本発明は、前述した通り、冷却ロール汚れとRタレの発生が無く、良好な画像材料用支持体を提供するものであるが、我々が調査したところ、冷却ロール汚れ、Rタレを悪化させる一要因は、ポリオレフィン樹脂層に含まれる金属石鹸の分解であることが明らかとなった。即ち、耐熱性の低い金属石鹸が含有されているポリオレフィン樹脂を、溶融押し出し機を用いてスリットダイから溶融状態でフィルム状に押し出す場合、高温で押し出されるが故に、これらの物質は熱分解され、その結果、粘着性ある変性物を形成せしめ、この粘着性ある変性物は、冷却ロール上に堆積していき、冷却ロール汚れを発生させる。さらに一方では、スリットダイから溶融状態で押し出されたときに発生する油煙にも粘着性ある変性物は含まれており、それが排煙フードに付着堆積すると、やがて落下しRタレを発生させる。ポリオレフィン樹脂層に含まれる低分子量組成物よりも、特に滑剤として用いられる金属石鹸の熱分解より発生する粘着性変成物により、この現象が顕著に助長される傾向が確認された。我々は、驚くべきことに、2種類以上の金属石鹸を組み合わせた単一融点をもつ金属石鹸複合物を使用することで、冷却ロール汚れ、及びRタレを良化することを見出し、本発明に至った。
本発明においては、2種類以上の金属石鹸を組み合わせた単一融点をもつ金属石鹸複合物、及び二酸化チタンを含むポリオレフィン樹脂を用いる。
単一融点を有する金属石鹸複合物は、極性の違いにより等モル錯体を形成し、内部滑性、外部滑性の両滑性を有する。単一融点は錯体形成による共融現象により得られ、もとの金属石鹸よりも融点の低い極小融点を与えることができ、複合することにより、金属石鹸複合物の融点が低下するにもかかわらず加熱減量は少ない。金属石鹸複合物の加熱減量が350℃において10質量%以下であれば、高い耐熱性を有するため本発明においてより好ましい。金属石鹸を複合せずに用いる場合、金属石鹸の耐熱性を優先するために、融点の高い金属石鹸を選定することは当然であるが、複合して用いる場合は、融点が降下しても耐熱性の高い錯体を得ることができるため、融点の降下は問題ではない。また、融点が降下することにより、樹脂を混練する際に、良好な分散性も得られる。したがって、単一融点を有する金属石鹸複合物を用いることは、冷却ロール汚れ、及びRタレの良化には有効である。一方、単一融点を有しない金属石鹸複合物は、錯体を形成していない金属石鹸が存在し、その金属石鹸の熱分解により粘着性変成物が発生し、冷却ロール、及びRタレを悪化させる。したがって、単一融点を有する金属石鹸複合物を得るために、等モル量の金属石鹸を複合することが好ましい。
本発明において用いられる2種類以上の金属石鹸を組み合わせた単一融点をもつ金属石鹸複合物の金属としては、本発明の効果を阻害しない限りであれば特に制限は無く、リチウム、カルシウム、亜鉛、マグネシウム、アルミニウムなどを用いることができる。特に、金属がリチウム、カルシウム、または亜鉛の金属石鹸2種類以上を組み合わせて金属石鹸複合物として用いた場合、冷却ロール汚れ、Rタレの発生が大きく抑制され、より好ましい。一般的に、滑剤の加工滑性は内部滑性と外部滑性に分けられる。樹脂と顔料などの添加物とが均一に混ざり易くし、分子間で局所的に発生する摩擦熱による分解を防ぎ、また、溶融押し出し機から押し出され易くするような、これらの流動性を向上する作用を内部滑性という。一方、加工温度における樹脂の加工機械への粘着と、金型で成形、冷却したときに生ずる金型への付着を防止する作用を外部滑性という。金属石鹸の機能としては内部滑性、外部滑性の何れの作用も有するが、特にポリオレフィン樹脂において、金属がリチウム、カルシウムである金属石鹸は内部滑性としての作用が、金属が亜鉛である金属石鹸は外部滑性としての作用が大きい。したがって、外部滑性の大きい金属が亜鉛である金属石鹸と、内部滑性が大きい金属がリチウムまたはカルシウムである金属石鹸との複合物が、外部滑性と内部滑性の両作用を併せもつことができるのでより好ましい。350℃における加熱減量が10質量%以下の金属石鹸複合物に使用される金属石鹸において、金属がカルシウムである金属石鹸を用いた場合は、金属がリチウムである金属石鹸よりもブロッキング性が大きいため、冷却ロールと樹脂との剥離性が悪化し、それ故、製造された画像材料用支持体は均質な面質が得られず問題となることがある。したがって、2種類以上の金属石鹸を組み合わせた単一融点をもつ金属石鹸複合物に用いられる金属としては、リチウムと亜鉛の組み合わせが最も好ましい。
また、本発明において用いられる2種類以上の金属石鹸を組み合わせた単一融点をもつ金属石鹸複合物の脂肪酸としては、本発明の効果を阻害しない限りであれば特に制限は無く、ステアリン酸、パルミチン酸、モンタン酸、ベヘン酸などを用いることができ、何れの脂肪酸の組み合わせでもよい。特に、金属石鹸としての耐熱性をもたせるために、炭素数が14以上である脂肪酸を用いることが好ましい。
また、本発明において単一融点をもつ金属石鹸複合物に用いられた各金属石鹸単体の脂肪酸としては、純度が80%以上のものであることが好ましい。純度が80%未満のものを用いた場合、不純物として含まれる炭素数の少ない脂肪酸により凝固点降下などの物性変化が起こり、また、錯体の形成を阻害するような影響を及ぼし、それ故、金属石鹸複合物の作用が低下することがある。
また、本発明において用いられる2種類以上の金属石鹸を組み合わせた単一融点をもつ金属石鹸複合物の脂肪酸としては、脂肪酸基が水酸基を有する金属石鹸を用いることができる。例えば、12−ヒドロキシステアリン酸を用いた金属石鹸としては、12−ヒドロキシステアリン酸リチウムや12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛などが好ましく用いられる。
本発明において単一融点を有する金属石鹸複合物を調製せしめる方法としては、異なる複数の金属石鹸を混合し、均一に融解することで調製するが、或いは、金属石鹸を合成する際に、けん化した脂肪酸水溶液に異なる複数の金属塩水溶液を添加して調製しても良い。
また、本発明における画像材料用支持体の基紙の画像構成層を設ける側の面を被覆するポリオレフィン樹脂層に含有される金属石鹸の濃度は、0.02〜2.0質量%の範囲が有用であるが、より好ましくは0.2〜0.5質量%の範囲が好ましい。
また、本発明においては、画像構成層を設ける側の基紙面がポリオレフィン樹脂で複数層被覆されたものであってもよい。冷却ロール汚れを考えた場合、複数層被覆されたものの内、少なくとも画像形成層の最上層の金属石鹸複合物に耐熱性があれば、冷却ロール汚れは改善される。その際、残りの中間層及び最下層の樹脂についても耐熱性の高い金属石鹸複合物が同様に含まれていることがより好ましいものの、例えば、規定値を多少はずれることがあっても、画像形成層には影響ない。その分、カール性に優れたポリオレフィン樹脂やコスト面で優れたポリオレフィン樹脂などを必要に応じて使用することが、品質上、又は製造上、有利となる。
本発明における画像材料用支持体の基紙の画像構成層を設ける側に被覆されるポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、又はこれらの混合物が好ましい。その中で、各種の密度、メルトフローレート(以下単にMFRと略す)、分子量、分子量分布のものを使用できるが、通常、密度0.90〜0.97g/cm3の範囲、MFR=0.1〜50g/10分、好ましくは、MFR=0.3〜40g/10分の範囲のものを単独にあるいは混合して有利に使用できる。また、樹脂が多層構成である場合、最外層の樹脂として、例えば、MFR=5〜20g/10分のもの、下層の樹脂として、例えば、MFR=2〜10g/10分のものを使用するなど別の性質、構成の樹脂を使用することもできる。
本発明における画像材料用支持体の基紙の画像構成層を設ける側の面を被覆する全ポリオレフィン樹脂の被覆厚さとしては、4〜70μmの範囲が有用であるが、6〜45μmの範囲が好ましく、9〜35μmの範囲が特に好ましい。
本発明における画像材料用支持体の基紙の画像構成層を設ける側の面を被覆するポリオレフィン樹脂層に、金属石鹸複合物を含有せしめる方法としては、金属石鹸複合物をポリオレフィン樹脂中に所望の組成比だけ含有させた所謂コンパウンドを作成して使用するか、或いは予め金属石鹸複合物をポリオレフィン樹脂中に一定濃度に含有させた樹脂組成物として作成し、それを希釈用のポリオレフィン樹脂で所望の割合に希釈混合して使用してもよい。
本発明における画像材料用支持体の基紙の画像構成層を設ける側の面を被覆するポリオレフィン樹脂層は、二酸化チタン顔料を含有せしめる。なお、二酸化チタン顔料を基紙被覆用のポリオレフィン樹脂中に含有せしめる方法としては、二酸化チタン顔料をポリオレフィン樹脂中に所望の組成比だけ含有させた所謂コンパウンドを作成して使用するか、或いは予め二酸化チタン顔料をポリオレフィン樹脂中に一定濃度に含有させた所謂マスターバッチを作成し、それを希釈用のポリオレフィン樹脂で所望の割合に希釈混合して使用することができる。
本発明において、画像材料用支持体の基紙の画像構成層を設ける側の面を被覆するポリオレフィン樹脂層に二酸化チタン顔料を含有せしめる際、二酸化チタン顔料の分散性を向上させるために、金属石鹸複合物も含有せしめることがより好ましい。なお、金属石鹸複合物、及び、二酸化チタン顔料を基紙被覆用のポリオレフィン樹脂中に含有せしめる方法としては、金属石鹸複合物、及び、二酸化チタン顔料をポリオレフィン樹脂中に所望の組成比だけ含有させた所謂コンパウンドを作成して使用するか、或いは予め金属石鹸複合物、及び、二酸化チタン顔料をポリオレフィン樹脂中に一定濃度に含有させた所謂マスターバッチを作成し、それを希釈用のポリオレフィン樹脂で所望の割合に希釈混合して使用することができる。
これらのマスターバッチあるいはコンパウンドを作製するには通常、バンバリーミキサー、ニーダー、混練用押出機、ロール練り機などを用いることができ、また、これら各種混練機を二種類以上組み合わせて使用してもよい。
これら二酸化チタン顔料とポリオレフィン樹脂とからなるマスターバッチあるいはコンパウンドのポリオレフィン樹脂組成物の調整に用いるポリオレフィン樹脂としては、二酸化チタン顔料とポリオレフィン樹脂との混練性に関わる適当な物性のものが好ましい。具体的には、密度が0.917〜0.925g/cm3の範囲、MFRが3〜12g/10分の低粘度ポリオレフィン樹脂、又は中粘度ポリオレフィン樹脂が好ましい。
二酸化チタン顔料とポリオレフィン樹脂とからなるポリオレフィン樹脂組成物の調整に際し、適量の酸化防止剤の存在下にポリオレフィン樹脂組成物の調整を行うのが好ましい。具体的には、特開平1−105245号公報に記載もしくは例示のヒンダードフェノール系の酸化防止剤、特開昭55−142335号公報に記載もしくは例示のリン系酸化防止剤の他、ヒンダードアミン、硫黄系などの各種酸化防止剤などを適量存在せしめるのが好ましいが、特にヒンダードフェノール系の酸化防止剤を適量存在せしめるのが好ましい。これらポリオレフィン樹脂組成物を調整中の酸化防止剤の存在量としては、前記理由により、少なければ少ないほど好ましいが、50〜3000ppmの範囲が好ましく、50〜1000ppmの範囲が更に好ましい。
本発明における画像材料用支持体の画像構成層を設ける側の面を被覆するポリオレフィン樹脂中には、二酸化チタン顔料、金属石鹸、酸化防止剤の他に各種の添加剤を含有せしめることができる。酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウムなどの白色顔料、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミドなどの脂肪酸アミド、コバルトブルー、群青、セリアンブルー、フタロシアニンブルーなどのブルー系の顔料や染料、コバルトバイオレット、ファストバイオレット、マンガンバイオレットなどのマゼンタ系の顔料や染料、特開平2−254440号公報に記載もしくは例示の蛍光増白剤、紫外線吸収剤などの各種の添加剤を適宜組み合わせて含有せしめることができる。
本発明における画像材料用支持体の画像構成層を設ける側と反対の基紙面は、フィルム形成能ある樹脂で被覆される。フィルム形成能ある樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などの熱可塑性樹脂が好ましく、中でも溶融押し出しコーティング性の点から前記したポリオレフィン樹脂が更に好ましく、ポリエチレン樹脂が特に好ましい。また、特公昭60−17104号公報に記載もしくは例示の電子線硬化樹脂で被覆してもよい。
本発明の画像材料用支持体の画像構成層を設ける側と反対の基紙面のフィルム形成能ある樹脂被覆層中にも、画像構成層を設ける側のポリオレフィン樹脂層同様に、白色顔料、脂肪酸アミド、脂肪酸金属塩、各種酸化防止剤、ブルー系の顔料や染料、マゼンタ系の顔料や染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤などの各種の添加剤を適宜組み合わせて含有せしめることができる。
また、画像材料用支持体の基紙の画像構成層を設ける側と反対の面は、フィルム形成能ある樹脂で被覆されるが、その樹脂は表側の樹脂と同様の樹脂が好ましく、その被覆厚さとしては、表側の樹脂と、特にカールバランスを取る範囲で適宜設定するのが好ましく、一般に4〜70μmの範囲が有用であるが、好ましくは6〜45μmの範囲が好ましく、9〜35μmの範囲が特に好ましい。
本発明の樹脂被覆する加工速度としては、より高速での加工が可能であることを特徴とする。加工時の走行速度が、高速になるに従って、一定量の被覆樹脂層を基紙面に設けるためには、押し出しスクリューの回転数を上げて、溶融樹脂の押し出し量を多くしなければならない。そのため、走行速度を大きくするにつれて溶融樹脂のせん断応力は高くなり、その結果、樹脂の劣化の促進に伴う冷却ロール汚れ、及び、発煙の増加に伴うRタレの発生頻度が多くなる。150m/分以下の比較的低速領域の走行速度では、冷却ロール汚れ、Rタレの発生頻度が少なくても、走行速度がより高速になると、冷却ロール汚れ、Rタレの発生頻度が多くなるケースがある。本発明においては、より高速での加工が可能であり、具体的には、200m/分以上でその効果が現れ、本発明の効果を利用する観点から、270m/分以上でその効果を利用することができ、高速加工域である350m/分、好ましくは400m/分以上において更に有用に利用することができ、高速での加工を実現することが可能である。
本発明における画像材料用支持体の基紙面に樹脂を被覆する方法としては、走行する基紙上に樹脂組成物を溶融押し出し機を用いて、そのスリットダイからフィルム状に流延して被覆する、いわゆる溶融押し出しコーティング法によって被覆するのが好ましい。その際、樹脂温度は270℃〜350℃であることが好ましい。樹脂温度が270℃未満である場合、基紙と樹脂との接着性が低下し均質な面質が得られないため、画像材料用支持体としては不適当なものとなる。樹脂温度が350℃を超える場合、樹脂の劣化が促進されるため、冷却ロール汚れ、Rタレは悪化し均質な面質が得られ難くなる。
スリットダイとしては、T型ダイ、L型ダイ、フィッシュテイル型ダイのフラットダイが好ましく、スリット開口径は0.1〜2mmであることが望ましい。また、樹脂組成物を基紙にコーティングする前に、基紙にコロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を施すのが好ましい。また、特公昭61−42254号公報に記載もしくは例示の、基紙に接する側の溶融樹脂組成物にオゾン含有ガスを吹きつけた後に走行する基紙に樹脂層を被覆することもできる。また、表、裏の樹脂層は逐次、又は連続的に、押し出しコーティングされる、いわゆるタンデム押し出しコーティング方式で基紙に被覆することが好ましい。
また、画像材料用支持体の画像構成層を塗設する側の表樹脂層面は、特公昭62−19732号公報に記載もしくは例示の光沢面、微粗面、マット面あるいは絹目面等に加工することができ、その反対側の裏樹脂層は通常無光沢面に加工するのが好ましい。
本発明で用いられる二酸化チタン顔料は、有機物質により表面処理されているものを好ましく用いることができる。表面処理に用いる有機物質としては、特公昭61−26652号公報に記載もしくは例示のジメチルポリシロキサン、ジメチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンなどのオノガノポリシロキサン化合物、特公昭60−3430号公報に記載もしくは例示のアルキルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどのシランカップリング剤、特公平3−35652号公報に記載もしくは例示のトリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの多価アルコール化合物、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのアルカノールアミンのアルカノールアミン化合物又はそれらの無機塩などがあげられるが、シランカップリング剤により処理した二酸化チタン顔料を用いるのがより好ましい。
それらの有機表面処理剤の処理量としては、前記したような理由により、少なければ少ないほど好ましいが、二酸化チタン顔料に対して0.05〜2.5質量%の範囲が好ましく、0.05〜1.5質量%の範囲が更に好ましい。
本発明の実施に用いられる二酸化チタン顔料は、有機物質で表面処理される前に含水酸化アルミニウム、含水酸化珪素などの無機物質で表面処理を行ってもよい。その際には、特公昭63−11655号公報、特公平1−38291号公報、特公平1−38292号公報、特公平1−105245号公報に記載もしくは例示してあるような適切な処理を行うことが好ましい。
本発明で用いられる天然パルプを主成分とする基紙としては、塩素、次亜塩素酸塩、二酸化塩素漂白等の通常の漂白処理、並びにアルカリ抽出もしくはアルカリ処理、及び必要に応じて過酸化水素、酸素などによる酸化漂白処理等、及びそれらの組み合わせ処理を施した針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、針葉樹広葉樹混合パルプの木材パルプが用いられ、また、クラフトパルプ、サルファイトパルプ、ソーダパルプなどの各種のものを用いることができる。
本発明で用いられる基紙中には、紙料スラリー調製時に各種の添加剤を含有せしめることができる。サイズ剤として、脂肪酸金属塩又は脂肪酸、特公昭62−7534号公報に記載もしくは例示のアルキルケテンダイマー乳化物あるいはエポキシ化高級脂肪酸アミド、アルケニルまたはアルキルコハク酸無水物乳化物、ロジン誘導体等、乾燥紙力増強剤として、アニオン性、カチオン性あるいは両性のポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、カチオン化澱粉、植物性ガラクトマンナン等、湿潤紙力増強剤として、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン樹脂等、填料として、クレー、カオリン、炭酸カルシウム、二酸化チタン等、定着剤として、塩化アルミニウム、硫酸バンド等の水溶性アルミニウム塩等、pH調節剤として、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、硫酸等を、その他特開昭63−204251号公報、特開平1−266537号公報に記載もしくは例示の着色顔料、着色染料、蛍光増白剤などを適宜組み合せて含有せしめるのが有利である。
また、本発明の実施に用いられる基紙中あるいは基紙上には、各種の水溶性ポリマーもしくは親水性コロイドまたはラテックス、帯電防止剤、添加剤から成る組成物をサイズプレスもしくはタブサイズプレスあるいはブレード塗工、エアーナイフ塗工などの塗工によって含有あるいは塗設せしめることができる。水溶性ポリマーもしくは親水性コロイドとして、特開平1−266537号公報に記載もしくは例示の澱粉系ポリマー、ポリビニルアルコール系ポリマー、ゼラチン系ポリマー、ポリアクリルアミド系ポリマー、セルロース系ポリマーなど、エマルジョン、ラテックス類として、石油樹脂エマルジョン、特開昭55−4027号公報、特開平1−180538号公報に記載もしくは例示のエチレンとアクリル酸(又はメタクリル酸)とを少なくとも構成要素とする共重合体のエマルジョンもしくはラテックス、スチレン−ブタジエン系、スチレン−アクリル系、酢酸ビニル−アクリル系、エチレン−酢酸ビニル系、ブタジエン−メチルメタクリレート系共重合体及びそれらのカルボキシ変性共重合体のエマルジョンもしくはラテックス等、帯電防止剤として、塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩、塩化カルシウム、塩化バリウム等のアルカリ土類金属塩、コロイド状シリカ等のコロイド状金属酸化物、ポリスチレンスルフォン酸塩等の有機帯電防止剤など、顔料として、クレー、カオリン、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム、二酸化チタンなど、pH調節剤として、塩酸、リン酸、クエン酸、苛性ソーダなど、その他前記した着色顔料、着色染料、蛍光増白剤などの添加剤を適宜組み合わせて含有せしめるのが有利である。
本発明で用いられる基紙の厚みに関しては、特に制限はないが、その坪量は50〜250g/m2のものが好ましい。
本発明における画像材料用支持体の画像構成層を設ける側のポリオレフィン樹脂層面には、コロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を施すことができる。更に活性化処理後、特開平1−102551号公報、特開平1−166035号公報に記載もしくは例示の下引き層処理を施すことができる。
本発明における画像材料用支持体の裏樹脂層面上には、コロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を施した後、帯電防止等のために各種のバックコート層を塗設することができる。また、バックコート層には、特公昭52−18020号、特公昭57−9059号、特公昭57−53940号、特公昭58−56859号、特開昭59−214849号、特開昭58−184144号等の各公報に記載もしくは例示の無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、親水性バインダー、ラテックス、硬化剤、顔料、界面活性剤等を適宜組み合わせて含有せしめることができる。
本発明における画像材料用支持体は、各種の画像構成層が塗設されてカラー写真印画紙用、白黒写真印画紙用、写植印画紙用、電算写植印画紙用、レーザー光感光印画紙用、複写印画紙用、反転写真材料用、銀塩拡散転写法ネガ用及びポジ用、印刷材料用等各種の用途に用いることができる。
例えば、塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、沃臭化銀、塩沃臭化銀感光乳剤層を設けることができる。ハロゲン化銀感光乳剤層にカラーカプラーを含有せしめて、多層ハロゲン化銀カラー画像構成層を設けることができる。また、銀塩拡散転写法用画像構成層を設けることができる。それらの画像構成層の結合剤としては、通常のゼラチンの他に、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、多糖類の硫酸エステル化合物などの親水性高分子物質を用いることができる。
また、上記の画像構成層には各種の添加剤を含有せしめることができる。例えば、増感色素として、シアニン色素、メロシアニン色素など、化学増感剤として、水溶性金化合物、イオウ化合物など、カブリ防止剤もしくは安定剤として、ヒドロキシートリアゾロピリミジン化合物、メルカプトー複素環化合物など、硬膜剤としてホルマリン、ビニルスルフォン化合物、アジリジン化合物など、塗布助剤として、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、スルフォコハク酸エステル塩など、そのほか蛍光増白剤、鮮鋭度向上色素、帯電防止剤、pH調製剤、更にハロゲン化銀の生成・分散時に水溶性イリジウム、水溶性ロジウム化合物などを適宜組み合わせて含有せしめることができる。
本発明における画像材料用支持体は、各種のインク受像層が塗布されて各種のインクジェット記録材料用支持体として用いることができる。それらのインク受像中にはインクの乾燥性、画像の鮮鋭性等を向上させる目的で各種のバインダーを含有せしめることができる。それらのバインダーの具体例としては、石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、酵素処理ゼラチン、ゼラチン誘導体、例えばフタール酸、マレイン酸、フマール酸等の二塩基酸の無水物と反応したゼラチン等の各種のゼラチン、各種ケン化度の通常のポリビニルアルコール、カルボキシ変性、カチオン変性及び両性のポリビニルアルコール及びそれらの誘導体、酸化澱粉、カチオン化澱粉、エーテル化澱粉等の澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジウムハライド、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸メタクリル酸共重合体塩、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルエーテル、アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体及びそれらの塩、ポリエチレンイミン等の合成ポリマー、スチレン・ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート・ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル・マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体等の酢酸ビニル系重合体ラテックス、アクリル酸エステル重合体、メタクリル酸エステル重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、スチレン・アクリル酸エステル共重合体等のアクリル系重合体または共重合体のラテックス、塩化ビニリデン系共重合体ラテックス等或はこれらの各種重合体のカルボキシル基等の官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス、メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化合成樹脂系等の水性接着剤及びポリメチルメタクリレート、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、アルキツド樹脂等の合成樹脂系接着剤、特公平3−24906号、特開平3−281383号、特願平4−240725号等に記載もしくは例示のアルミナゾル、シリカゾル等の無機系バインダー等を挙げることができ、これらを単独或は併用して含有せしめることができる。
本発明に係わるインクジェット記録材料のインク受像層中には、バインダーの他に各種の添加剤を含有せしめることができる。例えば、界面活性剤として、長鎖アルキルベンゼンスルフォン酸塩、長鎖、好ましくは分枝アルキルスルフォコハク酸エステル塩などのアニオン系界面活性剤、長鎖、好ましくは分岐アルキル基含有フェノールのポリアルキレンオキサイドエーテル、長鎖アルキルアルコールのポリアルキレンオキサイドエーテル等のノニオン系界面活性剤、特公昭47−9303号公報、米国特許3,589,906号明細書等に記載のフルオロ化した界面活性剤など、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤、ポリマーの硬膜剤として、活性ハロゲン化合物、ビニルスルフォン化合物、アジリジン化合物、エポキシ化合物、アクリロイル化合物、イソシアネート化合物等の硬膜剤、防腐剤として、特開平1−102551号公報に記載もしくは例示のP−ヒドロキシ安息香酸エステル化合物、ベンズイソチアゾロン化合物、イソチアゾロン化合物等、特開昭63−204251号、特開平1−266537号等の各公報に記載もしくは例示の着色顔料、着色染料、蛍光増白剤など、黄変防止剤としてヒドロキシメタンスルフォン酸ソーダ、P−トルエンスルフイン酸ソーダ等、紫外線吸収剤として、ヒドロキシ−ジ−アルキルフェニル基を2位に有するベンゾトリアゾール化合物など、酸化防止剤として、特開平1−105245号公報に記載もしくは例示のポリヒンダードフェノール化合物など、鉛筆加筆剤として、澱粉粒、硫酸バリウム、二酸化珪素等の有機または無機の粒子径0.2μm〜5μmの微粒子、特公平4−1337号公報等に記載もしくは例示のオルガノポリシロキサン化合物、pH調節剤として、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、硫酸、塩酸、リン酸、クエン酸など、オクチルアルコール、シリコン系消泡剤などの各種の添加剤を適宜組み合わせて含有せしめることができる。
本発明における画像材料用支持体は、各種のトナー受像層が塗布されて各種の電子写真記録材料用支持体として用いることができる。それらのトナー受像中には画像の濃度、トナーの定着性、搬送性等を向上させる目的で各種のバインダー、帯電防止剤、顔料等を含有せしめることができる。バインダーの具体例としては、ポリエステル樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、スチレンアクリレート樹脂、ビニルトルエンアクリレート樹脂等のエステル結合を有する樹脂、ポリウレタン樹脂等のウレタン結合を有する樹脂、ポリアミド樹脂等のアミド結合を有する樹脂、尿素樹脂等の尿素結合を有する樹脂、その他ポリカプロラクタム樹脂、スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂等が挙げられる。これら樹脂に加えて、これらの混合物もしくは共重合体等も使用できる。帯電防止剤の具体例としては、特に制限無く、各種帯電防止剤を用いることができる。例えば、脂肪酸塩類、硫酸エステル塩類、脂肪族アミン及び脂肪族アマイドの硫酸塩類、リン酸エステル塩類、スルフォン酸塩類、脂肪族アミン塩類、第四級アンモニウム塩類、及びベタイン系両性塩類、イミダゾリン系両性塩類、アラニン系両性塩類などが挙げられ、金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化バリウムなどを挙げることができる。顔料の具体例としては、特に制限はないが、各種無機及び有機顔料、例えばクレー、タルク、カオリン、水酸化アルミニウム、炭酸カリウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、サチンホワイト、プラスチックピグメントなどの一般塗工用顔料を用いることができる。また必要に応じて、離型剤、可塑剤、界面活性剤、染料などを適宜組み合わせて含有せしめることができる。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。
(実施例1及び比較例1〜6)
広葉樹漂白クラフトパルプ、広葉樹漂白サルファイトパルプ及び針葉樹漂白サルファイトパルプから成る混合パルプをフリーネス(CSF)が350mlになるように叩解後、カチオン化澱粉、アニオン化ポリアクリルアミド、アルキルケテンダイマー乳化物、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂、蛍光増白剤、青色染料及び赤色染料を添加して紙料スラリーを調製した。
その後、紙料スラリーを200m/分で走行している長網抄紙機にのせ適切なタービュレンスを与えつつ紙匹を形成し、ウェットパートで15kg/cm〜100kg/cmの範囲で線圧が調節された3段のウェットプレスを行った後、スムージングロールで処理し、引き続く乾燥パートで30kg/cm〜70kg/cmの範囲で線圧が調節された2段のマシンカレンダー処理を行った後、乾燥した。
その後、乾燥の途中でカルボキシ変性ポリビニルアルコール、蛍光増白剤、青色染料、塩化ナトリウム及び水から成るサイズプレス液を25g/m2サイズプレスし、最終的に得られる基紙水分が絶乾水分で8質量%になるように乾燥し、線圧50kg/cmの条件でマシンカレンダー処理し、坪量170g/m2の画像材料用支持体の基紙を製造した。
次に、画像構成層を設ける側とは反対側の基紙面(裏面)をコロナ放電処理した後、低密度ポリエチレン樹脂(密度0.92g/cm3、MFR=2g/10分)35質量部と高密度ポリエチレン樹脂(密度0.96g/cm3、MFR=20g/10分)65質量部から成るコンパウンド樹脂組成物を樹脂温320℃で28μmの厚さに基紙の走行速度250m/分で溶融押し出しコーティングした。
引き続き、基紙の表面をコロナ放電処理した後、低密度ポリエチレン樹脂(密度0.92g/cm3;MFR=8.5/10分)50質量%、含水酸化アルミニウム(対二酸化チタンに対してAl2O3分として0.75質量%)で表面処理されたアナターゼ型二酸化チタン含量47.5重量%、酸化防止剤1000ppmと、表1記載の金属石鹸、または、複合したモル比を変えた金属石鹸複合物1.5質量%からなる二酸化チタン顔料のマスターバッチ20質量部、低密度ポリエチレン樹脂(密度0.92g/cm3;MFR=4.5/10分)80質量部からなる樹脂組成物を、樹脂温度315℃で30μmの厚さに基紙の走行速度250m/分で逐次押し出しコーティングした。また、該樹脂被覆紙の樹脂層の表面は鏡面に、裏の樹脂層の面質は紙の如きマット面に加工した。
更に、樹脂被覆紙の裏樹脂面にコロナ放電処理後、下記のバックコート塗液をオンマシン塗布した。乾燥重量分として、コロイド状シリカ:スチレン系ラテックス=1:1から成り、更にポリスチレンスルフォン酸ソーダ0.021g/m2の他適量の塗布助剤等を含むバックコート塗液をラテックス分(固形質量計算で)として、0.21g/m2になる塗布量で塗設して画像材料用支持体を得た。
以上のようにして得られた画像材料用支持体の製造時における、ポリエチレン樹脂組成物の冷却ロール汚れの発生程度、溶融押し出しする際の発煙量、Rタレ及び画像材料用支持体としての写像性の評価方法としては、以下に記載の方法で評価した。
[冷却ロール汚れ]
表樹脂層用のポリオレフィン樹脂の組成物の溶融押し出し時の冷却ロール汚れの評価方法としては、前記の製造条件下で画像材料用支持体製造時に、製造を開始してから8時間後に冷却ロール上の汚れの発生状況を視覚的に判定して評価した。評価基準としては、以下の通りである。
◎:冷却ロール汚れの発生が全くなく非常に良好。
○:冷却ロール汚れの発生が少なく良好。
△:冷却ロール汚れの発生がやや多いが、効果が認められる。
×:冷却ロール汚れの発生が多くて、実用上問題がある。
[発煙量]
発煙量の測定は、RION社製のパーティクルカウンターKC−01D(光学系方式は光角交軸70°側方散乱方式;光源はレーザーダイオード)を使用し、粒径サイズが2〜5μmである粒子数を基に、以下の基準で評価した。
◎:粒子数が1000未満で発煙量が非常に少ない。
○:粒子数が1000〜1500で発煙量が少ない。
△:粒子数が1500〜2000で発煙量がやや多いが、効果が認められる。
×:粒子数が2000以上で発煙量が多い。
[Rタレ]
溶融押し出し開始から1時間後のRタレに起因する発煙量と発煙フードの汚れを視覚的に判定して評価した。評価基準としては、以下の通りである。
◎:Rタレに起因する汚れの発生がなく非常に良好。
○:Rタレに起因する汚れの発生が少なく良好。
△:Rタレに起因する汚れの発生がやや多いが、実用上問題ない程度。
×:Rタレに起因する汚れの発生が多くて、実用上問題がある。
[写像性]
スガ試験機株式会社製の写像性測定器ICM−2DP型を使用し、光学くしの幅2mmを用いて樹脂被覆された画像材料用支持体を評価した。評価基準は、以下の通りである。
◎:写像性が非常に良好。
○:写像性が良好。
△:写像性が若干劣るが、効果が認められる。
×:写像性が劣り、実用上問題がある。
得られた結果を表2に示す。
〈結果評価〉
表2から明らかなごとく、請求項1記載の単一融点をもつ金属石鹸複合物を使用したポリエチレン樹脂が押し出しコーティングされた画像材料用支持体は、冷却ロール汚れが良好であり、発煙量が少なくRタレも良好であり、更に写像性が良好であることが判る。また、比較例1及び6では、請求項1記載の金属石鹸の複合物ではないため、また、比較例2〜5では、請求項1記載の単一融点をもつ金属石鹸複合物ではないため、冷却ロール汚れ、発煙量、Rタレは悪化し均質な面質が得られないため、写像性に関しても画像材料用支持体としては不適当なものであった。
(実施例2〜8)
金属石鹸複合物に、表3記載の異種の金属石鹸を複合した8〜14を用い、それ以外は実施例1と同様に行った。
得られた結果を表4に示す。
〈結果評価〉
表4から明らかなごとく、請求項1記載の2種類以上の金属石鹸を組み合わせた単一融点をもつ金属石鹸複合物を使用したポリエチレン樹脂組成物が押し出しコーティングされた画像材料用支持体は、冷却ロール汚れが良好であり、発煙量が少なくRタレも良好であり、更に写像性が良好であることが判る。また、実施例2では、請求項2記載の350℃における加熱減量が10質量%以下ではないため、冷却ロール汚れ、発煙量、Rタレ及び写像性についても、実施例3〜8よりも劣るものであった。また、実施例3及び7では、請求項4及び5記載の、金属石鹸複合物の一方の金属石鹸の金属が亜鉛、他方の金属石鹸の金属がリチウムまたはカルシウムではないため、外部滑性または内部滑性いずれかの滑性が乏しくなり、冷却ロール汚れは悪化し、写像性に関しても画像材料用支持体としては実施例4〜6及び8よりも劣るものであった。
(実施例9〜16及び比較例7〜10)
金属石鹸1、または、金属石鹸複合物4及び9を用い、表5記載の基紙の走行速度にすること以外は、実施例1と同様に行った。
得られた結果を表6に示す。
〈結果評価〉
表6から明らかなごとく、請求項1記載の2種類以上の金属石鹸を組み合わせた単一融点をもつ金属石鹸複合物を使用した実施例13〜16では、基紙の走行が増速した場合においても冷却ロール汚れが良好であり、発煙量が少なくRタレも良好であり、更に写像性が良好であることが判る。また、比較例7〜10では、請求項1記載の2種類以上の金属石鹸を組み合わせた単一融点をもつ金属石鹸複合物ではなく、また、請求項2記載の350℃における加熱減量が10質量%以下ではないため、冷却ロール汚れ、発煙量、Rタレは悪化し、写像性に関しても画像材料用支持体としては不適当なものであった。また、実施例9〜12では、基紙の走行が増速するに伴い、発煙量及びRタレは悪化する傾向にあるが、請求項1記載の2種類以上の金属石鹸を組み合わせた単一融点をもつ金属石鹸複合物を使用したことにより、基紙の走行速度が350m/分においても、冷却ロール汚れが良好であり、発煙量が少なくRタレも良好であり、更に写像性が良好であった。