JP2005212780A - スタビライザブッシュ - Google Patents

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Katsuya Hatano
克也 波多野
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Abstract

【課題】 スタビライザブッシュの低荷重域におけるばね定数を低くし高荷重域におけるばね定数を高くして、操縦安定性と乗り心地の向上を両立させる。
【解決手段】 スタビライザブッシュを構成する厚肉筒状の防振ゴム体1の頂面11に、軸方向に延びる凹部21を、これに対向する底面に軸方向に延びる凹部22を設ける。この一対の凹部21、22により、車両上下方向のばね特性は、低荷重域のばね定数が低く、高荷重域のばね定数が高くなり、操縦安定性と乗り心地を向上させることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車両のスタビライザバーを保持するスタビライザブッシュに関する。
従来のスタビライザブッシュの構造を図8に示す。図8(a)、(b)において、スタビライザブッシュを構成する厚肉筒状の防振ゴム体1は、U字形の外周形状を有し、その内部にスタビライザバー3を挿通保持するようになしてある(図8(c))。上記防振ゴム体1は、平面状の頂面11から内周面に至るスタビライザバー3組付け用の切り割り12を有し(図8(a))、車両左右方向の両端部にはフランジ13が形成してあって(図8(b))、これらフランジ13間の外周面をブラケット4に保持せしめ、該ブラケット4を車両ボデーBにボルト5で固定するようになしている(図8(c))。ここで、上記防振ゴム体1は、通常、上記ブラケット4の高さより高く成形して、ある一定のしめしろを持たせ、このしめしろ分が圧縮されるように車両ボデーBに組付けられる。
ところで、スタビライザブッシュに要求される特性として、操縦安定性の向上があり、これには、スタビライザブッシュを構成する防振ゴム体1の、車両上下方向の剛性を高めることが有効である。ところが、防振ゴム体1の剛性が高くなると、乗り心地が低下するという不具合があり、このため、操縦安定性と乗り心地を両立させることが大きな課題となっている。
この乗り心地の向上を図るため、スタビライザブッシュに要求されるばね特性の検討を行ったところ、低荷重域におけるばね定数を低くするのがよいことがわかってきた。車両上下方向のばね定数を下げる手段としては、例えば、上記防振ゴム体1を車両ボデーBに組付る際のしめしろを少なくすることが考えられるが、その場合、高荷重域でもばね定数を低下してしまい、操縦安定性が低下する。
また、長期使用するうちにガタが発生したり、車両左右方向の剛性が低下して上記防振ゴム体1とブラケット4の間にずれが生じる可能性があった。
しかして、本発明の目的は、スタビライザブッシュの低荷重域におけるばね定数を低くし高荷重域におけるばね定数を高くして、操縦安定性と乗り心地の向上を両立させ、かつガタやずれが生じるのを防止して耐久性を向上させることにある。
本発明請求項1のスタビライザブッシュは、筒状に成形した防振ゴム体内にスタビライザバーを挿通保持し、上記防振ゴム体の外周面を車体に連結されるブラケットにて保持せしめてある。そして、上記防振ゴム体の外周面において、車両上下方向の対向位置に、軸方向に延びる一対の凹部を設けたものである。
上記構成によれば、スタビライザブッシュの上下に設けた一対の凹部により、車両上下方向のばね特性を、低荷重域はばね定数が低く、高荷重域はばね定数が高くなるようにすることができる。よって、操縦安定性を確保し、しかも乗り心地を向上させることができる。また、凹部形成部以外の部分で十分なしめしろを確保することができるので、ずれ、ガタの発生を防止できる。
請求項2の構成では、車両上方向における上記凹部の断面形状を略台形とし、車両下方向における上記凹部の断面形状を略逆台形とする。このようにすることで、低荷重域から高荷重域へのばねの変化を小さくすることができる。
請求項3の構成では、上記凹部を、上記防振ゴム体の軸方向の両端部を除く位置に形成する。これにより、ずれ防止に効果的な軸方向両端部の剛性を向上することができ、耐久性がより向上する。
請求項4の構成では、上記凹部の軸方向または径方向の中間部に凸部を形成する。この凸部がストッパ部として作用し、上記凹部に応力が集中して耐久性が低下するのを防止することができる。
請求項5の構成では、上記防振ゴム体を平面状の頂面とU字形の外周形状を有する形状とし、このU字形の外周面を上記ブラケットにて保持せしめる。この時、上記防振ゴム体の平面状の頂面が車体に密接することで、ガタやずれを抑制する。
以下、図面に基づいて本発明の一実施の形態を説明する。図1はスタビライザブッシュを構成する防振ゴム体1であり、図2はこれを組付けた状態を示すものである。図1(a)のように、防振ゴム体1は厚肉筒状で、U字形の外周形状を有し、頂面11は平面状となっている。上記防振ゴム体1は、その内周面から側部外周面に至る切り割り12を有し、軸方向(車両左右方向)の両端縁には、径方向に張出すU字形のフランジ13が形成してある(図1(b))。そして、上記切り割り12を開いてその内部にスタビライザバー3を組付ける一方、上記フランジ13間の周面を、略U字形のブラケット4で保持し、該ブラケット4を、その両端部において、車両ボデーBの取付け面にボルト5で固定するようになしてある(図2)。
上記防振ゴム体1は、その頂面11および底面に、軸直方向(車両前後方向)に延びる凹部21、22を有している。これら凹部21、22は、軸方向の両端部を除く部分に形成され、図1(b)に示すように、側面方向から見た断面形状は、頂面11の凹部21が略逆台形に、底面の凹部22が略台形になるようにしてある。また、頂面11の凹部21の左右方向の幅、および底面の凹部22の幅は、上記頂面11の幅のほぼ半分の幅となっている。上記凹部21、22の深さは等しく、通常、車両ボデーに予圧縮状態で組付けた時に、しめしろがほぼゼロとなるように設定される。なお、ここで、略台形とは、溝開口幅が深さ方向に狭くなる形状を意味する。
上記構成によれば、車両上下方向に一対の凹部21、22を設けることによって、低荷重域ではばね定数を低く、高荷重域ではばね定数を高くすることができる。図3は、本発明のスタビライザブッシュの荷重特性を、従来のスタビライザブッシュと比較して示したもので、車両上下方向に凹部を有しない従来の構成では、ばね定数はほぼ一定であるが、本発明の構成では、低荷重域のばね定数が大きく低下している。このスタビライザブッシュを用いて実車試験を行ったところ、乗り心地の明らかな向上が見られ、低荷重域の低いばね定数が乗り心地の向上に大きく寄与しているものと考えられる。また、高荷重域の高いばね定数が確保できるため、操縦安定性にも優れ、かくして、操縦安定性と乗り心地の向上とを両立させることができる。しかも、凹部21、22形状を略台形、略逆台形としたので、低荷重域から高荷重域へのばね変化は緩やかなものにできる。
さらに、上記構成では、軸方向の両端部に凹部を形成しておらず、この部分が組付け時に圧縮されて車両ボデーおよびブラケット4に密着するため、ガタ等が発生することはない。また、これにより、ずれに効くフランジ13周辺の剛性が確保されるため、ずれも生じにくくなる。さらに、切り割り12をブラケット4で保持される側部真横に形成することで、ずれ防止がさらに効果的になされる。
また、組付け状態において、凹部が実質的に消滅するようにしたので、スタビライザバー3と防振ゴム体1の間には空間が存在せず、異物、水等の溜まりを防止するとともに、空気の流出による異音の発生を防止できる。
図4に本発明の第2の実施の形態を示す。本実施の形態では、頂面11に軸方向(車両左右方向)の両端部にわたる凹部23を形成し、該凹部23は、軸方向から見た断面形状を逆台形としてある。上記凹部23に対向する底面24は、平面状として、ブラケットとの間に形成される隙間によって凹部と同様の作用を有するようにする。このような構成によっても、上記第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
図5に本発明の第3の実施の形態を示す。本実施の形態では、上記第2の実施の形態における凹部23の中間部に、軸方向に延びる凸部を設けてストッパ部231となしている。底面においても、上記ストッパ部231に対向する凸部を設けてストッパ部251となし、その両側に凹部25を形成している。これらストッパ部231、ストッパ部251により、応力が凹部23、25に集中することを防止し、耐久性を向上することができる。
図6は本発明の第4の実施の形態を示すもので、図のように、底面側のストッパ部261を軸方向の中間部に形成し、軸方向の両端部に凹部26を有する構成とすることもできる。頂面11側には、ここでは、上記第2の実施の形態同様、軸方向両端部にわたる凹部23を形成している。なお、頂面11側の凹部と底面側の凹部を対称な形状とする必要はなく、上記した形状を適宜組み合わせることができる。
図7に本発明の第5の実施の形態を示す。本実施の形態では、上記第2の実施の形態の構成において、平面状の底面24に隣接する防振ゴム体1の両フランジ13に、組付け時の空気穴となる溝14を形成する。上記構成によれば、防振ゴム体1をブラケット4に保持せしめ、車両ボデーBに組み付ける際に、ブラケット4と防振ゴム体1の底面24との間の空気が、上記溝14からすみやかに抜けるので、組み付け作業が容易になるとともに、走行中、空気が抜ける際に発生する異音等を防止することができる。
本発明の第1の実施の形態を示すもので、(a)はスタビライザブッシュの正面図、(b)は側面図である。 第1の実施の形態のスタビライザブッシュを組み付けた状態を示す図である。 本発明のスタビライザブッシュの荷重特性を示す図である。 本発明の第2の実施の形態を示すもので、(a)はスタビライザブッシュの正面図、(b)は側面図である。 本発明の第3の実施の形態を示すスタビライザブッシュの正面図である。 本発明の第4の実施の形態を示すスタビライザブッシュの側面図である。 本発明の第5の実施の形態を示すスタビライザブッシュの側面図である。 従来のスタビライザブッシュの構成を示すもので、(a)はスタビライザブッシュの正面図、(b)は側面図、(c)はスタビライザブッシュを組み付けた状態を示す図である。
符号の説明
1 防振ゴム体
11 頂面
12 切り割り
13 フランジ
21〜23 凹部
231 ストッパ部
24 底面(凹部)
25、26 凹部
251、261 ストッパ部
3 スタビライザバー
4 ブラケット
5 ボルト

Claims (5)

  1. 筒状に成形した防振ゴム体内にスタビライザバーを挿通保持し、上記防振ゴム体の外周面を車体に連結されるブラケットにて保持せしめたスタビライザブッシュであって、上記防振ゴム体の外周面において、車両上下方向の対向位置に、軸方向に延びる一対の凹部を設けたことを特徴とするスタビライザブッシュ。
  2. 車両上方向における上記凹部の断面形状を略台形とし、車両下方向における上記凹部の断面形状を略逆台形とした請求項1記載のスタビライザブッシュ。
  3. 上記凹部を、上記防振ゴム体の軸方向の両端部を除く位置に形成した請求項1または2記載のスタビライザブッシュ。
  4. 上記凹部の軸方向または径方向の中間部に凸部を形成した請求項1ないし3記載のスタビライザブッシュ。
  5. 上記防振ゴム体を、平面状の頂面とU字形の外周形状を有する形状とし、このU字形の外周面を上記ブラケットにて保持せしめた請求項1ないし4記載のスタビライザブッシュ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011178274A (ja) * 2010-03-01 2011-09-15 Bridgestone Corp スタビライザーブッシュ
US10994583B2 (en) 2018-02-26 2021-05-04 Sumitomo Riko Company Limited Stabilizer bushing for adhesive use and stabilizer bar equipped with stabilizer bushing

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