JP2005206647A - 液晶組成物及び液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 コントラストの良好な表示を可能とするコレステリック液晶相を示す液晶組成物及び該液晶組成物を表示媒体とする液晶表示装置を得る。
【解決手段】 液晶成分とカイラル材とを含みコレステリック液晶相を示す液晶組成物であって、屈折率異方性Δn、誘電率異方性Δε、等方相への転移点Tc、20℃における粘度η(cps)が以下の条件を満たしている、即ち、0.02<Δn<0.07、5<Δε<25、70℃<Tc<100℃、30<η<100である液晶組成物。この液晶組成物は、基板11,12の間に所定の厚みで保持されており、基板11,12の対向面には電極13,14、絶縁膜15、配向膜16が設けられている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、液晶組成物及び液晶表示装置、特に、液晶成分とカイラル材とを含みコレステリック液晶相を示す液晶組成物及び該液層組成物を用いた液晶表示装置に関する。
近年、携帯電話やモバイルパーソナルコンピュータなどの表示デバイスとして反射型の液晶表示装置を応用する研究、開発が急速に進んでいる。反射型の液晶表示装置は、環境光(外部からの光)を反射することにより表示を行うため、低消費電力、薄型、軽量等の利点を有している。
現在、実用化されている一般的な反射型液晶表示装置は、ネマチック液晶を用いており、TN(ツイスティッドネマチック)モード、STN(スーパーツイスティッドネマチック)モードで駆動されるものが代表的である。しかし、これらのネマチック液晶はメモリ性がないため、表示期間中は常に電力を消費してしまう(バックライトを用いる透過型の液晶表示装置よりも省電力ではあるが)という問題点を有している。
ところで、近年では、さらなる省電力化が期待できるメモリ性を有する反射型の液晶表示装置の開発が盛んになってきている。その代表例は、ネマチック液晶にカイラル材を添加することにより、室温においてコレステリック液晶相を示すカイラルネマチック液晶組成物を用いた液晶表示装置である。
この種の液晶組成物は、電圧の印加に応じてプレーナ配列とフォーカルコニック配列に変化して双安定状態で存在する。即ち、電力の供給を停止しても表示状態を保持するメモリ性を有している。
特許文献1には、プレーナ配列において液晶自体が入射光のうち特定波長の光を選択的に反射し、フォーカルコニック配列では入射光を実質的に反射しない特性を利用して表示を行う液晶組成物及び液晶表示素子について開示されている。
特許文献2には、フォーカルコニック配列において液晶が屈折率異方性を示し、プレーナ配列では屈折率異方性を示さない特性を利用して、コレステリック液晶層の少なくとも観察側に円偏光板を配置した構成を備え、フォーカルコニック配列では白表示、プレーナ配列では黒表示を行う液晶表示素子について開示されている。
ところで、特許文献1に開示されている液晶表示素子では、色純度(刺激純度)や黒表示の品質が必ずしも十分ではなく、コントラスト向上という点でまだ改善の余地がある。また、特許文献2に開示されている液晶表示素子においても、コントラストの高い白黒表示が十分に達成されているとは言い難く、このタイプの液晶表示素子に適した液晶の特性については明確でないのが現状である。
特開2000−129261号公報 特開2003−149682号公報
そこで、本発明の目的は、コントラストの良好な表示を可能とするコレステリック液晶相を示す液晶組成物及び該液晶組成物を表示媒体とする液晶表示装置を提供することにある。
以上の目的を達成するため、本発明に係る液晶組成物は、液晶成分とカイラル材とを含みコレステリック液晶相を示す液晶組成物であって、屈折率異方性Δn、誘電率異方性Δε、等方相への転移点Tc、20℃における粘度η(cps)が以下の条件を満たしていること、即ち、0.02<Δn<0.07、5<Δε<25、70℃<Tc<100℃、30<η<100であることを特徴とする。
本発明に係る液晶組成物においては、以上の条件を満たすことにより、特に、屈折率異方性Δnが0.02<Δn<0.07の条件を満たすことにより、コントラストが向上し、良好な表示を得ることができる。特に、液晶の選択反射特性を利用したタイプの表示素子に用いれば、液晶内での散乱が低く抑えられることにより、色純度や黒表示の品質が向上する。また、表示素子の駆動電圧が大きくなりすぎたり、表示素子の安定性や信頼性が不十分になったりすることが防止され、実用化に適した表示素子が得られる液晶組成物とすることができる。
本発明に係る液晶組成物は、選択反射波長のピーク値が400〜1200nmの間に設定されていることが好ましい。
特に、屈折率異方性Δnが0.02<Δn<0.055の条件を満たしていることにより、液晶の屈折率異方性に基づく特性を利用したタイプの表示素子に用いれば、液晶層の厚みを小さくして適切なリタデーションΔnd(位相差)を与えることができる。
また、誘電率異方性Δεが5<Δε<20の条件を満たしていることにより、高温での使用環境下にあっても信頼性の低下を抑制することができる。
本発明に係る液晶表示装置は、少なくとも一方が透明な一対の基板間に、液晶成分とカイラル材とを含みコレステリック液晶相を示す液晶組成物が挟持されており、該液晶組成物の物性値である屈折率異方性Δn、誘電率異方性Δε、等方相への転移点Tc、20℃における粘度η(cps)が以下の条件を満たしていること、即ち、0.02<Δn<0.07、5<Δε<25、70℃<Tc<100℃、30<η<100であることを特徴とする。
本発明に係る液晶表示装置にあっては、液晶組成物の物性値が以上の条件を満たすことにより、コントラストの良好な表示を得ることができる。特に、液晶の選択反射特性を利用したタイプの表示装置にあっては、液晶内での散乱が低く抑えられることにより、色純度や黒表示の品質が向上する。
本発明に係る液晶表示装置においては、前記液晶組成物の選択反射波長のピーク値が400〜1200nmの間に設定されていることが好ましい。
また、観察面側に偏光素子を備えることにより、液晶の屈折率異方性に基づく特性を利用したタイプの表示装置とすることができる。この場合、偏光素子は直線偏光板と位相差板とからなる円偏光素子を好適に用いることができる。
以下、本発明に係る液晶組成物及び液晶表示装置の実施例について、添付図面を参照して説明する。
(第1実施例、図1参照)
図1に示す液晶表示装置は、コレステリック液晶の選択反射特性を利用したタイプの表示装置であり、液晶表示素子10と制御部30とで構成されている。
液晶表示素子10は、透光性を有する一対の基板11,12の各対向面に、帯状の透明電極13,14が基板11,12に垂直な方向から見て互いに直交するように形成され、さらに、必要に応じて絶縁膜15、配向膜16が設けられている。また、基板12の裏面には必要に応じて光吸収層17が設けられている。
基板11,12の間には、液晶21が保持されており、さらに、基板間ギャップを均一に保持するためのスペーサ18、基板間ギャップの精度のより一層の向上や基板間の接着性の向上を図るための柱状樹脂構造物20が設けられている。また、基板11,12の周辺部分には液晶21を基板間に封止するためのシール材24が設けられている。
透明電極13,14は、それぞれ微細な間隔を保って平行に並べられた複数の帯状の透明電極よりなり、電極の並ぶ向きが互いに直角方向になるように対向させてある。これら上下の帯状の電極に順次通電が行われる。即ち、液晶21に対してマトリクス状に順次電圧が印加されて表示が行われる。これをマトリクス駆動と称し、電極13,14が交差する部分が各画素を構成することになる。このようなマトリクス駆動を行うことにより、液晶表示素子10に画像の表示を行う。
詳しくは、2枚の基板間にコレステリック相を示す液晶を保持した液晶表示素子では、コレステリック液晶の状態をプレーナ配列とフォーカルコニック配列に切り換えて表示を行う。プレーナ配列の場合、液晶の螺旋ピッチをP、液晶の平均屈折率をnとすると、波長λ=P・nの光が選択的に反射される。また、フォーカルコニック配列では、液晶の選択反射が赤外光域にある場合には散乱し、それよりも短い場合には可視光を透過する。
そのため、選択反射波長を可視光域に設定し、素子の観察面側と反対側に光吸収層を設けることにより、プレーナ配列で選択反射色の表示、フォーカルコニック配列で黒色の表示が可能になる。また、プレーナ配列での表示色の補色の関係にある光吸収層を液晶層の背面に設けることにより、プレーナ配列で白色の表示、フォーカルコニック配列で前記補色の表示を行うこともできる(例えば、黄色の選択反射色と青色の光吸収層の組み合わせで白青表示が可能)。さらに、ブロードなピークを示す分光反射特性を持つ液晶組成物を使用することにより、プレーナ配列で白色の表示、フォーカルコニック配列で黒色の表示を行うこともできる。さらに、選択反射波長を赤外光域に設定し、素子の観察面側と反対側に光吸収層を設けることにより、プレーナ配列では赤外光域の波長の光を反射するが可視光域の光は透過するので黒色の表示、フォーカルコニック配列では散乱による白色の表示が可能になる。
基板11,12は少なくとも一方(観察面側)が透光性を有している。透光性を有する基板としては、ガラス以外に、ポリカーボネート(PC)、ポリエステルスルホン(PES)、ポリアリレート(PAr)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂フィルムが使用可能である。
電極13,14としては、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)等の透明電極や、アルミニウム、シリコン等の金属電極、あるいは、アモルファスシリコン、ビスマスシリコン酸化物(BSO)等の光導電性膜が使用可能である。観察面側の電極13には透明電極を用いることが必要になる。電極13,14を微細な帯状に形成するには、例えば、基板上にITO膜をスパッタリング法等で形成した後、フォトリソ法でパターニングすればよい。
絶縁膜15は、電極13,14間の短絡を防止したり、ガスバリア層として素子の信頼性を向上させる機能を有する。絶縁膜15としては、酸化シリコン、酸化チタン、酸化ジルコニウムやそのアルコキシド等からなる無機膜、ポリイミド、アクリル、ウレタン等の有機膜が用いられる。蒸着法、スピンコート法、ロールコート法等の周知の方法によって成膜することができる。絶縁膜15に色素を添加することによりカラーフィルタとしても機能させることができる。
配向膜16としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリビニルブチラール、アクリル等の有機膜や、酸化シリコン、酸化アルミニウム等の無機膜を使用することができる。これらの配向膜はラビング処理を施してもよい。なお、配向膜16は液晶表示素子10の動作原理上必須のものではないが、素子10の安定性向上等のために設けておくことが好ましい。
スペーサ18は、樹脂製や無機酸化物製又はそれらのハイブリッド材料からなる球体であり、該球体の表面に熱可塑性の樹脂がコーティングしてある固着スペーサも好適に用いることができる。
柱状樹脂構造物20は、円柱、四角柱状、楕円柱状等を格子配列したもので、エポキシ、アクリル、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエチレン、ポリイミド等一般的な樹脂材料を用いることができる。なお、柱状樹脂構造物20とスペーサ18は選択的に用いてよい。
液晶21としては、室温でコレステリック液晶相を示すものが好ましく、特に、ネマチック液晶成分にコレステリック液晶相を示すのに十分なカイラル材を添加することにより得られるカイラルネマチック液晶組成物が好適である。
カイラル材は、ネマチック液晶に添加された場合にネマチック液晶の分子を捩る作用を有する添加剤である。カイラル材をネマチック液晶成分に添加することにより、所定の捩れ間隔を有する液晶分子の螺旋構造が生じ、これによりコレステリック液晶相を示すようになる。カイラル材の添加量や種類、ネマチック液晶成分の種類などを変えることにより、カイラルネマチック液晶組成物の分光反射特性を変化させることができる。例えば、選択反射のピーク波長を所望の位置に設定できる。
ネマチック液晶成分としては、ビフェニル系、フェニルシクロヘキシル系、ターフェニル系、トラン系、ピリミジン系、スチルベン系等の従来公知のネマチック液晶成分を用いることができる。カイラル材としては、コレステロール環などの光活性基を含む、エステル化合物、ピリミジン化合物、アゾキシ化合物、トラン化合物等の従来公知の各種のカイラル材を用いることができる。
本第1実施例で使用される液晶組成物は、屈折率異方性Δnが0.02<Δn<0.07、誘電率異方性Δεが5<Δε<25、等方相への転移点Tcが70℃<Tc<100℃、20℃における粘度η(cps)が30<η<100の条件を満たしていることが、以下に示す実験例から明らかなように好ましい。
特に、本発明者らは、液晶組成物の屈折率異方性Δnを0.02<Δn<0.07という比較的小さい値にして、本例のような液晶の選択反射特性を利用した表示装置に用いた場合、プレーナ配列時の反射率は低下するものの、フォーカルコニック配列時の反射率が非常に小さくなることで、黒色の表示品位とコントラストの良好な表示装置が得られることを見出している。
なお、屈折率異方性Δnが0.07以上であると、色純度が低下し、コントラストも低下する。誘電率異方性Δεが5以下であると駆動電圧が高くなってしまい、25以上であると画像欠陥、画像ノイズが発生しやすくなり、安定性や信頼性に欠けることになる。
また、粘度ηが100以上になると駆動電圧が高くなりすぎ、粘度ηを30cps以下にすると概して誘電率異方性Δεや等方相への転移点Tcも低下する結果、前記特性を全て満たすことが難しくなる。さらに、等方相への転移点Tcが低すぎると、周囲温度の上昇によって劣化が起こり、耐熱安定性が悪化し、表示性能が低下する。等方相への転移点Tcが高すぎると粘度ηも高くなりすぎて液晶組成物の応答性が低下する結果、駆動特性が低下する。
(第2実施例、図2参照)
図2に示す液晶表示装置は、前記第1実施例として示した液晶表示素子10(10B,10G,10R)を3層に積層し、フルカラーの液晶表示装置として構成したものである。図示しないが、各液晶表示素子10B,10G,10Rのそれぞれには各駆動回路が設けられている。
この液晶表示装置は、光吸収層17の上に、赤色の選択反射と透明状態の切換えにより表示を行う赤色表示素子10Rを配し、その上に緑色の選択反射と透明状態の切換えにより表示を行う緑色表示素子10Gを配し、その上に青色の選択反射と透明状態の切換えにより表示を行う青色表示素子10Bを配したものである。
第2実施例である3層の反射型液晶表示装置においては、青色表示素子10B及び緑色表示素子10Gを液晶がフォーカルコニック配列となった透明状態とし、赤色表示素子10Rを液晶がプレーナ配列となった選択反射状態とすることにより、赤色の表示を行うことができる。また、青色表示素子10Bを液晶がフォーカルコニック配列となった透明状態とし、緑色表示素子10G及び赤色表示素子10Rを液晶がプレーナ配列となった選択反射状態とすることにより、イエローの表示を行うことができる。同様に、各表示素子10B,10G,10Rの状態を透明状態と反射状態とを適宜選択することにより、赤色、緑色、青色、白色、シアン、マゼンタ、イエロー、黒色の表示が可能である。さらに、各表示素子10B,10G,10Rの状態として中間の選択反射状態を選択することにより、中間色の表示が可能であり、フルカラーの液晶表示装置として利用される。
なお、図2において、図1と同じ部材には同じ符号を付し、重複した説明は省略する。各部材の作用や材料は前記第1実施例と同様である。
(第3実施例、図3〜図6参照)
図6に示す液晶表示装置は、液晶の屈折率異方性に基づく特性を利用したタイプの表示装置であり、まず、図3〜図5に基づいてその基本的な構成と表示原理を説明する。なお、図3〜図6において図1と同じ部材には同じ符号を付し、重複した説明は省略する。
この液晶表示装置は、図3に示すように、観察面から、吸収軸42aを有する直線偏光板42と遅相軸43aを有する1/4λ位相差板43とからなる円偏光素子41と、液晶表示素子45と、反射板46とを積層したものである。
液晶表示素子45は、それぞれ対向面に電極を形成した一対の基板間にカイラルネマチック液晶を保持したものである。カイラルネマチック液晶は、フォーカルコニック配列時にΔnd=(1/4)λの条件を満たすように調製されている。Δndは一般的にリタデーション(位相差)と呼ばれている値(単位はnm)であり、Δnは液晶の屈折率異方性、dは基板間ギャップである。反射板46は液晶層を透過した光を反射するものであり、アルミニウムや銀などからなる。
円偏光素子41(直線偏光板42及び位相差板43)に入射した光はその50%が円偏光素子41に吸収され、残り50%の光が円偏光状態(右/左いずれか一方の円偏光状態)で透過する(図4及び図5の(1),(2)参照)。
このような円偏光がカイラルネマチック液晶に入射すると、ドメインがプレーナ配列の場合、円偏光は偏光状態が変化することなく液晶層を透過する(図4の(3),(4)参照)。透過した円偏光は反射板46で反射される。このとき、円偏光の光の進行方向が逆転するため、逆回りの円偏光となる(図4の(5)参照)。
反射された光はそのまま液晶層を透過し(図4の(6)参照)、円偏光素子41に再入射する。この再入射光は逆回りの円偏光となっているため、円偏光素子41に吸収され(図4の(7),(8)参照)、黒表示として観察される。
一方、ドメインがフォーカルコニック配列の場合、円偏光素子41を透過した円偏光は、複屈折効果によって1/4λのリタデーション(位相差)の影響を受けて直線偏光となって液晶層を透過する(図5の(3),(4)参照)。透過した直線偏光は反射板46で反射され、液晶層でさらに1/4λのリタデーションの影響を受けて元の円偏光となる(図5の(5),(6)参照)。この円偏光はそのまま円偏光素子41を透過し(図5の(7),(8)参照)、白表示として観察される。
なお、図4、図5において、(1)は素子に入射する前、(2)は直線偏光板透過後、(3)は位相差板透過後、(4)は液晶層透過後、(5)は反射板による反射後、(6)は液晶層再透過後、(7)は位相差板再透過後、(8)は直線偏光板再透過後、のそれぞれの光の状態を模式的に示している。
この液晶表示装置は、図6に示すように、観察面から、円偏光素子41(直線偏光板42及び位相差板43)と、液晶表示素子45とを積層したものである。
液晶表示素子45は、基板11,12の間にカイラルネマチック液晶21を保持したもので、表面側(観察面側)の基板11は透過率の高い透明材料からなり、裏面側の基板12は透明であっても不透明であってもよい。基板11,12としては、ガラス製の薄板やポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂フィルムが用いられ、それぞれの対向面に電極13,14及び配向膜16が設けられている。配向膜16に加えて絶縁性薄膜を設けてもよい。なお、液晶表示素子45においても配向膜16は必須のものではないが安定性向上等の観点から設けておくことが好ましい。
電極13はITOやIZOなどからなる透明電極である。電極14は透明又は不透明のいずれであってもよいが、少なくともその表面が金属材料からなり、反射板として機能するように形成されている。詳しくは、電極14が透明電極であれば、その表面にアルミニウムや銀をコーティングして反射板としての機能を付与する。また、電極14自体をアルミニウムや銀にて形成し、反射板を兼用させてもよい。
なお、観察側から遠い方の基板12を透明とし、基板12の後方に反射板を配置することも可能ではある。但し、この場合は、反射板と液晶層とを近づけるために基板12をできるだけ薄くする必要がある。
電極13,14はそれぞれ図示しない走査駆動IC及び信号駆動ICに接続されており、電極13,14にそれぞれ所定のパルス電圧が印加される。この印加電圧に応じてカイラルネマチック液晶21がプレーナ配列又はフォーカルコニック配列に変化し、表示状態が切り換えられる。また、この液晶はいずれの配列状態であっても電圧の印加を停止した後もその配列状態を維持し、双安定性(メモリ性)を有している。電極13,14の形状、配置は前記第1実施例で説明したとおりである。
液晶21としては、室温でコレステリック液晶相を示すものが好ましく、特に、ネマチック液晶成分にコレステリック液晶相を示すのに十分な量のカイラル材を添加することによって得られるカイラルネマチック液晶組成物が好適である。螺旋ピッチは長すぎると双安定性が確保できなくなるため、双安定性に優れた1000nm以下であることが好ましい。
なお、ネマチック液晶成分やカイラル材としては先の実施例で挙げたのと同様の種々の化合物やその混合物を使用することができる。
このような液晶組成物の特性は、前記第1実施例で説明したのと同様に、屈折率異方性Δnが0.02<Δn<0.07、誘電率異方性Δεが5<Δε<25、等方相への転移点Tcが70℃<Tc<100℃、20℃における粘度η(cps)が30<η<100の条件を満たしていることが、以下に示す実験例から明らかなように好ましい。
また、液晶層はフォーカルコニック配列時に発生する前記リタデーション(Δnd)が光の波長λの1/4になるように調整されていることが望ましい。円偏光素子が理想的な完全なものであると仮定した場合、液晶表示装置のフォーカルコニック配列における反射率Rは次式により計算できる。
R=(1/2){sin2(2πΔnd/λ)}
Δn:フォーカルコニック配列時の屈折率異方性
d:液晶層の厚み
良好な白黒表示を実現するには、前記式で反射率Rのピーク値が可視光領域(λ=400〜700nm)になるようなリタデーションが望ましい。即ち、Δndがλ=400〜700nmの1/4の値である100〜175nmであることが望ましい。特に良好な白表示(可視光域でフラットな分光反射特性)を得るためには、フォーカルコニック配列時にΔndが135±10nmであることが望ましい。
液晶表示素子45を設計する際に、カイラルネマチック液晶のΔndは135±10nmよりも若干大きくしておくほうがよい。フォーカルコニック配列時の螺旋軸が完全な0°(基板に対して平行)ではないからである。そのため、液晶表示素子45のΔndは、フォーカルコニック配列時の螺旋軸が0°でないために減少するリタデーション(位相差)を補うように、大きめに、例えばΔndを160±20nm、より好ましくは160±15nm、さらに好ましくは160±10nm程度に設定しておくのが好ましい。
例えば、液晶表示素子45のΔndを160±10nmに設定するには、液晶のΔnとその厚みdとを以下のように組み合わせればよい。
Δnd=160nm=0.0320(Δn)×5.0μm(d)
Δnd=160nm=0.0400(Δn)×4.0μm(d)
Δnd=160nm=0.0457(Δn)×3.5μm(d)
Δnd=160nm=0.0533(Δn)×3.0μm(d)
ところで、良好な黒表示を得るためには、プレーナ配列時の螺旋軸が基板に対して90°(リタデーションΔnd=0nm)であることが望ましい。しかし、実際上のプレーナ配列は完全な90°ではなく、若干の傾きを生じており、液晶層の厚みdによっても傾き具合が異なる。本発明者らの実験では、液晶層の厚みdが薄くなるに伴ってプレーナ配列時の螺旋軸の傾きは小さくなる(基板に対して90°に近くなる)傾向を確認している。即ち、液晶層の厚みdが小さくなるほど良好な黒表示が得られる。
但し、液晶層の厚みdが小さくなると素子45の製作が困難になる。従って、液晶層の厚みdは、表示特性及び製作の容易性から好ましくは3.0〜4.5μm、より好ましくは3.0〜4.0μm、さらに好ましくは3.0〜3.5μmである。このような観点から、本例のようにコレステリック液晶層の観察面側に円偏光素子を配置するタイプの表示装置においては、液晶組成物の屈折率異方性Δnが0.02<Δn<0.55の範囲にあることがさらに好ましい。
さらに、液晶21中には基板11,12間のギャップを保持するために無機材からなるスペーサ及び/又は有機材からなる柱状構造物(図示せず)が配置されている。但し、このような構造に限らず、従来知られている高分子の3次元網目構造のなかに液晶が分散された、あるいは、液晶中に高分子の3次元網目構造が形成された、いわゆる高分子分散型の液晶複合膜として液晶層を構成することも可能である。この点は前記第1及び第2実施例においても同様である。
円偏光素子41は、直線偏光板42と位相差板43とを組み合わせたものである。直線偏光板としては従来公知のものを、また、位相差板としても従来公知の1/4λ位相差板を用いることができる。円偏光素子41は、これら直線偏光板と位相差板をそれぞれの光学軸のなす角度が45°あるいは135°になるように貼り合わせることで作製できる。
但し、この構成では完全な円偏光素子にはならず、可視光におけるある特定波長の光についてのみ完全な円偏光素子となり、他の波長の可視光については楕円偏光素子となる。理想的な円偏光素子に近づけるには、複数の位相差板を積層することが必要となる。しかし、位相差板の枚数が多くなるとコストの点で不利であり、位相差板の積層数は多くても3枚程度にすることが好ましい。典型的には1枚の位相差板を用い、実用上十分な表示特性を得ると共にコストを最小化するとよい。
円偏光素子は、右円偏光素子(透過した光が右円偏光)と左円偏光素子(透過した光が左円偏光)とが存在し、本発明の好適な実施形態において良好な白黒表示を行う場合は、液晶層で選択反射されない方向の円偏光を透過させる円偏光素子であることが好ましい。
なお、プレーナ配列での選択反射をも利用して白及び他色による表示(例えば、白・青表示)を行う場合は、液晶層で選択反射される方向の円偏光を透過させる円偏光素子を用いればよい。
(実験例1)
図1に示した第1実施例である液晶表示素子を以下の材料を用いて製作した。
即ち、液晶成分MLC6256(メルク社製)72重量部に対してカイラル材CB15(メルク社製)を28重量部混合したカイラルネマチック液晶組成物を調製した。この液晶組成物は室温でコレステリック液晶相を示し、670nm付近にピーク波長を有する選択反射特性を示した。さらに、この液晶組成物の屈折率異方性Δnは0.059、誘電率異方性Δεは10、等方相への転移点Tcは83℃、20℃における粘度ηは60cpsであった。
観察面側の基板11としてPCフィルムを用い、該フィルム11上にITO電極13を形成すると共に、AL4552(JSR社製)を厚さ800オングストロームに形成して配向膜16とした。またラビング処理を施した。また、該配向膜16上にポリエステル樹脂材料をスクリーン印刷し、柱状樹脂構造物20を作製した。さらに、該その上に直径5μmのスペーサ18(積水ファインケミカル社製)を散布した。
裏面側の基板12としてPCフィルムを用い、該フィルム12上にITO電極14を形成すると共に、AL4552(JSR社製)を厚さ800オングストロームに形成して配向膜16とした。
続いて、前記基板11上の周辺部にXN21S(三井化学社製)をスクリーン印刷して所定高さのシール材24を形成し、所定量の前記カイラルネマチック液晶組成物を滴下した。その後、基板11,12を重ね合わせ、加熱硬化させた。さらに、基板12の裏面に黒色の光吸収層17を設けた。
以上の如く製作した液晶表示素子に対して、所定の電圧、即ち、着色時には40Vを5ms、消色(黒色)時には20Vを5ms印加して駆動した。その結果、消色(黒色)時のY値(視感感度)が0.9、着色時のY値が2.7で、コントラストは1:3であり、刺激純度は65%であった。即ち、色純度(刺激純度)及びコントラストが高く、黒色時のY値が非常に小さく、低電圧で駆動可能な液晶表示素子が得られた。なお、駆動電圧は、消色時Y値、着色時Y値が、それぞれの飽和値から5%程度の範囲内になるのに最低限必要な電圧値を測定することによって決定している。以下の実験例及び比較例でも同様である。
(実験例2)
図1に示した第1実施例である液晶表示素子を以下の材料を用いて製作した。
即ち、液晶成分MLC6256(メルク社製)50重量部に対してカイラル材CB15(メルク社製)を50重量部混合したカイラルネマチック液晶組成物を調製した。この液晶組成物は室温でコレステリック液晶相を示し、400nm付近にピーク波長を有する選択反射特性を示した。さらに、この液晶組成物の屈折率異方性Δnは0.046、誘電率異方性Δεは5、等方相への転移点Tcは72℃、20℃における粘度ηは45cpsであった。
前記液晶組成物以外は前記実験例1と同様の材料で同じ数値、同じ手順で液晶表示素子を製作した。
以上の如く製作した液晶表示素子に対して、所定の電圧、即ち、着色時には40Vを5ms、消色(黒色)時には20Vを5ms印加して駆動した。その結果、消色(黒色)時のY値(視感感度)が0.6、着色時のY値が1.2で、コントラストは1:2であり、刺激純度は68%であった。即ち、色純度(刺激純度)及びコントラストが高く、黒色時のY値が非常に小さく、低電圧で駆動可能な液晶表示素子が得られた。
(実験例3)
図1に示した第1実施例である液晶表示素子を以下の材料を用いて製作した。
即ち、液晶成分MLC6068−000(メルク社製)89.5重量部に対してカイラル材CB15(メルク社製)を6重量部及びカイラル材R1011(メルク社製)を4.5重量部混合したカイラルネマチック液晶組成物を調製した。この液晶組成物は室温でコレステリック液晶相を示し、800nm付近にピーク波長を有する選択反射特性を示した。さらに、この液晶組成物の屈折率異方性Δnは0.068、誘電率異方性Δεは25、等方相への転移点Tcは92℃、20℃における粘度ηは93cpsであった。
前記液晶組成物以外は前記実験例1と同様の材料で同じ数値、同じ手順で液晶表示素子を製作した。
以上の如く製作した液晶表示素子に対して、所定の電圧、即ち、着色時には45Vを5ms、消色(黒色)時には25Vを5ms印加して駆動した。その結果、消色(黒色)時のY値(視感感度)が0.95、着色時のY値が2.8で、コントラストは1:2.9であり、刺激純度は60%であった。即ち、色純度(刺激純度)及びコントラストが高く、黒色時のY値が非常に小さく、低電圧で駆動可能な液晶表示素子が得られた。
(実験例4)
図1に示した第1実施例である液晶表示素子を以下の材料を用いて製作した。
即ち、液晶成分MLC6068−000(メルク社製)79重量部に対してカイラル材CB15(メルク社製)を15重量部及びカイラル材R1011(メルク社製)を6重量部混合したカイラルネマチック液晶組成物を調製した。この液晶組成物は室温でコレステリック液晶相を示し、430nm付近にピーク波長を有する選択反射特性を示した。さらに、この液晶組成物の屈折率異方性Δnは0.059、誘電率異方性Δεは15、等方相への転移点Tcは83℃、20℃における粘度ηは80cpsであった。
前記液晶組成物以外は前記実験例1と同様の材料で同じ数値、同じ手順で液晶表示素子を製作した。
以上の如く製作した液晶表示素子に対して、所定の電圧、即ち、着色時には45Vを5ms、消色(黒色)時には25Vを5ms印加して駆動した。その結果、消色(黒色)時のY値(視感感度)が0.65、着色時のY値が1.3で、コントラストは1:2であり、刺激純度は63%であった。即ち、色純度(刺激純度)及びコントラストが高く、黒色時のY値が非常に小さく、低電圧で駆動可能な液晶表示素子が得られた。
(実験例5)
図6に示した第3実施例である液晶表示素子を以下の材料を用いて製作した。
即ち、液晶成分MLC6068−000(メルク社製)79重量部に対してカイラル材CB15(メルク社製)を15重量部及びカイラル材R1011(メルク社製)を6重量部混合したカイラルネマチック液晶組成物を調製した。この液晶組成物は室温でコレステリック液晶相を示し、430nm付近にピーク波長を有する選択反射特性を示した。さらに、この液晶組成物の屈折率異方性Δnは0.059、誘電率異方性Δεは15、等方相への転移点Tcは83℃、20℃における粘度ηは80cpsであった。
前記液晶組成物以外は前記実験例1と同様の材料で同じ数値、同じ手順で液晶表示素子を製作した。なお、液晶層の厚みを3μmとするために、スペーサ18は直径3μmのものを用いた。
また、円偏光素子41(直線偏光板42及び位相差板43)には、直線偏光板42としてEG1425DU(日東電工社製)と位相差板43としてR−140(日東電工社製PC1軸延伸フィルム)を用いた。これらを透過する光が左円偏光(コレステリック液晶が選択反射しない偏光)になるように、直線偏光板の吸収軸と位相差板の遅相軸とのなす角度が45°になるように配置した。
以上の如く製作した液晶表示素子に対して、所定の電圧、即ち、白色表示時には30Vを5ms、黒色表示時には20Vを5ms印加して駆動した。その結果、黒色表示時のY値(視感感度)が7、白色表示時のY値が25で、コントラストは1:3.6であった。即ち、コントラストが高く、低電圧で駆動可能な液晶表示素子が得られた。
(実験例6)
図6に示した第3実施例である液晶表示素子を以下の材料を用いて製作した。
即ち、液晶成分MLC6256(メルク社製)50重量部に対してカイラル材CB15(メルク社製)を50重量部混合したカイラルネマチック液晶組成物を調製した。この液晶組成物は室温でコレステリック液晶相を示し、400nm付近にピーク波長を有する選択反射特性を示した。さらに、この液晶組成物の屈折率異方性Δnは0.1241、誘電率異方性Δεは5.5、等方相への転移点Tcは72℃、20℃における粘度ηは45cpsであった。
前記液晶組成物以外は前記実験例5と同様の材料で同じ数値、同じ手順で液晶表示素子を製作した。なお、液晶層の厚みを3.5μmとするために、スペーサ18は直径3.5μmのものを用いた。円偏光素子41も実験例5と同様のものを用い、同様に配置した。
以上の如く製作した液晶表示素子に対して、所定の電圧、即ち、白色表示時には30Vを5ms、黒色表示時には20Vを5ms印加して駆動した。その結果、黒色表示時のY値(視感感度)が5、白色表示時のY値が25で、コントラストは1:5であった。即ち、コントラストが高く、低電圧で駆動可能な液晶表示素子が得られた。
(比較例1)
図1に示した第1実施例である液晶表示素子を以下の材料を用いて製作した。
即ち、液晶成分ZLI1565(メルク社製)84.7重量部に対してカイラル材CB15(メルク社製)を11.2重量部及びカイラル材R1011(メルク社製)を4.1重量部混合したカイラルネマチック液晶組成物を調製した。この液晶組成物は室温でコレステリック液晶相を示し、700nm付近にピーク波長を有する選択反射特性を示した。さらに、この液晶組成物の屈折率異方性Δnは0.125、誘電率異方性Δεは7、等方相への転移点Tcは65℃、20℃における粘度ηは63cpsであった。
前記液晶組成物以外は前記実験例1と同様の材料で同じ数値、同じ手順で液晶表示素子を製作した。
以上の如く製作した液晶表示素子に対して、所定の電圧、即ち、着色時には45Vを5ms、消色(黒色)時には25Vを5ms印加して駆動した。その結果、消色(黒色)時のY値(視感感度)が4.1、着色時のY値が7.1で、コントラストは1:1.7であり、刺激純度は46.8%であった。即ち、色純度(刺激純度)及びコントラストが前記実験例1〜5よりも低くなった。その理由は、液晶組成物の屈折率異方性Δnが0.125と比較的高かったことによる。
(比較例2)
図1に示した第1実施例である液晶表示素子を以下の材料を用いて製作した。
即ち、液晶成分ZLI1565(メルク社製)78重量部に対してカイラル材CB15(メルク社製)を16.1重量部及びカイラル材R1011(メルク社製)を5.9重量部混合したカイラルネマチック液晶組成物を調製した。この液晶組成物は室温でコレステリック液晶相を示し、490nm付近にピーク波長を有する選択反射特性を示した。さらに、この液晶組成物の屈折率異方性Δnは0.1241、誘電率異方性Δεは5.5、等方相への転移点Tcは60℃、20℃における粘度ηは68cpsであった。
前記液晶組成物以外は前記実験例1と同様の材料で同じ数値、同じ手順で液晶表示素子を製作した。
以上の如く製作した液晶表示素子に対して、所定の電圧、即ち、着色時には45Vを5ms、消色(黒色)時には25Vを5ms印加して駆動した。その結果、消色(黒色)時のY値(視感感度)が4.4、着色時のY値が9.0で、コントラストは1:2であり、刺激純度は48.8%であった。即ち、色純度(刺激純度)及びコントラストが前記実験例1〜5よりも低くなった。その理由は、液晶組成物の屈折率異方性Δnが0.1241と比較的高かったことによる。
(比較例3)
図6に示した第3実施例である液晶表示素子を以下の材料を用いて製作した。
即ち、液晶成分ZLI1565(メルク社製)78重量部に対してカイラル材CB15(メルク社製)を16.1重量部及びカイラル材R1011(メルク社製)を5.9重量部混合したカイラルネマチック液晶組成物を調製した。この液晶組成物は室温でコレステリック液晶相を示し、490nm付近にピーク波長を有する選択反射特性を示した。さらに、この液晶組成物の屈折率異方性Δnは0.1241、誘電率異方性Δεは5.5、等方相への転移点Tcは60℃、20℃における粘度ηは68cpsであった。
前記液晶組成物以外は前記実験例5と同様の材料で同じ数値、同じ手順で液晶表示素子を製作した。ちなみに、円偏光素子41も同じ材料を用いた。なお、液晶層の厚みは3.5μmであり、スペーサ18は直径3.5μmのものを用いた。
以上の如く製作した液晶表示素子に対して、所定の電圧、即ち、白色表示時には30Vを5ms、黒色表示時には15Vを5ms印加して駆動した。その結果、黒色表示時のY値(視感感度)が9、白色表示時のY値が22で、コントラストは1:2.4であった。即ち、駆動電圧は実験例5と同等であったが、黒色表示時のY値が大きく、コントラストが低下したことによって黒の表示品位の悪い非常に見づらい画像となった。
以下の表1に前記実験例1〜6及び比較例1〜3における結果をまとめて示すと共に目視評価を併せて示す。目視評価において、○は良好、△は○より劣るが実使用可能、×は表示品位が悪く、実使用不可であることを示す。
Figure 2005206647
(他の実施例)
なお、本発明に係る液晶組成物及び液晶表示装置は前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更できる。
特に、液晶表示素子の構成は任意であり、散乱層を積層したり、基板や反射電極に散乱機能を付与してもよい。また、コレステリック液晶成分やカイラル材は前記実験例以外にも種々の材料や組合せを採用することができる。
本発明に係る液晶表示装置の第1実施例を示す断面図である。 本発明に係る液晶表示装置の第2実施例を示す断面図である。 本発明に係る液晶表示装置の第3実施例の基本的構成を示す斜視図である。 前記第3実施例の表示原理(プレーナ配列)を示す説明図である。 前記第3実施例の表示原理(フォーカルコニック配列)を示す説明図である。 前記第3実施例を示す断面図である。
符号の説明
10,10B,10G,10R,45…液晶表示素子
11,12…基板
13,14…電極
41…円偏光素子
42…直線偏光板
43…位相差板

Claims (7)

  1. 液晶成分とカイラル材とを含みコレステリック液晶相を示す液晶組成物であって、屈折率異方性Δn、誘電率異方性Δε、等方相への転移点Tc、20℃における粘度η(cps)が以下の条件を満たしていること、
    0.02<Δn<0.07
    5<Δε<25
    70℃<Tc<100℃
    30<η<100
    を特徴とする液晶組成物。
  2. 選択反射波長のピーク値が400〜1200nmの間に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶組成物。
  3. 屈折率異方性Δnが0.02<Δn<0.055の条件を満たしていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液晶組成物。
  4. 誘電率異方性Δεが5<Δε<20の条件を満たしていることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の液晶組成物。
  5. 少なくとも一方が透明な一対の基板間に、液晶成分とカイラル材とを含みコレステリック液晶相を示す液晶組成物が挟持されており、該液晶組成物の物性値である屈折率異方性Δn、誘電率異方性Δε、等方相への転移点Tc、20℃における粘度η(cps)が以下の条件を満たしていること、
    0.02<Δn<0.07
    5<Δε<25
    70℃<Tc<100℃
    30<η<100
    を特徴とする液晶表示装置。
  6. 前記液晶組成物の選択反射波長のピーク値が400〜1200nmの間に設定されていることを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置。
  7. 観察面側に偏光素子を備えたことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の液晶表示装置。
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