JP2005220177A - 長繊維強化ポリ乳酸系樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

長繊維強化ポリ乳酸系樹脂組成物及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】機械的強度や耐熱性(高い荷重たわみ温度)を有する生分解性プラスチック成形品を得るための長繊維強化ポリ乳酸系樹脂組成物及び製造法を提供する。
【解決手段】ポリ乳酸系樹脂、実質上2mm以上の繊維長を有する強化繊維、及び平均粒径が0.1〜3μmのタルクが含有され、前記強化繊維は組成物中に5〜70質量%、前記タルクは組成物中に5〜25質量%それぞれ含有され、かつ前記強化繊維が、ウレタン樹脂を含有しエポキシ樹脂の含有量が20質量%以下の集束剤で処理された繊維であることを特徴とする長繊維強化ポリ乳酸系樹脂組成物。ウレタン樹脂を含有しかつエポキシ樹脂の含有量が20質量%以下の集束剤で処理された強化繊維束の連続物に、ポリ乳酸系樹脂及び平均粒径が0.1〜3μmのタルクをポリ乳酸系樹脂100質量部に対して5.5〜33質量部含んだ溶融物を含浸させ、強化繊維が5〜70質量%含有される上記組成物を得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、機械的性能、耐熱性に優れ、使用後に自然感環境下にて分解する成形品を製造するための長繊維強化ポリ乳酸系樹脂組成物及びその製造方法に関する。
近年、環境問題に対して、自然環境の中で分解する生分解性プラスチックが着目されている。生分解性プラスチックのうち、ポリ乳酸系樹脂は、古くから知られた樹脂で安価に製造でき、土中への埋没試験でも微生物により分解されていることが確認されている。
しかしながら、ポリ乳酸系樹脂は通常結晶化速度が遅いため、射出成形により成形品を製造する場合には、冷却固化させるのに長時間を要し、成形品が低温では柔らかく充分な機械的強度を有する成形品が得られていない。
前記問題点を解決するために、特許文献1では、乳酸系樹脂に対してポリ−ε−カプロラクトンをL−乳酸比率が75重量%以上混合し、該混合物にSiOを50質量%以上を含有する結晶性無機粉末を混合、溶融する。次いで、これを85〜125℃に設定された成形機の金型に充填し、結晶化させながら成形することにより、耐熱性や耐衝撃性などの機械的強度に優れた成形物を得ることが記載されている。
また、特許文献2には、生分解性プラスチックの機械的強度の弱さを、エポキシ樹脂を集束剤として使用したガラス繊維を混入して強化し、耐衝撃性などの機械的強度を向上させることが開示されている。
特開平8−193165号公報 特開平11−79793公報
しかしながら、前記特許文献1により得られた成形品は、いまだに充分な機械的強度や耐熱性(荷重たわみ温度)を有せず、なお、機械的強度や高い耐熱性を有している成形品を得るための成形材料が望まれている。
また、特許文献2には、チョップドストランドガラス繊維を用いて生分解性プラスチックを強化する、いわゆる短繊維強化プラスチックが開示され、確かに成形品の機械的強度が向上するものの、これを長繊維強化に適応させる場合には、大きな問題を有する。すなわち、従来、高い強度を与えるとされるエポキシ樹脂を含む集束剤が使用される場合、長繊維強化樹脂組成物の製造では、含浸ダイ内の樹脂浴中にエポキシ樹脂が溶け、ベタツキから来る開繊バーとの接触時の繊維の抵抗により、毛羽立ちが多く発生し作業性悪化がひどく長繊維強化樹脂組成物の製造が困難である。
本発明は、上記の如き問題に鑑み、優れた機械的強度や耐熱性(荷重たわみ温度)を有する、生分解性プラスチックであるポリ乳酸系樹脂成形品が得られ、かつ製造安定性、成形作業性にも優れる長繊維強化ポリ乳酸系樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を進めたところ、これを解決することのできる、生分解性プラスチックである長繊維強化ポリ乳酸系樹脂組成物を見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、生分解性プラスチックである、ポリ乳酸系樹脂に対して、好ましくは特定の集束剤で処理した強化繊維の特定量と、特定の平均粒径を有するタルクの特定量を含有させた新規なポリ乳酸系樹脂組成物、及びその製造方法を開発することにより、耐衝撃性などの機械的強度が大きく、かつ耐熱性(高い荷重たわみ温度)に優れた長繊維強化ポリ乳酸系樹脂成形品が得られることを見出し、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明は、下記の特徴を要旨とするものである。
(1)ポリ乳酸系樹脂、実質上2mm以上の繊維長を有する強化繊維、及び平均粒径が0.1〜3μmのタルクが含有され、前記強化繊維は組成物中に5〜70質量%、前記タルクは組成物中に5〜25質量%それぞれ含有され、かつ前記強化繊維が、ウレタン樹脂を含有しエポキシ樹脂の含有量が20質量%以下の集束剤で処理された繊維であることを特徴とする長繊維強化ポリ乳酸系樹脂組成物。
(2)前記タルクにエポキシ樹脂が付着されている上記(1)に記載の長繊維強化ポリ乳酸系樹脂組成物。
(3)前記エポキシ樹脂が、フェノールノボラック型エポキシ樹脂である上記(1)又は(3)に記載の長繊維強化ポリ乳酸系樹脂組成物。
(4)樹脂組成物が、長さ2〜50mmのペレット状である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の長繊維強化ポリ乳酸系樹脂組成物。
(5)ウレタン樹脂を含有し、エポキシ樹脂の含有量が20質量%以下の集束剤で処理された強化繊維束の連続物に、ポリ乳酸系樹脂及び平均粒径が0.1〜3μmのタルクをポリ乳酸系樹脂100質量部に対して5.5〜33質量部含んだ溶融物を含浸し、強化繊維が5〜70質量%含有される組成物を得ることを特徴とする長繊維強化ポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法。
(6)前記強化繊維束の連続物をクロスヘッドを通して引きながら、押出機からクロスヘッドに供給される前記溶融物を含浸させて線状物に引抜き、該線状物を長さ2〜50mmに切断する上記(5)に記載の長繊維強化ポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法。
(7)前記タルクにエポキシ樹脂が付着している上記(5)又は(6)に記載の長繊維強化ポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法。
(8)前記エポキシ樹脂が、フェノールノボラック型エポキシ樹脂である上記(5)〜(7)のいずれかに記載の長繊維強化ポリ乳酸系樹脂組成物。
(9)上記(4)に記載の長繊維強化ポリ乳酸系樹脂組成物を成形してなり、強化繊維が1mm以上の重量平均長さで含有される成形品。
本発明によれば、新規な長繊維強化ポリ乳酸系樹脂組成物が提供され、該ポリ乳酸系樹脂組成物は射出成形などで成形することにより、耐熱性(高い荷重たわみ温度)かつ耐衝撃性などの機械的強度に優れる生分解性プラスチック成形品が得られる。
本発明で使用するポリ乳酸系樹脂は、乳酸単独重合体樹脂、乳酸共重合体樹脂、これらの乳酸樹脂を含むブレンド樹脂等である。乳酸樹脂の原料である乳酸成分としては特に限定されるものではないが、L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸又はこれらの混合物、又は乳酸環状2量体であるL−ラクチド、D−ラクチド、meso−ラクチド、又はこれらの混合物も使用できる。
乳酸として、L体とD体の構成モル比(L/D)は特に限定されるものではないが高い融点を得るためには総乳酸中のL体を80モル%以上、好ましくは90モル%以上含むことが好ましい。また、ラクチドについても総ラクチド中、L体を80モル%以上、好ましくは90モル以上含むことが好ましい。ポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量は一般に5万から50万、好ましくは10万から25万である。重量平均分子量が5万未満では実用上必要な物性が得られない。一方、重量平均分子量が50万を越えると成形性が悪化しやすい。
本発明で使用する乳酸単独重合体樹脂はL−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸又はこれらの混合物を直接脱水縮合するか、又はL−ラクチド、D−ラクチド、meso−ラクチド、又はこれらの混合物等の開環重合によって得られる樹脂が挙げられる。また、乳酸共重合体樹脂は、乳酸モノマー又はラクチドと、該モノマーと共重合可能な他の成分とが共重合された樹脂である。共重合可能な他の成分としては、分子内に2個以上のエステル結合形成性の官能基をもつジカルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン等、又はこれらの種々の構成成分よりなる各種ポリエステル、各種ポリエーテル、各種ポリカーボネート等が挙げられる。
上記ジカルボン酸としてはコハク酸、アジピン酸、フタル酸、テレフタル酸等が挙げられる。また、多価アルコールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール等の脂肪族多価アルコール、ビスフェノールにエチレンオキサイドを不可反応させた芳香族多価アルコール、ジエチレングリーコール、トリエチレングリコール等のエーテルグリコール等が挙げられる。
上記ヒドロキシカルボン酸としてはグリコール酸、ヒドロキシブチルカルボン酸等が挙げられる。上記ラクトンとしてはグリコリド、ε−カプロラクトングリコリド、ε−カプロラクトン等が挙げられる。
上記の各種ポリエステル、各種ポリエーテル、各種ポリカーボネートとしては、乳酸共重合樹脂製造に従来から使用されているものであれば特に制限無く使用できる。
乳酸系単独重合体又は共重合体は、従来公知の方法で製造されるものである。すなわち、特開平7−33861号公報、特開昭59−96123号公報、高分子討論会予稿集第44巻、3198−3199頁に記載のような乳酸モノマーからの直接脱水縮合、又は乳酸環状二量体ラクチドの開環重合によって製造することができる。
直接脱水縮合を行う場合、L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸、又はこれらの混合物のいずれの乳酸を用いても良い。また、開環重合を行う場合においても、L−ラクチド、D−ラクチド、DL−ラクチド、meso−ラクチド、又はこれらの混合物のいずれのラクチドを用いても良い。
ラクチドの合成、精製及び重合操作は、例えば米国特許4057537号明細書、公開欧州特許出願第261572号明細書、Polymer
Bulletin,14,491-495(1985)、及びMakromol Chem.,187,1611-1628(1986)等の文献に記載されている。
乳酸モノマー又はラクチドの重合反応に用いる触媒は、特に限定されるものではなく、公知の乳酸重合用触媒を用いることができる。例えば、乳酸スズ、酒石酸スズ、ジカプリル酸スズ、ジラウリル酸スズ、ジパルミチン酸スズ、ジステアリン酸スズ、ジオレイン酸スズ、α−ナフトエ酸スズ、β−ナフトエ酸スズ、オクチル酸スズ等のスズ系化合物、粉末スズ、酸化スズ;亜鉛粉末、ハロゲン化亜鉛、酸化亜鉛、有機亜鉛系化合物;テトラプロピルチタネート等のチタン系化合物; ジルコニウムイソプロポキシド等のジルコニウム系化合物;三酸化アンチモン等のアンチモン系化合物;酸化ビスマス(III)等のビスマス系化合物;酸化アルミニウム、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウム系化合物等を挙げることができる。
本発明において、乳酸樹脂を含むブレンド樹脂としては、乳酸単独重合体樹脂及び/又は乳酸共重合体樹脂と、好ましくは、乳酸以外のポリエステルとを混合、溶融して得られた混合物である。ポリエステルのブレンドにより成形品に柔軟性、耐衝撃性を付与することができる。ブレンドの割合は、通常、乳酸単独重合体樹脂及び/又は乳酸共重合樹脂100質量部に対して、乳酸以外のポリエステル10〜100質量部程度である。ポリエステルは脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル又はそれらの混合物であり、特に、乳酸との混合性から脂肪族ポリエステルが好ましい。
本発明において、ブレンドされる脂肪族ポリエステルは、脂肪族カルボン酸成分と脂肪族アルコール成分とからなる樹脂や、ε−カプロラクトン等環状無水物を開環重合して得られた脂肪族ヒドロキシカルボン酸樹脂等が挙げられる。また脂肪族ポリエステルは、主として上記脂肪族モノマー成分を含んで構成される樹脂であれば、共重合体であってもよく、あるいは他の樹脂との混合物であってもよい。
ブレンドに使用される脂肪族ポリエステルは、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとからなることが好ましい。脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン酸等の化合物、又はこれらの無水物や誘導体が挙げられる。一方、脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、シクロヘキサンジメタノール等のグリコール系化合物、及びこれらの誘導体が一般的である。これらの脂肪族ジカルボン酸や脂肪族ジオールはいずれも、炭素数2〜10のアルキレン基、シクロ環基又はシクロアルキレン基をもつモノマー化合物である。これら脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールの中から選択されたモノマー化合物の縮重合により脂肪族ポリエステルが製造される。カルボン酸成分或いはアルコール成分のいずれにおいても、2種以上用いても構わない。
また、ブレンドに使用される脂肪族ポリエステルは、溶融粘度の向上のためにポリマー中に分岐を設ける目的で、脂肪族ポリエステルの成分として、3官能以上の多官能のカルボン酸、アルコール或いはヒドロキシカルボン酸を用いても構わない。これらの成分は、多量に用いると得られるポリマーが架橋構造を持ち、熱可塑性でなくなったり、熱可塑性であっても部分的に高度に架橋構造をもったミクロゲルを生じる場合がある。従って、これら3官能以上の成分は、ポリマー中に含まれる割合はわずかで、ポリマーの化学的性質、物理的性質を大きく左右するものではない程度に含まれる。多官能成分としては、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ペンタエリスリット、トリメチロールプロパン等を用いることができる。
脂肪族ポリエステルの製造方法のうち、直接重合法は、上記の化合物を選択して化合物中に含まれる、あるいは重合中に発生する水分を除去しながら高分子量物を得る方法である。また、間接重合法は、上記化合物を選択してオリゴマー程度に重合した後、分子量増大を目的として、少量の鎖延長剤、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物を使用して高分子量化する方法である。あるいはカーボネート化合物を用いて脂肪族ポリエステルカーボネートを得る方法がある。
本発明で乳酸樹脂組成物に含まれるタルクは、平均粒径が0.1〜3μmである粉末であることが必要である。平均粒径が0.1μm未満であると、混練中に凝集物を作り結果的に樹脂組成物中の分散性が劣り好ましくなく、前記値が3μmを超えると樹脂組成物中での分散状態が不均質になるばかりか、樹脂含浸工程でガラス繊維に損傷を与えると考えられ毛羽が生じるため好ましくない。なかでも、タルクの平均粒径は、0.5〜1.5μmであることがより好ましい。タルクの平均粒径は、レーザ回折式粒度分布測定装置により測定し、平均面積径により求めることができる。
また、タルクは、成形品の耐熱性を向上させるため好ましいが、機械的強度に関しては、タルクが配合されると弾性率は向上するものの、衝撃強度が低下する場合がある。本発明では、タルクにエポキシ樹脂を付着させることにより、成形品の衝撃強度等の機械的強度が向上する上に、さらに耐熱性が向上することが判明した。これは、タルクにエポキシ樹脂を付着させることでポリ乳酸系樹脂との密着性が向上すると考えられる。
エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂を含むタルク全量に対し、0.1〜5質量%付着していることが好ましい。より好ましくは0.5〜2質量%である。前記値が0.1質量%未満であると、ポリ乳酸系樹脂との密着性が低下し、衝撃強度及び耐熱性が劣り好ましくなく、前記値が5質量%を超えると付着時に凝集体を作りやすく、混練時の分散性が劣り好ましくない。前記エポキシが付着したタルクは、使用するタルク全量中に50質量%以上含まれていることが好ましく100質量%であることが特に好ましい。
タルクに付着されるエポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノ一ルAD型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型若しくはクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、それらの水添タイプ、又はエーテル変性物、及びフェノキシ樹脂等から一種類以上のものを選んで使用することができる。特に、前記効果を高く発現させるためにはノボラック型エポキシ樹脂を用いることが効果的である。
本発明でノボラック型エポキシ樹脂としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂を用いることがポリ乳酸系樹脂との密着性、耐熱性の点から好ましい。ノボラック型エポキシ樹脂の分子量やエポキシ当量は特に限定はされないが、重量平均分子量が好ましくは約300〜900であり、エポキシ当量は172〜182が好ましく、取り扱いの観点からも好適である。
前記エポキシ樹脂は、乳化又は水溶化等させることにより、水に分散した状態で使用することが好ましい。タルクにエポキシ樹脂に付着させる方法としては、前述の水に分散したエポキシを付着させる場合は、特に限定せず、スプレー等によりエポキシ樹脂を吹付けた後、水分を蒸発乾燥させる等の方法を用いることができる。
本発明でポリ乳酸系樹脂組成物に含まれる強化繊維は特に限定されないが、炭素繊維、ガラス繊維が挙げられる。炭素繊維として従来公知の種々の炭素繊維が使用でき、具体的には、ポリアクリロニトリル系、ピッチ系、レーヨン系等の炭素繊維が挙げられる。炭素繊維のフィラメント径は6〜20μmが好ましく、集束本数としては1000〜30000本であることが好ましい。ガラス繊維の場合、モノフィラメントの平均径が6〜23μmであることが好ましく、より好ましくは10〜20μmである。モノフィラメントの平均径が6μm未満の場合は、ガラス繊維製造工程でコストアップとなり、最終的にガラス繊維強化樹脂ペレットとした場合にペレットがコスト高になる。23μmを超える場合は、結果として得られる成形品の機械的物性が劣るために好ましくない。また、集束本数が600〜10、000本であることが好ましい。集束本数が600本未満であるとガラス繊維束をそろえる上で作業率が劣り、また、10、000本を超えるとガラス繊維を使用する際に含浸性が低下するため、成形品の機械的強度が低下し、好ましくない。
本発明で、強化繊維には、好ましくは集束剤が付着される。本発明では、集束剤はウレタン樹脂を含有するが、エポキシ樹脂の含有量は20質量%以下である集束剤であることが好ましい。ガラス繊維の場合はシランカップリング剤を用い、シランカップリング剤は、集束剤中に、固形換算で5〜50質量%含まれることが好ましく、より好ましくは10〜30質量%含まれることが好ましい。前記値が5%未満であると樹脂との密着性が低下し結果的に機械強度、耐熱性が低下するため好ましくなく、50%を超えるとそれ以上の効果が期待できないばかりかコストアップにつながり好ましくない。また、前記ウレタン樹脂は、集束剤中に固形分換算で20質量%以上含まれることが好ましく、より好ましくは50質量%以上含まれることが好ましい。前記値が20質量%未満であると樹脂との密着性が低下し結果的に機械強度、耐熱性が低下するばかりか、含浸ダイの前工程および含浸ダイ内での毛羽の発生により生産性の低下や作業性の低下のため好ましくない。集束剤中のエポキシ樹脂の含有量が20質量%を超えると含浸ダイの前工程および含浸ダイ内で毛羽の発生や糸切れが生じ、生産性、作業性が劣る。集束剤中のエポキシ樹脂の含有量は好ましくは10質量%以下、特に好ましくは5質量%以下であるのが好適である。
本発明で集束剤は処理される強化繊維の全量に対し固形分として0.1〜2質量%付与されていることが好ましい。付与量が0.1質量%未満であると繊維の集束性が不十分で毛羽立ち易く、また、強化繊維とポリ乳酸系樹脂との接着が劣り好ましくなく、一方、付与量が2質量%を超えるとポリ乳酸系樹脂の含浸時における繊維束の開繊が不十分となり、ポリ乳酸系樹脂中で未開繊の繊維束が存在することによる欠点を生じさせるため好ましくない。
本発明の強化繊維の集束剤としては、ウレタン樹脂及び必要によりシランカップリング剤を加えて、飽和ポリエステル樹脂、ポリ乳酸系樹脂等の通常の強化繊維に使用されている集束剤成分を併用することができる。
上記シランカップリング剤としては、アミノ基を有するものであれば特に限定しないが、前記アミノシランのアミノ基が1級及び/又は2級のアミノ基であることが好ましく、さらにγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−N’−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシランのようなアミノシランが好ましい。アミノシランは樹脂との密着性を高め、機械的強度などが優れる点で好ましい。さらにγ−アミノプロピルトリエトキシシランを用いることが成形品の色調が良好であることからもより好ましい。
上記ポリウレタン樹脂は、通常集束剤として使用されるものであれば特に限定はなく、例えば、高分子ポリオール、有機ジイソシアネート、更に必要により鎖伸長剤及び/又は架橋剤とから誘導されてなる従来公知のものが使用できる。ウレタン樹脂はエマルジョン、ディスパージョン等として水に分散化して集束剤として用いられる。
上記高分子ポリオールの具体例としては、例えばポリエステルポリオール(例えばポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリネオペンチルテレフタレートジオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオールなど);ポリエーテルポリオール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ビスフェノール類のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド付加物など)などが挙げられる。高分子ポリオールの数平均分子量は通常500〜6,000、好ましくは800〜3,000である。
有機ジイソシアネートの具体例としては、例えば2,4’−もしくは4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−もしくは2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1.3−もしくは1,4−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;エチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネート;又はこれらの2種以上の混合物を挙げることができる。これらのうち好ましいものは、MDI、TDI、HDI及びIPDIである。
上記の必要により用いられる鎖伸長剤及び/又は架橋剤としては、数平均分子量が60〜500未満の活性水素含有化合物、例えば多価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、3−メチルペンタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン、2,2−ビス(4,4’−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンなどの2価アルコール;グリセリン、トリメチロールプロパンなどの3価アルコール;ペンタエリスリト―ル、ジグリセリン、α−メチルグルコシド、ソルビト―ル、キシリット、マンニット、ジペンタエリスリト−ル、グルコ−ス、フルクト−ス、ショ糖などの4〜8価のアルコ―ルなど)、多価フェノ―ル類(ピロガロ―ル、カテコール、ヒドロキノンなどの多価フェノ―ル;ビスフェノ―ルA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなどのビスフェノ―ル類など)、水、ポリアミン(脂肪族ポリアミン(エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミンなど)、脂環族ポリアミン(イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミンなど)、芳香族ポリアミン(4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど)、芳香脂環族ポリアミン(キシリレンジアミンなど)、ヒドラジンもしくはその誘導体など)などが挙げられる。
本発明の長繊維強化樹脂組成物中には、強化繊維が5〜70質量%含有され、好ましくは15〜50質量%含有されることがより好適である。また、タルクは組成物中に、5〜25質量%、好ましくは7.5〜15質量%含有されることが好適である。組成物中の強化繊維の含有量が5質量%未満であると機械的強度が劣り好ましくなく、70質量%を超えると成形流動性が劣り好ましくない。また、組成物中のタルクの含有量が5質量%未満であると、機械的強度、耐熱性が十分に発現せず、また、25質量%を超えると衝撃強度が著しく低下し、比重も大きくなり好ましくない。また、本発明の組成物に含まれる強化繊維の繊維長は2mm以上であることが必要である。該繊維長が2mmより小さい場合には、成形品の機械的強度が劣り、また必然的にペレット長も短くなるため、ペレットの割れが生じ易く嵩高となり、搬送効率が劣り好ましくない。なかでも、該繊維長は、6mm以上が好ましい。しかし、成形品の製造方法にもよるが、例えば、射出成形をする場合に材料供給の際のホッパー等の導入口で安定供給の理由からして、該繊維長は、50mm以下、特には20mm以下が好ましい。
更に、本発明の長繊維強化ポリ乳酸系樹脂組成物には、その目的及び効果を大きく阻害しない範囲で他の熱可塑性樹脂の1種又は2種以上を少量併用することも可能である。また、目的に応じ所望の特性を付与するため、一般に熱可塑性樹脂に添加される公知の物質、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤などの安定剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、染料や顔料などの着色剤、潤滑剤、可塑剤、結晶化促進剤、結晶核剤などをさらに配合することも可能である。
本発明の長繊維強化ポリ乳酸系樹脂組成物は、上記集束剤で処理された連続した強化繊維束を引きながら、該繊維束にポリ乳酸系樹脂及び平均粒径が0.1〜3μmのタルクを含むマトリックス樹脂を含浸する、所謂、引抜成形法で製造するのが好ましい。即ち、本発明では、マトリックス樹脂の、エマルジョン、サスペンジョン又は溶液を入れた浴中に強化繊維束を通してマトリックス樹脂を含浸する方法、マトリックス樹脂粉末を強化繊維束に吹き付ける方法、マトリック樹脂粉末を入れた槽の中に強化繊維束を通し、これにマトリックス樹脂粉末を付着させた後マトリックス樹脂を溶融し繊維束中に含浸する方法、クロスヘッドの中を強化繊維束を通しながら押出機などからクロスヘッドにマトリックス樹脂を供給し、繊維束に含浸する方法などが使用できる。本発明では、樹脂の含浸性の観点からクロスヘッドを用いる方法により溶解含浸させることが特に好ましい。
上記の如き製造方法において、強化繊維束に含浸させる溶融マトリックス樹脂の温度は、150〜300℃が好ましく、200〜280℃がより好ましい。このようにして強化繊維束に溶融マトリックス樹脂が含浸されたストランドが得られるが、該ストランドは、これを適当な長さに裁断することによりペレット状などの任意の形状が可能である。本発明では、特に成形加工の容易な射出成形への適用のため、好ましくは長さ2〜50mmのペレット状の線材組成物とするのが好適である。また、かかる本発明の樹脂組成物を成形するにあたっては、これを成形した時、強化繊維が好ましくは1mm以上の重量平均繊維長で分散した成形品とするのが好ましく、これにより高度の機械的強度を保持した成形品とすることができる。
実施例
以下に本発明について実施例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明はかかる実施例に限定して解釈されるべきでないことはもちろんである。

以下の実施例では、「ポリ乳酸系樹脂」、「タルク」、「ガラス繊維」としては、以下のものを使用した。
・ポリ乳酸系樹脂: 三井化学社製レイシア H―100J。
・タルク(A、B、C):
A: 平均粒径1.0μmのタルク(日本タルク社製SG―2000)。
B: SG―2000にエポキシ当量180フェノールノボラック型樹脂エマルジョンを塗布して乾燥させたフェノールノボラック型エポキシ樹脂の固形分が1質量%付着したタルク。
C: 平均粒径5.0μmのタルク(日本タルク社製C―3)。

尚、平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2000J(株)島津製作所製で測定し平均面積径から求めた。
・ガラス繊維(A、B、C、D、E、F):
A: ウレタン樹脂エマルジョン固形分100質量部、γ―アミノプロピルトリエトキシシランカップリング剤15質量部、カチオン系界面活性剤0.6質量部からなる集束剤をフィラメント径 16μm、集束本数3000本のガラス繊維に塗布して乾燥させた集束剤付着量が0.4質量%のガラス繊維。
B: エポキシ当量180のフェノールノボラック型エポキシ樹脂エマルジョン固形分100質量部、γ―アミノプロピルトリエトキシシランカップリング剤15質量部、界面活性材0.6質量部からなる集束剤をフィラメント径16μm、集束本数3000本のガラス繊維に塗布して乾燥させた集束剤付着量が0.4質量%のガラス繊維。
C: ウレタン樹脂エマルジョン固形分50質量部、エポキシ当量180のフェノールノボラック型エポキシ樹脂エマルジョン固形分50質量部、γ―アミノプロピルトリエトキシシランカップリング剤15質量部、カチオン系界面活性剤0.6質量部からなる集束剤をフィラメント径 16μm、集束本数3000本のガラス繊維に塗布して乾燥させた集束剤付着量が0.4質量%のガラス繊維。
D: ウレタン樹脂エマルジョン固形分80質量部、エポキシ当量180のフェノールノボラック型エポキシ樹脂エマルジョン固形分20質量部、γ―アミノプロピルトリエトキシシランカップリング剤15質量部、カチオン系界面活性剤0.6質量部からなる集束剤をフィラメント径 16μm、集束本数3000本のガラス繊維に塗布して乾燥させた集束剤付着量が0.4質量%のガラス繊維。
E: ウレタン樹脂エマルジョン固形分95質量部、エポキシ当量180のフェノールノボラック型エポキシ樹脂エマルジョン固形分5質量部、γ―アミノプロピルトリエトキシシランカップリング剤15質量部、カチオン系界面活性剤0.6質量部からなる集束剤をフィラメント径 16μm、集束本数3000本のガラス繊維に塗布して乾燥させた集束剤付着量が0.4質量%のガラス繊維。
F: エポキシ当量180のフェノールノボラック型エポキシ樹脂エマルジョン固形分100質量部、γ―アミノプロピルトリエトキシシランカップリング剤15質量部、界面活性材0.6質量部からなる集束剤をフィラメント径16μm、集束本数2000本のガラス繊維に塗布して、0.4質量%、カット長3mmのガラス繊維。
表1に示す組成にて、ポリ乳酸系樹脂、タルクをドライブレンドし、シリンダー温度200〜280℃の押出し機で溶融、混練し、所定のガラス繊維含有率になるよう押出機の途中より前記連続ガラス繊維を供給し、上記混練樹脂を含浸したのち、切断することにより、長さ6mmのペレット状のガラス繊維強化樹脂組成物を得た。
なお、ガラス繊維Dを使用した場合には、シリンダーの温度設定が210℃の二軸押出機を用いて混練し、ペレット化して比較例の樹脂組成物とした。
得られたペレット状の樹脂組成物を80℃で5時間乾燥後、射出成形機を用いて、シリンダー温度210℃、金型温度80℃にて成形し、試験成形品片を得た。
得られた成形品の物性を「表1」に示した。なお、「表1」に示される、TS、FS、FM、IZOD、DTUL、及び性能の測定方法は、以下に示すとおりである。

・TS:定義及び測定方法 引張り強度 (ASTM D−638)

・FS:定義及び測定方法 曲げ強度 (ASTM D−790)

・FM:定義及び測定方法 曲げ弾性率 (ASTM D−790)

・IZOD:定義及び測定方法 ノッチ付IZOD衝撃強度(ASTM D−256)

・DTUL:定義及び測定方法 荷重たわみ温度(荷重1.82MPa)(ASTM D‐648)

・ROVでの毛羽発生量測定方法
図1に示す方法にて下記のとおり測定した。
(準備)
a.評価用試料1(ガラス繊維回巻体)を指定位置にセットする。
b.ガラス繊維ストランド端糸2を引き出し、予備開繊バー3及びバー4に通す。
c.開繊BOX5中の開繊串にストランドを通し、引取装置6に端糸をかける。
d.開繊BOXの開繊串上部バーに所定の重りを載せストランドに荷重をかける。
e.引取装置を所定時間起動させる。
(毛羽量測定)
f.所定時間引取後、サクションで吸引された開繊BOX内メッシュ上の毛羽を回収し、毛羽重量を精秤する。
g.測定荷重を替え、引取装置を所定時間起動させた後、d〜fを繰り返す。
h.試料交換時は前試料のストランドを予備開繊バー1手前で裁断し、新たに評価する試料を指定位置にセット後、端糸を結束する。
i.結束端糸部を引取装置まで通過させ、工程の点検後d〜hの手順を繰返す。
・ノズル長繊維ペレット製造時のケバ発生量
含浸ダイのノズルから出てくるモノフィラ毛羽目視により評価し、ノズルより毛羽の発生がほとんどないものを○、毛羽が発生したものを△、毛羽によりノズル詰まりが生じ生産効率が極めて劣るものを×又は製造困難にて評価した。
Figure 2005220177
表1から明らかなように、実施例はロービング(ROV)での毛羽の発生が少なく、また長繊維強化樹脂組成物(ペレット)での毛羽の発生が少なく、作業性や生産性に優れる上に、機械的強度、耐熱性に優れる成形品が得られた。また、ガラス繊維にエポキシを付与した実施例5,6では、成形品の機械的強度に優れるが、ROVでの毛羽の発生が実施例1〜4に比べて多かった。これに対し、比較例は機械的強度及び耐熱性に劣り、更に比較例2,4はROV毛羽が多く、比較例2〜4はペレット製造時に毛羽が発生し生産性に劣るものであった。
本発明の長繊維強化ポリ乳酸系樹脂組成物による成形品は、耐熱性に優れ、かつ機械的強度大きいため、自動車、家電、一般産業資材などの種々の分野に好適に使用できる。かつ、この成形品は、生分解性を有するために、燃焼処理などをせずに廃棄物として投棄された場合にも、自然環境下で比較的短期間で環境に無害な物資に分解する。
実施例で使用したROVでの毛羽発生量測定方法の概略を示す。 符号の説明 1:評価用試料(ガラス繊維回巻体) 2:ガラス繊維ストランド端糸 3、4:予備開繊バー 5:開繊BOX 6:引取装置

Claims (9)

  1. ポリ乳酸系樹脂、実質上2mm以上の繊維長を有する強化繊維、及び平均粒径が0.1〜3μmのタルクが含有され、前記強化繊維は組成物中に5〜70質量%、前記タルクは組成物中に5〜25質量%それぞれ含有され、かつ前記強化繊維が、ウレタン樹脂を含有しエポキシ樹脂の含有量が20質量%以下の集束剤で処理された繊維であることを特徴とする長繊維強化ポリ乳酸系樹脂組成物。
  2. 前記タルクにエポキシ樹脂が付着されている請求項1に記載の長繊維強化ポリ乳酸系樹脂組成物。
  3. 前記エポキシ樹脂が、フェノールノボラック型エポキシ樹脂である請求項1又は2に記載の長繊維強化ポリ乳酸系樹脂組成物。
  4. 樹脂組成物が、長さ2〜50mmのペレット状である請求項1〜3のいずれかに記載の長繊維強化ポリ乳酸系樹脂組成物。
  5. ウレタン樹脂を含有しかつエポキシ樹脂の含有量が20質量%以下の集束剤で処理された強化繊維束の連続物に、ポリ乳酸系樹脂及び平均粒径が0.1〜3μmのタルクをポリ乳酸系樹脂100質量部に対して5.5〜33質量部含んだ溶融物を含浸し、強化繊維が5〜70質量%含有される組成物を得ることを特徴とする長繊維強化ポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法。
  6. 前記強化繊維束の連続物をクロスヘッドを通して引きながら、押出機からクロスヘッドに供給される前記溶融物を含浸させて線状物に引抜き、該線状物を長さ2〜50mmに切断する請求項5に記載の長繊維強化ポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法。
  7. 前記タルクにエポキシ樹脂が付着している請求項5又は6に記載の長繊維強化ポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法。
  8. 前記エポキシ樹脂が、フェノールノボラック型エポキシ樹脂である請求項5〜7のいずれかに記載の長繊維強化ポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法。
  9. 請求項4に記載の長繊維強化ポリ乳酸系樹脂組成物を成形してなり、強化繊維が1mm以上の重量平均長さで含有される成形品。
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