JP2005209462A - 誘電体保護膜の処理方法及びプラズマディスプレイパネル - Google Patents
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Abstract
【課題】誘電体層を保護すると共に、PDPの放電特性・ばらつきの改善を実現する誘電体保護膜の処理方法を提供すること。
【解決手段】真空チャンバ内に配置された基板の表面に、電極,誘電体層,誘電体保護膜,隔壁及び蛍光体層を形成する誘電体保護膜の処理方法であって、誘電体保護層を形成後、同一チャンバもしくは真空中を搬送可能な別チャンバにおいて、C,Fを含むガスのプラズマに曝して前記誘電体保護層表面をCを含む堆積物で覆う工程を有することで解決できる。
【選択図】図1
【解決手段】真空チャンバ内に配置された基板の表面に、電極,誘電体層,誘電体保護膜,隔壁及び蛍光体層を形成する誘電体保護膜の処理方法であって、誘電体保護層を形成後、同一チャンバもしくは真空中を搬送可能な別チャンバにおいて、C,Fを含むガスのプラズマに曝して前記誘電体保護層表面をCを含む堆積物で覆う工程を有することで解決できる。
【選択図】図1
Description
本発明は、テレビやコンピュータ等の画像表示に用いられるプラズマディスプレイパネル(以下「PDP」と称す)とその製造方法に関するものであり、特に誘電体保護膜の処理方法に関する。
従来のAC型PDPの場合、その製造工程は、前面基板の形成工程、背面基板の形成工程及びこれらの組立工程に大別され、特に前面基板の形成工程は、電極の形成工程と、誘電体層の形成工程と、誘電体保護層の形成工程からなる。
この前面基板の構造の一例を図4を参照しながら以下に説明する。
図4において、ガラス基板41上に電極42、誘電体層43を形成し、その上に、放電によるイオン衝突から誘電体層43を保護するとともに、2次電子放出による蛍光体の発光を促進する目的で、誘電体保護層44が形成されている。この誘電体保護層は、一般的には耐スパッタ性能に優れかつ、2次電子放出係数の高い酸化マグネシウム(MgO)が広く用いられている。
しかしながら、MgO膜は、大気中の水分(H2O)や二酸化炭素(CO2)と反応して水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウムなどの化合物を生成し、その化合物がMgO膜の表面に析出する。その表面に存在する化合物層45の影響のため、初期放電特性のばらつきや劣化を招いたり、エージング工程に多量の時間を要したりするなどの問題が生じている。
そこで、特許文献1や特許文献2に開示されるように、誘電体保護層の上部にさらに第2の保護層を形成する方法が提案されている。これらの方法によれば、誘電体保護層の上部に、更にSiN,SiO2,Al2O3,MgO,TiO2,MgF2などを成膜することで、誘電体保護層を水分や炭酸ガスの吸着から守り、かつエージング工程にてそのスパッタ性を利用して第2保護層を除去できるというものである。
また、特許文献3に開示されるように、誘電体保護層であるMgO表面をプラズマエッチングすることで、MgOの2次電子放出係数を向上させ、PDPの発光効率を改善する方法も提案されている。更に、特許文献4には、誘電体保護層の第2保護層として、フッ化物材料を主成分とするガス吸収防止膜を形成する方法が提案されている。
特許第3073451号公報
特開平11−149865号公報
特許第3331907号公報
特開2000−348626号公報
しかしながら、上記したように誘電体保護層にSiN,SiO2,Al2O3,MgO,TiO2,MgF2などの第2保護層を形成した場合、パネルを組み立ててエージング工程で放電を行っても、その第2保護層はスパッタリングによってなかなか除去できず、その下の誘電体保護膜が露出するまでには多量のエージング時間が必要となってしまうことになる。
また、MgO表面をプラズマエッチングすることによってMgOの2次電子放出係数を向上させる場合には、プラズマエッチング後にMgO表面が大気に曝されることで空気中の水分や炭酸ガスが吸着してしまい、特に、プラズマ処理後は表面が活性化されているため、プラズマ処理されていないものと比較しても吸着量が増大し、エージング時間の増大や放電特性の劣化・ばらつき増大などの問題を引き起こしてしまうことになる。
本発明は、上記従来の問題点を解決するもので、誘電体層を保護すると共に、PDPの放電特性・ばらつきの改善を実現する誘電体保護膜の処理方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本願第1の発明に係る請求項1に記載された誘電体保護膜の処理方法は、真空チャンバ内に配置された基板の表面に、電極,誘電体層,誘電体保護膜,隔壁及び蛍光体層を形成する誘電体保護膜の処理方法であって、誘電体保護層を形成後、同一チャンバもしくは真空中を搬送可能な別チャンバにおいて、C,Fを含むガスのプラズマに曝して前記誘電体保護層表面をCを含む堆積物で覆う工程を有することを特徴とする。
また、本願第2の発明に係る請求項2に記載された誘電体保護膜の処理方法は、真空チャンバ内に配置された基板の表面に、電極,誘電体層,誘電体保護膜,隔壁及び蛍光体層を形成する誘電体保護膜の処理方法であって、誘電体保護層を形成後、前記誘電体層に対してプラズマによる表面処理を施したのち、そのまま同一チャンバもしくは真空中を搬送可能な別チャンバにてC,Fを含むガスのプラズマに曝して前記誘電体保護層表面をCを含む堆積物で覆う工程を有することを特徴とする。
また、本願第3の発明に係る請求項3に記載された誘電体保護膜の処理方法は、真空チャンバ内に配置された基板の表面に、電極,誘電体層,誘電体保護膜,隔壁及び蛍光体層を形成する誘電体保護膜の処理方法であって、前記誘電体保護層を形成後、前記誘電体保護層を有した基板を真空中もしくは不活性ガス雰囲気中で加熱処理したのち、そのまま同一チャンバもしくは真空中を搬送可能な別チャンバにて、C,Fを含むガスのプラズマに曝して前記誘電体保護層表面をCを含む堆積物で覆う工程を有することを特徴とする。
本願第1〜3の発明の場合、好適にはC,Fを含むガスとして、CHF3ガスであることが望ましい。
また、本願第1〜3の発明の場合、電極間以外の領域に、C,Hを含む化合物が付着していることが望ましい。
また、本願第4の発明に係る請求項6に記載された誘電体保護膜の処理方法は、真空チャンバ内に配置された基板の表面に、電極,誘電体層,誘電体保護膜,隔壁及び蛍光体層を形成する誘電体保護膜の処理方法であって、前記誘電体保護層を基板上に形成後、Fを含むガスを少なくとも一種類有するガス雰囲気中で前記基板を加熱し、前記誘電体保護層の表面をフッ化する工程を有することを特徴とする。
このとき、誘電体保護層を形成する工程と、前記誘電体保護層の表面をフッ化する工程とを同一チャンバにて処理すると好適である。
また、本願第5の発明に係る請求項8に記載された誘電体保護膜の処理方法は、真空チャンバ内に配置された基板の表面に、電極,誘電体層,誘電体保護膜,隔壁及び蛍光体層を形成する誘電体保護膜の処理方法であって、前記誘電体保護層を基板に形成後、前記基板を加熱しながら、Fを含むガスのプラズマに曝す工程を有することを特徴とする。
このとき、誘電体保護層を形成する工程と、前記誘電体保護層の表面を加熱しながらプラズマに曝す工程を同一チャンバにて処理すると好適である。
更に、本願第6の発明に係る請求項10に記載されたプラズマディスプレイパネルは、基板の表面に、電極,誘電体層,誘電体保護膜,隔壁及び蛍光体層が形成されたプラズマディスプレイパネルであって、前記誘電体保護層の表面がフッ化されていることを特徴とする。
以上のように、本願発明の誘電体保護膜の処理方法によれば、誘電体保護膜形成後に、C,Fを含むガスのプラズマに曝すことによって表面にCを含む堆積物層を形成、或いは誘電体保護層の表面をフッ化させるので、大気中の水分や炭酸ガスの吸着を低減することができるため、エージング時間短縮が可能となる。また、放電に関与する電極間以外の領域にCを含む堆積物を付着させること、或いは、誘電体保護層の表面をフッ化させるので、その部位からの不純物のデガスを防止でき、プラズマディスプレイパネルの放電特性のばらつき改善や長寿命を向上させることができる。
(第1の実施形態)
以下、本願発明の第1の実施形態について図1を用いて説明する。
以下、本願発明の第1の実施形態について図1を用いて説明する。
従来のように誘電体保護層を成膜後そのまま大気中に曝すと、水分や炭酸ガスと反応して、水酸化マグネシウムや炭酸マグネシウムを生成してしまう。そこで、誘電体保護層4を成膜後、そのまま同一チャンバか、もしくは真空中を搬送して別のチャンバにて、C、Fを含むガスのプラズマに曝して誘電体保護層の表面にCやHを含む堆積物5を形成する。
以下、具体的な実施例を説明する。この場合は、誘電体保護層であるMgOを形成後、基板を真空搬送して、別に用意したプラズマ処理用のチャンバに移動し、堆積層5を形成した。
プラズマ処理には、図2に示したようなPDP用の大型基板を処理できる大型誘導結合プラズマを生成可能なプラズマ処理装置を使用し、基板21を搬送後、チャンバ22内にCHF3ガスをガス導入装置23より導入し、圧力制御装置24にて一定圧力に調圧後、誘導結合型プラズマを発生させるためのコイル25に高周波電源26から電力を供給してCHF3ガスをプラズマ化し、MgO上にC,H及びFを含む堆積物を堆積させた。
上記プラズマ処理時に、ガス流量、圧力、高周波電力のパワー、処理時間等を制御することで、形成される堆積層の膜厚や膜質を任意にコントロールすることが可能であり、誘電体保護膜の膜質やPDP放電セルの構造などに合わせて調節することができる。
また、図3は前述したようにCHF3ガスのプラズマによりMgO上に堆積層を形成した場合と、従来のように堆積させずにMgOが露出している場合とで、大気中に曝した際の水分、炭酸ガスの吸着量を昇温脱離ガス(TDS)により比較したグラフである。この結果より、堆積層を形成した場合は、250℃付近に現れる水分の化学吸着と思われるピークが減少し、二酸化炭素の吸着量も大幅に減少していることから、堆積層を設けることで大気に曝した際の反応防止の効果があることが確認できた。
また、CHF3ガスプラズマによる堆積物は、従来事例で示したSiN,SiO2,Al2O3,MgO,TiO2,MgF2などの第2保護層と比較するとスパッタにより剥がれやすく、PDPとしてパネルを形成した後、エージング工程にて放電を発生させることで容易に除去でき、その結果清浄なMgO表面が簡単に得られるため、これまで吸着物の影響で長時間化していたエージング工程が、MgO表面の堆積層を除去するだけに簡略化され、大幅なタクト改善が実現できた。
(第2の実施形態)
以下に、本願発明の第2の実施形態について説明する。
以下に、本願発明の第2の実施形態について説明する。
誘電体保護膜を成膜後、同一チャンバもしくは別チャンバにて、まず反応性もしくはスパッタ性のプラズマに曝して表面処理を施す。この際、別チャンバにて処理を行う場合は、真空中を搬送することが望ましいが、大気に曝しても効果はある。続いて、そのまま同一チャンバもしくは別チャンバにてC,Fを含むガスのプラズマに曝し、Cを含む堆積物を誘電体保護膜上に堆積させる。この際、別チャンバにて処理を施す場合は、真空中を基板搬送する必要がある。
以下、具体的な実施例を説明する。誘電体保護膜としてMgOを成膜後、大気中を別チャンバに搬送した。その別チャンバでのプラズマ処理には、図2に示したようなPDP用の大型基板を処理できる大型誘導結合プラズマを生成可能なプラズマ処理装置を使用した。
以下、具体的な動作手順を説明する。まず,基板21を搬送後、チャンバ22内にO2ガスをガス導入装置23より導入し、圧力制御装置24にて一定圧力に調圧後、誘導結合型プラズマを発生させるためのコイル25に高周波電源26から電力を供給してO2ガスをプラズマ化し、MgO上の吸着物を除去するクリーニングを実施した。つづいて、チャンバ内にCHF3ガスを導入し、一定圧力に調圧後、コイルに高周波電力を供給してCHF3ガスをプラズマ化し、MgO上にC,Hを含む堆積物を堆積させた。
その結果、大気中を搬送したにもかかわらず、真空中を搬送した場合と同様、大気中の水分や炭酸ガスの影響を受けておらず、また、更にPDPの放電開始電圧が下がるという効果も見られた。
このような効果が見られたのは、大気に曝した後にO2プラズマに曝すことで表面に吸着した水分や炭酸ガスを除去し、その後、CHF3ガスによって保護層を堆積させたためであり、また放電開始電圧が下がったのは、O2プラズマ処理により、MgO表面が微細にエッチングされ、見かけの表面積が増大して2次電子放出係数が向上したためであると思われる。
また、これらのような効果は、上記プラズマ処理時に、ガス種,ガス流量,圧力,高周波電力のパワー,処理時間等を制御し、MgOの膜質に適した処理条件に設定することで、より大きな効果が得られるようになる。従って、今回はO2ガスのプラズマによる処理を実施したが、この他にも、SF6ガスやCF4ガス、またArガスなどによっても効果があり、また図2において基板21を載置した電極27に高周波電源28から電力を供給してプラズマのスパッタ性を高めることで効果がある場合もある。
(第3の実施形態)
以下に、本願発明の第3の実施形態について説明する。
以下に、本願発明の第3の実施形態について説明する。
誘電体保護膜を成膜後、同一チャンバもしくは別チャンバにて、真空中あるいは不活性ガス雰囲気中で加熱処理を施す。この際、別チャンバにて処理を行う場合は、真空中を搬送することが望ましいが、大気に曝しても効果はある。続いて、再度同一チャンバもしくは別チャンバにてC,Fを含むガスのプラズマに曝し、Cを含む堆積物を誘電体保護膜上に堆積させる。この際、別チャンバにて処理を施す場合は、真空中を基板搬送する必要がある。
以下、具体的な実施例を説明する。誘電体保護膜としてMgOを成膜後、大気中を別チャンバに搬送した。その別チャンバでの加熱処理は、N2ガス雰囲気中で約450℃,30分間実施した。その後真空中を搬送して、図2に示したようなPDP用の大型基板を処理できる大型誘導結合プラズマを生成可能なプラズマ処理装置へ基板を導入した。
基板導入後、チャンバ22内にガス導入装置23からCHF3ガスを導入し、圧力制御装置24にて一定圧力に調圧後、コイル25に高周波電源26から電力を供給してCHF3ガスをプラズマ化し、MgO上にC,Hを含む堆積物を堆積させた。
その結果、MgO形成後に大気中を搬送したにもかかわらず、真空中を搬送した場合と同様、大気中の水分や炭酸ガスの影響を受けておらず、また、更にPDPの放電特性ばらつきが改善されるという効果も見られた。
このような効果が見られたのは、大気に曝した後に不活性ガス中で加熱処理することで表面に吸着した水分や炭酸ガスを除去し、その後にCHF3ガスによって保護層を堆積させたためであり、また、放電特性ばらつきが改善されたのは、加熱処理により、MgO表面の微少な格子欠陥が緩和されるとともに表面の不純物濃度が下がって、表面の微細構造及び清浄度が向上したためであると思われる。
(第4の実施形態)
以下、本願発明の第4の実施形態について説明する。
以下、本願発明の第4の実施形態について説明する。
前面板と背面版を貼りあわせて、ガスを封入してPDPパネルを構成したのち、エージング工程にて放電を開始した際、誘電体保護膜や蛍光体などに付着もしくは吸収された不純物が脱離し放電空間に混入して放電特性の劣化やエージングの長時間化を招くのを防止するため、放電に使用する2つ以上の電極間以外の領域を、Cを含んだ堆積物で覆ったプラズマディスプレイのセル構造を構成する。
具体的には、誘電体保護膜としてMgOを用い、MgO成膜後にC、Fを含むプラズマに曝してMgO表面上にCを含む堆積物を形成し、背面版と貼りあわせてエージングを行った際に、MgOの表面に付着したCを含む堆積物のうち、電極上領域に存在する部分が、プラズマのスパッタリング効果によって脱離する。その脱離した堆積物は、放電に関与する電極間以外の領域に再付着し、その部分からのデガスを防止して不純物による放電特性の劣化やエージング時間の長時間化を防止、また不純物質のない安定放電の実現による長寿命化を実現することができる。
なお、上記したCを含む堆積物が蛍光体表面に付着していても、色はほぼ透明であり、PDPの発光特性には影響を及ぼさないことは確認済みである。
(第5の実施形態)
以下、本願発明の第5の実施形態について図5を用いて説明する。
以下、本願発明の第5の実施形態について図5を用いて説明する。
従来のように誘電体保護層を成膜後そのまま大気中に曝すと、水分や炭酸ガスと反応して、水酸化マグネシウムや炭酸マグネシウムを生成してしまう。そこで、誘電体保護層54を成膜後、成分にFを含むガスが少なくとも1種類は存在するガス雰囲気中で基板を加熱し、誘電体層54の表面をフッ化してフッ下層55を形成することにより、大気中に曝した際の水分や炭酸ガスと誘電体表面との反応を防止することができる。
前述した特許文献1に開示されるように、誘電体保護層の上部に更に第2の保護層を形成する方法が提案されているが、この方法によれば、誘電体保護層の上部に、更にSiN,SiO2,Al2O3,MgO,TiO2,MgF2などを成膜することで、誘電体保護層を水分や炭酸ガスの吸着から守り、かつエージング工程にてそのスパッタ性を利用して第2保護層を除去できるというものである。また、前述した特許文献4には、誘電体保護層の第2保護層として、フッ化物材料を主成分とするガス吸収防止膜を形成する方法が提案されている。
本発明が上記したような技術と異なる点は、エージング工程での第2保護層の除去についてである。上記の従来技術に提案されたように新たに誘電体保護層上に第2保護層を形成した場合、その表面は誘電体保護層とは全く異なる性質をもつことになり、そのままPDPを形成すると、2次電子放出係数の低下による放電開始電圧や維持電圧の上昇を招くため、エージング工程においてその第2保護層を不活性ガスの放電によるスパッタ効果で除去する必要がある。しかし、PDPの放電はNeやXeなどの不活性ガスの放電であり、形成された第2保護層を除去することは容易ではなく、時間もかかるため、現実的ではない。
これに対し、本発明では誘電体保護層の上に新たに第2保護層を形成するのではなく、誘電体保護層そのものの表面のみをフッ化するため、誘電体保護層の特性への影響が少ない。そのため、必ずしもフッ化層を除去する必要がなく、エージング時間の短縮を実現できる。ただし、フッ化の条件によっては、エージング工程のスパッタ効果でフッ下層が除去される場合もあるが、その場合は除去により清浄な誘電体表面が露出することになるだけで、全く問題はない。
以下、具体的な実施例を説明する。誘電体保護層としてMgOを形成後、大気中を搬送して基板を金属製の炉に導入した。続いて、炉内にN2ガスを導入しながら、一定圧力となるように排気を調節し、炉内を一定圧力に保ちながら、炉内の温度を室温から約450℃まで上昇させ、30分保持し、自然冷却させた。これにより、まずMgO表面に付着していた水分や炭酸ガスの除去を行った。
続いて、炉内にF2ガスとN2ガスの混合ガスを導入し、一定圧力を保つように排気調節し、同様に炉内の温度を室温から150℃まで上昇させ、その後自然冷却させた。これによりMgO表面のフッ化が完了した。
図6は、上記のようにMgO表面をフッ化した場合と、MgOが露出している場合とで、大気中に曝した際の水分、炭酸ガスの吸着量がどのように異なるかを比較するため、昇温脱離ガス(TDS)により評価したグラフである。
この結果よると、表面をフッ化した場合は、250℃付近に現れる水分の化学吸着と思われるピークが減少し、二酸化炭素の吸着量も大幅に減少していることから、フッ化することで大気に曝した際の反応防止の効果があることが確認できた。
また、このフッ化されたMgOを用いてパネルを作製した場合、従来のように表面に吸着した水分や炭酸ガスの除去のために多量のエージング時間をかける必要がなくなり、大幅なタクト向上が図れることも確認できているほか、PDPとして問題ない性能を有することも確認できている。
(第6の実施形態)
以下に、本願発明の第6の実施形態について図7を用いて説明する。
以下に、本願発明の第6の実施形態について図7を用いて説明する。
誘電体保護層が形成されたPDP基板74は、耐高温材で構成された支持台73上にそれぞれ載置され、10Pa程度まで真空排気が可能な気密性を有する炉72内に導入される。炉72は加熱装置71で覆われ、温度測定・制御装置78により温度測定しながら炉72内の温度を任意に制御できるようになっている。また、炉72には、ガス導入装置75からFを含むガス及び不活性ガスを導入することができ、かつ、圧力調整装置76により調圧しながら排気装置77で排気を行うことで炉内の圧力を任意に調節可能である。
上記のような装置を使用して、誘電体保護層の表面をフッ化する際、ガス流量、圧力、温度など任意の条件で処理することが可能となり、誘電体保護層の膜種,膜厚,膜質,結晶方位などの誘電体保護層自体の特性に適したフッ化条件を選ぶことで、より効果の高いフッ化層を形成することが可能となる。
但し、本実施形態においては、炉の構造、PDP基板の投入状態などは図7に示すような装置形態としたが、この限りではなく他の実施形態においても、同様の効果が得られる。
(第7の実施形態)
以下に、本願発明の第7の実施形態について、図8を用いて説明する。
以下に、本願発明の第7の実施形態について、図8を用いて説明する。
誘電体保護層を形成後のPDP基板81を、チャンバ82内のステージ83上に搬送する。ステージ83は、加熱装置84によって温度制御しながら加熱可能であり、搬送された基板81は、加熱されたステージ83の熱により昇温される。チャンバ82内には、ガス導入装置85からFを含むガスを導入可能であり、排気装置86によってチャンバ82内の圧力を一定に保つように制御可能である。チャンバ82内にガス導入し、一定圧力に保ったのち、誘電体天板87上に配置されたアンテナ部材88に高周波電源89から高周波電力を印加することにより、チャンバ82内のガスをプラズマ化し、基板81上の誘電体保護層表面をフッ化することができる。
以下に、具体的な実施例を説明する。誘電体保護層としてMgOが形成されたPDP基板を、図8に示したプラズマ処理装置内の加熱ステージ上に搬送し、まず、真空排気しながら300℃まで加熱してMgO表面に付着した水分や炭酸ガスを除去した。
続いて、チャンバ内にSF6ガスを導入して一定圧力80Paに保ち、高周波電源に電力3000Wを投入してチャンバ内のSF6ガスをプラズマ化した。そのまま10分間保持したのち、高周波電力の投入をオフし、ステージの加熱もオフして基板を自然乾燥させたのち、大気中に取り出した。
以上のように処理を施したMgO表面は、最表面がフッ化され、大気中の水分や炭酸ガスの吸着を防止することができるため、後工程のエージングにて多量の時間を要する必要がなくなるほか、本願発明の第5の実施形態で示した方法と比較してより短時間、低温での処理が可能となる。
また、上記の実施例においては温度,ガス種,圧力,電力,時間を上記の通りとしたが、その限りではなく、様々な条件にて処理を行っても同様の効果が得られる。また、プラズマ処理装置についても、図8のような誘導結合型のプラズマ処理装置に限らず、容量結合型などその他のプラズマ源を用いても同様の効果が得られる。
(第8の実施形態)
以下、本願発明の第8の実施形態について説明する。
以下、本願発明の第8の実施形態について説明する。
図5のように表面がフッ化された誘電体保護層を用いてプラズマディスプレイパネルを構成する。従来のPDPでは、誘電体の保護及び放電開始電圧を下げる目的から、耐スパッタ性及び2次電子放出係数に優れているMgOがよく用いられるが、MgOの表面をフッ化することで水分や炭酸ガスの吸着が低減して放電特性のばらつきを改善することができるほか、対スパッタ性がさらに向上してPDPとしての寿命を改善できる。
具体的な実施例について説明する。本願発明の第5の実施形態にて説明した方法で、誘電体保護層の表面をフッ化し、フッ化されていないMgO表面と比較した。フッ化する際の処理温度は2種類(150,300℃)とした。その結果、まず処理温度150℃から300℃と上昇させることで、表面に存在するF原子量が増大していることが確認でき、温度が高いほど表面がより重度にフッ化されていると推測される。
また、耐スパッタ性をArプラズマによるエッチングレートで評価したところ、耐スパッタ性は300℃フッ化>150℃フッ化>フッ化なし、の順に優れていることも確認できており、フッ化されたMgOを用いることでPDPの寿命に効果が期待できることが分かった。
なお、上記の実施例では、本願発明の第1の実施形態によるフッ化方法を使用しているが、その限りではなく、誘電体保護層表面がフッ化されていれば同様の効果が期待できる。
本発明の誘電体保護膜の処理方法は、PDP,CRTなどのディスプレイに適用できる。特にPDPに本発明を適用すると効果が大きい。
1 ガラス基板
2 電極
3 誘電体層
4 誘電体保護膜
5 Cを含む堆積層
2 電極
3 誘電体層
4 誘電体保護膜
5 Cを含む堆積層
Claims (10)
- 真空チャンバ内に配置された基板の表面に、電極,誘電体層,誘電体保護膜,隔壁及び蛍光体層を形成する誘電体保護膜の処理方法であって、誘電体保護層を形成後、同一チャンバもしくは真空中を搬送可能な別チャンバにおいて、C,Fを含むガスのプラズマに曝して前記誘電体保護層表面をCを含む堆積物で覆う工程を有することを特徴とする誘電体保護膜の処理方法。
- 真空チャンバ内に配置された基板の表面に、電極,誘電体層,誘電体保護膜,隔壁及び蛍光体層を形成する誘電体保護膜の処理方法であって、誘電体保護層を形成後、前記誘電体層に対してプラズマによる表面処理を施したのち、そのまま同一チャンバもしくは真空中を搬送可能な別チャンバにてC,Fを含むガスのプラズマに曝して前記誘電体保護層表面をCを含む堆積物で覆う工程を有することを特徴とする誘電体保護膜の処理方法。
- 真空チャンバ内に配置された基板の表面に、電極,誘電体層,誘電体保護膜,隔壁及び蛍光体層を形成する誘電体保護膜の処理方法であって、前記誘電体保護層を形成後、前記誘電体保護層を有した基板を真空中もしくは不活性ガス雰囲気中で加熱処理したのち、そのまま同一チャンバもしくは真空中を搬送可能な別チャンバにて、C,Fを含むガスのプラズマに曝して前記誘電体保護層表面をCを含む堆積物で覆う工程を有することを特徴とする誘電体保護膜の処理方法。
- C,Fを含むガスは、CHF3ガスであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の誘電体保護膜の処理方法。
- 電極間以外の領域に、C,Hを含む化合物が付着していることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の誘電体保護膜の処理方法。
- 真空チャンバ内に配置された基板の表面に、電極,誘電体層,誘電体保護膜,隔壁及び蛍光体層を形成する誘電体保護膜の処理方法であって、前記誘電体保護層を基板上に形成後、Fを含むガスを少なくとも一種類有するガス雰囲気中で前記基板を加熱し、前記誘電体保護層の表面をフッ化する工程を有することを特徴とする誘電体保護膜の処理方法。
- 誘電体保護層を形成する工程と、前記誘電体保護層の表面をフッ化する工程とを同一チャンバにて処理することを特徴とする請求項6記載の誘電体保護膜の処理方法。
- 真空チャンバ内に配置された基板の表面に、電極,誘電体層,誘電体保護膜,隔壁及び蛍光体層を形成する誘電体保護膜の処理方法であって、前記誘電体保護層を基板に形成後、前記基板を加熱しながら、Fを含むガスのプラズマに曝す工程を有することを特徴とする誘電体保護膜の処理方法。
- 誘電体保護層を形成する工程と、前記誘電体保護層の表面を加熱しながらプラズマに曝す工程を同一チャンバにて処理することを特徴とする請求項8記載の誘電体保護膜の処理方法。
- 基板の表面に、電極,誘電体層,誘電体保護膜,隔壁及び蛍光体層が形成されたプラズマディスプレイパネルであって、前記誘電体保護層の表面がフッ化されていることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
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JP2004013962A JP2005209462A (ja) | 2004-01-22 | 2004-01-22 | 誘電体保護膜の処理方法及びプラズマディスプレイパネル |
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JP2008047486A (ja) * | 2006-08-21 | 2008-02-28 | Air Water Inc | プラズマディスプレイパネルの製造方法およびそれによって得られたプラズマディスプレイパネル |
CN115261776B (zh) * | 2022-07-22 | 2024-04-09 | 西安空间无线电技术研究所 | 基于等离子体氟化抑制微波部件材料二次电子发射的方法 |
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2004
- 2004-01-22 JP JP2004013962A patent/JP2005209462A/ja active Pending
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