JP2005206636A - ポリカーボネート樹脂組成物及びその製造方法、並びにポリカーボネート樹脂成形体 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物及びその製造方法、並びにポリカーボネート樹脂成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】 ポリカーボネート樹脂の透明性を大きく損なうことなく、その機械的強度を高めるとともに、成形収縮率を低く抑える。
【解決手段】 ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、下記(a)〜(e)を満たすシリカを0.1重量部以上、100重量部以下含有させる。
(a)細孔容積が1.6m1/gより大きく、10m1/g以下
(b)金属不純物の含有率が1000ppm以下
(c)一次粒子が3次元的に連鎖して二次粒子を形成
(d)一次粒子径が0.5nm以上、50nm以下
(e)二次粒子径が1nm以上、500nm以下
【選択図】 なし

Description

本発明は、シリカを含有するポリカーボネート(以下「PC」と略す場合がある。)樹脂組成物及びその製造方法、並びにポリカーボネート樹脂成形体に関する。詳しくは、ポリカーボネート樹脂の透明性を大きく損なうことなく、その成形収縮率を小さく抑えることが可能な、シリカ含有ポリカーボネート樹脂組成物及びその製造方法、並びにそのポリカーボネート樹脂組成物をシート状に成形してなるポリカーボネート樹脂成形体に関する。
ポリカーボネート樹脂は代表的な透明プラスチックであり、透明性に加えて熱可塑性、軽量性(低比重性)、耐衝撃性、高屈折率性、低吸水性等に優れていることから、各種の成形体として電気・電子・OA機器分野、精密機器分野、自動車分野、医療分野、食品包装、日用雑貨等の分野にいたるまで幅広く使用されている。
近年、ポリカーボネート樹脂の機械的強度を高めるために、各種の試みがなされているが、そうした試みの一つとして、ポリカーボネート樹脂にシリカ(酸化珪素)等の無機質粒子を加えた樹脂組成物が検討されている。
例えば、特許文献1には、非晶質で且つ孔径が均一な細孔を有するシリカ等の無機質粒子からなり、平均粒子径DLが10〜400nmであり、DLから求めた換算比表面積SLとBET法による粒子の窒素吸着比表面積SBとの差SB−SLが250m2/g以上である多孔性物質をバインダ樹脂に加えて層状に成形することが開示されている。
特許文献2には、シラノール基の疎水化率(A)とアルキル基の総炭素数(B)との積(A×B)が0.45〜8となるようにシリカ微粒子をアルキル化処理し、得られた改質化シリカ微粒子をポリカーボネート樹脂に分散した樹脂組成物が開示されている。
特許文献3には、疎水化処理した無機微粒子連結体をポリカーボネート等の樹脂中に均一に分散した複合樹脂組成物であって、その連結体を構成する無機微粒子として、高いアスペクト比を示す(長さ/太さが2.5〜350である)シリカ等を用いることを特徴とする樹脂組成物が開示されている。
特開2003−253154号公報 特開2003−201114号公報 特開2003−201405号公報
しかしながら、特許文献1記載の技術では、得られるポリカーボネート樹脂組成物の成形収縮率が高くなってしまうという課題があった。また、特許文献2,3記載の技術では、得られるポリカーボネート樹脂組成物の成形収縮率は低く抑えられるものの、透明性が損なわれてしまうという課題があった。以上の背景から、ポリカーボネート樹脂の透明性を大きく損なうことなく、その成形収縮率を低く抑えることが望まれていた。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものである。即ち、本発明の目的は、ポリカーボネート樹脂の透明性を大きく損なうことなく、その成形収縮率を低く抑えることが可能なポリカーボネート樹脂組成物及びその製造方法を提供するとともに、このポリカーボネート樹脂組成物を成形してなるポリカーボネート樹脂成形体を提供することにある。
そこで、本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の物性を有するシリカを用いるとともに、これをポリカーボネート樹脂に対し特定の割合で含有させることによって、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の要旨は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、下記(a)〜(e)を満たすシリカを0.1重量部以上、100重量部以下含有することを特徴とする、ポリカーボネート樹脂組成物に存する。
(a)細孔容積が、1.6m1/gより大きく、10m1/g以下、
(b)金属不純物の含有率が1000ppm以下、
(c)一次粒子が3次元的に連鎖して二次粒子を形成、
(d)一次粒子径が0.5nm以上、50nm以下、
(e)二次粒子径が1nm以上、500nm以下。
また、本発明の別の要旨は、シリカを含有するポリカーボネート樹脂組成物を製造する方法であって、下記(a)〜(c)を満たすシリカの存在下、少なくともジオール化合物及びカーボネート化合物を原料として重縮合させることを特徴とする、ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法に存する。
(a)細孔容積が、1.6ml/gより大きく、10ml/g以下、
(b)金属不鈍物含有量が1000ppm以下、
(c)最頻細孔直径(Dmax)が5nm以上、50nm以下。
また、本発明の別の要旨は、上記のポリカーボネート樹脂組成物を、厚さ0.1mm以上、100mm以下の形状に成形してなることを特徴とする、ポリカーボネート樹脂成形体に存する。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物及びポリカーボネート樹脂成形体によれば、ポリカーボネート樹脂の透明性を維持しながら、その成形収縮率を低く抑えることが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[1.ポリカーボネート樹脂組成物]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物(以下適宜「本発明の樹脂組成物」等と略す。)は、特定の物性を有するシリカを、ポリカーボネート樹脂に対し特定の割合で含有することを特徴とする。
〔シリカ〕
シリカとは、SiO2・nH2Oの示性式で表される含水ケイ酸をいう。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に用いられるシリカは、内部空隙を有する多孔質のシリカであり、具体的には以下の物性を備える。
<細孔容積>
本発明に用いるシリカは、その細孔容積が通常よりも大きいことを要する。これによって、シリカの細孔内に多量のポリカーボネート樹脂が侵入するので、シリカ粒子の屈折率をポリカーボネート樹脂の屈折率に可及的に近付けることができ、得られる樹脂組成物の透明性を向上させることが可能となる。具体的には、細孔容積の値が通常1.6m1/gより大きく、好ましくは1.8m1/g以上、より好ましくは2ml/g以上、また、通常10m1/g以下、好ましくは8m1/g以下、より好ましくは6ml/g以下であることを要する。シリカの細孔容積がこの範囲を超えると、シリカの機械的強度が不十分となり、樹脂組成物の機械的強度が低下するとともに、成形収縮率が高くなってしまうおそれがある。一方、細孔容積がこの範囲に満たないと、樹脂組成物の透明性が低下してしまうおそれがある。なお、シリカの細孔容積は、窒素ガス吸脱着によるBET法を用いて測定することができる。
<金属不純物の含有率>
本発明に用いるシリカは、その物性に影響を与えることが知られている金属不純物の含有率が低く、高純度であることを要する。金属不純物の含有量が少ないシリカは、後述のポリカーボネート樹脂の製造時における重合反応を阻害することがないので、透明度が高く着色の少ないポリカーボネート樹脂組成物を得ることができる。また、得られたポリカーボネート樹脂組成物は耐光性にも優れ、黄変等の経時劣化が少ない。具体的には、アルカリ金属,アルカリ土類金属,周期表の3A族,4A族及び5A族並びに遷移金属からなる群に属する金属元素(金属不純物)の総含有率が、通常1000ppm以下、好ましくは500ppm以下、更に好ましくは200ppm以下、特に好ましくは100ppm以下であることを要する。金属不純物の総含有率がこの範囲を超えると、シリカの機械的強度を低下させてしまうおそれがある上に、得られるポリカーボネート樹脂の透明性の低下や意図しない着色を招いてしまうおそれがある。特に、シリカの物性に与える影響がとりわけ大きいアルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群に属する元素の総含有率が、通常500ppm以下、中でも100ppm以下、更には50ppm以下、特に10ppm以下であることが好ましい。なお、シリカの金属不純物の含有率は、ICP発光分析やフレーム炎光法等の手法で測定することができる。
<粒子の構造>
本発明に用いるシリカは、一次粒子が3次元的に連鎖して二次粒子を形成した構造、いわゆる微粒子凝集体の構造を有することを要する。シリカがこのような構造を有することによって、ポリカーボネート樹脂の熱膨張を防ぎ、成形収縮率を低く抑えることが可能となる。また、ポリカーボネート樹脂がシリカの一次粒子間の隙間に浸入してこれを充填した状態となるので、シリカ二次粒子の屈折率をポリカーボネート樹脂の屈折率に近付けることができ、透明性が高くて着色の少ないポリカーボネート樹脂組成物を得ることができる。なお、シリカ微粒子凝集体の構造(一次粒子が3次元的に連鎖して二次粒子を形成している構造)は、走査電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)による観察で確認することができる。
本発明に用いるシリカの一次粒子径は、内部空隙を含む数平均粒径の値で、通常0.5nm以上、好ましくは1nm以上、より好ましくは1.5nm以上、また、通常50nm以下、好ましくは40nm以下、より好ましくは30nm以下であることを要する。シリカの一次粒子径がこの範囲の上限値を超えると、光の散乱が多くなってしまい、樹脂組成物の透明性が悪化するおそれがある一方で、一次粒子径がこの範囲の下限値に満たないと、成形収縮率の低減効果が不十分になる。なお、シリカの一次粒子径は、SEMやTEMによる観察で測定することができる。
本発明に用いるシリカの二次粒子径は特に制限されない。但し、ポリカーボネート樹脂中のシリカ二次粒子径としては、通常1nm以上、好ましくは2nm以上、より好ましくは3nm以上、更に好ましくは5nm以上、また、通常500nm以下、好ましくは300nm以下、より好ましくは200nm以下、更に好ましくは100nm以下であることを要する。シリカの二次粒子径がこの範囲の上限値を超えると、光の散乱が著しく多くなってしまい、樹脂組成物の透明性が著しく悪化するおそれがある一方で、二次粒子径がこの範囲の下限値に満たないと、成形収縮率の低減効果が不十分になる。なお、ポリカーボネート樹脂中のシリカの二次粒子径は、SEMやTEMによる観察で測定することができる。
<比表面積>
以上の物性に加えて、本発明に用いるシリカは、その比表面積が、通常100m2/g以上、中でも150m2/g以上、更には200m2/g以上、また、通常1000m2/g以下、中でも900m2/g以下、更には800m2/g以下であることが好ましい。シリカの比表面積がこの範囲を超えると、シリカの機械的強度が不十分となり、樹脂組成物の機械的強度が低下してしまう、又は成形収縮率が高くなってしまうおそれがある。一方、比表面積がこの範囲に満たないと、樹脂組成物の透明性が低下してしまうおそれがある。なお、シリカの比表面積は、窒素ガス吸脱着によるBET法を用いて測定することができる。
<最頻細孔径(Dmax)>
また、本発明に用いるシリカは、その最頻細孔径(Dmax)が、通常5nm以上、中でも7nm以上、更には10nm以上、また、通常50nm以下、中でも40nm以下、更には30nm以下であることが好ましい。シリカの最頻細孔径(Dmax)がこの範囲を超えると、シリカの機械的強度が不十分となり、樹脂組成物の機械的強度が低下してしまう、又は成形収縮率が高くなってしまうとともに、透明性が損なわれるおそれがある。一方、最頻細孔径(Dmax)がこの範囲に満たないと、樹脂組成物の透明性が低下してしまうおそれがある。なお、シリカの最頻細孔径(Dmax)は、窒素ガス吸脱着によるBET法で測定した等温脱着曲線から、E. P. Barrett, L. G. Joyner, P. H. Haklenda, J. Amer. Chem. Soc., vol. 73, 373 (1951) に記載のBJH法により算出される細孔分布曲線をプロットして求められる。ここで、細孔分布曲線とは、微分細孔容積、すなわち、細孔径d(nm)に対する微分窒素ガス吸着量(ΔV/Δ(logd))を言う。上記のVは窒素ガス吸着容積を表す。
また、本発明に用いるシリカは、シリカの全細孔容積に対する、上述の最頻細孔径(Dmax)±20%の範囲内の径を有する細孔容積の比率が、通常30%以上、中でも40%以上、更には50%以上であることが好ましい。該細孔容積比率がこの範囲に満たないと、透明性が損なわれたり、充分な成形収縮率の改良効果が得られなくなったりするおそれがある。
<その他の物性>
更に、本発明に用いるシリカを微粒子凝集体の形状とする場合、その圧壊強度を適切な範囲に調整することが好ましい。ここで、圧壊強度とは、微粒子凝集体の強度を示す一つの尺度である。圧壊強度がこの範囲に満たないと、成形体の強度が低下したり、熱膨張が大きくなったりするおそれがある。一方、圧壊強度がこの範囲を超えると、透明性が損なわれるおそれがある。
〔ポリカーボネート樹脂〕
本発明の樹脂組成物に用いられるポリカーボネート樹脂の種類は特に制限されず、各種のポリカーボネート樹脂が使用できる。ここで「ポリカーボネート樹脂」とは、1種又は2種以上のジオール化合物と炭酸エステル類(カーボネート化合物)とを必須原料として重合させて得られる重合体をいう。ジオール化合物は脂肪族でも芳香族でもよいが、得られるポリカーボネート樹脂の耐熱性、高屈折率性、低吸水性の観点からは、芳香族ジオール化合物を用いたポリカーボネート樹脂、即ち芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
本発明において「芳香族ポリカーボネート樹脂」とは、3価以上の多価フェノール類を共重合成分として含有しても良い、1種以上の芳香族ジオール化合物(ビスフェノール類とも記載する場合がある)と、ビスアルキルカーボネート、ビスアリールカーボネート、ホスゲン等の炭酸エステル類との反応により製造される重合体である。本発明に使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、例えば(a)ビスフェノール類のアルカリ金属塩とホスゲン等の求核攻撃に活性な炭酸エステル誘導体とを原料とし生成ポリマーを溶解する有機溶剤とアルカリ水との界面にて重縮合反応させる界面重合法、(b)ビスフェノール類とホスゲン等の求核攻撃に活性な炭酸エステル誘導体とを原料としピリジン等の有機塩基中で重縮合反応させるピリジン法、(c)ビスフェノール類とビスアルキルカーボネートやビスアリールカーボネート等の炭酸エステルとを原料とし溶融重縮合させる溶融重合法等の、従来から知られている何れの方法によって製造されたものでもよい。また、後述する熱可塑性樹脂を得るために、後述する酸化珪素類及び/又はその原料を、これら公知の芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法の任意の段階で添加してもよい。
芳香族ポリカーボネート樹脂は、単独でも複数種の併用であってもよい。好ましく用いられる芳香族ジオール化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称はビスフェノールA)、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(通称はビスフェノールZ、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキジフェニル)パーフルオロプロパン等が例示され、これらのうち特に好ましいのは2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンであり、最も好ましいのは2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンである。
〔シリカとポリカーボネート樹脂との関係〕
本発明の樹脂組成物に含まれるシリカの割合は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、通常0.1重量部以上、好ましくは1重量部以上、より好ましくは5重量部以上、また、通常100重量部以下、好ましくは80重量部以下、より好ましくは60重量部以下の範囲であることを要する。シリカの重量比がこの範囲を超えると、樹脂組成物の機械的強度や透明性が極端に悪化する場合がある。一方、この範囲に満たないと、成形収縮率の低下効果が不十分になる。
また、シリカの割合を樹脂組成物に対する体積比の値で規定すると、通常0.1体積%以上、中でも1体積%以上、更には5体積%以上、特に7体積%以上、また、通常50体積%以下、中でも40体積%以下、更には30体積%以下、特に25体積%以下の範囲が好ましい。ここでいう「体積%」とは、シリカの内部空隙(シリカの細孔や一次粒子間の隙間等)をも含む空間に基づく数値であり、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により決定することができる。シリカの体積比がこの範囲を超えると、樹脂組成物の機械的強度や透明性が極端に悪化する場合がある。一方、この範囲に満たないと、成形収縮率の低下効果が不十分になる。
更に、本発明の樹脂組成物は、シリカの細孔の大部分がポリカーボネート樹脂によって充填されていることが好ましい。これによって、シリカ粒子の屈折率をポリカーボネート樹脂の屈折率に可及的に近付けることができ、樹脂組成物の透明性を向上させることができる。具体的には、シリカの全細孔容積のうち、通常70%以上、中でも60%以上、更には50%以上の細孔が、ポリカーボネート樹脂等の比較的屈折率の高い高分子で充填されていることが好ましい。
以上の特徴により、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂本来の透明性を維持しながらも、成形収縮率が低いだけでなく、熱膨張率が小さい、無機物や金属表面との密着性や接着強度が高い、吸水率が低く吸水時の寸法安定性が向上する、耐薬品性が向上する、といった効果も有する。これら諸効果は、シリカ粒子がポリカーボネート樹脂組成物中で一定の体積分率を占めることにより発現すると考えられる。成形収縮率が低減される機構は定かではないが、(i)本発明で用いている多孔質シリカが内部空隙を含むにもかかわらず、実質的に緻密なシリカと同等の小さい成形収縮率を発現することによる効果(これは樹脂組成物中の体積分率で効く)、並びに、(ii)その表面がポリカーボネート樹脂分子を化学結合(共有結合、水素結合、イオン結合など)や引力相互作用(π電子相互作用、疎水相互作用など)で束縛し、分子運動性や自由体積を減少させる効果、の2つが推測される。なお、樹脂組成物の成形収縮率は、射出成形や押出成形に用いる金型寸法と、成形品の寸法との関係から測定することができる。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、比重が小さく軽量であるという効果も有する。上に説明した成形収縮率の低下機構の推測から分かるように、内部空隙を持たない緻密なシリカを用いた場合でも同様の線膨張係数の低下効果が期待されるが、その比重は空隙にポリカーボネート樹脂が侵入した多孔質シリカよりも大きくなってしまう。従って、成形収縮率の低下と比重の増加が比較的小さいという両方の効果をともに得られる点に、本発明の樹脂組成物の際立った特徴がある。
[2.ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法]
以上の特徴を有する本発明のポリカーボネート樹脂組成物を製造する方法は特に制限されない。具体例としては、(i)物性を制御した多孔質シリカ(原料シリカ)をポリカーボネート樹脂の原料モノマー(ジオール化合物及びカーボネート化合物)と混合し、該多孔質シリカの空隙に該モノマーを含浸させ、次いでポリカーボネート樹脂の重合反応を進行させる方法や、(ii)原料シリカとポリカーボネート樹脂とを溶融混練し、原料シリカの空隙にポリカーボネート樹脂を侵入させる方法などが挙げられる。中でも(i)の方法が好ましい。以下、(i)の方法について説明する。
〔原料シリカ〕
原料シリカとしては、上述のシリカの各種物性のうち、少なくとも細孔容積、金属不鈍物含有量、最頻細孔直径(Dmax)の規定を満たすシリカを用いる。即ち、細孔容積が1.6ml/gより大きく、10ml/g以下であり、金属不鈍物含有量が1000ppm以下であり、且つ、最頻細孔直径(Dmax)が5nm以上、50nm以下であるシリカを用いる。更に、他の物性についても満たしていることが好ましい。
具体的に、原料シリカは、一次粒子が3次元的に連鎖して二次粒子を形成する構造を有することが好ましい。また、その一次粒子径は、目的とするポリカーボネート樹脂組成物中のシリカの一次粒子径と同様の範囲であることが好ましい。即ち、内部空隙を含む数平均粒径の値で、通常0.5nm以上、中でも1nm以上、更には1.5nm以上、また、通常50nm以下、中でも40nm以下、更には30nm以下であることが好ましい。
一方、原料シリカの二次粒子径は、目的とするポリカーボネート樹脂組成物中のシリカの二次粒子径と同様の範囲である必要はなく、より大きな二次粒子径のシリカを用いることが可能である。大きな二次粒子径のシリカを原料として用いた場合でも、後述するポリカーボネート樹脂組成物の製造過程(重合、成形等の過程)においてシリカ二次粒子が縮小し、最終的に目的とする二次粒子径のシリカを含む樹脂組成物が得られる。具体的に、原料シリカの二次粒子径は、通常10nm以上、中でも20nm以上、更には30nm以上、また、通常2mm以下、中でも1mm以下、更には0.5nm以下の範囲であることが比較的好ましい。原料シリカの二次粒子径がこの範囲を超えると、押し出し機などで混練するのに不向きとなる場合がある。一方、原料シリカの二次粒子径がこの範囲に満たない場合、特に二次粒子の形状をなしていない場合には、樹脂組成物の熱膨張低減効果が低くなったり、分散不良を起こして樹脂組成物の透明性が低下したりする場合がある。
なお、このような物性を満たすシリカを製造する方法は特に制限されないが、よく用いられる製造方法の例としては、次の方法が挙げられる。
i.水ガラスを硫酸等の酸により中和してからゲル化する方法。
ii.アルコキシシランを加水分解してからゲル化する方法。
iii.アルコキシシラン又は水ガラスを原料とし、界面活性剤を有機テンプレートとして細孔形成を行なう方法(いわゆる、ミセルテンプレートシリカ)。
中でも、本発明に用いる原料シリカを製造する方法として好ましいのは、シリカヒドロゲルを水熱処理し、得られたスラリーの液体成分中の水分含有率を5重量%以下とした後、乾燥することによって製造する方法である。
具体的には、シリコンアルコキシドを加水分解して得られたシリカヒドロゲルを、好ましくは実質的に熟成することなしに水熱処理し、シリカ中の水分を除去する。なお、水熱処理後、親水性有機溶媒と接触させる工程を含んでいても良い。
シリカヒドロゲルの製造方法は任意であり、例えば珪酸アルカリ塩を加水分解して得られるシリカヒドロゲル、またはシリコンアルコキシドを加水分解して得られるシリカヒドロゲルが挙げられる。中でも、シリコンアルコキシドを加水分解して得られるシリカヒドロゲルは、その原料であるシリコンアルコキシドの高純度化が可能であり、シリカヒドロゲルへの不純物の混入を容易に防止できるので好ましい。
本発明に用いるシリカの原料として使用されるシリコンアルコキシドとしては、トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、トリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等の炭素数1〜4の低級アルキル基を有するトリ又はテトラアルコキシシラン或いはそれらのオリゴマーが挙げられる。中でも、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン及びそれらのオリゴマー、特にテトラメトキシシランやそのオリゴマーを用いると、良好な細孔特性を有するシリカが得られるので好ましい。その主な理由としては、シリコンアルコキシドは蒸留により容易に精製し、高純度品が得られるので、高純度のシリカの原料として好適であることが挙げられる。シリコンアルコキシド中のアルカリ金属又はアルカリ土類金属に属する金属元素(金属不純物)の総含有量は、通常100ppm以下、中でも50ppm以下、更には10ppm以下、特に1ppm以下が好ましい。これらの金属不純物の含有率は、一般的なシリカ中の不純物含有率の測定法と同じ方法で測定できる。
本発明では、先ず、加水分解・縮合工程において、触媒の不存在下にシリコンアルコキシドを加水分解すると共に得られたシリカヒドロゾルを縮合してシリカヒドロゲルを形成する。
シリコンアルコキシドの加水分解は、シリコンアルコキシド1モルに対して、通常2モル倍以上、好ましくは3モル倍以上、特に好ましくは4モル倍以上、また、通常20モル倍以下、好ましくは10モル倍以下、特に好ましくは8モル倍以下の水を用いて行なう。シリコンアルコキシドの加水分解により、シリカのヒドロゲルとアルコールとが生成し、生成したシリカヒドロゾルは逐次縮合してシリカヒドロゲルとなる。
加水分解時の温度は、通常室温以上、100℃以下であるが、加圧下で液相を維持することで、より高い温度で行なうことも可能である。加水分解に要する反応時間は反応液組成(シリコンアルコキシドの種類や、水とのモル比)並びに反応温度に依存し、ゲル化するまでの時間が異なるので、一概には規定されない。この反応時間は、本発明のシリカのように細孔特性に優れたシリカを得る為には、ヒドロゲルの破壊応力が6MPaを越えない時間であることが好ましい。
なお、この加水分解反応系に、触媒として、酸、アルカリ、塩類などを共存させることで加水分解を促進させることができる。しかしながら、かかる触媒の使用は、後述のように、生成したヒドロゲルの熟成を引き起こすことになるので、本発明のシリカゲルの製造においてはあまり好ましいことではない。
上述したシリコンアルコキシドの加水分解に際しては、攪拌を充分に行なうことが重要となる。例えば、回転軸に攪拌翼を備えた攪拌装置を用いた場合、その攪拌速度(回転軸の回転数)としては、攪拌翼の形状・枚数・液との接触面積等にもよるが、通常は30rpm以上、好ましくは50rpm以上である。
また、この攪拌速度は、一般的に速過ぎると、槽内で生じた飛沫が各種のガスラインを閉塞させたり、また反応器内壁に付着して熱伝導を悪化させ、物性制御に重要な温度管理に影響を及ぼしたりする場合がある。更に、この内壁の付着物が剥離し、製品に混入して品質を悪化させる場合もある。この様な理由から、攪拌速度は2000rpm以下、中でも1000rpm以下であることが好ましい。
本発明に於いて、分液している二液相(水相、及びシリコンアルコキシド相)の攪拌方法は、反応を促進させる方法であれば任意の攪拌方法を用いることが出来る。中でも、この二液相をより混合させるような装置としては、例えば以下の(A)、(B)が挙げられる。
(A):回転軸が液面に対し垂直又は僅かに角度を持って挿入され、上下に液の流動が生じる攪拌翼を有する装置。
(B):回転軸方向を二液相の界面と略平行に設け、二液相間に攪拌を生じさせる攪拌翼を有する装置。
上述した(A)、(B)の様な装置を用いた際の攪拌翼の回転速度は、攪拌翼の周速度(攪拌翼先端速度)で、通常0.05m/s以上、好ましくは0.1m/s以上、また、通常10m/s以下、好ましくは5m/s以下、さらに好ましくは3m/s以下であることが好ましい。
攪拌翼の形状や長さ等は任意であり、攪拌翼としては例えばプロペラ型、平羽根型、角度付平羽根型、ピッチ付平羽根型、平羽根ディスクタービン型、湾曲羽根型、ファウドラー型、ブルマージン型等が挙げられる。
翼の幅、枚数、傾斜角等は反応器の形状、大きさ、目的とする攪拌動力に応じて適宜選定すればよい。たとえば反応器の槽内径(回転軸方向に対して垂直面を形成する液相面の最長径)に対する翼幅(回転軸方向の翼の長さ)の比率(b/D)は0.05〜0.2、傾斜角(θ)90゜±10゜、翼枚数3〜10枚の攪拌装置が好適な例として挙げられる。
中でも、上述の回転軸を反応容器内の液面よりも上に設け、この回転軸から伸ばした軸の先端部分に攪拌翼を設ける構造が、攪拌効率及び設備メンテナンスの観点から好適に使用される。
上記のシリコンアルコキシドの加水分解反応では、シリコンアルコキシドが加水分解してシリカヒドロゾルが生成するが、引き続いて該シリカヒドロゾルの縮合反応が起こり、反応液の粘度が上昇し、最終的にゲル化してシリカヒドロゲルとなる。
次いで、本発明では、物性調節工程として、上記の加水分解により生成したシリカヒドロゲルの硬さが上昇しないように、実質的に熟成することなく、シリカヒドロゲルの水熱処理を行なう。シリコンアルコキシドを加水分解すると、軟弱なシリカヒドロゲルが生成する。なお、このヒドロゲルの物性を安定させるべく、熟成、あるいは乾燥させ、次いで水熱処理を施すという方法では、本発明のシリカを製造することは通常、困難である。
上記にある、加水分解により生成したシリカヒドロゲルを、実質的に熟成することなく、直ちに水熱処理を行なうということは、シリカヒドロゲルが生成した直後の軟弱な状態が維持されたままで、次の水熱処理に供するようにするということを意味する。
具体的には、シリカヒドロゲルが生成した時点から、一般的には10時間以内に水熱処理することが好ましく、中でも8時間以内、更には6時間以内、特に4時間以内にシリカヒドロゲルを水熱処理することが好ましい。
また、工業用プラント等に於いては、大量に生成したシリカヒドロゲルを一旦サイロ等に貯蔵し、その後水熱処理を行なう場合が考えられる。この様な場合、シリカヒドロゲルは、シリカヒドロゲルが生成してから水熱処理に供されるまでの時間、いわゆる放置時間が、上述の範囲を超える場合が考えられる。この様な場合には、熟成が実質的に生じないように、サイロ内での静置中に、例えばシリカヒドロゲル中の液体成分が乾燥しないようにすればよい。
具体的には、例えば、サイロ内を密閉したり、湿度を調節したりすればよい。また、水やその他の溶媒にシリカヒドロゲルを浸した状態でシリカヒドロゲルを静置してもよい。
静置の際の温度は、できるだけ低くすることが好ましく、例えば50℃以下、中でも35℃以下、特に30℃以下で静置することが好ましい。また、熟成が実質的に生じないようにする別の方法としては、シリカヒドロゲル中のシリカ濃度が低くなるように、予め原料組成を制御してシリカヒドロゲルを調製する方法が挙げられる。
シリカヒドロゲルを実質的に熟成せずに水熱処理することにより奏する効果と、この効果が得られる理由を考察すると、以下のことが考えられる。
まず、シリカヒドロゲルを熟成させると、−Si−O−Si−結合によるマクロ的網目構造が、シリカヒドロゲル全体に形成されると考えられる。この網目構造がシリカヒドロゲル全体に有ることで、水熱処理の際、この網目構造が障害となり、メソポーラスの形成が困難となることが考えられる。またシリカヒドロゲル中のシリカ濃度が低くなるように、予め原料組成を制御して得られたシリカヒドロゲルは、静置中に生ずるシリカヒドロゲルにおける架橋の進行を抑制できる。その為、シリカヒドロゲルが熟成しないと考える。
よって、このシリカの製造方法では、シリカヒドロゲルを熟成することなく、水熱処理を行なうことが重要である。
シリコンアルコキシドの加水分解反応系に酸、アルカリ、塩類等を添加すること、又は該加水分解反応の温度を厳しくし過ぎることなどは、ヒドロゲルの熟成を進行させるという点からも好ましくない。また、加水分解後の後処理における水洗、乾燥、放置などにおいて、必要以上に温度や時間をかけるべきではない。
更に、シリコンアルコキシドの加水分解で得られたシリカヒドロゲルは、水熱処理を行なうまえに、これを平均粒径10mm以下、中でも5mm以下、更には1mm以下、特に0.5mm以下となるよう、粉砕処理等を施すことが好ましい。
上述の通り、このシリカの製造方法では、シリカヒドロゲルの生成の直後に、直ちにこれを水熱処理する方法が重要である。但し、このシリカの製造方法に於いては、水熱処理するシリカヒドロゲルが熟成していなければよいので、例えば暫時低温下で静置した後に水熱処理するなど、必ずしもシリカヒドロゲルの生成直後、直ちにこれを水熱処理することを必要としない。
このように、シリカヒドロゲルの生成の直後、直ちにこれを水熱処理しない場合には、例えばシリカヒドロゲルの熟成状態を具体的に確認してから水熱処理を行なえばよい。ヒドロゲルの熟成状態を具体的に確認する手段は任意であるが、例えば、後述の実施例に示すような方法で測定したヒドロゲルの硬度を参考にする方法が挙げられる。即ち、先述したとおり、この破壊応力が通常6MPa以下の柔らかい状態のヒドロゲルを水熱処理することで、本発明で規定する物性範囲のシリカを得ることができる。この破壊応力は、中でも3MPa以下であることが好ましく、特に2MPa以下であることが好ましい。
この水熱処理の条件としては、水の状態が液体、気体のいずれでもよいが、中でも、液体の水を使い、シリカヒドロゲルに加えてスラリー状として、水熱処理を行なうことが好ましい。水熱処理においては、まず、処理するシリカヒドロゲルに、シリカヒドロゲルの重量に対して通常0.1重量倍以上、好ましくは0.5重量倍以上、特に好ましくは1重量倍以上、また、通常10重量倍以下、好ましくは5重量倍以下、特に好ましくは3重量倍以下の水を加えてスラリー状とする。そしてこのスラリーを、通常40℃以上、好ましくは100℃以上、中でも好ましくは150℃以上、特に好ましくは170℃以上、また、通常250℃以下、好ましくは200℃以下の温度で、通常0.1時間以上、好ましくは1時間以上、また、通常100時間以下、好ましくは10時間以下にわたって、水熱処理を行なう。水熱処理の温度が低すぎると、細孔分布がシャープになり難く、また、細孔容積を大きくすることも困難となる場合がある。
なお、水熱処理に使用される水には、溶媒が含まれていてもよい。溶媒として、具体的には、例えば、低級アルコール類であるメタノール、エタノール、プロパノールなどが挙げられる。この溶媒は、例えばアルコキシシランを加水分解して得られたシリカヒドロゲルを水熱処理する際には、その原料であるアルコキシシランに由来するアルコール類であってもよい。
熱処理に用いる水における、この様な溶媒の含有量は任意だが、少ない方が好ましい。例えば、上述した様な、アルコキシシランを加水分解して得られたシリカヒドロゲルを水熱処理する際には、このシリカヒドロゲルを水洗し、水洗されたものを水熱反応に供することにより、150℃程度まで温度を下げて水熱処理を行なった場合でも、細孔特性に優れ且つ細孔容積の大きいシリカを製造することが出来る。また、溶媒を含んでいる水で水熱処理を行なっても、200℃程度の温度での水熱処理を行なうことで、本発明のシリカを容易に得ることが出来る。
また、メンブランリアクターなどを作る目的で、シリカを膜状あるいは層状に粒子、基板、あるいは管などの基体上に形成させた材料の場合にも、この水熱処理方法は適用される。なお、加水分解反応の反応器を用い、続けて温度条件変更により水熱処理を行なうことも可能であるが、加水分解反応とその後の水熱処理では最適条件が通常は異なっているため、この様に水を新たに加えないで行なう方法では、本発明のシリカを得ることは一般的には難しい。
以上の水熱処理の条件において、温度を高くすると、得られるシリカの径、細孔容積が大きくなる傾向がある。水熱処理温度としては、100℃〜200℃の範囲であることが好ましい。また、処理時間とともに、得られるシリカの比表面積は、一度極大に達した後、緩やかに減少する傾向がある。以上の傾向を踏まえて、所望の物性値に応じて条件を適宜選択する必要があるが、水熱処理は、シリカの物性を変化させる目的なので、通常、前記の加水分解の反応条件より高温条件とすることが好ましい。
なお、ミクロ構造的な均質性に優れるシリカを製造するためには、水熱処理の際に、反応系内の温度が5時間以内に目的温度に達する様に、速い昇温速度条件とすることが好ましい。具体的には、槽に充填して処理される場合、昇温開始から目標温度到達までの平均昇温速度として、通常0.1℃/min以上、好ましくは0.2℃/min以上、また、通常100℃/min以下、好ましくは30℃/min以下、さらに好ましくは10℃/min以下の範囲の値を採用するのが好ましい。
熱交換器などを利用した昇温方法や、あらかじめ作っておいた熱水を仕込む昇温方法なども、昇温速度を短縮することができて好ましい。また、昇温速度が上記範囲であれば、段階的に昇温を行なってもよい。反応系内の温度が目的温度に達するまでに長時間を要した場合には、昇温中にシリカヒドロゲルの熟成が進み、ミクロ構造的な均質性が低下する虞がある。
上記の目的温度に達するまでの昇温時間は、好ましくは4時間以内、更に好ましくは3時間以内である。昇温時間の短縮化のため、水熱処理に使用する水を予熱することもできる。
水熱処理の温度、時間を上記範囲外に設定すると、本発明のシリカを得ることが困難となる虞がある。例えば、水熱処理の温度が高すぎると、シリカの細孔径、細孔容積が大きくなりすぎ、また、細孔分布も広がる。逆に、水熱処理の温度が低過ぎると、生成するシリカは、架橋度が低く、熱安定性に乏しくなり、細孔分布にピークが発現しなくなったり、固体Si−NMRにおけるQ4/Q3値が極端に小さくなったりする。
なお、水熱処理をアンモニア水中で行なうと、純水中で行なう場合よりも低温で同様の効果が得られる。また、アンモニア水中で水熱処理すると、アンモニアを含まない水を用いた水熱処理と比較して、最終的に得られるシリカは一般に疎水性となる。この際、水熱処理の温度を30℃以上、好ましくは40℃以上、また、250℃以下、好ましくは200℃以下という比較的高温とすると、特に疎水性が高くなる。ここでのアンモニア水のアンモニア濃度としては、好ましくは0.001重量%以上、特に好ましくは0.005重量%以上、また、好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%である。
得られたシリカは、通常40℃以上、好ましくは60℃以上、また、通常200℃以下、好ましくは120℃以下で乾燥する。乾燥方法は特に限定されるものではなく、バッチ式でも連続式でもよく、且つ、常圧でも減圧下でも乾燥することができる。中でも、真空乾燥を行なうことで、乾燥が迅速に行なえるのみならず、得られるシリカの細孔容積、比表面積が大きくなるので好ましい。
必要に応じ、原料のシリコンアルコキシドに由来する炭素分が含まれている場合には、通常400℃〜600℃で焼成除去することができる。また、表面状態をコントロールするため最高900℃の温度で焼成することもある。更に、必要に応じて粉砕、分級することで、最終的に目的としていた本発明のシリカを得る。
なお、上記の水熱処理の後に、シリカに含まれる水を親水性有機溶媒と置換し、乾燥することが好ましい。これによって、乾燥工程に於けるシリカの収縮を抑制し、シリカの細孔容積を大きく維持でき、細孔特性に優れ、且つ細孔容積の大きいシリカを得ることが出来る。この理由は定かではないが、以下のような現象によるものと考えられる。
水熱処理後のシリカスラリー中の液体成分の多くは水である。この水は、シリカと互いに強く相互作用しあっている為に、シリカから完全に水を除去するには大きなエネルギーが必要と考える。
多量の水分が存在する条件下で乾燥過程(例えば加熱乾燥)を行なうと、熱エネルギーを受けた水が未反応のシラノール基と反応し、シリカの構造が変化する。この構造変化のうち最も顕著な変化はシリカ骨格の縮合であり、縮合によってシリカが局所的に高密度化することが考えられる。シリカ骨格は3次元的構造を有するので、骨格の局所的な縮合(シリカ骨格の高密度化)はシリカ骨格により構成されているシリカ粒子全体の細孔特性に影響を及ぼし、結果的に粒子が収縮して、細孔容積や細孔径が収縮すると考えられる。
そこで、例えばシリカスラリー中の(水を多量に含む)液体成分を親水性有機溶媒で置換することで、このシリカスラリー中の水を除去し、上述したようなシリカの収縮を抑えることが可能となる。
本発明で用いる親水性有機溶媒とは、上述した考えに基づき、水を多く溶かすものであればよい。中でも、分子内分極の大きいものが好ましい。さらに好ましくは、比誘電率が15以上のものがよい。
ここで説明した上記本発明のシリカの製造方法に於いては、純度の高いシリカを得るために、親水性有機溶媒にて水を除去した後の乾燥工程で、この親水性有機溶媒を除去する必要がある。よって、親水性有機溶媒としては、乾燥(例えば加熱乾燥や真空・減圧乾燥等)により容易に除去可能な低沸点のものが好ましい。親水性有機溶媒の沸点としては、150℃以下、中でも120℃以下、特に100℃以下のものが好ましい。
具体的な親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン類、アセトニトリルなどのニトリル類、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類、アルデヒド類、エーテル類等が挙げられる。中でも、アルコール類やケトン類が好ましく、特に、メタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコール類やアセトンが好ましい。本発明では、これら例示の親水性有機溶媒のうち、一種を単独で使用しても良く、二種以上を任意の組み合わせ及び任意の割合で混合して使用してもよい。
なお、水の除去が可能であれば、使用する親水性有機溶媒中に水が含まれていてもよい。もっとも、親水性有機溶媒における水分含有量は当然少ない方が好ましく、通常20重量%以下、中でも15重量%以下、更には10重量%以下、特に5重量%以下であることが好ましい。
本発明に於いて、上述の親水性有機溶媒による置換処理時の温度及び圧力は任意である。処理温度は、通常0℃以上、中でも10℃以上、通常100℃以下、中でも60℃以下とすることが好ましい。処理時の圧力は常圧、加圧、減圧のいずれでもよい。
シリカスラリーと接触させる親水性有機溶媒の量は任意である。但し、用いる親水性有機溶媒の量が少な過ぎると水との置換進行速度が充分でなく、逆に多過ぎると水との置換効率は高まるが、親水性有機溶媒の使用量増加に見合う効果が頭打ちとなり、経済的に好ましくない。よって、用いる親水性有機溶媒の量は、シリカの嵩体積に対して通常0.5〜10容量倍である。この親水性有機溶媒による置換操作は、複数回繰り返して行なうと、水の置換がより確実となるので好ましい。
親水性有機溶媒とシリカスラリーとの接触方法は任意であり、例えば攪拌槽でシリカスラリーを攪拌しながら親水性有機溶媒を添加する方法や、シリカスラリーから濾別したシリカを充填塔に詰めて、この充填塔に親水性有機溶媒を通液する方法、また、親水性有機溶媒中にシリカを入れて浸漬し、静置する方法などが挙げられる。
親水性有機溶媒による置換操作の終了は、シリカスラリーの液体成分中の水分測定を行なって決定すればよい。例えば、定期的にシリカスラリーをサンプリングして水分測定を行ない、水分含有量が通常5重量%以下、好ましくは4重量%以下、さらに好ましくは3重量%以下となった点を終点とすればよい。水分の測定方法は任意であり、例えばカールフィッシャー法が挙げられる。
親水性有機溶媒による置換操作の後、シリカと親水性有機溶媒とを分離し、乾燥することで、本発明のシリカを製造することが出来る。この際の分離法としては、従来公知の任意の固液分離方法を用いればよい。即ち、シリカ粒子のサイズに応じて、例えばデカンテーション、遠心分離、濾過等の方法を選択して固液分離すれば良い。これらの分離方法は、一種を単独で用いても良く、また二種以上を任意の組み合わせで用いてもよい。
〔原料モノマー〕
原料モノマーとしては、目的とするポリカーボネート樹脂の種類に応じて、適切なジオール化合物及びカーボネート化合物を選択すればよい。ジオール化合物及びカーボネート化合物の具体例としては、それぞれ先の〔ポリカーボネート樹脂〕の欄において例示した化合物が挙げられる。なお、ジオール化合物、カーボネート化合物ともに、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせで用いてもよい。また、カーボネート化合物及びジオール化合物以外に、他のモノマーを併用しても良い。併用可能なモノマーの例としては、テレフタル酸やイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、及びそのジメチルエステル等のエステル類、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシ)エタン等の多価フェノール等が挙げられる。
原料モノマーの組成も、目的とするポリカーボネート樹脂の種類に応じて適宜調整すればよいが、カーボネート化合物100モル%に対して、ジオール化合物を通常50モル%以上、好ましくは70モル%以上、また、通常150モル%以下、好ましくは120モル%以下の範囲で使用する。また、カーボネート化合物及びジオール化合物以外のモノマーを併用する場合、その使用量は、カーボネート化合物100モル%に対して通常1モル%以上、好ましくは5モル%以上、また、通常20モル%以下、好ましくは10モル%以下の範囲とする。
〔重縮合触媒〕
原料モノマーを重縮合させるに当たって、通常は触媒を使用する。重縮合反応用の触媒としては、LiOH、NaOH、KOH、CsOH等の水酸化物、Li2CO3、Na2CO3、K2CO3、Cs2CO3等の炭酸塩、(C254NOHや(C494NOH等の4級アンモニウムヒドロキシドなどが挙げられるが、NaOH、KOH、CsOH、Na2CO3、K2CO3、Cs2CO3等の水酸化物や炭酸塩が好ましい。その使用量は原料モノマーの組成や触媒の種類にもよるが、例えばNaOHやCs2CO3等の触媒を使用する場合には、生成するポリカーボネート樹脂全体に対して、通常0.1ppm以上、好ましくは1ppm以上、また、通常50ppm以下、好ましくは20ppm以下とする。
〔重縮合反応〕
重縮合反応の形式は特に制限されず、上述の原料シリカと原料モノマーとを混合した状態で原料モノマーを重縮合させることができればよい。通常は、上述の原料シリカ、原料モノマー、重縮合触媒、及び必要に応じて用いられるその他の成分を同一の反応容器内に仕込んで適切な反応条件を加えることにより、重縮合反応を行なえば良い。原料シリカの細孔内に予めポリカーボネートやその原料モノマー以外の有機物や高分子を侵入させておいてもよい。
具体的には、溶融重縮合が好ましい。以下、その場合の条件について説明する。
反応時の最高温度は、通常150℃以上、好ましくは200℃以上、より好ましくは250℃以上、また、通常350℃以下、好ましくは320℃以下、より好ましくは300℃以下の範囲である。反応温度が低過ぎると反応速度や到達重合度が不十分となる一方で、反応温度が高過ぎると触媒の失活や熱分解等の好ましくない副反応が顕著になる上に、工業生産時のコスト面及び安全面で不利になる。
反応時の圧力は、温度等の条件にもよるが、通常は減圧条件とする必要があり、好ましくは100mmHg以下、より好ましくは10mmHg以下、更に好ましくは1mmHg以下の範囲である。減圧度が不十分であると、ポリカーボネート樹脂の重合度が不十分となる。
反応雰囲気は、減圧前は不活性雰囲気とすることが好ましい。不活性雰囲気としては、窒素、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気が挙げられる。
反応時間は、温度、減圧度等の条件にもよるが、通常は30分以上、好ましくは60分以上、また、通常24時間以下、好ましくは12時間以下の範囲である。
また、反応器からの抜き出し性を良好にする必要から、低重合度のプレポリマーをまず作成し、次いで、高粘度での減圧と攪拌が可能な装置内で後重合反応を追加して行なっても良い。
なお、重縮合反応時には反応系を攪拌することが好ましい。攪拌条件としては、反応器の大きさ等にもよるが、攪拌速度が通常1rpm以上、好ましくは5rpm以上、より好ましくは10rpm以上、また、通常1000rpm以下、好ましくは500rpm以下、より好ましくは300rpmの範囲である。
〔得られる樹脂組成物〕
反応終了後、得られた反応生成物は通常、反応器から抜き出し、ひも状(ストランド状)に引き、カッターでチップ化される。
[3.ポリカーボネート樹脂成形体]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、従来のポリカーボネート樹脂組成物が用いられている各種の用途に用いることが可能である。このような分野としては、特に成形体としての使用が好適である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を成形体として用いる場合、その形状は任意であるが、特にその厚さが通常0.1mm以上、中でも0.5mm以上、また、通常100mm以下、中でも50mm以下のシート状の成形体とした場合に、本発明の上述の効果、即ち、透明性に優れるとともに、成形収縮率が低いという効果が顕著に得られるので好ましい。成形体の厚さがこの範囲よりも薄い場合には、高い透明性と低い成形収縮率を兼備する必要性が低いため、また、成形体の厚さがこの範囲よりも厚いと、成形体の厚みムラが大きくなってしまうため、何れの場合も本発明の効果はそれほど顕著には得られない。
なお、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を用いて上記厚さのシート状の成形体(本発明の樹脂成形体)を形成する場合、その成形法は特に制限されない。例としては、押出成形、射出成形、注型成形、プレス成形等の手法を用いることができる。中でも押出成形と射出成形が好ましい。
前記シート状成形体の製品の具体例としては、各種レンズ(凸レンズ、凹レンズ、マルチレンズ等)、プリズム、光導波路、光ファイバー等の光学部材、窓ガラスや建材(例えば駐車場の透明屋根材、高速道路等の透明防音壁、透明暴風壁等)等の板状製品等が例示される。
これらのシート状成形体の片面又は両面に、ハードコート、反射防止シート、紫外線吸収コート、電磁波遮断コート、ミラーコート等の無機物や金属の薄膜をつけても良い。かかる無機物や金属の薄膜を成形体表面につける場合に、本発明のポリカーボネート樹脂組成物が有する効果、即ち、熱膨張率が小さい、無機物や金属表面との密着性や接着強度が高い、吸水率が低く吸水時の寸法安定性が向上する、耐薬品性が向上する、といった効果が有利に作用する場合が多い。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲において、以下の実施例に制限されること無く、任意に変形して実施することができる。
<実施例1>
重合用ガラス管に、ピスフェノールA100g(0.44mo1)、ジフェニルカーボネート101g(0.47mo1)、触媒として0.1重量%炭酸セシウム水溶液0.072m1(0.044mmo1、金属換算で0.25ppm 対 OH基)と、シリカ(粒径300μm、細孔径13nm、細孔容積2.3ml/g、金属不純物含有量12ppm)23.2gを仕込んだ。反応系内を不活性雰囲気下(窒素)で置換し、攪拌翼・スリーワンモーター(HEIDON社製BL300R)を用いて攪拌(初期回転数:200rpm)しながら、シリコンオイルバスでガラス管内を160℃まで昇温させ、大気下で試料を溶融させた。溶融後、更に230℃まで昇温させ、大気下で60分間にわたって攪拌し、その後、ロータリーポンプを用いて30分間かけて大気圧(100kPa)から26kPaまで徐々に減圧し、230℃、26kPaの状態を保ったまま60分間にわたって攪拌した。続いて、30分間かけて26kPaから3kPaまで減圧、230℃から250℃まで昇温し、3kPa、250℃で保持しながら30分間にわたって攪拌した。更に、30分問かけて3kPaから0.7kPa程度まで減圧、250℃から270℃まで昇温させ、その後、0.01kPa、270℃で攪拌した。また、反応系内の粘度はスリーワンモーターの攪拌トルクから判断し、200rpm、100rpm、50rpmと徐々に回転数を落とし、最終的に25rpm、0.025N・mとなったところで系内に窒素を導入して大気圧とし、重合を終了させた。ヒーターでガラス管を温めながら窒素で復圧し、樹脂組成物をストランド状に抜き出した。得られた樹脂組成物は無色、半透明であった。
<比較例1>
重合用ガラス管に、ピスフェノールA100g(0.44mol)、ジフェニルカーボネート101g(0.47mol)、触媒として0.1重量%炭酸セシウム水溶液0.072m1(0.044mmo1、金属換算0.25ppm 対 OH基)と、アエロジル(日本アエロジル社製)11.6gを仕込んだ。<実施例1>と同様の手順で重合を行ない、樹脂組成物をストランド状に抜き出した。得られた樹脂組成物は不透明、白濁色であった。
<評価>
得られた実施例1及び比較例1の樹脂組成物について、その線膨張係数を以下の手順により測定した。即ち、直径5mm、長さ10mmの円柱成形品を作成し、その長さ方向について、TMA(Thermomechanical Analysis)測定を室温から100℃まで行なった。
実施例1及び比較例1の樹脂組成物の物性及び評価結果を下の表1に示す。
Figure 2005206636
表1に示すように、本発明規定の物性を有するシリカを内添物として用いた実施例1の樹脂組成物は、緻密なアエロジルを内添物として用いた比較例1の樹脂組成物と比べて、内添量が2倍であるにもかかわらず、目視透明感が高い。加えて、実施例1の樹脂組成物は、比較例1の樹脂組成物と比べて線膨張係数が低いことから、成形収縮率が低く、熱膨張が少ないことが分かる。
また、金型内での前記円柱成形品の成形時における金型からの離型性は、実施例1の樹脂組成物を用いた場合の方が、比較例1の樹脂組成物や市販の芳香族ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製ノバレックス(R)7022PJ:添加剤を含まないグレード)を用いた場合よりも悪かったことから、実施例1の樹脂組成物は成形収縮率が低いこと、金属密着性が高いことが推測された。
上述のように、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は透明性に優れている上に、成形収縮率も低く熱膨張が少ないという効果を有する。加えて、比重が小さく軽量であるという効果も期待される。よって、ポリカーボネート樹脂組成物が用いられる各種の用途、特にポリカーボネート樹脂成形体等の用途に好適に用いることが可能であり、その産業上の利用可能性は極めて高い。

Claims (7)

  1. ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、下記(a)〜(e)を満たすシリカを0.1重量部以上、100重量部以下含有する
    ことを特徴とする、ポリカーボネート樹脂組成物。
    (a)細孔容積が1.6m1/gより大きく、10m1/g以下
    (b)金属不純物の含有率が1000ppm以下
    (c)一次粒子が3次元的に連鎖して二次粒子を形成
    (d)一次粒子径が0.5nm以上、50nm以下
    (e)二次粒子径が1nm以上、500nm以下
  2. シリカの比表面積が100m2/g以上、1000m2/g以下である
    ことを特徴とする、請求項1記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. シリカにおいて、最頻細孔直径(Dmax)が5nm以上、50nm以下であり、最頻細孔直径(Dmax)±20%の範囲内の径を有する細孔の容積が、全細孔容積の30%以上である
    ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. シリカの全細孔容積のうち70%以上の細孔がポリカーボネート樹脂で充填されている
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  5. シリカを含有するポリカーボネート樹脂組成物を製造する方法であって、
    下記(a)〜(c)を満たすシリカの存在下、少なくともジオール化合物及びカーボネート化合物を原料として重縮合させる
    ことを特徴とする、ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
    (a)細孔容積が、1.6ml/gより大きく、10ml/g以下
    (b)金属不鈍物含有量が1000ppm以下
    (c)最頻細孔直径(Dmax)が5nm以上、50nm以下
  6. 下記(d)及び(e)を更に満たすシリカを用いる
    ことを特徴とする、請求項5記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
    (d)一次粒子が3次元的に連鎖して二次粒子を形成
    (e)一次粒子径が0.5nm以上、50nm以下
  7. 請求項1〜4の何れか一項に記載のポリカーボネート樹脂組成物を、厚さ0.1mm以上、100mm以下の形状に成形してなる
    ことを特徴とする、ポリカーボネート樹脂成形体。

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WO2008044342A1 (fr) * 2006-10-12 2008-04-17 Konica Minolta Opto, Inc. Matériau composite organique/inorganique et élément optique
JP2010515786A (ja) * 2007-01-05 2010-05-13 ボード オブ トラスティーズ オブ ミシガン ステイト ユニバーシティ ポリマー−メソポーラス珪酸塩複合材料

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