以下、本発明を適用した一実施の形態である塗装ブース用空調機1における充填材ワッシャの微生物付着防止装置5について、図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施の形態である塗装ブース用空調機における充填材ワッシャの微生物付着防止装置の構成図である。なお、塗装ブース用空調機は、自動車工場などの塗装ブース内に温度および湿度が調整された空調空気を送給することにより、塗装ブース内において、塗装品質に最適な環境条件を形成するものである。
はじめに、塗装ブース用空調機1の概略構成について説明する。図1に示すように、塗装ブース用空調機1は、内部に取り入れた空気の温度および湿度の調整(以下、「調温調湿」と呼ぶ)を行い、調温調湿された空調空気を生成する調温調湿装置2と、当該調温調湿装置2の内部に設けられた加湿装置8の、ワッシャ水および充填材ワッシャ18などをオゾンの殺菌効果により殺菌して、微生物増殖およびスライム付着などを防止する微生物付着防止装置5と、調温調湿装置2によって生成された空調空気を、塗装ブース(図示外)に送給する送風ファン6とにより構成されている。なお、「ワッシャ水」とは、加湿装置8内を循環し、充填材ワッシャ18に散布される循環水のことをいう。また、調温調湿装置2において、図1に示す左側を「調温調湿装置2の前方側」とし、図1に示す右側を「調温調湿装置2の後方側」とする。
次に、調温調湿装置2の構造について説明する。図1に示すように、調温調湿装置2は、略直方体状のハウジング4を外郭として備え、内側に調温調湿空間を形成している。そして、ハウジング4の前面4a(図1の左側)には、外気(空気)を取り入れるための外気取入口25が設けられ、前面4aに対向する背面4b(図1の右側)には、調温調湿された空調空気を塗装ブースに送給するための空調空気送給口39が設けられている。そして、ハウジング4の内側には、外気取入口25と空調空気送給口39とを結ぶ空気流路が形成され、外気取入口25から空調空気送給口39に向かって空気が流れるようになっている。なお、ハウジング4の形状については上記に限られず、内部に調温調湿空間を形成できればよい。
さらに、図1に示すように、ハウジング4の内側には、その空気流路の空気が流れる方向に沿って、外気取入口25から流入した空気の前加熱を行うプレ・ヒータ7と、当該プレ・ヒータ7によって加熱された空気を加湿する加湿装置8と、当該加湿装置8によって加湿された加湿空気をさらに加湿するダイレクトスチーム9と、当該ダイレクトスチーム9によって加湿された加湿空気を所定温度まで冷却し、相対湿度を上昇させる冷却装置10と、当該冷却装置10によって冷却され、相対湿度が高くなった冷却空気を、目的温度および目的湿度になるように加熱(後加熱)して最終調整を行うレ・ヒータ11とが各々配設されている。そして、調温調湿装置2の空調空気送給口39の外側近傍には、レ・ヒータ11によって最終調整された空調空気を、塗装ブース(図示外)に送給する送風ファン6が配設されている。なお、本説明における「相対湿度」とは、現在の空気1m3中に含まれる水蒸気量(g)を、同じ温度での空気1m3中に含みうる最大の水蒸気量(飽和水蒸気量)(g)で割り、「%」で表されるものであり、空気の湿り具合を示すものとする。
次に、外気取入口25について説明する。図1に示すように、外気取入口25は、調温調湿装置2の前面4aの略中央に設けられている。そして、送風ファン6を運転すると、外気(空気)が外気取入口25を通じて、ハウジング4の内部に吸引される。さらに、外気取入口25には、遮蔽ガード25aが設けられている。そして、遮蔽ガード25aは、調温調湿装置2の前面4aの手前側(図1の左側)に向かって斜め下方に傾斜する略矩形上の遮蔽板が、上下方向(図1の上下方向)に所定間隔毎に積層されることにより構成されている。この遮蔽ガード25aは、調温調湿装置2の内側にゴミ等の異物が侵入するのを防止している。
次に、プレ・ヒータ7について説明する。図1に示すように、プレ・ヒータ7は、外気取入口25の近傍に配設されている。このプレ・ヒータ7は、周知のスチームコイルであり、所定長を有するスチーム管(図示外)が積層状に折り畳まれて形成されている。そして、その折り畳まれたスチーム管に、140℃に調整された高温スチームが外部より供給される。さらに、そのスチーム管内を高温スチームが通過することにより、プレ・ヒータ7全体が発熱する。したがって、プレ・ヒータ7と接触する空気は、プレ・ヒータ7の発熱効果によって加熱される。そして、プレ・ヒータ7では、外気取入口25から流入した空気を、予め前加熱する。したがって、プレ・ヒータ7後方に配設された加湿装置8で吸水しうる水分量を増やすことができる。また、外気温が変動しても、プレ・ヒータ7によって空気が予め加熱されるため、後の加湿装置8、ダイレクトスチーム9、冷却装置10およびレ・ヒータ11において、目的温度および目的湿度である空調空気を安定して生成することができる。なお、本実施形態の調温調湿装置2のプレ・ヒータ7は、スチームコイル式のヒータであるが、電気で発熱する電熱式のヒータでも適用可能であり、空気を加熱可能なヒータであれば上記形態に限られない。
次に、加湿装置8について、図1および図2を参照して説明する。図2は、混合散布タンク47を上方に引き上げた状態を示す充填材ワッシャ18の構造を示す斜視図である。図1に示すように、この加湿装置8は、プレ・ヒータ7で前加熱された空気を、ワッシャ水と接触させて加湿する装置である。加湿装置8は、ワッシャ水およびオゾン水が散布される充填材ワッシャ18と、当該充填材ワッシャ18の下方に配設され、充填材ワッシャ18に散布するワッシャ水を貯留するワッシャ水タンク12とから主に構成されている。そして、充填材ワッシャ18の上方には、ワッシャ水およびオゾン水を貯留し、充填材ワッシャ18にワッシャ水およびオゾン水を散布する混合散布タンク47が複数並設されている(図2参照)。さらに、充填材ワッシャ18の下方には、充填材ワッシャ18を上部に固定するワッシャ土台枠24が設けられている。
そして、ワッシャ水タンク12には、第1ワッシャ水供給管14と、ハウジング4の外側に延設されたワッシャ水排水管17とが接続されている。また、第1ワッシャ水供給管14の下流側一端部には、ポンプ16が接続され、当該ポンプ16には、第2ワッシャ水供給管15が接続されている。さらに、その第2ワッシャ水供給管15は、充填材ワッシャ18の上方まで延設され、その下流側一端部は複数の管路に分岐している(図2参照)。さらに、図2に示すように、複数の管路に分岐された流路の各先端部は、複数の混合散布タンク47に各々接続されている。したがって、図1に示すように、ポンプ16を運転すると、ワッシャ水タンク12内のワッシャ水は、第1ワッシャ水供給管14および第2ワッシャ水供給管15を通過して、複数の混合散布タンク47に各々供給されるようになっている。一方、ワッシャ水排水管17には、開閉バルブ17aが設けられている。この開閉バルブ17aは、ワッシャ水タンク12の水位が高いような場合に開放され、ワッシャ水タンク12内のワッシャ水を外部に排出できるようになっている。
次に、充填材ワッシャ18について説明する。図2に示すように、充填材ワッシャ18は、縦1m×横1mのワッシャ板8aを最小単位としている。そして、そのワッシャ板8aの片面には、突起部材48が一面に突設されている。この突起部材48は、ワッシャ板8aより突出する先端の辺が短く形成された平面視略台形状の板部材であり、その台形の高さ(突出する長さ)は50mmに調整されている。そして、充填材ワッシャ18の隙間を流下するワッシャ水およびオゾン水は、突起部材48の面に衝突しながら、充填材ワッシャ18の壁面に沿って流下するため、その流下速度は遅くなる。したがって、通過空気とワッシャ水との接触時間が長くなり、通過空気の加湿効率が増大する。そして、そのような突起部材48が複数突設されたワッシャ板8aが、縦4枚×横2枚に連接することにより、縦4m×横2mの1枚のワッシャユニット38が略長方形状に形成されている。また、ワッシャユニット38は、自身の両面が、調温調湿装置2の空気が流れる方向に対して平行に、所定間隔を空けて、ワッシャ土台枠24の上部に複数枚並列して立設され、略直方体状の充填材ワッシャ18を構成している。なお、ワッシャユニット38同士間の間隔は、本実施形態では突起部材48の高さで調整され、例えば突起部材48の高さ(50mm)に調整されている。そして、上記のように構成された充填材ワッシャ18は、縦4m×横2m×奥行き4mとなっている。
そして、図2に示すように、このように構成された充填材ワッシャ18の上方から、ワッシャ水およびオゾン水が散布されると、ワッシャ板8aに突設された突起部材48の上面にワッシャ水が落下しながら、充填材ワッシャ18(ワッシャユニット38の壁面)を流下する。この状態では、充填材ワッシャ18の各ワッシャユニット38の壁面は、ワッシャ水によって濡れた状態となり、所謂「濡れ壁状態」となる。そして、「濡れ壁状態」となった充填材ワッシャ18の隙間に、プレ・ヒータ7から流れる空気が通過すると、ワッシャ水と通過空気との接触により、通過空気が加湿される。
次に、ワッシャ土台枠24について説明する。図2に示すように、ワッシャ土台枠24は、図2の上下方向に立設する充填材ワッシャ18の固定および土台枠であり、充填材ワッシャ18の下方に配設されている。このワッシャ土台枠24は、平面視略長方形状の枠部材であり、その上部に、充填材ワッシャ18が固定されている。さらに、ワッシャ土台枠24の下部には、ワッシャ土台枠24内に落下するワッシャ水が、枠外に流出するための流出口24aが切り欠き状に形成されている。そして、充填材ワッシャ18を上部に保持するワッシャ土台枠24は、ワッシャ水タンク12の内部に配設されているので、ワッシャ水タンク12のワッシャ水面が、充填材ワッシャ18にかかることがない。また、充填材ワッシャ18に散布されたワッシャ水およびオゾン水は、充填材ワッシャ18内を流下し、ワッシャ土台枠24の枠内に落下して、流出口24aから流出して、ワッシャ水タンク12内にそのまま貯留されるようになっている。なお、ワッシャ土台枠24の枠の大きさは、4m×2mとなっており、充填材ワッシャ18の底面と同じ大きさとなっている。
次に、混合散布タンク47について説明する。図2に示すように、混合散布タンク47は、略直方体状のタンクであり、充填材ワッシャ18の長手方向(図2に示す充填材ワッシャ18の奥行き方向)に向かって、複数並設されている。そして、各混合散布タンク47の上面の、ハウジング4(図1参照)の前面4a側に対向する一端部(図2の左側)近傍には、第2オゾン水供給管34が接続されている。さらに、当該一端部とは反対の他端部近傍には、第2ワッシャ水供給管15が接続されている。また、図示しないが、各混合散布タンク47の底面には、複数の穴が孔設された散布フィルタが各々設けられている。
したがって、混合散布タンク47には、第2ワッシャ水供給管15からはワッシャ水が供給され、第2オゾン水供給管34からはオゾン水が供給される。そして、混合散布タンク47内に供給されたワッシャ水およびオゾン水は、混合散布タンク47の底面の散布フィルタ(図示外)から落下して、充填材ワッシャ18の上部に散布される。また、混合散布タンク47内のワッシャ水およびオゾン水は、混合散布タンク47の底面一面から均一に落下するようになっている。また、第2ワッシャ水供給管15および第2オゾン水供給管34から、ワッシャ水およびオゾン水が同時に混合散布タンク47に供給された場合は、タンク内でワッシャ水およびオゾン水が混合される。そして、混合散布タンク47の底面からは均一オゾン濃度のワッシャ水が落下する。さらに、混合散布タンク47は複数配設されているため、大型の充填材ワッシャ18の上面全体に対して、均等にワッシャ水およびオゾン水を散布することができる。また、ワッシャ水およびオゾン水が、複数の混合散布タンク47で混合されるので、濃度ムラのない均一濃度のオゾン水を充填材ワッシャ18に散布することができる。
次に、ワッシャ水タンク12について説明する。図1に示すように、ワッシャ水タンク12は、略直方体状の箱の上面が開口された器型タンク(容量1300L)であり、充填材ワッシャ18に散布するワッシャ水を貯留している。そして、ポンプ16を運転すると、ワッシャ水タンク12内のワッシャ水は、第1ワッシャ水供給管14および第2ワッシャ水供給管15を流れ(1500L/分)、複数の混合散布タンク47に各々流入する。さらに、各混合散布タンク47から落下して、充填材ワッシャ18を流下するワッシャ水は、ワッシャ土台枠24の枠内に落下し、再度ワッシャ水タンク12内に貯留することにより、加湿装置8内を循環する。
次に、ダイレクトスチーム9について説明する。図1に示すように、ダイレクトスチーム9は、加湿装置8の後方に配設されている。そして、ダイレクトスチーム9は、加湿装置8の後方に立設し、高温スチームが通過するスチーム管9aと、当該スチーム管9aの外周面に一定間隔毎に設けられ、空気が流れる方向に対向するように向けられたスチームノズル9bとで構成されている。そして、このような構成からなるダイレクトスチーム9は、調温調湿装置2の空気が流れる方向に対して直交する方向に向かって複数並設されている。また、複数のダイレクトスチーム9の、各スチーム管9aの各上端部には、外部から延設されたスチーム供給管(図示外)が各々接続されており、スチーム供給管から流れる高温スチームが、各ダイレクトスチーム9の各スチーム管9aに各々供給される。そして、スチーム管9aに供給されたスチームは、各スチームノズル9bから噴射され、充填材ワッシャ18で加湿された加湿空気をさらに強制加湿する。このような加湿機能を有するダイレクトスチーム9は、例えば冬場のように空気が乾燥し、充填材ワッシャ18のみでは加湿不足となる場合に、スチームノズル9bから噴出させるスチーム量を多く調整することにより、十分な加湿効果を発揮することができる。一方、夏場のように、外気の湿度が比較的高い場合は、スチームノズル9bから噴出させるスチーム量を少なく調整することで、スチーム消費量のムダをなくすことができる。このように、ダイレクトスチーム9は、加湿装置8で加湿された加湿空気を強制加湿することで、相対湿度をさらに上昇させるものである。
次に、冷却装置10について説明する。図1に示すように、冷却装置10は、加湿装置8およびダイレクトスチーム9によって加湿された加湿空気を所定温度まで冷却し、相対湿度を限界まで上昇させる装置である。そして、冷却装置10は、積層状に折り畳まれた冷却管を内部に備え、その冷却管には、7℃に調整された冷却水が供給される。そして、その冷却管に冷却水が通過することにより、冷却装置10全体の温度が低下し、冷却装置10から放射される冷気が、冷却装置10に接触する空気を冷却する。そして、このような冷却装置10が、加湿装置8およびダイレクトスチーム9によって加湿された加湿空気を冷却することにより、加湿空気の相対湿度をさらに高くすることができる。ここで、加湿空気の相対湿度をできるだけ上げておくと、後述するレ・ヒータ11において、目的とされた温度および湿度に容易に調整でき、安定した調温調湿空気を生成することができる。
次に、レ・ヒータ11について説明する。図1に示すように、レ・ヒータ11は、調温調湿装置2の最後方側に配設され、調温調湿装置2の空気が流れる方向に対して直交する方向に向かって複数並設されている。そして、レ・ヒータ11の構造は、上述したプレ・ヒータ7と同じスチームコイル式のヒータである。また、レ・ヒータ11にも図示外のスチーム供給管が接続されており、レ・ヒータ11には、140℃に調整された高温スチームが供給される。そして、レ・ヒータ11内を高温スチームが通過することにより、レ・ヒータ11全体が高温となり、レ・ヒータ11と接触する加湿空気が加熱される。そして、レ・ヒータ11では、通過する高温スチームの流量が調整されることにより、レ・ヒータ11で加熱される空調空気の温度および湿度が調整される。したがって、レ・ヒータ11は、冷却装置10にて相対湿度が高く調整された加湿空気を後加熱することにより、設定温度および設定湿度に設定された空調空気を生成することができる。なお、レ・ヒータ11で調整される空調空気の設定温度および設定湿度は、夏場と冬場とで異なる。例えば、夏場では、設定温度28℃,設定湿度80%であり、冬場では、設定温度22℃,設定湿度75%となっている。そして、レ・ヒータ11によって調温調湿された空調空気は、送風ファン6の運転によって、空調空気送給口39より塗装ブース(図示外)に向かって送給される。
次に、微生物付着防止装置5について説明する。図1に示すように、微生物付着防止装置5は、ワッシャ水の一部にオゾンを混合溶解させてオゾン水を生成し、調温調湿装置2の充填材ワッシャ18に散布する。そして、充填材ワッシャ18およびワッシャ水タンク12の殺菌を行い、充填材ワッシャ18への微生物由来のスライムの付着を防止するものである。この微生物付着防止装置5は、加湿装置8のワッシャ水タンク12に接続されたワッシャ水分流管19と、当該ワッシャ水分流管19の下流側に接続され、分流されたワッシャ水にオゾンを混合溶解させる渦流ポンプ20と、当該渦流ポンプ20に接続され、生成したオゾン水が流れるオゾン水流入管21と、当該オゾン水流入管21の下流側に接続され、オゾン水を貯留するサブタンク23と、当該サブタンク23に接続され、タンク内のオゾン水が流れる第1オゾン水供給管28と、当該第1オゾン水供給管28の下流側に接続されたポンプ29と、当該ポンプ29および混合散布タンク47の間に介装された第2オゾン水供給管34と、渦流ポンプ20とオゾン供給管26を介して接続され、空気又は濃縮酸素を原料としてオゾンを生成するオゾン発生器32とから主に構成されている。
さらに、サブタンク23には、工水取水栓37から工業用水が供給される工水供給管36が接続されている(なお、「工水」とは、「工業用水」のことをいう)。さらに、ワッシャ水タンク12と、サブタンク23との間には、互いの水位を合わせる水位調整管30が介装されている。また、ワッシャ水分流管19には開閉バルブ19aが設けられ、水位調整管30には開閉バルブ30aが設けられ、工水供給管36には、開閉バルブ36aが設けられている。さらに、サブタンク23には、タンク内のオゾン水を渦流ポンプ20に戻す返送管27が接続され、そのサブタンク23に接続された一端側とは反対の他端側は、ワッシャ水分流管19の、開閉バルブ19aの下流側に設けられた連結部22に接続されている。
次に、サブタンク23について説明する。図1に示すように、サブタンク23は、略直方体状の箱型タンク(容量1000L)であり、充填材ワッシャ18に散布するオゾン水を貯留している。このサブタンク23には、通常700Lのオゾン水が貯留されている。そして、ポンプ29を運転すると、サブタンク23内のオゾン水は、第1オゾン水供給管28および第2オゾン水供給管34を流れ、複数の混合散布タンク47に各々流入する。
次に、水位調整管30について説明する。水位調整管30は、ワッシャ水タンク12と、サブタンク23との間に介装されており、その途中には開閉バルブ30aが設けられている。水位調整管30は、ワッシャ水タンク12のワッシャ水の水位と、サブタンク23のオゾン水の水位とを互いに合わせるための調整管である。したがって、ポンプ29による混合散布タンク47へのサブタンク23内のオゾン水の供給量が多く、渦流ポンプ20によるサブタンク23へのワッシャ水の供給量がこれより少ない場合には、開閉バルブ30aを開放しておくことによりワッシャ水タンク12とサブタンク23の水位を同レベルに調整することができる。
次に、オゾン発生器32について説明する。図1に示すオゾン発生器32は、高純度・高強度のセラミックス発生体を内部に備えている。そして、図示外のオゾン発生電源の2次コイルに誘起された高周波・高電圧が、2つの電極(放電電極、誘導電極)間に印加されると、それらの間に介在するセラミックス発生体表面に無声放電が発生する。そして、無声放電域に原料ガス(濃縮酸素又は、乾燥空気)が供給されると、酸素の一部がオゾン化されて高濃度のオゾンが生成される。こうして、オゾン発生器32によって生成されたオゾンは、オゾン供給管26を通過して、渦流ポンプ20の気体流入管に吸引される。なお、オゾン発生器32に、PSA酸素濃縮装置を接続することにより、濃縮酸素を供給するようにしてもよい。
次に、渦流ポンプ20について説明する。図3は、渦流ポンプ20の縦断面図である。図3に示すように、渦流ポンプ20は、正面視略円形状のポンプ本体43と、当該ポンプ本体43の上部に突設され、その突出する先端側一端部が側方に折り曲げられ、ワッシャ水およびオゾン水が吸引される液体吸引管41と、当該液体吸引管41の側面に突設され、オゾン(気体)が吸引される気体吸引管44と、液体吸引管41の近傍に突設され、ポンプ本体43で生成されたオゾン水が流出する気液吐出管42とから構成されている。また、ポンプ本体43の内側には、湾曲する内壁面に沿って、液体吸引管41およびポンプ本体43の接続部付近を始点(入口部57)とし、気液吐出管42およびポンプ本体43の接続部付近を終点(出口部58)とする正面視略リング状の昇圧通路59が形成されている。
また、液体吸引管41の開口部には、液体吸引口41aが設けられ、その液体吸引口41aと、昇圧通路59の始点である入口部57とは連通している。一方、気液吐出管42の開口部には、気液吐出口42aが設けられ、その気液吐出口42aと、昇圧通路59の終点である出口部58とは連通している。さらに、気体吸引管44の突出する側の開口部には、気体吸引口44aが設けられている。そして、気体吸引口44aと、液体吸引口41aとが連通する領域には、液体中に気体が混合される混合領域45が形成されている。また、昇圧通路59の入口部57と、出口部58との間には隔離部46が形成されている。
さらに、図3に示すように、ポンプ本体43の内部には、正面視略円形状の羽根車53が回転可能に軸支されている。この羽根車53の外周部には、複数の小羽根50が各々突設され、これらの小羽根50の間には、羽根溝51が各々設けられている。そして、この羽根車53の中心には、回転軸55が嵌着され、この回転軸55を外部のモータ(図示外)で回動運転させることにより、これらの小羽根50および羽根溝51は、羽根車53と同心円の昇圧通路59内を回転する。
そして、上記構成からなる渦流ポンプ20において、液体吸引口41aには、図1に示すワッシャ水分流管19の下流側一端部が接続される。したがって、液体吸引口41aには、ワッシャ水分流管19から流れるワッシャ水と、返送管27から連結部22を通過して流れるサブタンク23からのオゾン水の何れかが供給される。一方、気液吐出口42aには、図1に示すオゾン水流入管21が接続され、ポンプ本体43で生成されたオゾン水が、オゾン水流入管21を通過してサブタンク23に流入する。また、気体吸引口44aには、図1に示すオゾン供給管26が接続され、オゾン発生器32で生成されたオゾンが、オゾン供給管26を通過して気体吸引口44aに吸引される。
次に、上記構成からなる渦流ポンプ20の動作について説明する。まず、ポンプ本体43の羽根車53が図3に示す矢視方向に回転すると、液体吸引管41内の混合領域45が負圧となる。すると、液体吸引管41の液体吸引口41aから、混合領域45に向かってワッシャ水(又はオゾン水)が吸引される。さらに、負圧となった混合領域45には、オゾン発生器32で生成されたオゾンがオゾン供給管26を通じて、気体吸引口44aから吸引される。すると、液体であるワッシャ水(又はオゾン水)と、気体であるオゾンとは、混合領域45にて混合され、オゾン混合水となる。次いで、オゾン混合水は、混合領域45から入口部57より昇圧通路59に流入する。
そして、昇圧通路59に流入したオゾン混合水は、羽根車53の小羽根50によって強制的に分断されるため、ワッシャ水(又はオゾン水)中に混在するオゾンの気泡が破壊され、微細な気泡となる。すると、ワッシャ水とオゾンとの気液接触面積が増大するため、ワッシャ水(またはオゾン水)へのオゾン溶解効率が増大し、オゾン水が生成される。そして、生成されたオゾン水は、昇圧通路59の出口部58から流出し、気液吐出口42aから吐出され、オゾン水流入管21を通じてサブタンク23に供給される。このように、渦流ポンプ20は、ワッシャ水(又はオゾン水)をワッシャ水タンク12(又はサブタンク23)から汲み出して、サブタンク23に向かって供給するポンプ機能と、ワッシャ水(又はオゾン水)にオゾンを混合溶解させる混合溶解機能との2つの機能を備えている。
次に、工水取水栓37について説明する。図1に示すように、微生物付着防止装置5には、工水取水栓37が設けられている。この工水取水栓37には、工水供給管36が接続され、その下流側一端部はサブタンク23に接続されている。そして、工水供給管36に設けられた開閉バルブ36aを開放することにより、工水取水栓37から工業用水が、サブタンク23に供給される。この工水取水栓37を使用するのは、例えば、ワッシャ水の汚染度が著しいような場合である。ワッシャ水の汚染度が著しいと、ワッシャ水中の微生物濃度が非常に高く、渦流ポンプ20によるオゾン水の生成時にオゾンが、ワッシャ水中の微生物の殺菌や、ワッシャ水中に溶解する塗料由来の有機物の分解に大量に消費されてしまうので、オゾン水が生成されにくい。
このような場合に、サブタンク23に工業用水を供給する。そして、サブタンク23に新たな工業用水が供給されることで、サブタンク23に貯留する汚染度の高いワッシャ水が希釈される。そして、返送管27の開閉バルブ27aを開放して、渦流ポンプ20を運転することにより、サブタンク23内のワッシャ水を渦流ポンプ20に何度も循環させる。したがって、ワッシャ水の汚染度が高い場合でも工業用水で希釈されるので、オゾン濃度の高いオゾン水を生成することができる。
次に、上記構成からなる塗装ブース用空調機1における充填材ワッシャ18の微生物付着防止方法について、図1乃至図3を参照して説明する。この塗装ブース用空調機1における充填材ワッシャ18の微生物付着防止方法は、微生物付着防止装置5の動作を切り替えることにより行われる。そして、微生物付着防止装置5の動作は、塗装ブース用空調機1が運転中の場合と、停止中の場合とで異なる。したがって、以下の説明では、塗装ブース用空調機1の運転中の動作と、停止中の動作とに分けて各々説明する。
はじめに、塗装ブース用空調機1の運転中の動作について説明する。図1に示すように、塗装ブース用空調機1の運転が開始されると、調温調湿装置2と、微生物付着防止装置5との運転が共に開始される。また、調温調湿装置2では、プレ・ヒータ7、加湿装置8、ダイレクトスチーム9、冷却装置10、レ・ヒータ11および送風ファン6の運転が開始される。
そして、加湿装置8では、ポンプ16が運転を開始する。このポンプ16は、毎分1500Lの流量で、ワッシャ水タンク12からワッシャ水を汲み上げる。さらに、汲み上げられたワッシャ水は、第1ワッシャ水供給管14および第2ワッシャ水供給管15を通過し、充填材ワッシャ18の上方に配設された複数の混合散布タンク47(図2参照)に各々供給される。そして、各混合散布タンク47に供給されたワッシャ水は、混合散布タンク47の内部にて、第2オゾン水供給管34から供給されたオゾン水と混合され、混合散布タンク47の底面の散布フィルタ(図示外)より、充填材ワッシャ18に散布される。さらに、充填材ワッシャ18を流下するワッシャ水は、ワッシャ水タンク12内に再度貯留され、加湿装置8内を循環する。
一方、微生物付着防止装置5では、ワッシャ水分流管19の開閉バルブ19aが開放され、返送管27の開閉バルブ27aが閉じられ、水位調整管30の開閉バルブ30aが開放される。そして、渦流ポンプ20およびポンプ29が運転を開始する。すると、ワッシャ水タンク12内に貯留されたワッシャ水の一部が、ワッシャ水分流管19を通過し、渦流ポンプ20の液体吸引口41a(図3参照)に流入する。また、図3に示すように、渦流ポンプ20の気体吸引口44aには、オゾン発生器32で発生したオゾンが流入する。さらに、渦流ポンプ20に流入したワッシャ水およびオゾンは、混合領域45にて混合される。そして、ポンプ本体43の昇圧通路59で混合溶解されて生成されたオゾン水が、気液吐出口42aから吐出される。そして、図1に示すように、吐出されたオゾン水は、オゾン水流入管21を通過して、サブタンク23に供給される。このように渦流ポンプ20およびサブタンク23では、オゾンの殺菌効果により、ワッシャ水中の微生物は死滅し、有機物は分解される。
次いで、ポンプ29では、毎分300Lの流量で、サブタンク23からオゾン水を汲み上げる。すると、サブタンク23に貯留するオゾン水が、第1オゾン水供給管28および第2オゾン水供給管34を通過して、充填材ワッシャ18の上方に複数配設された混合散布タンク47に供給される。そして、混合散布タンク47には、毎分1500Lのワッシャ水と、毎分300Lのオゾン水とが同時に供給され、ワッシャ水とオゾン水とが混合される。なお、この段階では、オゾン水はワッシャ水によって希釈され、オゾンによる殺菌効果は極めて少ない。そして、混合されたワッシャ水とオゾン水は、混合散布タンク47の底面から落下し、充填材ワッシャ18に散布され、充填材ワッシャ18を流下する。充填材ワッシャ18を流下したワッシャ水は、そのままワッシャ水タンク12内に戻り、加湿装置8および微生物付着防止装置5内を循環する。
次に、塗装ブース用空調機1の停止中における微生物付着防止装置5の動作について説明する。図1に示すように、塗装ブース用空調機1が停止されると、調温調湿装置2は停止し、微生物付着防止装置5のみが運転する。したがって、調温調湿装置2では、プレ・ヒータ7、加湿装置8、ダイレクトスチーム9、冷却装置10、レ・ヒータ11および送風ファン6の運転が停止される。さらに、加湿装置8では、ポンプ16の運転は停止するため、混合散布タンク47には、ワッシャ水タンク12内のワッシャ水は供給されない。
一方、微生物付着防止装置5では、第1の工程と、第2の工程と、第3の工程とからなる一連の動作が実行される。第1の工程では、ワッシャ水タンク12からワッシャ水の一部を汲み出し、オゾンを混合溶解させてサブタンク23内に貯留させる。第2の工程では、サブタンク23内に貯留するオゾン水にさらにオゾンを溶解させて、サブタンク23内に高濃度オゾン水を貯留させる。さらに、第3の工程では、第1の工程でサブタンク23内に貯留された高濃度オゾン水を充填材ワッシャ18に散布することにより、汚染された充填材ワッシャ18を強力に殺菌する。そして、第1の工程、第2の工程および第3の工程で構成された一連の動作を1サイクルとして定義し、そのサイクルが30分間隔で繰り返し実行される。これにより、充填材ワッシャ18の汚染度が著しく、充填材ワッシャ18に微生物由来のスライムが付着しても、それらを分解除去することができる。
まず、第1の工程につい説明する。第1の工程では、ワッシャ水分流管19の開閉バルブ19aが開放され、返送管27の開閉バルブ27aが閉じられ、水位調整管30の開閉バルブ30aが閉じられる。そして、渦流ポンプ20の運転が開始されると、ワッシャ水タンク12内のワッシャ水の一部が、ワッシャ水分流管19を通じて、渦流ポンプ20の液体吸引口41aに流入する。さらに、渦流ポンプ20では、オゾン発生器32で生成されたオゾンがワッシャ水に混合されて、ポンプ本体43の昇圧通路59で混合溶解される。そして、気液吐出口42aからはオゾン水が吐出され、サブタンク23内にはオゾン水が700L貯留される。
次に、第2の工程について説明する。第2の工程は、第1の工程において、サブタンク23にオゾン水が貯留された後に開始される。第2の工程では、ワッシャ水分流管19の開閉バルブ19aが閉じられ、返送管27の開閉バルブ27aが開放される。なお、水位調整管30の開閉バルブ30aは閉じられたままである。そして、渦流ポンプ20の運転が開始されると、サブタンク23内に貯留するオゾン水は、返送管27、連結部22を通過し、渦流ポンプ20の液体吸引口41aに流入する。さらに、図3に示すように、渦流ポンプ20では、オゾン発生器32で生成されたオゾンが再度混合されて、ポンプ本体43の昇圧通路59で再溶解される。そして、気液吐出口42aからはオゾンがさらに溶解された高濃度オゾン水が吐出され、サブタンク23内に再び供給される。そして、図1に示すように、サブタンク23内のオゾン水は、渦流ポンプ20を繰り返し循環することにより、高濃度オゾン水に変換され、再びサブタンク23内に貯留させることができる。
次に、第3の工程について説明する。第3の工程は、第2の工程において、サブタンク23内に貯留するオゾン水のオゾン濃度が高くなった後に開始される。第3の工程では、ワッシャ水分流管19の開閉バルブ19a、返送管27の開閉バルブ27a、水位調整管30の開閉バルブ30aの全てが閉じられる。そして、運転していた渦流ポンプ20は停止され、ポンプ29の運転が開始され、第1オゾン水供給管28、第2オゾン水供給管34を介して、複数の混合散布タンク47内に高濃度オゾン水が400L供給される。なお、混合散布タンク47内に供給された高濃度オゾン水は、ワッシャ水によって希釈されないので、充填材ワッシャ18には、400Lの高濃度オゾン水のみが散布される。高濃度オゾン水は、殺菌力が強いので、混合散布タンク47から高濃度オゾン水が散布された充填材ワッシャ18は、強い殺菌力によって殺菌される。
そして、上記の第1の工程、第2の工程および第3の工程からなる一連の動作を1サイクルとして定義し、そのサイクルが30分間隔で繰り返し実行される。よって、充填材ワッシャ18の汚染度が著しく、微生物由来のスライムなどが付着するような場合でも、高濃度オゾン水の強い殺菌力により、スライムを分解除去することができる。なお、1サイクルに要する時間は、第2工程において、高濃度オゾン水を生成するのに十分な時間として設定される。したがって、オゾン発生器32のオゾン生成能力によっては1サイクルに要する時間を変更してもよい。
次に、塗装ブース用空調機1におけるワッシャ水の汚染度が著しい場合の、充填材ワッシャ18の微生物付着防止方法について説明する。図1に示す充填材ワッシャ18およびワッシャ水タンク12の汚染が著しい場合、ワッシャ水中の微生物濃度が著しく高く、塗料由来の有機物濃度が著しく高いことが推定される。ワッシャ水中の微生物濃度が高く、有機物濃度が高い場合、微生物は粘着性の高い粘着物を分泌したり、スライムを形成したりして、充填材ワッシャ18、ワッシャ水タンク12のみならず、サブタンク23、渦流ポンプ20なども汚染させる。さらに、ワッシャ水中の微生物濃度および有機物濃度が著しく高い場合、渦流ポンプ20のオゾン混合溶解では、高濃度オゾン水を生成するのが困難になる。このような場合は、塗装ブース用空調機1の運転停止中に以下のような微生物付着防止方法を実行する。
まず、ワッシャ水の汚染度が著しい場合の、充填材ワッシャ18の微生物付着防止方法は、工水供給工程と、上述した第2工程と、第3の工程とから構成され、これらを繰り返し実行することにより、汚染度が著しいワッシャ水を再び浄化することができる。なお、以下の説明において、第2の工程および第3の工程は、上記と同じ工程であるため、第2の工程および第3の工程の説明は上記説明を援用し、第2の工程に先だって実行される工水供給工程のみについて説明する。
次に、工水供給工程について説明する。図1に示すように、工水供給工程では、まず、ワッシャ水分流管19の開閉バルブ19aが閉じられ、返送管27の開閉バルブ27aが開放され、水位調整管30の開閉バルブ30aが閉じられる。さらに、工水取水栓37に接続された工水供給管36の開閉バルブ36aが開放される。すると、工水供給管36からサブタンク23内に新たな工業用水が供給される。そして、サブタンク23には、以前から貯留していたワッシャ水に、新たな工業用水が添加される。この時、汚染度の高いワッシャ水は、新たな工業用水によって希釈されるので、ワッシャ水中の微生物濃度および有機物濃度は低下する。
上記の第2の工程は、工水供給開始と同時または工水供給工程が終了した後に、開始される。サブタンク23内に貯留されたワッシャ水の微生物濃度および有機物濃度は低下されているため、第2の工程では、渦流ポンプ20によってオゾン水を生成することができる。さらに、第2の工程において、サブタンク23内に高濃度オゾン水が貯留されたら、第3の工程を開始する。そして、第3の工程では、運転していた渦流ポンプ20は停止され、ポンプ29の運転が開始される。これにより、第1オゾン水供給管28、第2オゾン水供給管34を介して、複数の混合散布タンク47内にオゾン水が400L供給され、充填材ワッシャ18にオゾン水が散布される。
そして、第3の工程が終了し、工水供給工程、第2の工程および第3の工程からなる1サイクルが、30分間隔で繰り返し実行される。次の工水供給工程において、サブタンク23に残存するオゾン水は300Lであるので、工業用水は400L添加される。そして、第2の工程において、再び渦流ポンプ20を循環し、オゾンが溶解されるので、前回のサイクル時に比べ、より濃度の高いオゾン水を生成することができる。そして、第3の工程において、充填材ワッシャ18に高濃度オゾン水が散布されることにより、充填材ワッシャ18は強力に殺菌され、充填材ワッシャ18に付着する微生物由来のスライムを分解除去することができる。また、サブタンク23に工業用水が供給されることにより、ワッシャ水タンク12内のワッシャ水量が増加するため、増加分のワッシャ水は、ワッシャ水排水管17等を通じて外部に排出させる。
なお、上記の工水供給工程、第2の工程および第3の工程で構成された一連の動作を1サイクルとして定義し、そのサイクルが繰り返し実行されるにつれ、ワッシャ水タンク12内のワッシャ水も徐々に殺菌され、加湿装置8を浄化することができる。
以上説明したように、塗装ブース用空調機1の運転中は、ワッシャ水の一部が常時殺菌されるため、充填材ワッシャ18には微生物由来のスライムなどが発生しにくくなる。また、塗装ブース用空調機1の停止中は、第1の工程、第2の工程および第3の工程からなる一連の動作を一定時間間隔で繰り返し実行することにより、高濃度オゾン水を生成して、ワッシャ水および充填材ワッシャ18を強力に殺菌することができる。そして、充填材ワッシャ18には、微生物由来のスライムなどが付着するのを防止できる。また、充填材ワッシャ18が汚染し、スライムなどが付着してしまったような場合でも、高濃度オゾン水の強い殺菌力によって分解除去することができる。さらに、これらの動作は、塗装ブース用空調機1が停止中に行われるので、高濃度オゾン水から未溶解のオゾンが遊離して、送風ファン6よりオゾンが塗装ブース内に送給されることがないので安全である。
さらに、ワッシャ水の汚染度が著しい場合には、塗装ブース用空調機1が停止中において、工水供給工程、第2の工程および第3の工程からなる1サイクルを30分間隔で繰り返し実行することにより、著しく汚染されたワッシャ水を浄化することができる。さらに、ワッシャ水が浄化され、高濃度オゾン水が充填材ワッシャ18に散布されることにより、充填材ワッシャ18およびワッシャ水タンク12に付着した微生物由来のスライムなどを分解除去することができる。このため、加湿装置8内の充填材ワッシャ18、ワッシャ水が流れる管路内およびワッシャ水タンク12は、衛生的にも清浄な状態を保つことができる。さらに、充填材ワッシャ18を衛生的に清浄な状態に保つことができるため、加湿装置8において加湿空気が汚染されることがない。また、加湿空気が汚染されないため、調温調湿装置2内に微生物等が繁殖するのを防止することができ、清浄な空調空気を生成することができる。さらに、充填材ワッシャ18およびワッシャ水タンク12に、微生物由来のスライムなどが付着しにくくなるので、充填材ワッシャ18の清掃周期の延長、ワッシャ水タンク12の清掃周期の延長、ワッシャ水の交換回数の低減、充填材ワッシャ18の交換回数の低減を図ることができる。また、充填材ワッシャ18に、微生物由来のスライムなどが付着しにくくなることから、充填材ワッシャ18内に目詰まりが起きにくくなるので、塗装ブースに送給する空調空気の送給量を安定して確保することができる。
なお、図1に示すワッシャ水分流管19、オゾン水流入管21が「第1の管路」に相当し、開閉バルブ19aが「第1の開閉バルブ」に相当し、オゾン発生器32が「オゾン生成手段」に相当する。また、図1および図3に示す渦流ポンプ20が「ポンプ」に相当し、図1に示す返送管27が「第2の管路」に相当し、開閉バルブ27aが「第2の開閉バルブ」に相当する。さらに、図1に示す第1オゾン水供給管28、ポンプ29、第2オゾン水供給管34および混合散布タンク47が「散布手段」に相当する。そして、図1に示す工水供給管36が「原水供給管路」に相当し、開閉バルブ36aが「取水バルブ」に相当する。
また、本発明は、上記の各実施形態に限定されることなく、各種の変形が可能である。
例えば、本実施形態の充填材ワッシャ18の構造は、突起部材48が複数突設されたワッシャ板8aが連接されてなるワッシャユニット38を並設させて形成されているが、これに限られず、ワッシャ水の流下速度を遅くすることができればよい。一例とすれば、通気性を保てる多孔質性の充填材を用いてもよく、その充填材の上方からワッシャ水を供給するようにしてもよい。
なお、本実施形態の塗装ブース用空調機1における充填材ワッシャ18の微生物付着防止方法では、工水供給工程が最初に行われる際に、サブタンク23内にはオゾン水が貯留されたままの状態で、工業用水を供給したが、予めサブタンク23を空の状態にしてから、工業用水を供給して、第2の工程を開始するようにしてもよい。
さらに、塗装ブース用空調機1の運転および停止を検知し、微生物付着防止装置5の運転を制御するコントローラを設けてもよい。
また、ワッシャ水タンク12内のワッシャ水中の汚染度をオンラインで計測し、その計測値に基づいて、オゾン発生器32でのオゾン発生量を制御するコントローラを設けてもよい。