JP2005220046A - 両親媒性ヘキサペリヘキサベンゾコロネン誘導体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、下記一般式[1]
【化1】
[式中、R1はアルキル基を表し、R2はC6H4OCH2CH2(OCH2CH2)nOR3(但し、R3は水素原子又はアルキル基を表し、nは正の整数を表す。)又はオニウム塩の基を表し、Xは水素原子又は有機基を表す。]
で表されるヘキサペリヘキサベンゾコロネン誘導体、及び、該化合物と1以上の溶剤とからなる溶液中で形成されるナノサイズの自己集積体に関する。
【選択図】 なし
Description
一方、これらのナノスケールの構造体のうち、チューブ状物質に対する関心は、カーボンナノチューブの発見以来益々高まっている。カーボンナノチューブは炭素原子で構成されるグラフェンシート構造が筒状に閉じたものであり、グラファイト材料をレーザー蒸発法やアーク放電法等により蒸発させ、金属触媒の存在下に凝縮させて製造されるが、触媒残査やアモルファスカーボンを含有するなどの不純物の存在や、バンドルの形成や密な絡み合いにより個々のチューブを取り出すことが困難であるなど、加工成形性に関して問題が多い。また、無機材料から構成されるナノスケールのチューブ状物質も多数知られているが、合成が容易で形状や機能を自由に設計でき、かつ加工性に富んだ、有機分子に基づく機能性ナノチューブの開発が待たれていた。
近時、ナノマテリアル構築へのアプローチとして、有機分子を用いたボトムアップ型の手法が注目されている。これは、例えば溶液中において、会合性を有する低分子の自発的かつ階層的な集積化を利用してナノ構造体を構築するといった手法である。この手法では、成熟した有機合成化学の知見に基づき、構成要素分子を自由に設計・合成し、更に極めて簡便な溶液プロセスにナノ構造体を構築できる利点がある。実際、球状、ファイバー、リボン、また、チューブなどの構造体が得られることが知られている。しかし、これまで報告されているナノ構造体の殆どは、脂質のような両親媒性化合物により構成されているため、電子的、光化学的特性等に乏しく、構造体が得られても特筆すべき性質を示さない。
で表されるヘキサペリヘキサベンゾコロネン誘導体に関する。
nは任意の正の整数であるが、2以上の整数がより好ましい。
R2で表されるC6H4OCH2CH2(OCH2CH2)nOR3の好ましい具体例としては、例えば、C6H4OCH2CH2(OCH2CH2)nOH、C6H4OCH2CH2(OCH2CH2)nOCH3等が挙げられ、中でも、C6H4OCH2CH2(OCH2CH2)2OH、C6H4OCH2CH2(OCH2CH2)3OH、C6H4OCH2CH2(OCH2CH2)4OH、C6H4OCH2CH2(OCH2CH2)2OCH3、C6H4OCH2CH2(OCH2CH2)3OCH3、C6H4OCH2CH2(OCH2CH2)4OCH3等がより好ましい例として挙げられるが、勿論これらに限定されるものではない。
また、R2で表されるオニウム塩の基としては、例えば、アンモニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩等の基が挙げられる。なお、オニウムと塩を形成するカウンターアニオンに特に制約はなく、どのようなカウンターアニオンでも良い。
アルキル基としては、例えば、炭素数が1〜30、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基が挙げられ、より具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、第二級ブチル基、第三級ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などが挙げられる。
アルケニル基としては、例えば、前記した炭素数2以上のアルキル基に1個以上の二重結合を有するものが挙げられ、より具体的には、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、シクロプロペニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基などが挙げられる。
アルキニル基としては、例えば、前記した炭素数2以上のアルキル基に1個以上の三重結合を有するものが挙げられ、より具体的には、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基などが挙げられる。
アラルキル基としては、例えば、炭素数7〜30、好ましくは7〜20、より好ましくは7〜15の単環、多環又は縮合環式のアラルキル基が挙げられ、より具体的には、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基などが挙げられる。
複素環基としては、環中に少なくとも1個以上の窒素原子、酸素原子又は/及び硫黄原子を有し、1個の環の大きさが5〜20員、好ましくは5〜10員、より好ましくは5〜7員であって、シクロアルキル基、シクロアルケニル基又はアリール基などの炭素環式基と縮合していてもよい飽和又は不飽和の単環、多環又は縮合環式のものが挙げられ、より具体的には、例えば、ピリジル基、チエニル基、フェニルチエニル基、チアゾリル基、フリル基、ピペリジル基、ピペラジル基、ピロリル基、モルホリノ基、イミダゾリル基、インドリル基、キノリル基、ピリミジニル基などが挙げられる。
また、複素環基としては、ポルフィリニル基のような大環状複素環基でも良い。
アルコキシ基としては、例えば、炭素数が1〜30、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10の直鎖状又は分枝状のアルコキシ基が挙げられ、より具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、第二級ブトキシ基、第三級ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロプロピロキシ基、シクロペンチロキシ基、シクロヘキシロキシ基、シクロオクチロキシ基などが挙げられる。
アリールオキシ基としては、例えば、炭素数6〜30、好ましくは6〜20、より好ましくは6〜14の単環、多環又は縮合環式の芳香族炭化水素基を有するアリールオキシ基が挙げられ、より具体的には、例えば、フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、ナフチルオキシ基、メチルナフチルオキシ基、アントリルオキシ基、フェナントリルオキシ基、ビフェニルオキシ基などが挙げられる。
アルキルチオ基としては、例えば、炭素数が1〜30、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10の直鎖状、分枝状又は環状のアルキルチオ基が挙げられ、より具体的には、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、第三級ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロプロピルチオ基、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基、シクロオクチルチオ基などが挙げられる。
アリールチオ基としては、例えば、炭素数6〜30、好ましくは6〜20、より好ましくは6〜14の単環、多環又は縮合環式の芳香族炭化水素基を有するアリールチオ基が挙げられ、より具体的には、例えば、フェニルチオ基、トリルチオ基、キシリルチオ基、ナフチルチオ基、メチルナフチルチオ基、アントリルチオ基、フェナントリルチオ基、ビフェニルチオ基などが挙げられる。
置換シリル基としては、シリル基の水素原子の1〜3個がアルキル基、アリール基等に置き換わったものが挙げられ、中でもトリ置換体が好ましく、より具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる。
本発明の両親媒性ヘキサペリヘキサベンゾコロネン誘導体(HBC誘導体)を用いて、そのテトラヒドロフラン/水混合液中における集積体の形成について観察したところ、水溶液中の水の量やHBC誘導体の置換基の型に応じて、ゲル化、ミセル/小胞形成、繊維形成といったものが観察された。ロッド状や環状のミセルも観察された。これらの集積体を走査型電子顕微鏡(SEM)及び透過型電子顕微鏡(TEM)によって解析した。
即ち、本発明のHBC誘導体のテトラヒドロフラン溶液に、水又はメタノールをその割合を変えて混合したときに、集積体の形成が見られた。ゲル化したHBC誘導体の電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)による画像(溶媒:ジクロロメタン/メタノール=2:1)を図1に示す。図1に示されるように、アスペクト比(縦横比)の大きい繊維状の会合がみられ、平均繊維径が100nmのオーダーであり、繊維長はミクロンスケールに及ぶものであった。ゲルの状態は構造的には決定できなかったが、繊維の中でHBC分子が向かい合わせに並んでいることが判った。実際、これらの集積体の中でHBC分子の重なりがナノワイヤー状に並んでいることが、透過型電子顕微鏡(TEM)の画像によって強く示唆されている。
なお、以下の実施例において、物質の確認及び物性測定等の目的で使用した測定装置と測定条件等は次の通りである。
1)1H−NMRスペクトル:JEOL社製 EX500型NMR(500MHz)を使用。
溶媒はCDCl3を用い、基準は残存するCHCl3の7.28ppmのシグナルとし た。
2)マススペクトル:PerSeptive Biosystems社製Voyager DE STR型MALDI−TOF/MSを使用。
3)分取液体クロマトグラフ:山善株式会社製YFLC−10V(UV−10V det ector)型中庄分取液体クロマトグラフシステムを使用。
Si−40D(40μm)シリカゲルカラム(φ50mm×300mm)を用いた。
<試薬等>
1)反応はすべて乾燥アルゴン下で行った。
2)溶剤類は無水のものはそのまま使用し、ジクロロメタンは使用前に水素化カルシウム で乾燥した後、蒸留して使用した。
3)ジフェニルエーテル、4−(4−ブロモフェニル)フェノール、テトラブチルアンモニウムヒドロキサイド溶液(1.0Mメタノール溶液)、無水塩化第二鉄(FeCl3)及びニトロメタンは、Aldrich Chemical Co.Ltd.から入手したものを使用し、その他の試薬は東京化成工業(株)品をそのまま使用した。
4−(4’−ブロモフェニル)フェノール(3.00g,0.012mol)と1−(4−トルエンスルホニル)トリエチレングリコールモノメチルエーテル(4.2g,0.0132mol,1.1当量)を最少量の無水N,N−ジメチルホルムアミド(〜30ml)に溶解し、無水炭酸カリウム(4g,3.3当量)を添加した。生成した懸濁液を撹拌しながら24時間加熱、反応させ、反応液を室温まで冷却した後、水(100ml)に注ぎ、生成した白色沈殿を濾取した。濾取した白色沈殿をジクロロメタン(100ml)に溶解し、Na2SO4で一晩乾燥した。Na2SO4を濾別後、濾液のジクロロメタンを留去して4−ブロモ−4’−{2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}ビフェニルを白色粉末として得た(4.3g,0.0109mol,収率:91%)。得られた白色粉末はそのまま次の反応に供した。
1H−NMR(500MHz,CDCl3):δ 7.50(d,J=8.55Hz,2H),7.45(d,J=8.55Hz,2H),7.39(d,J=8.55Hz,2H),6.96(d,J=8.55Hz,2H),4.15(t,J=4.88Hz,2H),3.86(t,J=4.88Hz,2H),3.74(m,2H),3.67(m,2H),3.65(m,2H),3.53(m,2H),3.36(s,3H)。
4−ブロモ−4’−{2−[2−(2−メトキシエトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−ビフェニル(4g,0.01mol)、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン(DBU)(9.2g,6eq)、PdCl2(PPh3)2(425mg,6%)及びCuI(192mg,10%)をベンゼン(20ml)中、室温で撹拌して溶解させ、60℃に加温してトリメチルシリルエチン(0.71ml,0,496g,0.5eq)を加え、直ちに水(70μL,0.4eq)を加えた。60℃で24時間反応させた後、生成物を濾取し、少量の氷冷したジクロロメタンで洗浄した。生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶離液:ジクロロメタン/メタノール(濃度勾配1−5%メタノール)]により精製して、1,2−ビス−(4’−{2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}−4−ビフェニリルエチンをうす茶色のフレークとして得た(トルエン溶液から再結晶しても同様の結果が得られた。)。収量:2.3g、収率:71%。
1H−NMR(500MHz,CDCl3):δ 7.57−7.51(m,6H),6.97(d,J=9.15Hz,4H),4.15(t,J=4.88Hz,4H),3.86(t,J=4.89Hz,4H),3.74(m,4H),3.68,(m,4H),3.64(m,4H),3.54(m,4H),3.36(s,6H)。
MALDI−TOF(dithranol):m/z=655.31(M+H)+。
1,2−ビス−(4−n−ドデシルフェニル)−1,2−ジケトン(1.5g,2.75×10−3mol)と1,3−ジフェニルアセトン(0.58g,2.76×10−3mol)をジオキサンに溶解し100℃に加熱して、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(1.0Mメタノール溶液)(1eq,2.76ml)を一度に加え、更に15分間加熱した。反応混合物を水に注ぎジクロロメタンで抽出し、抽出液を蒸発乾固した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶離液:ジクロロメタン/ヘキサン(濃度勾配10−50%ジクロロメタン)]により精製した。ジクロロメタン/ヘキサン(1:3)を溶離液として分取HPLCで更に精製し、蒸発乾固して溶媒を除き、2,5−ジフェニル−3,4−ビス(4−n−ドデシルフェニル)シクロペンタジエノンを紫色の粉末として得た。収量:0.88g、収率:44%。
1H−NMR(500MHz,CDCl3):δ 〜7.24(m),6.96(d,J=7.94Hz,4H),6.80(d,J=7.94Hz,4H),2.55(t,J=7.63Hz,4H),1.56(br.,4H),1.26(br.,36H),0.88(t,J=6.71Hz,6H)。
MALDI−TOF(dithranol):m/z=720(M+)。
2,5−ジフェニル−3,4−ビス(4−n−ドデシルフェニル)シクロペンタジエノン(0.6g,8.3×10−4mol)と1,2−ビス−(4’−{2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}−4−ビフェニリルエチン(0.52g, 7.9×10−4mol)をシュレンク中でジフェニルエーテル(1.5ml)に懸濁させ、24時間還流(〜300℃)させた後、室温まで冷却した。反応混合液をアセトンに溶解させ、シリカゲルカラムを通して未反応の1,2−ビス−(4’−{2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}−4−ビフェニリルエチンを除去した。次いで溶液から溶媒を留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン/ヘキサン、濃度勾配ジクロロメタン/ヘキサン(3/2)〜ジクロロメタン(100%))にかけて精製して、うす茶色の粉末を得た。収量:0.75g、収率:70%。 1H−NMR(500MHz,CDCl3):δ7.32(d,J=9.16Hz,4H),7.05(d,J=8.55Hz,4H),6.82(m,18H)6.67(d,J=7.94Hz,4H),6.61(d,J=8.55Hz,4H),4.09(t,J=4.88Hz,4H),3.82,(t,J=4.88Hz,4H),3.71(m,4H),3.64(m,8H)3.52(m,4H),3.34(s,6H),2.33(t,J=7.63Hz,4H),1.37(m,4H)1.24(m,34H),1.08(br.,4H),0.86(t,J=6.71Hz,6H)。
MALDI−TOF(dithranol):m/z=1348.27(M+)。
1,4−ジフェニル−2,3−ビス(4−n−ドデシルフェニル)−5,6−ビス(4’−{2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}−4−ビフェニリル)ベンゼン(0.70g,5×10−4mol)を乾燥したジクロロメタン(200ml)に溶解させ、ガラス管の中でアルゴンガスを吹き込みながら室温で撹拌した。無水FeCl3(2.7g,0.017mol,34eq)をニトロメタン(5ml)に溶解し上記の溶液に少しずつ加えると溶液の色が暗赤色〜黒色からオレンジ色に変化した。更に90分間撹拌を続けた後、メタノール(100ml)を加えクエンチした。生成した黄色の沈殿を濾取し、最初にカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CH2Cl2/メタノール=300:10)で精製し、次いでGPC(Bio−Rad BioBeads X−1,ジクロロメタン溶離液)で精製した。更にジクロロメタン/メタノールで精製すると、黄色のゲル状物が得られ、これを真空乾燥して2,5−ジ(n−ドデシル)−11,14−ビス(4−{2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}フェニル)−ヘキサ−ペリ−ヘキサベンゾコロネンを黄褐色の固体として収量0.49g(収率:73%)で得た。
1H−NMR(500MHz,CDCl3):δ8.05(s,2H),7.95(s,2H),7.79(d,J=8.54Hz,2H),7.71(d,J=7.94Hz,2H),7.59(s,2H),7.56(s,2H),7.52(d,J=7.93Hz,4H),7.10(d,J=7.93Hz,4H),7.07(m,2H),4.32(br.,2H),4.06(t,J=4.56Hz,4H),3.92(m,4H),3.85(m,4H),3.79(m,4H),3.67(m,4H),3.47(s,6H),2.59(br.t,4H),1.69(br.,4H),1.46−1.30(m,36H),0.89(t,J=7.02Hz,6H)。
MALDI−TOF(dithranol):m/z=1335.75(M+)。
実施例1で得られた2,5−ジ(n−ドデシル)−11,14−ビス(4−{2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}フェニル)−ヘキサ−ペリ−ヘキサベンゾコロネン(一般式[1]において、R1がC12H25で、R2がC6H4OCH2CH2(OCH2CH2)2OCH3で、Xが水素原子の化合物)を0.2wt%の濃度になるようにテトラヒドロフラン中に投入し、超音波ミキサーで軽く混合した。次いでこの溶液を40℃に加温し、透明な溶液を得た。この溶液を室温まで徐々に冷却したところ、溶液はゲル化した。この溶液を電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)及び透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、アスペクト比が1000以上で線径分布の狭いナノサイズのチューブが生成していた。このチューブは湾曲しているものも観察されたが、通常ゲルを生起するチューブに特有の分岐や網目構造は見られず、やや剛直なチューブであった。極微電子線回折から分子面の重なりに対応する、3.6Åの規則性が観測された。この回折像はグラファイトの(002)面に類似しており、HBC分子の積層構造の存在を示唆するものであった。従って、この構造体は、π−π相互作用とアルキル基間の相互作用による二分子膜様の構造の形成、それが2次元的に広がったリボン構造の形成、更に、それがコイル状に密にパッキングしてチューブ構造を形成するといった、階層的な自己組織化による作り出されていることが推測された。そこで、テトラヒドロフラン溶液に水を添加してTEMで観察したところ、チューブの前段階と考えられるコイル状に巻いたリボンが観察された。図2にテトラヒドロフラン中で形成されたチューブのTEM写真を示し、図3にテトラヒドロフラン/水(4:1)中で形成されたチューブのTEM写真を示す。また、図4にテトラヒドロフラン中で形成されたチューブのFE−SEM画像を示す。
Claims (10)
- 下記一般式[1]
で表されるヘキサペリヘキサベンゾコロネン誘導体。 - 一般式[1]において、R2がC6H4OCH2CH2(OCH2CH2)nOR3である、請求項1に記載のヘキサペリヘキサベンゾコロネン誘導体。
- 一般式[1]において、R2がC6H4OCH2CH2(OCH2CH2)nOCH3である、請求項1に記載のヘキサペリヘキサベンゾコロネン誘導体。
- 一般式[1]において、R1が炭素数10〜30のアルキル基である、請求項1〜3の何れかに記載のヘキサペリヘキサベンゾコロネン誘導体。
- 一般式[1]において、R1が炭素数10〜20のアルキル基である、請求項1〜3の何れかに記載のヘキサペリヘキサベンゾコロネン誘導体。
- 一般式[1]において、R1が嵩高いアルキル基である、請求項1〜3の何れかに記載のヘキサペリヘキサベンゾコロネン誘導体。
- 一般式[1]において、Xが水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、複素環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シアノ基、アミド基、アシル基又は置換シリル基である、請求項1〜6の何れかに記載のヘキサペリヘキサベンゾコロネン誘導体。
- 一般式[1]において、Xが水素原子又はアルキル基である、請求項1〜6の何れかに記載のヘキサペリヘキサベンゾコロネン誘導体。
- 請求項1に記載のヘキサペリヘキサベンゾコロネン誘導体と1以上の溶剤とからなる溶液中で形成されるナノサイズの自己集積体。
- リボン状又はチューブ状である、請求項9に記載の自己集積体。
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