JP2005222732A - 有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 大気中の水分や酸素による劣化を生じない信頼性の高い有機エレクトロルミネッセンス素子を提供すること。
【解決手段】 有機エレクトロルミネッセンス素子1は、ホール注入電極層12と、電子注入電極層14と、ホール注入電極層12と電子注入電極層14との間に挟持された有機物層13と、電子注入電極層14と有機物層13の露出面を被覆する保護膜20とを有する。保護膜20は、窒化シリコン層15,16,17と水素化窒化シリコン層15a,16aとを交互に積層して多層膜とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)は、蛍光性有機物の電界発光を利用した電子デバイスであり、液晶ディスプレイのバックライトや小型のディスプレイなどに実用化されている。有機EL素子は、基本的には、陽極と陰極の2枚の電極間に発光体である有機物層を配し、陽極から注入された正孔と陰極から注入された電子が発光層で再結合することにより発光する自己発光型のデバイスである。有機EL素子は、発光層に有機物を用いているので、発光層が大気中の酸素や水分により化学劣化を起こすのを防止するために、通常、電極と有機物層の露出部分を保護膜で被覆している。従来、この種の保護膜として、ECRプラズマCVD法により、単層の窒化シリコン膜またはダイヤモンドライクカーボン膜を電極面に形成する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−261487号公報(第2頁、図1)
有機EL素子の保護膜は、防湿性が高いものが望ましい。窒化シリコンは、緻密な構造をもち、保護膜としての防湿性が高いが、内部応力が比較的大きい。特許文献1の窒化シリコン膜は、単層膜なので、防湿性を高めるために膜厚を増加させると、内部応力が急激に増大し、有機EL素子は、常に歪を内在する状態にあり、デバイスとしての性能が劣化したり、寿命が短くなり、信頼性が低下するという問題がある。
(1)請求項1の有機エレクトロルミネッセンス素子は、ホール注入電極層と、電子注入電極層と、ホール注入電極層と電子注入電極層との間に挟持された有機物層と、電子注入電極層と有機物層の露出面を被覆する保護膜とを有し、保護膜は、露出面に、少なくとも窒化シリコン層と水素化窒化シリコン層とを順に2層積層した多層膜であることを特徴とする。この有機エレクトロルミネッセンス素子において、水素化窒化シリコン層は、窒化シリコン層に比べて、より多くのSi−H基を含むことが好ましい。
(2)請求項3の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法は、基板上にホール注入電極層を形成する工程と、ホール注入電極層上に有機物層を形成する工程と、有機物層上に電子注入電極層を形成する工程と、電子注入電極層と有機物層の露出面に、少なくとも窒化シリコン層と水素化窒化シリコン層とを順に2層積層して保護膜を形成する工程とを有することを特徴とする。この有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、保護膜は、高密度プラズマを用いる成膜法により形成されることが好ましい。また、高密度プラズマ成膜法は、表面波励起プラズマ、電子サイクロトロン共鳴プラズマまたは誘導結合プラズマを用いる成膜法が好ましい。また、水素化窒化シリコン層は、高密度プラズマの形成を中止して、窒化シリコン層の表面にHガスを作用させることにより形成してもよい。
本発明によれば、少なくとも窒化シリコン層と水素化窒化シリコン層とを2層積層することにより、内部応力が緩和された防湿性の高い保護膜を形成するので、信頼性の高い有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態による有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)について、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態による有機EL素子の部分断面図である。有機EL素子1は、透明基板11上に、ホール注入電極層(陽極)12、有機物層13、電子注入電極層(陰極)14、保護膜20を順次形成して作製される。保護膜20は、窒化シリコン層15,水素化窒化シリコン層15a,窒化シリコン層16,水素化窒化シリコン層16a,窒化シリコン層17の5層から構成される。
透明基板11には、ガラス、石英ガラスなどの無機物、或いはPET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、PMMA(ポリメチルメタクリレート)などの合成樹脂が用いられる。ホール注入電極層12には、通常、導電性を有する透明なITO(InO−SnO)膜が用いられる。ホール注入電極層12は、図示のようにパターニングされていてもよいし、パターンが形成されていなくてもよい。有機物層13は、ホール注入電極層12側から順にホール輸送層と発光層と電子輸送層とから成り、例えば、ホール輸送層にはトリフェニルアミン誘導体(MTDATA)、発光層には8−ハイドロキシキノリンアルミニウム(Alq)、電子輸送層には10−ベンゾ(h)−キノリール−ベリリウム錯体(BeBq)が用いられる。電子注入電極層14には、アルミニウム、マグネシウム、Al−Li合金、Al−Mg合金などの仕事関数の低い金属や合金が用いられる。
保護膜20は、電子注入電極層14の上に、厚さ0.2μmの窒化シリコン層15,厚さ0.02μmの水素化窒化シリコン層15a,厚さ0.2μmの窒化シリコン層16,厚さ0.02μmの水素化窒化シリコン層16a,厚さ0.2μmの窒化シリコン層170cの5層が順次形成されて成る多層膜である。窒化シリコン層15,16,17は、総て同一成膜条件で形成された同一の物質である。また、水素化窒化シリコン層15aと16aも、同一成膜条件で形成された同一の物質である。
このような5層から成る保護膜20は、図1に示されるように、電子注入電極層14の表面を被覆するだけではなく、有機物層13、電子注入電極層14が露出している端面Aをも被覆するように形成される。このように、保護膜20は、有機物層13、電子注入電極層14の露出面をすべて被覆するように形成されるので、有機物層13および電子注入電極層14は、大気中の水分や酸素の影響を全く受けない。
次に、保護膜20を構成する各層の機能について説明する。窒化シリコン層15,16,17を構成する窒化シリコンは、一般に化学式SiNxで表わされる硬いセラミックであり、Si原子同士の結合およびSi原子とN原子との結合は、結合力の大きい共有結合である。水素化窒化シリコン層15a,16aを構成する水素化窒化シリコンも硬いセラミックであり、Si−Si結合、Si−N結合の他にSi−H結合を有し、窒化シリコンよりも緻密な構造を有する。すなわち、窒化シリコン層15,16,17および水素化窒化シリコン層15a,16aは、いずれも構造的に緻密であり、ガス透過性が低く、光学的には、1.7〜2.1の屈折率をもち、可視光に対してほぼ透明である。
水素化窒化シリコン層15a,16aは、Si−H基を多数含んでいるため、窒化シリコン層15,16の内部応力をそれぞれ緩和する作用がある。本実施の形態の有機EL素子1の保護膜20は、窒化シリコン層15と窒化シリコン層16との間に水素化窒化シリコン層15aを介在させ、窒化シリコン層16と窒化シリコン層17との間に水素化窒化シリコン層16aを介在させているので、保護膜20全体としては内部応力が緩和された状態となっている。また、保護膜20は、その全厚がほぼ0.6μmと比較的薄いにもかかわらず、保護膜20を構成する各層が緻密であり、ガス透過性が低いので、十分な防湿性をもっている。従って、有機EL素子1は、内部歪が低減しているとともに、大気中の水分や酸素の影響を受けないので、信頼性に優れている。
また、保護膜20を構成する各層の屈折率は、成膜条件或いは形成条件によって調整可能であり、窒化シリコン層15,16,17および水素化窒化シリコン層15a,16aともに1.7〜2.1の範囲を取り得る。一般に、Si−H基の数が多いほどSiNx結晶の屈折率は大きくなる。例えば、各層の屈折率を同じにすれば、各層の界面における反射がなくなるので、発光層からの光は、ほとんど損失なく外部に放射される。また、窒化シリコン層15,16,17と水素化窒化シリコン層15a,16aとの屈折率差を小さくすれば、各層の界面における反射も小さく、単層膜と同等となり、発光層からの光は、ほとんど損失なく外部に放射される。このように、保護膜20を透過する光放射(トップエミッション)を利用すると、発光光がアクティブマトリックス方式における電気回路に遮蔽されることがないので、光量損失なく表示することが可能となる。また、トップエミッションを利用する場合、透明基板11の代わりに不透明基板を使用することもできる。
以下、本実施の形態の有機EL素子の製造方法について説明する。先ず、厚さ0.5mmの透明基板11上に、ホール注入電極層12として厚さ150nmのITO膜を真空蒸着により形成し、ITO膜上にレジスト層をスピンコートにより塗布した後に、マスクを用いた露光、現像を行い、所定のパターンのITO膜によるホール注入電極層12を形成する。
ITO膜上に、抵抗加熱蒸着により、ホール輸送層として厚さ50nmのMTDATAを、発光層として厚さ60nmAlqを、電子輸送層として厚さ50nmのBeBqを順次形成し、有機物層13を成膜する。さらに、BeBqの上に、電子注入電極層14として厚さ0.2μmのAl−Li合金層を真空蒸着により形成する。ここまでの工程で作製された有機EL素子1を、以下、有機EL素子基板10と呼ぶ。有機EL素子基板10それ自体は、公知のものである。
電子注入電極層14まで形成された有機EL素子基板10は、図2に示される表面波励起プラズマCVD装置100内に搬送されて保護膜が形成される。図2は、表面波励起プラズマCVD装置の概略構成を示す断面図である。表面波励起プラズマCVD装置(以下、SWP−CVD装置という)は、表面波を利用して大面積で高密度のプラズマを容易に発生させることができ、このプラズマは、表面波励起プラズマ(SWP:Surface Wave Plasma)と呼ばれる。
図2において、SWP−CVD装置100は、チャンバー101、マイクロ波導波管102、スロットアンテナ103、誘電体板104、プロセスガス導入管105、材料ガス導入管106、真空排気管107および基板ホルダー108を備える。チャンバー101は、その内部空間に生成するプラズマPを利用して、基板ホルダー108に保持された基板の表面に成膜するための密閉容器である。基板ホルダー108は、図中矢印で示される上下方向の移動と回転が可能であり、必要に応じて、成膜対象である基板の加熱、冷却、電界印加などが可能に構成される。
チャンバー101の上部には、石英、アルミナまたはジルコニアなどで作製された誘電体板104が設けられている。誘電体板104の上面に接して、マイクロ波導波管102が載置されている。誘電体板104と接するマイクロ波導波管102の底板には、長矩形の開口であるスロットアンテナ103が複数個設けられている。
プロセスガス導入管105からチャンバー101へ導入されるプロセスガスは、Nガス、Oガス、Hガス、NOガス、NOガス、NHガス等の反応性活性種の原料となるガスおよびArガス、Heガス、Neガス、Krガス、Xeガス等の希ガスである。材料ガス導入管106からチャンバー101へ導入される材料ガスは、SiHガス、Siガス等のシリコン薄膜或いはシリコン化合物薄膜の成分であるSi元素を含むガスである。
チャンバー101の底板には、不図示の真空排気ポンプに接続される真空排気管107が配設されている。プロセスガス導入管105、材料ガス導入管106を通してそれぞれ所定のガスを所定流量でチャンバー101内に導入しながら排気を行うことによって、チャンバー101内を所定圧力に保持することができる。
上記のように構成されたSWP−CVD装置100では、不図示のマイクロ波発生源から周波数2.45GHzのマイクロ波をマイクロ波導波管102内に伝搬させ、スロットアンテナ103を通して誘電体板104へ放射させる。マイクロ波は表面波SWとなって、この表面波エネルギーによりチャンバー101内のプロセスガスが電離、解離されてプラズマPが生成する。表面波SWは、誘電体板104の内面全域に拡がるので、プラズマPもチャンバー101内でそれに対応した領域に拡がる。このプラズマPを利用して、有機EL素子基板10上に保護膜20の成膜を行う。
以下、本実施の形態の有機EL素子1の保護膜20の製造工程を詳述する。
(1)窒化シリコン層15の形成
有機EL素子基板10を基板ホルダー108にセットして、チャンバー101内を0.01Pa程度の高真空に排気する。プロセスガス導入管105を通してHガス、Nガス、Arガスをそれぞれ所定の流量でチャンバー101内に導入し、材料ガス導入管106を通してSiHガスをHガスの85%の流量でチャンバー101内に導入し、チャンバー101内を圧力4Paに保持する。マイクロ波電力3.0kWにより生成したプラズマPにより2分間の成膜を行い、厚さ0.2μmの窒化シリコン層15を形成する。
(2)水素化窒化シリコン層15aの形成
先ず、SiHガスをチャンバー101内に導入するのを中止し、マイクロ波電力も切断する。プロセスガス導入管105を通してHガスとHeガスを流量比100:5でチャンバー101内に導入し、チャンバー101内を圧力5Paに30秒間保持する。すなわち、プラズマPが生成していない状態で、窒化シリコン層15の表面にHガスとHeガスを供給する。窒化シリコン層15は、成膜中に最高90℃程度に加熱されているので、窒化シリコン層15の表面にH分子が付着し、最表面では水素化が生じ、厚さ0.02μmの水素化窒化シリコン層15aが形成される。Hガス、Heガスは、0℃の熱伝導率がそれぞれ16.82×10−2W・m−1・K−1、14.22×10−2W・m−1・K−1と気体の中では高く、両者の冷却効果により、窒化シリコン層15の表面温度は低下していく。基板ホルダー108が冷却されている場合は、特に不活性なHeガスが基板ホルダー108と有機EL素子基板10との間に介在して有機EL素子基板10を効率的に冷却する。
(3)窒化シリコン層16の形成
チャンバー101内を0.01Pa程度の高真空に排気した後に、上述した窒化シリコン層15と同じ成膜条件で、水素化窒化シリコン層15aの上に厚さ0.2μmの窒化シリコン層16を形成する。
(4)水素化窒化シリコン層16aの形成
上述した水素化窒化シリコン層15aと同じ形成条件で、窒化シリコン層16の上に厚さ0.02μmの水素化窒化シリコン層16aを形成する。
(5)窒化シリコン層17の形成
チャンバー101内を0.01Pa程度の高真空に排気した後に、上述した窒化シリコン層15,16と同じ成膜条件で、水素化窒化シリコン層16aの上に厚さ0.2μmの窒化シリコン層17を形成する。
上記の窒化シリコン層15,16,17の成膜条件では、通常、SiNx結晶中にSi−H結合が存在し、Si−H基の数が多いほど、結晶粒径は小さくなり、緻密な構造となってガス透過性が低くなる。窒化シリコン層15,16の最表面にそれぞれ水素化窒化シリコン層15a,16aを形成すると、いわゆるダングリングボンドがH原子で被覆されるので、水素化窒化シリコン層15a,16aは、材質的には窒化シリコン層15,16よりもガス透過性が低くなる。また、水素化窒化シリコン層15a,16aの形成は、窒化シリコン層15,16中のSiNx結晶の成長を抑制するので、窒化シリコン層15,16は、水素化窒化シリコン層を形成しない場合と比べてガス透過性が低い。
本実施の形態では、窒化シリコン層15,16,17の成膜時のチャンバー101内の圧力が4Paと比較的高いので、各種分子の平均自由行程が短くステップカバレージに優れている。この効果により、有機EL素子基板10の表面に厚さ0.6μmの保護膜20を形成すれば、側面(図1の端面A)の保護膜20の厚さは0.3μm程度となる。保護膜20は、厚さ0.3μm程度の薄い部分でも、上述したように緻密な層から構成されるので、防湿性は十分である。このように、保護膜20は、有機物層13および電子注入電極層14を完全に被覆し、防湿性が十分に発揮される。
保護膜20の成膜時には、必然的に有機物層13が加熱されるが、本実施の形態では、厚さ0.6μmの保護膜を連続で形成せず、途中で水素化窒化シリコン層15a,16aの形成工程を入れるので、有機EL素子基板10は、90℃以上の高温に曝されることがない。また、水素化窒化シリコン層15a,16aの形成工程では、有機EL素子基板10は、HガスとHeガスにより冷却されるので、有機物層13が加熱により劣化することもない。この効果は、特に、有機物層13として耐熱性の低い低分子の有機物を用いたときに顕著となる。
上述したように、本実施の形態の製造方法では、同一のSWP−CVD装置100を用い、プロセス条件を変えるだけで防湿性に優れた多層構造の保護膜20を製造することができる。保護膜20の製造中は、有機EL素子基板10を大気に曝すことがないので、保護膜20は、水分や酸素の吸着がない清浄な膜となる。
上記の方法で作製された有機EL素子1について、60℃−90%RH、500時間の条件下で環境試験を行った後に、ホール注入電極層12にプラス端子、電子注入電極層14にマイナス端子を接続し、直流電圧を印加した。その結果、有機物層13中の発光層に非発光部分(ダークスポット)は認められず、環境試験前と比べて輝度の低下も生じなかった。また、電子注入電極層14についても、酸化或いは錆の発生がなく、保護膜20の防湿性は十分に高い。
本実施の形態では、保護膜20の成膜装置として、SWP−CVD装置について説明したが、電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマまたは誘導結合プラズマ(ICP)を用いるCVD装置を使用することもできる。SWP−CVD装置、ECR−CVD装置およびICP−CVD装置は、いずれも電子密度が1012cm−3程度の高密度プラズマが得られ、イオンエネルギーが10〜20eV程度と小さい。従って、他のプラズマCVD装置に比べて、材料ガスの分解や反応性ガスとの化学反応等が効率良く行われ、基板に対するイオン衝撃によるダメージや加熱が非常に小さいという利点がある。
以下、本実施の形態の変形例を説明する。本実施の形態では、有機EL素子1の保護膜20は、窒化シリコン層15,水素化窒化シリコン層15a,窒化シリコン層16,水素化窒化シリコン層16a,窒化シリコン層17の5層から構成されているが、窒化シリコン層と水素化窒化シリコン層とが積層されていれば、2層以上の何層から成る保護膜でもよい。また、保護膜中の最外層は、窒化シリコン層、水素化窒化シリコン層のいずれでもよい。
以上説明したように、窒化シリコン層と水素化窒化シリコン層とから成る複数層として保護膜20を成膜しており、保護膜20は、防湿性が高く、内部応力が緩和されているので、本実施の形態の有機EL素子1は、デバイスとしての耐湿性、信頼性が向上する。また、保護膜20は、透明性が高く、トップエミッションにも十分対応できる。また、保護膜20の成膜時には、水素化窒化シリコン層15a,16aの形成工程を入れるので、有機EL素子基板10は、高温に曝されることがなく、有機物層13が加熱により劣化することもない。本発明は、その特徴を損なわない限り、以上説明した実施の形態に何ら限定されない。
本発明の実施の形態に係る有機EL素子の部分断面図である。 本発明の実施の形態に係る有機EL素子の製造方法に用いられる表面波励起プラズマCVD装置の概略構成を示す断面図である。
符号の説明
1:有機EL素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)
10:有機EL素子基板
11:透明基板
12:ホール注入電極層(陽極)
13:有機物層
14:電子注入電極層(陰極)
15,16,17:窒化シリコン層
15a,16a:水素化窒化シリコン層
20:保護膜
100:SWP−CVD装置(表面波励起プラズマCVD装置)
A:端面

Claims (6)

  1. ホール注入電極層と、
    電子注入電極層と、
    前記ホール注入電極層と電子注入電極層との間に挟持された有機物層と、
    前記電子注入電極層と有機物層の露出面を被覆する保護膜とを有し、
    前記保護膜は、前記露出面に、少なくとも窒化シリコン層と水素化窒化シリコン層とを順に2層積層した多層膜であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記水素化窒化シリコン層は、前記窒化シリコン層に比べて、より多くのSi−H基を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 基板上にホール注入電極層を形成する工程と、
    前記ホール注入電極層上に有機物層を形成する工程と、
    前記有機物層上に電子注入電極層を形成する工程と、
    前記電子注入電極層と有機物層の露出面に、少なくとも窒化シリコン層と水素化窒化シリコン層とを順に2層積層して保護膜を形成する工程とを有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  4. 請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、
    前記保護膜は、高密度プラズマを用いる成膜法により形成されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  5. 請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、
    前記高密度プラズマ成膜法は、表面波励起プラズマ、電子サイクロトロン共鳴プラズマまたは誘導結合プラズマを用いる成膜法であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  6. 請求項4または5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、
    前記水素化窒化シリコン層は、前記高密度プラズマの形成を中止した状態で、前記窒化シリコン層の表面にHガスを作用させることにより形成されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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