることが可能である。さらに、観察のためにサンプ
ルに白金蒸着する等の前処理が不要であるので、従来の示差走査型電子顕微鏡等での観察
に比べて、より実態に近い画像を捉えることができる。
本発明でいうポリマー粒子径とは、原子間力顕微鏡にて観察される膜表面を構成する粒
子の直径のことである。図1の粒子径測定概念図を用いて具体的に説明すると、中空糸の
AFM画像において中空糸繊維軸に垂直な方向のポリマー粒子を無作為に100個サンプリングし、各々の粒子について面粗さ解析機能を使用して断面プロファイルを求め、その断面プロファイルから該粒子の直径を求め、それらの平均値を該AFM画像の粒子の直径とした。なお、粒子の直径の測定では、膜表面の該AFM画像の断面プロファイルにおいて、粒子の凸形状の底辺部分を粒子の直径とした。
血液浄化膜が血液と接触している際には、血液との接触面を構成しているポリマー粒子
は水で膨潤しており、この膨潤性が血液適合性にとって非常に重要である。
本発明でいう膨潤とは、乾燥状態の膜表面に比べて湿潤状態の膜表面が水で膨らんでい
ることをいうが、具体的には、乾燥状態の膜表面のポリマー粒子径に対する湿潤状態の膜
表面のポリマー粒子径の比で特定される。膨潤性が適切であると、膨潤しているポリマー
粒子が血漿蛋白や血小板など血液中成分との緩衝材として機能し、血液中成分の活性化が
抑えられる。膨潤性が低いと、そのような機能が働かず、血漿蛋白が吸着しやすく、血小
板も活性化しやすい。すなわち、血液適合性が不良となる。従って、乾燥状態のポリマー
粒子径に対する、湿潤状態にて膨潤した状態のポリマー粒子径の比は1より大きいことが
必要であり、好ましくは1.3、より好ましくは1.5より大きいことである。
ただし、逆にこの比が大きすぎると膨潤しているポリマー粒子が血漿蛋白や血小板など
血液中成分との緩衝材として機能しない場合があるので、湿潤状態にて膨潤した状態のポ
リマー粒子の平均直径の比は1.8よりは小さいことが好ましい。
本発明でいう中心面平均粗さ(Ra)とは、表面の平滑性を定量化する指標であり、膜の
血液接触面の凹凸状態を言う。具体的には、面粗さ解析機能を使用して、AFM3次元画像
から中心面平均粗さRaを算出したものであり、JIS B601により一般的に汎用されている次
の算出式(1)に従って求められる。本発明において、f(x)は、あるAFM画像における任
意の位置xにおける表面凹凸形状を表す関数である。
ただし、ここでLはRaを算出する範囲の長さ(基準長さ)である。
膜の血液接触面の粗さが小さいほど、膜と血液とが接触する際のずり応力は低く抑えら
れるが、Raが8nm未満であれば、ずり応力は十分に小さく抑えられ、血漿蛋白や血小板に
負荷がかからない。この結果、血漿蛋白が吸着しにくく、血小板も活性化しにくい。すな
わち、血液適合性が良好となる。
従って、本発明では、湿潤状態での膜の血液接触面の中心面平均粗さ(Ra)は8nm未満
であることが必要であり、好ましくは6nm未満であることが必要である。
中心面平均粗さは小さければ小さいほど望ましいが、血液接触面がポリマー粒子で構成
されていることから考えて、実質的には0nmよりは大きくなる。
本発明の血液浄化膜は、ポリマー素材からなる多孔質構造であり、平膜や中空糸膜に製
膜されるが、血液浄化器の小型化、単位膜面積あたりの性能効率の観点から、中空糸膜が
用いられる場合が多い。
本発明でいう血液浄化膜の素材としては、特に限定する必要はないが、ポリスルフォン
系、ポリエーテルスルフォン系、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポ
リアクリロニトリルなどの合成ポリマーや、酢酸セルロース、三酢酸セルロース、あるい
は 再生セルロースなどのセルロース系ポリマーなどが挙げられる。
これらの素材のうち、前記の合成ポリマーのような疎水性ポリマーは、共重合やブレン
ド等によって様々な特性を付与することが可能であり、また、製膜条件の選択幅が広いこ
とから好ましく用いられる。中でも、ポリスルフォン系ポリマーは、近年、血液浄化膜の
素材として最も普及している素材であり、機械的強度・化学的安定性・生物学的安全性と
いう血液浄化膜に必要な特性を全て兼ね備えているので好ましく使用できる。
本発明でいうポリスルフォン系ポリマー(以下、PSfと略すことがある)とは、スルホ
ン結合を有するポリマー結合物の総称であり特に限定するものではないが、例を挙げると

または
に示される繰り返し単位をもつポリスルフォン系ポリマー樹脂が広く市販されており、入
手も容易なため好ましく用いられる。前者の構造を持つポリスルフォン樹脂は アモコ・
エンジニアリング・ポリマーズ社より「ユーデル」の商標名で、また、ビー・エー・エス
・エフ社より「ウルトラゾーン」の商標名で市販されており、重合度等によっていくつか
の種類が存在する。
膜素材が特に疎水性ポリマーである場合は、膜表面に親水性を付与して血液適合性を良
好にするために、疎水性ポリマーとあわせて親水性ポリマーを用いる。
本発明でいう親水性ポリマーの素材としては、ポリエチレングリコールなどのポリアル
キレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチ
ルメタクリレートなどが挙げられるが、特に限定されない。また、疎水性ポリマーに親水
性ポリマーを結合させたり、吸着させたもの、あるいは疎水性ポリマーを化学処理、プラ
ズマ処理させたものなども使用することができ、親水化されていれば特に限定されない。
これらの親水性ポリマーの中では、親水性に優れる一方で膜表面に比較的残存しやすい
ポリビニルピロリドンが特に好ましく使用される。ポリビニルピロリドン(以下、PVPと
略すことがある)は、N-ビニルピロリドンをビニル結合させた水溶性のポリマー化合物で
あり、アイ・エス・ピー社より「プラスドン」の商標名で、また、ビー・エー・エス・エ
フ社より「コリドン」の商標名で市販されており、それぞれいくつかの分子量のものがあ
る。これらについては特に限定しない。
膜の構造については、膜厚断面方向において比較的均一な構造をもつものや、あるいは
血液と接触する面が緻密で血液接触面から外表面にむかって多孔性が増す構造、あるいは
血液と接触する面とその逆側の面の両面が緻密で、その両面の内側が比較的多孔な、いわ
ゆるダブルスキン構造、などが存在するが、本発明ではいずれの構造の膜も使用できる。
本発明の血液浄化膜および血液浄化器では、通常の血液透析に比して、血液濾過、ある
いは血液濾過透析療法に好適に用いられる。血液濾過、あるいは血液濾過透析では、通常
の血液透析に比して使用時の膜間圧力差(血液側と透析液側あるいは濾液側の圧力差)が
高いために、従来の血液浄化膜を使用していた場合では血漿蛋白が吸着しやすく、その結
果血液浄化器内に残血してしまい、治療を中断せざるを得ないなどといった問題もあった
。本発明の血液浄化膜および血液浄化器では、残血等が格段に減り、耐久時間も大幅に延
長することができるようになった。
さらに、最近では 敗血症や多臓器不全による急性腎不全の治療に、持続緩徐式血液濾
過透析が施行されるようになってきているが、持続緩徐式血液濾過透析では、1日ないし
長い場合では数日間もの間連続して治療する場合もある。したがって、この持続緩徐式血
液濾過透析の場合でも、従来以上に血液適合性に優れた血液浄化膜および血液浄化器を使
用することが求められる。
本発明の血液浄化器の形状は、血液浄化膜が中空糸膜の場合であれば、中空糸膜を数百
から数万本を束ねて円筒形プラスチック製容器に挿填した後、両端部を封止剤(主にポリ
ウレタン樹脂)で包埋すると同時に中空糸を容器に固定して半製品を作成し、さらに血液
を導入する部品を取り付けたものである。
最近の血液透析療法では、透析アミロイド病状の改善のために、原因物質とされている
β2-ミクログロブリン(分子量:11,800)を十分に透過させるが、アルブミン(分子量:
67,000)をほとんど透過させない血液浄化器が求められている。本発明の血液浄化器の溶
質除去性能としては、β2-ミクログロブリンのクリアランスが40ml/minより大きく、アル
ブミン篩係数が0.02以下である。アルブミン篩係数は0.02以下であれば人体に有効なアル
ブミンを大きく損失することはなく血液浄化器として好ましい。
本発明における血液浄化膜の製膜に際しては、従来より一般的に知られている技術である乾湿式製膜技術を利用できる。以下、疎水性ポリマーとしてポリスルホン(PSf)、親水性ポリマーとしてポリビニルピロリドン(PVP)を例として詳細に説明する。
まず、PSfとPVPの両方を共通溶媒に溶解し、均一な製膜原液を調整する。このようなPSf及びPVPを共に溶解する共通溶媒としては、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルホルムアミド、スルホラン、ジオキサン等の多種の溶媒あるいは上記2種以上の混合液からなる溶媒が挙げられる。本発明の製膜原液は、これらのPSfとPVPと溶媒とを少なくとも含有していれば良く、紡糸原液には、孔径制御のために水などの他の添加物を加えても良い。
湿潤状態での膜の血液接触面の中心面平均粗さ(Ra)を8nm未満にするには、ポリマー粒子径を50nmに満たないナノメーターオーダーで制御することが重要であるが、本発明者らの知見によれば、例えば製膜原液の相溶性(均一性)を制御することによりこれを達成することができた。すなわち、製膜原液中の各ポリマーの相溶性をより一層高めた原液を用いて製膜することにより、膜の血液接触面を構成するポリマー粒子径を小さくすることができ、その結果、膜の血液接触面の中心面平均粗さを小さくすることができる。
例えば、製膜原液の溶解においては、ジメチルアセトアミド等の溶剤にPVPやPSf等のポ
リマーを添加して溶解させるが、この際の溶解温度を高くする、および/または、溶解時間を通常の数時間から数十時間あるいはそれ以上に長くすると、ポリマーの相溶性を格段に増すことができる。さらに、溶解中または溶解後の製膜原液を強制的に微細空隙に通過させることでもポリマーの相溶性を増すことができる。また、超音波処理する、通常より高い回転数で強制攪拌する、あるいはこれらの処理を適宜組み合わせることにより、きわめて相溶性の高い製膜原液を作成することができる。これらの相溶性を高める方法であればいずれの方法でも構わないが、フィルターに代表される微細空隙を用いてポリマーを通過させた場合には、粘調な紡糸原液の混和と同時に異物、フィルター孔径より大きなポリマー粒子、その他未溶解物等を除去することができる点から、好ましい。その一例として、金属製の不織布フィルターを用いた濾過操作等が挙げられる。
PVPを製膜原液へ添加する目的は、中空糸膜内にPVPを残存させて膜に親水性を付与することである。その際、PSfに対するPVPの混和比率および紡糸原液中のPVPの分子量が、得られる中空糸膜の乾燥状態での血液接触面のポリマー粒子径に対する湿潤状態の血液接触面のポリマー粒子径の比を決める上で極めて重要である。その理由は、このポリマー粒子径の比が大きい方が、乾燥状態のポリマー径に対して湿潤状態のポリマー径が大きく、膨潤しているポリマー粒子の層が血液中成分との緩衝材として機能するものと考えられ、これにより、血栓が形成されたり、蛋白が中空糸膜に吸着するといった血液への悪作用が抑えられるものと考えられるからである。上記の点から、混和比率は20%以上であることが好ましく、より好ましくは25%以上である。反対に、混和比率が高すぎるとPVPの溶出量が増加するおそれがあり、また膨潤せずに反って収縮したケースも認められたため、50%未満であることが好ましい。なお、混和比率とは製膜原液中のPVP重量/(PSf重量+PVP重量)×100のことをいう。
また、PVPの分子量については、PVPの分子量が小さすぎると膜への残存率が低いため、紡糸原液の凝固時や紡糸後の中空糸膜の洗浄時にPVPが容易に膜から溶出してしまう、すなわちロスが増える。そのため、中空糸膜に一定の親水性を付与するのに必要なPVPを中空糸膜中に残存させるには、より多量のPVPを紡糸原液へ添加せざるを得なくなって製造コストを増大させる結果となる。反対に、PVPの分子量が大きすぎても紡糸原液の凝固時や紡糸後の中空糸膜の洗浄時にPVPが容易に膜から溶出してしまい、膜への残存率は低くなる。このため、PVPの中空糸膜への残存率を高めるには、適切な分子量分布のPVPを用いることが重要であり、式(2)で定義されるK値が88〜95、好ましくは89〜94のPVPを用いることが好ましい。
ここで、Zは濃度Cの溶液の相対粘度率、 およびCは(重量/容量)%の濃度である。
従来の技術では、十分な血液適合性を得るために、血液接触面のPVP濃度を最適化する方法が検討されることがあったが、そのためには、製膜原液中のPVP濃度もそれ相応に高める必要があった。その結果、膜中に残存するPVPの量まで増大してしまい、PVPの溶出量が増大するという問題や、中空糸膜の強度が低下するという問題が発生していた。
しかしながら、本発明によれば、PVP濃度を必要以上に高めた製膜原液を用いなくても、例えば各ポリマーの相溶性を高めた製膜原液を用いて製膜することにより、血液適合性に優れた膜を得ることができる。その理由は定かではないが、かかる製膜原液を用いて製膜した場合、膜の血液接触面を構成するポリマー粒子径が小さくなり、中心面平均粗さが小さくなると同時に、血液接触面のPVP濃度も最適化されたものと推定される。
次に、前記の製膜原液を内部液と共に二重環状ノズルから空気雰囲気中に吐出させ、下方に設けた凝固浴に浸漬して中空形状の膜を得る。内部液や凝固浴の組成、温度、紡糸速度等は特に限定しないが、吐出部のエアギッャプは、囲い等を設けて内部の温湿度を調整することが好ましい。さらに、凝固後の中空糸を通常の湿式製膜方法に準じて洗浄し、乾燥させるが、その際、比較的高めの温度で短時間のうちに中空糸から水分を奪い去る乾燥方法が特に好ましく、水の沸点以上の温度で、しかもPVPの熱変性が起こりにくい温度の熱風を数分程度吹き付けて急激に乾燥させるとよい。乾燥温度としては100〜170℃であり、より好ましくは130〜160℃である。本発明の血液浄化膜に特徴的な膜構造を得る上で、前述の均一化した製膜原液から得られる中空糸をこのように乾燥することが特に好ましい。
このようにして得られた血液浄化膜は、公知の方法によって血液浄化器に成型される。
すなわち、膜の束を、透析液等の出入り口となるノズルを有する筒状プラスチック容器に
挿填し、束の両端部をウレタン等の硬化性封止材で包埋する。包埋樹脂が硬化した後、両
端部の包埋樹脂の一部を切断して中空糸膜を開口させ、この半製品に、血液の導入、導出
用のノズルを有するヘッダーキャップを取り付ければよい。さらに、本血液浄化器は医療
用途であるから、放射線、高圧蒸気、ガス等によって滅菌処理すれば、本発明の血液浄化
器が得られる。
なお、本発明の血液浄化膜においては、ポリマー粒子径の膨潤性や中心面平均粗さ(Ra
)は、製膜条件だけではなく、血液浄化器に組み立てて滅菌する際の膜の含水状態や滅菌
方法にも大きく影響される。例えば、乾燥状態の膜を滅菌する場合よりも湿潤状態の膜を
滅菌する場合の方が、本発明の膜の表面特性を得やすいので好ましい。また、同じ乾燥状
態膜を滅菌する場合には、γ線よりも電子線にて滅菌する場合の方が本発明の膜の表面特
性を得やすいので好ましい。さらに、湿潤状態の膜を滅菌する場合では、酸化あるいはラ
ジカル等の攻撃から膜を保護した上で滅菌すると、やはり本発明の膜の表面特性を得やす
いので好ましい。このような例としては、抗酸化剤やラジカルスカベンジャー等を溶解し
た溶液で膜を湿潤状態に保持して滅菌すればよく、グリセリンや二亜硫酸ナトリウム水溶
液等を用いることができる。
これらの理由は定かではないが、上記の滅菌処理により、血液接触面のPVPが部分的に
架橋するためと考えられる。一般に、PVP鎖が完全に架橋する場合、PVP鎖に満遍なく架橋
点が形成されるため、PVPの分子量分布に応じて中心面平均粗さが大きくなる。また、PVP鎖が固定構造化するため膨潤性も制御できない。それに対して本発明の部分架橋の場合、PVP鎖の架橋点が制限されるため、PVP鎖が血液接触面にて自由運動し、そのためPVPの分子量分布によらず中心面粗さが小さくなるものと推定される。
以下に、本発明で用いる測定方法、評価方法について説明し、次に具体的な実施例及び
比較例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに何ら限定されるものではない
〔血液接触面の粗さ〕
本発明では、湿潤状態および乾燥状態でのポリマー粒子径、あるいは中心面平均粗さ(
Ra)を測定する手段として、原子間力顕微鏡での観察を応用することにより評価を行うこ
とができる。
[AFMサンプル準備]
乾燥状態の中空糸膜は、両刃かみそりを用いて繊維軸方向に斜めに切断し、スチール製
の試料円板上に透明マニキュアにて固定後、血液接触面を露出させる形でサンプルとした

湿潤状態の中空糸膜は、24時間以上、十分に水に浸漬させたものを使用した。乾燥膜
と同じように、繊維軸方向に斜めに切断して、これをスチール製の試料円板上に透明マニ
キュアにて固定し、血液接触面を露出させる形でサンプルとした。
[観察法]
血液接触面の形態観察は、原子間力顕微鏡(AFM)で行った。AFMはSHIMADZU社製の走査
型プローブ顕微鏡(SPM 9500-J3)を使用した。
観察モードは、大気中コンタクトモード、液中コンタクトモードとした。プローブには
、NP-S(120μm, wide, Digital Instruments USA)を用いた。走査時にサンプルにかか
る力を最小限に抑え(オペレーティングポイント 0.3Vに設定)、走査速度を0.2Hz、走
査範囲を2μm×2μmとし、AFMの3次元画像を得た。
[コンタクトモード]
本発明では、従来不可能であった50nm未満のポリマー粒子構造の観察を、コンタクトモ
ードにて、かつ試料にかかる力を最小限に制御し、さらに該サンプルに適したプローブを
使用することで可能とした。
[画像処理]
得られた画像は、傾き補正(ライン中央値との差分x、yを採用)、ノイズライン除去
、周波数フィルタの順に、処理を施した。傾き補正では、測定時の試料の傾きに起因する
画像データの傾斜を補正する。ノイズライン除去では、測定時のカンチレバーの針とびや
瞬時的なノイズに起因する画像データ上のノイズラインを除去する。周波数フィルターで
は、画像データの空間周波数的なフィルタリングを行う。
[中心面平均粗さ]
中心面平均粗さ(Ra)については、面粗さ解析機能を使用して、AFM3次元画像から算出
した。Raは、JIS B601の算出式(3)に従って求めた。
ここで、LはRaを算出する範囲の長さ(基準長さ)である。
〔ポリマー粒子径測定法〕
ポリマー粒子径測定法については、既にSHIMADZU社製の走査型プローブ顕微鏡SPM 9500
-J3を使用した場合について述べたが、勿論、その他市販の装置で同様の操作をそのまま
使用することが出来る。
また、血液適合性の指標としては、血小板粘着量(乳酸脱水素酵素(LDH)活性)、お
よび血漿蛋白吸着量を用いた。
〔血小板粘着量〕
長さ15cmの中空糸状膜を10本束ねて小型モジュールを作製し、該モジュールにヘパリン
添加ヒト新鮮血を線速1.0cm/秒にて15分間通過させ、続いて生理食塩水を1分間通過させ
た。次に中空糸状膜を5mm間隔程度に細断し、0.5%ポリエチレングリコールアルキルフェ
ニルエーテル(和光純薬工業社製 商品名トリトンX-100)を含む生理食塩水中で超音波
照射して膜表面に粘着した血小板から放出される乳酸脱水素酵素(以下、「LDH」という
)を定量することにより膜面積(血液接触面換算)当たりのLDH活性として算出した。酵
素活性の測定はLDHモノテストキット(ベーリンガー・マンハイム・山之内社製)を使用
した。
〔血漿蛋白吸着量〕
膜への血漿蛋白吸着量は、限外濾過時間を240分にした以外は下記のアルブミン篩係数
測定と同様な操作を行った後、生理食塩水で1分間洗浄した。次に中空糸状膜を5mm間隔
程度に細断し、1.0%ラウリル硫酸ナトリウムを含む生理食塩水中で攪拌して抽出した血
漿蛋白を定量することにより膜重量当たりの蛋白吸着量として算出した。蛋白濃度はBCA
プロテインアッセイ(ピアース社製)を使用した。
〔β2-ミクログロブリンのクリアランス〕
β2-ミクログロブリンのクリアランスは、1.5m2の有効膜面積のモジュールに、牛血漿流量200mL/分、透析液流量500mL/分、濾過液流量15mL/分の条件下で日本人工臓器学会の性能評価基準に従い測定した(牛血漿および透析液を循環開始後60分経過後)ものである。また、同様に循環開始後240分経過後のβ2-ミクログロブリンのクリアランスも測定し、60分時に対する240分時のβ2-ミクログロブリンの低下率(%)を求めた。すなわち、「100×(60分値−240分値)/60分値」のことをいう。
〔アルブミンの篩係数〕
アルブミン篩係数は、1.5m2の有効膜面積のモジュールに、牛血漿流量200mL/分、濾過液流量15mL/分の条件下で日本人工臓器学会の性能評価基準に従い測定した(牛血漿を循環開始後60分経過後)ものである。また、同様に循環開始後240分経過後のアルブミン篩係数も測定し、60分時に対する240分時のアルブミン篩係数の低下率(%)を求めた。すなわち、「100×(60分値−240分値)/60分値」のことをいう。
ポリスルフォン樹脂(アモコ・エンジニアリング・ポリマーズ社製、商品名ユーデル(P
-1700)、重量平均分子量30,000〜40,000)16.0重量%、ポリビニルピロリドン(ビー・エ
ー・エス・エフ社製 K90、重量平均分子量1,200,000)4.3重量%を、N,N-ジメチルアセ
トアミド(以下、DMACと略することがある)79.7重量%からなる溶液を金属不織布製フィルター(SUS303、径1μm)に通して、均一な紡糸原液を作成した。ここで、製膜原液中のポリスルフォンに対するポリビニルピロリドンの混和比率は26.9重量%であった。この製膜原液を60℃に保ち、N,N-ジメチルアセトアミド45重量%と水55重量%の混合溶液からなる内部液とともに、紡口(2重環状ノズル 0.1mm-0.2mm-0.3mm)から吐出させ、0.475mのエアギャップを通過させて60℃の水からなる凝固浴へ浸漬した。
この時、紡口から凝固浴までを円筒状の筒で囲み、筒の中に水蒸気を含んだ窒素ガスを
流しながら、筒の中の湿度を54.5%、温度を51℃にコントロールした。紡速は、32m/分に
固定した。中空糸膜厚を45μm、内径を200μmに合わせるように紡糸原液、中空内液の吐
出量を調整した。
湿潤状態の中空糸を60℃の熱水浴に2.6分浸漬させ洗浄することにより、膜中の残溶剤
を除去した。
次に150℃にて0.5分熱風乾燥させて巻き取り機にて所定の中空糸数だけ巻き取った後、
所定の長さの中空糸束に切断した。さらに中空糸束を所定の容器に挿填し両端をウレタン
樹脂で封止することで、膜面積1.5m2のモジュールを作成した。
また、それとは別に、得られた乾燥状態の中空糸膜の血液接触面を原子間力顕微鏡により観察し、ポリマー粒子径を測定した。
続いて、このモジュールに二亜硫酸ナトリウムと炭酸ナトリウムをそれぞれ600ppm、30
0ppmの濃度に調整した水溶液を充填し、25kGyのγ線を照射し、これを用いて、牛血漿系のβ2-ミクログロブリンのクリアランスおよびアルブミン篩係数を評価した。また、このモジュールから取り出した湿潤状態の中空糸膜の血液接触面を原子間力顕微鏡により観察し、ポリマー粒子径、中心面平均粗さを(表面粗度)測定した。得られたAFM画像を図2に例示し、ポリマー粒子径、中心面平均粗さ(Ra)を表1に示す。また、血小板粘着量(乳酸脱水素酵素(LDH)活性)、血漿蛋白吸着量、β2-ミクログロブリンのクリアランス、アルブミン篩係数および各々の低下率も表1に示す。
実施例1と同じ方法で得た膜面積1.5m2のモジュールに20%グリセリン水溶液を通水し
、抜液することにより湿潤状態の中空糸の含水率が20〜100%になるように調整した後、2
5kGyのγ線を照射した。このモジュールから取り出した乾燥状態の中空糸膜の血液接触面
を原子間力顕微鏡により観察し、ポリマー粒子径を測定した。
さらに、別のモジュールにて、牛血漿系のβ2-ミクログロブリンのクリアランスおよび
アルブミン篩係数を評価した。また、このモジュールから取り出した湿潤状態の中空糸膜
の血液接触面を原子間力顕微鏡により観察し、ポリマー粒子径、中心面平均粗さを(表面
粗度)測定した。ポリマー粒子径、中心面平均粗さ(Ra)を表1に示す。また、血小板粘
着量(乳酸脱水素酵素(LDH)活性)、血漿蛋白吸着量、β2-ミクログロブリンのクリアランス、アルブミン篩係数および各々の低下率も表1に示す。
実施例1と同じ方法で得た膜面積1.5m2のモジュールに、特に充填や通水処理を行わず
に25kGyの電子線を照射した。このモジュールから取り出した乾燥状態の中空糸膜の血液
接触面を原子間力顕微鏡により観察し、ポリマー粒子径を測定した。
さらに、別のモジュールにて、牛血漿系のβ2-ミクログロブリンのクリアランスおよび
アルブミン篩係数を評価した。また、このモジュールから取り出した湿潤状態の中空糸膜
の血液接触面を原子間力顕微鏡により観察し、ポリマー粒子径、中心面平均粗さを(表面
粗度)測定した。ポリマー粒子径、中心面平均粗さ(Ra)を表1に示す。また、血小板粘
着量(乳酸脱水素酵素(LDH)活性)、血漿蛋白吸着量、β2-ミクログロブリンのクリアランス、アルブミン篩係数および各々の低下率結果も表1に示す。
実施例1と同じ方法で得た膜面積1.5m2のモジュールに、特に充填や通水処理を行わず
に25kGyのγ線を照射した。このモジュールから取り出した乾燥状態の中空糸膜の血液接
触面を原子間力顕微鏡により観察し、ポリマー粒子径を測定した。
さらに、別のモジュールにて、牛血漿系のβ2-ミクログロブリンのクリアランスおよび
アルブミン篩係数を評価した。また、このモジュールから取り出した湿潤状態の中空糸膜
の血液接触面を原子間力顕微鏡により観察し、ポリマー粒子径、中心面平均粗さを(表面
粗度)測定した。ポリマー粒子径、中心面平均粗さ(Ra)を表1に示す。また、血小板粘
着量(乳酸脱水素酵素(LDH)活性)、血漿蛋白吸着量、β2-ミクログロブリンのクリアランス、アルブミン篩係数および各々の低下率結果も表1に示す。
比較例1
ポリスルフォン樹脂(アモコ・エンジニアリング・ポリマーズ社製、商品名ユーデル(P
-1700)、重量平均分子量30,000〜40,000)18.0重量%、ポリビニルピロリドン(ビー・エ
ー・エス・エフ社製 K90、重量平均分子量1,200,000)4.3重量%及びN,N-ジメチルアセ
トアミド(以下、DMACと略することがある)77.7重量%からなる紡糸原液を作成した。こ
こで、製膜原液中のポリスルフォンに対するポリビニルピロリドンの混和比率は23.9重量
%であった。この製膜原液を60℃に保ち、N,N-ジメチルアセトアミド30重量%と水70重量
%の混合溶液からなる内部液とともに、紡口(2重環状ノズル 0.1mm-0.2mm-0.3mm)か
ら吐出させ、0.96mのエアギャップを通過させて75℃の水からなる凝固浴へ浸漬した。
この時、紡口から凝固浴までを円筒状の筒で囲み、筒の中に水蒸気を含んだ窒素ガスを
流しながら、筒の中の湿度を54.5%、温度を51℃にコントロールした。紡速は、80m/分に
固定した。ここで、紡速に対するエアギャップの比率は、0.012m/(m/分)であった。中空
糸膜厚を45μm、内径を200μmに合わせるように紡糸原液、中空内液の吐出量を調製した

巻き取った糸束を切断後、束の切断面上方から80℃の熱水シャワーを2時間かけて洗浄
することにより膜中の残溶剤を除去した。
次に水に浸漬することによって湿潤状態の中空糸の含水率を310%になるよう調整した
後、85℃にて7時間熱風乾燥させた。この中空糸束を所定の容器に挿填し両端をウレタン
樹脂で封止することで、膜面積1.5m2のモジュールを作成した。
また、それとは別に、得られた乾燥状態の中空糸膜の血液接触面を原子間力顕微鏡によ
り観察し、ポリマー粒子径を測定した。
続いて、このモジュールに二亜硫酸ナトリウムと炭酸ナトリウムをそれぞれ600ppm、30
0ppmの濃度に調整した水溶液を充填し、25kGyのγ線を照射し、これを用いて、牛血漿系
のβ2-ミクログロブリンのクリアランスおよびアルブミン篩係数を評価した。また、この
モジュールから取り出した湿潤状態の中空糸膜の血液接触面を原子間力顕微鏡により観察
し、ポリマー粒子径、中心面平均粗さを(表面粗度)測定した。得られたAFM画像を図3
に例示し、ポリマー粒子径、中心面平均粗さ(Ra)を表1に示す。また、血小板粘着量(
乳酸脱水素酵素(LDH)活性)、血漿蛋白吸着量、β2-ミクログロブリンのクリアランス、アルブミン篩係数および各々の低下率結果も表1に示す。
比較例2
ポリスルフォン樹脂(アモコ・エンジニアリング・ポリマーズ社製、P-3500)18重量%
、ポリビニルピロリドン(アイ・エス・ピー社製、K-90)9重量%、ジメチルアセトアミ
ド(以下、DMAC)72重量%、水1重量%からなる溶液を加熱溶解し、紡糸原液を作成した
。DMAC 濃度65重量%の中空内液とともにスリット幅100μmの環状口金から吐出し、80cm
下方に設けた60℃の水中に浸漬し68.5m/分の速度で巻き取った。中空糸膜厚を50μm、内
径を180μmに合わせるように紡糸原液、中空内液の吐出量を調整した。9500mmフィラメン
トを巻き取ったところで、ロープを300mmに切断した。次に水に浸漬することによって湿
潤状態の中空糸の含水率を310%になるよう調整した後、85℃にて7時間熱風乾燥させた
。この中空糸束を所定の容器に挿填し両端をウレタン樹脂で封止することで、膜面積1.6m
2のモジュールを作成した。
また、それとは別に、得られた乾燥状態の中空糸膜の血液接触面を原子間力顕微鏡によ
り観察し、ポリマー粒子径を測定した。
続いて、このモジュールに蒸留水を充填し、25kGyのγ線を照射し、これを用いて、牛
血漿系のβ2-ミクログロブリンのクリアランスおよびアルブミン篩係数を評価した。また
、このモジュールから取り出した湿潤状態の中空糸膜の血液接触面を原子間力顕微鏡によ
り観察し、ポリマー粒子径、中心面平均粗さを(表面粗度)測定した。得られたAFM画像
を図4に例示し、ポリマー粒子径、中心面平均粗さ(Ra)を表1に示す。また、血小板粘
着量(乳酸脱水素酵素(LDH)活性)、血漿蛋白吸着量、β2-ミクログロブリンのクリアランス、アルブミン篩係数および各々の低下率結果も表1に示す。
比較例3
ポリスルフォン樹脂(アモコ・エンジニアリング・ポリマーズ社製)18.0重量%、ポリ
ビニルピロリドン(ビー・エー・エス・エフ社製 K90、重量平均分子量1,200,000)4.3
重量%を、N,N-ジメチルアセトアミド(以下、DMACと略することがある)77.7重量%から
なる紡糸原液を作成した。ここで、製膜原液中のポリスルフォンに対するポリビニルピロ
リドンの混和比率は23.9重量%であった。この製膜原液を60℃に保ち、N,N-ジメチルアセ
トアミド45重量%と水55重量%の混合溶液からなる内部液とともに、紡口(2重環状ノズル
0.1mm-0.2mm-0.3mm)から吐出させ、0.475mのエアギャップを通過させて60℃の水からな
る凝固浴へ浸漬した。
この時、紡口から凝固浴までを円筒状の筒で囲み、筒の中に水蒸気を含んだ窒素ガスを
流しながら、筒の中の湿度を54.5%、温度を51℃にコントロールした。紡速は、30m/分に
固定した。中空糸膜厚を50μm、内径を170μmに合わせるように紡糸原液、中空内液の吐
出量を調整した。
湿潤状態の中空糸を60℃の熱水浴に2.6分浸漬させ洗浄することにより、膜中の残溶剤
を除去した。
次に150℃にて0.5分熱風乾燥させて巻き取り機にて所定の中空糸数だけ巻き取った後、
所定の長さの中空糸束に切断した。さらに中空糸束を所定の容器に挿填し両端をウレタン
樹脂で封止することで、膜面積1.4m2のモジュールを作成した。
また、それとは別に、得られた乾燥状態の中空糸膜の血液接触面を原子間力顕微鏡によ
り観察し、ポリマー粒子径を測定した。
続いて、このモジュールに高圧蒸気を通気して滅菌し、これを用いて、牛血漿系のβ2-
ミクログロブリンのクリアランスおよびアルブミン篩係数を評価した。また、このモジュ
ールから取り出した湿潤状態の中空糸膜の血液接触面を原子間力顕微鏡により観察し、ポ
リマー粒子径、中心面平均粗さを(表面粗度)測定した。
また、血小板粘着量(乳酸脱水素酵素(LDH)活性)、血漿蛋白吸着量、β2-ミクログロブリンのクリアランス、アルブミン篩係数および各々の低下率結果も表1に示す。また、得られたAFM画像を図5に例示する。
実施例(1、2、3、4)については、乾燥状態に対する湿潤状態でのポリマー粒子の平均直径の比が1より大きく、かつ、湿潤状態での血液接触面の中心面平均粗さ(Ra)が8nm未満であり、その結果、LDH量が0.9〜1.4[U/m2]、血漿蛋白吸着量が12〜18[mg/m2]と、ともに比較例に比して低値であった。さらに、本発明の血液浄化膜を装填した血液浄化器について、牛血漿系での透過性能を測定してみたところ、長時間にわたって透過性能が安定して維持されることが分かった。すなわち、尿毒性蛋白質であるβ2-ミクログロブリンのクリアランスは低下率が0〜5%に留まり、比較例のそれに対して非常に低値であるので、治療上極めて有用と思われる。一方、有用蛋白質であるアルブミン篩係数も同様に、比較例のそれに比して低値であるが、アルブミン篩係数も低下しないということは、分子量がβ−ミクログロブリンとアルブミンの間に位置する中分子量の尿毒性蛋白質の透過性も低下せずに良好に維持されることを示唆しており、血液浄化膜として極めて有用なものといえる。このような蛋白質の透過性能は膜表面への蛋白吸着の多少により影響を受けるものと思われるので、この効果は本発明の血液浄化膜の優れた血液適合性の結果と思われる。このように、本発明の血液浄化膜は、血小板活性に起因する血栓の生成を抑制し、使用後の血液浄化器内に吸着する蛋白量を減少させるという優れた血液適合性を有するだけではなく、透過性能の耐久性にも優れるものである。
本発明によると、紡糸原液の相溶性を高め、それを製膜して得られた血液浄化膜の血液
との接触面の構造を最適化することにより、血小板の活性化に起因する血栓の生成を抑制
し、使用後の血液浄化器内の中空糸膜に吸着する蛋白量を減少させた、血液適合性の非常
に優れた血液浄化膜および血液浄化器が得られる。
粒子径測定概念図および血液接触面のAFM2次元画像 実施例1の膜の血液接触面(湿潤状態)のAFM3次元画像 比較例1の膜の血液接触面(湿潤状態)のAFM3次元画像 比較例2の膜の血液接触面(湿潤状態)のAFM3次元画像 比較例3の膜の血液接触面(湿潤状態)のAFM3次元画像

Claims (6)

  1. 少なくとも血液接触面がポリマー粒子の集合体で形成され、該血液接触面側に選択分離
    層が存在する血液浄化膜において、乾燥状態での血液接触面のポリマー粒子径に対する湿
    潤状態での血液接触面のポリマー粒子径の比が1より大きく、かつ、湿潤状態での血液接
    触面の中心面平均粗さ(Ra)が8nm未満であることを特徴とする血液浄化膜。
  2. 少なくとも血液接触面がポリマー粒子の集合体で形成され、該血液接触面側に選択分離
    層が存在する血液浄化膜において、乾燥状態での血液接触面のポリマー粒子径に対する湿
    潤状態での血液接触面のポリマー粒子径の比が1より大きく、かつ、湿潤状態での血液接
    触面でのポリマー粒子径が30nm未満であることを特徴とする血液浄化膜。
  3. 血液浄化膜が疎水性ポリマーおよび親水性ポリマーよりなる請求項1又は2に記載の血液浄化膜。
  4. 疎水性ポリマーがポリスルフォン系ポリマー、親水性ポリマーがポリビニルピロリドン
    である請求項1〜3のいずれかに記載の血液浄化膜。
  5. 血液浄化膜が、血液濾過または血液濾過透析用または持続緩徐式血液濾過透析用である
    請求項1〜4のいずれかに記載の血液浄化膜。
  6. 血液浄化膜が筒状プラスチック容器内に挿填され、該血液浄化膜の両端部が束ねられて
    おり、その両端部が封止剤で包埋された血液浄化器であって、該血液浄化膜が請求項1〜
    5のいずれかに記載の血液浄化膜である血液浄化器。














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