JP2005214712A - 膜厚測定方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】密度が近い隣接層が存在するなどの理由でX線反射率法による膜厚測定ができない場合でも,配向性を考慮した回折X線強度の理論ロッキングカーブを測定ロッキングカーブにパラメータフィッティングすることで,X線回折法によって薄膜の膜厚を測定可能にする。
【解決手段】薄膜の表面に対して入射角αでX線を入射して回折X線の強度を測定し,入射角αを変化させて測定ロッキングカーブを得る。一方,薄膜の配向密度分布関数ρを考慮して理論ロッキングカーブを計算する。既知の膜厚の標準試料についてあらかじめ求めておいたスケール因子を用いて,配向密度分布関数ρの特性パラメータと,薄膜の膜厚tとを変化させて,理論ロッキングカーブが測定ロッキングカーブに最も合致するように,パラメータフィッティングを実施し,これによって膜厚tを決定する。
【選択図】図6

Description

本発明は、X線回折法を用いて薄膜の膜厚を測定する膜厚測定方法及び装置に関するものである。
薄膜の膜厚を非破壊的に測定する方法として,X線を利用する方法が知られている。代表的なものは,X線反射率を測定して膜厚を求めるものである。この方法によれば,例えば次の特許文献1に記載されているように,単層の薄膜だけではなくて,材質の異なる二つの薄膜を積層したものであっても,各層の膜厚を求めることができる。
特開平10−38821号公報
しかし,X線反射率による膜厚測定方法は、(1)被測定薄膜の密度と,被測定薄膜に隣接する隣接層の密度とが近い場合,または,(2)被測定薄膜と隣接層との境界面の凹凸が粗い場合には,被測定薄膜の膜厚を求めることが難しくなる。例えば,TaN層の上にTa層が堆積している場合を考えると,両者の密度が非常に接近しているために,Ta/TaNの界面からのX線反射が弱くて,X線反射率法によってTa層の膜厚を測定することが不可能になる。
そこで,X線反射率法では膜厚をうまく求めることができない試料については,X線回折強度に基づいて膜厚を測定することが考えられる。X線回折強度に基づいて膜厚を求める方法もいくつか知られており,例えば,次の特許文献2〜4が知られている。
特開平4−194611号公報 特開平10−103942号公報 特開2000−88776号公報
特許文献2は,まず,従来技術の説明において,下地層からの回折X線の強度と被測定薄膜からの回折X線の強度との比率(回折強度比)を使って膜厚を求めることを紹介している。それによれば,膜厚が既知でその値が異なる複数の被測定薄膜を準備して,それらについて下地層と被測定薄膜との回折強度比を測定して,被測定薄膜の膜厚と回折強度比との検量線をあらかじめ作成しておき,この検量線を使って回折強度比から膜厚を求めることができる。しかし,この方法は,被測定薄膜の配向性が既知であることが条件である。すなわち,配向性が既知の薄膜について検量線を作り,それと同じ配向性の薄膜について,膜厚を求めることができるものである。配向性が未知の薄膜については,この方法は使えないとしている。そこで,特許文献2では,下地層からの回折X線の強度だけを用いて,その上に堆積した薄膜の膜厚を求めるようにしている。この方法によれば,被測定薄膜の配向性とは無関係に被測定薄膜の膜厚を求めることができる。ただし,下地層から適当な回折X線が得られることが条件であり,下地層が非晶質である場合のように,適当な回折X線が得られないときには,特許文献2の方法は使えない。
特許文献3は,配向性のある薄膜であっても,2種類のX線波長を用いて回折強度比を測定することで,配向性の影響を打ち消して膜厚を測定できることを示唆している。まず,試料の配向性が変化すると,回折X線強度と膜の付着量との関係に相関が見られないことを指摘している。そこで,2種類のX線波長(例えば,Crの特性X線とCuの特性X線)を用いて,同一方位,同一面間隔の回折X線強度を検出して,その回折強度比をとると,配向性の影響が打ち消されて,付着量に依存するようになるとしている。回折強度比と付着量の関係(これは,湾曲した曲線関係になる)についてあらかじめ検量線を作成しておけば,回折強度比を測定することにより付着量を求めることができる。この場合も,検量線を作るために,膜厚が既知でその値が異なる複数の被測定薄膜を準備して,それらについて2種類のX線波長による回折強度比を測定する必要がある。
特許文献4は,薄膜を形成した試料と,薄膜を除去した試料について,回折X線強度を測定して,その回折強度比の入射角依存曲線(測定ロッキングカーブ)を求めて,これと,薄膜の膜厚と密度をパラメータとする理論ロッキングカーブとを比較して,理論ロッキングカーブが測定ロッキングカーブに一致するように,薄膜の膜厚と密度を決定するものである。この特許文献4は,回折X線強度についてパラメータフィッティングを用いる点で,本発明に関連が深いものである。ただし,薄膜を堆積した試料について回折X線の強度を測定した後に,その薄膜を除去してから,もう一度,回折X線強度を測定する必要があるので,非破壊検査とは言えない。X線を用いる膜厚測定方法の最大の利点は「非破壊検査」であるから,薄膜を除去する工程を必須の要件とするこの方法は,X線を用いる最大の利点を失っていることになる。
本発明は配向密度分布関数を考慮した回折X線強度の理論式を用いることを特徴のひとつとしているが,これに関連する従来技術として,次の非特許文献1に記載されたものが知られている。
H. Toraya, H. Hibino, T. Ida and N. Kuwano, Quantitative basis for the rocking-curve measurement of preferred orientation in polycrystalline thin films, (2003), Journal of Applied Crystallography, 36, p.890-897
上述の特許文献2〜4に記載された膜厚測定方法には次の問題がある。特許文献2の方法は,被測定薄膜の配向性の影響をなくすために,下地層からの回折X線強度を用いて,被測定薄膜の膜厚を求めている。この場合,下地層から適当な回折X線が得られることが条件であり,下地層が非晶質の場合には利用できない。例えば,TaN層の上にTa層を堆積した場合のTa層の膜厚測定の場合には,TaN層が非晶質であるので,特許文献2の方法は使えない。
特許文献3の方法は,被測定薄膜の配向性の影響をなくすために,2種類のX線波長による回折強度比を用いて,被測定薄膜の膜厚を求めることを示唆している。この場合,(1)2種類のX線波長を発生するX線源(例えば,Crの特性X線を発生するX線管と,Cuの特性X線を発生するX線管)を用意する必要があり,また,(2)回折強度比と膜厚の関係を示す検量線を作成するために,膜厚が既知でその値が異なる複数の被測定薄膜について,あらかじめ測定作業をする必要がある,という問題がある。
特許文献4の方法は,(1)薄膜を堆積した試料について回折X線の強度を測定した後に,その薄膜を除去してから,もう一度,回折X線強度を測定する必要があるので,非破壊検査に該当しないものであり,また,(2)薄膜が選択配向をしている場合の理論を考慮していないので,配向性のある試料については信頼性のある膜厚が得られない,という問題がある。
本発明は上述の問題点を解決するために開発されたものであり,その目的は,(1)密度が近い隣接層が存在していたり隣接層との境界面に粗い凹凸があったりしてX線反射率法による膜厚測定ができない薄膜であっても膜厚測定ができ,(2)下地層の材質に制約がなく,(3)単一のX線波長を用いるだけで足り,(4)膜厚が既知でその値が異なる複数の被測定薄膜を用いて検量線を作るといった作業が不要で,(5)薄膜が配向している場合でも膜厚を信頼性良く決定でき,(6)非破壊的に薄膜の膜厚を測定できるような,膜厚測定方法を提供することにある。
本発明の膜厚測定方法は,配向密度分布関数を考慮した理論ロッキングカーブを測定ロッキングカーブにパラメータフィッティングすることによって,膜厚を求めるものであり,次の段階を備えている。(ア)多結晶材料からなる薄膜を準備する段階。(イ)前記薄膜の表面の法線方向の周りに軸対称となる配向密度分布関数ρを仮定する段階。この配向密度分布関数ρは,前記薄膜の結晶子の被測定格子面の法線が薄膜の表面の法線に対して傾斜する角度φについての関数であり,かつ,関数の形を特徴づける特性パラメータを含んでいる。(ウ)前記薄膜の表面に対して入射角αでX線を入射して,薄膜の前記被測定格子面で反射した回折X線の強度を測定し,入射角αを変化させて前記被測定格子面からの回折X線の強度の変化を求めて,測定ロッキングカーブを得る段階。(エ)既知の膜厚の標準試料についてあらかじめ求めておいたスケール因子と,前記配向密度分布関数ρと,前記薄膜の膜厚tとに基づいて,理論的な回折X線強度を計算して,入射角αを変化させたときの前記被測定格子面からの回折X線の強度の変化についての理論ロッキングカーブを求める段階。(オ)前記理論ロッキングカーブが前記測定ロッキングカーブに最も合致するように前記特性パラメータと前記膜厚tとを変化させてパラメータフィッティングを実施し,これによって前記膜厚tを決定する段階。
本発明によれば,配向性が異なる薄膜についてX線回折法を用いて膜厚測定が可能になった。そして,X線反射率法では膜厚を測定できない試料については,X線回折法で膜厚を測定することが可能になった。
配向密度分布関数としては,ガウス関数,ローレンツ関数,擬ヴォイト関数,または,March-Dollase関数を使うことができる。また,ガウス関数を採用する場合に,単一の半価幅ではフィッティングが不十分であるときは,ガウス関数の半価幅Hを,薄膜の表面からの深さzに依存するものとして,zが0からηt(ここで,ηは0から1までの範囲内の値)の範囲では前記HをH1で一定であるとし,zがηtからtの範囲では前記HをH2で一定であるとすることができる。この場合,三つの特性パラメータH1,H2,ηと膜厚tとを変化させてパラメータフィッティングを実施できる。
また,本発明の膜厚測定装置は,多結晶材料からなる薄膜の膜厚を測定するものであり,次の構成を備えている。(ア)前記薄膜の表面の法線方向の周りに軸対称であり,前記薄膜の結晶子の被測定格子面の法線が薄膜の表面の法線に対して傾斜する角度φについての関数であり,かつ,関数の形を特徴づける特性パラメータを含む配向密度関数ρを記憶する記憶手段。(イ)前記薄膜の表面に対して入射角αでX線を入射して,薄膜の前記被測定格子面で反射した回折X線の強度を測定し,入射角αを変化させて前記被測定格子面からの回折X線の強度の変化を求めて,測定ロッキングカーブを作成するロッキングカーブ測定装置。(ウ)既知の膜厚の標準試料についてあらかじめ求めておいたスケール因子と,前記配向密度分布関数ρと,前記薄膜の膜厚tとに基づいて,理論的な回折X線強度を計算して,入射角αを変化させたときの前記被測定格子面からの回折X線の強度の変化についての理論ロッキングカーブを作成する理論計算手段。(エ)前記理論ロッキングカーブが前記測定ロッキングカーブに最も合致するように前記特性パラメータと前記膜厚tとを変化させてパラメータフィッティングを実施し,これによって前記膜厚tを決定する膜厚決定手段。
本発明の膜厚測定方法及び装置は,次の効果を奏する。
(1)密度が近い隣接層があっても,被測定薄膜の膜厚を測定できる。
(2)被測定膜厚と隣接層の境界面が粗い凹凸面であっても,被測定薄膜の膜厚を測定できる。
(3)X線反射率法では測定できないような比較的厚い薄膜でも,膜厚の測定ができる。
(4)X線回折法を用いて薄膜の膜厚を測定する場合に,薄膜の配向性を考慮することで,測定膜厚の信頼性が向上する。
(5)X線回折法を用いて薄膜の膜厚を測定する場合に,下地層の材質に制約がない。
以下,本発明の実施例を図面を参照して説明する。図1は試料の断面図である。Si基板10の上に,TaN層12を堆積し,その上にTa層14を堆積したものである。TaとTaNの積層膜は,半導体デバイスの製造プロセスにおいて,絶縁層の上に銅配線層を形成する際に,絶縁層と銅配線層の間の拡散バリアー層として利用されるものである。このTa/TaN積層膜において,Ta層の膜厚を評価する場合に,本発明を利用することができる。本発明の実施例では,このTa層の膜厚をX線回折法を用いて測定する。
まず,Ta膜の配向性を考慮しないで,単純に回折X線のピーク強度や積分強度をもとにして,膜厚測定が可能かどうかを検証する。試料として,Ta/TaN積層膜の合計厚さが30nm程度のものを準備する。この試料について通常のθ/2θスキャンによる回折プロファイルを測定すると,2θが20〜80度の範囲では,主要な回折ピークとして,2θ=69度付近にSi(004)の回折ピークが観測され,2θ=38度付近にTa(110)の回折ピークが観測された。TaNは非晶質であると考えられ,明瞭な回折ピークは観測されなかった。このような回折測定の結果から,Ta(110)面の法線方向が,試料表面の法線方向に強く配向していることが分かる。このTa(110)の回折ピークを利用してTa層の膜厚を測定することを試みた。
X線がTa層の底部まで達する程度の厚さの範囲内(例えば1μm以下)であれば,Ta層の膜厚が増えれば,回折ピークの強度も増加すると予想される。そこで,Ta層の膜厚を30nm,20nm,15nmに設定した3種類の試料を準備して,次の実験を行った。3種類の膜厚は,成膜プロセスを制御することによって所定値に設定されており,膜厚測定法の評価をするためには十分な膜厚精度を有するものである。以下,これを設計膜厚という。
まず,Ta(110)の回折ピークについて,θ/2θスキャンによって回折プロファイルを測定して,そのピーク強度と積分強度とを,3種類の膜厚について求めた。Ta層の膜厚が30nmの試料については,そのピーク強度を,Ip30とし,積分強度をIi30とする。同様に,20nmの試料では,ピーク強度をIp20とし,積分強度をIi20とする。15nmの試料では,ピーク強度をIp15とし,積分強度をIi15とする。図2のグラフは,横軸にTa層の設計膜厚をとり,縦軸に相対ピーク強度と相対積分強度をとっている。相対ピーク強度は,30nmの試料のピーク強度Ip30を基準にして,Ip30/Ip30,Ip20/Ip30,Ip15/Ip30の値となる。相対積分強度は,30nmの試料の積分強度Ii30を基準にして,Ii30/Ii30,Ii20/Ii30,Ii15/Ii30の値となる。もし,ピーク強度が膜厚に比例するのであれば,3種類の膜厚についての相対ピーク強度は,原点とIp30/Ip30とを結んだ直線40上に乗るはずである。しかし,直線40からはかなり外れている。したがって,ピーク強度と膜厚とが比例関係にあることを前提にしてピーク強度から膜厚を求めることはできない。同様に,もし,積分強度が膜厚に比例するのであれば,3種類の膜厚についての相対積分強度が,直線40上に乗るはずである。しかし,やはり直線40からはかなり外れている。したがって,積分強度と膜厚とが比例関係にあることを前提にして積分強度から膜厚を求めることもできない。
また,ピーク強度または積分強度と,膜厚とが,比例関係になくても,それらの関係を示す検量線を作ることができれば,この検量線に基づいて膜厚を求めることができる可能性がある。しかしながら,薄膜の配向性が変化すると,同じ膜厚でも,ピーク強度や積分強度が変化するので,薄膜の配向性が未知の状態では,検量線を作っても,うまくいかない。
一般に,薄膜においては,その厚さが変化すると,結晶子の配向性も変化すると考えられる。膜厚に依存して配向性が変化すると,ピーク強度や積分強度に基づいて膜厚を正しく求めることができなくなる。そこで,本発明では,結晶子の配向性を定量的に評価して回折X線強度を理論的に算出し,その理論ロッキングカーブが測定ロッキングカーブに一致するように,配向密度関数のパラメータと膜厚とを決定している。これによって,X線回折法によって薄膜の膜厚を正しく評価することができる。
最初に,測定ロッキングカーブを求める方法を説明する。図3は本発明を実施するためのX線回折装置のひとつの実施形態を示す平面図である。このX線回折装置は,測定ロッキングカーブを作成するためのロッキングカーブ測定装置に該当する。平行X線ビームからなる入射X線16は,試料18の表面に対して入射角αで入射する。試料18で反射した回折X線20は受光スリット22とソーラースリット24を通過して,X線検出器26で検出される。すなわち,このX線回折装置は平行ビーム法である。
受光系(受光スリット22,ソーラースリット24,X線検出器26)は入射X線16に対して2θ0の角度位置に配置される。試料18の被測定格子面のブラッグ角(入射X線16の波長に依存する)はθ0である。試料18は試料回転台28に載っており,この試料回転台28はゴニオメータ中心30(図3の紙面に垂直である)の回りに回転できる。また,試料18は水平な回転軸32(ゴニオメータ中心30に対して垂直である)の回りに回転できる。すなわち,試料18は面内回転が可能である。受光系は検出器回転台34に載っており,この検出器回転台34もゴニオメータ中心30の回りに回転できる。
試料18の被測定格子面を決定し,使用するX線の波長を決定すれば,上述のブラッグ角θ0が定まる。この実施例では,被測定格子面はTa(110)であり,使用するX線はCuKα線である。ブラッグ角θ0は約18.9度である。図4(A)において,入射角αをθ0に等しくすれば,回折に寄与する被測定格子面36は試料18の表面に平行となる。このとき,被測定格子面36の法線は試料表面の法線と平行になる。換言すれば,試料表面に平行な被測定格子面を有する結晶子だけが回折に寄与する。そして,そのような結晶子からの回折X線20が検出される。一方,図4(B)において,試料18を角度φだけ回転させて入射角αをθ0+φにすると,被測定格子面36が試料表面に対して角度φだけ傾斜しているような結晶子だけが回折に寄与することになる。このように,検出器を2θ0の位置に固定しておいて試料18を回転させると,入射角αが変わり,それぞれの傾斜角φに相当する結晶子(すなわち,試料表面に対して角度φだけ配向している結晶子)からの回折X線強度情報が得られる。
ところで,本発明は,試料表面の法線方向のまわりに軸対称となる配向密度分布関数ρを仮定しているので,回折X線強度の測定にあたっては,試料を面内回転させている。こうすることにより,理論ロッキングカーブと測定ロッキングカーブとの比較が可能になる。なお,試料の配向性がもともと軸対称であることが予想される場合は,試料を面内回転させなくてもよい。
上述のように,検出器の位置を2θ0に固定して,試料を回転することで入射角αを変えて回折X線強度Iを測定すれば,α−Iのロッキングカーブが得られる。ところで,回折X線強度を正確に求めるには,以下に説明するように,回折ピークの積分強度を求めるのが好ましい。すなわち,任意の入射角αにおいて,αを固定しておいて,受光系を2θ0の近傍で走査することにより,図5に示すようなピークプロファイルが得られる。図5は,Ta層の膜厚tを30nmにしたときの図1の試料について,Ta(110)反射を測定した例である。入射角αを例えば12度,18度,26度に固定して,2θ0の近傍で受光系を走査すると,図5のグラフに示すようなピークプロファイルが得られる。このピークプロファイルの面積を求める(積分強度を求める)ことで,正確な回折X線強度を求めることができる。図6の測定ロッキングカーブを構成する各測定点は,Ta層の膜厚tが15nm,20nm,30nmの3種類の試料について,α=2〜36度の範囲で,αを2度刻みで,図5に示すようなピークプロファイルを測定して,その積分強度を求めて,これをプロットしたものである。すなわち,図5のひとつのピークプロファイルが,図6の測定ロッキングカーブのひとつの測定点に対応する。測定点の集合が測定ロッキングカーブとなる。なお,図6に示されている曲線は,測定ロッキングカーブではなくて,測定ロッキングカーブに最も合致した状態の理論ロッキングカーブである。
次に,理論ロッキングカーブを求める方法を説明する。図7は結晶子の被測定格子面の法線ベクトルvを極座標で表示した斜視図である。試料18の表面上にXY平面を仮定し,試料表面の法線方向をZ軸とする。結晶子の被測定格子面の法線ベクトルvは極座標(φ,ξ)で表すことができる。角度φは,法線ベクトルvがZ軸(試料表面の法線)から傾斜している角度である。角度ξは,法線ベクトルvをXY平面に投影したときのX軸からの方位角である。
法線ベクトルvを有する結晶子の配向密度分布関数ρは,一般的に,φとξの関数になる。また,配向密度分布関数ρは被測定薄膜の深さzにも依存すると仮定する。すなわち,ρ=ρ(φ,ξ,z)である。この配向密度分布関数ρの規格化条件は図8の(1)式で表される。ρの関数形を,Z軸まわりの軸対称であると仮定すると,ρはξに依存しなくなり,φとzだけの関数となる。
この実施例では,配向密度分布関数ρとしてガウス関数を仮定している。ガウス関数は図8の(2)式で表される。(2)式中のGは規格化係数であり,これは(3)式で計算できる。H(z)はガウス関数の半価幅であり,角度の次元をもつ。このHは深さzの関数であると仮定している。このHが,ガウス関数の形を特徴づける特性パラメータである。したがって,Hが決まればρの関数形が定まり,関数形が定まると,後述するように,理論的な回折X線強度を計算できる。図9はガウス関数の形状を示すグラフである。配向密度分布関数ρの関数形は,膜厚測定装置の記憶装置にあらかじめ記憶させておくものであり,これが,理論ロッキングカーブを計算するコンピュータプログラムの中で利用される。
単位体積当たりの2θ0回折面の散乱能Qは図10の(4)式のようになる。(4)式において,N0は単位体積当りの単位胞の数,λはX線の波長,F(hkl)は構造因子,eとmは電子の電荷と質量,cは自由空間の光速である。結晶子の平均体積を,dvの上に横線を引いたもの,で表すと,これにQを掛けたものが,ひとつの結晶子当たりの散乱能になる。入射X線の入射角αはα=θ0+φであり,回折X線の出射角βはβ=θ0−φである。受光スリット22を見込む立体角は図10の(5)式で表すことができる。断面積S0の入射X線によって照射される被測定薄膜の体積は図10の(6)式で表すことができる。以上の点を考慮すると,試料から距離Rのところにある受光スリット22(スリット長はL)を通過してX線検出器26で検出される回折X線の強度I(α)Δαは,入射X線の強度I0との比をとって,図11の(7)式のようになる。(7)式中のpは反射の重複度である。配向密度分布関数ρはξに依存しないものとして,ρ(φ,z)としている。(7)式において,薄膜の膜厚tや入射角αに依存しない定数部分をスケール因子Cとおくと,(7)式は(8)式のようになる。スケール因子Cは(9)式で表される。膜厚測定装置は,(8)式を計算するためのコンピュータプログラムを搭載しており,このコンピュータプログラムによって理論的な回折X線強度を計算することができる。このコンピュータプログラムの機能が,本発明の膜厚測定装置における理論計算手段に該当する。
(8)式において,配向密度分布関数ρとして,図8の(2)式のガウス関数を用いると,ガウス関数の特性パラメータである半価幅H(z)と,薄膜の膜厚tとを変化させることにより,理論的な回折X線強度を変えることができる。
図12はガウス関数の半価幅H(z)の関数形を仮定したものである。膜厚tの薄膜のうち,深さが0からηt(ここで,0<η<1)までの範囲は半価幅がH1で一定であり,深さがηtからtまでの範囲は半価幅がH2で一定であると仮定する。すなわち,2層モデルである。このような2層モデルを用いると,配向密度分布関数ρを定める特性パラメータは,H1,H2,ηの三つになる。
次に,Ta薄膜の設計膜厚が30nmの試料を標準試料として用いて,理論ロッキングカーブを測定ロッキングカーブにフィッティングさせることを試みる。上述の特性パラメータH1,H2,ηを変化させて,図11の(8)式の強度を計算する。そして,その計算値が,図6の30nmの各測定点にできるだけ一致するようなH1,H2,ηをパラメータフィッティングで求める。その際,図11の(8)式における膜厚tは設計膜厚30nmを使うものとする。そして,理論ロッキングカーブの全体的な強度を変化させるには,スケール因子Cの値を調節する。このようにして,理論ロッキングカーブの曲線形状はH1,H2,ηを調整することで変えることができ,全体的な強度はスケール因子Cを調整することで変えることができる。膜厚30nmのときの測定ロッキングカーブに最も一致するようにH1,H2,ηを定めたときの理論ロッキングカーブが図6の実線の曲線である。そのときのH1,H2,ηの値は,図13の表の30nmの列に記載してある。すなわち,H1=9度,H2=24.3度,η=0.15である。このときに同時にスケール因子Cが決定され,これを,ほかの設計膜厚15nmと20nmの試料についてのパラメータフィッティングでも使うことにする。
次に,Ta薄膜の設計膜厚が20nmの試料について,同様にして,理論ロッキングカーブを測定ロッキングカーブにパラメータフィッティングさせる。今度は,図11の(8)式における膜厚tは未知数であるとし,スケール因子Cとしては上述の30nmの試料を用いて決定した値を用いる。そして,特性パラメータH1,H2,ηと膜厚tを調整して,理論ロッキングカーブが,20nmの測定ロッキングカーブにできるだけ一致するようにする。得られた理論ロッキングカーブが図6の破線の曲線である。そのときのH1,H2,ηの値は,図13の表の20nmの列に記載してある。すなわち,H1=8.9度,H2=26度,η=0.085である。パラメータフィッティングの結果,測定膜厚tとしては19.7nmの値が得られた。設計膜厚20nmにきわめて近い値である。
次に,Ta薄膜の設計膜厚が15nmの試料について,同様にして,理論ロッキングカーブを測定ロッキングカーブにパラメータフィッティングさせる。やはり,図11の(8)式における膜厚tは未知数であるとして,スケール因子Cとして上述の30nmの試料を用いて決定した値を用いる。そして,特性パラメータH1,H2,ηと膜厚tを調整して,理論ロッキングカーブが,15nmの測定ロッキングカーブにできるだけ一致するようにする。得られた理論ロッキングカーブが図6の一点鎖線の曲線である。そのときのH1,H2,ηの値は,図13の表の15nmの列に記載してある。すなわち,H1=10度,H2=27度,η=0.093である。測定膜厚tとしては15.9nmの値が得られた。やはり,設計膜厚15nmに近い値となった。
このように,設計膜厚20nmと15nmの試料に対して,これが未知であると仮定して,スケール因子Cを用いて測定膜厚を求めると,19.7nmと15.9nmが得られた。このことから,本発明の膜厚測定方法が,大きな誤差を生じることなく有効であることが分かる。そして,同時に得られた特性パラメータH1,H2,ηによって,薄膜の配向性も定量的に把握できた。図13の表から分かるように,膜厚が変化すると,配向性に関するパラメータH1,H2,ηも変化している。
以上の実験結果をまとめると次のようになる。設計膜厚が30nmのTa薄膜を標準試料として,その理論ロッキングカーブを測定ロッキングカーブに一致させるようにパラメータフィッティングを実行することにより,スケール因子Cを決定できた。そして,未知の膜厚のTa薄膜に対しては,上述のスケール因子Cを既知の定数として,理論ロッキングカーブが測定ロッキングカーブに最も一致するように,配向密度分布関数の特性パラメータと,未知の膜厚を,パラメータフィッティングで決定することができた。その結果,TaN膜上のTa薄膜の膜厚をX線回折法で求めることができ,同時に,Ta薄膜の配向性も定量的に把握できた。このようなパラメータフィッティングはコンピュータプログラムによって実現でき,そのようなコンピュータプログラムの果たす機能が,本発明の膜厚測定装置における膜厚決定手段に該当する。
上述の実験結果を,図2と比較できる形で示したものが図14のグラフである。このグラフは,設計膜厚30nmの試料に対して得られた測定膜厚を基準にして,設計膜厚20nm,15nmにおける測定膜厚(相対膜厚)をプロットしたものである。設計膜厚20nmと15nmのときの相対膜厚は,設計膜厚30nmのときの相対膜厚(1に等しい)と原点とを結ぶ直線38の近くに存在している。図14と図2を比較すると明らかなように,本発明の膜厚測定方法は,相対ピーク強度や相対ピーク積分強度を用いる場合と比べて,測定精度が高い。
本発明では,被測定薄膜と材質が同じで膜厚が既知のひとつの標準試料を用いて,スケール因子Cを決定できれば,その後は,未知の膜厚の被測定薄膜について測定ロッキングカーブを測定することで,理論ロッキングカーブのパラメータフィッティングにより膜厚を求めることができる。図11の(8)式は,薄膜によるX線の吸収の効果を考慮しているから,X線が薄膜の底部まで達する限りは比較的厚い薄膜でも適用可能である。したがって,X線反射率法では測定できないような比較的厚い薄膜でも膜厚測定が可能である。X線反射率法によれば,測定できる膜厚の上限値は数百nm程度であるが,本発明の膜厚測定方法では,1〜2μm程度の膜厚まで測定が可能である。
上述の実施例では,Taの設計膜厚を30nmとしたものを標準試料としたが,設計膜厚の確かな情報がない場合には,次のようにして標準試料を準備すればよい。Taとは密度がかなり異なる材質の基板を準備して,その上にTa層だけを堆積する。そのTa層の膜厚をX線反射率法で測定して,その膜厚を既知の膜厚とする。この場合,Ta層と基板とでは密度がかなり異なるので,X線反射率法で膜厚測定が可能である。そして,このTa薄膜を標準試料として,本発明の方法によりパラメータフィッティングを実施して,スケール因子Cを求めることができる。
上述の実施例は,測定ロッキングカーブを求めるのに正確な回折X線強度を測定している点に特徴がある。すなわち,図5に示すように,入射角αを固定して2θをスキャンして,そのときに得られた回折プロファイルの積分強度を求めて,これを回折X線の強度としている。そして,そのようにして求めた回折X線強度を,各入射角度αについて求めて,これをプロットして,図6のような測定ロッキングカーブを得ている。したがって,図6の測定ロッキングカーブは,バックグラウンドの影響を無視することができる。これに対応して,図11の(8)式は,バックグラウンドを考慮しない数式となっている。
一方,本発明は,このような精密な測定ロッキングカーブを用いずに,簡易的な測定ロッキングカーブを使うことも原理的には可能である。すなわち,図3において,入射X線16に対する回折X線20の角度を2θ0に固定した状態で,入射角αが変わるように試料18だけを回転させて,回折X線強度を測定することによっても,測定ロッキングカーブを得ることができる。この場合は,バックグラウンドを含んだ状態のロッキングカーブとなる。このような測定ロッキングカーブを使う場合は,理論式としてもバックグラウンドを考慮したものを使う必要がある。バックグラウンド成分は無配向の散乱体によるものであると仮定すると,入射角αが変化することによるバックグラウンド成分の変化は,照射面積に依存し,かつ,バックグラウンドに寄与する成分の厚さによる吸収に依存すると考えられる。そして,バックグラウンドに寄与する成分の厚さが十分に薄いと考えれば,入射角αが変化することによるバックグラウンド成分の変化は,照射面積による補正のみで十分である。この場合は,図11の(8)式の代わりに,図15の(10)式を使えばよい。(10)式中のBがバックグラウンド成分である。
また,バックグラウンドに寄与する成分の厚さが大きい場合は,入射角αが変化することによるバックグラウンド成分の変化は,照射面積による補正と,吸収による補正とを考慮して,図15の(11)式を使えばよい。
ただし,簡易的な測定ロッキングカーブと,図15の(10)式または(11)式に基づく理論ロッキングカーブとを用いて,パラメータフィッティングを試みて,良好な結果が得られなかったならば,やはり,図6に示すような精密な測定ロッキングカーブと図11の(8)式とを用いてパラメータフィッティングを実施する必要がある。
上述の実施例では,配向密度分布関数としてガウス関数を用いたが,その他の関数を使うこともできる。ロッキングカーブを表現するのに適切と考えられるその他の関数としては,例えば,図16の(12)式のローレンツ関数,(13)式の擬ヴォイト関数,及び,(14)式のMarch-Dollase関数がある。(12)式中のGaは,図8の(1)式の規格化条件を満足するような規格化係数である。(13)式中のGは図8の(3)式に示す規格化係数である。(13)式中のGaは(12)式中のGaと同じものである。配向密度分布関数としてガウス関数とMarch-Dollase関数を使うことについては,従来技術として紹介した上述の非特許文献1に記載されている。
試料の断面図である。 Ta層の3種類の設計膜厚について,Ta(110)の回折X線の相対ピーク強度と相対積分強度を示したグラフである。 本発明を実施するためのX線回折装置のひとつの実施形態を示す平面図である。 入射角を変えたときの回折現象を説明する説明図である。 回折X線のピークプロファイルのグラフである。 測定ロッキングカーブに理論ロッキングカーブを重ね合わせたグラフである。 結晶子の被測定格子面の法線ベクトルvを極座標で表示した斜視図である。 配向密度分布関数に関連する数式である。 ガウス関数のグラフである。 回折X線強度に関連する数式である。 回折X線強度に関連する数式である。 ガウス関数の半価幅H(z)のグラフである。 測定結果の一覧表である。 測定結果のグラフである。 バックグラウンドを考慮した理論式である。 その他の配向密度分布関数の数式である。
符号の説明
12 TaN層
14 Ta層
16 入射X線
18 試料
20 回折X線
22 受光スリット
24 ソーラースリット
26 X線検出器
28 試料回転台
30 ゴニオメータ中心
32 回転軸
34 検出器回転台
36 被測定格子面

Claims (7)

  1. 次の段階を備える膜厚測定方法。
    (ア)多結晶材料からなる薄膜を準備する段階。
    (イ)前記薄膜の表面の法線方向の周りに軸対称となる配向密度分布関数ρを仮定する段階。この配向密度分布関数ρは,前記薄膜の結晶子の被測定格子面の法線が薄膜の表面の法線に対して傾斜する角度φについての関数であり,かつ,関数の形を特徴づける特性パラメータを含んでいる。
    (ウ)前記薄膜の表面に対して入射角αでX線を入射して,薄膜の前記被測定格子面で反射した回折X線の強度を測定し,入射角αを変化させて前記被測定格子面からの回折X線の強度の変化を求めて,測定ロッキングカーブを得る段階。
    (エ)既知の膜厚の標準試料についてあらかじめ求めておいたスケール因子と,前記配向密度分布関数ρと,前記薄膜の膜厚tとに基づいて,理論的な回折X線強度を計算して,入射角αを変化させたときの前記被測定格子面からの回折X線の強度の変化についての理論ロッキングカーブを求める段階。
    (オ)前記理論ロッキングカーブが前記測定ロッキングカーブに最も合致するように前記特性パラメータと前記膜厚tとを変化させてパラメータフィッティングを実施し,これによって前記膜厚tを決定する段階。
  2. 請求項1に記載の膜厚測定方法において,前記配向密度関数ρとしてガウス関数を採用し,このガウス関数の半価幅Hが,前記薄膜の表面からの深さzに依存することを特徴とする膜厚測定方法。
  3. 請求項1に記載の膜厚測定方法において,前記配向密度関数ρとしてガウス関数を採用し,このガウス関数の半価幅Hが,前記薄膜の表面からの深さzに依存するものとし,zが0からηt(ここで,ηは0から1までの範囲内の値)の範囲では前記HがH1で一定であるとし,zがηtからtの範囲では前記HがH2で一定であるとして,三つの特性パラメータH1,H2,ηと膜厚tとを変化させてパラメータフィッティングを実施することを特徴とする膜厚測定方法。
  4. 請求項1に記載の膜厚測定方法において,前記薄膜が,TaN層の上に堆積したTa層であることを特徴とする膜厚測定方法。
  5. 多結晶材料からなる薄膜の膜厚を測定する膜厚測定装置において,次の構成を備える膜厚測定装置。
    (ア)前記薄膜の表面の法線方向の周りに軸対称であり,前記薄膜の結晶子の被測定格子面の法線が薄膜の表面の法線に対して傾斜する角度φについての関数であり,かつ,関数の形を特徴づける特性パラメータを含む配向密度関数ρを記憶する記憶手段。
    (イ)前記薄膜の表面に対して入射角αでX線を入射して,薄膜の前記被測定格子面で反射した回折X線の強度を測定し,入射角αを変化させて前記被測定格子面からの回折X線の強度の変化を求めて,測定ロッキングカーブを作成するロッキングカーブ測定装置。
    (ウ)既知の膜厚の標準試料についてあらかじめ求めておいたスケール因子と,前記配向密度分布関数ρと,前記薄膜の膜厚tとに基づいて,理論的な回折X線強度を計算して,入射角αを変化させたときの前記被測定格子面からの回折X線の強度の変化についての理論ロッキングカーブを作成する理論計算手段。
    (エ)前記理論ロッキングカーブが前記測定ロッキングカーブに最も合致するように前記特性パラメータと前記膜厚tとを変化させてパラメータフィッティングを実施し,これによって前記膜厚tを決定する膜厚決定手段。
  6. 請求項5に記載の膜厚測定装置において,前記配向密度関数ρとしてガウス関数を採用し,このガウス関数の半価幅Hが,前記薄膜の表面からの深さzに依存することを特徴とする膜厚測定装置。
  7. 請求項5に記載の膜厚測定装置において,前記配向密度関数ρとしてガウス関数を採用し,このガウス関数の半価幅Hが,前記薄膜の表面からの深さzに依存するものとし,zが0からηt(ここで,ηは0から1までの範囲内の値)の範囲では前記HがH1で一定であるとし,zがηtからtの範囲では前記HがH2で一定であるとして,三つの特性パラメータH1,H2,ηと膜厚tとを変化させてパラメータフィッティングを実施することを特徴とする膜厚測定装置。
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