JP2005213544A - 磁場中成形方法及び希土類焼結磁石の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 希土類焼結磁石の配向性を向上させることのできる磁場中成形法を提供する。
【解決手段】 本発明の磁場中成形方法は、磁性粉末を金型内に充填する工程と、減衰振動するパルス磁場を印加することにより金型内に充填された磁性粉末を配向させ、かつ磁性粉末を加圧成形する工程と、を備えている。減衰振動するパルス磁場を印加することにより、配向性を向上させることができる。このパルス磁場は、極性を変えることが望ましく、さらに1T(絶対値)以上の磁場を10μs〜0.5s印加することが望ましい。そうすることにより、配向性が向上された希土類焼結磁石を得ることができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、希土類焼結磁石の製造方法に関し、特に磁場中成形による配向性の改善に関するものである。
Sm−Co系又はNd−Fe−B系の異方性焼結磁石を製造する際には、成形を磁場中で行なう。異方性焼結磁石の残留磁束密度を向上させるためには、磁場中成形の際の配向性を向上させることが 重要である。配向性が高くなれば、角形性が向上して高残留磁束密度が得られ、着磁率も改善される。また、成形体の機械的強度も向上する。
そこで、特開昭61−208809号公報(特許文献1)は、Nd−Fe−B系焼結磁石製造の際に添加剤としてステアリン酸マグネシウムを用い、かつ成形時にパルス磁場を印加することを提案している。
また、特許第3307418号公報(特許文献2)には、磁石粉末の圧粉体の相対密度が30〜55%の範囲内にあるときにパルス磁界を印加する方法が開示されており、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑離型剤を用いなくても配向性を向上できることが開示されている。
そこで、特開昭61−208809号公報(特許文献1)は、Nd−Fe−B系焼結磁石製造の際に添加剤としてステアリン酸マグネシウムを用い、かつ成形時にパルス磁場を印加することを提案している。
また、特許第3307418号公報(特許文献2)には、磁石粉末の圧粉体の相対密度が30〜55%の範囲内にあるときにパルス磁界を印加する方法が開示されており、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑離型剤を用いなくても配向性を向上できることが開示されている。
以上のように、希土類焼結磁石の製造にあたって、パルス磁場を印加する磁場中成形を行うことは、残留磁束密度向上のために有効な手段である。ところが、磁場が3T程度の実用的なパルス磁場を選択した場合、静磁場を印加する横磁場成形に比べて配向性が改善されないこともある。印加する磁場を大きくすれば、コイルの発熱の問題、コンデンサにチャージする時間が長くなるなど生産効率を大きく低下させる問題がある。そこで本発明は、以上のような問題を有することなく、パルス磁場を用いて従来よりもさらに配向性を向上させることのできる磁場中成形法及び希土類焼結磁石の製造方法を提供する。
本発明は、磁性粉末を金型内に充填する工程と、減衰振動するパルス磁場を印加することにより金型内に充填された磁性粉末を配向させ、かつ磁性粉末を加圧成形する工程と、を備えることを特徴とする磁場中成形方法により前記課題を解決する。
本発明におけるパルス磁場は、極性を変えて減衰振動するものとすること、さらに1T(絶対値)以上の磁場を10μs〜0.5s印加することが高い配向性を得るために好ましい。また、本発明におけるパルス磁場は、Hを磁場(T)としたとき、磁性粉末からなる圧粉体の密度ρがρ=α×H0.5+β(α=0.63、β=1〜2)の条件を満足する場合に印加することが好ましい。
本発明による磁場中成形方法は、希土類焼結磁石の製造に適用することが好ましく、この場合磁性粉末は希土類焼結磁石製造用の合金粉末とすればよい。
本発明におけるパルス磁場は、極性を変えて減衰振動するものとすること、さらに1T(絶対値)以上の磁場を10μs〜0.5s印加することが高い配向性を得るために好ましい。また、本発明におけるパルス磁場は、Hを磁場(T)としたとき、磁性粉末からなる圧粉体の密度ρがρ=α×H0.5+β(α=0.63、β=1〜2)の条件を満足する場合に印加することが好ましい。
本発明による磁場中成形方法は、希土類焼結磁石の製造に適用することが好ましく、この場合磁性粉末は希土類焼結磁石製造用の合金粉末とすればよい。
本発明を希土類焼結磁石の製造方法に適用することができる。すなわち本発明は、磁石原料粉末からなる圧粉体に極性変化を伴う連続したパルス磁場を含む磁場を印加する磁場中成形工程と、磁場中成形工程で得られた成形体を所定温度で保持する焼結工程と、焼結工程で得られた焼結体に時効熱処理を施す熱処理工程と、を備えることを特徴とする希土類焼結磁石の製造方法も提供する。ここで、パルス磁場は、減衰振動するものとすることが好ましい。また、静磁場又はその他のパルス磁場を併用してもよい。
本発明の希土類焼結磁石の製造方法において、磁石原料粉末を所定密度まで加圧成形して得られた圧粉体に対してパルス磁場を印加し、パルス磁場の印加が終了した後にさらに加圧成形することにより、焼結に供する成形体を得ることが好ましい。
本発明が適用される希土類焼結磁石は限定されないが、R−TM−B系焼結磁石(Rは希土類元素の1種又は2種以上、TMはFe、又はFe及びCo)に適用することが最も好ましい。
本発明の希土類焼結磁石の製造方法において、磁石原料粉末を所定密度まで加圧成形して得られた圧粉体に対してパルス磁場を印加し、パルス磁場の印加が終了した後にさらに加圧成形することにより、焼結に供する成形体を得ることが好ましい。
本発明が適用される希土類焼結磁石は限定されないが、R−TM−B系焼結磁石(Rは希土類元素の1種又は2種以上、TMはFe、又はFe及びCo)に適用することが最も好ましい。
本発明によれば、減衰振動するパルス磁場、さらには極性が変化するパルス磁場を用いて磁場中成形を行うため、配向性を向上させることができる。加えて本発明によれば、減衰振動するパルス磁場を用いて磁場中成形を行うため、磁場中成形後の脱磁を省略することができる。
以下本発明を具体的な実施の形態に基づいて説明する。
<対象となる磁石>
本発明はR−TM−B系焼結磁石、R−Co系焼結磁石に適用することができる。具体的な組成は用途等に応じ選択される。
R−TM−B系焼結磁石の場合、R:20〜40wt%、B:0.5〜4.5wt%、TM:残部となるような配合組成とすることが好ましい。ここで、RはYを含む概念を有しており、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Lu及びYの1種又は2種以上から選択される。Rの量が20wt%未満であると、R−TM−B系焼結磁石の主相となるR2Fe14B相の生成が十分ではなく軟磁性を持つα−Feなどが析出し、保磁力が著しく低下する。一方、Rが40wt%を超えると主相であるR2Fe14B相の体積比率が低下し、残留磁束密度が低下する。またRが酸素と反応し、含有する酸素量が増え、これに伴い保磁力発生に有効なR−リッチ相が減少し、保磁力の低下を招くため、Rの量は20〜40wt%とする。Ndは資源的に豊富で比較的安価であることから、Rとしての主成分をNdとすることが好ましい。
また、ホウ素Bが0.5wt%未満の場合には高い保磁力を得ることができない。ただし、ホウ素Bが4.5wt%を超えると残留磁束密度が低下する傾向がある。したがって、上限を4.5wt%とする。好ましいホウ素Bの量は0.5〜1.5wt%である。
さらに、保磁力を改善するために、Mを加えてR−TM−B−M系の希土類焼結磁石とすることもできる。ここで、Mとしては、Al、Cr、Mn、Mg、Si、Cu、C、Nb、Sn、W、V、Zr、Ti、Mo、Bi、Ag及びGaなどの元素を1種又は2種以上添加することができる。
<対象となる磁石>
本発明はR−TM−B系焼結磁石、R−Co系焼結磁石に適用することができる。具体的な組成は用途等に応じ選択される。
R−TM−B系焼結磁石の場合、R:20〜40wt%、B:0.5〜4.5wt%、TM:残部となるような配合組成とすることが好ましい。ここで、RはYを含む概念を有しており、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Lu及びYの1種又は2種以上から選択される。Rの量が20wt%未満であると、R−TM−B系焼結磁石の主相となるR2Fe14B相の生成が十分ではなく軟磁性を持つα−Feなどが析出し、保磁力が著しく低下する。一方、Rが40wt%を超えると主相であるR2Fe14B相の体積比率が低下し、残留磁束密度が低下する。またRが酸素と反応し、含有する酸素量が増え、これに伴い保磁力発生に有効なR−リッチ相が減少し、保磁力の低下を招くため、Rの量は20〜40wt%とする。Ndは資源的に豊富で比較的安価であることから、Rとしての主成分をNdとすることが好ましい。
また、ホウ素Bが0.5wt%未満の場合には高い保磁力を得ることができない。ただし、ホウ素Bが4.5wt%を超えると残留磁束密度が低下する傾向がある。したがって、上限を4.5wt%とする。好ましいホウ素Bの量は0.5〜1.5wt%である。
さらに、保磁力を改善するために、Mを加えてR−TM−B−M系の希土類焼結磁石とすることもできる。ここで、Mとしては、Al、Cr、Mn、Mg、Si、Cu、C、Nb、Sn、W、V、Zr、Ti、Mo、Bi、Ag及びGaなどの元素を1種又は2種以上添加することができる。
R−Co系焼結磁石は、Rと、Fe、Ni、MnおよびCrから選ばれる1種以上の元素と、Coとを含有する。この場合、好ましくはさらにCuまたは、Nb、Zr、Ta、Hf、TiおよびVから選ばれる1種以上の元素を含有し、特に好ましくはCuと、Nb、Zr、Ta、Hf、TiおよびVから選ばれる1種以上の元素とを含有する。これらのうち特に、SmとCoとの金属間化合物、好ましくはSm2Co17金属間化合物を主相とし、粒界にはSmCo5系を主体とする副相が存在する。具体的組成は、製造方法や要求される磁気特性等に応じて適宜選択すればよいが、例えば、R:20〜30wt%、特に22〜28wt%程度、Fe、Ni、MnおよびCrの1種以上:1〜35wt%程度、Nb、Zr、Ta、Hf、TiおよびVの1種以上:0〜6wt%、特に0.5〜4wt%程度、Cu:0〜10wt%、特に1〜10wt%程度、Co:残部の組成が好ましい。
<原料合金>
希土類焼結磁石を得るための原料合金は、例えば、ストリップキャスト法により得ることができる。ストリップキャスト法は、原料金属をArガス雰囲気などの非酸化雰囲気中で溶解して得た溶湯を回転するロールの表面に噴出させる。ロールで急冷された溶湯は、薄板または薄片(鱗片)状に急冷凝固される。この急冷凝固された合金は、結晶粒径が1〜50μmの均質な組織を有している。原料合金は、ストリップキャスト法に限らず、高周波誘導溶解等の溶解法によって得ることができる。なお、溶解後の偏析を防止するため、例えば水冷銅板に傾注して凝固させることができる。また、還元拡散法によって得られた合金を原料合金として用いることもできる。
希土類焼結磁石を得るための原料合金は、例えば、ストリップキャスト法により得ることができる。ストリップキャスト法は、原料金属をArガス雰囲気などの非酸化雰囲気中で溶解して得た溶湯を回転するロールの表面に噴出させる。ロールで急冷された溶湯は、薄板または薄片(鱗片)状に急冷凝固される。この急冷凝固された合金は、結晶粒径が1〜50μmの均質な組織を有している。原料合金は、ストリップキャスト法に限らず、高周波誘導溶解等の溶解法によって得ることができる。なお、溶解後の偏析を防止するため、例えば水冷銅板に傾注して凝固させることができる。また、還元拡散法によって得られた合金を原料合金として用いることもできる。
<粉砕工程>
以上の原料合金は、所定の粒径まで粉砕される。粉砕は、粗粉砕と微粉砕の2段階に分けることができる。
粗粉砕は、水素化粉砕又は粗粉砕機により行うことができる。水素化粉砕は、原料合金を常温下で水素含有雰囲気に曝して水素吸蔵させる。水素吸蔵反応は発熱反応であるため、温度上昇に伴って吸蔵水素量が低下することを防止するために、反応容器を冷却する等の手段を適用してもよい。
以上の原料合金は、所定の粒径まで粉砕される。粉砕は、粗粉砕と微粉砕の2段階に分けることができる。
粗粉砕は、水素化粉砕又は粗粉砕機により行うことができる。水素化粉砕は、原料合金を常温下で水素含有雰囲気に曝して水素吸蔵させる。水素吸蔵反応は発熱反応であるため、温度上昇に伴って吸蔵水素量が低下することを防止するために、反応容器を冷却する等の手段を適用してもよい。
水素吸蔵が終了した後に、水素吸蔵が行われた原料合金を加熱保持する脱水素処理が施される。この処理は、永久磁石として不純物となる水素を減少させることを目的として行われる。加熱保持の温度は、200℃以上、望ましくは350℃以上とする。保持時間は、保持温度との関係、原料合金の厚さ等によって変わるが、少なくとも30分以上、望ましくは1時間以上とする。脱水素処理は、真空中又はArガスフローにて行う。なお、水素吸蔵処理、脱水素処理は必須の処理ではない。
粗粉砕はまた、スタンプミル、ジョークラッシャー、ブラウンミル等の粗粉砕機を用い、不活性ガス雰囲気中にて行なうこともできる。
粗粉砕はまた、スタンプミル、ジョークラッシャー、ブラウンミル等の粗粉砕機を用い、不活性ガス雰囲気中にて行なうこともできる。
粗粉砕工程後、微粉砕工程に移る。微粉砕工程では、通常、気流式粉砕機を用いて平均粒径1〜10μm程度まで処理される。なお、成形時の潤滑及び配向性の向上を目的とした脂肪酸又は脂肪酸の誘導体、例えばステアリン酸系やオレイン酸系であるステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等を微粉砕時に添加することができる。
<磁場中成形>
得られた微粉末は磁場中成形に供される。本発明は、この磁場中成形においてパルス磁場を印加する。パルス磁場は、空芯コイルを含む回路にコンデンサバンクに蓄えた電荷を瞬時に放電させて、そのコイルに瞬間大電流を流すことにより発生させる。
本発明においては、減衰振動するパルス磁場を印加する。しかも、このパルス磁場は極性を変えて減衰振動するものであることが好ましい。減衰振動するパルス磁場は、特開2000−182867号公報(特許文献3)に記載されているように、異方性ボンド磁石の磁場中成形を行った後に成形体及び金型の脱磁に用いることは知られている。しかし、本発明のように、焼結磁石を得るための磁場中成形に用いることは新規である。本発明において、減衰振動するパルス磁場を印加することにより配向性が向上するのは、パルス磁場により結晶の容易軸が磁場方向に揃うように磁石粉(微粉末)が動くからである。このとき極性が変化する連続したパルス波形を有するパルス磁場を印加するものとすると、着磁された磁石粉のN、Sの極性に対し着磁装置の極性が反転することによる反発力の発生を伴うので、磁石粉の移動が促進され、配向度が改善される。
得られた微粉末は磁場中成形に供される。本発明は、この磁場中成形においてパルス磁場を印加する。パルス磁場は、空芯コイルを含む回路にコンデンサバンクに蓄えた電荷を瞬時に放電させて、そのコイルに瞬間大電流を流すことにより発生させる。
本発明においては、減衰振動するパルス磁場を印加する。しかも、このパルス磁場は極性を変えて減衰振動するものであることが好ましい。減衰振動するパルス磁場は、特開2000−182867号公報(特許文献3)に記載されているように、異方性ボンド磁石の磁場中成形を行った後に成形体及び金型の脱磁に用いることは知られている。しかし、本発明のように、焼結磁石を得るための磁場中成形に用いることは新規である。本発明において、減衰振動するパルス磁場を印加することにより配向性が向上するのは、パルス磁場により結晶の容易軸が磁場方向に揃うように磁石粉(微粉末)が動くからである。このとき極性が変化する連続したパルス波形を有するパルス磁場を印加するものとすると、着磁された磁石粉のN、Sの極性に対し着磁装置の極性が反転することによる反発力の発生を伴うので、磁石粉の移動が促進され、配向度が改善される。
本発明では、微粉末からなる圧粉体の相対密度が25〜55%、好ましくは30〜40%の範囲内にあるときに減衰振動するパルス磁場を印加することが好ましい。より好ましくは、Hを磁場(T)としたとき前記圧粉体の密度ρがρ=α×H0.5+β(α=0.63、β=1〜2)の条件で、減衰振動するパルス磁場を印加する。なお、圧粉体の密度が以上の範囲外においてもパルス磁場を印加することを妨げない。また、通常、本発明のパルス磁場を印加した後に、さらに加圧成形を施して焼結に供する成形体を得る。
減衰振動するパルス磁場は、1T(絶対値)以上の磁場を10μs〜0.5s印加するものであることが好ましい。磁場強度が1T未満、持続時間が10μsでは十分な配向性を得ることができないからである。また、1T以上の磁場の印加時間が0.5sを超えると、磁場印加用コイルの発熱が大きくなりすぎる傾向にある。そこで、本発明では1T以上の磁場を10μs〜0.5s印加することを推奨する。なお、減衰振動するパルス磁場は、磁場強度が印加初期から徐々に低下する。この低下する過程で1T以上の磁場が10μs〜0.5s印加されていれば足り、その後に1T未満の磁場強度になったとしても本発明に包含されることは言うまでもない。また、単一のパルスにより1T以上の磁場を10μs〜0.5s印加する場合に限らず、複数のパルスにより1T以上の磁場を10μs〜0.5s印加することもできる。
本発明は、加圧方向と磁場印加方向とがほぼ直交するいわゆる横磁場成形法、加圧方向と磁場印加方向とがほぼ一致するいわゆる縦磁場成形法の両者に適用することができる。
本発明は、減衰振動するパルス磁場を印加するため、この過程で磁場中成形を行う金型及び成形体の脱磁を行う工程を省略することができるという利点もある。通常、脱磁は磁場中成形のための一連の処理が終了した後に成形体を金型から取り出す前に行われているが、本発明は減衰振動するパルス磁場を印加することにより配向に引き続いて脱磁を連続的に行うことができる。このように本発明によれば、脱磁が行われた後に、さらに加圧成形を行って、最終的に得たい成形密度の成形体を得るというユニークな磁場中成形方法を提供する。
磁場中成形における成形圧力は0.8〜3ton/cm2(80〜300MPa)の範囲とすればよい。成形圧力は成形開始から終了まで一定であってもよく、漸増または漸減してもよく、不規則変化してもよい。成形圧力が低いほど配向性は良好となるが、成形圧力が低すぎると成形体の強度が不足してハンドリングに問題が生じるので、この点を考慮して上記範囲から成形圧力を選択する。磁場中成形で得られる成形体の最終的な相対密度は、通常、50〜60%である。
<焼結>
磁場中成形後、その成形体を真空又は非酸化性ガス雰囲気中で焼結する。焼結条件は、組成、粉砕方法、平均粒径と粒度分布の違い等、諸条件により調整する必要があるが、900〜1200℃で1〜10時間程度焼結すればよい。
磁場中成形後、その成形体を真空又は非酸化性ガス雰囲気中で焼結する。焼結条件は、組成、粉砕方法、平均粒径と粒度分布の違い等、諸条件により調整する必要があるが、900〜1200℃で1〜10時間程度焼結すればよい。
<時効熱処理>
焼結後、得られた焼結体に350℃以上焼結温度未満の温度で時効処理を施すことができる。この工程は、保磁力を制御する重要な工程である。時効処理を2段に分けて行う場合には、800℃近傍、600℃近傍での所定時間の保持が有効である。800℃近傍での熱処理を焼結後に行うと、保磁力が増大する。また、600℃近傍の熱処理で保磁力が大きく増加するため、時効処理を1段で行う場合には、600℃近傍の時効処理を施すとよい。
焼結後、得られた焼結体に350℃以上焼結温度未満の温度で時効処理を施すことができる。この工程は、保磁力を制御する重要な工程である。時効処理を2段に分けて行う場合には、800℃近傍、600℃近傍での所定時間の保持が有効である。800℃近傍での熱処理を焼結後に行うと、保磁力が増大する。また、600℃近傍の熱処理で保磁力が大きく増加するため、時効処理を1段で行う場合には、600℃近傍の時効処理を施すとよい。
<保護膜形成>
焼結体を得た後に、R−TM−B系焼結磁石には保護膜を形成することが好ましい。R−TM−B系焼結磁石は耐食性が劣るからである。保護膜の形成は、保護膜の種類に応じて公知の手法に従って行えばよい。例えば、電解メッキの場合には、焼結体加工、バレル研磨、脱脂、水洗、酸エッチング、水洗、電解メッキによる成膜、水洗、乾燥という常法を採用することができる。
焼結体を得た後に、R−TM−B系焼結磁石には保護膜を形成することが好ましい。R−TM−B系焼結磁石は耐食性が劣るからである。保護膜の形成は、保護膜の種類に応じて公知の手法に従って行えばよい。例えば、電解メッキの場合には、焼結体加工、バレル研磨、脱脂、水洗、酸エッチング、水洗、電解メッキによる成膜、水洗、乾燥という常法を採用することができる。
ストリップキャスト法により、29.5wt%Nd−0.5wt%Co−1wt%B−bal.Fe合金からなる薄片を作製した。この薄片に室温にて水素を吸蔵させた後、Ar雰囲気中で600℃×1時間の脱水素を行なう、水素粉砕処理を行なった。水素粉砕処理により得られた粉末に、有機潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を0.05wt%添加、混合した。その後、気流式粉砕機にて平均粒径3.6μmまで微粉砕を行なった。
得られた微粉末に対して磁場中成形を行った。磁場中成形は、微粉末をプレス金型に充填し、上パンチを降下させて所定の密度となるよう調整した後にパルス磁場を印加し、パルス磁場の印加が終了した後にさらに加圧成形を行うという工程で行った。なお、加圧方向と磁場印加方向とがほぼ直交するいわゆる横磁場成形法を採用した。
ここで、所定の密度は、2.0g/cc、2.6g/cc、3.2g/cc、3.6g/ccの4種類とした。
また、パルス磁場は、本発明の実施例として図1に示す形態、さらに従来例として図2に示す形態の2種類とした。図1に示すように、本発明の実施例は減衰振動するパルス磁場である。このパルス磁場は、極性の異なるパルス波形を有するものである。一方、図2に示すように、従来例は単ピークのパルス磁場である。実施例及び従来例ともに、パルス磁場のピーク強さを3Tとした。
ここで、所定の密度は、2.0g/cc、2.6g/cc、3.2g/cc、3.6g/ccの4種類とした。
また、パルス磁場は、本発明の実施例として図1に示す形態、さらに従来例として図2に示す形態の2種類とした。図1に示すように、本発明の実施例は減衰振動するパルス磁場である。このパルス磁場は、極性の異なるパルス波形を有するものである。一方、図2に示すように、従来例は単ピークのパルス磁場である。実施例及び従来例ともに、パルス磁場のピーク強さを3Tとした。
実施例、比較例ともにパルス磁場を印加した後、上パンチを下降させ、1.4ton/cm2の成形圧力で成形体を作製した。この成形体の密度は4.4g/ccであった。得られた成形体を、真空中において1050℃で4時間保持することにより焼結し、さらにAr雰囲気中で900℃×1時間、450℃×1時間の時効処理を行った。なお、減衰振動するパルス磁場を印加することにより、磁場の印加終了時点で金型及び成形体の脱磁が実行されたために、改めて脱磁を行うことなく成形体を金型から容易に取り出すことができた。
以上のようにして作製した希土類焼結磁石についてB−Hトレーサにより残留磁束密度(Br)を測定した。その結果を表1及び図3に示す。
以上のようにして作製した希土類焼結磁石についてB−Hトレーサにより残留磁束密度(Br)を測定した。その結果を表1及び図3に示す。
表1及び図3に示すように、パルス磁場を印加する成形体密度にかかわらず、単ピークパルスを印加するよりも減衰振動し、かつ極性の異なるパルス磁場を連続的に印加した希土類焼結磁石のほうが残留磁束密度(Br)は向上し、配向性の向上が認められる。
また、パルス磁場印加時の成形体密度が2.6g/ccのときに残留磁束密度(Br)が最大値を示すことがわかる。これは、パルス磁場の印加による配向性の向上を図る上で、磁場を印加する成形体の密度を選択すべきことを示唆している。ここで、本実施例におけるρ(α×H0.5+β(α=0.63、β=1〜2))は2.1〜3.1(g/cc)の範囲を示し、パルス磁場印加時の成形体密度が2.6g/ccの希土類焼結磁石は、本発明におけるρの条件を満足するとともに、相対密度は30〜40%の範囲内にあることがわかる。
また、パルス磁場印加時の成形体密度が2.6g/ccのときに残留磁束密度(Br)が最大値を示すことがわかる。これは、パルス磁場の印加による配向性の向上を図る上で、磁場を印加する成形体の密度を選択すべきことを示唆している。ここで、本実施例におけるρ(α×H0.5+β(α=0.63、β=1〜2))は2.1〜3.1(g/cc)の範囲を示し、パルス磁場印加時の成形体密度が2.6g/ccの希土類焼結磁石は、本発明におけるρの条件を満足するとともに、相対密度は30〜40%の範囲内にあることがわかる。
Claims (9)
- 磁性粉末を金型内に充填する工程と、
減衰振動するパルス磁場を印加することにより前記金型内に充填された前記磁性粉末を配向させ、かつ前記磁性粉末を加圧成形する工程と、
を備えることを特徴とする磁場中成形方法。 - 前記パルス磁場は、極性を変えて減衰振動することを特徴とする請求項1に記載の磁場中成形方法。
- 前記パルス磁場は、1T(絶対値)以上の磁場を10μs〜0.5s印加することを特徴とする請求項1又は2に記載の磁場中成形方法。
- 前記パルス磁場は、Hを磁場(T)としたとき前記磁性粉末からなる圧粉体の密度ρがρ=α×H0.5+β(α=0.63、β=1〜2)の条件を満足する場合に印加することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の磁場中成形方法。
- 前記磁性粉末は、希土類焼結磁石を製造するための合金粉末であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の磁場中成形方法。
- 磁石原料粉末からなる圧粉体に極性変化を伴う連続したパルス磁場を含む磁場を印加する磁場中成形工程と、
前記磁場中成形工程で得られた成形体を所定温度で保持する焼結工程と、
前記焼結工程で得られた焼結体に時効熱処理を施す熱処理工程と、
を備えることを特徴とする希土類焼結磁石の製造方法。 - 前記パルス磁場は、減衰振動することを特徴とする請求項6に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
- 前記磁石原料粉末を所定密度まで加圧成形して得られた前記圧粉体に対して前記パルス磁場を印加し、前記パルス磁場の印加が終了した後にさらに加圧成形することを特徴とする請求項6又は7に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
- 前記希土類焼結磁石は、R−TM−B系焼結磁石(Rは希土類元素の1種又は2種以上、TMはFe、又はFe及びCo)であることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の希土類焼結磁石の製造方法。
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