JP2005223121A - 磁気抵抗効果素子およびその製造方法 - Google Patents

磁気抵抗効果素子およびその製造方法 Download PDF

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英謙 西脇
Kazuhiro Onaka
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Abstract

【課題】比較的狭い範囲で磁界が変化する場合でも大きな抵抗値変化を得ることができる磁気抵抗効果素子を提供することを目的とする。
【解決手段】基板1と、この基板1の上面側の一部に形成され所定のパターン形状を有する金属人工格子膜4と、前記基板1の上面側に前記金属人工格子膜4を覆うように形成された第1の保護膜5、第2の保護膜6とを有し、前記金属人工格子膜4を磁性薄膜7と金属非磁性薄膜8との積層構造により構成するとともに、前記磁性薄膜7を、原子数による組成比がNiを7〜23%、Coを30〜70%含み、かつ残りがFeである合金により構成したものである。
【選択図】図1

Description

本発明はセンサ等に用いられている磁気抵抗効果素子およびその製造方法に関するものである。
磁気抵抗効果素子は磁界の方向と強さの変化に応じて抵抗値が変化する特性を有するものである。磁気抵抗効果素子はこの特性を利用して、回転体の回転数を検出する回転センサや物体の位置センサ等のセンサに用いられている。
磁気抵抗効果素子としては、ホールICやNi−Fe、Ni−Co等の強磁性体を用いたもの、InSb等の半導体磁気抵抗体を用いたものがあるが、近年、より磁気抵抗効果の大きなものとして、数10Åの磁性薄膜と金属非磁性薄膜を交互に積層することにより構成した巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)が注目されている。
この巨大磁気抵抗効果素子は、基板上にスパッタリングなどにより磁性薄膜と金属非磁性薄膜とを積層してなる多層膜で構成した金属人工格子膜をフォトリソグラフィー等により所定のパターン形状に形成し、そしてこの金属人工格子膜の一端に電圧印加のための電極および電位取り出しのための電極をそれぞれ形成し、さらにこの金属人工格子膜を覆うように保護膜を形成することにより構成しているものである。前記磁性薄膜と金属非磁性薄膜が適当な厚みの場合、金属非磁性薄膜を介して隣り合う磁性薄膜間に反強磁性結合が働くもので、このとき磁性薄膜の磁化方向は互いに逆方向となるため、金属人工格子膜に平行に磁界が印加されると、磁性薄膜の磁化の方向は印加された磁界の方向と同じになり、金属人工格子膜の抵抗値は低くなる。
このような磁気抵抗効果素子を回転検出センサに用いる場合の動作原理について、以下に説明する。
歯車のように周上に凹凸を有する磁性回転体に近接して、ハーフブリッジまたはフルブリッジに組んだ金属人工格子膜およびバイアス磁界を与えるための永久磁石を設置する。このとき、磁性回転体が回転すると永久磁石の磁界の向きが変化するため、金属人工格子膜に印加される磁界の向きや大きさが変化し、これにより、金属人工格子膜の抵抗値が変化し、ブリッジの中点の電圧が変化する。この電圧の変化を外部に接続した処理回路で処理することにより、パルス状の信号として取り出すことができ、これによって回転数を検知することができる。
このような従来の磁気抵抗効果素子としては、Fe(x)Co(1−x)[0≦x≦0.3]からなる磁性薄膜とCuからなる金属非磁性薄膜とを繰り返し積層してなる積層膜により巨大磁気検出素子を構成したものがあるが、この磁気抵抗効果素子は、大きな抵抗値の変化を得ることができるものであった。
なお、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
特開2000−298162号公報
しかしながら、上記従来の磁気抵抗効果素子では、磁界の変化による抵抗値の変化は大きいものの、大きな抵抗値変化を得るためには比較的広い範囲の磁界変化が必要であるため、比較的狭い範囲で磁界が変化する場合には、十分な抵抗値変化を得ることができないという課題、およびヒステリシスが大きいという課題を有していた。
本発明は上記従来の磁気抵抗効果素子の課題を解決するもので、比較的狭い範囲で磁界が変化する場合でも大きな抵抗値変化を得ることができる磁気抵抗効果素子を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
本発明の請求項1に記載の発明は、特に、基板の上面側の一部に形成され所定のパターン形状を有する金属人工格子膜を、磁性薄膜と金属非磁性薄膜との積層構造により構成するとともに、前記磁性薄膜を、原子数による組成比がNiを7〜23%、Coを30〜70%含み、かつ残りがFeである合金により構成したもので、この構成によれば、磁性薄膜を、原子数による組成比がNiを7〜23%、Coを30〜70%含み、かつ残りがFeである合金により構成したことにより、磁界の変化に対する抵抗値の変化の割合が大きい領域を有するため、比較的狭い範囲で磁界が変化する場合でも大きな抵抗値変化を得ることができ、かつヒステリシスも小さいものが得られるという作用効果を有するものである。
本発明の請求項2に記載の発明は、特に、磁性薄膜を磁歪が生じないように構成したもので、この構成によれば、磁歪が生じないため、再現性に優れ、センサ等に組み込んだ場合も安定な動作を行うという作用効果を有するものである。
本発明の請求項3に記載の発明は、特に、磁性薄膜を原子数による組成比がNi:Fe:Co=19:31:50となるように構成したもので、この構成によれば、磁性薄膜を原子数による組成比がNi:Fe:Co=19:31:50となるように構成したことにより、磁界の変化に対する抵抗値の変化の割合が大きい領域を有するため、比較的狭い範囲で磁界が変化する場合でも大きな抵抗値変化を得ることができ、かつヒステリシスも小さいものが得られるという作用効果を有するものである。
本発明の請求項4に記載の発明は、特に、金属非磁性薄膜をCuまたはAgのいずれかで構成したもので、この構成によれば、より大きな抵抗値変化が得られるという作用効果を有するものである。
本発明の請求項5に記載の発明は、特に、基板をセラミックで構成したもので、この構成によれば、安価で高温下での使用に適するという作用効果を有するものである。
本発明の請求項6に記載の発明は、特に、基板の表面のうち、金属人工格子膜が形成される表面にガラスグレーズ層を形成したので、この構成によれば、ガラスグレーズ層の存在により、セラミック基板の表面平滑性を特に気にすることなく金属人工格子膜を形成することができるという作用効果を有するものである。
本発明の請求項7に記載の発明は、特に、ガラスグレーズ層をNa+イオン、K+イオン、Cl-イオンの混入量がいずれも10ppm以下になるように構成したもので、この構成によれば、これらのイオン混入による金属人工格子膜の抵抗値および磁気特性の変化を防止することができるという作用効果を有するものである。
本発明の請求項8に記載の発明は、特に、保護膜を基板の温度が150℃〜250℃の範囲になるようにして形成したもので、この構成によれば、金属人工格子膜の特性を劣化させることなく耐熱性および耐侵食性を有し、かつ磁歪が生じないものが得られるという作用効果を有するものである。
本発明の請求項9に記載の発明は、特に、保護膜をNa+イオン、K+イオン、Cl-イオンの混入量がいずれも10ppm以下になるように構成したもので、この構成によれば、これらのイオン混入による金属人工格子膜の抵抗値および磁気特性の変化を防止することができるという作用効果を有するものである。
本発明の請求項10に記載の発明は、原子数による組成比がNiを7〜23%、Coを30〜70%含み、かつ残りがFeである合金からなる磁性薄膜と金属非磁性薄膜との積層構造により構成される金属人工格子膜を基板上に形成する工程と、前記金属人工格子膜を覆うように保護膜を形成する工程とを備えたもので、この製造方法によれば、原子数による組成比がNiを7〜23%、Coを30〜70%含み、かつ残りがFeである合金からなる磁性薄膜と金属非磁性薄膜との積層構造により構成される金属人工格子膜を基板上に形成する工程を備えているため、磁界の変化に対する抵抗値の変化の割合が大きい領域を有するものが得られ、これにより、比較的狭い範囲で磁界が変化する場合でも大きな抵抗値変化を得ることができるとともに、ヒステリシスも小さいものが得られるという作用効果を有するものである。
本発明の請求項11に記載の発明は、特に、保護膜を形成する工程として、基板の温度を150℃〜250℃の範囲にしてSiO、SiO2、SiN、SiONのいずれかをスパッタあるいは蒸着することにより保護膜を形成する工程を用いたもので、この製造方法によれば、簡単な工程により金属人工格子膜の特性を劣化させることなく、耐侵食性を有し、かつ磁歪が生じない磁気抵抗効果素子を得ることができるという作用効果を有するものである。
以上のように本発明によれば、基板と、この基板の上面側の一部に形成され所定のパターン形状を有する金属人工格子膜と、前記基板の上面側に前記金属人工格子膜を覆うように形成された保護膜とを有し、前記金属人工格子膜を磁性薄膜と金属非磁性薄膜との積層構造により構成するとともに、前記磁性薄膜を、原子数による組成比がNiを7〜23%、Coを30〜70%含み、かつ残りがFeである合金により構成しているため、磁界の変化に対する抵抗値の変化の割合が大きい領域を有するものが得られ、これにより、比較的狭い範囲で磁界が変化する場合でも大きな抵抗値変化を得ることができるとともに、ヒステリシスも小さいものが得られるという優れた効果を奏するものである。
以下、本発明の一実施の形態における磁気抵抗効果素子について図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の一実施の形態における磁気抵抗効果素子の断面図、図2は同磁気抵抗効果素子の主要部の断面図である。
図1、図2において、1はセラミックであるアルミナからなる板状の基板で、この基板1の一方の面、すなわち上面には厚みが20μmのガラスグレーズ層2を形成している。3は基板1におけるガラスグレーズ層2の上に設けられた外部出力の取り出し用電極で、この取り出し用電極3はNiCr等からなるものである。4はガラスグレーズ層2の上に形成された金属人工格子膜で、この金属人工格子膜4は前記取り出し用電極3と電気的に接続されている。5は金属人工格子膜4を覆うようにガラスグレーズ層2の上に形成された第1の保護膜で、この第1の保護膜5はSiO、SiO2、SiN、SiONのいずれか一つの材料により構成されている。また、この第1の保護膜5は残留応力が生じないように形成されているものである。6は第1の保護膜5の上に形成された第2の保護膜で、この第2の保護膜6はフェノール系樹脂、ポリイミド樹脂等により構成されている。7はNi、Co、Feを含有する合金により構成した磁性薄膜で、この磁性薄膜7は、原子数による組成比をCoが30〜70%、Niが7〜23%、残りがFeとなるように構成している。また、この原子数による組成比は磁歪が生じないように設定することが好ましい。そしてまた、この原子数による組成比は好ましくは、Ni:Fe:Co=19:31:50となるようにするのがよい。8はCuからなる金属非磁性薄膜で、この金属非磁性薄膜8と前記磁性薄膜7は、図2に示すように積層されて金属人工格子膜4を形成している。なお、この図2においては、磁性薄膜7と金属非磁性薄膜8との積層数は2層で表しているが、3層以上であってもよく、磁気抵抗変化率の点からすると、10層程度が好ましい。また、前記金属非磁性薄膜8はCuの代わりにAgを用いてもよい。そしてまた、前記保護膜は、使用する環境によっては第1の保護膜5のみでもよく、あるいは、第3以上の保護膜を形成してもよい。
次に、本発明の一実施の形態における磁気抵抗効果素子の製造方法について説明する。
まず、基板1の上面に印刷によりガラスグレーズを塗布しこれを焼成してガラスグレーズ層2を形成する。このガラスグレーズ層2は基板1の上面全面に形成するのではなく、外部出力の取り出し用電極3が形成される部分を除いて形成する。これは、取り出し用電極3は直接基板1の上に形成した方が密着が良いからである。
次に、ガラスグレーズ層2の上に取り出し用電極3を所定のパターン形状となるようにマスク蒸着により形成する。なお、この取り出し用電極3のパターン形状が複雑な場合は、マスクを用いずに全面に取り出し用電極3を蒸着した後、レジストを塗布し、かつ露光を行い、さらに現像した後イオンミリング等によって所定のパターン形状を得る方法でもよい。また、この取り出し用電極3はスパッタにより形成してもよい。
次に、ガラスグレーズ層2の上に位置して取り出し用電極3と重なるように磁性薄膜7および金属非磁性薄膜8をスパッタにより交互に積層して金属人工格子膜4を形成する。この積層数は全部で10層程度あれば十分な磁気抵抗変化を得ることができる。ここで、金属人工格子膜4はガラスグレーズ層2の上の全面に形成されるのではなく、所定のパターン形状に形成されなければならない。この形成方法は、磁性薄膜7および金属非磁性薄膜8を形成する際に所定のパターン形状にこれらの薄膜が形成されるようにマスクをする方法や、一度ガラスグレーズ層2の上に磁性薄膜7および金属非磁性薄膜8の積層体からなる金属人工格子膜4を形成した後に、この金属人工格子膜4上にレジストを塗布し、かつ露光を行い、さらに現像した後イオンミリングによって所定のパターン形状を得る方法でもよい。
次に、スパッタによりSiO2からなる第1の保護膜5を形成する。このとき、基板1の温度を150℃〜250℃の範囲にすることにより、金属人工格子膜4の特性を劣化させることなく内部の残留応力が除去されたSiO2からなる第1の保護膜5を得ることができる。基板1の温度が250℃を超えると、磁性薄膜7と金属非磁性薄膜8の層間拡散が生じるため、磁気抵抗変化率が低下してしまうものであり、一方、150℃未満では残留応力を除去することができなくなるため、基板1の温度は150℃〜250℃の範囲にするのが好ましい。
次に、第1の保護膜5の上に第2の保護膜6を形成する。このとき、第2の保護膜6をフェノール系樹脂で形成する場合はスクリーン印刷後硬化させることにより第2の保護膜6を得る。一方、ポリイミド樹脂で形成する場合はスピンコートによる塗布を行い、かつ硬化させることにより第2の保護膜6を得る。
以上のようにして構成され、かつ製造された磁気抵抗効果素子の特性について、以下に説明する。
図3は、本発明の一実施の形態における磁気抵抗効果素子と従来技術との磁気抵抗効果特性を比較した模式図である。
図中の横軸は磁界の強さであり、原点から遠ざかるにしたがって磁界が強くなるものであり、一方、縦軸は抵抗値の変化率であり、下方にいくにしたがって変化が大きくなるものである。なお、抵抗値変化率とは、無磁界時の抵抗値をその磁界を受けたときの抵抗値で減じ、これを無磁界時の抵抗値で除した値を意味している。また、図3は本発明と従来技術との違いをわかり易く説明するための模式図であり、実際の磁気抵抗効果特性と完全に一致するものではない。さらに、磁気抵抗効果特性は縦軸を中心に線対称のグラフとなるが、図3においては縦軸の左側を一部省略している。また、説明を簡単にするため、ヒステリシスの影響を無視したグラフにしている。
図3に示すように、本発明の磁気抵抗効果素子は、従来技術に比べて、抵抗値変化率が飽和する値が小さいものの、曲線の傾きが急な領域がある。本発明の磁気抵抗効果素子をこの領域で使用することにより、本発明の磁気抵抗効果素子は従来技術に比べて狭い範囲の磁界の変化により、大きな抵抗値の変化を得ることができるものである。
次に、本発明の一実施の形態における磁気抵抗効果素子の使用方法について説明する。
金属人工格子膜4は加わった磁界の向きとその大きさによって、電気抵抗値が変わるという特性を有している。従って被検出部材の位置によって磁界の向きや、磁界の大きさを変えるようにすると、被検出部材の位置に応じて金属人工格子膜4の電気抵抗値が変わるため、被検出部材の位置検出が可能となる。
実際の使用にあたっては、金属人工格子膜4を単体で使用するのではなく、無磁界状態での抵抗値のバラツキや、温度による抵抗値変化等を考慮して、ホイートストンブリッジ回路の4つの枝のそれぞれに金属人工格子膜4を配置して使用するのが非常に好ましいが、これに限られるものではない。ホイートストンブリッジ回路の対向する枝に金属人工格子膜4を配置して合計2つの金属人工格子膜4により構成する方法を使用することもできるし、2つの金属人工格子膜4を直列に接続し、中点電位を取り出すハーフブリッジ回路にしてもよい。
図4は、本発明の一実施の形態における磁気抵抗効果素子を構成する金属人工格子膜を用いたブリッジ回路図である。図4において、3a、3b、3c、3dはいずれも外部出力取り出し用電極であり、4a、4b、4c、4dはいずれも金属人工格子膜である。このブリッジ回路は磁気抵抗効果素子内に形成されており、ガラスグレーズ層2の上に金属人工格子膜4を4つ配置し、これらを所定の配線パターンで電気的に接続すればよい。
以上のように本発明の一実施の形態においては、基板1と、この基板1の上面側の一部に形成され所定のパターン形状を有する金属人工格子膜4と、前記基板1の上面側に前記金属人工格子膜4を覆うように形成された第1の保護膜5とを有し、前記金属人工格子膜4を磁性薄膜7と金属非磁性薄膜8との積層構造により構成するとともに、前記磁性薄膜7を、原子数による組成比がNiを7〜23%、Coを30〜70%含み、かつ残りがFeである合金により構成しているため、磁界の変化に対する抵抗値の変化の割合が大きい領域を有するものが得られ、これにより、比較的狭い範囲で磁界が変化する場合でも大きな抵抗値変化を得ることができるとともに、ヒステリシスも小さいものが得られるという効果を有する。さらに、図3からも明らかなように、従来技術に比べて低磁界で使用することができるという効果も有するものである。
また、本発明の一実施の形態においては、第1の保護膜5の材料としてSiO2を用いている。これは、SiO2は通常圧縮応力を生じるものであるが、第1の保護膜5の形成時に基板1の温度を150℃〜250℃の範囲にすることにより、応力を0にすることができるもので、この性質を利用すれば、金属人工格子膜4へ加わる応力を0にすることができるからである。なお、ここでは「応力を0にする」と記載したが、これは実用上応力を無視できる程度の大きさという意味で用いている。
そしてまた、第2の保護膜6の材料はフェノール系樹脂またはポリイミド樹脂を用いたが、これらはいずれも耐熱性および耐湿性に優れた材料であるため、自動車等の高温、多湿の環境においても金属人工格子膜4を十分に保護し得るからである。
さらに、本発明の一実施の形態においては、ガラスグレーズ層2が含有するNa+イオン、K+イオン、Cl-イオンの含有量を10ppm以下にしているもので、これは、これらのイオンは特に高温下において金属人工格子膜4中に移動し易いため、金属人工格子膜4中の元素と結合することによって、その特性を変化させてしまうことが判明したが、上記含有量にすれば、実用上は問題はないものである。
さらにまた、第1の保護膜5が含有するNa+イオン、K+イオン、Cl-イオンについても、その含有量を10ppm以下にしているもので、これも、これらのイオンは特に高温下において金属人工格子膜4中に移動し易いため、金属人工格子膜4中の元素と結合することによって、その特性を変化させてしまうことが判明したが、上記含有量にすれば、実用上は問題はないものである。
なお、本発明の磁気抵抗効果素子は、上記した本発明の一実施の形態で説明した内容に限定されるものではない。
本発明の一実施の形態においては、基板1の材料として、セラミックであるアルミナを用いたが、ガラスやシリコンを用いることもできる。ただし、シリコンは絶縁材ではないため、特に自動車等の高温環境下で使用する場合には、基板の抵抗値が下がることにより磁気抵抗効果が劣化するため、絶縁層を設ける必要がある。この点、基板1の材料として、セラミックであるアルミナを用いれば、ガラスグレーズ層2を設けるだけで済み、その結果、ガラスグレーズ層を有するアルミナが安価であることから経済性に優れたものが得られる。また、ガラスはアルミナよりは高価であるが、ガラスグレーズ層を設ける必要はなく、いずれにしてもこれらを用いれば、経済性に優れたものが得られる。
また、ガラスグレーズ層2の厚みは20μmとしているが、これに限定されるものではない。PCBT試験を温度121℃、湿度80%、2気圧の高温多湿の環境下で行うと、10μm以上の厚みであれば大きな抵抗値変化率を得ることがわかった。しかし、ガラスグレーズ層2の厚みが厚すぎると生産性が低下し、応力が大きくなり基板1を反らしてしまうため、厚みの上限は40μmとするのが好ましい。製造でのバラツキ等を考慮すると20μm程度が好ましい。
なお、基板1としてガラスや高純度低表面粗度のアルミナ基板を使用する場合は、表面状態、基板中の不純物の影響を受けないため、ガラスグレーズ層2を設けなくても基板1上に直接金属人工格子膜4を形成することができる。
また、第1の保護膜5はSiO2により形成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これ以外のSiO、SiN、SiONのいずれか一つを用いてもよい。
本発明にかかる磁気抵抗効果素子は、比較的狭い磁界範囲でヒステリシスが小さく、大きな抵抗値変化を得ることができるという効果を有するものであり、自動車用途のセンサのみならず、各種電子機器用途のセンサとして利用することができる。
本発明の一実施の形態における磁気抵抗効果素子の断面図 同磁気抵抗効果素子の主要部の断面図 同磁気抵抗効果素子と従来技術との磁気抵抗効果特性を比較した模式図 同磁気抵抗効果素子を構成する金属人工格子膜を用いたブリッジ回路図
符号の説明
1 基板
2 ガラスグレーズ層
3 外部出力の取り出し用電極
4 金属人工格子膜
5 第1の保護膜
6 第2の保護膜
7 磁性薄膜
8 金属非磁性薄膜

Claims (11)

  1. 基板と、この基板の上面側の一部に形成され所定のパターン形状を有する金属人工格子膜と、前記基板の上面側に前記金属人工格子膜を覆うように形成された保護膜とを有し、前記金属人工格子膜を磁性薄膜と金属非磁性薄膜との積層構造により構成するとともに、前記磁性薄膜を、原子数による組成比がNiを7〜23%、Coを30〜70%含み、かつ残りがFeである合金により構成した磁気抵抗効果素子。
  2. 磁性薄膜を磁歪が生じないように構成した請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  3. 磁性薄膜を原子数による組成比がNi:Fe:Co=19:31:50となるように構成した請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  4. 金属非磁性薄膜をCuまたはAgのいずれかで構成した請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  5. 基板をセラミックで構成した請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  6. 基板の表面のうち、金属人工格子膜が形成される表面にガラスグレーズ層を形成した請求項5記載の磁気抵抗効果素子。
  7. ガラスグレーズ層をNa+イオン、K+イオン、Cl-イオンの混入量がいずれも10ppm以下になるように構成した請求項6記載の磁気抵抗効果素子。
  8. 保護膜を基板の温度が150℃〜250℃の範囲になるようにして形成した請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  9. 保護膜をNa+イオン、K+イオン、Cl-イオンの混入量がいずれも10ppm以下になるように構成した請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  10. 原子数による組成比がNiを7〜23%、Coを30〜70%含み、かつ残りがFeである合金からなる磁性薄膜と金属非磁性薄膜との積層構造により構成される金属人工格子膜を基板上に形成する工程と、前記金属人工格子膜を覆うように保護膜を形成する工程とを備えた磁気抵抗効果素子の製造方法。
  11. 保護膜を形成する工程として、基板の温度を150℃〜250℃の範囲にしてSiO、SiO2、SiN、SiONのいずれかをスパッタあるいは蒸着することにより保護膜を形成する工程を用いた請求項10記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
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