ところで、結晶化を促進する元素を用いて結晶化された結晶質ケイ素膜507に行われるゲッタリング処理後にも、ゲッタリング処理を行う際に熱が加えられるため、結晶化を促進する元素が移動する先となる非晶質ケイ素膜504(一部結晶化している場合もある。以下ゲッタリングサイトと呼ぶ)上に自然酸化膜505が形成される。ゲッタリングサイト504は前述したように除去されるものだが、結晶質ケイ素膜507とゲッタリングサイト504が接して形成されると、結晶質ケイ素膜507もゲッタリングサイト504と同じケイ素が主成分であるため、ゲッタリングサイト504を除去する際のエッチャントで結晶質ケイ素膜507まで除去されてしまう。それを防ぐ為に、結晶質ケイ素膜507とゲッタリングサイト504の間には酸化ケイ素膜よりなるエッチングストッパー503が形成されている。なお、結晶質珪素膜507は図中、基板500上に形成された下地絶縁膜501上に形成されている(図5参照)。
これら、ゲッタリングサイトや酸化ケイ素膜は続く工程で除去されるものであるが、酸化膜の除去をフッ酸もしくはバッファードフッ酸で行うと、結晶質ケイ素膜の所々に孔があいてしまうことがあった。
結晶質ケイ素膜は薄膜トランジスタの活性層や容量として用いられるものであり、結晶質半導体層に孔があいてしまうと、その後に形成されるゲート絶縁膜の被覆性が悪くなるためリーク電流や絶縁耐圧不良の原因となる。そこで本発明では、このような孔の発生を抑制するエッチング方法及び半導体装置の作製方法を提供することを課題とする。
これらの課題を解決する手段として、本発明の構成の一つはケイ素膜上に形成された酸化ケイ素膜を除去する際に、フッ素と界面活性を示す物質を含む液よりなるエッチャントを用いることを特徴とする。
この構成を取ることによりケイ素膜中にフッ素を含む液へのエッチングレートが高い物質が偏析していたとしても、界面活性を示す物質が含まれていることで酸化ケイ素膜のみを選択性良く除去することが可能となり、ケイ素膜に孔が発生することを抑制することが可能となる。
本発明の他の構成は、結晶化を促進する元素を用いて結晶化を行った結晶質ケイ素膜上に酸化ケイ素膜を形成し、前記酸化ケイ素膜上に非晶質ケイ素膜を形成し、加熱処理を施すことにより前記結晶質ケイ素膜中に残存していた前記結晶化を促進する元素を前記非晶質ケイ素膜に移動させ、前記加熱処理において前記非晶質ケイ素膜上に形成された酸化ケイ素膜をフッ素と界面活性を示す物質を含む液よりなるエッチャントを用いることで除去することを特徴とする。
この構成を取ることにより非晶質ケイ素膜中に結晶化を促進する元素及び結晶化を促進する元素とケイ素の化合物が偏析していたとしても、界面活性を示す物質が含まれていることで酸化ケイ素膜のみを選択性良く除去することが可能となり、非晶質ケイ素膜に孔が発生することを抑制することが可能となり、結果としてケイ素膜に孔が発生することを抑制することが可能となる。
本発明の他の構成は、前記構成において、前記非晶質ケイ素膜上に形成された酸化ケイ素膜を除去した後、前記非晶質ケイ素膜を除去し、前記結晶質ケイ素膜上に形成した酸化ケイ素膜をフッ素と界面活性を示す物質を含む液よりなるエッチャントを用いることで除去することを特徴とする。
また、本発明の他の構成は、結晶化を促進する元素を用いて結晶化を行った結晶質ケイ素膜上に形成された酸化ケイ素膜を除去する際にフッ素と界面活性を示す物質を含む液よりなるエッチャントを用いることを特徴とする。
本発明の他の構成は結晶化を促進する元素を用いて結晶化を行った結晶質ケイ素膜にレーザー光などの電磁エネルギーを照射した際に前記結晶質ケイ素膜上に形成された酸化ケイ素膜をフッ素と界面活性を示す物質を含む液よりなるエッチャントで除去することを特徴とする。
本発明の他の構成は、結晶化を促進する元素を用いて結晶化を行った結晶質ケイ素膜を用いた半導体装置を作成する際、ゲート絶縁膜を形成する前に前記結晶質ケイ素膜上に形成されている酸化ケイ素膜をフッ素と界面活性を示す物質を含む液よりなるエッチャントを用いることで除去することを特徴とする。
本発明の他の構成は、結晶化を促進する元素を用いて結晶化を行った結晶質ケイ素膜にチャネルドーピングを行う前に前記結晶質ケイ素膜上に形成されている酸化ケイ素膜をフッ素と界面活性を示す物質を含む液よりなるエッチャントを用いることで除去することを特徴とする。
本発明の他の構成は、結晶化を促進する元素を用いて結晶化を行った結晶質ケイ素膜を所望の形状に加工し、前記結晶質ケイ素膜を覆って酸化ケイ素膜よりなる絶縁層を形成する工程を含む半導体装置の作製方法において、前記酸化ケイ素膜に導通をとるために前記絶縁層に開口部を設ける際、フッ素と界面活性を示す物質を含む液よりなるエッチャントを用いることを特徴とする。
この構成を取ることにより結晶質ケイ素膜中に結晶化を促進する元素及び結晶化を促進する元素とケイ素の化合物が偏析していたとしても、界面活性を示す物質が含まれていることで酸化ケイ素膜のみを選択性良く除去することが可能となり、結晶質ケイ素膜に孔が発生を抑制することが可能となる。
本発明の他の構成は、前記構成において前記半導体装置とは薄膜トランジスタであることを特徴とする。
本発明の他の構成は前記構成において前記半導体装置とは容量であることを特徴とする。
本発明の他の構成は前記構成において、前記界面活性を示す物質とは有機溶剤であることを特徴とする。
本発明の他の構成は前記構成において、前記界面活性を示す物質とは界面活性剤であることを特徴とする。
本発明の他の構成は前記構成において、前記界面活性を示す物質とは有機酸であることを特徴とする。
本発明の他の構成は前記構成において、前記界面活性を示す物質とは界面活性剤と有機溶剤であることを特徴とする。
本発明の他の構成は前記構成において、前記界面活性を示す物質とは界面活性剤と有機酸であることを特徴とする。
本発明の他の構成は、前記構成において、前記フッ素を含む液とはフッ酸であることを特徴する。
本発明の他の構成は、前記構成において、前記フッ素を含む液とはフッ酸とフッ化アンモニウムの混合液であることを特徴とする。
本発明の他の構成は、前記構成において、フッ素と界面活性を示す物質を含む液よりなるエッチャントとは、界面活性剤とフッ素を含むpHが5以上、このましくは5.5以上の液であることを特徴とする。
また、本発明の構成の一つは、結晶化を促進する元素を用いて結晶化した結晶質ケイ素膜にレーザー光を照射し、前記レーザー光を照射することにより前記結晶質ケイ素膜表面に形成された酸化ケイ素膜をフッ素と界面活性を示す物質を含む液により除去することを特徴とする半導体装置の作製方法である。
本発明の他の構成は、結晶化を促進する元素を用いて結晶化した結晶質ケイ素膜上に酸化ケイ素膜を形成し、前記酸化ケイ素膜上に非晶質ケイ素膜を形成し、加熱処理を行い、前記加熱処理により前記非晶質ケイ素膜表面に形成された酸化ケイ素膜をフッ素と界面活性を示す物質を含む液により除去することを特徴とする半導体装置の作製方法である。
本発明の他の構成は、結晶化を促進する元素を用いて結晶化した結晶質ケイ素膜上に酸化ケイ素膜を形成し、前記酸化ケイ素膜上に非晶質ケイ素膜を形成し、加熱処理を行い、前記非晶質ケイ素膜を除去し、前記結晶質ケイ素膜上に形成した前記酸化ケイ素膜をフッ素と界面活性を示す物質を含む液により除去することを特徴とする半導体装置の作製方法である。
本発明の他の構成は、結晶化を促進する元素を用いて結晶化した結晶質ケイ素膜にレーザー光を照射し、前記レーザー光を照射することにより前記結晶質ケイ素膜表面に形成された酸化ケイ素膜をフッ素と界面活性を示す物質を含む液により除去し、前記結晶質ケイ素膜上に酸化ケイ素膜を形成し、前記酸化ケイ素膜上に非晶質ケイ素膜を形成し、
加熱処理を行い、前記加熱処理により前記非晶質ケイ素膜表面に形成された酸化ケイ素膜をフッ素と界面活性を示す物質を含む液により除去することを特徴とする半導体装置の作製方法である。
本発明の他の構成は、結晶化を促進する元素を用いて結晶化した結晶質ケイ素膜にレーザー光を照射し、前記レーザー光を照射することにより前記結晶質ケイ素膜表面に形成された酸化ケイ素膜をフッ素と界面活性を示す物質を含む液により除去し、前記結晶質ケイ素膜上に酸化ケイ素膜を形成し、前記酸化ケイ素膜上に非晶質ケイ素膜を形成し、加熱処理を行い、前記非晶質ケイ素膜を除去し、前記結晶質ケイ素膜上に形成した前記酸化ケイ素膜をフッ素と界面活性を示す物質を含む液により除去することを特徴とする半導体装置の作製方法である。
本発明の他の構成は、結晶化を促進する元素を用いて結晶化した結晶質ケイ素膜上に酸化ケイ素膜を形成し、前記酸化ケイ素膜上に非晶質ケイ素膜を形成し、加熱処理を行い、前記加熱処理により前記非晶質ケイ素膜表面に形成された酸化ケイ素膜をフッ素と界面活性を示す物質を含む液により除去し、前記非晶質ケイ素膜を除去し、前記結晶質ケイ素膜上に形成した前記酸化ケイ素膜をフッ素と界面活性を示す物質を含む液により除去することを特徴とする半導体装置の作製方法である。
本発明の他の構成は、結晶化を促進する元素を用いて結晶化した結晶質ケイ素膜にレーザー光を照射し、前記レーザー光を照射することにより前記結晶質ケイ素膜表面に形成された酸化ケイ素膜をフッ素と界面活性を示す物質を含む液により除去し、結晶質ケイ素膜上に酸化ケイ素膜を形成し、前記酸化ケイ素膜上に非晶質ケイ素膜を形成し、加熱処理を行い、前記加熱処理により前記非晶質ケイ素膜表面に形成された酸化ケイ素膜をフッ素と界面活性を示す物質を含む液により除去し、前記非晶質ケイ素膜を除去し、前記結晶質ケイ素膜上に形成した前記酸化ケイ素膜をフッ素と界面活性を示す物質を含む液により除去することを特徴とする半導体装置の作製方法である。
本発明の他の構成は、結晶化を促進する元素を用いて結晶化した結晶質ケイ素膜をパターニングして所望の形状の結晶質ケイ素膜とし、前記結晶質ケイ素膜表面に形成されたの酸化ケイ素膜をフッ素と界面活性を示す物質を含む液により除去し、前記結晶質ケイ素膜を覆ってゲート絶縁膜を形成することを特徴とする半導体装置の作製方法である。
本発明の他の構成は、結晶化を促進する元素を用いて結晶化した結晶質ケイ素膜を用いた半導体装置の作製方法であって、前記結晶化した結晶質ケイ素膜をパターニングして所望の形状の結晶質ケイ素膜とし、前記結晶質ケイ素膜表面に形成されたの酸化ケイ素膜をフッ素と界面活性を示す物質を含む液により除去し、前記結晶性ケイ素膜上に酸化膜ケイ素膜を形成し、半導体装置の閾値を制御するための不純物の導入を行うことを特徴とする半導体装置の作製方法である。
本発明の他の構成は、結晶化を促進する元素を用いて結晶化した結晶質ケイ素膜を用いた半導体装置の作製方法であって、前記結晶質ケイ素膜を覆う絶縁膜にコンタクトホールを形成し、前記コンタクトホール内における前記結晶質ケイ素膜の表面に形成された酸化ケイ素膜をフッ素と界面活性を示す物質を含む液により除去し、前記結晶質ケイ素膜に接続する金属配線を形成することを特徴とする半導体装置の作製方法である。
本発明の他の構成は、結晶化を促進する元素を用いて結晶化した結晶質ケイ素膜上に第1のケイ素と酸素を主成分とする膜を形成し、第1のケイ素と酸素を主成分とする膜上に非晶質ケイ素膜を形成し、加熱処理を行い、加熱処理により非晶質ケイ素膜表面に形成された第2のケイ素と酸素を主成分とする膜をフッ素と界面活性を示す物質を含む液により除去することを特徴とする半導体装置の作製方法である。
本発明の他の構成は、結晶化を促進する元素を用いて結晶化した結晶質ケイ素膜上に第1のケイ素と酸素を主成分とする膜を形成し、第1のケイ素と酸素を主成分とする膜上に非晶質ケイ素膜を形成し、加熱処理を行い、非晶質ケイ素膜を除去し、結晶質ケイ素膜上に形成した第1のケイ素と酸素を主成分とする膜をフッ素と界面活性を示す物質を含む液により除去することを特徴とする半導体装置の作製方法である。
本発明の他の構成は、結晶化を促進する元素を用いて結晶化した結晶質ケイ素膜にレーザー光を照射し、レーザー光を照射することにより結晶質ケイ素膜表面に形成された第1のケイ素と酸素を主成分とする膜をフッ素と界面活性を示す物質を含む液により除去し、結晶質ケイ素膜上に第2のケイ素と酸素を主成分とする膜を形成し、第2のケイ素と酸素を主成分とする膜上に非晶質ケイ素膜を形成し、加熱処理を行い、加熱処理により非晶質ケイ素膜表面に形成された第3のケイ素と酸素を主成分とする膜をフッ素と界面活性を示す物質を含む液により除去することを特徴とする半導体装置の作製方法である。
本発明の他の構成は、結晶化を促進する元素を用いて結晶化した結晶質ケイ素膜にレーザー光を照射し、レーザー光を照射することにより結晶質ケイ素膜表面に形成された第1のケイ素と酸素を主成分とする膜をフッ素と界面活性を示す物質を含む液により除去し、結晶質ケイ素膜上に第2のケイ素と酸素を主成分とする膜を形成し、第2のケイ素と酸素を主成分とする膜上に非晶質ケイ素膜を形成し、加熱処理を行い、非晶質ケイ素膜を除去し、結晶質ケイ素膜上に形成した第2のケイ素と酸素を主成分とする膜をフッ素と界面活性を示す物質を含む液により除去することを特徴とする半導体装置の作製方法である。
本発明の他の構成は、結晶化を促進する元素を用いて結晶化した結晶質ケイ素膜上に第1のケイ素と酸素を主成分とする膜を形成し、第1のケイ素と酸素を主成分とする膜上に非晶質ケイ素膜を形成し、加熱処理を行い、加熱処理により非晶質ケイ素膜表面に形成された第2のケイ素と酸素を主成分とする膜をフッ素と界面活性を示す物質を含む液により除去し、非晶質ケイ素膜を除去し、結晶質ケイ素膜上に形成した第1のケイ素と酸素を主成分とする膜をフッ素と界面活性を示す物質を含む液により除去することを特徴とする半導体装置の作製方法である。
本発明の他の構成は、結晶化を促進する元素を用いて結晶化した結晶質ケイ素膜にレーザー光を照射し、レーザー光を照射することにより結晶質ケイ素膜表面に形成された第1のケイ素と酸素を主成分とする膜をフッ素と界面活性を示す物質を含む液により除去し、結晶質ケイ素膜上に第2のケイ素と酸素を主成分とする膜を形成し、第2のケイ素と酸素を主成分とする膜上に非晶質ケイ素膜を形成し、加熱処理を行い、加熱処理により非晶質ケイ素膜表面に形成された第3のケイ素と酸素を主成分とする膜をフッ素と界面活性を示す物質を含む液により除去し、非晶質ケイ素膜を除去し、結晶質ケイ素膜上に形成した第2のケイ素と酸素を主成分とする膜をフッ素と界面活性を示す物質を含む液により除去することを特徴とする半導体装置の作製方法である。
本発明の他の構成は、結晶化を促進する元素を用いて結晶化した結晶質ケイ素膜をパターニングして所望の形状の結晶質ケイ素膜とし、結晶質ケイ素膜表面に形成された第1のケイ素と酸素を主成分とする膜をフッ素と界面活性を示す物質を含む液により除去し、結晶質ケイ素膜を覆ってゲート絶縁膜を形成することを特徴とする半導体装置の作製方法である。
本発明の他の構成は、結晶化を促進する元素を用いて結晶化した結晶質ケイ素膜を用いた半導体装置の作製方法であって、結晶質ケイ素膜表面に形成されたの第1のケイ素と酸素を主成分とする膜をフッ素と界面活性を示す物質を含む液により除去し、結晶質ケイ素膜表面に第2のケイ素と酸素を主成分とする膜を形成し、半導体装置の閾値を制御するための不純物の導入を行うことを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法である。
本発明の他の構成は、結晶化を促進する元素を用いて結晶化した結晶質ケイ素膜を用いた半導体装置の作製方法であって、結晶質ケイ素膜を覆う絶縁膜にコンタクトホールを形成し、コンタクトホール内における結晶質ケイ素膜の表面に形成されたケイ素と酸素を主成分とする膜をフッ素と界面活性を示す物質を含む液により除去し、結晶質ケイ素膜に接続する金属配線を形成することを特徴とする半導体装置の作製方法である。
本発明の他の構成は、前記構成において、界面活性を示す物質とは、有機溶剤、有機酸及び界面活性剤のうちいずれか一つもしくは複数種であることを特徴とする半導体装置の作製方法である。
本発明の他の構成は、前記構成において、前記フッ素を含む液とはフッ酸が含まれている液であることを特徴とする半導体装置の作製方法である。
本発明の他の構成は、前記構成において、前記フッ素を含む液とはフッ酸とフッ化アンモニウムが含まれている液であることを特徴とする半導体装置の作製方法である。
本発明の他の構成は、前記構成において、フッ素と界面活性剤を含む液のpHが5以上であることを特徴とする半導体装置の作製方法である。
本発明の他の構成は、前記構成において、フッ素と界面活性剤を含む液のpHが5.5以上であることを特徴とする半導体装置の作製方法である。
本発明を用いることにより、ケイ素膜を貫通するような孔の発生を抑制することができ、結果として結晶質ケイ素膜の孔を抑制することができる。これにより結晶質ケイ素膜を用いて形成される薄膜トランジスタや容量におけるゲート絶縁膜の被覆性不良を防ぎ、絶縁耐圧不良、リーク電流の発生を抑制し、これらが原因でおこる不良を少なくすることができ、歩留まり向上や信頼性の向上が見込める。
また、本発明を用いて作製された半導体装置及び発光装置はその心臓部である半導体特性を示す素子の信頼性や歩留まりが向上するため、低コストでかつ信頼性の良い装置となりうる。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
本実施の形態では、ゲッタリングを行う際に結晶質ケイ素膜表面に形成する酸化ケイ素膜からなるエッチングストッパーと、当該エッチングストッパー上に形成される非晶質ケイ素膜よりなるゲッタリングサイト上に形成される自然酸化膜(酸化ケイ素膜)を除去する際に結晶質ケイ素膜表面に孔が発生しない方法について図1を参照しながら説明する。
まず、基板100上に下地絶縁膜101を形成してから非晶質ケイ素膜を成膜し、結晶化を促進する元素を用いて結晶化することで結晶質ケイ素膜102とする(図1(A))。
基板100としてはガラス基板、石英基板、結晶性ガラスなどの絶縁性基板や、セラミック基板、ステンレス基板、金属基板(タンタル、タングステン、モリブデン等)、半導体基板、プラスチック基板(ポリイミド、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン等)等を用いることができるが、少なくともプロセス中に発生する熱に絶えうる材料を使用する。本実施の形態においてはガラス基板を使用する。
下地膜101は基板100中のアルカリ金属やアルカリ土類金属が、結晶性ケイ素膜102中に拡散するのを防ぐ為に設ける。このような元素は結晶性ケイ素膜の半導体特性に悪影響をおよぼしてしまうためである。材料としては酸化ケイ素、窒化ケイ素、窒化酸化ケイ素及び窒化酸化ケイ素などを用いることができ、単層または積層構造とすることにより形成する。なお、アルカリ金属やアルカリ土類金属の拡散の心配のない基板であれば特に下地絶縁膜は設ける必要がない。
本実施の形態においては下地絶縁膜101は積層構造により作製し、1層目の絶縁膜として窒化酸化ケイ素膜を50nm、2層目の絶縁膜として酸化窒化ケイ素膜を100nmで形成した。なお、窒化酸化ケイ素膜と酸化窒化ケイ素膜はその窒素と酸素の割合が異なっていることを意味しており、前者の方がより窒素の含有量が高いことを示している。1層目の下地膜は、プラズマCVD法により、原料ガスにSiH4、N2O、NH3、H2を使用し、圧力が0.3Torr、RFパワーが50W、RF周波数が60MHz、基板温度が400℃として形成する。2層目の下地膜は同じくプラズマCVD法により、原料ガスにSiH4、N2Oを用い、圧力が0.3Torr、RFパワーが150W、RF周波数が60MHz、基板温度が400度の条件で形成する。
続いて下地絶縁膜上に非晶質ケイ素膜を25〜100nm(好ましくは30〜60nm)の膜厚で形成する。作製方法としては、公知の方法、例えばスパッタ法、減圧CVD法、またはプラズマCVD法等が使用できる。本実施の形態では、プラズマCVD法により膜厚50nmに形成する。
続いて非晶質ケイ素膜の結晶化を行う。結晶化は非晶質ケイ素膜の結晶化を促進する元素を用い、加熱処理を行うことによって行う。結晶化を促進する元素とは、代表的にはニッケルが挙げられ、このような元素を用いることによって用いない場合に比べて低温、短時間で結晶化が行われるためガラス基板など比較的熱に弱い基板を使用する際に好適に用いることが可能である。このような結晶化を促進する元素としては、ニッケルの他に鉄、パラジウム、スズ、鉛、コバルト、白金、銅、金などがある。この中から一種もしくは複数種を用いればよい。
このような元素の添加方法としては、例えばこのような元素の塩を溶媒に溶かしてスピンコート法やディップ法などで塗布する方法がある。溶媒としては有機溶媒や水などが使用できるが、ケイ素膜上に直接触れるため、半導体特性に悪影響を及ぼさないものを選ぶことが肝要である。また、塩についても同様である。
本実施の形態では、結晶化を促進する元素としてNiを用いる場合の一例を紹介する。Niは酢酸塩や硝酸塩を10ppm水溶液として用いると良い。この水溶液をスピンコート法により非晶質ケイ素膜上に塗布するのだが、ケイ素膜の表面は疎水性であるために均一に塗布できない可能性があるので、あらかじめオゾン水などで非晶質ケイ素膜表面を処理し、極薄い酸化膜を形成しておくことが好ましい。
結晶化を促進する元素の非晶質ケイ素膜への導入方法としては他にイオン注入法、Niを含有する水蒸気雰囲気中での加熱、ターゲットをNi材料としてのスパッタリングなどが考えられる。
次いで、加熱処理を行い、非晶質半導体膜を結晶化させる。触媒元素を用いているため、500〜650度で1分〜24時間程度加熱処理を行えばよい。この結晶化処理により、非晶質ケイ素膜は結晶質ケイ素膜102となる。この際、磁場をかけて、その磁気エネルギーと合わせて結晶化させてもよいし、高出力マイクロ波を使用しても構わない。本実施の形態では、縦型炉を用いて500℃で1時間熱処理後、550℃4時間で熱処理を行うことで結晶質ケイ素膜102が形成される。
続いて、レーザによる結晶化を行い、結晶質ケイ素膜102中の欠陥を低減させることにより結晶性を向上させる。レーザ結晶化法は、レーザ発振装置として、パルス発振型、または連続発振型の気体または固体及び金属レーザ発振装置を用いれば良い。気体レーザとしては、エキシマレーザ、Arレーザ、Krレーザ等があり、固体レーザとしては、YAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライドレーザ、サファイアレーザ、金属レーザとしては、ヘリウムカドミウムレーザ、銅蒸気レーザ、金蒸気レーザが挙げられるなどがある。固体レーザのレーザ媒質である結晶には、Cr3+、Cr4+、Nd3+、Er3+、Ce3+、Co2+、Ti3+、Yb3+又は、V3+から選択される一種又は複数種が不純物としてドープされている。
レーザ発振装置により発振されたレーザは光学系を用いて線状にして照射を行うと好ましい。線状レーザは通常用いられるシリンドリカルレンズや凹型を有するミラーなどを用いることで得ることができる。照射条件としては、パワー密度が0.01〜100MW/cm2程度、照射雰囲気としては大気、または酸素濃度を制御した雰囲気、N2雰囲気または真空中が挙げられる。また、パルス発振のレーザを用いる場合には、周波数30〜300Hzとし、レーザエネルギー密度を100〜1500mJ/cm2(代表的には200〜500mJ/cm2)とするのが望ましい。このとき、レーザ光をレーザビームのFWHMで計算して50〜98%オーバーラップさせても良い。なお、本実施の形態において結晶化雰囲気は大気中とする。
大気中でレーザー照射を行うと、結晶質ケイ素膜102上に自然酸化膜である酸化ケイ素膜が形成されるが、この酸化ケイ素膜の膜質は制御できないため、除去してしまうことが望ましい。
この場合はフッ素を含む液と界面活性を示す物質が含まれた液との混合液などのフッ素と界面活性を示す物質を含む液を用いると下層の結晶質ケイ素膜102中にニッケル及び/又はニッケルシリサイドの偏析があったとしても、酸化ケイ素膜のみを選択性良くエッチングできるため、結晶質ケイ素膜102に孔が発生することが抑制される。フッ素を含む液と界面活性を示す物質が含まれた液との混合液の一例としては、HFが約0.3wt%、NH4Fが約40wt%、界面活性剤を0.01〜0.1wt%含む液や、HFが約0.1wt%、NH4Fが約17wt%、界面活性剤を約0.01〜0.1wt%含む液などがある。この組成でなくとも、HFとNH4F及び界面活性剤を含む液や、HFと界面活性剤を含むpH5好ましくはpH5.5以上の液、HFと有機溶剤を含む液、HFと有機酸を含む液、HFと界面活性剤と有機溶剤を含む液、HFと界面活性剤と有機酸を含む液などが使用できる。なお、エッチングは室温で行えば良く、処理時間は酸化膜の厚さや質にもよるが、約45秒程度でよい。
界面活性を示す物質としては、前述したように有機溶剤、有機酸、界面活性剤などが挙げられ、この中から一種もしくは複数種を用いて使用する。また、界面活性剤を含むエッチャントのpHは5以上好ましくは5.5以上であることが望ましい。
次に結晶質ケイ素膜上に酸化ケイ素膜103を形成する(図1(B))。酸化ケイ素膜103はに酸素雰囲気中でのUV光の照射、熱酸化法、オゾン水又は過酸化水素による処理等により形成する。次いでスパッタ法やCVD法にてゲッタリングサイトを形成する。スパッタで形成するときはゲッタリングサイト104はアルゴン元素を含む非晶質ケイ素膜を膜厚50nm堆積することで形成する。成膜条件は、成膜圧力:0.3Pa、ガス(Ar)流量:50(sccm)、成膜パワー:3kW、基板温度:150℃とした(図1(C))。なお、上記条件での非晶質ケイ素膜に含まれるアルゴン元素の原子濃度は、3×1020/cm3〜6×1020/cm3、酸素の原子濃度は1×1019/cm3〜3×1019/cm3程度である。その後、ラピッドアニール装置を用いて650℃、3分の加熱処理を行いゲッタリングする。
加熱処理を行うことで結晶質ケイ素膜102中の結晶化を促進する元素の少なくとも一部をゲッタリングサイト104に移動する。この際の加熱処理によりゲッタリングサイト104上には酸化ケイ素膜よりなる自然酸化膜105が形成されている(図1(D))。
この後、フッ素と界面活性を示す物質を含む液により、自然酸化膜105を除去する。フッ素を含む液と界面活性を示す物質が含まれた液との混合液を用いると下層のゲッタリングサイト104中にニッケル及び/又はニッケルシリサイドの偏析があったとしても、酸化ケイ素膜で成る自然酸化膜105のみを選択性良くエッチングできるため、ゲッタリングサイト104及びその下層のエッチングストッパー103に孔が発生することが低減される(図1(E))。
フッ素を含む液と界面活性を示す物質が含まれた液との混合液の一例としては、HFが約0.3wt%、NH4Fが約40wt%、界面活性剤を0.01〜0.1wt%含む液や、HFが約0.1wt%、NH4Fが約17wt%、界面活性剤を約0.01〜0.1wt%含む液などがある。この組成でなくとも、HFとNH4F及び界面活性剤を含む液や、HFと界面活性剤を含むpH5以上好ましくはpH5.5以上の液、HFと有機溶剤を含む液、HFと有機酸を含む液、HFと界面活性剤と有機溶剤を含む液、HFと界面活性剤と有機酸を含む液などが使用できる。なお、エッチングは室温で行えば良く、処理時間は約55秒程度でよい。
界面活性を示す物質としては、前述したように有機溶剤、有機酸、界面活性剤などが挙げられ、この中から一種もしくは複数種を用いて使用する。また、界面活性剤を含むエッチャントのpHは5以上好ましくは5.5以上であることが望ましい。
続いて、ゲッタリングサイト104をTMAH(Tetra methyl ammonium hydroxide)含有水溶液を用いて60度程度に加熱し、エッチングする。この際、エッチングストッパー103は酸化ケイ素膜であるため、TMAH系のエッチャントのエッチングレートが小さく、ケイ素膜であるゲッタリングサイト104が選択性良くエッチングされる(図1(F))。
この際、前述のように自然酸化膜103がフッ素を含む液と界面活性を示す物質が含まれた液との混合液により除去されていれば、ゲッタリングサイト104にニッケル及び/又はニッケルシリサイドの偏析があったとしても孔はあかず、のエッチングストッパーにも孔はあいていないため、結晶質ケイ素膜102がTMAHに曝されることが無く、それによる孔の発生が起こらないようにすることができる。
その後、エッチングストッパー103を自然酸化膜105をエッチングする際と同じ、フッ素と界面活性を示す物質を含む液でエッチングし、除去する。エッチングストッパー103は自然酸化膜ではないが、ゲッタリングのエッチングストッパー膜として用いられた酸化ケイ素膜中にはニッケルが多量に含まれている可能性があり、その後の処理を行うことで活性層が汚染される心配もあるため、除去することが望ましい。
フッ素を含む液と界面活性を示す物質が含まれた液との混合液を用いると下層の結晶質ケイ素膜102中にニッケル及び/又はニッケルシリサイドの偏析があったとしても、酸化ケイ素膜で成るエッチングストッパー103のみを選択性良くエッチングできるため結晶質ケイ素膜102に孔が発生することが低減される。
フッ素を含む液と界面活性を示す物質が含まれた液との混合液の一例としては、HFが約0.3wt%、NH4Fが約40wt%、フッ素系の界面活性剤を約0.02wt%含む液や、HFが約0.1wt%、NH4Fが約17wt%、炭化水素の界面活性剤を約0.02wt%含む液などがある。この組成でなくとも、HFとNH4F及び界面活性剤を含む液や、HFと界面活性剤を含むpH5以上、好ましくは5.5以上の液、HFと有機溶剤を含む液、HFと有機酸を含む液、HFと界面活性剤と有機溶剤を含む液、HFと界面活性剤と有機酸を含む液などが使用できる。なお、エッチングは室温で行えば良く、処理時間は約35秒程度である。
界面活性を示す物質としては、前述したように有機溶剤、有機酸、界面活性剤などが挙げられ、この中から一種もしくは複数種とフッ素を含む液を用いて使用する。また、界面活性剤を含むエッチャントのpHは5以上、好ましくは5.5以上であることが望ましい。
以上のような方法により、より良質な結晶質ケイ素膜106を得ることができ(図1(G))、当該結晶質ケイ素膜を用いて薄膜トランジスタや容量を作製した際にその特性に悪影響を及ぼすような孔があくことを抑制することが可能となる。
本実施の形態では、レーザ照射後の自然酸化膜、ゲッタリング後の自然酸化膜105、エッチングストッパー膜103の3カ所をフッ素を含む液と界面活性を示す物質が含まれた液との混合液よりなるエッチャントにより除去している構成であるが、本発明はどれか一カ所もしくは2カ所のみ、当該エッチャントを使用してもかまわない。
なぜならば、結晶化を促進する元素の偏析は、加熱処理の条件や当該元素の添加濃度によりゲッタリングサイト104、結晶質ケイ素膜102のどちらにも発生しうるし、またどちらかに発生しないこともあり得るため、条件により自然酸化膜105とエッチングストッパー膜103どちらかのみフッ素を含む液と界面活性を示す物質が含まれた液との混合液よりなるエッチャントを用いるのみで足る場合があるからである。
なお、本実施の形態においては酸化ケイ素膜を除去することのみ記載したが、酸化ケイ素膜以外にも窒素や炭素が含まれたケイ素と酸素を主成分とする膜などの除去にも本発明を適用することが可能である。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明を使用して薄膜トランジスタ及び容量を作製する方法について図2を参照しながら説明する。
実施の形態1で得た結晶質ケイ素膜102に必要に応じてしきい値をコントロールするための微量の不純物を添加する、いわゆるチャネルドーピングを行う。要求されるしきい値を得るために、ボロンもしくはリン等をイオンドーピング法などにより添加する。
その後、図2(A)に示すように、所定の形状にパターニングし、島状の結晶質ケイ素膜301a〜301dを得る。パターニングは、結晶質ケイ素膜にフォトレジストを塗布し、所定のマスク形状を露光し、焼成して、結晶性半導体膜上にマスクを形成し、このマスクを用いて、ドライエッチング法により結晶質ケイ素膜をエッチングすることで行われる。ドライエッチング法のガスは、CF4と、O2等を用いて行えば良い。
続いて、結晶性半導体膜301a〜301dを覆うようにゲート絶縁膜300を形成する。ゲート絶縁膜300はプラズマCVD法またはスパッタ法を用い膜厚を40〜150nmとしてケイ素を含む絶縁膜で形成する。本実施の形態では、ゲート絶縁膜300はプラズマCVD法により酸化窒化珪素膜を115nmの厚さに形成する。
なお、チャネルドーピング前と、ゲート絶縁膜形成前に結晶質ケイ素膜102上に形成された自然酸化膜(図示せず。酸化ケイ素よりなる)をフッ素と界面活性を示す物質を含む液でエッチングし、除去してもよい。自然酸化膜はその膜質が制御できないため、不純物の導入性変動があったり、ゲート絶縁膜として使用できるような特性ではない場合があるため、これら工程の前に自然酸化膜が形成されてしまった場合は除去してしまうことが望ましい。フッ素を含む液と界面活性を示す物質が含まれた液との混合液を用いると下層の結晶質ケイ素膜102中にニッケル及び/又はニッケルシリサイドの偏析があったとしても、酸化ケイ素膜で成る自然酸化膜を選択性良くエッチングできるため結晶質ケイ素膜102に孔が発生することが抑制される。
フッ素を含む液と界面活性を示す物質が含まれた液との混合液の一例としては、HFが約0.3wt%、NH4Fが約40wt%、界面活性剤を0.01〜0.1wt%含む液や、HFが約0.1wt%、NH4Fが約17wt%、界面活性剤を約0.01〜0.1wt%含む液などがある。この組成でなくとも、HFとNH4F及び界面活性剤を含む液や、HFと界面活性剤を含むpH5以上好ましくは5.5以上の液、HFと有機溶剤を含む液、HFと有機酸を含む液、HFと界面活性剤と有機溶剤を含む液、HFと界面活性剤と有機酸を含む液などが使用できる。なお、エッチングは室温で行えば良く、処理時間は実施者が酸化膜の膜質、膜厚にそって適宜設定する。
界面活性を示す物質としては、前述したように有機溶剤、有機酸、界面活性剤などが挙げられ、この中から一種もしくは複数種を用いて使用する。また、界面活性剤を含むエッチャントのpHは5以上好ましくは5.5以上であることが望ましい。
次いで、ゲート絶縁膜上に第1の導電層として膜厚30nmの窒化タンタル(TaN)302とその上に第2の導電層として膜厚370nmのタングステン(W)303を形成する。TaN膜、W膜共スパッタ法で形成すればよく、TaN膜はTaのターゲットを用いて窒素雰囲気中で、W膜はWのターゲットを用いて成膜すれば良い。
なお、本実例では第1の導電層を膜厚30nmのTaN、第2の導電層を膜厚370nmのWとしたが、第1の導電層と第2の導電層は共にTa、W、Ti、Mo、Al、Cu、Cr、Ndから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成してもよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶珪素膜に代表される半導体膜を用いてもよい。また、AgPdCu合金を用いてもよい。さらに、その組み合わせも適宜選択すればよい。膜厚は第1の導電層が20〜100nm、第2の導電層が100〜400nmの範囲で形成すれば良い。また、本実施の形態では、2層の積層構造としたが、1層としてもよいし、もしくは3層以上の積層構造としてもよい。
次に、前記導電層をエッチングして電極及び配線を形成するため、フォトリソグラフィーにより露光工程を経てレジストからなるマスクを形成する。第1のエッチング処理では第1のエッチング条件と第2のエッチング条件でエッチングを行う。レジストによるマスクを用い、エッチングし、ゲート電極及び配線を形成する。エッチング条件は適宜選択すれば良い。
本法では、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)エッチング法を使用した。第1のエッチング条件として、エッチング用ガスにCF4、Cl2とO2を用い、それぞれのガス流量比を25/25/10(sccm)とし、1.0Paの圧力でコイル型電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成してエッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも150WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。この第1のエッチング条件によりW膜をエッチングして第1の導電層の端部をテーパー形状とする。
続いて、第2のエッチング条件に移ってエッチングを行う。レジストからなるマスクをのこしたまま、エッチング用ガスにCF4とCl2を用い、それぞれのガス流量比を30/30(sccm)、圧力1.0Paでコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して約15秒程度のエッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。CF4とCl2を混合した第2のエッチング条件ではW膜及びTaN膜とも同程度にエッチングされる。なお、ゲート絶縁膜上に残渣を残すことなくエッチングするためには、10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させると良い。この第1のエッチング処理において、電極に覆われていないゲート絶縁膜は20nm〜50nm程度エッチングされ、基板側に印加されたバイアス電圧の効果により第1の導電層及び第2の導電層の端部はテーパー状となる。
次いで、レジストからなるマスクを除去せずに第2のエッチング処理を行う。第2のエッチング処理では、エッチング用のガスにSF6とCl2とO2を用い、それぞれのガス流量比を24/12/24(sccm)とし、1.3Paの圧力でコイル側の電力に700WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを発生して25秒程度エッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも10WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加した。このエッチング条件ではW膜が選択的にエッチングされ、第2形状の導電層を形成した。このとき第1の導電層はほとんどエッチングされない。第1、第2のエッチング処理によって第1の導電層302a〜302d、第2の導電層303a〜303dよりなるゲート電極が形成される。
そして、レジストからなるマスクを除去せず、第1のドーピング処理を行う。これにより、結晶性半導体層にN型を付与する不純物が低濃度に添加される。第1のドーピング処理はイオンドープ法又はイオン注入法で行えば良い。イオンドープ法の条件はドーズ量が1×1013〜5×1014atoms/cm2、加速電圧が40〜80kVで行えばよい。本実施の形態では加速電圧を50kVとして行った。N型を付与する不純物元素としては15族に属する元素を用いることができ、代表的にはリン(P)または砒素(As)が用いられる。本実施の形態ではリン(P)を使用した。その際、第1の導電層をマスクとして、自己整合的に低濃度の不純物が添加されている第1の不純物領域(N--領域)304を形成した。
続き、レジストからなるマスクを除去する。そして新たにレジストからなるマスクを形成して第1のドーピング処理よりも高い加速電圧で、第2のドーピング処理を行う。第2のドーピング処理もN型を付与する不純物を添加する。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1013〜3×1015atoms/cm2、加速電圧を60〜120kVとすれば良い。本実施の形態ではドーズ量を3.0×1015atoms/cm2とし、加速電圧を65kVとして行った。第2のドーピング処理は第2の導電層を不純物元素に対するマスクとして用い、第1の導電層の下方に位置する半導体層にも不純物元素が添加されるようにドーピングを行う。
第2のドーピングを行うと、結晶性半導体層の第1の導電層と重なっている部分のうち、第2の導電層に重なっていない部分もしくはマスクに覆われていない部分に、第2の不純物領域(N-領域)が形成される。第2の不純物領域には1×1018〜5×1019atoms/cm3の濃度範囲でN型を付与する不純物が添加される。また、結晶性半導体膜のうち、第1形状の導電層にもマスクにも覆われておらず、露出している部分(第3の不純物領域:N+領域)には1×1019〜5×1021atom/cm3の範囲で高濃度にN型を付与する不純物が添加される。また、半導体層にはN+領域が存在するが、一部マスクのみに覆われている部分がある。この部分のN型を付与する不純物の濃度は、第1のドーピング処理で添加された不純物濃度のままであるので、引き続き第1の不純物領域(N--領域)と呼ぶことにする。
なお、本実施の形態では2回のドーピング処理により各不純物領域を形成したが、これに限定されることは無く、適宜条件を設定して、一回もしくは複数回のドーピングによって所望の不純物濃度を有する不純物領域を形成すれば良い。
次いで、レジストからなるマスクを除去した後、新たにレジストからなるマスクを形成し、第3のドーピング処理を行う。第3のドーピング処理により、Pチャネル型TFTとなる半導体層に前記第1の導電型及び前記第2の導電型とは逆の導電型を付与する不純物元素が添加された第4の不純物領域(P+領域)308、309及び第5の不純物領域310、311(P-領域)が形成される。
第3のドーピング処理では、レジストからなるマスクに覆われておらず、更に第1の導電層とも重なっていない部分に、第4の不純物領域(P+領域)が形成され、レジストからなるマスクに覆われておらず、且つ第1の導電層と重なっており、第2の導電層と重なっていない部分に第5の不純物領域(P-領域)が形成される。P型を付与する不純物元素としては、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)など周期律表第13族の元素が知られている。
本実施の形態では、第4の不純物領域及び第5の不純物領域を形成するP型の不純物元素としてはホウ素(B)を選択し、ジボラン(B2H6)を用いたイオンドープ法で形成した。イオンドープ法の条件としては、ドーズ量を1×1016atoms/cm2とし、加速電圧を80kVとした。
なお、第3のドーピング処理の際には、Nチャネル型TFTを形成する部分はレジストからなるマスクに覆われている。
ここで、第1及び第2のドーピング処理によって、第4の不純物領域(P+領域)及び第5の不純物領域(P-領域)にはそれぞれ異なる濃度でリンが添加されている。しかし、第4の不純物領域(P+領域)及び第5の不純物領域(P-領域)のいずれの領域においても、第3のドーピング処理によって、P型を付与する不純物元素の濃度が1×1019〜5×1021atoms/cm2となるようにドーピング処理される。そのため、第4の不純物領域(P+領域)及び第5の不純物領域(P-領域)は、Pチャネル型TFTのソース領域及びドレイン領域として問題無く機能する。
なお、本実施の形態では、第3のドーピング一回で、第4の不純物領域(P+領域)及び第5の不純物領域(P-領域)を形成したが、ドーピング処理の条件によって適宜複数回のドーピング処理により第4の不純物領域(P+領域)及び第5の不純物領域(P-領域)を形成してもよい。
これらのドーピング処理によって、第1の不純物領域(N--領域)304、第2の不純物領域(N-領域)305、第3の不純物領域(N+領域)306、307、第4の不純物領域(P+領域)308、309、及び第5の不純物領域(P-領域)310、311が形成される。
次いで、レジストからなるマスクを除去して第1のパッシベーション膜312を形成する。この第1のパッシベーション膜としてはケイ素を含む絶縁膜を100〜200nmの厚さに形成する。成膜法としてはプラズマCVD法や、スパッタ法を用いればよい。
本実施の形態では、プラズマCVD法により膜厚100nmの窒素を含む酸化珪素膜を形成した。窒素を含む酸化珪素膜を用いる場合には、プラズマCVD法でSiH4、N2O、NH3から作製される酸化窒化ケイ素膜、またはSiH4、N2Oから作製される酸化窒化ケイ素膜、あるいはSiH4、N2OをArで希釈したガスから形成される酸化窒化ケイ素膜を形成すれば良い。また、第1のパッシベーション膜としてSiH4、N2O、H2から作製される酸化窒化水素化ケイ素膜を適用しても良い。もちろん、第1のパッシベーション膜312は、本実施の形態のような酸化窒化ケイ素膜の単層構造に限定されるものではなく、他のケイ素を含む絶縁膜を単層構造、もしくは積層構造として用いても良い。
次いで、第1のパッシベーション膜312上に、層間絶縁膜313を形成する。層間絶縁膜としては、無機絶縁膜や有機絶縁膜を用いることができる。無機絶縁膜としては、CVD法により形成された酸化ケイ素膜や、SOG(Spin On Glass)法により塗布された酸化ケイ素膜などを用いることができ、有機絶縁膜としてはポリイミド、ポリアミド、BCB(ベンゾシクロブテン)、アクリルまたはポジ型感光性有機樹脂、ネガ型感光性有機樹脂、ケイ素と酸素との結合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む、または置換基にフッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも1種を有する材料、いわゆるシロキサンの膜を用いることができる。また、それらの積層構造を用いても良い。
本実施の形態では、シロキサンにより層間絶縁膜313を形成する。層間絶縁膜としては、シロキサン系ポリマーを全面塗布した後、50〜200℃、10分間の熱処理によって乾燥させ、さらに300〜450℃、1〜12時間の焼成処理を行う。この焼成により、1μm厚のシロキサンの膜が全面に成膜される。この工程は、シロキサン系ポリマーの焼成を行うと共に、第1のパッシベーション膜312中の水素によって、半導体層を水素化及び不純物の活性化をすることが可能であるため、工程数を削減でき、プロセスを簡略化することが可能である。水素化は、第1のパッシベーション膜に含まれる水素によって、半導体層のダングリングボンドを終端するものである。
シロキサン以外の材料で層間絶縁膜を形成する場合には、水素化及び活性化の為に加熱処理が必要となる。その場合は層間絶縁膜を形成する前に別に加熱処理(熱処理)を行う工程が必要となる。熱処理法としては、酸素濃度が1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下の窒素雰囲気中において400〜700℃で行えば良く、本実施の形態では410℃、1時間の熱処理で活性化処理を行った。なお、熱処理法の他に、レーザーアニール法、又はラピッドサーマルアニール法(RTA法)を適用することができる。
また、第1のパッシベーション膜312を形成する前に加熱処理を行ってもよい。但し、第1の導電層302a〜302d及び第2の導電層303a〜303dを構成する材料が熱に弱い場合には、本実施の形態のように配線などを保護するため、第1のパッシベーション膜312を形成した後で熱処理を行うことが望ましい。さらに、この場合、第1のパッシベーション膜がないため、パッシベーション膜に含まれる水素を利用しての水素化は行うことができない。この場合は、プラズマにより励起された水素を用いる手段(プラズマ水素化)を用いての水素化や、3〜100%の水素を含む雰囲気中において、300〜450℃で1〜12時間の加熱処理による水素化を用いれば良い。
この後、層間絶縁膜313を覆うように、CVD法により窒化酸化珪素膜又は酸化窒化珪素膜を形成しても良い。この膜は、後に形成される導電膜をエッチングするときに、エッチングストッパーとして働き、層間絶縁膜のオーバーエッチングを防止することができる。さらにこの上に、スパッタリング法により窒化珪素膜を形成してもよい。この窒化珪素膜は、アルカリ金属イオンの移動を抑制する働きがあるため、後に形成される画素電極からのリチウム元素、ナトリウム等の金属イオンが半導体薄膜へ移動するのを抑制することができる。
次に、層間絶縁膜のパターニング及びエッチングを行い、結晶質半導体層301a〜301dに達するコンタクトホールを形成する。コンタクトホールのエッチングは、CF4とO2とHeの混合ガスを用いてシロキサン膜をエッチングし、続いてCHF3のガスによりゲート絶縁膜である酸化シリコン膜をエッチングし、除去することで形成する。
この際、コンタクトホールを開口することによって結晶質ケイ素膜102の表面が露出した状態となるが、この露出面に自然酸化膜が形成してしまう場合がある(図示せず)。このような自然酸化膜があると、配線と結晶質ケイ素膜間の抵抗が高くなってしまい、駆動電圧が上がったり、動作しなくなってしまう恐れがあるため、このような自然酸化膜は配線を形成する前に除去してしまうことが望ましい。
自然酸化膜の除去はフッ素と界面活性を示す物質を含む液により行えば良く、当該を用いるとコンタクトホールが形成された部分の結晶質ケイ素膜にニッケル及び/又はニッケルシリサイドの偏析があったとしても、酸化ケイ素膜で成る自然酸化膜を選択性良くエッチングできるため、結晶質ケイ素膜に孔が発生することが低減される。
フッ素を含む液と界面活性を示す物質が含まれた液との混合液の一例としては、HFが約0.3wt%、NH4Fが約40wt%、界面活性剤を0.01〜0.1wt%含む液や、HFが約0.1wt%、NH4Fが約17wt%、界面活性剤を約0.01〜0.1wt%含む液などがある。この組成でなくとも、HFとNH4F及び界面活性剤を含む液や、HFと界面活性剤を含むpH5以上、好ましくはpH5.5以上の液、HFと有機溶剤を含む液、HFと有機酸を含む液、HFと界面活性剤と有機溶剤を含む液、HFと界面活性剤と有機酸を含む液などが使用できる。なお、エッチングは室温で行えば良く、15〜40秒処理すればよい。
続いて、コンタクトホール中に金属膜を積層し、パターニングしてソース電極及びドレイン電極を形成する。本実施例では、窒素元素を含むチタン膜上に、チタン−アルミニウム合金膜とチタン膜を積層しそれぞれ100nm\350nm\100nmに積層したのち、所望の形状にパターニング及びエッチングして3層で形成されるソース電極及び/又はドレイン電極314〜321を形成する。
一層目の窒素原子を含むチタン膜はターゲットをチタンとし、窒素とアルゴンの流量を1:1としてスパッタリング法により形成する。上記のような窒素元素を含むチタン膜を、シロキサン系の膜の層間絶縁膜上に形成すると、膜はがれしにくく、且つ結晶性ケイ素膜と低抵抗接続を有する配線を形成することができる。
このように、本発明を使用して薄膜トランジスタ及び容量を作製することができる。本実施の形態のように薄膜トランジスタ及び容量を形成すると、自然酸化膜による不都合を除去しつつ、半導体特性を示す結晶質ケイ素膜にその特性に悪影響を及ぼすような孔が発生することを抑制でき、信頼性を高め、歩留まりの向上も期待できる。
なお、本実施の形態は実施の形態1と自由に組み合わせて用いることが可能である。また、フッ素と界面活性を示す物質を含む液による酸化膜除去の工程は本実施の形態においてチャネルドーピングの前及びソース配線、ドレイン配線の形成まえに行われているが、本発明はどちらか片方のみの適用でもかまわない。
なぜならば、ニッケルなどの結晶化を促進する元素の偏析は、加熱処理の条件や当該元素の添加濃度により発生しうるし、また発生しないこともあり得るからである。
本実施例では、本発明を用いて作製された薄膜トランジスタや容量を使用して発光装置を作成する例について図3を参照しながら説明する。
本実施例で説明する発光装置は一対の電極間に発光する物質を含む層を挟み込み、電極間に電流を流すことで発光する素子をマトリクス状に配列させたものである。発光素子の発光機構は、一対の電極間に有機化合物層を挟んで電圧を印加することにより、陰極から注入された電子および陽極から注入された正孔が有機化合物層中の発光中心で再結合して分子励起子を形成し、その分子励起子が基底状態に戻る際にエネルギーを放出して発光するといわれている。
励起状態には一重項励起と三重項励起が知られ、発光はどちらの励起状態を経ても可能であると考えられている。故に、素子の特徴によって一つの発光装置内において、一重項励起状態の素子あるいは三重項励起状態の素子を混在させても良い。例えばRGBの三色において、赤に三重項励起状態を取る素子、青と緑に一重項励起状態を取る素子としても良い。また、三重項励起状態を取る素子は一般に発光効率が良いため、駆動電圧の低下にも貢献する。
発光素子の材料としては、低分子、高分子、低分子と高分子の間の性質を持つ中分子の発光材料があるが、本実施例では蒸着法により電界発光層を形成するため、低分子の発光材料を使用する。高分子材料は溶媒に溶かすことでスピンコートやインクジェット法により塗布することができる。また、有機材料のみではなく、無機材料との複合材料も使用することができる。
実施の形態2において作製された薄膜トランジスタのドレイン電極と一部重なるようにして、発光素子の第1の電極401を形成する。第1の電極は発光素子の陽極、または陰極になる電極であり、陽極とする場合は仕事関数の大きい金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物などを用いることが好ましい。仕事関数としては仕事関数4.0eV以上がだいたいの目安となる。具体例な材料としては、ITO(indium tin oxide)、酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したIZO(indium zinc oxide)、酸化インジウムに2〜20%の酸化珪素(SiO2)を混合したITSO、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、又は金属材料の窒化物(TiN)等を用いることができる。
陰極として用いる場合は、仕事関数の小さい(仕事関数3.8eV以下が目安)金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物などを用いることが好ましい。具体的な材料としては、元素周期律の1族又は2族に属する元素、すなわちLiやCs等のアルカリ金属、及びMg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属、及びこれらを含む合金(Mg:Ag、Al:Li)や化合物(LiF、CsF、CaF2)の他、希土類金属を含む遷移金属を用いて形成することができる。但し、本実施の形態において第2の電極は透光性を有するため、これら金属、又はこれら金属を含む合金を非常に薄く形成し、ITO、IZO、ITSO又はその他の金属(合金を含む)との積層により形成することができる。
本実施例では第1の電極401は陽極とし、ITSOを用いた。電極としてITSOを用いた場合は真空ベークを行うと発光装置の信頼性が向上する。
また、本実施例において第1の電極は薄膜トランジスタのソース電極及びドレイン電極を作製した後に形成されるが、始めに第1の電極を形成しその後薄膜トランジスタの電極を作製してもかまわない。
画素部の薄膜トランジスタに接続されている画素電極である第1の電極401の端部を覆うように絶縁膜402を形成する。この絶縁膜402は土手や隔壁と呼ばれるものである。絶縁膜402としては、無機絶縁膜や有機絶縁膜を用いることができる。無機絶縁膜としては、CVD法により形成された酸化ケイ素膜や、SOG(Spin On Glass)法により塗布された酸化ケイ素膜などを用いることができ、有機絶縁膜としては感光性または非感光性のポリイミド、ポリアミド、BCB(ベンゾシクロブテン)、アクリルまたはポジ型感光性有機樹脂、ネガ型感光性有機樹脂、ケイ素と酸素との結合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む、または置換基にフッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも1種を有する材料、いわゆるシロキサンの膜を用いることができる。また、それらの積層構造を用いても良い。感光性の有機物を使用して形成すると、開口部の断面形状が曲率半径が連続的に変化する形状となり電界発光層を蒸着する際に段切れなどが起こりにくいものとなり好適である。本実施例では感光性のポリイミドを使用した。
続いて、蒸着装置を用いて、蒸着源を移動させながら蒸着を行う。例えば、真空度が5×10-3Torr(0.665Pa)以下、好ましくは10-4〜10-6Torrまで真空排気された成膜室で蒸着を行う。蒸着の際、抵抗加熱により、予め有機化合物は気化されており、蒸着時にシャッターが開くことにより基板の方向へ飛散する。気化された有機化合物は、上方に飛散し、メタルマスクに設けられた開口部を通って基板に蒸着され、電界発光層403(第1の電極側から正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層)が形成される。なお、電界発光層403の構成はこのような積層でなくとも良く、単層、混合層で形成されていても良い。
電界発光層403を形成したら、第2の電極404を電界発光層403に接して形成する。本実施例では第1の電極401が陽極であるため、第2の電極404は陰極として形成する。陰極材料は先に述べたような材料を使用すれば良く、本実施の形態ではLiを含む材料を薄く形成した後、スパッタリング法によりITSOを成膜することで透明性を有する第2の電極(陰極)404を形成した。
本実施例では第1の電極401、第2の電極404両方とも透光性を有する材料で形成されているため、基板の上面、下面両方より光を取り出すことが可能となる。もちろん、どちらかの電極の透光性を制御したり、電界発光層より基板側に使用される材料によっては上面のみ、下面のみの発光を得ることも可能である。
図3(B)は上面発光の構成の1例であり、画素電極501と薄膜トランジスタの電極を異なる層に形成した例である。第1の層間絶縁膜502及び第2の層間絶縁膜503は図2における層間絶縁膜313と同様の材料で作製することができ、その組み合わせも自由に行えるが、今回はどちらの層もシロキサンにより形成する。画素電極501は第2の層間絶縁膜503側からAl−Si\TiN\ITSOと積層して形成したが、もちろん単層でもかまわないし、2層、あるいは4層以上の積層構造でもかまわない。
ところで、第2の電極404をスパッタリング法により形成する場合、電子注入層の表面もしくは電子注入層と電子輸送層の界面にスパッタリングによるダメージが入ってしまうことがある。これは特性に悪影響を及ぼす可能性がある。これを防ぐためには、スパッタリングによるダメージを受けにくい材料を第2の電極404に最も近い位置に設けるとよい。このようなスパッタダメージを受けにくい材料で、電界発光層403に用いることができる材料としてはMoOxが挙げられる。しかし、MoOxは正孔注入層として好適な物質であるため、第2の電極404に接して設けるには第2の電極404を陽極とする必要がある。
そこで、この場合は第1の電極401を陰極として形成しその後順に、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層(MoOx)、第2の電極(陽極)と形成し、画素の駆動用薄膜トランジスタはNチャネル型とする必要がある。MoOxは蒸着法により形成し、x=3以上のものが好適に使用できる。
その後、プラズマCVD法により窒素を含む酸化珪素膜を第2のパッシベーション膜405として形成した。窒素を含む酸化珪素膜を用いる場合には、プラズマCVD法でSiH4、N2O、NH3から作製される酸化窒化ケイ素膜、またはSiH4、N2Oから作製される酸化窒化ケイ素膜、あるいはSiH4、N2OをArで希釈したガスから形成される酸化窒化ケイ素膜を形成すれば良い。また、第1のパッシベーション膜としてSiH4、N2O、H2から作製される酸化窒化水素化ケイ素膜を適用しても良い。もちろん、第2のパッシベーション膜405は単層構造に限定されるものではなく、他のケイ素を含む絶縁膜を単層構造、もしくは積層構造として用いても良い。また、窒化ケイ素膜やダイヤモンドライクカーボン膜を窒素を含む酸化珪素膜の代わりに形成してもよい。
次いで対向基板をシール剤により貼り合わせる。対向基板と素子基板との間の空間には乾燥した窒素などの不活性気体を充填しても良いし、シール剤を画素部全面に塗布しそれにより対向基板を形成しても良い。シール剤には紫外線硬化樹脂などを用いると好適である。シール剤には乾燥剤やギャップを一定に保つための粒子を混入しておいても良い。
このようにして本発明を用いた薄膜トランジスタなどを使用し、発光装置を作成することができる。本発明を用いて作製された半導体素子は半導体層である結晶性シリコン膜に孔があくことが抑制されるため、信頼性、歩留まり共に良好であり、結果として信頼性、歩留まりが良好でコスト的にも優れた発光装置を得ることができる。