JP2005208570A - 鍵盤楽器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 アクションメカニズムの経時的変化等によるセンサ出力特性の変化に拘らず、正確な打弦判定が行えるようにする。
【解決手段】 ハンマ2の動きを検出するセンサ26は、ハンマ2の位置情報を連続量で検出する。信号処理部27では、予めセンサ26の出力とキャリブレーション比に基づき、打弦推定用の参照値m2(判断情報)を求めておく。演奏操作時において、先ずセンサ26の出力と参照値m2とから打弦推定を行う(推定手段)。また、センサ26から出力された位置情報に基づき、ハンマ2の速度情報及び加速度情報を求め、それらの時間的推移に応じた状態からハンマによって実際に打弦が行われた否かを判定する(判定手段)。そして、前記推定手段の打弦推定が、判定手段の判定結果に一致しない場合は、キャリブレーション比を補正して参照値M2を較正する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、ピアノ等の鍵盤楽器であって、詳しくは、演奏動作に関する何らかの運動をセンシングし、その検出結果に基づき打弦タイミングの判定を行うための技術に関する。
従来より、自動演奏ピアノ等の鍵盤楽器においては、鍵やハンマ等の動きをセンサで検知し、検出結果を演奏データとして記録したり、電子音源に供給して楽音を電子的に発生することが行われている。こうした自動演奏ピアノにおいて、打弦タイミングや打弦速度を用いて演奏データ等を作成する場合、より正確な打弦タイミングおよび打弦速度を取得する必要があるため、ハンマの動作を検出するためのハンマセンサを設けたものが知られている。下記特許文献1には、ハンマセンサを有する鍵盤楽器の一例として、ハンマシャンクの変位を連続的に検出する連続量センサを設け、鍵操作時に該連続量センサからハンマ運動に関する物理量(位置、速度或いは加速度)を連続的に検出し、その検出結果を用いて(1)ハンマの動作開始タイミング、(2)打弦タイミング、(3)打弦直前のハンマ速度、(4)押鍵タイミング、(5)バックチェックタイミング、(6)バックチェックが外れたタイミング、(7)バックチェックが外れた後のハンマ速度、(8)ダンパ復帰タイミング、(9)ハンマ動作終了タイミング、(10)離鍵タイミングといった演奏に関る種々の情報を取得するようにした装置が開示されている。これは、ハンマの運動に関する物理量を連続的に検出し、該検出したセンサ出力を適宜換算して、上記のような種々の情報を求め、該種々の情報に基づく演奏データを作成することで、より精度の高い演奏の再現が可能な演奏データの作成を可能としたものであった。
特開2001−175262号公報
上記特許文献1に代表される従来の装置構成によると、例えば打弦タイミングの情報や、打弦直前のハンマ速度情報等を生成するのに際して、連続量センサからの出力と所定の基準値とを比較することに基づき打弦有無の判定を行い、この判定結果を打弦タイミングの情報や、打弦直前のハンマ速度情報等の生成に利用していた。このように、連続量センサからのセンサ出力と所定の基準値とを基に上述の各種情報を生成していたので、温度変化や経時劣化等によって該センサの入出力特性に変化が生じると、生成する該各種情報が実際の演奏状態(ハンマの動作状態)に的確に対応しないものとなってしまい、出力する該情報が不正確になってしまうという不都合があった。
この発明は上述の点に鑑みてなされたもので、LEDの温度変化や、アクションメカニズムの経時的変化等によってセンサ出力特性が変わってしまったとしても、正確な打弦判定が行えるようにした鍵盤楽器を提供することを目的とする。
この発明に係る鍵盤楽器は、操作子と、前記操作子の操作に応じて駆動され、該駆動に応じて他の部材と当接する被駆動部材と、前記被駆動部材の動きを検出する検出手段と、前記検出手段の検出出力と所定の推定用の基準値に基づき、前記被駆動部材が前記他の部材と当接したことを推定し、当該当接に係る推定情報を発生する推定手段と、前記被駆動部材が他の部材との当接位置に至ったことを判定する判定手段と、前記推定手段の判断を前記判定手段の判定結果に応じて修正する修正手段とを備える。
これによれば、推定手段では、検出手段の検出出力と推定用の基準値に基づき、被駆動部材が他の部材と当接したことををもとに推定し、当該当接に係る推定情報を発生することで、略リアルタイムで被駆動部材が他の部材と当接したことを推定する。判定手段では、実際に前記被駆動部材が他の部材との当接位置に至ったことを判定する。そして、修正手段が前記推定手段の判断を前記判定手段の判定結果に応じて修正する、より具体的には、前記修正手段は前記検出手段の出力及び前記推定手段における推定用の基準値の少なくとも一方を較正することで前記推定手段の判断を修正し、前記推定手段で発生する推定情報をより信頼性の高いものとする。これにより、アクションメカニズムの経時的変化等による検出出力の変化に関らず、正確な打弦判定が行えるようになるという優れた効果を奏する。
以下添付図面を参照して、この発明の一実施例について説明する。
図1は、この発明の一実施例に係る自動演奏ピアノの構成例を説明するための図であって、機械的な発音機構の要部を抽出して示すと共に、電気的制御系の機能ブロックを示す。図1に示すように、自動演奏ピアノは、機械的な発音機構として、鍵1と、該鍵1に連動して回動ストロークするハンマ2と、該鍵1の運動をハンマ2に伝達するためのアクション機構3と、該ハンマ2によって打撃される弦4と、鍵1を電気的制御に基づき駆動する電磁ソレノイド5と、弦4の振動を止めるためのダンパ6とを含む。これらの構成は、一般的な自動演奏ピアノと同様である。なお、後述するように、この実施例においては、電磁ソレノイド5の駆動をサーボ制御する構成が適用されており、ソレノイド5にはプランジャの動作を検出するフィードバックセンサ(図示せず)が具備されるものとする。
また、この自動演奏ピアノには、通常のアコースティックピアノと同様にバックチェック7が設けられており、このバックチェック7は打弦時の反動によるハンマ2の暴れを防止するための部材である。この自動演奏ピアノは、上記のほかにも、通常のアコースティックピアノと同様な各種構成要素を具備するが、それらの説明及び図示は省略する。ハンマ2は、アクション機構3に対して、ハンマシャンク2aを介して動作支点2bを中心にして回動自在に連結されており、対応する鍵1が非押鍵(外力を加えない状態)の時には、図1に示すようなレスト位置(ストローク量0mmの位置)にある。そして、ハンマ2は、対応する鍵1の演奏操作(上下揺動)に連動して、基本的には該レスト位置から所定のエンド位置の間で回動ストロークする。この実施例において、ハンマ2のエンド位置は、ハンマ2が該レスト位置から48mmストローク変位した位置とする。図1において、該エンド位置に位置するハンマ2を点線で示す。
また、図1において、符号26は、ハンマ2の変位を連続量で検出するセンサであり、信号処理部27は該センサ26からの出力信号を取り込み該出力信号に対して各種処理を施すモジュールである。
センサ26は、例えば、ハンマ2の連続的な位置情報を出力可能な光学式の位置センサを適用してよい。ハンマ2の連続位置を検出するのにに好適な光学式センサの構成例について簡単に説明すると、光学式センサは、例えば、LEDと光ファイバで繋がる発光側センサヘッドとフォトダイオードと光ファイバで繋がる受光側センサヘッドとを有し、該LEDの光が発光側センサヘッドから照射されて、フォトダイオードと光ファイバで繋がる受光側センサヘッドにおいて受光され、フォトダイオードによって受光量に応じた出力電圧を取り出すことができる。該受光側センサヘッドにおいて受光する光量が、可動部材(この例ではハンマ2)の変位に対応して変化するよう構成することで、ハンマ2のストローク位置に応じた出力電圧を当該センサの出力として得ることができる。ハンマ2の変位に応じて、受光側センサヘッドにおいて受光する光量を変化させるための構成は、従来から種々の構成が知られている。一例として、LEDから発光される光をグレースケールが形成されている反射板に対して照射し、該反射板からの反射光を受光側センサヘッド(フォトダイオード)で受光するものを適用しうる。これによれば、受光側センサヘッドにおける受光量の変位は、グレースケールの濃淡パターンに応じた増減特性を発揮するため、センサ出力として該パターンに応じた任意の出力特性をえることが可能となり、センサの出力信号としてハンマ2の変位に対してリニアな特性を示す(比例する)アナログデータを得ることができるという利点がある。
当該センサ26から出力される電圧値(アナログ信号)は、図示を省略したOPアンプ、AD変換器を介して信号処理部27にディジタル信号として出力される。以下、この明細書中では、ディジタル信号に変換されたセンサ出力信号を「AD値(アナログ/ディジタル変換値)」と略称する。AD値は、センサ26の出力(すなわちハンマ2の位置の測定値)を、例えば「0〜1023」の範囲の数値によって表現するデータである。なお、当該自動演奏ピアノに備わる全てのハンマ(88個)に対して、夫々独立したセンサ26(LEDとフォトダイオード)を配設するとコストが高くなってしまう。この点について、12個のLEDと8個のフォトダイオードとを用いて、88個のハンマの夫々の動きを個別にセンシング可能なセンサマトリクスを構成する技術が本出願人により提案されており(特開平9−54584号公報を参照)、この実施例に係るセンサ26は該センサマトリックスにより構成されるものとする。なお、センサの配設構成は、前記センサマトリックスによる構成に限らず、LEDとフォトダイオードからなるセンサ26を当該自動演奏ピアノに備わる全てのハンマに個別に配設する構成であってもよい。また、以下の説明においては、センサとしてハンマの位置を検出するハンマセンサについてのみ述べるが、鍵やその他適宜の可動部材に対して、その動きを検出するセンサを備えるよう構成して差し支えない。
信号処理部27は、CPU、ROM、RAM、タイマ等を含み、センサ26から供給された出力信号(AD値)に基づき自動演奏ピアノの演奏動作に関する種々の情報を算出する処理や、該情報に基づく演奏情報の生成・記録処理等といった各種信号処理の実行、制御を担う。図1において、信号処理部27内に示す算出部28は、供給されたAD値によって表現された当該ハンマ2の運動に基づく自動演奏ピアノの演奏動作に関する種々の情報を生成する処理を表す機能ブロックであり、より具体的には、センサ26から出力されるAD値(ハンマの動作位置を表すデータ)から、速度情報や加速度情報等の物理情報を求め、それら該ハンマ2の物理情報(位置、速度、加速度など)に基づき、打弦タイミング、打弦速度等、上記特許文献1に記載された類の、演奏に関る種々の情報の生成処理等を行う。また、処理部30は、前記算出部28で生成した情報に応じた演奏情報を生成する処理を表す機能ブロックである。生成された演奏情報は処理部30から出力され、適宜の記録媒体上に記録されたり、あるいは、図示しない入出力インターフェースを介して図示しない外部機器に供給されるよう構成しうる。或いは、図示しない通信ネットワークを介して該ネットワーク上の他の装置にリアルタイムで供給されるよう構成することも可能である。この実施例によれば、詳しくは後述するように、当該信号処理部27において、連続量センサ26から供給されるAD値を用いて打弦の有無の判定を行うと共に、適切な判定エラーの補正処理を施すことで、アクションメカニズムの経時的な変化に左右されることなく正確な打弦判定が行うことが可能となる。
ここで、図1を参照して、この自動演奏ピアノにおいて演奏情報に基づく無人演奏(自動演奏ピアノ機能)を行うための再生制御系について簡単に説明する。再生前処理部10は、図示しない適宜の記録メディアや、リアルタイム通信装置等から供給される演奏情報に基づいて、該演奏情報に含まれる各演奏イベントを再現するための鍵の軌道データを生成するとともに、該軌道データを用いて鍵の原速度指示値(t,Vr)を生成する。モーションコントローラ11は該原速度指示値(t,Vr)に基づいて、時刻tにおける鍵1の位置に対応した速度指示値Vrを生成して出力するものである。サーボコントローラ12は、前記速度指示値Vrに応じた励磁電流をソレノイド5に対して供給するとともに、該ソレノイド5から供給されるフィードバック信号たる出力速度Vyと速度指示値Vrとを比較して両者が一致するようにサーボ制御を行う。また、再生前処理部10は、上述したようにソレノイド5を駆動することによる機械的な楽音発生制御に加え、記録メディアや、リアルタイム通信装置等から供給される演奏データに基づいて、音源やスピーカ等から構成される電子楽音発生部13に制御信号を供給する処理も担う。電子楽音発生部13では、供給された制御信号に基づき電子的に楽音を発生し、演奏情報に応じた演奏音を発音させる。なお、電子楽音発生部13によって電子的に自動演奏を行う際の演奏情報のデータ形式や、音源方式等は従来から知られるどのようなものを適用してもよい。
上記構成からなる自動演奏ピアノにおける演奏情報記録・再生動作の概要について簡単に説明すると、演奏者によってピアノ演奏が行われると、信号処理部27では、センサ26からの検出結果に基づいて、演奏に関する各種情報を生成し、生成した各種情報に基づき該演奏者によるピアノ演奏の演奏内容を表す演奏情報を生成する。ここで生成される演奏情報は、MIDI形式等、適宜のデータフォーマットで作成されてよい。作成した演奏情報は、ハードディスク、フレキシブルディスク又はフロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD‐ROM)、光磁気ディスク(MO)、ZIPディスク、DVD(Digital Versatile Disk)、半導体メモリ等、適宜の記憶媒体に記録しうる。
当該自動演奏ピアノにおいて、演奏情報の再生動作を行う場合には、電磁ソレノイド5により鍵1を駆動することでハンマ2に打弦を行わせる機械的楽音発生と、電子楽音発生部13を利用した電子的楽音発生とのいずれかを選択可能である。機械的楽音発生の場合は、再生前処理部10、モーションコントローラ11及びサーボコントローラ12を介して、再生すべき演奏情報に応じた駆動信号(励磁電流)により電磁ソレノイド5を駆動制御することで、該演奏情報に応じた鍵の軌道(ストローク動作)を再現し、もって、ハンマ2による打弦動作を制御することで、演奏情報に応じたピアノ演奏を行わせる。電子的楽音発生の場合は、再生前処理部10が再生すべき演奏情報に応じて電子楽音発生部13を制御することで、電子楽音発生部13により供給された演奏情報に応じた楽音が電子的に発生される。
この実施例に係る自動演奏ピアノでは、演奏者によって行われた演奏を記録する演奏記録時等において、連続量センサ26で検出したハンマ2の動きを表す物理量からハンマによる打弦が行われたことを判定するのに際して、次の点に特徴を有する。すなわち、予め設定した打弦推定用の基準値とセンサ26から出力されるAD値(つまりハンマ2の位置情報)とに基づき、該ハンマ2が所定の打弦位置に至ったことを推定し、打弦推定情報を発生する(打弦/非打弦を標識する)と共に、センサ26からのAD値に基づき、ハンマ2の動きを表す位置情報とは異なる物理情報(速度情報及び加速度情報)を生成して、打弦前における弦に接近するハンマの該物理情報と、打弦後の弦から離間するハンマの物理情報とから打弦/非打弦の判定を行い、上記推定結果と判定の結果が一致しない場合、該判定不一致の原因を適切に補正することで、より正確な打弦判定が行えるようにしている。以下、この打弦判定に関わる信号処理部27での処理について詳細に説明する。
先ず、電源投入時において、信号処理部27では、ハンマセンサ26から供給されるAD値をハンマ2の実際の動作位置と対応付けるための「参照位置のパラメータ(参照値)」を設定する処理を行う。すなわち、所定の複数地点のハンマ動作位置が参照位置として予め設定されており、該参照位置を表すAD値の値(数値)を参照値として記憶する。信号処理部27では、各参照値を参照することで、センサ26からリアルタイムで供給されるAD値を各参照位置に対応付け、該対応付けられた参照位置に応じてハンマ2の動作状態を判断することができる。この実施例において、前記参照位置としては、例えば、ハンマ2のレスト位置(ストローク量0mmの位置)、エンド位置(レスト位置からのストローク量48mm)、第1参照位置M1(前記エンド位置から8mm下がった位置)及び第2参照位置M2(前記エンド位置から0.5mm下がった位置)の4点が設定されるものとする。なお、第1参照位置M1と第2参照位置M2は、エンド位置に対する相対的な位置として規定されるものである。
図2は、当該自動演奏ピアノにおいて、上記4点の参照位置に対応する各参照値を設定する処理の一例を示す。図2において、先ず、当該自動演奏ピアノにおいて電源が投入された際、センサ26によってハンマ2の現在位置をセンシングして、該センサ26から出力されるAD値を信号処理部27に取り込む(ステップS1)。電源投入直後には、鍵1は非押鍵状態にある、つまりハンマ2はレスト位置に位置しているものと想定できるので、ここで取り込んだAD値は、当該ハンマ2のレスト位置に相当するデータとして参照される参照値「レスト値R」として、RAM内に記憶される。このAD値取り込み処理は、全てのハンマについて行われ、各ハンマ毎に夫々のレスト値Rのデータを得る。次に、ステップS2では、当該ハンマのエンド位置に相当するデータとして参照される参照値「エンド値E」を、前記ステップS1で取り込んだレスト値Rに基づいて、次に述べる「キャリブレーション比」を用いて算出して、該算出したエンド値EをRAMに記憶する。これも全てのハンマについて行い、各ハンマ毎に「エンド値E」のデータを得る。
前記「キャリブレーション比」は、エンド位置のAD値をレスト位置のAD値に対する比率を表現したもの(例えば特開2000−155579号公報等を参照)である。ここで「キャリブレーション比」の設定処理について簡単に説明する。キャリブレーション比の設定処理は、例えば工場出荷時等に実行される処理である。図示しないコントローラからの指示等に応じて、キャリブレーション比の設定処理が開始し、ハンマのレスト位置のAD値とエンド位置のAD値を実測し、該実測したレスト位置のAD値及びエンド位置のAD値に基づき、キャリブレーション比を算出する。キャリブレーション比の設定処理は、88個の各ハンマ毎に個別に実施される。前記算出された各ハンマ毎のキャリブレーション比は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ内に記録される。このキャリブレーション比を用いることで、ハンマのレスト位置のAD値を実測するだけで、該実測したAD値とキャリブレーション比から、エンド位置など他の任意の動作位置のAD値を算出できる。
センサから出力されるAD値の具体的な数値自体は、経年劣化、温度変化など種々の要因によって変動しうるものだが、レスト位置に相当するAD値に対するエンド位置(或いは任意の地点)でのAD値の比は一定とみなすことができるので、このキャリブレーション比を用いれば、レスト位置に相当すべきAD値さえ特定できれば、経年劣化、温度変化等の影響に関らず、該特定したAD値に応じたエンド位置(或いは任意の地点)でのAD値を推定できる、すなわち、上記4点の参照位置(レスト位置、エンド位置、第1参照位置M1及び第2参照位置M2)のうち、レスト位置に相当する参照値(レスト値R)のみをセンサによって実測し、他の参照位置での各参照値は、該実測したレスト値Rを基準にしてキャリブレーション比を用いて算出できるという利点がある。
さて、図2に戻ると、ステップS3では、キャリブレーション比を用いて、前記RAMに記憶したレスト値Rから各ハンマの第1参照位置M1及び第2参照位置M2に相当するAD値として参照される「第1参照値m1」及び「第2参照値m2」を算出して、これらをRAMに記憶する。第1参照値m1、第2参照値m2は、後述する当該ハンマの動作速度算出や、打弦有無判定処理等に際して参照される。
なお、鍵1をはじめとしてその他の可動部材についても同様に、電源投入時に、センサ出力から参照位置パラメータを設定しうる(ステップS4)。
図3は、信号処理部27において実行されるハンマ速度を求めるルーチンの一例を示すフローチャートである。これは、例えば演奏者による演奏操作時にその演奏内容を演奏情報として記録する際や、或いは、演奏情報の再生時等、通常の動作中において、当該自動演奏ピアノに置ける主要な処理の1つとして実行されるものであって、ここで求めるハンマ2の速度情報は、当該ハンマ2による打弦有無の判別をはじめとして、打弦タイミングの算出、打弦直前速度の算出等の演奏に関する各種情報を出力する際の基本的な要素のひとつとして利用される。図示の通りこのルーチンはステップS10〜S16の処理を各鍵毎に所定の起動周期に従ってループする。
ステップS10において、信号処理部27では、センサ26から出力されるAD値を当該ルーチンの1回の起動機会毎に取り込み、取り込んだAD値をその時刻情報TIMEと共にRAM内に格納する。ここで、信号処理部27は、ある時点から過去20回分の起動機会(サンプリング時点)で取り込んだAD値及びその時刻情報TIMEからなるデータセットを格納しておき、これら20個のデータセットから、図4に示すようなデータテーブルTABLE1を作成する。テーブルTABLE1には、図示の通り、過去20回分のサンプリング点で取り込んだAD値とその時刻情報のデータセットが順次記述されており、これにより信号処理部27では、所定時間内における時間的推移に応じたハンマの連続的な動作位置の情報を把握することが可能となる。
ステップS11では、取り込んだAD値からハンマ動作(つまり鍵操作)の有無の判定を行う。ハンマ動作の有無判定は、例えば、レスト値Rを参照して取り込まれたAD値が非押鍵状態(レスト位置)から変動したか否かを判定することで行いうる。ハンマ動作(鍵操作)がなければ(ステップS11のNO)、処理は当該ルーチンの先頭に戻る。
ステップS12において、前記RAM内に記憶された第2参照値m2を参照して、現時点で取り込まれたAD値が該第2参照値m2を越えたかどうか、つまり、ハンマ2のストローク位置が第2の参照位置M2よりも上方に変位したかどうかを判定する。第2参照位置M2は、予め打弦位置として規定された任意の動作位置(推定打弦位置)であって、ハンマ2が該推定打弦位置を越えた時点で「当該ハンマ2による打弦有り」と推定することができる。この推定打弦位置とセンサ26から出力されるAD値に基づき打弦推定を行うことは、実際のハンマ動作に対するリアルタイム性、迅速な動作判断といった点で有利である。しかし、ここで閾値として利用する第2の参照値m2は、上述の電源投入時において、実測したレスト値Rとキャリブレーション比とから計算した値であるから、レスト値Rやキャリブレーション比といった各種パラメータと、センサ26からの実際の出力値との対応付けが的確である限りにおいて、その信頼性が確保される。そのため、センサ26の入出力特性がアクションメカニズムの経時的変化等によって変わってしまうと、センサ26からの出力値と前記パラメータとの対応付けがずれてしまい、正確な推定が行えなくなる恐れがある。この点について、この実施例においては、詳しくは後述するような判断構成によって、キャリブレーション比の補正を行うことで、連続量センサ26からのAD値と推定打弦位置(閾値)とに基づくハンマの打弦有無推定をより正確に行うことができるようになることが後段から明らかになる。
ステップS12において、現時点で取り込んだAD値が参照値m2(閾値)を越えていれば、ステップS13において、当該ハンマ2の動作状態(打弦有無)を表す第1の打弦ステートst1を、推定打弦有りの状態に設定する。現時点でのAD値が参照値m2に至っていなければ、第1の打弦ステートst1は推定打弦無しの状態に設定しておく。
ステップS14において、テーブルTABLE1を参照して、20点のサンプリング時点のうちから、或る時点からみて過去5点前のサンプリング時点においてハンマ2の動作向きが反転したかどうかを調べる。ハンマ2の動作が反転した時点は、例えば、テーブルTABLE1に基づきAD値の増減変化の状態から、ハンマ2の動作位置の変位を判別することで特定しうる。ここで、説明の便宜上一例として、当該ハンマ2がレスト値にあるときのAD値の数値を最大値AD(MAX)で表し、エンド位置にあるときのAD値を最小値AD(MIN)で表すとすると、ハンマ2の一回のストローク変位(つまりレスト位置からエンド位置に達して、そこから再びレスト位置に戻る変位)においては、基本的には、センサ26から出力されるAD値は、最大値AD(MAX)から漸減変化して、ハンマ軌道の頂点(エンド位置相当)にて、最小値AD(MIN)になり、そこから漸増変化する。すなわち、AD値変動が減少から増加に転じた時点はハンマ移動のピーク(打弦点)に相当するものと考えられ、その時点にてハンマ2の動作方向は反転する。従って、テーブルTABLE1から、AD値変動が減少から増加に変わる時点を調べれば、ハンマ2の動作は反転した時点を特定できる。
信号処理部27は、当該ルーチンの起動機会毎に、テーブルTABLE1から、最新のサンプリング時点からみて過去5点前のサンプリング時点前後でのAD値変動を調べて、AD値変動が減少から増加に変わる時点を特定する。そして、そのハンマ2の動作向きが反転した時点を、ハンマ移動のピーク(打弦点)に相当する基準時点とみなし、該基準時点から前後5点のサンプリング時点でのデータセットを抽出して図5に示すようなデータテーブルTABLE2を作成する。ここで、前記基準時点は、テーブルTABLE1内の或るサンプリング時点(例えば最新のサンプリング時点)からみて過去5点前のサンプリング時点に相当するものであるから、テーブルTABLE2は、該或るサンプリング時点から過去11点のサンプリング時点におけるデータセットから構成されるものである。
図5に示すように、テーブルTABLE2には、前記11点のサンプリング時点でのデータセット(「AD(−5)、t(−5)」〜「AD(5)、t(5)」)と、各時点での速度情報(「v(−4)」〜「v(5)」)及び加速度情報(「a(−4)」〜「a(4)」)が記述される。すなわち、ハンマ2の移動のピーク(打弦点)に相当する基準時点(AD(0),t(0))と、この基準時点に対して時間的に前後5回分のサンプリング時点でにおける各データセットについて、夫々速度情報と加速度情報を求める。各時点での速度情報は、例えば直線近似により、任意の2点間のデータ(例えば、あるサンプリング時点でのデータセットとその1つ前のサンプリング時点でのデータセット)の差分に基づき算出することができる。また、算出した速度情報を微分演算することで、加速度情報を求めることができる。なお、速度情報及び加速度情報の算出の具体的な方法については、上述の例に限らず、従来から知られるいかなる方法を適用しても差し支えない。なお、速度情報の算出は、任意の2点間のデータの差分に基づき比較的簡単に求まるので、テーブルTABLE2の作成に先立って、例えば前述のステップS10において当該テーブルTABLE1を作成する際に、算出しておいてもよい。ここで各時点での速度情報を算出しておけば、ステップS14でのハンマ2の動作反転の判別に、速度情報を利用できる。
ステップS14において、ハンマ2の動作向きの反転があれば(ステップS14のyes)、処理をステップS15に進めて、図6を参照して次に説明するサブルーチン「打弦判定処理」に移行する。一方、ハンマ2の動作向きの反転がなければ、ステップS14をnoに分岐して、サブルーチン「打弦判定処理」に入ることなく、当該ハンマ速度処理のルーチンを続ける。
図6に示すフローチャートを参照して「打弦判定処理」の処理例について説明する。先ず、ステップS20において、前記テーブルTABLE2を参照して、ハンマ2による打弦があった否かの判定を行う。ここの打弦判定においては、該テーブルTABLE2における基準時点(AD(0),t(0))からみて、ハンマ2が弦に近接動作する際(打弦前)の速度情報及び加速度情報と、ハンマ2が弦から離間動作する際(打弦後)の速度情報及び加速度情報とを、次に詳細に述べる条件と照合することで、ハンマ2によって実際に打弦がなされたことを判定する。
(1)確実に打弦したと判定する条件:基準時点(AD(0),t(0))での速度情報v(0)、及び、基準時点の直前の時点(AD(−1),t(−1))での速度情報v(−1)、及び、基準時点よりも2サンプリング時点前先行した時点(AD(−2),t(−2))での速度情報v(−2)を調べて、速度情報v(0)、v(−1)及びv(−2)の中に、所定速度(例えば0.3m/s)以上のものがあるかどうか判定する。前記v(0)、v(−1)及びv(−2)は、打弦直前でのハンマ速度を表す情報である。これにより、打弦前に弦4に対して近接するハンマ2の運動状態の時間的推移を調べ、これらの中に所定速度(例えば0.3m/s)以上のものがあれば、ハンマ2が打弦を行うのに十分な速度で運動していたことがわかる。従って、この条件に適う場合は、確実に打弦有りと判断することができる。
(2)打弦した可能性が高いと判定する条件:基準時点(AD(0),t(0))での加速度情報の絶対値a(0)、並びに、該基準時点の前後3回分のサンプリング時点(「AD(−3),t(−3)」〜「AD(3),t(3)」)での各加速度情報の絶対値a(−3)〜絶対値a(3)を調べることで、打弦直前に弦4に対して接近するハンマ2の運動状態と、打弦後に弦4に対して離間するハンマ2の運動状態とを調べる。ここで、基準時点での加速度情報の絶対値a(0)が各加速度情報の絶対値a(−3)〜絶対値a(3)の中で最大であれば、当該ハンマ2の運動によって打弦が行われた可能性が高いと判断できる。
(3)非打弦の可能性が高いと判定する条件:前記(2)の判定条件に適合しないこと、つまり、各加速度情報の絶対値a(−3)〜絶対値a(3)の中に基準時点での加速度情報の絶対値a(0)よりも大きい値があること、及び、複数の速度情報から得られる2次曲線に適合させる2次曲線適合法によって求めた基準時点における速度情報v(0)が「0」に近い値である場合は、当該ハンマ2の運動によっては、打弦が行われなかった可能性が高いと判断できる。
このように、当該ステップS20でのテーブルTABLE2を参照して行う打弦判定では、打弦位置(基準時点)を含むハンマ2の移動範囲におけるハンマ2の動きを示す物理情報(速度、加速度)について、打弦前にハンマ2が弦4に対して接近するときの変動状態と、打弦後に弦4から離間するときの変動状態とに基づき、打弦/非打弦の照合を行うので、ハンマ2によって打弦が実際に行われたことを極めて正確に判定できる。
ステップS21では、前記ステップS20での判定結果に応じて、当該ハンマ2の動作状態(打弦有無)を表す第2の打弦ステートst2を設定する。第2の打弦ステートst2は、単純に打弦有り(前記条件(1)又は(2)に適う場合)か、打弦無し(前期条件(3)の場合)を表現するものであってよい。勿論前記条件(1)〜(3)の夫々に応じて、(1)確実に打弦、(2)打弦の可能性大及び(3)非打弦の可能性大、の3状態を表現してもよい。
ステップS22では、前記第1の打弦ステートst1と前記第2の打弦ステートst2とを比較して、双方が示す状態(打弦有り又は無し)が一致するかどうかを調べ、不一致であった場合(yesの場合)、処理をステップS23に進めて、次に述べるサブルーチン「補正処理」に入る。一方、第1のステートst1と第2のステートst2が一致していれば(noの場合)、打弦判定ルーチンを抜けて、前記図3の「ハンマ速度処理」に戻る。
図7を参照して補正処理の処理例について説明する。
先ず、ステップS30において、両打弦ステートst1、st2の不一致が次のいずれの場合に相当するかを判別し、各ケースに応じて適切に打弦推定用の基準値を修正(較正)する。
(ケース1)打弦ステートst1では非打弦と推定しながらも、打弦ステートst2では打弦有りの判定がなされた場合:打弦ステートst1では非打弦と推定しながらも、実際には打弦動作が行われているので、打弦ステートst1の根拠となる参照位置パラメータとして設定された参照エンド値Eが実際のエンド位置よりも高く想定されてしまっていると考えられる。このケース1の場合は、処理をステップS31に進め、ステップS31において、テーブルTABLE2にて基準時点として設定された時点でのAD値「AD(0)」を新規エンド値Eとして設定して、この新規エンド値Eと現在のレスト値Rとの比を求めることで、当該ハンマ2のキャリブレーション比を更新する。キャリブレーション比を更新したら、新規キャリブレーション比から各種パラメータ(参照位置パラメータなど)を再算出する。
(ケース2)打弦ステートst1では打弦と推定しながらも、打弦ステートst2では打弦無しの判定がなされた場合:打弦ステートst1では打弦と推定しているものの、実際には打弦動作は行われていないので、参照位置パラメータとして設定された参照エンド値Eが実際のエンド位置よりも低く想定されてしまっていると考えられる。このケース2の場合は、処理をステップS32に進め、ステップS32において、テーブルTABLE2にて基準時点として設定された時点でのAD値「AD(0)」に対して所定数値加算した値を新規エンド値Eとして設定して、この新規エンド値Eと現在のレスト値Rとの比を求め、当該ハンマ2のキャリブレーション比を更新する。キャリブレーション比を更新したら、新規キャリブレーション比から推定打弦位置に相当する閾値(第2の参照位置M2の参照値m2)等の各種パラメータを再算出する。そして、当該補正処理のルーチンを抜けて、前記図3に示すルーチンに戻る。
上述の補正処理において、自動演奏ピアノでの演奏動作中にリアルタイムでセンサ26から出力されたAD値を基にキャリブレーション比を適切な値に補正することで、新規キャリブレーション比に基づき、打弦推定位置に相当する閾値(第2の参照値M2)をより適切な値に設定しなおすことができる。従って、例えば経時変化によりアクションメカニズムの相対位置が変動し、キャリブレーション比が変わってしまった場合にも、キャリブレーション比をリアルタイムで補正することができ、連続量センサ26からの出力値(位置情報)と推定打弦位置とに基づく打弦有無推定をより正確に行えるようになる。
図3に戻ると、上記打弦判定処理及びその中の補正処理を行った後、ステップS16では、前記第1の打弦ステートst1及び後述する「打弦判定処理」において設定する第1の打弦ステートst2に基づき、ノート・オン/オフ(発音指示)信号の生成処理等、その他処理を行う。ノート・オン/オフ信号は、キーナンバ及びベロシティデータ(打弦速度)を含む演奏データであって、例えばMIDI形式等のデータフォーマットで構成されてよい。この発明に従えば、上述した打弦判定構成及びキャリブレーション比の補正により、より信頼性の高い打弦判定が行えるようになるので、発音指示信号の発生等をより正確に行えるようになり、所謂「音抜け(発音すべきにも拘らず発音なし)」や「音鳴り(非発音にも拘らず発音)」等のエラーを効果的に防止できるようになる。
次に、キャリブレーション比の補正処理の別の実施例について、図8を参照して説明する。ステップS40において、打弦ステートst1と打弦ステートst2の不一致が3回以上続いたかどうかを判定する。これは、図6の打弦判定処理のステップS22において、打弦ステートst1と打弦ステートst2の不一致が三回続くことを条件の1つとして、キャリブレーション算出用のエンド値の更新が行われることとなる。打弦ステートst1と打弦ステートst2の不一致が3回以上続けば(ステップS40のyes)、ステップS41において、打弦ステートst1、st2の不一致が、図7を参照して前述したケース1又はケース2のいずれの場合に相当するかを判定する。これによって、誤動作に対して補正がなされてしまうことを防止している。
ケース1の場合エンド値Eが実際のエンド位置よりも高く想定されてしまっている。従って、以下のような処理を行う:ステップS42において、ハンマ2の移動軌跡のピーク位置を探す。例えば、図5のテーブルTABLE2を参照して、ハンマ2の移動のピーク(打弦点)に相当する基準時点AD(0),t(0)を、当該ハンマ2の軌道ピーク(最奥)位置のAD値として出力することができる。ステップS43において、ハンマ2の実動作から打弦速度を推測する。打弦速度の推測は、例えば、図5のテーブルTABLE2を参照し、ハンマ2の動作測定値から任意の複数点(例えば5点)のAD値を抽出して、該抽出した複数のAD値から直線近似法により速度情報を算出することができる。
ステップS44において、「たわみ量出力テーブル」を参照し打弦速度に応じた「たわみ量」xを出力する。たわみ量出力テーブルの一例を図9に示す。たわみ量出力テーブルは、打弦速度と、或る打弦速度で駆動されたハンマ2が弦4を打弦する際の、弦4に対する押し込み量(弦4のたわみ量)の対応関係により構成されている。たわみ量出力テーブルは、所定の実験機を用いてエンド位置が既知の状態で作成されるものであり、該実験機で作成されたテーブルを個々の機器(自動演奏ピアノ)に記憶させておくものとする。図9に示すたわみ量出力テーブルから、打弦速度に応じた「たわみ量」xを出力することで、当該打弦動作による弦4のたわみ量を取得する。弦4がたわむ(ハンマ2が弦4を押し込む)ということは、ハンマ2が弦4との当接位置(エンド位置)を該たわみ量だけ超えてストロークしていることとなる。してみれば、ステップS42で求めたピーク位置のAD値を、ステップS44で求めた「たわみ量x」で補正した値は、エンド位置に対応する値とみなすことができる。ステップS45では、前記ピーク位置のAD値と前記「たわみ量x」に基づき算出した新規のエンド値Eを出力する。
ケース2の場合は、エンド値Eが実際のエンド位置よりも低く想定されてしまっている:従って、ステップS46において、ハンマ2の移動のピーク位置を探す。図5のデータテーブルTABLE2を参照して、ハンマ2の移動のピーク(打弦点)に相当する基準時点AD(0),t(0)を、当該ハンマ2の軌道ピーク(最奥)位置のAD値として出力することができる。この場合は、エンド値Eが実際のエンド位置よりも低く想定されているのだから、ここで出力するハンマ2の移動のピーク位置のAD値を直ちにた新規のエンド値Eを出力してよい。
ステップS47では、現在のレスト値Rと上述の処理によって出力した新規のエンド値Eを、キャリブレーション算出用のレスト値とキャリブレーション算出用のエンド値として設定する。ステップS48では、前記新規に設定されたキャリブレーション算出用のレスト値とエンド値に基づきキャリブレーション比を再計算する。
以上説明した通り、図8に示す補正処理の別の例によれば、ハンマ2の実際の動作に基づきキャリブレーション比を更新するので、例えばハンマ2の経時変化等にフレキシブルに対応することができる、また、キャリブレーション比の更新を演奏の記録や再生時等、通常の動作中にハンマ2の実際の動作に基づきリアルタイムに行うことができるようになるので、より正確な打弦判定や、演奏データの生成が行えるようになる。
なお、上記実施例では、補正処理においてキャリブレーション比を補正する処理例について説明したが、これに限らず、参照位置パラメータとして設定されたレスト値Rやエンド値Eを補正するように処理してもよい。さらに、センサからの出力値に修正をかけるようにしてもよい。また、上記実施例においては連続量センサ26から出力される位置情報に基づき、速度情報及び加速度情報を算出する例について説明したが、これに限らず、連続量センサ26を速度センサとして構成して、出力された速度情報から位置情報や加速度情報を算出してもよい。また、位置情報、速度情報及び加速度情報の各情報を夫々独立したセンサによって別々に検出するように構成してもよい。位置センサ、速度センサ及び加速度センサを、夫々独立したセンサで構成する場合、各センサにおける次元は夫々異なっていてもよいし、また共通のものであってもよい。また、上記図6に示す打弦判定処理において打弦有無の判定要素として用いる情報は、上述したハンマ2の速度情報と加速度情報に限定されず、ハンマによる打弦運動に関する物理情報であればどのような情報であっても利用しうる。例えば、適宜のセンサによって打弦時の弦4の振動を検出するよう構成して、その振動情報を利用してもよいし、或いは、打弦時の弦4の振動を直接検出するのではなく、該振動によって発生する振動音を適宜のピックアップで検知できるよう構成してもよい。
なお、上述した実施例の形態では、鍵とハンマの動作検出の例を示したが、このような形態に限らず、操作子と、該操作子の操作に応じて駆動されて他の部材と当接する被駆動部材との関係において、その当接動作を判断するものであれば、どのような形態にも適用しうる。例えばダンパペダルとダンパの関係において、ダンパの弦に対する当接動作を連続的に検出し、それを判断するような形態に適用してもよい。
また、上記実施例では、自動演奏ピアノとして、自動演奏機能及び演奏操作記録機能を有するアコースティックピアノについて説明したが、ここでアコースティックピアノは、グランドピアノ或いはアップライトピアノの何れであっても差し支えない。また、この発明は、自動演奏ピアノに限らず、サイレントピアノに適用することもできる。また、アコースティックピアノに限らず、電子ピアノ等のその他各種鍵盤楽器にも適用可能である。
この発明の一実施例に係る自動演奏ピアノの全体構成を示す図。 同実施例に係る自動演奏ピアノにおいて電源投入時に実行される処理例を示すフロー。 同実施例に係る自動演奏ピアノにおける主な動作として実行されるハンマ速度を求めるルーチンの一例を示すフロー。 ハンマ動作の時間的推移を表すデータテーブルTABLE1の一例を示す図。 図4のテーブルTABLE1に基づき作成されるハンマの運動状態の時間的推移を表すデータテーブルTABLE2の一例を示す図。 同実施例に係る打弦判定処理の一例を示すフローチャート。 同実施例に係る補正処理の一例を示すフローチャート。 同実施例に係る補正処理の別例を示すフローチャート。 同実施例に係るたわみ量出力テーブルの一例を示す図。
符号の説明
1 鍵、2 ハンマ、3 アクションメカニズム、4 弦、5 電磁ソレノイド、6 ダンパ、7 バックチェック、10 再生前処理部、11 モーションコントローラ、12 サーボコントローラ、13 電子楽音発生部、26 センサ、27 信号処理部、28 算出部、30 処理部

Claims (5)

  1. 操作子と、
    前記操作子の操作に応じて駆動され、該駆動に応じて他の部材と当接する被駆動部材と、
    前記被駆動部材の動きを検出する検出手段と、
    前記検出手段の検出出力と所定の推定用の基準値に基づき、前記被駆動部材が前記他の部材と当接したことを推定し、当該当接に係る推定情報を発生する推定手段と、
    前記被駆動部材が他の部材との当接位置に至ったことを判定する判定手段と、
    前記推定手段の判断を前記判定手段の判定結果に応じて修正する修正手段と
    を備える鍵盤楽器。
  2. 前記修正手段は前記検出手段の出力及び前記推定手段における推定用の基準値の少なくとも一方を較正する手段を含み、該修正手段による前記推定手段の判断の修正は、前記検出手段の出力及び前記推定手段における推定用の基準値の少なくとも一方を較正することで行われることを特徴とする請求項1に記載の鍵盤楽器。
  3. 前記検出手段の検出出力は、前記被駆動部材の動きを示す第1種の物理量を示す第1物理情報であり、
    前記判定手段は、前記当接位置を含む前記被駆動部材の移動範囲における該被駆動部材の動きを示す第2種の物理量を示す第2物理情報に基づき、該被駆動部材の当接を判定するものである請求項1又は2に記載の鍵盤楽器。
  4. 前記検出手段は前記被駆動部材の位置情報を連続的に検出する連続量センサであって、
    前記第1物理情報は該センサから出力される位置情報であり、
    前記第2物理情報は、該センサから出力される位置情報に基づき算出された前記被駆動部材の動作の速度情報及び加速度情報の少なくとも一方であり、
    前記判定手段は、前記算出された速度情報及び加速度情報の少なくとも一方の時間的推移に応じた状態から、前記被駆動部材が他の部材に当接したか否かを判定するものであることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の鍵盤楽器。
  5. 前記推定手段の推定結果と前記判定手段の判定結果が所定回数異なっていたときに、前記推定用の基準値を修正する基準値修正手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の鍵盤楽器。
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