JP2005213836A - 鉄筋コンクリート造建物のフラット床スラブ - Google Patents

鉄筋コンクリート造建物のフラット床スラブ Download PDF

Info

Publication number
JP2005213836A
JP2005213836A JP2004020866A JP2004020866A JP2005213836A JP 2005213836 A JP2005213836 A JP 2005213836A JP 2004020866 A JP2004020866 A JP 2004020866A JP 2004020866 A JP2004020866 A JP 2004020866A JP 2005213836 A JP2005213836 A JP 2005213836A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
concrete
thick
thin
floor slab
panel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004020866A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3862269B2 (ja
Inventor
Naomichi Kamiya
直道 神谷
Yoshimitsu Ikebe
芳光 池辺
Takamitsu Sakuraba
高光 櫻庭
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
KAMIYA KENCHIKU SEKKEI KK
Tokai Information System Consultation
Original Assignee
KAMIYA KENCHIKU SEKKEI KK
Tokai Information System Consultation
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by KAMIYA KENCHIKU SEKKEI KK, Tokai Information System Consultation filed Critical KAMIYA KENCHIKU SEKKEI KK
Priority to JP2004020866A priority Critical patent/JP3862269B2/ja
Publication of JP2005213836A publication Critical patent/JP2005213836A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3862269B2 publication Critical patent/JP3862269B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Building Environments (AREA)

Abstract

【課題】コンクリート床スラブを、型枠兼用内装パネルを用いて型枠工を合理化すると共に、使用コンクリート量を低減し、併せてコンクリートスラブからの大梁への負荷応力伝達の均斉分散化、及び天井面の配線、配管の合理化を図る。
【解決手段】等幅のコンクリート薄肉部SAとコンクリート厚肉部SBとを交互に床スラブ短辺スパン方向に配向した表面Sfの平坦な一方向スラブであって、コンクリート薄肉部SAには、内装材1a上に厚肉断熱材1bを層着した厚肉パネル1が、コンクリート厚肉部SBには、内装材2a上に薄肉断熱材2bを層着した薄肉パネル2が、各断熱材1b,2bが接合形態でコンクリートスラブS下面に一体化固定してコンクリート床スラブS下面を断熱材層で被覆し、配線、配管用の条溝1H,2H,2G群が各断熱材1b,2bを貫通しているフラット床スラブ。

【選択図】 図1

Description

本発明は、中高層鉄筋コンクリート造建物の床スラブに関するものであり、より詳しくは、コンクリート床スラブが四辺固定であっても短辺スパン長さが長辺スパン長さの1/2以下であって一方向スラブと解されるタイプや、コンクリート床スラブが両端辺で固定されるタイプの一方向スラブに於いて、コンクリート厚肉部と薄肉部とを両側支持体間に交互配置して平均スラブ厚を小とした、構築容易なフラット床スラブに関するものであり、建築の技術分野に属するものである。
〔従来例1(図10)〕
図10に示す従来例1は、特許文献1に開示されたものであり、図10(A)に示す如く、桁方向に延在配置した1対の耐震壁間に、鉄筋コンクリート造床版(床スラブ)を張設したものであり、図10(B)に示す如く、床版下面には、耐震壁と直交する方向にリブを配置し、リブはPC鋼材により、その延在方向にプレストレスを導入したものである。
そして、床版を軽量化して地震に対する水平耐力を確保すると共に、柱の本数や断面積を減じて内部空間の利用性を向上させたものである。
〔従来例2(図11)〕
図11に示す従来例2は、特許文献2に開示されたものであり、型枠兼用の内装下地ボードは、図11(A)に示す如く、壁紙などの内装材の直張り可能な耐火性耐力面材の片面側に断熱パネルを張り、該断熱パネル上にはスラブ小梁間に充填される厚さ50〜70mmの断熱埋込材を長手方向に一体化延設し、断熱埋込材にはコンクリートが流れ込む凹部、長手方向の配管配線用挿通孔及び係合溝を配置したものである。
そして、図11(B)に示す如く、内装下地ボードをスペーサ、連結ロッド及びベースから成る取付具によって下面の型枠としてスラブコンクリートを打設し、コンクリートが凹部に入り込んで内装下地ボードとスラブコンクリートとを強固に結合し、フラットスラブ下面適所の下地ボード継目上に小梁が存在し、且つ、天井面が平坦で断熱埋込材に配線配管用挿通孔を備えた合成床スラブを得るものであり、下地ボードを型枠として使用することにより、型枠撤去作業と内装下地処理を合理化したものである。
特開2002−88923号公報 特開2002−61324号公報
従来例1の床スラブにあっては、リブが従来のT型スラブ同様、床スラブ下面に突出するため、天井面を平坦に仕上げる際には天井面が低くなり、利用空間が狭くなる。
しかも、PC鋼材の張設やスターラップ筋施工等、通常のフラット床スラブでの配筋施工より遥かに配筋施工作業が煩雑、且つ困難であり、且つ、型枠の組立て、解体の作業も必要であって施工コストも大となり、スパンを大きくする必要のない小中規模の建物には不向きである。
また、床スラブから耐震壁への曲げモーメント作用は、リブ部での耐震壁への局所集中負荷となって、耐震壁へのねじれやたわみ歪を付与する危険がある。
また、天井面への配線、配管には突出リブが障害となる。
また、従来例2の床スラブにあっては、下地ボードを下型枠とするため、型枠施工の合理化は達成出来るが、下記(イ)〜(ニ)の問題がある。即ち:
(イ)小梁の存在により階高が大きくなって建築コストが高くなるか、天井高さが抑制される。
(ロ)幅、高さの大な断熱埋込材は、両側の小梁で分断され、しかも、凹部へのコンクリート流入によってフラットスラブとの接着性を確保するため、配線、配管用挿通孔の配置形態が凹部によって制約されて凹部と小梁間での長手方向配置のみとなり、スラブ下面への照明器具、換気扇、給水装置等の配線、配管が制約を受ける。
(ハ)配線、配管用挿通孔、凹部、係合溝、及びフラットスラブと型枠兼用内装下地ボードを固定する取付具の配置により、断熱埋込材への配管スペースが少ないため、排気管及び排水管は内装下地ボードの下方に配置することとなり、更に隠蔽天井を配置する必要が生じ、天井面が更に低くなる。
(ニ)小梁は、上下端主筋、及び各主筋を拘束するスターラップ筋、スターラップ筋の間隔を保持する腹筋、幅止め筋、で配置する必要があり、幅の狭い小梁用の配筋作業は煩雑、且つ困難であり、しかも、地震時には、両側端の大梁等の支持体には、小梁による局所的な集中負荷が作用し、支持体へのねじれやたわみ歪を発生する危険がある。
本発明は、これら従来の問題点を一挙に解決、又は改善する新規、且つ有用なフラット床スラブを提供するものである。
即ち、本発明は、慣用のT型床スラブや、従来例1や従来例2の床スラブとは全く異なる新規な一方向スラブであって、スラブ断面を、同幅の厚肉部と薄肉部との交互配置とすると共に、厚肉部を通常のフラットスラブ厚近似とし、薄肉部を通常のフラットスラブ厚の略1/2厚としてスラブ平均厚を抑えることにより、スラブコンクリート量の低減による建物の軽量化を図り、耐震性を向上させ、遮音性があり、たわみによるひび割れが抑制出来、しかも、コンクリート床スラブの構築が容易であって、床スラブ下面への配線、配管施工も合理化出来る、実用性の極めて大なフラット床スラブを提供するものであり、従来例1,2の問題点を一挙に解決、又は改善するものである。
本発明は、例えば図1に示す如く、略等幅のコンクリート薄肉部SAとコンクリート厚肉部SBとを、交互に、床スラブ短辺スパン方向に配向した表面Sfの平坦な一方向スラブであって、コンクリートスラブSの下面のコンクリート薄肉部SAには、内装材1a上に厚肉断熱材1bを層着した厚肉パネル1が、コンクリート厚肉部SBには、内装材2a上に薄肉断熱材2bを層着した薄肉パネル2が、各パネル1,2の断熱材1b,2bが接合形態でコンクリートスラブSに一体化固定してコンクリート床スラブS下面を断熱材1b,2b層で被覆し、且つ、配線、配管用の条溝1H,2H,2G群が各断熱材1b,2bを貫通している鉄筋コンクリート建物のフラット床スラブに関するものである。
尚、本発明は一方向スラブに関するものであり、床スラブを両側端でのみ固定(二辺固定)支持してスラブ負荷応力が両側へ流れるタイプや、四辺固定であっても、短辺スパン長が長辺スパン長の1/2以下であって、計算上、スラブ負荷応力が短辺スパン方向に流れる一方向スラブとして扱うタイプに関するものであるから、「床スラブ短辺スパン方向に配向」は、床スラブSへの負荷応力の流れる方向への配向、を意味し、各コンクリート厚肉部SBとコンクリート薄肉部SAとが、1本毎に短辺スパン方向に交互に並列していることを意味する。
また、各断熱材1b,2bの「接合形態」の意は、厚肉断熱材1bと薄肉断熱材2bとが隙間なく接している意味である。
また、内装材1a,2aは、同一寸法、同一材が良く、典型的にはOSB(オリエンテッド、ストランド、ボード)である。
また、コンクリート厚肉部SBは、両側の各コンクリート薄肉部SAの負荷応力を負担する小梁機能を奏するものであり、慣用の、想定床荷重に対抗するように、鉄筋棒鋼の径、鉄筋棒鋼のスラブ厚さ方向間隔、コンクリート被り厚さ、等を基に、スパン長の1/30を目途として算出すれば良く、コンクリート薄肉部SAは、遮音性、たわみによるひび割れに留意して、コンクリート厚肉部SBの略1/2厚に決めれば良い。
また、コンクリート薄肉部SA、コンクリート厚肉部SBと、各パネル1,2との一体化固定は、図4(A)に示す如く、厚肉パネル1と薄肉パネル2とを交互に配置してコンクリート下型枠とすれば、型枠の解体作業が合理化出来て、各パネル1,2と、各コンクリート薄肉部SA、コンクリート厚肉部SBとは一体化固定出来る。
従って、本発明フラット床パネルは、小梁が存在しないため、及び各パネル1,2が配線、配管用の条溝を備えているため、配線はもとより、設備配管も容易となると共に、天井高さの大きな空間の創出も可能である。
また、コンクリート厚肉部SBとコンクリート薄肉部SAとが略等幅であるため、構造計算及び構造設定が容易となり、しかも、床スラブ両側の大梁G等の支持体への床スラブSからの応力伝達は、一定間隔毎に分割された多数の広幅部分での応力伝達となるため、従来のT型スラブや、従来例2での小梁の如き、局所応力集中が回避出来、地震時の大梁Gへのねじれやたわみ損壊が抑制出来る。
また、厚肉パネル1と薄肉パネル2とでコンクリートスラブ下型枠が形成出来るため、コンクリート薄肉部SAとコンクリート厚肉部SBとの、幅及び厚さの所望どおりの構築が容易となり、スラブコンクリート打設後の型枠解体作業も合理化出来、しかも、コンクリート打設前に各断熱材1b,2bの条溝1H,2H,2Gへの予めの配線、配管も可能であるため、床スラブ構築及び内装工事が合理化出来る。
また、床スラブ型枠組み時でも、コンクリート厚肉部SBとコンクリート薄肉部SAとの段差S3が小さいため、鉄筋の配筋作業性が良く、コンクリート厚肉部SBは床スラブの一部であるため、配筋施工も従来の床スラブに於ける小梁への配線施工より遙かに容易である。
従って、本発明は、設計上、施工上に優れ、力学的観点からも有効な一方向床スラブの低コストでの提供を可能とする。
また、本発明のフラット床スラブでは、コンクリート厚肉部SBは、厚さS1が、従来のフラットスラブ厚と略同厚のコンクリートスラブ短辺スパン長SWの1/25〜1/30であり、幅WBが短辺スパン長SWの略1/9であり、コンクリート薄肉部SAは、厚さS2がコンクリート厚肉部の厚さS1の50〜60%で、且つ少なくとも80mm以上であるのが好ましい。
この場合、コンクリートは、典型的には設計基準強度が270kg/cmのものである。
尚、コンクリート薄肉部SAの厚さS2は、配筋形態との関係で、最低限80mmまで薄くしてもコンクリート床スラブとしての機能を果すが、遮音性向上、長期たわみ量及び振動障害の低減の観点からは、厚い方が良い。
しかし、厚さS2の増大は、コンクリート使用量の低減化と相反するばかりでなく、断面形状増による建物の重量増大を招くため、コンクリート薄肉部SAの厚さS2は、80mm厚以上の条件の下に、コンクリート厚肉部厚S1の50〜60%とすれば、コンクリート使用量の低減の目的の下に、コンクリート薄肉部SAとコンクリート厚肉部SBの接合剛性の保持、厚肉部SBのねじれ抵抗向上が得られる。
また、コンクリート厚肉部厚S1は、小さくなれば、弾性たわみ量(躯体構築時の初期たわみ)の増大を招き、剛性保持のための配筋量の増大を招く。
また、厚肉部厚S1の増大は、スラブの重量増によって長期たわみがあまり改善されずにコンクリート使用量の増大によるコスト増を招き、コンクリート薄肉部SAとの段差S3(図4(A))の増加による設備工事の作業性低下を招く。
また、コンクリート厚肉部SBは、両側方のコンクリート薄肉部SAからの負荷応力伝達を受けるものであり、厚肉部SBの力学的機能上からは、幅WBを小として多く配置するのが有利であるが、型枠組み及び配筋の作業性からは、幅WBは大な方が有利である。
そして、床スラブ形成上の作業性からも、構造計算の簡便化からも、内装工事面からも、コンクリート厚肉部幅WBとコンクリート薄肉部幅WAが等幅であるのが、特に有利である。
従って、短辺スパン長SWの関数である、コンクリート厚肉部の幅WB、厚さS1、コンクリート薄肉部の幅WA、厚さS2の相互関係は、構造力学面、構造計算面、作業性、使用資材(コンクリート)の合理化の観点より、S1=1/25〜1/30SW、WB=1/9SW、S2=50〜60%S1、且つ80mm以上、WB=WAの実施化最適モデルが創作出来た。
該モデルによって本願発明が、所期のたわみ性、振動性、遮音性、及び経済性の下に、短辺スパン長の変更にも対応して、好適に実施出来る。
尚、該創作モデルによる実施は、次のとおりである。
(1)SWが8m:WB=WA=900mm、S1=270mm、S2=160mm、SB部の配筋は、上下各8本(16mm径)
(2)SWが7m:WB=WA=800mm、S1=250mm、S2=150mm、SB部の配筋は、上下各7本(16mm径)
(3)SWが6m:WB=WA=700mm、S1=230mm、S2=140mm、SB部の配筋は、上下各6本(16mm径)
(SW:短辺スパン長、WB:コンクリート厚肉部幅、WA:コンクリート薄肉部幅、S1:コンクリート厚肉部の厚さ、S2:コンクリート薄肉部の厚さ)
また、本発明にあっては、図7に示す如く、コンクリート厚肉部SBは、厚肉部SBの長さ方向に配向した上端主筋3U群と下端主筋3D群とを備え、コンクリート薄肉部SAは、薄肉部長さ方向に配向した主筋4U群を備え、上端主筋端部3U´が筋径の35倍強の長さを、下端主筋端部3D´が筋径の25倍強の長さを、主筋4Uの端部が筋径の10倍強の長さを大梁G内に定着するのが好ましい。
尚、コンクリートは、典型的には設計基準強度270kg/cmであり、水セメント比55%以下である。
この場合、コンクリート厚肉部SBの上下主筋3U,3Dの端部が大梁G内に強固に固定されて、長期たわみは12.3mmに抑制出来、剛性が大となり、クリープたわみによる床スラブSの変形、ひび割れ及び振動障害が抑制出来る。
また、本発明にあっては、図7(B)、(イ)に示す如く、クランク形態に屈曲して、コンクリート薄肉部SAに対応する上部caと、コンクリート厚肉部SBに対応する下部cbを形成した床スラブ筋4Cを、コンクリート厚肉部SBの下端主筋3Dと、コンクリート薄肉部SAの主筋4Uとに直交配置するのが好ましい。
この場合、クランク形態の床スラブ筋4Cは、コンクリート厚肉部SB及びコンクリート薄肉部SAへの適正配筋作業を容易にすると共に、各主筋3U,3D,4Uと連携して各鉄筋の配置関係を保持し、コンクリート薄肉部SA上の負荷応力のスムーズなコンクリート厚肉部SBへの伝達を可能とする。
また、コンクリート厚肉部SBとコンクリート薄肉部SAの接続部を、図7(B)、(ニ)に示す形態のイナズマ筋4Eで補強するのが好ましい。
イナズマ筋4Eは、上側水平部をコンクリート薄肉部SA内で床スラブ筋4Cの上部caに、下側水平部をコンクリート厚肉部SB内で床スラブ筋4Cの下部cbに連携させるのが好ましく、この場合、薄肉部SAと厚肉部SBとの接続部での床スラブ筋4Cの応力変位が抑制出来、コンクリート薄肉部SAからコンクリート厚肉部SBへの負荷応力伝達を、よりスムーズにする。
また、本発明床スラブにあっては、各条溝1H,2H,2Gが内装材1a,2aに面したパネル1,2の長手方向及び幅方向の直交配置であり、厚肉パネル1、及び/又は、薄肉パネル2の接続部JL,JWで各条溝1H,2H,2Gが対応連通しているのが好ましい。
この場合、厚肉パネル1の幅方向条溝1H群と、薄肉パネル2の幅方向条溝2H群とは、共に等間隔で対応位置に配置しておけば、パネル1とパネル2間の条溝1Hと条溝2Hとの連通配置が容易となる。
そして、厚肉パネル1と薄肉パネル2とを当接配置した床スラブSにあっては、断熱材1b,2b層内では、縦横に条溝1H,2H,2Gが連通形態となるため、本発明床スラブは、スラブコンクリート打設前に、所望形態に電気配線も給水配管も配置することにより、床スラブ形成後の、天井面側の配線、配管工事が大幅に合理化出来る。
また、本発明床スラブは、厚肉パネル1、及び/又は、薄肉パネル2の接合が、断熱材1b、及び/又は、断熱材2b相互の屈折面接合であるのが好ましい。
この場合、厚肉パネル1相互の接合は、断熱材1bの長手方向両端1Eの段差d1での図6(A)の如き相欠き接合で、薄肉パネル2相互の接合は、断熱材2bの長手方向両端2Eの段差d2での図6(B)の如き相欠き接合で、幅方向での厚肉パネル1と薄肉パネル2との接合も、相欠き接合で達成出来る。
従って、各パネル1,2は、全て、断熱材1b,2bの当接界面が屈折形態となることにより、断熱材1b,2bの延展層上に打設するスラブコンクリートは、下面型枠としてのパネル1,2の接合部JL,JWからの漏出(のろ漏れ)が抑制出来、コンクリート打設による内装材1a,2aへの汚損が抑制出来る。
尚、厚肉パネル1は、図2(B)の如く、両側1Sでは下半の切欠1Cによって断熱材1bが突出段差d0を備え、薄肉パネル両側2Sが厚肉パネル両側1Sの突出段差d0に嵌入させるのが好ましい。
この場合、厚肉パネル断熱材1bの段差d0の高さh1を、薄肉パネル2の断熱材2bの厚さと同寸とすることにより、図5(A),(B)の如く、厚肉パネル1と薄肉パネル2とを同一水平面上で相互当接させるだけで、各断熱材1b,2bが屈折面接合となる。
しかも、厚肉パネル1が両側1Sで薄肉パネル2を押圧するため、厚肉パネル1を支承体(根太5A)に固定するだけで、各パネル1,2の支承体への張設が出来、床スラブSの下型枠組立ての作業性が向上する。
また、薄肉パネル2は、図3の如く、幅中央部に長手方向に貫通する断面逆凸形状の条溝2Gを備え、閉止用断熱材2cで条溝2Gの上面を閉止するのが好ましい。
この場合、各パネル1,2で床スラブ下型枠組立てた後の、各パネル1,2内への配線、配管作業は、上面の開放した溝2Gでの目視作業で遂行し、配線、配管終了後に溝2Gの上面に断熱材2cで蓋をすることにより、スラブコンクリート打設前の配線、配管作業が容易となる。
また、厚肉パネル1は、厚肉断熱材1bの適所に、条溝1Hに連通するピット7を配置しておくのが好ましい。
この場合、ピット7は、必要に応じてボックス形状、貫通溝形状等、形状を選択することにより、配線、配管の交差部と出来、分電盤の配置すら可能となり、配線、配管の点検、補修が容易となる。
また、厚肉パネル1は、図4に示す如く、厚肉断熱材1bの適所に、長手方向に貫通する断面逆凸形状の条溝7Gを備え、閉止用断熱材7cで条溝7Gの上面を閉止するのが好ましい。
この場合、吸排気管等の大径管の配置作業も、条溝7Gの開放形態による目視作業で容易となり、配線、配管後の断熱材7cによる蓋閉止で、コンクリート打設に支障を生じない。
(1)本発明床スラブにあっては、コンクリート厚肉部SBとコンクリート薄肉部SAとの段差S3が小さいので、建物の階高が小さく出来て建築コストが低減出来るか、或いは、天井高さを大きくして居住空間を広くすることが出来る。
(2)スラブコンクリートSが、それぞれ等幅のコンクリート厚肉部SBとコンクリート薄肉部SAとを交互に短辺スパン方向に配向したため、スパン両端の大梁Gへの応力負荷は定間隔分割形態での作用となり、スラブコンクリートSと大梁Gの固定部での応力の局所集中が避けられて大梁Gのねじれやたわみが抑制出来、スラブコンクリートSへのひび割れ影響が抑制出来、スラブコンクリートSの軽量化が達成出来ると共に、大梁Gも小型軽量化が可能となる。
(3)コンクリート薄肉部SAは勿論、小梁機能を奏するコンクリート厚肉部SBも床スラブなので、従来の小梁に比べて、細径で軽量な主筋での配筋となり、コンクリート薄肉部SAとコンクリート厚肉部SBとの段差S3が小さいことと相俟って、スラブコンクリートS用の配筋作業が容易であって、配筋組立作業性が良い。
しかも、従来のコンクリートフラットスラブに比べて、厚肉部SBが略同厚で、薄肉部SAが略1/2厚に出来るため、コンクリート使用量も大幅に低減出来る。
(4)コンクリート薄肉部SA及びコンクリート厚肉部SBは、下型枠として連設配置する厚肉パネル1及び薄肉パネル2と一体化固定されるため、スラブコンクリートSの下型枠の組立て、解体工事が合理化出来る。
そして、下型枠の各パネル1,2が断熱材1b,2b中に条溝1H,2H,2Gを備えているため、コンクリート打設前に配線、配管が可能となり、内装工事が合理化出来る。
勿論、各条溝1H,2H,2Gへの配線、配管は、コンクリート打設後の型枠解体前でも可能であり、内装工事の自由度が向上する。
しかも、各パネル内の条溝1H,2H,2Gの存在は、床スラブSの耐用時には、遮音機能すら期待出来る。
本発明のフラット床スラブSは、図9の如く、床スラブ面の長辺スパン長SLが短辺スパン長SWの2倍以上であって、床スラブの負荷応力が短辺スパン方向の両側の大梁Gに流れるタイプや、床スラブ面がスパン両側の二辺に存在する支持体(大梁G)でのみ支持されるタイプ等の、いわゆる一方向床スラブに関するものであって、床スラブの小梁の機能を奏する幅WBのコンクリート厚肉部SB、及びコンクリート厚肉部SBと同幅の幅WAのコンクリート薄肉部SAの幅、及び、これら同幅のコンクリート厚肉部SBとコンクリート薄肉部SAの厚さは、床スラブ面の有効短辺スパン長SWによって左右されるが、本発明を、床スラブの有効短辺スパン長SWが8mの場合での実施形態を詳述する。
尚、本発明スラブを有効短辺スパン長SWが8mの場合は、構造計算により、コンクリート厚肉部SBの幅WBは900mm、厚さS1は270mmで従来のフラットスラブ厚と略同厚、コンクリート薄肉部SAの幅WAは900mm、厚さS2は160mmで従来のフラットスラブ厚の略半分厚とし、両側支持体(大梁G)間に配置する引張り、圧縮応力に抗する主筋は、厚肉部SBでは、上端主筋3Uの8本と、下端主筋3Dの8本とを等間隔に、薄肉部SAでは上端主筋4Uを等間隔に3本配置し、各主筋3U,3D,4Uの端部を、上端主筋3Uは径の35倍長、下端主筋3Dは径の25倍長、4Uは150mm長、大梁G内に定着すれば、本発明が好適に実施出来る。
〔厚肉パネル(図2)〕
厚肉パネル1は、図1の如く、床スラブSのコンクリート薄肉部SAを幅WAが900mmに形成するものであり、図2(A)は、厚肉パネル1の斜視図であり、図2(B)は図2(A)の矢印B視図であり、図2(C)は図2(A)の矢印C視図である。
厚肉パネル1は、幅W1が870mmで長さL1(標準寸法)が1820mmであり、厚さT3が9mmの構造用パネル(典型的にはOSBパネル)から成る内装材1a上に、厚さT1が150mm、幅900mmのビーズ法ポリエチレンフォーム断熱材1bを層着したものである。
そして、断熱材1bには、図2(B),(C)に示す如く、両側面1Sでは、下端から高さh1が50mmの位置まで、両側に上部が15mmの段差d0で突出すると共に、上面両側に、一辺が50mmの二等辺三角形状に切欠したテーパーtaを備えており、長手方向両端1Eでは、下端から高さh1が50mmの位置で、一端が15mmの段差d1で突出し、他端が15mmの段差d1で入り込んだ形状である。
そして、内装材1aに面した形態で、高さ25mm、幅80mmの電気配線用、及び給水管配管用の貫通孔1Hを、幅中央部に1本長手方向に貫通し、幅方向には等間隔(端部から150mmで300mm間隔)に6本の貫通孔1Hを、長手方向貫通孔1Hと交差連通させた構造である。
厚肉パネル1の製作は、厚さ150mm、幅900mmで断面短形のビーズ法ポリスチレンフォームボードに、上面両側には一辺50mmの二等辺三角形状の切落しテーパーtaを、下面両側には各高さh1が50mmで段差d0が15mmの切欠1Cを、それぞれ長手方向に切削加工し、底面には所定位置に幅80mm、高さ25mmの貫通孔1Hを、凹条溝形態で長手方向及び幅方向に切削加工し、870mm幅のOSB(オリエンテッド、ストランド、ボード)内装材1a上に接着一体化すれば、上面視で断熱材1bの幅W1が900mm、且つ両側下面が15mmの段差の切欠1Cを備えた厚肉パネル1が得られる。
勿論、断熱材2bをOSB上に層着後に機械切削加工しても良い。
〔薄肉パネル(図3)〕
薄肉パネル2は、図1の如く、床スラブSの厚肉部SBを幅WBが900mmに形成するものであり、図3(A)は薄肉パネル2の斜視図であり、図3(B)は図3(A)の矢印B視図、図3(C)は図3(A)の矢印C視図である。
薄肉パネル2は、図5(A)の如く、厚肉パネル1の両側の段差d0(15mm)への入り込み代を備えた、幅W2が930mm、長さL2が1820mm(標準長)、厚さ9mmのOSB製内装材2a上に、厚さT2が50mmのビーズ法ポリエチレンフォーム断熱材2bを層着したものであり、両側面2Sは平坦で、長手方向両端2Eは、断熱材2bの上半で、一端には15mm段差d2の突出を、他端には15mm段差d2の入り込みを形成し、パネル2の長手方向での相欠き接合可能とする。
また、断熱材2bには、幅方向の高さ25mm、幅80mmの貫通孔2Hを等間隔に6本、厚肉パネル1の幅方向貫通孔1Hと対向接続可能に配置し、パネル2の幅中央部では長手方向に、上幅120mm、下幅80mmで断面逆凸形の構2Gを形成し、溝2G上に閉止用の断熱材2cで蓋をすれば、溝2Gが貫通孔2Hと同一断面形状の貫通孔形態と出来る構造である。
パネル2の製作は、OSB上に断熱材2bを層着した後、断熱材2bへの機械切削加工によって、貫通孔2H、溝2G、段差d2を形成すれば良いが、予め長手方向対称形態に機械切削加工した2分割断熱材2bをOSB上に接着しても良い。
〔床スラブ下型枠形成〕
図7(A)の如く、パイプサポート5Cで大引5B、根太5Aを支持し、根太5A上には、一方向スラブのスラブ面の短辺スパン方向両側の支持体(大梁G)間に、厚肉パネル1及び薄肉パネル2を交互に差し渡し状に配置し、各パネル1,2の断熱材1b,2bが打設コンクリートを漏れなく受け止るように、且つ各パネル1,2の下面の内装材1a,2aが隙間なく、面一形態となるように配置する。
図4、図5に示す如く、厚肉パネル1と薄肉パネル2との側面当接による交互配置は、厚肉パネル1両側1Sの切欠1Cの段差d0(高さ50mm、幅15mm)に薄肉パネル2の両側2Sが各15mm入り込んで、幅方向接続部JWが屈折当接面を形成する形態に、且つ、厚肉パネル1の幅方向貫通孔1Hの6本が、薄肉パネル2の幅方向貫通孔2H(6本)と連通形態に配置する。
そして、各パネル1,2の長手方向接続は、厚肉パネル1相互にあっては、図6(A)に示す如く、断熱材1bの両端1Eの段差d1(15mm)による相欠け接合で達成し、長手方向中央の貫通孔1Hも連通接続し、薄肉パネル2相互にあっては、図6(B)に示す如く、断熱材2bの両端2Eの段差d2(15mm)による相欠け接合で達成し、長手方向中央の溝2Gも連通接続し、長手方向接続部JLが屈折当接面を形成する形態に配置して、厚肉パネル1の根太5Aへの釘固定によりパネル1,2による床スラブ下型枠を形成する。
また、大径配管の必要な位置の厚肉パネル1には、図4に示す如く、中央部に180mm前後の広幅の断面逆凸形状の条溝7Gを開設し、両側面7Sには、図4(C)の如く、水平辺8F及び垂直辺8Wから成るTバー8によって内装材7aを配置し、底面は内装材7a片を着脱可能に水平辺8F上に載置して大径管配管用のピット7を予め配置しておく。
次いで、下型枠兼用のパネル1,2内に縦横に連通する貫通孔1H,2H、及び目視可能に開放した条溝2G,7Gを介して必要な電気配線、配管を施工し、排気管等の大径管はピット7を介して配置し、配線、配管後に、薄肉パネル2の条溝2G上には図5(A)の如く、断熱材2c(幅120mm、厚さ25mm)によって蓋をし、ピット7の条溝7G上には25mm厚の断熱材7cによって蓋をし、床スラブ下面型枠を構成したパネル1,2の外方に開口した配線、配管済みの貫通孔1H,2H、条溝2G,7Gの外端は、図示しない断熱材片及び粘着テープで、コンクリートが流入しないように閉止する。
〔配筋(図7)〕
図7(B)、(イ)に示す如く、クランク形態に屈曲してコンクリート薄肉部SAに対応する上部caと、コンクリート厚肉部SBに対応する下部cbを形成した径10mmの異形棒鋼の床スラブ筋4Cを、間隔200mmで各パネル1,2上を横断する形態に配置し、床スラブ筋4Cに添えて、径10mmの異形棒鋼のスターラップ筋4Aを間隔1000mmで薄肉パネル2上(コンクリート厚肉部SB)に配置し、床スラブ筋4Cの下部cb及びスターラップ筋4Aに直交して16mm径の異形棒鋼である下端主筋3Dを約120mm間隔で8本載置し、結束線で固定する。
また、スラーラップ筋4Aの上辺下面に、下端主筋3Dと同一の異形棒鋼を上端主筋3Uとして約120mm間隔で8本配置し、結束線で固定する。
そして、スターラップ筋4A下辺、若しくは、床スラブ筋4Cの下部cbと、スラーラップ筋4A上辺、若しくは、上端主筋3Uとを、径10mm異形棒鋼のステッキ筋4Bを適宜配置して上端主筋3Uの位置を保持する。
また、コンクリート薄肉部SA、即ち、厚肉パネル1上には、径10mmの異形棒鋼である上端主筋4Uを床スラブ筋4Cに直交して約250mm間隔で3本配置する。
また、図7(B)、(ニ)に示すように、イナズマ形態に屈曲した、10mm径の異形棒鋼で、傾斜部長が145mm、上下両水平部長が150mmのイナズマ筋4Eを、厚肉パネル1と薄肉パネル2との境界上、即ち、コンクリート薄肉部SAとコンクリート厚肉部SBとの接合部上の適所に配置して、床スラブ筋4Cの上部caと下部cbに固定する。
また、床スラブSの曲げモーメント作用を負担する各主筋3U,4U,3Dの端部は、コンクリート厚肉部SBにあっては、図7(B)、(ホ)に示す如く、上端主筋3Uは大梁G内に径(16mm)の35倍長(560mm)を、下端主筋3Dは大梁G内に径(16mm)の25倍長(400mm)を、コンクリート薄肉部SAの上端主筋4Uは大梁G内に150mm長が定着するように配置する。
〔形成床スラブ(図1)〕
床スラブ型枠を厚肉パネル1及び薄肉パネル2の交互配置により形成し、配筋した壁W、大梁G、床スラブSの型枠に、コンクリートの接着性の確保、及びコンクリート表面の美観のために慣用の散水を施して型枠を湿潤した後、コンクリート(設計基準強度270kg/cm)を打設し、固化コンクリートの強度発現を確認して型枠を解体すれば所望のフラット床スラブが得られる。
得られる床スラブは、図1の如く、厚肉パネル1上にはコンクリート薄肉部SAが、薄肉パネル2上にはコンクリート厚肉部SBが一体化形成され、床スラブ表面Sfが平滑であり、床スラブ下面は、OSB製内装材1aを平坦に張設した形態となり、コンクリート薄肉部SAによって使用コンクリート量が低減出来ると共に、コンクリート厚肉部SBの厚さS1も、有効短辺スパン長SW(8m)の約1/30であって従来のフラットスラブ厚と近似の厚さとなり、小梁が存在しないために内装材1a,2aを備えた全スラブ厚が従来物より薄くなり、居住空間が広くなって、居住性の良い床スラブとなる。
即ち、得られる床スラブSは、床スラブ面の短辺スパン長8mで、コンクリート厚肉部SBは、幅WBが900mm、厚さS1が従来の小梁の無いフラットスラブと略同厚の270mmであり、コンクリート薄肉部SAは、幅WAが900mm、厚さS2が従来の小梁の無いフラットスラブの略半分厚の160mmで、且つコンクリート厚肉部SBとコンクリート薄肉部SAとが交互に両側支持体(大梁G)間に張設され、下面が内装材1a,2aで平坦化し、且つ断熱材1b,2bで、熱的に保護された一方向コンクリート床スラブとなる。
また、各パネル1,2の接続部では、厚肉パネル1相互の長手方向接続部JLは、図6(A)の如く、薄肉パネル2相互の長手方向接続部JLは、図6(B)の如く、断熱材端部の相欠け接合形態であり、厚肉パネル1と薄肉パネル2との側面での幅方向接続部JWが、図5の如く、薄肉パネル断熱材2bが厚肉パネル断熱材1b側面に入り込み形態での接合であり、各パネルの根太への固定に際しても、厚肉パネル1のみの釘固定で薄肉パネル2も押圧固定出来るため、パネル1,2の張設作業が容易である。
そして、各パネル1,2の断熱材1a,2aの接合当接界面が全て屈折界面となるため、打設コンクリートのパネル1,2の接合部JL,JWからの漏出が阻止出来、内装材1a,2aの汚損が抑制出来る。
また、厚肉パネル1の断熱材1aは、上面両側にテーパーtaを備えているため、型枠組立作業時等での断熱材(ポリスチレンフォーム板)1bの端縁部での破損が抑制出来て作業性が向上すると共に、コンクリート薄肉部SAとコンクリート厚肉部SBとの接続部に補強作用を奏するハンチが形成出来、内部に配置したイナズマ筋4Eの存在と相俟って、コンクリート薄肉部SAからのコンクリート厚肉部SBへの応力伝達がスムーズとなる。
従って、得られる床スラブSは、コンクリート薄肉部SAとコンクリート厚肉部SBとが等幅、且つ幅広(900mm)であるため、コンクリート薄肉部SAの応力は両側のコンクリート厚肉部SBへ、床スラブ面全面に亘って均斉に伝達出来、応力負担するコンクリート厚肉部SBも、床スラブ全面に亘って900mm間隔毎に大梁Gに均等分割形態での応力伝達となるため、大梁Gへの強大応力の局所集中が避けられ、従来のT型スラブの如く、小梁から大梁への局所集中型の応力伝達に起因する、地震時に於ける大梁Gのねじれや、たわみが抑制出来るため、床スラブへのひび割れ影響が抑制出来る。
その上、断熱材1a,2a層は、下方空間(室内)とスラブコンクリート間の断熱機能を奏すると共に、内在する縦横配置の貫通孔形態の条溝1H,2H,2G,7Gが床スラブSの衝撃音を吸収するので、床スラブSは剛性を高めて重量衝撃音を吸収し、軽量衝撃音は条溝1H,2H,2G,7Gで吸収する遮音性に優れた床スラブが提供出来る。
しかも、厚肉パネル1及び薄肉パネル2が型枠兼用内装材であるため、型枠の解体作業が合理化出来、各パネル1,2内に所望の配線、配管が存在するため、及び、コンクリートスラブに突出梁が存在しないため、従来の如く、排水工事、換気工事での梁貫通工事が無く、床スラブ形成後の内装作業が合理化出来ると共に、内装作業過程での床スラブ内装材1a,2aの損傷も抑制出来、床スラブの施工費が低減出来る。
また、厚肉パネル1及び薄肉パネル2を張設したスラブ下型枠は、配線、配管用の幅80mm、高さ25mmの貫通孔1H,2H,2G,7Gが縦横に定間隔で連通しているため、配線、配管は自在であり、一定間隔毎に存在する条溝2G,7Gは、配線、配管作業時は、蓋2c,7cを開放した状態の目視作業となるため、配線、配管作業も容易である。
また、厚肉パネル1と薄肉パネル2との採用により、床スラブSの薄肉部SAと厚肉部SBの形成が容易であり、コンクリート薄肉部SAは勿論、コンクリート厚肉部SBも床スラブであるので、コンクリート厚肉部SBへの配筋も従来のフラットスラブの小梁に比して、主筋3U,3Dも細径、軽量品の使用となって配筋作業が容易であり、床スラブSの厚肉部SB下面と薄肉部SA下面の段差S3も、従来の小梁下面と床スラブ下面との段差より遥かに小さいので、配筋組立の作業性も良い。
〔その他〕
床スラブコンクリート内への配筋は、図7の実施例にかえて、図8に示す如く、床スラブ筋4Cを直線形態とし、コンクリート厚肉部SBの下端主筋3Dは、図8(B)、(ロ)の如く、上部両端に水平のアンカー片4A´を備えたかご筋(スターラップ筋)4Aで支承しても良く、この場合、配筋の作業性が向上する。
また、薄肉パネル2の溝2Gや厚肉パネル1の溝7G等、上部を蓋で閉止した部位が雨水や、型枠への散水等で水の入る恐れのある場合は、必要に応じて溝2G,7G底面に水抜き用の小孔(図示せず)を配置すれば良い。
また、配管用ピット7は、図4の実施例では、排気管等の大径管配管用の貫通溝7Gとしたが、ピット7は、使用目的に応じて配置出来、例えば、電線や給水管の接続部での故障時の点検、修理用として一辺が300mm程度の正方形の天井点検口(慣用品は300mm角、450mm角etc.がある)のスペースとして、厚肉パネル1の断熱材1bに配置し、ピット内側面の内装材7aに開口を施して貫通孔1Hとピット7を連通させれば良い。
本発明は、床スラブの中間でスラブ長辺スパン方向SLに、柱又は耐力壁と大梁Gとを配置すれば、大面積床スラブの建物が構築出来る。
また、ラーメン構造の建物に採用すれば、スパン間隔SWの大きな床スラブであっても、床スラブを支持する小梁が不要と出来る。
また、本発明床スラブは、両端辺の大梁以外には、大梁、小梁が室内に突出しないため、例えば、1階が車庫や店舗などの空間の必要な使用とし、2階が賃貸住宅のような小さな間取り使用とし、3階が居住スペースを要する個人住宅使用とするなど、複数階でのそれぞれ異なる用途の建物にも対応出来る。
また、図1の如く、壁W及び梁Gの断熱材6と、床スラブパネル1,2の断熱材1b,2bとを連続させることにより、高断熱で遮音性(コンクリートと断熱材の一体化による重量衝撃音の遮音性)の優れた居住空間が形成出来る。
また、厚肉パネル1のピット7を介して分電盤を天井に配置し、貫通孔1H,2H、条溝2G,7Gで配線使用することにより、分電盤の壁や玄関口への取付けの必要がなくなる。
本発明のフラット床スラブの一部切欠斜視図である。 厚肉パネルの説明図であって、(A)は斜視図、(B)は(A)の矢印B視図、(C)は(A)の矢印C視図である。 薄肉パネルの説明図であって、(A)は斜視図、(B)は(A)の矢印B視図、(C)は(A)の矢印C視図である。 床スラブ断面図であって、(A)は図1のA−A断面図、(B)は(A)の部分拡大図、(C)は(B)のC部拡大図である。 床スラブ断面図であって、(A)はコンクリート厚肉部SBの説明図、(B)はコンクリート薄肉部SAの説明図である。 パネル接続部の断面図であって、(A)は厚肉パネル相互の長手方向接続部の、(B)は薄肉パネル相互の長手方向接続部の説明図である。 床スラブ型枠形成説明図であって、(A)は形成型枠の縦断面図、(B)は各使用鉄筋の説明図であり、(C)は使用主筋の末端説明図である。 床スラブ型枠の変形例図であって、(A)は形成型枠の縦断面図、(B)は各使用鉄筋の説明図である。 本発明床スラブでパネルを省略した下方からの斜視図であって、(A)は壁式構造の躯体に適用した図、(B)はラーメン構造の躯体に適用した図である。 従来例1の説明図であって、(A)は平面図、(B)は縦断面図である。 従来例2の説明図であって、(A)は型枠兼用内装下地ボードの斜視図、(B)は形成床スラブの縦断面図である。
符号の説明
1 厚肉パネル
1a,2a 内装材(OSB)
1b 厚肉断熱材(断熱材)
2b 薄肉断熱材(断熱材)
1C 切欠(切込み)
1E 厚肉パネル端辺(両端)
1S 厚肉パネル側辺(側面)
2E 薄肉パネル端辺(両端)
2S 薄肉パネル側辺(側面)
1H,2H 貫通孔(配線、配管用孔、条溝)
2 薄肉パネル
2c,7c 断熱材(閉止用断熱材、蓋)
2G,7G 溝(配線、配管用溝、条溝)
3D 下端主筋(主筋)
3D´,3U´ 主筋端部(末端)
3U,4U 上端主筋(主筋)
4A スターラップ筋(かご筋)
4A´ アンカー片
4B ステッキ筋
4C 床スラブ筋
4E イナズマ筋
5A 根太
5B 大引
5C パイプサポート
6 壁(梁)断熱材
7 配管用ピット
7a 内装材
7S ピット側面
8 Tバー
8a ねじ
8F 水平辺
8W 垂直辺
G 大梁
S スラブコンクリート(コンクリートスラブ、床スラブ)
Sf スラブ表面(表面)
SA コンクリート薄肉部
SB コンクリート厚肉部
T1,T2 断熱材厚さ
T3 内装材厚さ
SL スラブ長辺スパン長
SW スラブ短辺スパン長(短辺スパン長)
S1 コンクリート厚肉部厚(コンクリート厚)
S2 コンクリート薄肉部厚(コンクリート厚)
S3 コンクリート厚段差
d0,d1,d2 段差
JL 長手方向接続部(接続部)
JW 幅方向接続部(接続部)
W コンクリート壁(耐力壁)
WA コンクリート薄肉部幅
WB コンクリート厚肉部幅
CP コンクリート柱(柱)
ta テーパー

Claims (11)

  1. 略等幅のコンクリート薄肉部(SA)とコンクリート厚肉部(SB)とを、交互に、床スラブ短辺スパン方向に配向した表面(Sf)の平坦な一方向スラブであって、コンクリートスラブ(S)の下面のコンクリート薄肉部(SA)には、内装材(1a)上に厚肉断熱材(1b)を層着した厚肉パネル(1)が、コンクリート厚肉部(SB)には、内装材(2a)上に薄肉断熱材(2b)を層着した薄肉パネル(2)が、各パネル(1,2)の断熱材(1b,2b)が接合形態でコンクリートスラブ(S)に一体化固定してコンクリート床スラブ(S)下面を断熱材(1b,2b)層で被覆し、且つ、配線、配管用の条溝(1H,2H,2G)群が各断熱材(1b,2b)を貫通している鉄筋コンクリート建物のフラット床スラブ。
  2. コンクリート厚肉部(SB)は、厚さ(S1)がコンクリートスラブ短辺スパン長(SW)の1/25〜1/30であり、幅(WB)が短辺スパン長(SW)の略1/9であり、コンクリート薄肉部(SA)は、厚さ(S2)がコンクリート厚肉部の厚さ(S1)の50〜60%で、且つ少なくとも80mm以上である、請求項1のフラット床スラブ。
  3. コンクリート厚肉部(SB)は、厚肉部(SB)の長さ方向に配向した上端主筋(3U)群と下端主筋(3D)群とを備え、コンクリート薄肉部(SA)は、薄肉部長さ方向に配向した主筋(4U)群を備え、上端主筋端部(3U´)が筋径の35倍強の長さを、下端主筋端部(3D´)が筋径の25倍強の長さを、主筋(4U)の端部が筋径の10倍強の長さを大梁(G)内に定着した、請求項1又は2のフラット床スラブ。
  4. クランク形態に屈曲してコンクリート薄肉部(SA)に対応する上部(ca)とコンクリート厚肉部(SB)に対応する下部(cb)を形成した床スラブ筋(4C)を、コンクリート厚肉部(SB)の下端主筋(3D)とコンクリート薄肉部(SA)の主筋(4U)とに直交配置した、請求項3のフラット床スラブ。
  5. コンクリート厚肉部(SB)とコンクリート薄肉部(SA)の接続部をイナズマ筋(4E)で補強した、請求項1乃至4のいずれか1項のフラット床スラブ。
  6. 各条溝(1H,2H,2G)が内装材(1a,2a)に面したパネル(1,2)の長手方向及び幅方向の直交配置であり、厚肉パネル(1)、及び/又は、薄肉パネル(2)の接続部(JL,JW)で各条溝(1H,2H,2G)が対応連通している、請求項1乃至5のいずれか1項のフラット床スラブ。
  7. 厚肉パネル(1)、及び/又は、薄肉パネル(2)の接合が、断熱材(1b)、及び/又は、断熱材(2b)相互の屈折面接合である、請求項1乃至6のいずれか1項のフラット床スラブ。
  8. 厚肉パネル(1)は、両側(1S)では下半の切欠(1C)によって断熱材(1b)が突出段差(d0)を備え、薄肉パネル両側(2S)が厚肉パネル両側(1S)の突出段差(d0)に嵌入した、請求項7のフラット床スラブ。
  9. 薄肉パネル(2)は幅中央部に長手方向に貫通する断面逆凸形状の条溝(2G)を備え、閉止用断熱材(2c)で条溝(2G)の上面を閉止した、請求項1乃至8のいずれか1項のフラット床スラブ。
  10. 厚肉パネル(1)は、厚肉断熱材(1b)の適所に、条溝(1H)に連通するピット(7)を配置した、請求項1乃至9のいずれか1項のフラット床スラブ。
  11. 厚肉パネル(1)は、厚肉断熱材(1b)の適所に、長手方向に貫通する断面逆凸形状の条溝(7G)を備え、閉止用断熱材(7c)で条溝(7G)の上面を閉止した、請求項1乃至10のいずれか1項のフラット床スラブ。
JP2004020866A 2004-01-29 2004-01-29 鉄筋コンクリート造建物のフラット床スラブ Expired - Fee Related JP3862269B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004020866A JP3862269B2 (ja) 2004-01-29 2004-01-29 鉄筋コンクリート造建物のフラット床スラブ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004020866A JP3862269B2 (ja) 2004-01-29 2004-01-29 鉄筋コンクリート造建物のフラット床スラブ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005213836A true JP2005213836A (ja) 2005-08-11
JP3862269B2 JP3862269B2 (ja) 2006-12-27

Family

ID=34904669

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004020866A Expired - Fee Related JP3862269B2 (ja) 2004-01-29 2004-01-29 鉄筋コンクリート造建物のフラット床スラブ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3862269B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005297981A (ja) * 2004-04-07 2005-10-27 Japan Crown Cork Co Ltd 容器蓋
CN103290922A (zh) * 2013-05-23 2013-09-11 北京工业大学 一种工业化装配式柱贯通梁实腹式钢结构框架体系
CN114541766A (zh) * 2022-03-07 2022-05-27 中建八局第二建设有限公司 一种控制楼板厚度模具及方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005297981A (ja) * 2004-04-07 2005-10-27 Japan Crown Cork Co Ltd 容器蓋
CN103290922A (zh) * 2013-05-23 2013-09-11 北京工业大学 一种工业化装配式柱贯通梁实腹式钢结构框架体系
CN103290922B (zh) * 2013-05-23 2015-11-25 北京工业大学 一种工业化装配式柱贯通梁实腹式钢结构框架体系
CN114541766A (zh) * 2022-03-07 2022-05-27 中建八局第二建设有限公司 一种控制楼板厚度模具及方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3862269B2 (ja) 2006-12-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4625484A (en) Structural systems and components
US7752819B2 (en) Assemblage concrete system and methods of constructing thereof
US8607523B2 (en) Building that uses composite light-weight panels for structure and a construction method therefor
WO2007134518A1 (fr) Système de structure de bâtiment en béton pour isolation autochauffante
US20080104913A1 (en) Lightweight Concrete Wall Panel With Metallic Studs
JP3775671B2 (ja) 鉄筋コンクリート造外断熱建物に於けるバルコニー
CN113833190A (zh) 一种全预制楼板及其连接节点结构、装配式建筑结构
EA013175B1 (ru) Наружная стена многоэтажного каркасного здания системы аркос и способ ее возведения
KR20150060107A (ko) 단열콘크리트 구조 및 시공방법
JP3621048B2 (ja) 鉄筋コンクリート造の外断熱建築物
JP3121654U (ja) 片持ち支持バルコニー構築用z筋パネル、及びバルコニーを備えた外壁構造
JP3862269B2 (ja) 鉄筋コンクリート造建物のフラット床スラブ
JP2002339451A (ja) プレキャストコンクリート板およびその製造方法、バルコニー用プレキャストコンクリート板、外断熱構造物
JPS5953428B2 (ja) コンクリ−ト型材
CN109853804B (zh) 一种应用于钢结构房屋的装配式钢砼组合楼盖
KR100383152B1 (ko) 철골조 및 스틸하우스의 시공방법 및 구조
JP3849447B2 (ja) 高層建物の軸組構造
JP4488371B2 (ja) 外断熱プレキャストコンクリート壁体の製造法
US20210032855A1 (en) Construction System
US20060185283A1 (en) Interlocking construction panel showing fabrication thereof and the building system
JP2009155868A (ja) 建築構造物
CN216195869U (zh) 一种全预制楼板及其连接节点结构、装配式建筑结构
KR102209700B1 (ko) 벽식 구조 공동주택의 프리캐스트형 중공슬래브 시공방법 및 프리캐스트 중공슬래브 시스템
JP3627927B2 (ja) 鉄筋コンクリート造の外断熱建築物
JP7401377B2 (ja) 木造建物の床パネル

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20051118

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060720

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060824

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060925

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060925

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091006

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101006

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101006

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111006

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121006

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131006

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees