以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。なお、本実施形態では、非接触通信の一例として電磁波を用いた近接通信を採用した態様を説明する。図1には本実施形態に係る複写機32、該複写機32と一体に設けられた決済ユニット10、及び、ユーザーが複写機32を利用する際の利用料金の決済に使用可能なICチップ46を内蔵した携帯端末60等が示されている。なお、決済ユニット10が一体に設けられた複写機32は、例えばコンビニエンス・ストア等のように、利用料金を支払って複写機32を利用することを所望している不特定のユーザーが到来する環境に設置されている。携帯端末60は近接型ICカード(PICC)として機能し、決済ユニット10は近接型結合装置(PCD)として機能する。
複写機32は、図示しないプラテンガラス上に載置された原稿の画像を読み取ると共に、読み取った原稿の画像を記録用紙に記録する複写処理を行う機能を備えたスキャナ/画像形成部34を備えており、このスキャナ/画像形成部34には、スキャナ/画像形成部34を含む複写機32の各部の動作を制御する複写機制御部36に接続されている。また図2にも示すように、複写機32の上面手前側には操作パネル42が配設されており、この操作パネル42には、LCD等から成り任意の情報を表示可能な表示部38と、テンキー等を含んで構成されユーザーが任意の情報を入力可能な操作部40が設けられている。表示部38及び操作部40は複写機制御部36に接続されている。なお、複写機32は請求項2に記載のジョブ実行装置に対応している。
また、決済ユニット10は、ユーザー(詳しくは後述する電子マネーサービス提供機関が提供する電子マネーサービスに加入している加入者、以下同様)からの指示に従い複写機32が複写処理を行うことでユーザーに提供される複写サービスの対価(複写機32の利用料金)を、複写機32を利用するユーザーが所持している携帯端末60に内蔵されたICチップ46と近接通信を行うことで決済する機能を備えており、本発明に係る決済装置に対応している。決済ユニット10には、ICチップ46と近接通信を行う機能を備えたICチップヘッド12と、CPUやメモリを含んで構成され複写機32の複写機制御部36と接続された決済制御部20が設けられている。ICチップヘッド12は、アンテナ14、RF回路16及び変換回路18を備えており、決済制御部20に接続されている。
RF回路16は、アンテナ14により電磁波が受信された場合には、アンテナ14から出力される信号を増幅して変換回路18へ出力し、変換回路18から信号が入力された場合には、該信号を増幅してアンテナ14へ供給することで、入力された信号を電磁波としてアンテナから放射させる。また変換回路18は、RF回路16から入力された信号を復調及び復号し、復調及び復号によって得られたデジタルデータを決済制御部20へ出力すると共に、決済制御部20から入力されたデジタルデータを符号化した信号で搬送波信号を変調し、変調後の信号をRF回路16へ出力する。決済制御部20は情報の読み取り及び書き込みが可能な不揮発性のメモリ(例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory))を内蔵しており、この不揮発性メモリには、後述する制御/決済処理を実行するための制御/決済プログラムが予め記憶されている。
図3(A)に示すように、本実施形態に係る複写機32の操作パネル42内には、ICチップ46を内蔵する携帯端末60を収納するための収納部28が設けられており、ICチップヘッド12のアンテナ14は、携帯端末60が収納部28に収納された状態で、前記携帯端末60に内蔵されているICチップ46との近接通信が可能となるように、収納部28の内面近傍に配置されている。また収納部28には、収納部28の開口を開放/閉止するように手動でスライド可能とされた開閉扉30(図3(B)参照)が取り付けられている。開閉扉30は動力により開閉するようにしても良い。また収納部28の近傍には、ロック状態で、収納部28の開口を閉止する位置に位置している開閉扉30のスライド移動を阻止可能なロック機構26(図1参照)が設けられている。ロック機構26は決済制御部20に接続されており、ロック機構26のロック状態/アンロック状態の切り替えは決済制御部20によって行われる。
また決済ユニット10には、LCD等から成り任意の情報を表示可能な表示部22と、複数のキーを含んで構成されユーザーが任意の情報を入力可能な操作部24も、開閉扉30の近傍に設けられている。図2及び図3に示すように、表示部22及び操作部24も複写機32の操作パネル42内に配置され、決済制御部20に接続されている。なお、操作部24は請求項3,4に記載の入力手段に対応している。
本実施形態では決済ユニット10と複写機本体とを一体に構成しているが、別体に構成して両者を有線/無線通信により接続するよう構成しても良い。
一方、携帯端末60に内蔵されているICチップ46はアンテナ48と一体化されており、電源回路50、RF回路52、変換回路54、CPU56及びメモリ58を含んで構成されている。なお、ICチップ46は本発明に係る記憶媒体及び第2通信部としての機能を単一のICチップに収めたものであり、アンテナ48、電源回路50、RF回路52及び変換回路54は本発明に係る第2通信部に対応しており、メモリ58は本発明に係る記憶媒体に対応している。電源回路50はアンテナ48と共に共振回路を構成しており、アンテナ48により特定周波数の電磁波が受信されると相互誘導作用によって図示しないコンデンサに電力を蓄積し、蓄積した電力を整流してCPU56や他の回路に供給するように構成されている。CPU56はICチップ46の各部の動作を制御する。
またRF回路52は、アンテナ48により電磁波が受信された場合には、アンテナ48から出力される信号を増幅して変換回路54へ出力し、変換回路54から信号が入力された場合には、該信号を増幅してアンテナ48へ供給する。変換回路54は、RF回路52から入力された信号を復調及び復号し、復調及び復号によって得られたデジタルデータをCPU56へ出力すると共に、CPU56から入力されたデジタルデータを符号化した信号で搬送波信号を変調し、変調後の信号をRF回路52へ出力する。
また、メモリ58は情報の読み取り及び書き込みが可能な不揮発性のメモリ(例えばEEPROM)で構成されており、CPU56に接続されている。メモリ58には、ICチップ46(を内蔵している携帯端末60)を所持しているユーザーがICチップ46を用いて決済可能な残高を表す残金情報と、個々のICチップ46(すなわち個々のICチップ46を所持しているユーザー)を識別するためのチップ情報と、CPU56で実行可能なアプリケーション・プログラム(例えば後述する携帯端末制御プログラム等)が予め記憶されている。なお、残金情報は本発明に係る貨幣情報に、チップ情報(詳しくはチップ情報に含まれる後述する発行ID)は請求項6に記載のユーザー識別情報に対応している。
続いて、携帯端末60について説明する。携帯端末60に内蔵されているICチップ46は、CPUやメモリを含んで構成された制御部62に接続されており、制御部62と通信可能とされている。制御部62には情報の読み取り及び書き込みが可能な不揮発性のメモリ(例えばEEPROM)から成る記憶部80が接続されており、この記憶部80には、制御部62のCPUで実行可能な各種のアプリケーション・プログラム(例えば後述するネットチャージ・プログラム等)が予め記憶されている。また、携帯端末60の前面には、LCD等から成り各種情報を表示可能な表示部76と、電源スイッチやテンキー等を含んで構成された操作部78が各々設けられており、表示部76及び操作部78は制御部62に接続されている。
また携帯端末60は、無線通信網82を介しての通話又は通信を可能とする携帯電話機としての機能を備えている。図示は省略するが、無線通信網82は多数台の交換機が通信回線を介して互いに接続されていると共に、互いに異なる場所に設置され携帯端末60との間の無線通信を司る多数の基地局が、多数の交換機の何れかに各々接続されて構成されている。一方、制御部62には、増幅器68を介してスピーカ70が接続されていると共に、増幅器72を介してマイクロフォン74が接続されており、更に、無線通信部64を介してアンテナ66が接続されている。無線通信部64は、無線通信網82を介しての無線通信を司る部分であり、制御部62の制御下で、アンテナ66を介し、携帯電話機用に予め割り当てられた所定の周波数帯域の電磁波により、無線通信網82の特定の基地局と無線通信を行う機能を有している。なお、無線通信部64及びアンテナ66は本発明に係る第1通信部に対応している。
また、無線通信網82はインターネット86と相互接続されている。携帯端末60の中には、インターネット86に接続されたコンピュータと携帯端末60との情報の送受信を行うための機能(以下、インターネットアクセス機能と称する)が搭載されている携帯端末60が存在しており、無線通信網82には、インターネット86に接続されたコンピュータとインターネットアクセス機能が搭載されている携帯端末60との情報の送受信(例えばウェブページの閲覧や電子メールの送受信等)を司るサーバ84が設けられている。インターネット86には無数のコンピュータが接続されているが、図1では、このうち電子マネーサービスを提供する電子マネーサービス提供機関が所定のサービスを提供するためのサーバ・コンピュータ88と、前記電子マネーサービス提供機関と提携している金融機関が所定のサービスを提供するためのサーバ・コンピュータ90のみ示している。なお、サーバ・コンピュータ88は本発明に係る貨幣情報管理装置に対応している。本実施形態では、電子マネーサービス提供機関のサーバ・コンピュータ88と金融機関のサーバ・コンピュータ90がインターネット86を介して通信を行うが、その際、VPNを利用することも可能である。また、インターネット86に代えて専用線等の他の通信媒体を用いても構わない。
電子マネーサービス提供機関が提供する電子マネーサービスは、ユーザーに対してはICチップ46(のメモリ58に記憶されている残金情報)による決済(支払い)を可能とし、加盟店(この加盟店には、複写機32による複写サービスを提供するサービス提供者も含まれる)に対しては、提供した商品又はサービスの対価としてユーザーが提示したICチップ46のメモリ58に記憶されている残金情報を、通常の貨幣と同等の貨幣価値を有する情報として取扱可能であることを保証するサービスである。電子マネーサービス提供機関は、ICチップ46を内蔵したPICCとしての携帯端末60を識別するための発行IDをメモリ58にチップ情報として書き込んだICチップ46内蔵の携帯端末60を加入申込者(ユーザー)に渡す。発行IDは個々のユーザーのデータと対応付けられてサーバ・コンピュータ88の記憶媒体に記憶される。本実施形態では、チップ情報として書き込まれる発行IDをユーザーと対応付けることで発行IDによってユーザーを識別しているが、加入申込者に対してユーザーIDを付与し、付与したユーザーIDをメモリ58の所定の領域に書き込み、ユーザーIDを個々のユーザーのデータと対応付けてサーバ・コンピュータ88の記憶媒体に記憶することでユーザーIDによってユーザーを識別しても良い。
また、上記の電子マネーサービスにおいて、ユーザーがICチップ46に貨幣価値をチャージさせる(ICチップ46への残金情報の新規書込み、或いは既に書き込まれている残金情報が表す決済可能金額の増額)ことは、所定のチャージ機にユーザーが金銭を投入することで行わせる以外に、携帯端末60を所持しているユーザーが携帯端末60を用いて、ICチップ46への貨幣価値のチャージをオンラインで指示する(以下、ネットチャージと称する)ことも可能とされている。ネットチャージを利用するユーザーは、加入申込時に資金調達先の金融機関(電子マネーサービス提供機関と提携している金融機関)、資金調達方法及びユーザー認証のためのパスワードを指定し、これらの情報は発行IDと対応付けてサーバ・コンピュータ88の記憶媒体に事前に記憶される。また、ネットチャージの利用を申し込んだユーザーのICチップ46のメモリ58には、チップ情報として「ネットチャージ利用有り」を意味する情報も書き込まれる。
なお、上記の資金調達方法には、例えば資金調達先金融機関としての特定銀行に開設されているユーザー名義の口座からの資金の引き落としや、資金調達先金融機関としてのクレジット会社からのユーザー名義での資金の融資等があり、例えば資金調達方法が「口座からの引き落とし」であれば、資金調達方法を表す情報としてユーザー名義の口座を特定する情報(銀行名、支店名、口座種別、口座番号等)も記憶媒体に併せて記憶され、資金調達方法が「クレジット会社からの融資」であれば、資金調達方法を表す情報としてユーザーが所持しているクレジットカードの番号も記憶媒体に併せて記憶される。
ネットチャージを指示する場合、ユーザーは携帯端末60の記憶部80に記憶されているネットチャージ・プログラムを起動させることで、制御部62によってネットチャージ処理を実行させる。このネットチャージ処理では、ネットチャージの実行を指示するために必要な情報(チャージ金額や発行ID、パスワード)を取得してサーバ・コンピュータ88に送信することで、ネットチャージの実行許可を要請する。これにより、サーバ・コンピュータ88の管理下でネットチャージ(ICチップ46のメモリ58に記憶されている残金情報が書き替えられることによる前記チャージ金額のチャージ:詳細は後述)が行われることになる。
次に本実施形態の作用を説明する。なお、以下で説明する処理のうち、決済ユニット10の決済制御部20から各種信号を受信した場合に複写機32の複写機制御部36で実行される処理は、現金又はプリペイドカードでの複写機32の利用料金の支払いを受け付ける従来構成の決済ユニットが複写機32と一体に設けられている場合の処理と同一であることを付記しておく。
決済ユニット10の決済制御部20は、内蔵メモリに記憶されている制御/決済プログラムを実行することで、図4に示す制御/決済処理を常時実行している。この制御/決済処理では、複写機32を利用しようとしているユーザーに対し、該ユーザーが所持している携帯端末60を収納部28内に入れるよう要請するメッセージ「携帯端末を入れて下さい」を表示部22に表示させる。本実施形態では、ユーザーが実行すべき複写処理(ジョブ)の内容を設定するための操作部40の近傍に設けられた表示部38とは別に、表示部22が操作部24および開閉扉30およびの近傍に設けられているため、例えばユーザーが操作部40に注視している等の場合、ユーザーが表示部22の表示に気付かない、あるいは気付くのが遅れる可能性がある。そこでユーザーに動作を要求する内容のメッセージを表示部22に表示する際、表示部22に設けた図示しない光源を明滅させてユーザーの注意喚起を図る。表示部22に設けた図示しない光源を明滅させる代わりに、表示部22の表示を点滅させたり、表示部22のバックライトを点滅させても良い。この注意喚起動作は、最初の数秒のみ行っても良いし、要求した操作をユーザーが行うまで続けてもよい。また、要求した操作とは異なる操作(例えばメッセージが「携帯端末を入れて下さい」の場合には、操作部40に対する操作)を試みた場合に行っても良い。次のステップ102では、収納部28内に携帯端末60が投入されたか否か判定し、判定が肯定される迄待機する。
すなわち、携帯端末60が収納部28内に投入されると、ICチップ46では、ICチップヘッド12のアンテナ14の発生するRF動作磁界の中に置かれ、これがアンテナ48で受信されることで、まず電源回路50の図示しないコンデンサに電力が蓄積され、蓄積された電力が整流されてICチップ46の各回路に供給されることで、ICチップ46の各回路の作動が開始され、ICチップヘッド12のアンテナ14からポーリングコマンドが送られてくるまで待機する。決済制御部20は、ICチップヘッド12のアンテナ14から所定の電磁波(PICCに対しポーリングレスポンスの送信を要求するポーリングコマンドを符号化しこれで変調した電磁波。以後、符号化したデータで変調することを、「データに基づいて変調する」と称する)を繰り返し放射させる。ICチップ46では、アンテナ48で電磁波が受信されることでアンテナ48から出力された信号がRF回路52で増幅され、変換回路54によって復調及び復号された信号がCPU56へ入力されて受信が行われる。CPU56は入力された情報を解析し、ポーリングコマンドであることを認識すると、ポーリングレスポンスを作成し、変換回路54へ出力する。CPU56から情報が入力されると、変換回路54は入力された情報を符号化した信号で搬送波信号を変調してRF回路52へ出力し、RF回路52は変換回路54から入力された信号を増幅してアンテナ48へ供給する。これにより、ポーリングレスポンスに基づいて変調された電磁波がアンテナ48から放射される。この電磁波がICチップヘッド12のアンテナ14で受信され、RF回路16で増幅され、変換回路18で復調及び復号された情報が入力されることで、決済制御部20はICチップ46の存在を検知する。決済制御部20はICチップ46の存在を検知すると、さらに携帯端末60と決済ユニットとの間で近接通信を行って相互認証する。この相互認証が成功裏に完了したことをもって携帯端末60が投入されたと判定する。相互認証に失敗した場合には、エラーである旨の表示を行う。ここで、ポーリングコマンドに対するポーリングレスポンスが受信されたことをもって携帯端末60が投入されたと判定してもよいが、この場合、少なくとも携帯端末60に対する近接通信による読み書きを行うまでに相互認証を完了させなくてはならない。
ICチップ46を内蔵している携帯端末60を所持し、複写機32を利用するために複写機32の設置箇所に到来したユーザーが、決済ユニット10の表示部22に表示された上記メッセージに従って収納部28内に携帯端末60を投入すると、ステップ102の判定が肯定されてステップ104へ移行し、ユーザーに対して開閉扉30を閉止させる操作を行うよう要請するメッセージ「扉を閉じて下さい」を表示部22に表示させ、次のステップ106において、ユーザーによって開閉扉30が閉止されたか否か判定する。
上記のメッセージに従い、ユーザーが開閉扉30を閉止する操作を行うと、ステップ106の判定が肯定されてステップ108へ移行し、表示部22に表示しているメッセージを消去すると共に、ロック機構26をロック状態へ切り替えることで、開閉扉30を閉止状態で保持する。これにより、ロック機構26がアンロック状態へ切り替わる迄の間、ユーザーによる収納部28からの携帯端末60の取り出しが阻止される。このように、収納部28、開閉扉30、ロック機構26及び決済制御部20は請求項2に記載の保持手段に対応している。
次のステップ110では、収納部28内に収納されている携帯端末60に内蔵されたICチップ46のメモリ58から残金情報及びチップ情報を取得する。すなわち、決済制御部20は、ICチップヘッド12のアンテナ14から所定の電磁波(ICチップ46に対しメモリ58に書き込まれている情報の送信を要求するコマンド(データ)に基づいて変調した電磁波)を放射させることで、ICチップ46のメモリ58に書き込まれている情報の読み出しを試行する。決済ユニット10と携帯端末60とのデータ交換のための近接通信はすべて暗号化がなされる。
次に、アンテナ48で所定の電磁波が受信されることでアンテナ48から出力された信号がRF回路52で増幅され、変換回路54によって復号及び復調されることで、CPU56へ所定の情報が入力される。CPU56は入力された情報を解析し、メモリ58に書き込まれている情報の送信を要求している所定の情報であることを認識すると、メモリ58に書き込まれている情報をメモリ58から読み出し、変換回路54へ出力する。CPU56から情報が入力されると、変換回路54は入力された情報で搬送波信号を変調してRF回路52へ出力し、RF回路52は変換回路54から入力された信号を増幅してアンテナ48へ供給する。これにより、メモリ58から読み出された情報に基づいて変調された電磁波がアンテナ48から放射され、この電磁波がICチップヘッド12のアンテナ14で受信され、RF回路16で増幅され、変換回路18で復号及び復調されて決済制御部20に情報として入力される。
ICチップヘッド12から決済制御部20に情報が入力されると、決済制御部20は、入力された情報の中から残金情報及びチップ情報を抽出することで、残金情報及びチップ情報を取得する。なお、このステップ110は、ICチップ46と通信を行うICチップヘッド12と共に、本発明に係る取得手段に対応している。
ステップ114では、残金有りを意味する準備完了信号を複写機制御部36へ送信する。また、次のステップ116では、複写機制御部36からジョブ開始通知を受信したか否か判定し、判定が肯定される迄ステップ116を繰り返す。複写機制御部36では、決済ユニット10から準備完了信号を受信すると、複写処理(ジョブ)を実行可能な状態であることをユーザーに通知するメッセージ「コピーできます」を表示部38に表示させ、操作部40の複写開始ボタンが押下される迄、この状態で待機する。複写機32の表示部38に表示される上記メッセージを参照することで、ユーザーは複写機32が複写処理(ジョブ)を実行可能な状態であることを認識することができる。そしてユーザーは、複写したい原稿を複写機32のプラテンガラス上に載置すると共に、操作部40を操作することで実行すべき複写処理(ジョブ)の内容(複写枚数・拡大縮小率・原稿の画像を複写する記録用紙のサイズ・コピー種別(カラー/モノクロ)等)を設定する。そして、複写処理(ジョブ)の内容の設定が完了すると、操作部40の複写開始ボタンを押下することで、複写処理の開始を指示する。
ユーザーによって複写開始ボタンが押下されると、複写機制御部36は、複写処理(ジョブ)の開始が指示されたことを通知すると共に、ユーザーによって設定された複写処理(ジョブ)の内容を表す情報を、ジョブ開始通知として決済制御部20へ送信する。そして、決済制御部20からジョブ開始信号を受信する迄の間、ユーザーから開始が指示された複写処理(ジョブ)の実行を停止するジョブ開始信号待ち状態へ移行する。
決済制御部20では、複写機制御部36からジョブ開始通知を受信するとステップ116の判定が肯定されてステップ118へ移行し、複写機制御部36からジョブ開始通知として受信した情報に基づき、ユーザーによって設定された内容の複写処理(ジョブ)を実行した場合の利用料金(すなわちユーザーが支払うべき決済金額)を演算する。そして、先のステップ110で取得した残金情報が表す残金(決済可能金額)が、ステップ118で演算した利用料金以上か否か判定する。判定が肯定された場合にはステップ122へ移行し、複写機32で実行される複写処理における決済金額及び単価を通知して複写処理の実行開始を指示するジョブ開始信号を複写機制御部36へ送信する。そして、次のステップ124では複写機制御部36からFeed/Count信号を受信したか否か判定し、判定が肯定される迄ステップ124を繰り返す。
決済制御部20からジョブ開始信号を受信すると、複写機制御部36では、複写処理(ジョブ)を実行中であることをユーザーに通知するメッセージ「コピー中」を表示部38に表示させた後に、ユーザーによって設定された内容の複写処理(ジョブ)の実行を開始する。そして、1枚の記録用紙に原稿の画像を複写する毎に、当該複写に係る料金(決済制御部20から通知された単価)を利用料金に積算すると共に、決済制御部20に対してFeed/Count信号を送信する。これにより、決済制御部20では、前述のステップ124の判定が肯定されてステップ126へ移行し、複写機制御部36からジョブ終了信号を受信したか否かに基づいて、ユーザーによって内容が設定された複写処理(ジョブ)が終了したか否か判定する。判定が否定された場合はステップ124に戻り、ステップ124、126を繰り返す。
複写機制御部36では、積算している利用料金が通知された決済金額に達したか否か、及び、ユーザーにより内容が設定された複写処理(ジョブ)が終了したか否かをチェックしながら記録用紙への原稿の画像の複写を繰り返し、ユーザーによって内容が設定された複写処理(ジョブ)が終了すると、決済制御部20へジョブ終了信号を送信する。このジョブ終了信号が決済制御部20で受信されることで、決済制御部20では、前述のステップ126の判定が肯定されてステップ128へ移行し、決済処理を行う。
すなわち、ステップ128では、残金から、先に演算した利用料金を減算する要求を、ICチップヘッド12によってICチップ46へ送信する。また、次のステップ130では、今回の利用料金をICチップ46から取得したチップ情報に含まれる発行IDと対応付けて内蔵メモリに記憶する。この利用料金と発行IDの情報は、複写機32による複写サービスを提供するサービス提供者が、今回の利用料金を電子マネーサービス提供機関に請求する際に用いられる。なお、ステップ128,130は請求項6に記載の決済手段に対応している。
このように、本実施形態では、複写機32における複写処理が終了し、携帯端末60に内蔵されているICチップ46のメモリ58に記憶されている残金情報に基づく利用料金の決済が完了する迄の間、携帯端末60が収納部28内に収納され、ロック機構26によって開閉扉30が収納部28の開口を閉止している状態で保持されるので、決済が完了する迄の間に悪意を持ったユーザーによって携帯端末60が持ち出されることを防止することができ、複写機32によって実行された複写処理の対価を確実に決済することができる。
ステップ132では、ロック機構26をアンロック状態へ切り替えることで開閉扉30を開放可能な状態にすると共に、ユーザーに対して収納部28からの携帯端末60の取り出しを要請するメッセージ「扉を開けて携帯端末を取り出して下さい」を表示部22に表示させる。次のステップ134では、ユーザーにより収納部28から携帯端末60が取り出されたか否か判定し、判定が肯定される迄ステップ134を繰り返す。ユーザーが開閉扉30を開放して収納部28から携帯端末60を取り出すと、ステップ134の判定が肯定されてステップ136へ移行し、表示部22に表示しているメッセージを消去した後にステップ100に戻る。これにより、次のユーザーが複写機32を利用可能な状態になる。
続いて、ICチップ46から取得した残金情報が表す残金(ユーザーがICチップ46を用いて決済可能な金額)が不足していた場合(ステップ120の判定が否定された場合)の処理について説明する。ステップ120の判定が否定された場合にはステップ138へ移行し、残金不足を意味する準備中信号を複写機制御部36へ送信する。複写機制御部36は決済制御部20から準備中信号を送信すると、複写処理(ジョブ)の実行を停止している状態を維持したまま、料金不足のために複写処理(ジョブ)を実行できない状態であることをユーザーに通知するメッセージ「料金不足」を表示部38に表示させる。
また決済制御部20では、複写機制御部36へ準備中信号を送信すると、次のステップ140において、収納部28に収納されている携帯端末60がインターネットアクセス機能が搭載されている携帯端末で、かつICチップ46から取得したチップ情報の中に「ネットチャージ利用有り」意味する情報が含まれているか否かに基づいて、携帯端末60でネットチャージを行うことが可能か否か判定する。判定が否定された場合はステップ142へ移行し、ロック機構26をアンロック状態へ切り替えることで開閉扉30を開放可能な状態にし、ユーザーに対して残高不足を通知すると共に、収納部28からの携帯端末60の取り出しを要請するメッセージ「残高不足です、扉を開けて携帯端末を取り出して下さい」を表示部22に表示させる。
次のステップ144では、ユーザーにより収納部28から携帯端末60が取り出されたか否か判定し、判定が肯定される迄ステップ144を繰り返す。ユーザーが開閉扉30を開放して収納部28から携帯端末60を取り出すと、ステップ144の判定が肯定されてステップ100に戻る。ここに、近接通信により決済ユニット10よりリクエストレスポンスコマンドを発し、これに対する応答であるリクエストレスポンスレスポンスが携帯端末60より受信されなくなったことをもって、携帯端末60が取り出されたと判定する。この場合、ユーザーは携帯端末60を持参してチャージ機へ出向き、チャージ機に金銭を投入すると共に、残金情報が表す残金(決済可能金額)を増額させるための操作を行うことになる。
一方、ステップ140の判定が肯定された場合はステップ146へ移行し、ICチップ46から取得した残金情報が表す残金を今回の利用料金から減算することで不足金額(ICチップ46へチャージすべき金額)を演算し、演算した不足金額を表示部22に表示させると共に、ネットチャージを行うか否かをユーザーに問い合わせるメッセージを表示部22に表示させる。なお、このステップ148は請求項3に記載の問い合せ手段に対応している。不足金額及び上記のメッセージが表示部22に表示されると、ユーザーは操作部24を操作することで、ネットチャージを行うか否かを通知する情報を入力する。次のステップ148では、ユーザーによって入力された情報に基づいてネットチャージが許可されたか否か判定する。判定が否定された場合はステップ142へ移行し、前述のようにロック機構26がアンロック状態へ切り替わり、ユーザーに対して残高不足が通知され、収納部28からの携帯端末60の取り出しが要請される。
また、ネットチャージを許可することを意味する情報がユーザーによって入力された場合は、ステップ148の判定が肯定されてステップ150へ移行し、ネットチャージを行うためのパスワードの入力をユーザーに要請するメッセージ「パスワードを入力して下さい」を表示部22に表示させる。なお、このステップ150は請求項4に記載の要請手段に対応しており、上記のパスワードは請求項4に記載の認証情報に対応している。次のステップ152ではパスワードが入力されたか否か判定し、判定が肯定される迄ステップ152を繰り返す。表示部22に表示された上記メッセージを確認したユーザーが操作部24を操作することでパスワードが入力されると、ステップ152の判定が肯定されてステップ154へ移行し、ICチップ46に対しICチップヘッド12を介して不足金額、発行ID及び入力されたパスワードを通知し、携帯端末60で実行されるネットチャージ・プログラムの起動を指示することで、ネットチャージの実行を要求する。なお、このステップ154は本発明に係る制御手段(詳しくは請求項3及び請求項4に記載の制御手段)に対応している。上記では、ユーザーに対するネットチャージ可否問い合わせとパスワードの入力要請を2回に分けて行う例を説明したが、一度に行うようにしても良い。
上記の要求を受信すると、ICチップ46では、メモリ58に予め記憶されている携帯端末制御プログラムがCPU56によって実行される。これにより、ICチップ46は、まず携帯端末60本体の電源がオフされている場合には、携帯端末60本体の電源をオンさせた後に、携帯端末60の記憶部80に記憶されているネットチャージ・プログラムを起動することで、制御部62によってネットチャージ処理を実行させ(このネットチャージ処理は本発明に係る要請処理に対応している)、続いて、ネットチャージ処理を実行している制御部62に対し、決済ユニット10から通知された不足金額(チャージ金額)、発行ID及びパスワードを通知する処理を順に行う。また、携帯端末60の制御部62は、ネットチャージ処理を実行することで、まずICチップ46からチャージ金額(不足金額)、発行ID及びパスワードを受信し、受信したチャージ金額(不足金額)、発行ID及びパスワードを、無線通信部64から無線通信網82、インターネット86を介してサーバ・コンピュータ88へ送信することで、送信したチャージ金額のICチップ46へのチャージ(ネットチャージ)を許可するよう要請する。
携帯端末60からネットチャージの実行許可が要請されると、サーバ・コンピュータ88は、まず携帯端末60から受信した発行IDと対応付けられて記憶媒体に記憶されているパスワードを受信したパスワードと照合することで、ネットチャージの指示者が正当なユーザーか否かを確認する。このネットチャージの指示者が正当なユーザーか否かの確認は、ユーザーが入力したパスワードをICチップ46あるいは制御部62で照合し、照合が成功した場合に、ICチップ46あるいは制御部62と、サーバ・コンピュータ88との間で認証を行うようにしてもよい。ネットチャージの指示者が正当なユーザーであることが確認されると、サーバ・コンピュータ88は、携帯端末60から受信した発行IDと対応付けられて記憶媒体に記憶されている資金調達先の金融機関及び資金調達方法に基づき、金融機関のサーバ・コンピュータ90と通信を行うことで、通知されたチャージ金額に相当する資金を調達する処理(例えば資金調達先金融機関としての特定銀行に開設されているユーザー名義の口座からチャージ金額に相当する資金を引き落とす処理、或いは資金調達先金融機関としてのクレジット会社からチャージ金額に相当する資金の融資をユーザー名義で受ける処理等)を行うと共に、ネットチャージ(ICチップ46のメモリ58への前記チャージ金額のチャージ)を許可するための情報を携帯端末60へ送信する。
携帯端末60の制御部62で実行されるネットチャージ処理では、サーバ・コンピュータ88からネットチャージを許可する情報を受信すると、ICチップ46のCPU56に対してメモリ58に記憶されている残金情報の送信を指示し、この指示に従いICチップ46から受信した残金情報を、該残金情報が表す決済可能金額に前述のチャージ金額を加算した金額が新たな決済金額となるように更新し、更新後の残金情報をICチップ46のメモリ58に上書き記憶させる。これにより、サーバ・コンピュータ88の管理下でICチップ46へ前記チャージ金額がチャージされることになる。このように、本実施形態では、ネットチャージを実現するためのサーバ・コンピュータ88との通信を携帯端末60との通信を行わせているので、決済ユニット10(及び複写機32)の設置にあたり、サーバ・コンピュータ88と通信を行うための通信回線を敷設する必要がなくなり、決済ユニット10(及び複写機32)を低コストで設置することができる。
一方、制御/決済処理では、次のステップ156で所定時間待機した後に、ステップ158において、ICチップ46のメモリ58に記憶されている情報の読み出しをICチップヘッド12によって行わせ、ICチップヘッド12によって読み出された情報の中から残金情報を取得する。ステップ160では、ICチップ46から取得した残金情報が表す残金(決済可能金額)が今回の利用料金以上か否か判定する。判定が否定された場合はステップ162へ移行し、先のステップ154でネットチャージの実行を要求してから予め定められた制限時間が経過したか否か判定する。判定が否定された場合はステップ156に戻り、ステップ160又はステップ162の判定が肯定される迄ステップ156〜ステップ162を繰り返す。これにより、ネットチャージが実行されて決済可能金額が増額されたか否かが所定時間毎に繰り返しチェックされることになり、決済可能金額が増額された場合に、これを短時間で検知することができる。なお、上記のステップ156〜ステップ162は請求項5に記載の監視手段に対応している。
ネットチャージが実行され、ICチップ46のメモリ58に記憶されている残金情報が表す残金(決済可能金額)が不足金額分増額されると、ステップ160の判定が肯定されてステップ122へ移行し、ステップ122以降で前述のように、複写機32で複写処理が行われた後に、決済可能残高が増額された後の残金情報に基づき、決済ユニット10で決済処理が行われることになる。このように、本実施形態では、残金情報が表す残金(決済可能残高)が不足していた場合に、無線通信部64を介し、電子マネーサービス提供機関のサーバ・コンピュータ88に対し、決済可能残高の増額するよう要請するネットチャージ処理を携帯端末60によって行わせることで、ICチップ46のメモリ58に記憶されている残金情報が表す残金(決済可能残高)を増額させるので、決済可能残高を増額させるためにチャージ機に出向いて金銭を投入し所定の操作を行う等の煩雑な作業をユーザーに行わせることなく、利用料金の決済を完了させることができる。
一方、ネットチャージの実行を要求してから所定の制限時間以上経過しても、決済可能金額が利用料金以上に増額されなかった場合には、ステップ162の判定が肯定されてステップ142へ移行し、前述のようにロック機構26がアンロック状態へ切り替わると共にユーザーに対して残高不足が通知され、収納部28からの携帯端末60の取り出しが要請されることになる。
以上、ICチップ46を備えた携帯端末60が収納部28に収納された場合を例に本発明の動作を説明したが、携帯端末60の代わりに非接触ICプリペイドカードが収納部28に収納された場合にも、ステップ140でネットチャージを行うことが可能か否か判定しているため、支障無く動作することは言うまでもない。
なお、上記では本発明に係る決済ユニット10とICチップ46の間で電磁波による近接通信を行う例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば密着型の通信でも近傍型の通信でも構わない。また、赤外線による通信を行うようにしてもよいし(ICチップ46を内蔵する携帯端末60は赤外線通信を行う機能が搭載されていることが多いので、該機能を利用してもよい)、コネクタ等を介して電気的に接続した状態で有線通信を行うように構成することも可能である。また、例えば決済ユニット10からのネットチャージの要請のみ有線通信で行い、他は近接通信で行うといったように、複数の通信を適宜併用してもよい。
また、上記ではネットチャージにおいて、自動的にチャージ金額=不足金額に設定する例を説明したが、これに限定されるものではなく、チャージ金額を、ユーザーが事前に設定した金額、或いはネットチャージ時にユーザーが設定した金額としてもよい。
また、上記ではジョブ開始通知として受信した情報に基づき、複写機32が複写処理を行う前に利用料金を演算する例を説明したが、これに限定されるものではなく、複写機32の利用料金を現金又はプリペイドカードで決済する場合と同様に、1枚の記録用紙への複写が行われる毎に残金情報が表す残金(決済可能金額)から1枚分の利用料金を減じていき、残金不足が生じた時点でネットチャージを行うようにしてもよい。この場合のチャージ金額は、残金不足が生じた時点でユーザーに指定させるようにしてもよいし、ユーザーが事前に設定した1回のネットチャージでのチャージ金額がICチップ46のメモリ58に記憶されており、決済ユニット10は、上記のチャージ金額をICチップ46から読み出すようにしてもよい。
更に、上記では請求項2に記載のジョブ実行装置として複写機32を例に説明したが、ジョブ実行装置はこれに限定されるものではなく、サーバ・コンピュータに別途保管されている印刷可能なコンテンツ群のうち、ユーザーによって選択されたコンテンツをサーバ・コンピュータから通信回線を介して取得して印刷するコンテンツ提供処理を行い、コンテンツに応じた利用料金を徴収するコンテンツ提供装置や、任意の他の商品或いはサービスを提供するための動作を行う装置をジョブ実行装置として適用可能であることは言うまでもない。