JP2005221961A - 平版印刷版用修正剤及びその使用 - Google Patents

平版印刷版用修正剤及びその使用 Download PDF

Info

Publication number
JP2005221961A
JP2005221961A JP2004032102A JP2004032102A JP2005221961A JP 2005221961 A JP2005221961 A JP 2005221961A JP 2004032102 A JP2004032102 A JP 2004032102A JP 2004032102 A JP2004032102 A JP 2004032102A JP 2005221961 A JP2005221961 A JP 2005221961A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
acid
printing plate
lithographic printing
correction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004032102A
Other languages
English (en)
Inventor
Atsushi Sakamoto
敦 坂本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2004032102A priority Critical patent/JP2005221961A/ja
Publication of JP2005221961A publication Critical patent/JP2005221961A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)
  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)

Abstract

【課題】平版印刷版の種類によることなく、極めて短時間で画像部を修正できる平版印刷版用修正剤を提供する。短時間で画像部を修正できるとともに、非画像部や、修正すべき画像部の周辺画像部に悪影響を及ぼすことのない平版印刷版用修正剤を提供する。版上で画像部を消去したことが確認できれば印刷開始時にその消去部分にインキが着肉することがない、平版印刷版用修正剤を提供する。画像溶解性について経時安定性が高い平版印刷版用修正剤を提供する。
【解決手段】 特定の式で示されるγ-ブチロラクトン化合物を含有する平版印刷版用修正剤;親水化処理を施したアルミニウム支持体に、(イ)水不溶性、且つアルカリ可溶性の高分子化合物を含有する中間層、及び(ロ)該中間層上に感光層を設けてなる感光性平版印刷版を露光及び現像処理した後に得られた平版印刷版を修正するための上記平版印刷版用修正剤の使用。
【選択図】なし

Description

本発明は平版印刷版の修正剤に関するものである。本発明はより詳細には、写真製版法や、レーザー露光後現像することで画像部と非画像部とを付与するよう製造された平版印刷版の画像部(平版印刷時に使用される湿し水を反撥して油性インクを受容する領域)を修正(消去)するために使用される修正剤に関し、さらにその修正剤の使用に関する。
従来の感光性平版印刷版はいわゆるPS版と称され、写真製版方法により印刷用の平版印刷版を得る。これを用いて印刷する前に、不要な画像部を修正(消去)する場合が多くある。従来様々な修正が提案されており、例えばo-キノンジアジド化合物からなる感光層を有する感光性平版印刷版から製版された平版印刷版の修正剤として、炭素原子数3〜6のラクトンを含有する修正剤が開示されている(特許文献1及び2参照。)。また、20℃において液体で130℃以上の沸点を有するラクトンと特定の化合物を組合せた修正剤が開示されている(特許文献3参照。)。これらの文献で開示されているラクトン化合物は、PS版から製版された平版印刷版に対し優れた画像溶解性を有するため、修正剤として優れた性能を発揮する。一方で平版印刷版の非画像部の汚れ防止と画像部の耐刷性を両立させる目的で、親水化処理を施したアルミニウム支持体上に酸基を有する構成成分及びオニウム基を有する構成成分を有する高分子化合物を含有する中間層を設けた上に、ポジ型感光層を設けてなる新たな感光性平版印刷版が提案されている(特許文献4参照。)。この新たな感光性平版印刷版はその特異な中間層が除去しにくいことに起因し、従来のラクトンなどを用いた修正剤によると修正作業に長い時間を要した。
また、いわゆるCTPプレート(Computer to Plateの略、赤外線感光性平版印刷版、光重合型感光性平版印刷版)が近年開発され、このCTPプレートから得られる平版印刷版も画像の修正がしばしば必要になる。このCTPプレートから得られる平版印刷版には、新規の支持体、あるいは感光層中に多くの新規な材料が使用されており、従来の修正剤では不要な画像部を溶解除去するのに長時間かかることがしばしばあった。
さらに従来の修正剤では、これらの平版印刷版を修正する際に、修正作業時にある画像部が消去できたと認められ消去が終了したと思っていても、実際、その平版印刷版の印刷時に当該消去したはずの画像部にインキが着肉してしまい、再度修正が必要になるトラブルがある。すなわち、不必要な画像が消去されたことが版上で確認できる修正剤の塗布後放置時間(いわゆる版上消去時間)と、印刷を開始した直後から消去部分にインキが着肉しないために要される修正剤の塗布後放置時間(いわゆる印刷物上消去時間)との間にズレが発生していた。
従来の修正剤ではまた、保管時に画像溶解性が劣化することがあり、経時安定性に問題があった。
特公昭51−33442号公報 特開平7−261408号公報 特開平7−125471号公報 特開平10−282645号公報
本発明の目的は、平版印刷版の種類によることなく、極めて短時間で画像部を修正できる平版印刷版用修正剤を提供することである。本発明の目的はまた、短時間で画像部を修正できるとともに、非画像部や、修正すべき画像部の周辺画像部に悪影響を及ぼすことのない平版印刷版用修正剤を提供することである。本発明の目的はまた、版上で画像部を消去したことが確認できれば印刷開始時にその消去部分にインキが着肉することがない、すなわち版上消去時間と印刷物上消去時間にズレが生じない平版印刷版用修正剤を提供することである。本発明のまた別の目的は、画像溶解性について経時安定性が高い平版印刷版用修正剤を提供することである。本発明の目的はさらに、上記修正剤の使用方法を提供することである。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定のラクトン化合物を修正剤に含ませることにより、優れた平版印刷版用修正剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
従って本発明は、下記一般式で示される化合物を含有する平版印刷版用修正剤である。
Figure 2005221961
(式中、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、アシル基、ハロゲン原子又はヒドロキシル基を表す。)
本発明の平版印刷版用修正剤の好ましい実施態様として、上記一般式においてRがメチル基である化合物を含有する平版印刷版用修正剤が挙げられる。
本発明の修正剤を適用する平版印刷版の種類は特に限定されるものではない。中でも、本発明の平版印刷版用修正剤の好ましい使用態様として、赤外線感光性平版印刷版又は光重合型感光性平版印刷版から製版して得られた平版印刷版を修正するための当該修正剤の使用がある。
本発明の平版印刷版用修正剤の別の好ましい使用態様として、親水化処理を施したアルミニウム支持体に、(イ)水不溶性、且つアルカリ可溶性の高分子化合物を含有する中間層、及び(ロ)該中間層上に感光層を設けてなる感光性平版印刷版を露光及び現像処理した後に得られた平版印刷版を修正するための当該修正剤の使用がある。
本発明の平版印刷版用修正剤はまた、ペン型修正剤として使用することができる。従って、本発明はさらに、上記の平版印刷版用修正剤がペン型容器に充填されている平版印刷版用修正ペンに向けられている。
本発明の修正剤によれば、短時間で画像部を修正できるとともに、非画像部や、修正すべき画像部の周辺画像部に悪影響を及ぼすことがない。また、本発明の修正剤によれば、版上で画像部を消去したことが確認できれば印刷開始時にその消去部分にインキが着肉することがないので、よって、印刷中に再消去するといった手間がかからない。本発明の修正剤はまた、経時安定性が高く、優れた画像溶解性を示す。
本発明の修正剤はまた、従来、修正に比較的時間がかかるとされている赤外線感光性平版印刷版又は光重合型感光性平版印刷版から製版して得られた平版印刷版、あるいは親水化処理を施したアルミニウム支持体に、水不溶性、且つアルカリ可溶性の高分子化合物を含有する中間層、及び該中間層上にポジ型感光層を設けてなる感光性平版印刷版から製版して得られた平版印刷版を修正するのに、好適に用いることができる。
以下、本発明の修正剤に含まれる各成分について詳細に説明する。
[1]本発明で使用する一般式(1)で示される化合物
一般式(1)は以下のとおりである。
Figure 2005221961
(式中、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、アシル基、ハロゲン原子又はヒドロキシル基を表す。)
式中、Rがアルキル基を表すとき、一般に炭素原子数1〜12のアルキル基が適当であり、直鎖でも分岐鎖でもよく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などがある。Rがシクロアルキル基を表すとき単環型でも良く、多環型でもよい。好ましくは単環型であり、炭素原子数3〜8個のものであって、例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などがある。Rがアルケニル基を表すとき、例えば炭素原子数2〜8個のアルケニル基であって、具体的にはビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロヘキセニル基などがある。Rがアラルキル基を表すとき例えば炭素原子数7〜11のアラルキル基であって、ベンジル基、2−メチルベンジル基、4−メチルベンジル基、2,4−ジメチルベンジル基、3,4−ジメチルベンジル基、2,5−ジメチルベンジル基、エチルベンジル基、ジエチルベンジル基などがある。
Rがアリール基を表すとき、例えば炭素原子数6〜15個のアリール基であって、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、ナフチル基、アントリル基などがある。Rがアシル基を表すとき、一般に炭素原子数2〜8個のアシル基が適当であり、例えばアセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基などが挙げられる。
Rがハロゲン原子を表すとき臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子又はフッ素原子が挙げられる。
上記のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、アシル基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、アミド基、ウレイド基、ヒドロキシル基等の活性水素を有するものや、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、チオエーテル基、アシル基(アセチル基、プロパノイル基、ベンゾイル基等)、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
上記の中でも、Rが炭素原子数1〜4のアルキル基を示すα−アルキル−γ−ブチロラクトンが好ましく、具体的にα−メチル−γ−ブチロラクトン、α−エチル−γ−ブチロラクトン、α−プロピル−γ−ブチロラクトン、α−ブチル−γ−ブチロラクトンがあり、中でもα−メチル−γ−ブチロラクトンが好ましい。
一般式(1)で示されるその他の化合物の具体例としてα−アセチル−γ−ブチロラクトン、2−ブロモ−γ−ブチロラクトン、α−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトン、α−フェニル−γ−ブチロラクトンが挙げられる。
本発明の修正剤には一般式(1)の化合物を1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の修正剤において、一般式(1)の化合物の含有量は一般に30〜90質量%の範囲が適当であって、好ましくは50〜80質量%である。
[2]酸性化合物
本発明の修正剤には、さらに酸性化合物を含めることができる。好適な酸性化合物として、リン含有酸及びフッ素含有酸が挙げられる。
リン含有酸の具体例としては、リン酸、亜リン酸、フイチン酸、メタリン酸等のリン酸化合物、ホスホン酸化合物が挙げられる。ホスホン酸としては例えば、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、1,2−ジホスホノ−1,2−ジカルボキシエタン、1,2,2,3−テトラホスホノプロパン、2(2′−ホスホノエチル)ピリジン、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、ビニルホスホン酸、ポリビニルホスホン酸、2−ホスホノエタン−1−スルホン酸、ビニルホスホン酸とアクリル酸および/または酢酸ビニルとの水溶性コポリマー等を挙げることができる。リン含有酸を1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも消去した部分の汚れ防止性の観点からリン酸が好ましく用いられる。リン含有酸の添加量は、修正剤の全質量に対して0.1〜20質量%が適当であり、より好ましくは0.1〜10質量%である。
またフッ素含有酸の具体例としては、フッ化水素酸化合物(例えば4族元素フッ化水素酸、13族元素フッ化水素酸、14族元素フッ化水素酸)、フッ化脂肪酸、フッ化ジカルボン酸等を挙げることができる。上記フッ化水素酸化合物の具体例としてチタンフッ化水素酸、ジルコンフッ化水素酸、ケイフッ化水素酸、ホウフッ化水素酸などがある。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも汚れ防止性の観点から4族元素フッ化水素酸が好ましく、特にジルコンフッ化水素酸が好ましく用いられる。
フッ素含有酸の添加量は修正剤の全質量に対して0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜10質量%である。
本発明の修正剤には、リン含有酸とフッ素含有酸のうち、一方を用いてもよいし、両者を用いてもよい。
その他の酸性化合物として、一般的にアレニウス酸、ブレンステッド−ローリー酸、ルイス酸と呼ばれているものをいずれも用いることができる。また、強酸と弱塩基の塩も用いることができる。例えば、硫酸、硝酸、塩酸等の鉱酸やそのアンモニウム塩、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、タンニン酸、蓚酸、酢酸、乳酸、p−トルエンスルホン酸などを用いてもよい。
本発明の修正剤のpH値は1〜9の範囲が適当であり、好ましくは1〜4であり、さらに好ましい範囲のpH値は1〜3である。
[3]水
本発明の修正剤はまた、水を含むことが好適である。水は、上記一般式(1)のラクトン化合物との併用において修正部周辺の滲み(修正剤による周辺画像部の損傷)を抑制する点で役立つ。また、水は酸性化合物の溶解助剤として有効であり、水の量は修正剤の全質量に対して5〜30質量%の範囲が適当で、より好ましくは10〜20質量%の範囲である。上記の上記一般式(1)のラクトン化合物、酸性化合物などを水に溶解させて、修正剤を調製するのが一般的である。
[4]本発明の修正剤に使用されるその他の成分
(1)溶剤類
本発明の修正剤には、画像を溶解又は膨潤させる有機溶剤をさらに含ませることができる。そのような有機溶剤の例として、炭酸エステル類、ラクトン化合物類、エステル化合物類、スルホキシド化合物類、アミド化合物類、ウレア化合物類、アルコール類、ケトン類、グリコール類及びグリコールエーテル類、及び炭化水素化合物類などが挙げられる。
(i)炭酸エステル類
本発明で使用することができる炭酸エステルとして、下記一般式(2)又は(3)で示されるものが挙げられる。


Figure 2005221961
式(2)中、R5びR6は同じでも異なっていてもよく、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。上記アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基及びアリール基は、置換基を有さないものと置換基を有するものとの双方を包含する。式(3)中、R7〜R10は同じでも異なっていてもよく、水素原子、又はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表す。上記アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基及びアリール基は、置換基を有さないものと置換基を有するものとの双方を包含する。R7〜R10のうちの2つで環を形成していてもよい。
5、R6及びR7〜R10のアルキル基としては、例えば炭素原子数1〜8個のアルキル基であって、具体的には置換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基などを好ましく挙げることができる。シクロアルキル基は単環型でもよく、多環型でもよい。好ましくは単環型であり、炭素原子数3〜8個のものであって、例えば置換基を有してもよいシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを好ましく挙げることができる。アルケニル基としては、例えば炭素原子数2〜8個のアルケニル基であって、具体的には置換基を有してもよいビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロヘキセニル基などを好ましく挙げることができる。アリール基としては、例えば炭素原子数6〜15個のアリール基であって、具体的には置換基を有してもよいフェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、ナフチル基、アントリル基等を好ましく挙げることができる。
7〜R10のうちの2つが結合して形成した環としては、例えば5〜8員環であり、具体的には置換基を有していてもよいシクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環などを好ましく挙げることができる。
また、これらの基に置換される置換基としては、アミド基、ウレイド基、ヒドロキシル基等の活性水素を有するものや、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、チオエーテル基、アシル基(アセチル基、プロパノイル基、ベンゾイル基等)、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
一般式(2)又は(3)で示される炭酸エステルの具体例としては、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジフェニル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等が挙げられる。炭酸エステルとして1種単独を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも特に好ましい化合物としては、炭酸エチレン、炭酸プロピレンであり、さらに画像部の溶解性向上と画像部消去後の水洗性向上、常温で液体を維持するなどの目的のために、炭酸エチレンと炭酸プロピレンとを混合することで飛躍的に修正剤としての能力を高めることができる。この場合の炭酸エチレンと炭酸プロピレンの混合比は任意だが、好ましくは質量比で炭酸エチレン:炭酸プロピレンが90:10〜10:90、より好ましくは90:10〜50:50である。
修正剤に炭酸エステルを含有させる場合には、修正剤の保存安定性を向上させるために、修正剤のpH範囲を4〜9とすることが好ましい。pH4〜9の範囲では炭酸エステルの分解をよりよく抑制することができ、炭酸ガス発生による保存容器の変形、破損、液漏れを防ぐことができる。さらに好ましい範囲のpH値はpH4〜7である。
(ii)ラクトン化合物類、エステル化合物類
本発明の修正剤に使用することができるラクトン化合物類、エステル化合物類の例として、下記一般式(ii)で示されるものがある。
Figure 2005221961
(式(ii)中、R20、R21は同じでも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基又はアリール基を表す。また、R20、R21が一緒になって環を形成していてもよい。)
20、R21のアルキル基としては、例えば炭素原子数1〜12個のアルキル基であって、具体的には置換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などを好ましく挙げることができる。シクロアルキル基は単環型でも良く、多環型でもよい。好ましくは単環型であり、炭素原子数3〜8個のものであって、例えば置換基を有してもよいシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを好ましく挙げることができる。アルケニル基としては、例えば炭素原子数2〜8個のアルケニル基であって、具体的には置換基を有してもよいビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロヘキセニル基などを好ましく挙げることができる。アルキニル基としては、例えば炭素原子数2〜8個のアルキニル基であって、具体的に置換基を有してもよいエチニル、プロピニル、ブチニル、ヘキシニル基などが挙げられる。アラルキル基としては例えば炭素原子数7〜11のアラルキル基であって、具体的には置換基を有してもよいベンジル基、2−メチルベンジル基、4−メチルベンジル基、2,4−ジメチルベンジル基、3,4−ジメチルベンジル基、2,5−ジメチルベンジル基、エチルベンジル基、ジエチルベンジル基などがある。
アリール基としては、例えば炭素原子数6〜15個のアリール基であって、具体的には置換基を有してもよいフェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、ナフチル基、アントリル基等を好ましく挙げることができる。
また、これらの基に置換される置換基としては、アミド基、ウレイド基、ヒドロキシル基等の活性水素を有するものや、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、チオエーテル基、アシル基(アセチル基、プロパノイル基、ベンゾイル基等)、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
ラクトン化合物の例として、特に炭素原子数3〜12個のラクトンの具体例には、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−カプリロラクトン、γ−ラウロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、クロトラクトン、α−アンゲリカラクトン、β−アンゲリカラクトン、ヘキサノラクトン等が挙げられる。
また、エステル化合物の具体例としては、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸メチルイソアミル、酢酸第2ヘキシル、酢酸−2−エチル−ブチル、酢酸−2−エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ベンジル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソアミル、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、酪酸イソアミル、乳酸ブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミルなどがあり、中でも酢酸メチルイソアミル、酢酸シクロヘキシル、酢酸ベンジル、乳酸アミルが好ましく挙げられる。
(iii)スルホキシド化合物類
本発明の修正剤に含めることができるスルホキシド化合物の例として、下記一般式(iii)で示されるものがある。
Figure 2005221961
式(iii)中、R22及びR23は同じでも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基又はアリール基を表し。上記アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基及びアリール基は、置換基を有さないものと置換基を有するものとの双方を包含する。また、R22及びR23が一緒になって環を形成していてもよい。
22、R23のアルキル基としては、例えば炭素原子数1〜12個のアルキル基であって、具体的には置換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などを好ましく挙げることができる。シクロアルキル基は単環型でも良く、多環型でもよい。好ましくは単環型であり、炭素原子数3〜8個のものであって、例えば置換基を有してもよいシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを好ましく挙げることができる。アルケニル基としては、例えば炭素原子数2〜8個のアルケニル基であって、具体的には置換基を有してもよいビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロヘキセニル基などを好ましく挙げることができる。アルキニル基としては、例えば炭素原子数2〜8個のアルキニル基であって、具体的に置換基を有してもよいエチニル、プロピニル、ブチニル、ヘキシニル基などが挙げられる。アラルキル基としては例えば炭素原子数7〜11のアラルキル基であって、具体的には置換基を有してもよいベンジル基、2−メチルベンジル基、4−メチルベンジル基、2,4−ジメチルベンジル基、3,4−ジメチルベンジル基、2,5−ジメチルベンジル基、エチルベンジル基、ジエチルベンジル基などがある。
アリール基としては、例えば炭素原子数6〜15個のアリール基であって、具体的には置換基を有してもよいフェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、ナフチル基、アントリル基等を好ましく挙げることができる。
また、これらの基に置換される置換基としては、アミド基、ウレイド基、ヒドロキシル基等の活性水素を有するものや、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、チオエーテル基、アシル基(アセチル基、プロパノイル基、ベンゾイル基等)、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
一般式(iii)で示される化合物の具体例としては、ジベンジルスルホキシド、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホキシド、ジノルマルブチルスルホキシド、フェニルメチルスルホキシド、ジビニルスルホキシド、ビニルフェニルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、ジ−p−トリルスルホキシド、ドデシルメチルスルホキシド、ビス(2−エチルヘキシル)スルホキシド、ジノルマルヘキシルスルホキシド、ジイソブチルスルホキシド、メチル−p−トリルスルホキシド、2−ヒドロキシフェニルドデシルスルホキシド、アリルフェニルスルホキシド、ベンジルフェニルスルホキシド、エチル−2−ナフチルスルホキシド、エチル−p−トリルスルホキシド、ジイソペンチルスルホキシド、フェニルノルマルプロピルスルホキシド、ジノルマルプロピルスルホキシドなどが挙げられる。
中でも好ましくはジノルマルブチルスルホキシド、ジメチルスルホキシドであり、特にジメチルスルホキシドが好ましい。
(iv)アミド化合物類
本発明の修正剤に含めることができるアミド化合物の例として、下記一般式(iv)で示されるものがある。
Figure 2005221961
(式(iv)中、R24〜R26は同じでも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基,アルキニル基、アラルキル基又はアリール基を表す。上記アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基及びアリール基は、置換基を有さないものと置換基を有するものとの双方を包含する。また、R24〜R26のうちの2つで環を形成していてもよい。)
24〜R26のアルキル基としては、例えば炭素原子数1〜8個のアルキル基であって、具体的には置換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基などを好ましく挙げることができる。シクロアルキル基は単環型でも良く、多環型でもよい。好ましくは単環型であり、炭素原子数3〜8個のものであって、例えば置換基を有してもよいシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを好ましく挙げることができる。アルケニル基としては、例えば炭素原子数2〜8個のアルケニル基であって、具体的には置換基を有してもよいビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロヘキセニル基などを好ましく挙げることができる。アルキニル基としては、例えば炭素原子数2〜8個のアルキニル基であって、具体的に置換基を有してもよいエチニル、プロピニル、ブチニル、ヘキシニル基などが挙げられる。アラルキル基としては例えば炭素原子数7〜11のアラルキル基であって、具体的には置換基を有してもよいベンジル基、2−メチルベンジル基、4−メチルベンジル基、2,4−ジメチルベンジル基、3,4−ジメチルベンジル基、2,5−ジメチルベンジル基、エチルベンジル基、ジエチルベンジル基などがある。
アリール基としては、例えば炭素原子数6〜15個のアリール基であって、具体的には置換基を有してもよいフェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、ナフチル基、アントリル基等を好ましく挙げることができる。
また、これらの基に置換される置換基としては、アミド基、ウレイド基、ヒドロキシル基等の活性水素を有するものや、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、チオエーテル基、アシル基(アセチル基、プロパノイル基、ベンゾイル基等)、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
また、一般式(iv)の化合物の具体例としては、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジエチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、N−プロピルピロリドン、N−ブチルピロリドン、N−オクチルピロリドン、N−(2−ヒドロキシエチル)ピロリドン、β−プロピオラクタム、γ−バレロラクタム、δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム、ヘプトラクタム等が挙げられる。中でも画像部の溶解性向上と消去後の水洗性向上の観点から、ジメチルアセトアミド、ジエチルホルムアミド、ジエチルアセトアミドが好ましく、更にアセトアミド化合物が好ましく、その中で特にジメチルアセトアミドが好ましい。
(v)ウレア化合物類
本発明の修正剤に含めることができるウレア化合物の例として、下記一般式(v)で示されるものがある。
Figure 2005221961
式中、R27〜R30は同じでも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基又はアリール基を表す。また、R27〜R30の少なくとも2つで環を形成していてもよい。上記アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル又はアリール基は、置換基を有さないものと置換基を有するものとの双方を包含する。
27〜R30のアルキル基としては、例えば炭素原子数1〜12個のアルキル基であって、具体的には置換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などを好ましく挙げることができる。シクロアルキル基は単環型でも良く、多環型でもよい。好ましくは単環型であり、炭素原子数3〜8個のものであって、例えば置換基を有してもよいシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを好ましく挙げることができる。アルケニル基としては、例えば炭素原子数2〜8個のアルケニル基であって、具体的には置換基を有してもよいビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロヘキセニル基などを好ましく挙げることができる。アラルキル基としては例えば炭素原子数7〜11のアラルキル基であって、具体的には置換基を有してもよいベンジル基、2−メチルベンジル基、4−メチルベンジル基、2,4−ジメチルベンジル基、3,4−ジメチルベンジル基、2,5−ジメチルベンジル基、エチルベンジル基、ジエチルベンジル基などがある。
アリール基としては、例えば炭素原子数6〜15個のアリール基であって、具体的には置換基を有してもよいフェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、ナフチル基、アントリル基等を好ましく挙げることができる。
また、これらの基に置換される置換基としては、アミド基、ウレイド基、ヒドロキシル基等の活性水素を有するものや、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、チオエーテル基、アシル基(アセチル基、プロパノイル基、ベンゾイル基等)、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
一般式(v)で示される化合物の好ましいものは、1−ピペリジンカルボキシアミド、ビス(ペンタメチレン)ウレア、1,3−ビスベンジル−2−ウレア、テトラメチルウレア、テトラエチルウレア、トリメチルウレア、トリエチルウレア、2−イミダゾロン、2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチルテトラヒドロ−2−ピリミドン、テトラヒドロ−2−ピリミドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどである。中でも好ましいのは、テトラメチルウレア(式中、R27〜R30がメチル基である。)、及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(式中、R27またはR28とR29またはR30とで5員環を形成し、残りのR27またはR28がメチル基、R29またはR30もメチル基である。)である。
(vi)アルコール類
本発明の修正剤に含めることができるアルコール類として、下記一般式(vi)で表されるものがある。
45−OH (vi)
(式(vi)中、R45は置換基を有してもよいアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基もしくはアリール基を表す。)
式(vi)中、R45のアルキル基としては、例えば炭素原子数1〜12個、好ましくは炭素原子数5〜12のアルキル基であって、具体的には置換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などを好ましく挙げることができる。シクロアルキル基は単環型でも良く、多環型でもよい。好ましくは単環型であり、炭素原子数3〜8個のものであって、例えば置換基を有してもよいシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを好ましく挙げることができる。アルケニル基としては、例えば炭素原子数2〜8個のアルケニル基であって、具体的には置換基を有してもよいビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロヘキセニル基などを好ましく挙げることができる。アルキニル基としては、例えば炭素原子数2〜8個のアルキニル基であって、具体的に置換基を有してもよいエチニル、プロピニル、ブチニル、ヘキシニル基などが挙げられる。アラルキル基としては例えば炭素原子数7〜11のアラルキル基であって、具体的には置換基を有してもよいベンジル基、2−メチルベンジル基、4−メチルベンジル基、2,4−ジメチルベンジル基、3,4−ジメチルベンジル基、2,5−ジメチルベンジル基、エチルベンジル基、ジエチルベンジル基などがある。
アリール基としては、例えば炭素原子数6〜15個のアリール基であって、具体的には置換基を有してもよいフェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、ナフチル基、アントリル基等を好ましく挙げることができる。
また、これらの基に置換される置換基としては、アミド基、ウレイド基、ヒドロキシル基等の活性水素を有するものや、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、チオエーテル基、アシル基(アセチル基、プロパノイル基、ベンゾイル基等)、シアノ基、ニトロ基、フリル基、ヒドロフリル基などが挙げられる。
本発明で使用するアルコール類の具体例として、n−ヘキサノール、2−エチルブタノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、ノナノール、シクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコールが挙げられる。
(vii)ケトン類
本発明の修正剤に含めることができるケトン類の例としては、下記一般式(vii)で示されるものがある。
46−C(O)−R47 (vii)
(式(vii)中、R46、R47は同じでも異なっていてもよく、置換基を有してもよいアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基もしくはアリール基を表す。またR46とR47で環を形成してもよい。)
式(vii)中、R46、R47のアルキル基としては、例えば炭素原子数1〜12個のアルキル基であって、具体的には置換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などを挙げることができる。シクロアルキル基は単環型でも良く、多環型でもよい。好ましくは単環型であり、炭素原子数3〜8個のものであって、例えば置換基を有してもよいシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを好ましく挙げることができる。アルケニル基としては、例えば炭素原子数2〜8個のアルケニル基であって、具体的には置換基を有してもよいビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロヘキセニル基などを好ましく挙げることができる。アルキニル基としては、例えば炭素原子数2〜8個のアルキニル基であって、具体的に置換基を有してもよいエチニル、プロピニル、ブチニル、ヘキシニル基などが挙げられる。アラルキル基としては例えば炭素原子数7〜11のアラルキル基であって、具体的には置換基を有してもよいベンジル基、2−メチルベンジル基、4−メチルベンジル基、2,4−ジメチルベンジル基、3,4−ジメチルベンジル基、2,5−ジメチルベンジル基、エチルベンジル基、ジエチルベンジル基などがある。
アリール基としては、例えば炭素原子数6〜15個のアリール基であって、具体的には置換基を有してもよいフェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、ナフチル基、アントリル基等を好ましく挙げることができる。
また、これらの基に置換される置換基としては、アミド基、ウレイド基、ヒドロキシル基等の活性水素を有するものや、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、チオエーテル基、アシル基(アセチル基、プロパノイル基、ベンゾイル基等)、シアノ基、ニトロ基などが挙げられる。
ケトン化合物の具体例としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジアセトンアルコール、アセトニルアセトン、イソホロン、ホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノンが挙げられる。
(viii)グリコール類及びグリコールエーテル類
本発明の修正剤に含めることができるグリコール類及びグリコールエーテル類として、下記一般式(viii)又は(viii')で示される化合物が挙げられる。
01O−(CH2CH(R02)−O)m−R03 (viii)
04O−(CH2CH2−O)p−CO−CH3 (viii')
式中R01〜R04は独立して水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数3〜8個のシクロアルキル基、炭素原子数7〜11のアラルキル基、例えばベンジル基、炭素原子数6〜15のアリール基、例えばフェニル基を表し、m及びpは1〜20の整数を示す。具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
(ix)炭化水素化合物
本発明の修正剤には上記に示した以外の炭化水素化合物を含めることもできる。そのような炭化水素化合物の具体例として、メシチレン、テトラメチルベンゼン、エチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、メチルプロピルベンゼン、ジエチルベンゼン、沸点120℃〜300℃付近の石油留分、メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、デカヒドロナフタレン、テトラヒドロナフタレン等が挙げられる。
(x)その他の有機溶剤
本発明の修正剤には、上記のほか、スルホラン、ジオキソラン、分子量200〜1000のポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール、それらの化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、イソプロピルエーテル、モノブチルエーテル等を含めることができる。
上述してきた有機溶剤は、1種単独で使用してもよいし又は2種以上を併用してもよい。これらの有機溶剤を修正剤に含める場合、その量は修正剤の全質量に対して1〜20質量%が適当であり、好ましくは5〜15質量%である。
(2)水溶性高分子化合物
本発明の修正剤には、水溶性高分子化合物を含有させることにより、一層優れた性能、即ち筆を用いて平版印刷版上に修正剤を施す場合ののび易さ(かすれたりしないこと)及びにじみの防止等の性質を修正剤にもたせることができる。水溶性高分子化合物は炭酸エステル系溶剤との相溶性に富み、修正剤に適当な粘度を付与するのに適している。
好ましい水溶性高分子化合物として、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロ−ス、カルボキシメチルセルロース・Na塩等の改質セルロース、アラビアガム、ストラクタン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等の高分子化合物が挙げられる。中でも改質セルロース、ポリビニルピロリドン、ビニルメチルエーテル無水マレイン酸共重合体、ストラクタン等が有用である。上記の水溶性高分子化合物は、単独もしくは2種以上組合わせて使用することができる。その使用量は修正剤の総質量に対して0.1〜10質量%、最も好ましくは0.3〜5質量%の範囲で使用される。
(3)界面活性剤
本発明の修正剤には、界面活性剤を含有させることにより、修正剤中の各成分が平版印刷版の画像部へより良好に浸透する性能を付与することができる。界面活性剤は更に、修正剤中に含まれる各成分が良好に混合して安定な溶液を形成し得るようにするために有効である。かかる界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸部分エステル、ソルビタン脂肪酸部分エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸部分エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、トリメチロールプロパン、グリセリン等にオキシエチレン、オキシプロピレンを付加したもの、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン化ひまし油、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル、脂肪酸ジエタノールアミド、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシドなどの非イオン性界面活性剤、脂肪酸塩、アビエチン酸塩、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、ジアルキルスルホこはく酸エステル塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、分枝鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム、N−アルキルスルホこはく酸モノアミド二ナトリウム塩、石油スルホン酸塩、硫酸化ひまし油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩、アルキルりん酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルりん酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルりん酸エステル塩、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物などのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩、ポリエチレンポリアミン誘導体などのカチオン性界面活性剤、カルボキシベタイン、アミノカルボン酸、スルホベタイン、アミノ硫酸エステル、イミダゾリンなどの両性界面活性剤、フッ素系又はシリコン系界面活性剤が挙げられる。以上挙げられた界面活性剤の中でポリオキシエチレンとあるものは、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレンなどのポリオキシアルキレンに読み替えることもできる。
これらのうち、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤が好ましく、修正剤中に含まれる各成分が良好に混合することからHLBが9以上の界面活性剤がより好ましい。特に、画像部への濡れ性及び浸透性を向上させて修正速度を速める観点から、非イオン性界面活性剤が好ましく使用され、例えばポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸部分エステルなどが、修正剤の画像部消去効果を良好にするため好ましい。
本発明で使用する非イオン性界面活性剤の例として下記式(4)で示されるものがある。
R11O-(CH2CH2O)m(CH(CH3)CH2O)n(CH2CH2O)p-R12 (4)
(式中、R11及びR12は各々独立して水素原子、炭素原子数1〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を表し、m+pは1〜300の整数、nは0又は1〜100の整数を示す。)
式(4)で示される例として、R11及びR12の少なくとも一方が水素原子のものがある。さらにR11及びR12のうち一方が水素原子であり、他方が水素原子、-CH3、-C2H5、-C3H7、-C4H9又は-CH2CH=CH2である化合物がある。またm+pは好ましくは1〜240の整数を表し、nは好ましくは2〜100、さらに2〜70の整数を表す。
さらに、式(4)で示される最も好ましい非イオン性界面活性剤は、R11及びR12の双方が水素原子であるオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマーである。
本発明で使用する非イオン性界面活性剤は好ましくは、ポリプロピレングリコール部の重量平均分子量が1200〜3500の範囲にあって、エチレンオキサイド含量40〜90質量%程度のものである。
これらの界面活性剤は単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよく、本発明の修正剤の総質量に対して好ましくは0.01〜40質量%、より好ましくは0.1〜25質量%の範囲で含有させる。
(4)粘度調整剤
本発明の修正剤には更に、粘度調整剤を含有させておくことが好ましい。これは、修正剤により良い筆記性を与え、例えば筆を使って本発明の修正剤を平版印刷版の画像部に施す場合に、修正剤が筆からしたたり落ちてしまうような不都合が生じないようにする上で有効である。かかる成分としては、前記の水溶性高分子化合物も一部機能するが、珪酸微粉末、コロイドシリカ、ゼオライト等の微粒子がすぐれた性能を発揮するのでこれを含有させておくことが好ましい。また、これらの微粉末の平均粒子径は1〜200nmの範囲が好ましく、さらに好ましくは5〜100nmの範囲である。微粉末のこのような平均粒子径の範囲では、炭酸エステル系溶剤との親和性に富み、適当なチキソトロピー性が得られるので有利である。
好ましい微粒子としては、具体的に二酸化珪素微粉末アエロジル130(一次粒子平均径約16nm)、アエロジル200(同約12nm)、アエロジル300(同約7nm)、アエロジル380(同約7nm)、アエロジルR−972(同約16nm)、アエロジルMOX170(同約15nm)、アエロジルOX50(同約40nm)、アエロジルTT600(同約40nm)、アエロジルMOX80(同約30nm)、シリカK320DS(同約18nm)、SILTEG AS7(同約35nm)、CALSIL(同約40nm)、シリカD17(同約20nm)、およびAluminium Oxide C(同約20nm)、Titanium Oxide P25(同約30nm)以上いずれも日本アエロジル株式会社製、日産化学工業株式会社製アルミナゾル−520(粒子平均径約10〜20nm)、アルミナゾル−100(粒子サイズ平均100nm×10nm)、およびアルミナゾル−200(粒子サイズ平均100nm×10nm)、日産化学工業株式会社製コロイダルシリカ スノーテックス20(粒子径10〜20nm)、スノーテックス30(粒子径10〜20nm)、スノーテックスC(粒子径10〜20nm)、スノーテックスN(粒子径10〜20nm)、スノーテックスO(粒子径10〜20nm)などが好ましい例として挙げられる。微粒子のなかで特に好ましいのは二酸化珪素微粉末であり、特に好ましい粒子径は5〜100nmである。
粒子径が1nmより小さいと粒子が凝集しやすくなり、修正剤の粘度が変動しやすく、また200nmより大きいと、適正なチキソトロピー性が得られない。
これらの粘度調整剤の使用量は、修正剤の全質量に対して1〜10質量%が適当であり、より好ましくは3〜8質量%の範囲である。
(5)フッ素化合物
本発明の修正剤にはさらに、フッ素化合物を含有させることができる。これは消去した部分の親水性を高め、印刷時の汚れを防止するために好適であり、かかるフッ素化合物としてはチタンフッ化水素酸、ジルコンフッ化水素酸、ケイフッ化水素酸、ホウフッ化水素酸、フッ化脂肪酸、フッ化ジカルボン酸などの塩、フッ化アンモニウム、フッ化カリウム、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化水素アンモニウム、フッ化水素カリウム、フッ化水素リチウム、フッ化水素ナトリウムなどが挙げられる。これらのフッ素化合物の添加量は、修正剤の全質量に対して0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜15質%である。
(6)フルオロ脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物
本発明の修正剤にはまた、フルオロ脂肪族基を側鎖に有する高分子化合物を含有させることができる。このようなフルオロ脂肪族基含有高分子化合物として、下記一般式(5)で表される部分構造を有するモノマー(i):
Figure 2005221961
(一般式(5)において、R2及びR3は、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表し、Xは単結合もしくは2価の連結基を表し、mは0又は1以上の整数、nは1以上の整数を表す。)
から誘導される繰り返し単位を含むフルオロ脂肪族基含有高分子化合物がある。
上記のフルオロ脂肪族基含有高分子化合物は、画像部での修正剤のはじきと非画像部での修正剤のにじみを防止するために有用である。
上記一般式(5)中のR2及びR3におけるアルキル基は炭素原子数1〜8が好ましく、炭素原子数1〜4がより好ましい。該アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。R2及びR3として、好ましくは水素原子、メチル基であり、より好ましくは水素原子である。
Xは単結合もしくは、一般式(5)で表される置換基を高分子側鎖と結合するための2価の連結基(有機基)を表す。好ましいXは、−O−、−S−、−N(R4)−、−CO−を表し、高分子主鎖と直接もしくは2価の連結基を介して結合する。ここで、R4は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基等があげられるが、好ましくは水素原子、メチル基である。Xとしては上記のうちいずれでも良いが、−O−がより好ましい。
mは0又は1以上の整数であり、2から8の整数が好ましく、m=2が特に好ましい。また、mが2以上の場合、互いに隣接する炭素原子上の官能基は結合して、脂肪族環を形成しても良い。
nは1以上の整数を表し、1から10の整数が好ましい。ここでnは、特に3〜6が好ましい。
モノマー(i)としては、下記一般式(6)で表されるモノマーが好ましい。
Figure 2005221961
式中、R1は水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)または置換基を有しても良いメチル基、Y0は2価の有機基、X、R2、R3、m、nは一般式(5)と同義である。Y0は2価の有機基としては、前述のXと同様の具体例が挙げられる。
本発明に用いられる一般式(6)のパーフルオロアルキル基含有モノマーの具体的な構造の例(F−1〜F−49)を以下に示す。






















Figure 2005221961










Figure 2005221961







Figure 2005221961











Figure 2005221961
本発明で使用するフルオロ脂肪族基含有高分子化合物は、上記モノマー(i)として1種、又は2種以上を重合させたものでよく、すなわち、該フルオロ脂肪族基含有高分子化合物には上記モノマー(i)から誘導される繰り返し単位が1種、又は2種以上存在してもよい。
本発明で使用するフルオロ脂肪族基含有高分子化合物はまた、上記モノマー(i)と他のモノマーとの共重合体であってもよく、例えば上記モノマー(i)から誘導される繰り返し単位と、下記一般式(7)で表される繰り返し単位及び/又は下記一般式(8)で表される繰り返し単位とを含有する共重合体がある。
Figure 2005221961
(一般式(7)において、R4は水素原子又はアルキル基を表し、R5は水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。tは2以上の整数、uは2〜6の整数を表す。)
一般式(7)中、R4におけるアルキル基としては、炭素原子数1〜8のものが好ましく、より好ましくは炭素原子数1〜4のアルキル基である。該アルキル基の具体例としてメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。R5におけるアルキル基としては、炭素原子数1〜18のものが好ましく、より好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基であって、具体例として例えばメチル基、エチル基、n−ブチル基、i−ブチル基等が挙げられるが、これらは更に、置換基を有していてもよい。R5におけるアリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられるが、これらは更に、置換基を有していてもよい。上記置換基としては、アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等が挙げられる。tは2以上の整数であり、4から100の整数が好ましく、uは2〜6の整数を表し、2又は3が好ましい。
本発明で使用するフルオロ脂肪族基含有高分子化合物において、上記一般式(7)で表される繰り返し単位が2種以上存在してもよい。
Figure 2005221961
(一般式(8)において、R6は水素原子又はアルキル基を表す。R7は水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。o、p、q、r、sは、各々独立に、1〜4の整数であり、oとpは同一ではない。a、bは、各々独立に、4以上の整数である。c、d、eは、各々独立に、0又は1以上の整数を表す。)
一般式(8)中、R6におけるアルキル基としては、炭素原子数1〜8のものが好ましく、より好ましくは炭素原子数1〜4のアルキル基であって、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。R7におけるアルキル基としては、炭素原子数1〜18のものが好ましく、より好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基であって、具体例としては、例えばメチル基、エチル基、n−ブチル基、i−ブチル基等が挙げられるが、これらは更に、置換基を有していても良い。R7におけるアリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられるが、これらは更に、置換基を有していても良い。上記置換基としては、アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等が挙げられる。o、p、q、r、sは、各々独立に、1〜4の整数であり、2〜3の整数が好ましい。a、bは、各々独立に、4以上の整数であり、10から30の整数が好ましい。c、d、eは、各々独立に、0又は1以上の整数を表し、中でも10から30の整数が好ましい。
本発明で使用するフルオロ脂肪族基含有高分子化合物において、上記一般式(8)で表される繰り返し単位が2種以上存在してもよい。
上記のとおり、本発明ではフルオロ脂肪族基含有高分子化合物として、上記モノマー(i)と、少なくとも、上記一般式(7)で表される繰り返し単位に相当するモノマー(ii)及び/又は上記一般式(8)で表される繰り返し単位に相当するモノマー(iii)とを共重合させて得られるフルオロ脂肪族基含有共重合体を使用することができる。
以下に、本発明に用いることができる上記一般式(7)で表される繰り返し単位に相当するモノマー(ii)の具体例(O−1〜O−40)を示すが、本発明がこれらに限定されるものではない。



































Figure 2005221961













Figure 2005221961











Figure 2005221961













Figure 2005221961
さらに、本発明に用いることができる上記一般式(8)で表される繰り返し単位に相当するモノマー(iii)の具体例(P−1〜P−23)を以下に示すが、本発明がこれらに限定されるものではない。






















Figure 2005221961










Figure 2005221961









Figure 2005221961
フルオロ脂肪族基含有高分子化合物が上記の共重合体であるとき、上記一般式(7)で表される繰り返し単位に相当するモノマー(ii)の量は、該共重合体の各単量体の総量に基づいて5モル%以上であり得、好ましくは5〜70モル%の範囲であり、より好ましくは20〜70モル%の範囲である。また、上記一般式(8)で表される繰り返し単位に相当するモノマー(iii)の量は、該共重合体の各単量体の総量に基づいて5モル%以上であり得、好ましくは5〜70モル%の範囲であり、より好ましくは20〜70モル%の範囲である。
本発明で使用するフルオロ脂肪族基含有高分子化合物の分子量の範囲は重量平均分子量として、通常3000〜200,000までのものが適当であり、好ましくは6,000〜100,000までのものを用いることができる。これらの分子量は、例えば、ポリスチレン標準物質を用いたGPC法によって求めることができる。
本発明の平版印刷版用修正剤は、上述のフルオロ脂肪族基含有高分子化合物から選ばれる1種又は2種以上を含むことができる。
本発明の平版印刷版用修正剤におけるフルオロ脂肪族基含有高分子化合物の含有量は、修正剤のにじみを抑えると同時に適度なぬれ性を付与する観点から0.001〜5.0質量%が適当であり、好ましくは0.005〜3.0質量%、より好ましくは0.01〜1.0質量%である。
本発明で使用するフルオロ脂肪族基含有高分子化合物は公知慣用の方法で製造することができる。また、モノマー成分であるフルオロ脂肪族化合物は、例えば特開2002−72474号公報に開示されているテロメリゼーション法もしくはオリゴメリゼーション法によって合成することができる。
本発明で使用するフルオロ脂肪族基含有高分子化合物には、さらに、上記モノマー成分以外の共重合可能なモノマーを反応させることができる。そのような共重合可能なモノマーの好ましい共重合比率としては、全モノマー中の20モル%以下、より好ましくは10モル%以下である。
そのような単量体としては、例えば、酸性水素原子を有する単量体を挙げることができる。
酸性水素原子を有する基とは例えばカルボキシル基や、フェノール性水酸基の他文献公知の酸性基のいずれも用いることができる。酸性基の公知文献としては、J.A.Dean ed.,Lange's Handbook of Chemistry 3rd. ed. 1985 McGraw-Hill Book Co.をあげることができる。
また、これらの酸性基のうち酸性水素原子が窒素原子に結合した酸性基の部分構造の具体的なものとして、下記(A1)〜(A7)で表されるものをあげることができる。
−SO2NH2 (A1)
−SO2NH− (A2)
−CONHSO2− (A3)
−CONHCO− (A4)
−SO2NH−SO2− (A5)
−CONHSO2NH− (A6)
−NHCONHSO2− (A7)
また、特開平8−15858号公報記載の酸性基も有用である。特開平7−248628号公報記載のカプラー構造を有する窒素原子含有ヘテロ環構造も含まれる。これらの窒素含有ヘテロ環構造の例としては下記(H)、(I)で表されるものをあげることができる。
Figure 2005221961
同様に、特開2000−19724号公報記載の電子吸引性基に隣接した炭素原子に結合した水素原子を有する酸性基も有用である。
その他、特開平11−352681号、特開平11−327142号、特開平11−327131号、特開平11−327126号、特開平10−339948号、特開平10−207052号、特開平10−186642号、特開平10−161303号の各公報に記載の共重合体への適用も好適である。
これら酸性水素原子を有する単量体としては、ラジカル重合可能な不飽和基を持つビニル単量体が用いられる。これらのビニル単量体のうち好ましいものとしてはアクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、スチレン系、ビニル系である。好ましい構造の例としては特開平10−142778号公報記載の化合物等があげられる。
さらに、他の共重合成分として、特開平4−222805号公報記載の橋状結合を有する単量体や、特開平10−142778号公報に記載の9個以上の炭素原子を有する脂肪族基または2個以上の炭素原子を有する脂肪族基で置換された芳香族基を側鎖に有するアクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、もしくはメタクリルアミド単量体との共重合も好適である。
さらに、特開平10−186640号、特開平10−186641号、特開平2000−3032号、特開平2000−3040号等の各公報に記載されるウレタン系ポリマー技術への適用や、特開平11−327129号公報に開示されるような重縮合、重付加系ポリマーへの適用も可能である。さらに、特開2000−187318号公報記載の分子中に3から20のパーフルオロアルキル基を2または3個有する(メタ)アクリレート単量体も適用することができる。
このようなフッ素系ポリマーは公知慣用の方法で製造することができる。例えばフルオロ脂肪族基を有する(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレン基を有する(メタ)アクリレート及び酸性水素原子か窒素原子に結合した酸性基含有ビニル単量体とを、有機溶媒中、汎用のラジカル重合開始剤を添加し、熱重合させることにより製造できる。もしくは場合によりその他の付加重合性不飽和化合物とを、添加して上記と同じ方法にて製造することができる。
また場合により用いられるその他の付加重合不飽和化合物としては、PolymerHandbook 2nd ed.,J.Brandrup,Wiley lnterscience(1975)Chapter 2Page 1〜483記載のものを用いることができる。
例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等をあげることができる。
具体的には、以下の単量体をあげることができる。
アクリル酸エステル類:
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、クロルエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等、
メタクリル酸エステル類:
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、クロルエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシベンジルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等、
アクリルアミド類:
アクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜3のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基)、N,N−ジアルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜3のもの)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルアクリルアミドなど。
メタクリルアミド類:
メタクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜3のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基)、N,N−ジアルキルメタクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜3のもの)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルメタクリルアミドなど。
アリル化合物:
アリルエステル類(例えば酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリルなど)、アリルオキシエタノールなど
ビニルエーテル類:
アルキルビニルエーテル(例えばヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテルなど
ビニルエステル類:
ビニルビチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、ビニルシクロヘキシルカルボキシレートなど。
イタコン酸ジアルキル類:
イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチルなど。
フマール酸のジアルキルエステル類又はモノアルキルエステル類:
ジブチルフマレートなど
その他、クロトン酸、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、マレイロニトリル、スチレンなど。
(7)その他(着色剤、防腐剤、防錆剤、消泡剤)
本発明の修正剤には更にその他の成分として、着色剤、防腐剤、防錆剤、消泡剤等を添加することができる。着色剤は本発明の修正剤に所望の色調を付与して視覚的コントラストを与えるために使用されるものであり、広範囲の染料から選ぶことができる。特に好ましい着色剤としては青色、紫色、紅色等の濃い染色を有する指示染料等が優れた効果を発揮する。具体的には、例えばクリスタルバイオレット、サフラニン、ブリリアントブルー、マラカイトグリーン、アシドローダミンB等の染料を始めとして無機顔料、有機顔料等がある。着色剤を使用する場合、その使用量は本発明の修正剤の全質量に対して約0.0001〜約0.10質量%であり、好ましくは0.001〜0.05質量%の範囲である。
本発明で使用する防腐剤としては、例えばフェノール又はその誘導体、ホルマリン、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ベンズトリアゾール誘導体、アミジングアニジン誘導体、四級アンモニウム塩類、ピリジン、キノリン、グアニジン等の誘導体、ダイアジン、トリアゾール誘導体、オキサゾール、オキサジン誘導体、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、等が挙げられる。好ましい添加量は、細菌、カビ、酵母等に対して、安定に効力を発揮する量であって、細菌、カビ、酵母の種類によっても異なるが、修正剤の全質量に対して0.01〜4質量%の範囲が好ましく、また種々のカビ、細菌に対して効力のあるように2種以上の防腐剤を併用することが好ましい。
消泡剤としてはシリコーン消泡剤が好ましい。その中で乳化分散型及び可溶化型等がいずれも使用できる。使用量は、修正剤の全質量に対して0.001〜1.0質量%の範囲が最適である。
防錆剤としては、例えば1Hベンゾトリアゾール及びその誘導体、ベンゾイミダゾール及びその誘導体、チオサリチル酸等を挙げることができる。好ましい添加量は、修正剤の全質量に対して0.0001〜0.1質量%である。
本発明の平版印刷版用修正剤は、各種容器に保管することができる。そのような容器の材質の例としてポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニール、ABS樹脂、フェノール樹脂、クレゾール樹脂、ナイロン樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミドイミド、ポリイミド、メラミン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、不飽和ポリエステルなどが挙げられる。中でもポリエチレン製の容器が好ましく用いられる。
[平版印刷版用修正ペン]
平版印刷版用修正剤をペン型容器に充填して平版印刷版用修正ペンを作ることができる。
本発明で使用できるペン型容器は、特に制限されるものではない。ペン型容器としては例えば、フェルトペン、サインペン、マーキングペン、マーカー、又は筆ペンなどの、いわゆるフェルトペンタイプのものや、容器内のタンクやカートリッジに修正剤を直接充填するタイプのものなどがある。
フェルトペンタイプの例として、容器内タンク部分に中詰め用の綿やフェルトを使用し、これに修正剤を含浸充填させるものがある。また、タンク式ペンタイプの例として、中空のタンク内に直接修正剤を充填し、バルブ開閉によって流量を調整する例えばノック式のものなどがある。さらにペン先を版面へ当接して修正剤が塗布される構造のものでもよい。その他、特開平11−258822号公報に開示されているようなカートリッジ方式の修正ペンの容器や、特開平11−78377号公報に開示されているような吸液性を有する物質からなるフィルターを用いたペン型容器などを使用することができる。
ペン型容器の材質の例として、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニール、ABS樹脂、フェノール樹脂、クレゾール樹脂、ナイロン樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミドイミド、ポリイミド、メラミン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、不飽和ポリエステルなどが挙げられる。中でもポリプロピレン製のペン型容器が好ましく用いられる。
[修正剤を適用する版]
本発明の修正剤は、各種の平版印刷版原版から製版された平版印刷版に適用することができる。
本発明の平版印刷版用修正剤を好ましく適用することができる平版印刷版の例として、親水化処理を施したアルミニウム支持体に、(イ)水不溶性、且つアルカリ可溶性の高分子化合物を含有する中間層、及び(ロ)該中間層上にポジ型感光層を設けてなる感光性平版印刷版を露光及び現像処理した後に得られた平版印刷版がある。
以下にこの感光性平版印刷版について説明する。
<アルミニウム支持体>
感光性平版印刷版の支持体となるアルミニウム板は、寸度的に安定な板状であって、これまで印刷版の支持体として使用されてきたものが包含される。より具体的には、純アルミニウム板及びアルミニウム合金板が含まれる。アルミニウム合金としては種々のものが使用でき、例えばケイ素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケルなどの金属とアルミニウムの合金が用いられる。これらの組成物は、いくらかの鉄及びチタンに加えてその他無視し得る程度の量の不純物を含むものである。
アルミニウム板は、その表面に親水化処理が施されることが好ましい。すなわち、砂目立て処理、珪酸ソーダ、弗化ジルコニウム酸カリウム、燐酸塩等の水溶液への浸漬処理、あるいは陽極酸化処理などの表面処理がなされる。また、米国特許第2,714,066号明細書に記載されているように、砂目立てしたのち珪酸ナトリウム水溶液に浸漬処理したアルミニウム板、米国特許第3,181,461号明細書に記載されているようにアルミニウム板を陽極酸化処理を行った後にアルカリ金属珪酸塩の水溶液に浸漬処理したものも好適に使用される。上記陽極酸化処理は、例えば、燐酸、クロム酸、硫酸、硼酸等の無機酸、若しくは蓚酸、スルファミン酸等の有機酸またはこれらの塩の水溶液又は非水溶液の単独又は二種以上を組み合わせた電解液中でアルミニウム板を陽極として電流を流すことにより実施される。
また、米国特許第3,658,662号明細書に記載されているようなシリケート電着も有効である。これらの親水化処理は、支持体の表面を親水性とするために施される以外に、その上に設けられる感光性組成物との有害な反応を防ぐためや、感光層との密着性を向上させるために施されるものである。アルミニウム板を砂目立てするに先立って、必要に応じて表面の圧延油を除去すること及び清浄なアルミニウム面を表出させるためにその表面の前処理を施しても良い。前者のためには、トリクレン等の溶剤、界面活性剤等が用いられている。又後者のためには水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ・エッチング剤を用いる方法が広く行われている。
砂目立て方法としては、機械的、化学的および電気化学的な方法のいずれの方法も有効である。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラスト研磨法、軽石のような研磨剤の水分散スラリーをナイロンブラシで擦りつけるブラシ研磨法などがあり、化学的方法としては、特開昭54−31187号公報に記載されているような鉱酸のアルミニウム塩の飽和水溶液に浸漬する方法が適しており、電気化学的方法としては塩酸、硝酸またはこれらの組合せのような酸性電解液中で交流電解する方法が好ましい。このような粗面化方法の内、特に特開昭55−137993号公報に記載されているような機械的粗面化と電気化学的粗面化を組合せた粗面化方法は、感脂性画像の支持体への接着力が強いので好ましい。上記の如き方法による砂目立ては、アルミニウム板の表面の中心線表面粗さ(Ha)が0.3〜1.0μとなるような範囲で施されることが好ましい。このようにして砂目立てされたアルミニウム板は必要に応じて水洗および化学的にエッチングされる。
エッチング処理液は、通常アルミニウムを溶解する塩基あるいは酸の水溶液より選ばれる。この場合、エッチングされた表面に、エッチング液成分から誘導されるアルミニウムと異なる被膜が形成されないものでなければならない。好ましいエッチング剤を例示すれば、塩基性物質としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二カリウム等;酸性物質としては硫酸、過硫酸、リン酸、塩酸及びその塩等であるが、アルミニウムよりイオン化傾向の低い金属例えば亜鉛、クロム、コバルト、ニッケル、銅等の塩はエッチング表面に不必要な被膜を形成するから好ましくない。これ等のエッチング剤は、使用濃度、温度の設定において、使用するアルミニウムあるいは合金の溶解速度が浸漬時間1分あたり0.3グラムから40g/m2になるように行なわれるのが最も好ましいが、これを上回るあるいは下回るものであっても差支えない。
エッチングは上記エッチング液にアルミニウム板を浸漬したり、該アルミニウム板にエッチング液を塗布すること等により行われ、エッチング量が0.5〜10g/m2の範囲となるように処理されることが好ましい。上記エッチング剤としては、そのエッチング速度が早いという特長から塩基の水溶液を使用することが望ましい。この場合、スマットが生成するので、通常デスマット処理される。デスマット処理に使用される酸は、硝酸、硫酸、りん酸、クロム酸、ふっ酸、ほうふっ化水素酸等が用いられる。エッチング処理されたアルミニウム板は、必要により水洗及び陽極酸化される。陽極酸化は、この分野で従来より行なわれている方法で行なうことができる。具体的には、硫酸、りん酸、クロム酸、蓚酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等あるいはそれらの二種類以上を組み合せた水溶液又は非水溶液中でアルミニウムに直流または交流の電流を流すと、アルミニウム支持体表面に陽極酸化被膜を形成させることができる。
陽極酸化の処理条件は使用される電解液によって種々変化するので一般には決定され得ないが一般的には電解液の濃度が1〜80質量%、液温5〜70℃、電流密度0.5〜60アンペア/dm2、電圧1〜100V、電解時間30秒〜50分の範囲が適当である。これらの陽極酸化処理の内でも、とくに英国特許第1,412,768号明細書に記載されている硫酸中で高電流密度で陽極酸化する方法および米国特許第3,511,661号明細書に記載されている燐酸を電解浴として陽極酸化する方法が好ましい。上記のように粗面化され、さらに陽極酸化されたアルミニウム板は、必要に応じて親水化処理しても良く、その好ましい例としては米国特許第2,714,066号及び同第3,181,461号に開示されているようなアルカリ金属シリケート、例えば珪酸ナトリウム水溶液または特公昭36−22063号公報に開示されている弗化ジルコニウム酸カリウムおよび米国特許第4,153,461号明細書に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法がある。
<中間層形成に用いられる高分子化合物>
上記のアルミニウム支持体上へ中間層を設ける。
中間層形成に用いられる高分子化合物は、水に不溶である。ここで、「水に不溶」とは、純水に対する溶解度が25℃において0.1%未満、好ましくは0.05%以下であることをいう。該溶解度が0.1%以上になると、印刷中に湿し水、その他の薬品が水と共に画像部下部へしみ込み、画像部の密着不良の原因となり、更に耐刷性の劣化をも引き起こす。
更に、該高分子化合物は、アルカリ可溶である。ここで、「アルカリ可溶」とは、純水に水酸化ナトリウムを添加してpH13とした水溶液に対する溶解度が30℃において0.1%以上、好ましくは0.3%以上であることをいう。該溶解度が0.1%未満であると、非画像部の感光層残査を十分に除去することができなくなり、更には上記高分子化合物そのものが残留して印刷中に汚れを生じることがある。また、現像液中に上記高分子化合物が析出して自動現像機、あるいは印刷版上に汚れが生じる場合がある。
上記特性を満足する高分子化合物の重量平均分子量は、好ましくは200〜2000万、特に好ましくは200〜200万である。重量平均分子量が上記範囲であることにより、単位分子当たりの有効な密着性基あるいは解離性基の数が確保可能となり、好ましい結果を得る。ここで、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準物質として単分散のポリスチレンを用いて測定したものであり、いわゆるポリスチレン換算重量平均分子量である。
該高分子化合物の構造として以下の繰返し単位を含むものがある。
Figure 2005221961
(上記式中、R10、R12及びR13はそれぞれ独立に水素原子又は−CH3を表し、
11は−COOH、−SO3H、−PO(OH)2、又は−(OC243OCH3を表し、R14は、下記式から選ばれる基:



Figure 2005221961
(式中、Xはハロゲン原子を表す。)
を表し、Yはハロゲン原子を表し、j、k及びlは各単位の割合(モル%)を表しj+k+l=100であり、0<j≦100、0≦k<100、0≦l<100であり、p、q、r及びsはそれぞれ0又は1である。)
上記式で表される高分子化合物において、式中jは5以上であることが適当である。一方オニウム基を有する構造単位は60モル%以下とすることが適当である。従って、式中jは好ましくは40以上であり、より好ましくは60以上である。一方k+l=0〜60が好ましく、より好ましくは0〜40である。
該高分子化合物の具体例として下記式No.1〜No.6で示されるものを挙げることができるが、これらに制限されない。

































Figure 2005221961


Figure 2005221961
上記の化合物の中でも好ましくはNo.1の化合物が挙げられる。
上記式No.1〜No.6で示される高分子化合物中、代表的な具体例を以下に示す。
Figure 2005221961
上記高分子化合物は、それを構成する構造単位に対応する単量体を適切なそれ自体公知の方法で重合もしくは共重合することにより得ることができる。
中間層上にポジ型感光層を形成するときに各成分を溶解するために用いられる溶媒として、上記高分子化合物を溶解しない溶媒が用いられる。ここで、「溶解しない溶媒」とは、上記高分子化合物の溶解度が25℃において0.1%未満、好ましくは0.05%以下の溶媒をいう。上記高分子化合物と、ポジ型感光層形成用であって、上記高分子化合物を溶解しない溶媒との組み合わせの具体例を以下に示すが、組み合わせはこれらに制限されない。
Figure 2005221961
Mw:重量平均分子量
上記高分子化合物の中間層は、上記に説明した親水化処理を施したアルミニウム板上に種々の方法により塗布して設けられる。
この中間層は次の方法で設けることができる。メタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤あるいはこれら有機溶剤と水との混合溶剤に高分子化合物を溶解させた溶液をアルミニウム板上に塗布、乾燥して設ける方法、及びメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤あるいはこれら有機溶剤と水との混合溶剤もしくはそれらの混合溶剤に高分子化合物を溶解させた溶液に、アルミニウム板を浸漬して高分子化合物を吸着させ、しかる後、水などによって洗浄、乾燥して有機中間層を設ける方法を挙げることができる。
前者の方法では、上記高分子化合物の0.005〜10質量%の濃度の溶液を種々の方法で塗布できる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布などいずれの方法を用いてもよい。また、後者の方法では、溶液の濃度は0.01〜20質量%、好ましくは0.05〜5質量%であり、浸漬温度は20〜90℃、好ましくは25〜50℃であり、浸漬時間は0.1秒〜20分、好ましくは2秒〜1分である。
上記の溶液は、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化カリウムなどの塩基性物質や、塩酸、リン酸、硫酸、硝酸などの無機酸、ニトロベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などの有機スルホン酸、フェニルホスホン酸などの有機ホスホン酸、安息香酸、クマル酸、リンゴ酸などの有機カルボン酸など種々有機酸性物質、ナフタレンスルホニルクロライド、ベンゼンスルホニルクロライドなどの有機酸クロライド等によりpHを調整し、pH=0〜12、より好ましくはpH=0〜5、の範囲で使用することもできる。また、感光性平版印刷版の調子再現性改良のために黄色染料を添加することもできる。
高分子化合物の乾燥後の被覆量は、2〜100mg/m2が適当であり、好ましくは5〜50mg/m2である。上記被覆量が2mg/m2よりも少ないと、十分な効果が得られない。また、100mg/m2より多くても同様である。
<感光性組成物>
次に感光性平版印刷版に使用する感光性組成物について詳しく述べる。本発明に使用される感光性組成物としては、露光前後で現像液に対する溶解性、又は膨潤性が変化するものであればいずれでも使用できる。以下、代表的な感光性組成物について説明するが、これにより本発明は限定されない。
感光性組成物の感光性化合物としてo−キノンジアジド化合物が挙げられる。o−キノンジアジド化合物は、少なくとも一つのo−キノンジアジド基を有する化合物で活性光線によりアルカリ水溶液に対する溶解性を増すものが好ましい。この様なものとしては、種々の構造のものが知られており、例えば、J.KOSAR著「Light−Sensitive Systems」(John Wiley & Sons,Inc.,1695年発行)p336〜p352に詳細に記載されている。ポジ型感光性組成物としては、特に種々のヒドロキシル化合物とo−ベンゾキノンジアジドあるいはo−ナフトキノンジアジドのスルホン酸エステルが好適である。
上記のようなo−キノンジアジド化合物としては、例えば、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドとフェノール・ホルムアルデヒド樹脂又はクレゾール・ホルムアルデヒド樹脂とのエステル:米国特許第3,635,709号明細書に記載されている1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドとピロガロール・アセトン樹脂とのエステル:特公昭63−13,528号公報に記載されている1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドとレゾルシン−ベンズアルデヒド樹脂とのエステル;特公昭62−44,257号に記載されている1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドとレゾルシン−ピロガロール・アセトン共縮合樹脂とのエステル;特公昭56−45,127号公報に記載されている末端にヒドロキシル基を有するポリエステルに1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドをエステル化させたもの:特公昭50−24,641号公報に記載されているN−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミドのホモポリマーまたは他の共重合しうるモノマーとの共重合体に1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドをエステル化させたもの;特公昭54−29,922号公報に記載されている1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドとビスフェノール・ホルムアルデヒド樹脂とのエステル;52−36,043号公報に記載されているp−ヒドロキシスチレンのホモポリマーまたは他の共重合しうるモノマーとの共重合体に1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドをエステル化させたもの;1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドとポリヒドロキシベンゾフェノンとのエステルがある。
また上記o−キノンジアジド化合物で1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドの代わりに、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホニルクロライドを用いたものも好適に使用できる。その他、本発明に使用できる公知のo−キノンジアジド化合物としては、特開昭63−80,254号、特開昭58−5,737号、特開昭57−111,530号、特開昭57−111,531号、特開昭57−114,138号、特開昭57−142,635号、特開昭51−36,129号、特公昭62−3,411号、特公昭62−51,459号、特公昭51−483号などの各明細書中に記載されているものなどを挙げることができる。前記のo−キノンジアジド化合物の含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、通常5〜40質量%で、より好ましくは10〜30質量%である。
o−キノンジアジド化合物は単独でも感光層を構成し得るが、結合剤(バインダー)としてのアルカリ水に可溶な樹脂と共に使用することが好ましい。このようなアルカリ水に可溶性の樹脂としては、この性質を有するノボラック樹脂があり、たとえばフェノールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−、p−、o−又はm−/p−/o−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂などのクレゾールホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。これらのアルカリ性可溶性高分子化合物は、重量平均分子量が500〜100,000のものが好ましい。その他、レゾール型のフェノール樹脂類も好適に用いられ、フェノール/クレゾール(m−、p−、o−又はm−/p−/o−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂が好ましく、特に特開昭61−217034号公報に記載されているフェノール樹脂類が好ましい。
また、フェノール変性キシレン樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ポリハロゲン化ヒドロキシスチレン、特開昭51−34711号公報に開示されているようなフェノール性水酸基を含有するアクリル系樹脂、特開平2−866号公報に記載のスルホンアミド基を有するビニル樹脂やウレタン樹脂、特開平7−28244号、特開平7−36184号、特開平7−36185号、特開平7−248628号、特開平7−261394号、特開平7−333839号公報などに記載の構造単位を有するビニル樹脂など種々のアルカリ可溶性の高分子化合物を含有させることができる。特にビニル樹脂においては、以下に示す(1)〜(4)のアルカリ可溶性基含有モノマーから選ばれる少なくとも1種を重合成分として有する皮膜形成性樹脂が好ましい。
(1)N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミドまたはN−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、o−、m−またはp−ヒドロキシスチレン、o−またはm−ブロモ−p−ヒドロキシスチレン、o−またはm−クロル−p−ヒドロキシスチレン、o−、m−またはp−ヒドロキシフェニルアクリレートまたはメタクリレート等の芳香族水酸基を有するアクリルアミド類、メタクリルアミド類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類およびビドロキシスチレン類、(2)アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸およびそのハーフエステル、イタコン酸、無水イタコン酸およびそのハーフエステルなどの不飽和カルボン酸、
(3)N−(o−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド、N−(m−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド、N−〔1−(3−アミノスルホニル)ナフチル〕アクリルアミド、N−(2−アミノスルホニルエチル)アクリルアミドなどのアクリルアミド類、N−(o−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(m−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−〔1−(3−アミノスルホニル)ナフチル〕メタクリルアミド、N−(2−アミノスルホニルエチル)メタクリルアミドなどのメタクリルアミド類、また、o−アミノスルホニルフェニルアクリレート、m−アミノスルホニルフェニルアクリレート、p−アミノスルホニルフェニルアクリレート、1−(3−アミノスルホニルフェニルナフチル)アクリレートなどのアクリル酸エステル類などの不飽和スルホンアミド、o−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、p−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、1−(3−アミノスルホニルフェニルナフチル)メタクリレートなどのメタクリル酸エステル類などの不飽和スルホンアミド、
(4)トシルアクリルアミドのように置換基があってもよいフェニルスルホニルアクリルアミド、およびトシルメタクリルアミドのような置換基があってもよいフェニルスルホニルメタクリルアミド。更に、これらのアルカリ可溶性基含有モノマーの他に以下に記す(5)〜(14)のモノマーを共重合した皮膜形成性樹脂が好適に用いられる。(5)脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類およびメタクリル酸エステル類、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレートまたは2−ヒドロキシエチルメタクリレート、(6)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、グリシジルアクリレート、N−ジメチルアミノエチルアクリレートなどの(置換)アクリル酸エステル、(7)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、グリシジルメタクリレート、N−ジメチルアミノエチルメタクリレートなどの(置換)メタクリル酸エステル、
(8)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−シクロヘキシルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルメタクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミドおよびN−エチル−N−フェニルメタクリルアミドなどのアクリルアミドもしくはメタクリルアミド、(9)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、
(10)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニルなどのビニルエステル類、(11)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレンなどのスチレン類、(12)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトンなどのビニルケトン類、(13)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレンなどのオレフィン類、(14)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど。
これらのアルカリ可溶性高分子化合物は、重量平均分子量が500〜500,000のものが好ましい。このようなアルカリ可溶性高分子化合物は1種類あるいは2種類以上を組み合せて使用してもよく、全組成物の80質量%以下、好ましくは30〜80質量%、より好ましくは50〜70質量%の添加量で用いられる。この範囲であると現像性及び耐刷性の点で好ましい。
更に、米国特許第4,123,279号明細書に記載されているように、t−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、オクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂のような、炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールホルムアルデヒドとの縮合物あるいはこれらの縮合物のo−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル(例えば特開昭61−243446号に記載のもの)を併用することは画像の感脂性を向上させる上で好ましい。
感光性組成物中には、更に必要に応じて、感度を高めるための環状酸無水物、露光後直ちに可視像を得るための焼き出し剤、画像着色剤としての染料、その他のフィラーなどを加えることができる。本発明における感光性組成物中には、感度を高めるために環状酸無水物類、フェノール類、有機酸類を添加することが好ましい。環状酸無水物としては米国特許第4,115,128号明細書に記載されているように無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドオキシ−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、無水マレイン酸、クロル無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸等がある。フェノール類としては、ビスフェノールA、p−ニトロフェノール、p−エトキシフェノール、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4,4′−トリヒドロキシベンゾフェノン、4,4′,4″−トリヒドロキシ−トリフェニルメタン、4,4′,3″,4″−テトラヒドロキシ−3,5,3′,5′−テトラメチルトリフェニルメタンなどが挙げられる。
有機酸類としては、特開昭60−88942号公報、特開平2−96755号公報などに記載されている、スルホン酸類、スルフィン酸類、アルキル硫酸類、ホスホン酸類、ホスフィン酸類、リン酸エステル類、カルボン酸類などがあり、具体的には、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルフィン酸、エチル硫酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、リン酸フェニル、リン酸ジフェニル、安息香酸、イソフタル酸、アジピン酸、p−トルイル酸、3,4−ジメトキシ安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキセン−2,2−ジカルボン酸、エルカ酸、ラウリン酸、n−ウンデカン酸、アスコルビン酸などが挙げられる。上記の環状酸無水物類、フェノール類、有機酸類の感光性組成物中に占める割合は、0.05〜15質量%が好ましく、より好ましくは、0.1〜5質量%である。
露光後、直ちに可視像を得るための焼き出し剤としては、露光によって酸を放出する感光性化合物と、酸と塩を形成して色調を変える有機染料との組み合わせを挙げることができる。露光によって酸を放出する感光性化合物としては、例えば、特開昭50−36,209号公報に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニド;特開昭53−36,223号公報に記載されているトリハロメチル−2−ビロンやトリハロメチル−s−トリアジン;特開昭55−62,444号公報に記載されている種々のo−ナフトキノンジアジド化合物;特開昭55−77,742号公報に記載されている2−トリハロメチル−5−アリール−1,3,4−オキサジアゾール化合物;ジアゾニウム塩などを挙げることができる。これらの化合物は、単独または混合して使用することができ、その添加量は、組成物全質量に対し、0.3〜15質量%の範囲が好ましい。
感光性組成物中には、光分解して酸性物質を発生する化合物の光分解生成物と相互作用することによってその色調を変える有機染料が少なくとも一種類以上用いられる。このような有機染料としては、ジフェニルメタン系、トリアリールメタン系、チアジン系、オキサジン系、フェナジン系、キサンテン系、アントラキノン系、イミノナフトキノン系、アゾメチン系の色素を用いることができる。具体的には次のようなものである。ブリリアントグリーン、エオシン、エチルバイオレット、エリスロシンB、メチルグリーン、クリスタルバイオレット、ベイシックフクシン、フェノールフタレイン、1,3−ジフェニルトリアジン、アリザリンレッドS、チモールフタレイン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、オレンジIV、ジフェニルチオカルバゾン、2,7−ジクロロフルオレセイン、パラメチルレッド、コンゴーレッド、ベンゾプルプリン4B、α−ナフチルレッド、ナイルブルー2B、ナイルブルーA、フエナセタリン、メチルバイオレット、マラカイトグリーン、パラフクシン、オイルブルー#603〔オリエント化学工業(株)製〕、オイルピンク#312〔オリエント化学工業(株)製〕、オイルレッド5B〔オリエント化学工業(株)製〕、オイルスカーレット#308〔オリエント化学工業(株)製〕、オイルレッドOG〔オリエント化学工業(株)製〕、オイルレッドRR〔オリエント化学工業(株)製〕、オイルグリーン#502〔オリエント化学工業(株)製〕、スピロンレッドBEHスペシャル〔保土谷化学工業(株)製〕、ビクトリアピュアーブルーBOH〔保土谷化学工業(株)製〕、パテントピュアーブルー〔住友三国化学工業(株)製〕、スーダンブルーII〔BASF社製〕、m−クレゾールパープル、クレゾールレッド、ローダミンB、ローダミン6G、ファーストアッシドバイオレットR、スルホローダミンB、オーラミン、4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシアニリノ−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボステアリルアミノ−4−p−ジヒドロオキシエチル−アミノ−フェニルイミノナフトキノン、p−メトキシベンゾイル−p′−ジエチルアミノ−o′−メチルフェニルイミノアセトアニリド、シアノ−p−ジエチルアミノフェニルイミノアセトアニリド、1−フェニル−3−メチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン、1−β−ナフチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン等。
特に好ましい有機染料は、トリアリールメタン系染料である。トリアリールメタン系染料では、特開昭62−2932471号公報、特開平5−313359号公報に示されているような対アニオンとしてスルホン酸化合物を有するものが特に有用である。これらの染料は単独又は混合して使用することができ、添加量は感光性組成物の総質量に対して0.3〜15質量%が好ましい。また必要に応じて他の染料、顔料と併用でき、その使用量は染料及び顔料の総質量に対して70質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。
更にこれらの組成物中には、皮膜の耐摩耗性を更に向上させるための公知の樹脂を添加できる。これらの樹脂としては、例えばポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ナイロン、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等があり、単独または混合して使用することができる。添加量は組成物全質量に対して、2〜40質量%の範囲が好ましい。
また、本発明における感光性組成物中には、現像のラチチュードを広げるために、特開昭62−251740号公報や、特開平4−68355号公報に記載されているような非イオン性界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤を添加することができる。非イオン性界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどが挙げられ、両性界面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、アモーゲンK(商品名、第一工業(株)製、N−テトラデシル−N,N−ベタイン型)、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、レボン15(商品名、三洋化成(株)製、アルキルイミダゾリン系)などが挙げられる。上記非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤の感光性組成物中に占める割合は0.05〜15質量%が好ましく、より好ましくは、0.1〜5質量%である。
また、塗布面質の向上のために、本発明における感光性組成物中には、塗布面質を向上するための界面活性剤、例えば、特開昭62−170950号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加することができる。好ましい添加量は、全感光性組成物の0.001〜1.0質量%であり、更に好ましくは0.005〜0.5質量%である。また、上記フッ素系界面活性剤の他に、特開平10−142778号で開示されている、フッ素原子含有ポリマー、特開平11−327134号公報記載のフッ素原子含有ポリマーを画像の硬調性を高める目的で、感光性組成物中に添加してもよい。
また、感光性組成物中には、黄色系染料を添加することができる。特に、特開平9−179280号公報に記載されているような、417nmの吸光度が436nmの吸光度の70%以上である黄色系染料が好ましい。好ましい添加量は、全感光性組成物の0.03〜3.0質量%であり、更に好ましくは0.1〜1.0質量%である。
上記の感光性平版印刷版用感光性組成物は、下記の有機溶剤の単独あるいは混合したものに溶解または分散され、中間層を塗設した支持体に塗布され乾燥される。有機溶剤としては、公知慣用のものがいずれも使用できるが、沸点40℃〜250℃、特に60℃〜200℃の範囲のものが、乾燥の際における有利さから選択される。勿論、該有機溶剤は感光性平版印刷版用感光性組成物を溶解するものであって、かつ中間層形成高分子化合物を支持体上から除去しないものが好ましい。
有機溶剤としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、n−またはイソ−プロピルアルコール、n−またはイソ−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルアミルケトン、メチルヘキシルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセチルアセトン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メトキシベンゼン等の炭化水素類、エチルアセテート、n−またはイソプロピルアセテート、n−またはイソ−ブチルアセテート、エチルブチルアセテート、ヘキシルアセテート等の酢酸エステル類、メチレンジクロライド、エチレンジクロライド、モノクロルベンゼン等のハロゲン化物、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジオキサン、ジメチルジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、エチレングリコール、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブ、ジエチルセロソルブ、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテート、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール等の多価アルコールとその誘導体、6−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチル、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶剤などが単独あるいは混合して好適に使用される。そして、塗布する組成物中の固形分の濃度は、2〜50質量%とするのが適当である。
感光性組成物の塗布方法としては、例えばロールコーティング、ディップコーティング、エアナイフコーティング、グラビアコーティング、グラビアオフセットコーティング、ホッパーコーティング、ブレードコーティング、ワイヤドクターコーティング、スプレーコーティング等の方法が用いられ、乾燥後の質量にして0.3〜4.0g/m2が好ましい。塗布量が小さくなるにつれて画像を得るための露光量は小さくて済むが、膜強度は低下する。塗布量が大きくなるにつれ、露光量を必要とするが感光膜は強くなり、例えば、印刷版として用いた場合、印刷可能枚数の高い(高耐刷の)印刷版が得られる。
支持体上に塗布された感光性組成物の乾燥は、通常加熱された空気によって行われる。加熱は30℃〜200℃、特に、40℃〜160℃の範囲が好適である。乾燥の温度は乾燥中一定に保たれる方法だけでなく段階的に上昇させる方法も実施し得る。また、乾燥風は除湿することによって好結果が得られる場合もある。加熱された空気は、塗布面に対し0.1m/秒〜30m/秒、特に0.5m/秒〜20m/秒の割合で供給するのが好適である。また、加熱されたロールによって、支持体の下面から加熱し、乾燥することも、熱効率の点で好ましい。
<マット層>
上記のようにして設けられた感光層の表面には、真空焼き枠を用いた密着露光の際の真空引きの時間を短縮し、且つ焼きボケを防ぐため、マット層を設けることが好ましい。具体的には、特開昭50−125805号、特公昭57−6582号、同61−28986号の各公報に記載されているようなマット層を設ける方法、特公昭62−62337号公報に記載されているような固体粉末を熱融着させる方法などが挙げられる。
<バックコート>
支持体の裏面には、必要に応じてバックコートが設けられる。かかるバックコートとしては特開平5−45885号公報記載の有機高分子化合物および特開平6−35174号公報記載の有機または無機金属化合物を加水分解および重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好ましく用いられる。これらの被覆層のうち、Si(OCH3)4、Si(OC2H5)4、Si(OC3H7)4、Si(OC4H9)4、などの珪素のアルコキシ化合物が安価で入手し易く、それから得られる金属酸化物の被覆層が耐現像液に優れており特に好ましい。
<現像処理>
上記のポジ感光性平版印刷版は像露光された後に現像処理される。像露光に用いられる活性光線の光源としてはカーボンアーク灯、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、タングステンランプ、ケミカルランプなどがある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。また、g線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。レーザービームとしてはヘリウム・ネオンレーザー、アルゴンレーザー、クリプトンレーザー、ヘリウム・カドミウムレーザー、KrFエキシマーレーザー、半導体レーザー、YAGレーザーなどが挙げられる。
現像液としては、特公昭57−7427号公報や特許第3086354号公報記載のアルカリ金属珪酸塩水溶液、および特開平8−305039号公報記載の非還元糖と塩基を主成分とする現像液が好ましい例として挙げられる。
本発明の平版印刷版用修正剤はまた、赤外線感光性平版印刷版あるいは光重合型感光性平版印刷版から製版して得られた平版印刷版にも好ましく適用できる。以下、これらの版について簡単に説明する。
<赤外線感光性平版印刷版>
(ポジタイプ感熱層)
ポジタイプの感熱層は、アルカリ可溶性高分子化合物と光熱変換物質とを含有する。このアルカリ可溶性高分子化合物は、高分子中に酸性基を含有する単独重合体、これらの共重合体、およびこれらの混合物を包含し、特に下記(1)や(2)のような酸性基を有するものが、アルカリ現像液に対する溶解性の点で好ましい:(1)フェノール性ヒドロキシ基(−Ar−OH)、(2)スルホンアミド基(−SO2NH−R)。とりわけ、赤外線レーザ等による露光での画像形成性に優れる点で、フェノール性ヒドロキシ基を有することが好ましく、例えば、フェノールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−、p−およびm−/p−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂等のノボラック樹脂;ピロガロールアセトン樹脂が好ましく挙げられる。さらに詳しくは特開2001−305722号公報の〔0023〕〜〔0042〕で示されている高分子が好ましく用いられる。
光熱変換物質は、露光エネルギーを熱に変換して感熱層の露光部領域の相互作用解除を効率よく行うことを可能とする。記録感度の観点から、波長700〜1200nmの赤外域に光吸収域がある顔料または染料が好ましい。染料としては。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体(例えば、ニッケルチオレート錯体)等の染料を用いることができる。中でも、シアニン染料が好ましく、特開2001−305722号公報の一般式(I)で示されたシアニン染料を挙げることができる。サーマルポジタイプの組成物中には、前記コンベンショナルポジタイプで記述した物と同様の感度調節剤、焼出剤、染料等の化合物や塗布性を良化するための界面活性剤を加えることが好ましく、詳しくは特開2001−305722号公報の〔0053〕〜〔0059〕で示されている化合物が好ましい。
ポジタイプの感熱層は単層でもよいし、特開平11−218914号公報に記載されているような2層構造として設けてもよい。
サーマルポジタイプの感熱層と支持体との間には、下塗層を設けることが好ましい。下塗層に含有される成分としては特開2001−305722号公報の〔0068〕や〔0081〕で示された種々の有機化合物が挙げられる。
これらアルカリ可溶性高分子化合物と光熱変換物質とを含有する感熱性組成物を支持体上に設けたサーマルポジ型感熱性平版印刷版原版は赤外線レーザを用いて画像様露光された後、アルカリ性現像液で現像される。かかる現像液としては、特公昭57−7427号公報、特許第3086354号公報、特開平11−216962号公報、特開2001−51406号公報、特開2001−174981号公報、および特開2002−72501号公報記載の現像液などが好ましい例として挙げられる。
(ネガタイプ感熱層)
ネガタイプの感熱層は、赤外線レーザ照射部が硬化して画像部を形成するネガ型の感熱層である。
このようなネガタイプの感熱層の一つとして、重合型の層が好適に挙げられる。重合層は、(A)赤外線吸収剤と、(B)ラジカル発生剤(ラジカル重合開始剤)と、発生したラジカルにより重合反応を起こして硬化する(C)ラジカル重合性化合物と、(D)バインダーポリマーとを含有する。
重合層においては、赤外線吸収剤が吸収した赤外線を熱に変換し、この際発生した熱により、オニウム塩等のラジカル重合開始剤が分解し、ラジカルが発生する。ラジカル重合性化合物は、末端エチレン性不飽和結合を有する化合物から選ばれ、発生したラジカルにより連鎖的に重合反応が生起し、硬化する。(A)赤外線吸収剤としては、例えば、前述したポジタイプの感熱層に含有される前記光熱変換物質が挙げられるが、特にシアニン色素の具体例としては特開2001−133969号公報の段落番号〔0017〕〜〔0019〕に記載されたものを挙げることができる。(B)ラジカル発生剤としては、オニウム塩が挙げられ、好適に用いることのできるオニウム塩の具体例としては、特開2001−133969号公報の段落番号〔0030〕〜〔0033〕に記載されたものを挙げることができる。(C)ラジカル重合性化合物は、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。(D)バインダーポリマーとしては線状有機ポリマーを用いることが好ましく、水または弱アルカリ水に可溶性または膨潤性である線状有機ポリマーが選択される。特にこれらの中で、ベンジル基またはアリル基と、カルボキシ基とを側鎖に有する(メタ)アクリル樹脂が、膜強度、感度および現像性のバランスに優れており、好適である。(C)ラジカル重合性化合物および(D)バインダーポリマーに関しては同公報〔0036〕〜〔0060〕に詳しく記載された物が使用できる。その他の添加物としては、同公報〔0061〕〜〔0068〕で示されている添加剤(例えば塗布性を良化するための界面活性剤)を加えることも好ましい。
また、重合型のほかに、ネガタイプの感熱層の一つとして、酸架橋型の層が好適に挙げられる。酸架橋層は、(E)光または熱により酸を発生する化合物(以下「酸発生剤」という。)と、(F)発生した酸により架橋する化合物(以下「架橋剤」という。)とを含有し、更に、酸の存在下で架橋剤と反応しうる(G)アルカリ可溶性高分子化合物を含有する。赤外線レーザのエネルギーを効率よく使用するため、酸架橋層には(A)赤外線吸収剤が配合される。(E)酸発生剤としては、光重合の光開始剤、色素類の光変色剤、マイクロレジスト等に使用されている酸発生剤等の、熱分解して酸を発生しうる化合物が挙げられる。(F)架橋剤には、(i)ヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基で置換された芳香族化合物、(ii)N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基またはN−アシルオキシメチル基を有する化合物、または(iii)エポキシ化合物が挙げられる。(G)アルカリ可溶性高分子化合物としては、ノボラック樹脂、側鎖にヒドロキシアリール基を有するポリマー等が挙げられる。
これら重合型および酸架橋型のネガタイプ感熱層を支持体上に設けたサーマルネガ型感熱性平版印刷版原版は赤外線レーザを用いて画像様露光された後、アルカリ性現像液で現像される。かかる現像液としては、特公昭57−7427号公報、特開2001−133969号公報〔0119〕〜〔0123〕で示される現像液、特願2002−47985号公報、特願2002−59297号公報、および米国特許第5,766,826号公報記載の現像液などが特に好ましい例として挙げられる。
上述の赤外線吸収剤を含む画像記録層を持つポジタイプ平版印刷版原版から作られた画像部、あるいは熱重合型のネガタイプ平版印刷版原版から作られた画像部は、種々の薬品に対して比較的弱いという問題がある。ここに本発明の修正剤を用いることで、修正部周辺の画像損傷といった影響を与えにくく、有利である。
<光重合型感光性平版印刷版>
(感光層)
光重合型感光性組成物(以下「光重合性組成物」という)は、付加重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物(以下、単に「エチレン性不飽和結合含有化合物」という)と、光重合開始剤と、高分子結合剤とを必須成分として含有し、必要に応じて、着色剤、可塑剤、熱重合禁止剤等の種々の化合物を含有する。
光重合性組成物に含有されるエチレン性不飽和結合含有化合物は、光重合性組成物が活性光線の照射を受けた場合に、光重合開始剤の作用により付加重合し、架橋し硬化するようなエチレン性不飽和結合を有する化合物である。エチレン性不飽和結合含有化合物は、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物の中から任意に選択することができ、例えば、モノマー、プレポリマー(即ち、2量体、3量体およびオリゴマー)、これらの混合物、これらの共重合体等の化学的形態を有する。モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミドが挙げられる。またウレタン系付加重合性化合物も好適である。
光重合性組成物に含有される開始剤としては、使用する光源の波長により、種々の光重合開始剤または2種以上の光重合開始剤の併用系(光開始系)を適宜選択して用いることができ、例えば、特開2001-22079号公報〔0021〕〜〔0023〕で示されている開始系が好ましい。光重合性組成物に含有される高分子結合剤は、光重合性組成物の皮膜形成剤として機能するだけでなく、感光層をアルカリ現像液に溶解させる必要があるため、アルカリ水に可溶性または膨潤性である有機高分子重合体が使用される。上記高分子としては同公報〔0036〕〜〔0063〕で示されている物が有用である。その他光重合性組成物には、同公報〔0079〕〜〔0088〕で示されている添加剤(例えば塗布性を良化するための界面活性剤)を加えることも好ましい。
また、上記感光層の上に、酸素の重合禁止作用を防止するために酸素遮断性保護層を設けることが好ましい。酸素遮断性保護層に含有される重合体としては、ポリビニルアルコール又はその共重合体が挙げられる。さらに光重合型感光層の下層として特開2001-228608号公報〔0124〕〜〔0165〕で示されているような中間層もしくは接着層を設けるのも好ましい。
かかる光重合型感光性組成物を用いた感光性平版印刷版は高圧水銀灯などの紫外線、アルゴンレーザーおよび紫外線レーザーを用いて画像様露光された後、現像液で現像される。好ましい現像液としては、必要に応じアルカリ剤、有機溶剤、界面活性剤、硬水軟化剤、還元剤、有機カルボン酸、無機塩、消泡剤や更に必要に応じて当業界で知られた種々の添加剤を含有した水溶液が用いられる。特に好ましい例としては、特公昭58−54341号公報、特開平8−248643号公報、特開2002−91015号公報、および特開平8−171214号公報記載の現像液などが挙げられる。
上述のような光重合型の画像記録層から作られた画像部は、重合反応による網目構造を形成しているため溶剤に溶け難く、修正しにくいという問題がある。ここへ本発明の修正剤を適用することで、短時間で不必要な画像部を消去することができ、有利である。
上記の感光性平版印刷版を現像処理した後、通常、水洗、リンス、不感脂化処理などを組み合わせた処理を行い、平版印刷版を得る。こうして得られた平版印刷版に不必要な画像部がある場合に、その画像部の上に本発明の修正剤を施して画像部を消去する。本発明の修正剤を平版印刷版の画像部に施す場合、現像後直ちに施すよりも、現像後の平版印刷版を十分水洗したのちに施す方が好ましい。また、消去スピードは若干遅くなるが、ガム引きされた平版印刷版に修正剤を施すこともできる。
平版印刷版の画像部に本発明の修正剤を施す具体的方法としては、本発明の修正剤を毛筆に含ませ、これを所望の消去したい画像部へ塗布する方法が一般的である。または、平版印刷版用修正ペンの各種形態に応じた使用方法により、消去したい画像部へ塗布することができる。
塗布した修正剤は、そのまま約5秒〜約1分間放置したのち、水洗して修正剤を流し去れば、修正剤が塗布された部分の画像部は綺麗に除かれ、非画像部となる。その後は、通常の方法で処理(例えばガム引きなど)され、平版印刷版として使用される。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、他に明記しない限り「部」は質量部を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
〔実施例1〜4及び比較例1及び2〕
実施例1
本発明の修正剤を次のようにして調製した。
[修正剤A]
先ずα−メチル−γ−ブチロラクトン66.0部、テトラヒドロナフタリン4.0部、純水14.2部を混合した液中にヒドロキシプロピルセルロース(ヒドロキシプロポキシ基70〜95%)2.1部、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー(平均分子量2,000のポリプロピレングリコールの両端にエチレンオキサイドを重合させたもの。分子量:10,000、エチレンオキサイド含量:80%)4.5部を分散させた。1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン0.3部、85%リン酸2.7部、C.I.ベイシックレッド0.003部を順次溶解攪拌し均一な溶液とした。これに粉末二酸化珪素6.2部(日本アエロジル(株)製 二酸化珪素微粉末アエロジル380(一次粒子平均径約7nm))を添加して分散させ、粘稠な修正剤Aを得た。そのpHは1.7であった。B型粘度計で粘度を測定したところ、7300mPa・sであった。
同様にして実施例2〜4の修正剤(修正剤B〜D)及び比較例1及び2の修正剤(修正剤a及びb)を調整した。なお、修正剤Dは修正剤Aをフェルトに含浸させポリプロピレン製ペン容器内部に該フェルトを収納した、ペン型修正剤である。
以下の表3に各修正剤の組成(単位:質量部)を示す。
Figure 2005221961
*1 ヒドロキシプロポキシ基70〜95%
*2 平均分子量2,000のポリプロピレングリコールの両端にエチレンオキサイドを重合させたもの。分子量:10,000、エチレンオキサイド含量:80%
*3 二酸化珪素微粉末アエロジル380(一次粒子平均径約7nm)(日本アエロジル(株)製)
[試験1]
ポジ型感光性平版印刷版から得た平版印刷版を各種修正剤で修正した。
<平版印刷版の作製>
厚さ0.24mmのJIS A1050アルミニウム板を、平均粒径約2.1μのパミストンと水の懸濁液をアルミニウム表面に供給しながら、以下に示す回転ナイロンブラシにより、ブラシグレイニング処理した。第1ブラシは毛長100mm、毛径0.95mm、植毛密度70本/cm2であり、第2ブラシは毛長80mm、毛径0.295mm、植毛密度670本/cm2であった。ブラシロールの回転はいずれも250rpmであった。ブラシグレイニングに引き続きよく水洗した後、10%水酸化ナトリウムに60℃で25秒間浸漬してエッチングし、さらに流水で水洗後20%硝酸で中和洗浄、水洗した。これらを、VA=12.7Vの条件下で正弦波の交番波形電流を用いて、11%硝酸水溶液中で160クローン/dm2の陽極時電気量で電解素面化処理を行った。その表面粗さを測定したところ、0.50μ(Ra表示)であった。引き続いて、1%水酸化ナトリウム水溶液に40℃、30秒間浸漬後、30%の硫酸水溶液中に浸漬し、60℃で40秒間デスマット処理した後、20%硫酸水溶液中、電流密度2A/dm2において1.6g/m2の酸化皮膜量になるように直流で陽極酸化し、水洗して支持体を調整した。このように処理した支持体の表面に下記組成の中間層用塗布液(I)を塗布し80℃、30秒間乾燥して、支持体[A]を作製した。乾燥後の被覆量は5mg/m2であった。
中間層用塗布液(I)
下記構造式(A)の化合物 0.15g
下記構造式(B)の化合物 0.013g
メタノール 100g
純水 1g
Figure 2005221961
次にこの支持体[A]上に下記に示す感光液をロッドコーティングで12ml/m2塗設し、130℃で1分間乾燥して感光性平版印刷版を得た。乾燥後の塗布量は1.15g/m2であった。さらに真空密着時間を短縮させるため、特公昭61−28986号公報記載のようにしてマット層を形成させた。
感光液
・1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸クロリドと
2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノンとのエステル化合物
(エステル化率90%) 0.5g
・ポリ[N−(p-アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド−コ−
メチルメタクリレート−コ−アクリロニトリル]
(各モノマーのモル比は順に30:40:30、
重量平均分子量60,000、数平均分子量20,000) 1.7g
・クレゾール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂
(メタ、パラ比:6対4、重量平均分子量7,000,
数平均分子量2,500、残存クレゾールモノマー 0.7%) 0.5g
・テトラヒドロ無水フタル酸 0.1g
・4-[p-N,N-ビス(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル]−
2,6-ビス(トリクロロメチル)-S-トリアジン 0.02g
・クルクミン 0.01g
・ビクトリアピュアブルーBOH(保土谷化学(株)製の
対アニオンを1-ナフタレンスルホン酸に変えた染料) 0.03g
・F176PF(フッ素系界面活性剤、20%MIBK溶液)
(大日本インキ化学工業(株)製) 0.04g
・MCF−312(フッ素系界面活性剤、30%MIBK溶液)
(大日本インキ化学工業(株)製) 0.1g
・メチルエチルケトン 12g
・γ−ブチロラクトン 7g
・1-メトキシ-2-プロパノール 6g
このようにして得たポジ型感光性平版印刷版の上に網点写真透明陽画を密着させて、0.8mの距離からメタルハライドランプにて60秒間露光し、次の現像液にて現像し、平版印刷版を得た。
(現像液)
ケイ酸カリウムA(SiO2 26%、K2O13.5%) 120部
86%水酸化カリウム 15.5部
水 500部
こうして得られた平版印刷版には陽画フィルムのエッジが版面に画像として薄く残っていた。
上記各修正剤を、毛筆に含ませて、またはペンからにじみ出させて前記平版印刷版上のフィルムエッジが画像として残った領域や不要な画像部に塗布し、テストのため5秒〜10分間放置し、各時間経過後に水を噴霧して洗い流した。
ここで、画像を版上で消去するのに要した修正剤の塗布後放置時間(版面消去時間)、及び、後述のように印刷を開始した直後から消去部分にインキが着肉しないようにするために要した修正剤の塗布後放置時間(印刷物上消去時間)を調べた。
また、強制経時テストとして各修正剤を50℃/80%RHの中で7日間保存後、上記と同様に試験して消去性の劣化について調べた。
本発明の修正剤で修正した画像部は短時間で完全に親水層が露呈し、他の非画像域と比較して若干白色になっている程度であった。消去跡のゴースト状の残像もなく、非常に検版しやすいため検版時間が短縮された。このようにして修正の完了した版をアラビアガム14°Be水溶液でガム引きを行ない、オフセット印刷機に取付けて1万枚印刷したが、消去した画像部に汚れの発生は見られず美しい印刷物が得られた。
比較例の修正剤で完全に親水層を露出させるためには、本発明の修正剤と比較して長い時間がかかり、強制経時させたものはさらに長い時間が必要だった。また、版上消去時間より印刷物上消去時間が長くかかった。これは、版上で修正が完了したと判断した修正部分が、印刷中に汚れてしまうことを意味しており、印刷中の再修正が必要になった。
結果を表4に示す。
Figure 2005221961
* 不必要な画像を版上で消去するのに要した修正剤の塗布後放置時間
** 印刷を開始した直後から消去部分にインキが着肉しないために要した修正剤の塗布後放置時間
[試験2]
ポジ型赤外線感光性平版印刷版(シリケート処理及び下塗り層塗設した基板を含む)をシリケート現像液にて現像して得た版を各種修正剤で修正した。
〔基板の作製〕
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質1050)をトリクロロエチレンで洗浄して脱脂した後、ナイロンブラシと400メッシュのパミスー水懸濁液を用い、この表面を砂目立てし、水でよく洗浄した。この板を45℃の25%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、更に20%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2であった。次にこの板を7%硫酸を電解液として、電流密度15A/dm2で3g/m2の直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗し、乾燥した。
これを珪酸ナトリウム2.5質量%水溶液で30℃で10秒処理し、下記下塗り液を塗布し、塗膜を80℃で15秒間乾燥し基板を得た。乾燥後の塗膜の被覆量は15mg/m2であった。
<下塗り液の組成>
・分子量2.8万の下記共重合体 0.3部
・メタノール 100部
・水 1部
Figure 2005221961
得られた基板に以下の感光層形成用塗布液を塗布量が1.8g/m2になるよう塗布し、乾燥して、平版印刷版原版を得た。
<感光層塗布液の組成>
・m,p-クレゾールノボラック 1.0部
(m/p比=6/4、重量平均分子量8000、
未反応クレゾール0.5質量%含有)
・シアニン染料A(下記構造) 0.1部
・テトラヒドロ無水フタル酸 0.05部
・p-トルエンスルホン酸 0.002部
・エチルバイオレットの対イオンを
6-ヒドロキシ-β-ナフタレンスルホン酸にしたもの 0.02部
・フッ素系界面活性剤 0.05部
(メガファックF-781−F、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 12部
Figure 2005221961
平版印刷版原版をクレオ社製プレートセッターTrendsetter3244Fを用いて(回転数:150rpm)露光し、下記組成のアルカリ現像処理液(pH約13)で現像し、平版印刷版を得た。
〔アルカリ現像液の組成〕
・SiO2・K2O 4.0%
(K2O/SiO2=1.1(モル比))
・クエン酸 0.5%
・ポリエチレングリコール(重量平均分子量=1000) 0.5%
・水 95.0%
こうして得られた平版印刷版には、レーザーの描画むらによる不必要な画像部が残存していた。この不必要な画像部を各種修正剤で試験1と同様に処理し、消去から印刷までを行った。
結果を表5に示す。
Figure 2005221961
* 不必要な画像を版上で消去するのに要した修正剤の塗布後放置時間
** 印刷を開始した直後から消去部分にインキが着肉しないために要した修正剤の塗布後放置時間
[試験3]
ポジ型赤外線感光性平版印刷版(シリケート処理及び下塗り層塗設した基板を含む)を非シリケート現像液にて現像して得た版を各種修正剤で修正した。
試験2と同様にして得た平版印刷版原版を、同様にセッター露光し、非還元糖と塩基とを組み合わせたD−ソルビット/酸化カリウム(K2O)よりなるカリウム塩45%水溶液1リットルに、両性界面活性剤パイオニンC−158G(竹本油脂(株)製)20gと消泡剤オルフィンAK−02(日信化学(株)製)2.0gを添加して濃縮液とし、この濃縮液を水で9倍に希釈した現像液で現像し、平版印刷版を得た。
こうして得られた平版印刷版には、レーザーの描画むらによる不必要な画像部が残存していた。この不必要な画像部を各種修正剤で試験1と同様に処理し、消去から印刷までを行った。
結果を表6に示す。









Figure 2005221961
* 不必要な画像を版上で消去するのに要した修正剤の塗布後放置時間
** 印刷を開始した直後から消去部分にインキが着肉しないために要した修正剤の塗布後放置時間
[試験4]
ポジ型赤外線感光性平版印刷版(シリケート処理せず及び下塗り層塗設しない基板を含む)をシリケート現像液にて現像して得た版を各種修正剤で修正した。
試験2と同様に、アルミニウム板の脱脂から酸化皮膜を設けるまでを行い基板を得た。得られた基板に、珪酸ナトリウム処理、下塗り塗布しなかった以外は試験2と同じ感光液を塗布、乾燥後、試験2と同様に露光、現像し、平版印刷版を得た。こうして得られた平版印刷版には、レーザーの描画むらによる不必要な画像部が残存していた。この不必要な画像部を各種修正剤で試験1と同様に処理し、消去から印刷までを行った。
結果を表7に示す。
Figure 2005221961
* 不必要な画像を版上で消去するのに要した修正剤の塗布後放置時間
** 印刷を開始した直後から消去部分にインキが着肉しないために要した修正剤の塗布後放置時間
[試験5]
ポジ型赤外線感光性平版印刷版(シリケート処理せず及び下塗り層塗設しない基板を含む)を非シリケート現像液にて現像して得た版を各種修正剤で修正した。
試験4と同様に、アルミニウム板の脱脂から感光液を塗布、乾燥後、試験3と同様に露光、現像し、平版印刷版を得た。こうして得られた平版印刷版には、レーザーの描画むらによる不必要な画像部が残存していた。この不必要な画像部を各種修正剤で試験1と同様に処理し、消去から印刷までを行った。
結果を表8に示す。
Figure 2005221961
* 不必要な画像を版上で消去するのに要した修正剤の塗布後放置時間
** 印刷を開始した直後から消去部分にインキが着肉しないために要した修正剤の塗布後放置時間
[試験6]
光重合型感光性平版印刷版から製版された版を各種修正剤で修正した。
<平版印刷版の製造>
厚さ0.30mmの材質1Sのアルミニウム板を8号ナイロンブラシと800メッシュのパミストンの水懸濁液を用い、その表面を砂目立てした後、よく水で洗浄した。10%水酸化ナトリウムに70℃で60秒間浸漬してエッチングした後、流水で水洗後、20%HNO3で中和洗浄、水洗した。これをVA=12.7Vの条件下で正弦波の交番波形電流を用いて1%硝酸水溶液中で300クーロン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。その表面粗さを測定したところ0.45μm(Ra表示)であった。ひきつづいて30%のH2SO4水溶液中に浸漬し、55℃で2分間デスマットした後、33℃、20%H2SO4水溶液中で、砂目立てした面に陰極を配置して、電流密度5A/dm2において50秒間陽極酸化したところ厚さが2.7g/m2であった。このように処理されたアルミニウム板上に、下記組成の光重合性組成物を乾燥塗布重量が1.5g/m2となるように塗布し、100℃で1分間乾燥させ、感光層を形成した。
(光重合性組成物)
エチレン性不飽和結合含有化合物(A1) 1.5質量部
線状有機高分子重合体(B1) 2.0質量部
増感剤(C1) 0.15質量部
光開始剤(D1) 0.2質量部
ε−フタロシアニン(F1)分散物 0.02質量部
フッ素系ノニオン界面活性剤メガファックF117 0.03質量部
(大日本インキ化学工業(株)製)
メチルエチルケトン 9.0質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 7.5質量部
トルエン 11.0質量部







Figure 2005221961
この感光層上にポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度500)の3質量%の水溶液を乾燥塗布重量が2.5g/m2となるように塗布し、120℃で3分間乾燥させ、感光性平版印刷版を得た。
この感光性平版印刷版をFD・YAGレーザー(CSI社製プレートジェット4)で100μJ/cm2の露光量で、4000dpiにて175線/インチの条件で、ベタ画像と1〜99%の網点画像(1%刻み)を走査露光した後、下記組成の現像液(pH:25℃で11.5、導電率:5mS/cm)及びフィニッシングガム液FP−2W(富士写真フイルム製)を仕込んだ自動現像機(富士写真フイルム製LP−850P2)で標準処理を行った。プレヒートの条件は版面到達温度が100℃、現像液温は30℃、現像液への浸漬時間は約15秒であった。
(現像液)
水酸化カリウム 0.15g
ポリオキシエチレンフェニルエーテル(n=13) 5.0g
キレスト400 0.1g
水 94.75g
こうして得られた平版印刷版には、レーザーの描画むらによる不必要な画像部が残存していた。この不必要な画像部を各種修正剤で試験1と同様に処理し、消去から印刷までを行った。
結果を表9に示す。
Figure 2005221961
* 不必要な画像を版上で消去するのに要した修正剤の塗布後放置時間
** 印刷を開始した直後から消去部分にインキが着肉しないために要した修正剤の塗布後放置時間
[試験7]
熱重合型感熱性平版印刷版を製版して得られた版に各種修正剤で修正した。
[平版印刷版の製造]
99.5%以上のアルミニウムと、Fe0.30%、Si0.10%、Ti0.02%、Cu0.013%を含むJIS A1050合金の溶湯を清浄化処理を施し、鋳造した。清浄化処理には、溶湯中の水素などの不要なガスを除去するために脱ガス処理し、セラミックチューブフィルタ処理を行った。鋳造法はDC鋳造法で行った。凝固した板厚500mmの鋳塊を表面から10mm面削し、金属間化合物が粗大化してしまわないように550℃で10時間均質化処理を行った。次いで、400℃で熱間圧延し、連続焼鈍炉中で500℃60秒中間焼鈍した後、冷間圧延を行って、板厚0.30mmのアルミニウム圧延板とした。圧延ロールの粗さを制御することにより、冷間圧延後の中心線平均表面粗さRaを0.2μmに制御した。その後、平面性を向上させるためにテンションレベラーにかけた。
次に平版印刷版支持体とするための表面処理を行った。まず、アルミニウム板表面の圧延油を除去するため10%アルミン酸ソーダ水溶液で50℃30秒間脱脂処理を行い、30%硫酸水溶液で50℃30秒間中和、スマット除去処理を行った。
ついで支持体と感光層の密着性を良好にし、かつ非画像部に保水性を与えるため、支持体の表面を粗面化する、いわゆる、砂目立て処理を行った。1%の硝酸と0.5%の硝酸アルミを含有する水溶液を45℃に保ち、アルミウェブを水溶液中に流しながら、間接給電セルにより電流密度20A/dm2、デューティー比1:1の交番波形でアノード側電気量240C/dm2を与えることで電解砂目立てを行った。その後10%アルミン酸ソーダ水溶液で50℃30秒間エッチング処理を行い、30%硫酸水溶液で50℃30秒間中和、スマット除去処理を行った。
さらに耐摩耗性、耐薬品性、保水性を向上させるために、陽極酸化によって支持体に酸化皮膜を形成させた。電解質として硫酸20%水溶液を35℃で用い、アルミウェブを電解質中に通搬しながら、間接給電セルにより14A/dm2の直流で電解処理を行うことで2.5g/m2の陽極酸化皮膜を作成した。
この後、印刷版非画像部としての親水性を確保するため、シリケート処理を行った。処理は3号珪酸ソーダ1.5%水溶液を70℃に保ちアルミウェブの接触時間が15秒となるよう通搬し、さらに水洗した。Siの付着量は10mg/m2であった。以上により作成した支持体のRa(中心線表面粗さ)は0.25μmであった。
次に、このアルミニウム支持体に下記下塗り液をワイヤーバーにて塗布し、温風式乾燥装置を用いて90℃で30秒間乾燥した。乾燥後の被覆量は10mg/m2であった。
(下塗り液)
・エチルメタクリレートと2−アクリルアミド−2−メチル−1−
プロパンスルホン酸ナトリウム塩のモル比75:15の共重合体 0.1g
・2−アミノエチルホスホン酸 0.1g
・メタノール 50g
・イオン交換水 50g
(感光層)
次に、下記溶液[P]を調製し、上記の下塗り済みのアルミニウム板にワイヤーバーを用いて塗布し、温風式乾燥装置にて115℃で45秒間乾燥してネガ型平版印刷版原版を得た。乾燥後の被覆量は1.2〜1.3g/m2の範囲内であった。
溶液[P]
・赤外線吸収剤(下記[IR−6]) 0.08g
・オニウム塩(下記[OI−6]) 0.30g
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 1.00g
・アリルメタクリレートとメタクリル酸の
モル比80:20の共重合体(重量平均分子量12万) 1.00g
・ビクトリアピュアブルーのナフタレンスルホン酸塩 0.40g
・フッ素系界面活性剤 0.01g
(メガファックF−176、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 9.0g
・メタノール 10.0g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.0g

















Figure 2005221961
こうして得られたネガ型平版印刷版原版を、水冷式40W赤外線半導体レーザを搭載したCreo社製Trendsetter3244VFSにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、版面エネルギー100mJ/cm2、解像度2400dpiの条件で露光した。
露光後、富士写真フイルム(株)製自動現像機スタブロン900Nを用い現像処理した。現像液は、仕込み液、補充液ともに富士写真フイルム(株)製DN−3Cの1:1水希釈液を用いた。現像浴の温度は30℃とした。また、フィニッシャーは、富士写真フイルム(株)製FN−6の1:1水希釈液を用いた。
こうして得られた平版印刷版には、レーザーの描画むらによる不必要な画像部が残存していた。この不必要な画像部を各種修正剤で試験1と同様に処理し、消去から印刷までを行った。
表10に結果を示す。
Figure 2005221961
* 不必要な画像を版上で消去するのに要した修正剤の塗布後放置時間
** 印刷を開始した直後から消去部分にインキが着肉しないために要した修正剤の塗布後放置時間
上記表4〜10に示される結果から判るように、比較例の修正剤は、本発明の修正剤と比べて長時間の修正時間が要され、版上と印刷物上の修正時間のズレが避けられず、また、強制経時させたものでは修正に更に長時間が要される。一方本発明の修正剤は、版上と印刷物上の修正時間のズレがなく、強制経時したものでも同様の結果が得られ、画像溶解性について経時安定性が高いことが判る。

Claims (4)

  1. 下記一般式で示される化合物を含有する平版印刷版用修正剤。
    Figure 2005221961
    (式中、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、アシル基、ハロゲン原子又はヒドロキシル基を表す。)
  2. 該一般式においてRがメチル基である化合物を含有する請求項1記載の平版印刷版用修正剤。
  3. 親水化処理を施したアルミニウム支持体に、(イ)水不溶性、且つアルカリ可溶性の高分子化合物を含有する中間層、及び(ロ)該中間層上に感光層を設けてなる感光性平版印刷版を露光及び現像処理した後に得られた平版印刷版を修正するための請求項1又は2記載の平版印刷版用修正剤の使用。
  4. 請求項1又は2記載の平版印刷版用修正剤がペン型容器に充填されている平版印刷版用修正ペン。
JP2004032102A 2004-02-09 2004-02-09 平版印刷版用修正剤及びその使用 Pending JP2005221961A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004032102A JP2005221961A (ja) 2004-02-09 2004-02-09 平版印刷版用修正剤及びその使用

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004032102A JP2005221961A (ja) 2004-02-09 2004-02-09 平版印刷版用修正剤及びその使用

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005221961A true JP2005221961A (ja) 2005-08-18

Family

ID=34997618

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004032102A Pending JP2005221961A (ja) 2004-02-09 2004-02-09 平版印刷版用修正剤及びその使用

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005221961A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4216494B2 (ja) 平版印刷版原版
JP3327496B2 (ja) ポジ型感光性平版印刷版
JP3707638B2 (ja) ポジ型感光性平版印刷版
US20090084683A1 (en) Method for making a lithographic printing plate support
JP2001232965A (ja) 平版印刷版原版の製造方法
WO2009113378A1 (ja) 平版印刷原版の製版方法
JP5513221B2 (ja) 保護層形成用組成物およびそれを用いた感光性平版印刷版
JP4499507B2 (ja) 平版印刷版原版
JP4098964B2 (ja) 平版印刷版原版
JP4099153B2 (ja) 平版印刷版用修正剤
JP2005221961A (ja) 平版印刷版用修正剤及びその使用
EP1356949B1 (en) Correction fluid for lithographic printing plate
JP4090802B2 (ja) 平版印刷版用修正剤
JP2004287412A (ja) 平版印刷版用修正剤
JP5253433B2 (ja) 平版印刷版の作製方法
JP2004117565A (ja) 平版印刷版用修正剤
JP2004317921A (ja) 平版印刷版用修正剤
JP2005132044A (ja) 平版印刷版用修正剤
JP2004243531A (ja) 平版印刷版用版面保護剤及び平版印刷版の製版方法
JP2003167342A (ja) 感赤外線感光性組成物
JP2004117841A (ja) 平版印刷版用修正剤
JP2004061697A (ja) 平版印刷版用修正剤の調製方法及び平版印刷版用修正剤の調製用キット
JP2004117842A (ja) 平版印刷版用修正剤
JP2004109973A (ja) 平版印刷版用修正剤
JP2002283763A (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法