JP2005206498A - エーテルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、アルコールを原料として、穏和な条件で安価にエーテルを製造することが可能なエーテルの製造方法を提供することを主目的とする。
【解決手段】 本発明は、1価のアルコールを金属アルミニウムおよびアルミニウムアルコキシドの少なくとも一方と接触させ、上記アルコールの少なくとも一部を反応させて、上記アルコールに対応するエーテルを生成する反応工程を有することを特徴とするエーテルの製造方法を提供することにより、上記目的を達成するものである。
【選択図】 無し

Description

本発明は、アルコールからエーテルを安価に製造することが可能なエーテルの製造方法に関するものである。
アルコールからエーテルを製造する方法としては、固体酸触媒を用いたアルコールの脱水反応によるエーテルの製造方法が、特許文献1などに開示されている。固体酸触媒としては、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア等の金属酸化物や金属水酸化物、またはゼオライト等が知られているが、このような触媒は酸強度が低く、反応速度が遅いために、高温または高圧条件で反応させる必要があり、また反応活性が低いことから触媒を多量に使用するという問題があった。
エーテルの中でも、ジメチルエーテルは、ガソリン・LPG・軽油に替わる次世代合成クリーン燃料として需要が大いに期待されており、特にディーゼルエンジン用燃料として安価で大量に利用されることが見込まれている。また、ジメチルエーテルは、燃料電池への応用も期待されており、水素へと転換する改質原料としても求められている。
ジメチルエーテルの製造方法としては、下記式(i)に示すように、一酸化炭素と水素との混合ガスから直接合成する直接合成法(特許文献2または特許文献3参照)、および、下記式(ii)に示すように、メタノールの脱水反応を用いるメタノール脱水法(特許文献4または非特許文献1参照)が知られている。
3CO + 3H → CHOCH + CO …(i)
2CHOH → CHOCH + HO …(ii)
上記のメタノール脱水法では、上記の固体酸触媒を用いることから、一般に400℃を超える高温条件で反応させなければならず、反応活性が低いことから多量の触媒が必要となるため、コストがかかるという問題がある。また、メタノール中に水が所定量以上含まれる場合には、反応活性が著しく低下するという問題もあった。
一方、上記の直接合成法では、一酸化炭素と水素との混合ガスからジメチルエーテルを直接合成するため、種々の原料を選択できるという利点を有し、メタノール脱水法よりも安価な製造方法として注目されている。上記式(i)の反応は、下記式(iii)〜(v)の3段階の反応から成立するものであり、各反応においてはそれぞれメタノール合成触媒、メタノール脱水触媒、水性ガスシフト触媒が用いられる。
CO + 2H → CHOH …(iii)
2CHOH → CHOCH + HO …(iv)
CO + HO → CO + H …(v)
この方法においては、上記式(v)の反応により水を除去することができるため、上記式(iv)の反応活性の低下を抑制することができるが、メタノール脱水触媒としては上記の固体酸触媒を用いることから、上述したように高温または高圧条件で反応させなければならず、多量の触媒が必要となるため、コストがかかるという問題がある。また、上記式(iii)〜(v)の反応は、温度・圧力に支配される反応平衡による制限があり、一酸化炭素および水素が全て転化することはないため、ジメチルエーテルの生産性が低いという問題もある。さらに、高温・高圧条件での一酸化炭素および水素の反応は、危険性が高いという問題があった。
また、特許文献5には、Rh、Pd、PtおよびHfの少なくともいずれかを含有する金属硫化物触媒と、上記の固体酸触媒とを組み合わせて用いることにより、一酸化炭素と水素との混合ガスから1段階のプロセスでジメチルエーテルを合成する方法が開示されている。しかしながら、Pt、Pdなどの金属は高価であり、また硫黄により触媒が劣化しやすいという問題がある。
特表2000−507265号公報 特開2003−226662号公報 特開2003−171329号公報 特開2003−73320号公報 特開2002−20767号公報 APPLIED CATALYSIS A-GENERAL 233(1-2)(2002) p.7-12
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、アルコールを原料として、穏和な条件で安価にエーテルを製造することが可能なエーテルの製造方法を提供することを主目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、1価のアルコールを金属アルミニウムおよびアルミニウムアルコキシドの少なくとも一方と接触させ、上記アルコールの少なくとも一部を反応させて、上記アルコールに対応するエーテルを生成する反応工程を有することを特徴とするエーテルの製造方法を提供する。
本発明によれば、金属アルミニウムまたはアルミニウムアルコキシドが直接触媒作用を発揮するのではなく、金属アルミニウムまたはアルミニウムアルコキシドとアルコールとが反応してアルミニウムアルコキシドまたは酸化アルミニウム等の中間生成物を生成し、この中間生成物がエーテルの生成を促進すると考えられるため、効率的にエーテルを製造することができる。また、金属アルミニウム等は安価に入手することができることから、安価にエーテルを製造することが可能である。
本発明おいては、上記反応工程において生成した反応生成物および未反応物質から上記エーテルを分離する分離工程を有することが好ましい。
また本発明においては、上記アルコールの炭素数が1〜4の範囲内であることが好ましい。
さらに本発明においては、上記反応工程における反応温度が、250℃〜400℃の範囲内であることが好ましい。反応温度が上記範囲より低い場合、未反応物質が多量に残る可能性があることからコストがかかり、一方、反応温度が上記範囲より高い場合、副反応が進行しエーテル生成の選択率が低下するおそれがあるからである。
さらにまた、本発明においては、上記反応工程における反応圧力が、100atm〜400atmの範囲内であることが好ましい。反応圧力が上記範囲より小さい場合、未反応物質が多量に残る可能性がありコストがかかるからである。また、反応圧力が上記範囲より大きい場合、反応装置が特殊なものとなり、昇圧のために多大なエネルギーがかかるためコスト的に不利になるからである。
また本発明においては、上記アルコールがメタノールであり、上記エーテルがジメチルエーテルであることが好ましい。ジメチルエーテルを製造する際の反応温度および反応圧力は上述した範囲であればよく、従来よりも穏和な条件でジメチルエーテルを製造することが可能であるからである。また、ジメチルエーテルは石油に替わる新たなエネルギー源として需要が大いに期待されており、安価で穏和な条件でのジメチルエーテルの製造方法は工業的に有用であるからである。
本発明は、また、アルコールと金属アルミニウムおよびアルミニウムアルコキシドの少なくとも一方とを供給する原料供給口を有し、上記アルコールを反応させて上記アルコールに対応するエーテルを生成する反応器であって、上記反応器の外側にヒーターが配置され、密閉可能である反応器と、上記反応器に接続され、上記反応器から排出された反応生成物および未反応物質を冷却して上記エーテルを分離回収する冷却器とを有することを特徴とするエーテルの製造装置を提供する。
本発明によれば、上述したエーテルの製造方法を用いることができる製造装置とすることができるので、上述したように、効率的にエーテルを製造することができる製造装置とすることができる。また、金属アルミニウムは安価であることから、安価にエーテルを製造することが可能である。
また本発明においては、上記アルコールが充填されたアルコール貯蔵槽と、上記金属アルミニウムおよびアルミニウムアルコキシドの少なくとも一方が充填されたアルミニウム貯蔵槽と、上記アルコール貯蔵槽および上記アルミニウム貯蔵槽に接続され、上記アルコールと上記金属アルミニウムおよびアルミニウムアルコキシドの少なくとも一方とを攪拌する攪拌槽とを有し、上記原料供給口が、上記攪拌槽に接続されていることが好ましい。アルコール、金属アルミニウム、アルミニウムアルコキシドなどを攪拌槽で攪拌してから反応器に供給することにより、アルコールを金属アルミニウムまたはアルミニウムアルコキシドと均一に反応させることできるので、反応効率が向上するからである。
さらに本発明においては、上記冷却器に接続され、上記冷却器から排出された反応生成物および未反応物質から未反応のアルコールを分離回収する遠心分離器と、上記遠心分離器に接続され、上記遠心分離器から排出された上記未反応のアルコールから水を除去する脱水槽と、上記脱水槽および上記アルコール貯蔵槽に接続され、上記脱水槽から排出された水が除去されたアルコールを上記アルコール貯蔵槽に返送する返送ラインとを有することが好ましい。このような構成とすることにより、未反応のアルコールを再利用することができるので、より安価にエーテルを製造することが可能となるからである。
本発明は、また、アルコールを供給する原料供給口を有し、上記アルコールを反応させて上記アルコールに対応するエーテルを生成する反応器であって、上記反応器の外側にヒーターが配置され、密閉可能である反応器と、上記アルコールを金属アルミニウムに接触させるアルミニウム接触部と、上記反応器に接続され、上記反応器から排出された反応生成物および未反応物質を冷却して上記エーテルを分離回収する冷却器とを有することを特徴とするエーテルの製造装置を提供する。
本発明によれば、上述したエーテルの製造方法を用いることができる製造装置とすることができるので、上述したように、効率的にエーテルを製造することができる製造装置とすることができる。また、金属アルミニウムは安価であることから、安価にエーテルを製造することが可能である。さらに、未反応のアルコールを再利用する際には、アルミニウム接触部が設けられているので、反応後の金属アルミニウムを未反応のアルコールから分離する必要がないという利点を有する。
また本発明においては、上記冷却器に接続され、上記冷却器から排出された未反応のアルコールから水を除去する脱水槽と、上記脱水槽および上記原料供給口に接続され、上記脱水槽から排出された水が除去されたアルコールを上記原料供給口に返送する返送ラインとを有することが好ましい。このような構成とすることにより、未反応のアルコールを再利用することができるので、より安価にエーテルを製造することが可能となるからである。また、上述したように、反応後の金属アルミニウムを未反応のアルコールから分離する必要がなく、効率的に未反応のアルコールを再利用することができるからである。
さらに本発明においては、上記冷却器は、上記反応生成物および未反応物質を冷却して上記エーテルを含む気体を分離回収する第1冷却器と、上記第1冷却器に接続され、上記第1冷却器から排出された上記エーテルを含む気体を冷却して上記エーテルを分離回収する第2冷却器とを有することが好ましい。上記冷却器が上述した構成となっていることにより、効率よくエーテルを分離することができるからである。
本発明によれば、金属アルミニウム存在下でアルコールを反応させることにより、アルミニウムアルコキシドまたは酸化アルミニウム等の中間生成物が生成し、この中間生成物が触媒として作用すると考えられることから、効率的にエーテルを製造することができるという効果を奏する。また、金属アルミニウムは安価であることから、安価にエーテルを製造することが可能である。
以下、本発明のエーテルの製造方法および製造装置について詳細に説明する。
A.エーテルの製造方法
本発明のエーテルの製造方法は、1価のアルコールを金属アルミニウムおよびアルミニウムアルコキシドの少なくとも一方と接触させ、上記アルコールの少なくとも一部を反応させて、上記アルコールに対応するエーテルを生成する反応工程を有することを特徴とするものである。
1価のアルコールからエーテルを合成する反応は次のように進行する。
ROH+R´OH → ROR´ + HO …(1)
発明者らは、上記式(1)の反応に及ぼす金属アルミニウムの影響を調べるために以下のような実験を行った。アルコールとしてはメタノールを用い、ジメチルエーテルを合成した。
予め片方を閉じた石英管(外径3.00mm、内径1.45mm)に、金属濃度が1.8mol/dmとなるように金属アルミニウム粉末(高純度化学研究所製 18〜35mesh、またはナカライテスク製 150mesh以下)およびメタノールを充填した。また、メタノールの充填率が50%になるような長さで石英管を封管し、これをサンプル管とした。このサンプル管を300℃に昇温させた電気炉に1時間入れて反応させ、その後、ウォーターバスにて急冷した。これを、外径5mmのNMRチューブに入れ、サンプル管およびNMRチューブ間に既知濃度の1,3,5−トリオキサン/DO溶液を外部基準として充填した。常温で分離した気相・液相をH−NMRおよび13C−NMRを用いてそれぞれ分析した。また、ジメチルエーテル(東京化成工業製)をメタノール中でバブリングした溶液は、反応生成物同定用として同様に測定した。
図1(b)および図2(b)に、気相H−NMRおよび液相H−NMRのスペクトルをそれぞれ示す。なお、図1(a)および図2(a)は、外部基準の1,3,5−トリオキサン/DO溶液の気相H−NMRおよび液相H−NMRのスペクトルである。図1において、2.6ppmのシグナルは1,3,5−トリオキサンのプロトン、2.1ppmのシグナルはHDOのプロトンに帰属されるとともに、外部基準のものである。この基準に対して、0.2ppm、3.3ppm、4.5ppmのシグナルは、反応後に現れる反応生成物であるメタン(CH)、ジメチルエーテル(CHOCH)、および水素(H)のプロトンにそれぞれ帰属される。また、図2に示すように、液相にはメタノールに溶けているCHおよびCHOCHのプロトンに帰属されるシグナルが0.2ppmおよび3.3ppmに現れた。気相・液相に現れる反応生成物の化学シフト値については確認を行っている。ジメチルエーテルの常温・常圧でのメタノールに対する溶解度は0.14mol/dmであるが、反応生成物中の気体成分により圧力が高くなっているため、液化しやすいジメチルエーテルのほとんどは液相側に分配していた。金属アルミニウムが存在しない条件では、これらの反応生成物は観測されなかった。以上のことから、下記式(2)に示すように、ジメチルエーテルはメタノールの脱水反応により生成していると考えられる。
2CHOH → CHOCH + HO …(2)
一方、水素やメタンの生成プロセスについては、メタノールの改質反応が寄与していると考えられる。メタノールは触媒存在下で、下記式(3)および(4)に示すように分解することが知られている。
CHOH + HO → CO + 3H …(3)
CHOH → CO + 2H …(4)
したがって、金属アルミニウム存在下でも同様にこのメタノールの改質反応が起こり水素およびメタンが生成すると考えられる。予想反応式は以下のようである。
CHOH → CO + 2H …(5)
CHOH +CO → CH + CO …(6)
この反応では、反応生成物に一酸化炭素または二酸化炭素を含んでいる。これらの有無を検証するため、13C−NMRを用いて反応後の炭素成分の分析を行った。図3に、気相13C−NMRのスペクトルを示す。図3に示すように、反応生成物はメタンおよびジメチルエーテルのみであり、一酸化炭素および二酸化炭素は観測されなかった。したがって、上記式(5)および(6)の反応は進行していないことが考えられる。なお、図3における95ppm付近のシグナルは、外部基準の1,3,5−トリオキサンのメチレン基に帰属されるものである。
ここで、金属アルミニウムが触媒としてではなく、反応物としての役割を担っているのであれば下記の反応式(7)および(8)が考えられる。
3CHOH + Al → Al(OCH + 3/2H …(7)
3CHOH + 2Al → Al + 3CH …(8)
上記式(7)および(8)では、金属アルミニウムがアルミニウムメトキシドまたは酸化アルミニウムに変化している。反応後に金属アルミニウムの色・形状の変化が見受けられることから、上記式(7)および(8)のアルコールの改質反応により水素およびメタンを生成している可能性は高い。
次に発明者らは、温度変化に対する反応生成物の濃度変化について調べた。図4に、反応温度と反応生成物の濃度との関係を示す。図4に示すように、200℃ではいずれの反応も全く進行していなかった。250℃では水素と微量のメタンのみが生成しており、ジメチルエーテルは観測されなかった。250℃を超えると、温度上昇とともにジメチルエーテルの生成が急激になり、全ての反応生成物に対するジメチルエーテル生成の選択率も上昇した。275℃ではジメチルエーテル生成の選択率が19%であったのに対して、325℃では70%まで到達した。特筆すべきことは、水素およびメタンの生成が325℃では300℃に比べて減速していることである。これらの結果から、温度上昇とともに反応経路がメタノールの脱水反応方向に傾くことを意味していると考えられる。
さらに発明者らは、経時変化に対する反応生成物の濃度変化について調べた。図5に、反応時間と反応生成物の濃度との関係を示す。図5に示すように、水素およびメタンはそれぞれ濃度1.6mol/dm、0.6mol/dm付近で収束している。水素およびメタンの濃度の和は、アルミニウム粉末の濃度の1.5倍である2.7mol/dmにかなり近い値となっていることから、全ての金属アルミニウムはメタノールと反応して、上記式(7)および(8)のアルコールの改質反応により水素およびメタンを生成していると考えられる。一方、ジメチルエーテルは反応初期過程での生成速度が遅くその後加速していること、さらに、水素およびメタンの生成が収束してもなお増え続けていることから、上記式(7)および(8)のアルコールの改質反応により生成したアルミニウムメトキシドまたは酸化アルミニウムが触媒として働き、その結果、メタノールの脱水反応によるジメチルエーテルの生成が起こると予想される。
以上のことから、金属アルミニウム存在下でアルコールを反応させることにより、金属アルミニウムがアルコールと反応してアルミニウムアルコキシドまたは酸化アルミニウム等の中間生成物を生成し、この中間生成物が触媒として作用すると考えられることから、アルコールの脱水反応を促進させることができ、効率的にエーテルを製造することができることがわかった。また、金属アルミニウムは安価であることから、安価にエーテルを製造することが可能である。
以下、このようなエーテルの製造方法の工程について説明する。
1.反応工程
本発明のエーテルの製造方法においては、1価のアルコールを金属アルミニウムおよびアルミニウムアルコキシドの少なくとも一方と接触させ、上記アルコールの少なくとも一部を反応させて、上記アルコールに対応するエーテルを生成する反応工程が行われる。
本発明において、原料として用いられるアルコールとしては、1価のアルコールであれば特に限定はされないが、炭素数が1〜4の範囲内であることが好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール等が挙げられる。本発明においては、上記の中でもメタノールが特に好ましい。また、これらのアルコールは単独で用いてもよく、2種を混合して用いてもよい。
上記アルコールには、水が含有されているものも使用することができるが、アルコール中の水の含有量は可能な限り低いことが好ましい。アルコールの脱水反応は平衡反応であり、水が存在するとエーテルの生成が抑制されてしまうからである。例えば市販品のメタノールには水が通常1〜15重量%程度含まれているものであり、本発明においてはこのような市販品のアルコールを使用することもできるが、水の含有量は少ないほうが好ましいことから、予め水を除去して用いてもよい。水を除去する方法としては、活性炭、シリカゲル、ゼオライト等による吸着法、蒸留(蒸発)による方法、膜やフィルターを用いる方法などが挙げられる。
また、本発明に用いられる金属アルミニウムおよびアルミニウムアルコキシドとしては、上述したように、反応過程において反応物としての役割を担うことができるものであれば特に限定はされない。また、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記金属アルミニウムの純度としては、金属アルミニウムの反応性が損なわれなければ特に限定はされないが、可能であれば純度の高いものを用いることが好ましい。具体的には、90%以上、中でも99.9%以上、特に99.99%以上の純度のものを使用することが好ましい。
また、上記金属アルミニウムは、d電子またはf電子を含まない金属を含有していてもよい。d電子またはf電子を有する金属、例えばPt、Pd等は触媒として作用することから、上記金属アルミニウムがd電子またはf電子を有する金属を含有する場合、反応物としての役割が妨げられる可能性があるからである。d電子またはf電子を含まない金属としては、Li、Na、Mg等が挙げられる。
また、上記アルミニウムアルコキシドとしては、目的とするエーテルの種類によって選択されるものであり特に限定はされないが、アルミニウムアルコキシドにおけるアルキル基は炭素数が1〜4の範囲内であることが好ましい。中でも、本発明においてはアルミニウムメトキシドを用いることが好ましい。
本発明において、金属アルミニウムおよびアルミニウムアルコキシドの使用形態としては、上記アルコールと接触することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば粉末状、塊状のものが挙げられる。また、反応容器が金属アルミニウムにより構成されていてもよい。本発明においては、上記の中でも、粉末状の金属アルミニウムまたはアルミニウムアルコキシドを用いることが好ましい。粉末状であれば、比表面積を大きくすることができるため、より穏和な条件で反応させることが可能となるからである。
上記金属アルミニウムまたはアルミニウムアルコキシドが粉末状である場合、金属アルミニウム粉末およびアルミニウムアルコキシド粉末の平均粒径としては、1mm以下であることが好ましく、中でも100μm〜1000μm、特に200μm〜850μmの範囲内であることが好ましい。平均粒径が上記範囲のものは、分離の容易性(取扱い性)、安全性、保存およびコストの面で好ましいからである。一方、反応性を考慮する場合は、上記平均粒径としては小さい方が好ましいことから、100μm未満のものを使用することが好ましい。このように、上記平均粒径は、本発明の目的に応じて適宜選択すればよい。
上記アルコールと上記金属アルミニウムまたは上記アルミニウムアルコキシドとを接触させる方法としては、金属アルミニウムまたはアルミニウムアルコキシドの使用形態によっても異なるが、アルコール中に金属アルミニウムまたはアルミニウムアルコキシドを分散させる方法、金属アルミニウムからなる反応容器にアルコールを注入する方法等が挙げられる。
本発明における反応温度としては、アルコールの脱水反応の進行を妨げない温度であれば特に限定されるものではなく、アルコール、金属アルミニウムおよびアルミニウムアルコキシドの種類によっても異なるが、具体的には250℃〜400℃程度であることが好ましく、中でも275℃〜350℃、特に280℃〜350℃の範囲内であることが好ましい。さらに上記の中でも、上記アルコールの臨界温度以上であることが好ましい。反応温度が上記範囲より低い場合、未反応物質が多量に残る可能性があることからコスト的に不利であり、一方、反応温度が上記範囲より高い場合、副反応が進行してエーテル生成の選択率が低下するおそれがあるからである。
また、反応圧力としては、アルコールの脱水反応の進行を妨げない圧力であれば特に限定されるものではなく、アルコール、金属アルミニウムおよびアルミニウムアルコキシドの種類によっても異なるが、具体的には100atm〜400atm程度であることが好ましく、中でも150atm〜400atm、特に225atm〜400atmの範囲内であることが好ましい。さらに上記の中でも、上記アルコールの臨界圧力以上であることが好ましい。反応圧力が上記範囲より小さい場合、未反応物質が多量に残る可能性がありコストがかかるからである。また、反応圧力が上記範囲より大きい場合、反応装置が特殊なものとなり、昇圧のために多大なエネルギーがかかるためコスト的に不利になるからである。
さらに本発明においては、上記アルコールが超臨界状態になる条件で反応させることが好ましい。
ここで、本発明における超臨界状態とは次の状態をいう。物質には、固有の気体、液体、固体の3態があり、さらに、臨界温度および臨界圧力以上になると、圧力をかけても凝縮しない流体相がある。この状態を超臨界状態という。超臨界状態にある流体は、液体や気体の通常の性質とは異なる性質を示す。超臨界状態の流体の密度は液体に近く、粘度は気体に近く、熱伝導率および拡散係数は気体および液体の中間的性質を示す、“液体ではない溶媒”であり、低粘性、高拡散性のために物質移動が有利となり、また高伝導性のために高い熱移動性を得ることができる。
超臨界状態を反応場として用いると、反応場が上述したように高密度、高拡散性の状態になっているため、通常の液相反応や気相反応よりも高い反応性が得られ、アルコールからエーテルを効率良く生成することが可能である。また、超臨界状態は、液相に近い密度を有するため、気相反応と比較して反応装置を小さくすることができる。
また本発明において、反応の形式としては特に限定されるものではなく、バッチ方式で行ってもよく、固定床流通式、流動床式、移動床式、スラリー床式等の連続方式で行ってもよい。
バッチ方式で反応させる場合、アルコールに対する金属アルミニウムまたはアルミニウムアルコキシドの添加量としては、アルコールの脱水反応の進行を妨げなければ特に限定はされなく、金属アルミニウム、アルミニウムアルコキシドおよびアルコールの種類、または反応条件によっても異なるが、具体的には、モル比でアルコール1に対して、0.05〜0.5、好ましくは0.07〜0.2、特に0.075〜0.093の範囲内であることが好ましい。また、反応時間としては、金属アルミニウム、アルミニウムアルコキシドおよびアルコールの種類、または反応条件によっても異なるが、具体的には、45分〜3時間、中でも1時間〜3時間、特に2時間〜3時間の範囲内であることが好ましい。
また、連続方式で反応させる場合、金属アルミニウムまたはアルミニウムアルコキシドを入れた反応容器にアルコールを流通させる方法、金属アルミニウムまたはアルミニウムアルコキシドとアルコールとを同時に流通させて、反応容器に導入する方法などを用いることができる。この際、アルコールの供給速度は、金属アルミニウムまたはアルミニウムアルコキシドと十分に接触できるように適宜調整すればよい。
上記連続方式では、金属アルミニウムまたはアルミニウムアルコキシドを反応容器の一部に均一に分散させ、この部分にメタノールのみを通すフィルターを設置すると、フィルターを取り替えることにより反応後の金属アルミニウムの処理や反応容器の劣化等の防止が可能となることから、コスト的に有利である。
本発明において得られるエーテルとしては、上記アルコールに対応するものであり、具体的には、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、プロピルブチルエーテル等が挙げられる。
本発明においては、上記の中でもジメチルエーテルであることが特に好ましい。従来、メタノールを用いてジメチルエーテルを製造する際には固体酸触媒を用いていたため、高温または高圧条件で反応させなければならなかったが、本発明においては、金属アルミニウムまたはアルミニウムアルコキシドを用いるものであり、反応温度および反応圧力は上述した範囲であればよく、従来よりも穏和な条件でジメチルエーテルを製造することが可能である。また、メタノールが超臨界状態になる条件は、水が超臨界状態になる条件よりも穏和であるため、比較的反応設計がしやすいという利点を有する。さらに、メタノールは他のアルコールと比較して反応速度が速いため、ジメチルエーテルの生成速度も他のエーテルと比較して速いという利点も有する。
2.分離工程
本発明のエーテルの製造方法は、上記反応工程において生成した反応生成物および未反応物質から上記エーテルを分離する分離工程を有していることが好ましい。
上記反応工程において、反応終了後には未反応のアルコールや金属アルミニウム等の未反応物質、および酸化アルミニウム、アルミニウムアルコキシド、水素、メタン等の副生成物が含まれることがある。このような未反応物質、およびエーテルと副生成物とを含む反応生成物からエーテルを分離する方法としては、目的物に望まれる純度や性状、製品の使用目的に応じて適宜選択されるものであり、特に限定はされない。例えば、蒸留、抽出等の一般的な分離方法を用いることができる。
また本発明においては、分離工程で分離された水素やメタンなどは、熱源または電力源として使用することができることから、コストパフォーマンスが良いという利点を有する。
B.エーテルの製造装置
次に、本発明のエーテルの製造装置について説明する。本発明のエーテルの製造装置は、アルコールと金属アルミニウムおよびアルミニウムアルコキシドの少なくとも一方との接触手段により2つの態様に分けることができる。以下、各態様について説明する。
1.第1の態様
本発明のエーテルの製造装置の第1の態様は、アルコールと金属アルミニウムおよびアルミニウムアルコキシドの少なくとも一方とを供給する原料供給口を有し、上記アルコールを反応させて上記アルコールに対応するエーテルを生成する反応器であって、上記反応器の外側にヒーターが配置され、密閉可能である反応器と、上記反応器に接続され、上記反応器から排出された反応生成物および未反応物質を冷却して上記エーテルを分離回収する冷却器とを有することを特徴とするものである。
本態様のエーテルの製造装置について、図面を参照しながら説明する。図6は、本態様のエーテルの製造装置の一例を示すものである。図6に示すように、本態様のエーテルの製造装置は、アルコールを反応させてエーテルを生成する反応器1と、上記反応器1に接続され、上記反応器1から排出された反応生成物および未反応物質を冷却して上記エーテル分離回収する冷却器(第1冷却器4、第2冷却器5)とを有するものである。本態様においては、まず原料供給口2から、反応器1内にアルコールと、金属アルミニウムおよびアルミニウムアルコキシドの少なくとも一方とが供給され、上記反応器1の外側に配置されたヒーター3により加熱される。反応器1は密閉可能となっており、温度および圧力を適宜調整することにより、反応器1内でアルコールを反応させてエーテルを生成する。反応生成物および未反応物質は、上記反応器1から排出されて、反応器1に接続された第1冷却器4に搬入される。第1冷却器4内では、反応生成物および未反応物質を冷却することにより、生成したエーテルを含む気体が分離される。この分離されたエーテルを含む気体は、第2冷却器5に搬入されて冷却されることにより、エーテルのみに分離される。分離されたエーテルは、エーテル回収ラインL1により回収される。なお、L2はエーテル以外の気体成分を回収する気体回収ラインである。
本態様によれば、上述したエーテルの製造方法を用いることができる製造装置とすることができるので、上述したように、効率的にエーテルを製造することができる製造装置とすることができる。また、金属アルミニウムは安価であることから、安価にエーテルを製造することが可能である。
なお、反応器内の反応温度や反応圧力、アルコール、金属アルミニウムおよびアルミニウムアルコキシド等に関しては、上述した「A.エーテルの製造方法」の欄に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
本態様に用いられる反応器としては、密閉可能となっており、上述した反応温度および反応圧力に耐えうるものであれば特に限定はされない。また、反応器の外側に配置されたヒーターとしては、上述した反応温度とすることができるものであれば特に限定はされない。
また、本態様に用いられる冷却器は、反応生成物および未反応物質を冷却することにより、生成したエーテルを分離するものである。上記冷却器としては、エーテルを分離することができるものであれば特に限定はされないが、反応生成物および未反応物質を冷却することによりエーテルを含む気体を分離する第1冷却器と、エーテルを含む気体を冷却することによりエーテルを分離する第2冷却器とを有することが好ましい。このような構成とすることにより、効率よくエーテルを分離することができるからである。
上記第1冷却器としては、反応生成物および未反応物質を冷却することにより、生成したエーテルを含む気体を分離することができるものであれば特に限定はされない。第1冷却器内の温度としては、エーテルを含む気体を分離することが可能な温度であればよく、アルコールおよびエーテルの種類などによって適宜選択される。具体的には、−25℃〜65℃程度、中でも0℃〜40℃、特に15℃〜30℃の範囲内とすることが好ましい。
また、第2冷却器としては、生成したエーテルを含む気体を冷却することにより、エーテルのみを分離することができるものであれば特に限定はされない。第2冷却器内の温度としては、エーテルのみを分離することができる温度であればよく、エーテルおよびその他の気体の種類によって適宜選択される。通常はエーテルを液体成分として分離回収することから、具体的には、−160℃〜−25℃程度、中でも−100℃〜−30℃、特に−50℃〜−30℃の範囲内で設定することが好ましい。
ここで、本発明において、エーテル以外の気体成分としては、上述した「A.エーテルの製造方法」に記載したように、水素およびメタンなどが挙げられる。本発明のエーテルの製造装置により製造されたエーテルを燃料として使用する場合、水素およびメタンも燃料として使用することができることから、上記第2冷却器によりエーテルのみを分離する必要はなく、第1冷却器により分離されたエーテルを含む混合気体のまま使用することができる。
本態様のエーテルの製造装置は、例えば図7に示すように、アルコールが充填されたアルコール貯蔵槽6と、金属アルミニウムおよびアルミニウムアルコキシドの少なくとも一方が充填されたアルミニウム貯蔵槽7と、上記アルコール貯蔵槽6および上記アルミニウム貯蔵槽7に接続され、上記アルコールと上記金属アルミニウムおよびアルミニウムアルコキシドの少なくとも一方とを攪拌する攪拌槽8とを有しており、上記原料供給口2が、上記攪拌槽8に接続されていることが好ましい。アルコール、金属アルミニウム、アルミニウムアルコキシドなどを攪拌槽8で攪拌してから反応器1に供給することにより、アルコールを金属アルミニウムまたはアルミニウムアルコキシドと均一に反応させることできるので、反応効率が向上するからである。なお、L3はアルコール導入ライン、L4はアルミニウム導入ラインを示す。
上記反応器へのアルコールおよび金属アルミニウム等の供給速度としては、アルコールが金属アルミニウム等と十分に接触できるように適宜調整すればよく、特に限定されるものではない。また、反応器からのアルコールおよびエーテル等の排出速度としては、アルコールの反応を妨げないものであれば特に限定はされない。
また、本態様に用いられる攪拌槽としては、アルコールと金属アルミニウムまたはアルミニウムアルコキシドとを均一に攪拌することができるものであれば特に限定はされない。
さらに、本態様のエーテルの製造装置は、例えば図7に示すように、上記冷却器4に接続され、上記冷却器4から排出された反応生成物および未反応物質から未反応のアルコールを分離回収する遠心分離器9と、上記遠心分離器9に接続され、上記遠心分離器9から排出された上記未反応のアルコールから水を除去する脱水槽10と、上記脱水槽10および上記アルコール貯蔵槽6に接続され、上記脱水槽10から排出された水が除去されたアルコールを上記アルコール貯蔵槽6に返送する返送ラインL5とを有することが好ましい。このような構成とすることにより、未反応のアルコールを再利用することができるので、より安価にエーテルを製造することが可能となるからである。
また、上記遠心分離器9において、アルコールを分離回収した後に残るものは、反応後の金属アルミニウムおよびアルミニウムアルコキシドであり、アルミニウム回収ラインL6により反応後の金属アルミニウムなどが回収される。
本態様に用いられる遠心分離器としては、反応生成物および未反応物質から未反応のアルコールを分離することができるものであれば特に限定はされない。この遠心分離器の回転速度としては、未反応のアルコールを分離することができる速度であればよく、特に限定はされない。また、本態様においては、遠心分離器に替えて、フィルターを用いてもよい。このフィルターはアルコールのみを通すものとすることにより、フィルターを取り替えるだけで反応後の金属アルミニウムなどを回収することができる。
また、上記脱水槽で水を除去する方法としては、活性炭、シリカゲル、ゼオライト等による吸着法、蒸留(蒸発)による方法、膜やフィルターを用いる方法などが挙げられる。
また、上記原料供給口2および上記攪拌槽8の間には、例えば図7に示すように、プレヒーター11が配置されていてもよい。本発明においては、反応器内の温度は、上述した「A.エーテルの製造方法」に記載したように、250℃〜400℃程度となるように調節することから、攪拌槽で攪拌されたアルコールおよび金属アルミニウム等を、反応器に供給する前に、プレヒーターであらかじめ加熱することにより、反応器内での温度調節を容易に行うことができるのである。
上記プレヒーター内の温度としては、上記反応器内の反応温度より低いものであれば特限定はされない。
図7において、反応器1内の温度はヒーター6およびプレヒーター11により調節することができ、また圧力は高圧ポンプ12により調節することができる。この高圧ポンプ12は、通常、アルコール貯蔵槽6および攪拌槽8の間に配置される。この場合、高圧ポンプによりアルコールを供給することが可能となる。
また、本態様においては、上述した「A.エーテルの製造方法」に記載したように、アルコールと金属アルミニウムまたはアルミニウムアルコキシドとが反応することにより、水素やメタンが発生するのであるが、この水素やメタンは、上述したように図7における気体回収ラインL2により回収される。本態様においては、この回収された水素やメタンを熱源または電力源として使用してもよい。これにより、コストパフォーマンスの良い製造装置とすることができる。
2.第2の態様
次に、本発明のエーテルの製造装置の第2の態様について説明する。
本発明のエーテルの製造装置の第2の態様は、アルコールを供給する原料供給口を有し、上記アルコールを反応させて上記アルコールに対応するエーテルを生成する反応器であって、上記反応器の外側にヒーターが配置され、密閉可能である反応器と、上記アルコールを金属アルミニウムに接触させるアルミニウム接触部と、上記反応器に接続され、上記反応器から排出された反応生成物および未反応物質を冷却して上記エーテルを分離回収する冷却器とを有することを特徴とするものである。
本態様のエーテルの製造装置について、図面を参照しながら説明する。図8は、本態様のエーテルの製造装置の一例を示すものである。図8に示すように、本態様のエーテルの製造装置は、アルコールを反応させてエーテルを生成する反応器1と、上記アルコールを金属アルミニウムに接触させるアルミニウム接触部13と、上記反応器1に接続され、上記反応器1から排出された反応生成物および未反応物質を冷却して上記エーテルを分離回収する冷却器(第1冷却器4、第2冷却器5)とを有するものである。
本態様においては、まず原料供給口2から、反応器1内にアルコールが供給され、上記反応器1の外側に配置されたヒーター3により加熱される。反応器1内には、金属アルミニウムが設置されており、アルミニウム接触部13となっている。反応器1内の温度および圧力を適宜調整し、反応器1内のアルミニウム接触部13によりアルコールおよび金属アルミニウムを反応させてエーテルを生成する。反応生成物および未反応物質は、上記反応器1から排出されて、反応器1に接続された第1冷却器4に搬入される。第1冷却器4内では、反応生成物および未反応物質を冷却することにより、生成したエーテルを含む気体および未反応のアルコールが分離される。このようにして分離されたエーテルを含む気体は、第2冷却器5に搬入されて冷却されることにより、さらにエーテルのみに分離される。分離されたエーテルは、エーテル回収ラインL1により回収される。なお、L2はエーテル以外の気体成分を回収する気体回収ラインであり、L7は未反応のアルコールを回収するアルコール回収ラインである。
本態様によれば、上述したエーテルの製造方法を用いることができる製造装置とすることができるので、上述したように、効率的にエーテルを製造することができる製造装置とすることができる。また、金属アルミニウムは安価であることから、安価にエーテルを製造することが可能である。さらに、アルミニウム接触部が設けられており、金属アルミニウムをアルコールと共に流通させるものではないことから、未反応のアルコールを再利用する際には、反応後の金属アルミニウムを未反応のアルコールから分離する必要がないという利点を有する。
なお、反応器内の反応温度や反応圧力、アルコールおよび金属アルミニウム等に関しては、上述した「A.エーテルの製造方法」の欄に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
本態様に用いられるアルミニウム接触部としては、アルコールと金属アルミニウムとを接触させることができるものであれば特に限定はされない。例えば図8に示すように反応器1内に金属アルミニウムを設置してアルミニウム接触部13としてもよく、金属アルミニウム製の反応器を用いて反応器がアルミニウム接触部を兼ねているものであってもよい。
また、反応器内に金属アルミニウムを設置する場合に用いられる金属アルミニウムとしては、塊状のものを使用することが好ましい。塊状のものを使用することにより、反応後の金属アルミニウムを容易に取り替えることができ、効率的にアルコールと反応させることができるからである。
さらに、金属アルミニウム製の反応器を用いる場合、反応器全体が金属アルミニウムにより構成されていてもよく、反応器の一部が金属アルミニウムであってもよい。
本態様においては、上記冷却器に接続され、上記冷却器から排出された未反応のアルコールから水を除去する脱水槽と、上記脱水槽および上記原料供給口に接続され、上記脱水槽から排出された水が除去されたアルコールを上記原料供給口に返送する返送ラインとを有することが好ましい。このような構成とすることにより、未反応のアルコールを再利用することができるので、より安価にエーテルを製造することが可能となるからである。また、本態様によれば未反応のアルコールと反応後の金属アルミニウム等とを分離する必要がないことから、効率的に未反応のアルコールを再利用することが可能である。
なお、反応器、冷却器およびその他の構成については、上述した第1の態様に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について実施例および比較例を用いて具体的に説明する。
[実施例1〜4]
予め片方を閉じた石英管(外径3.00mm、内径1.45mm)に、金属濃度が1.8mol/dmとなるように金属アルミニウム粉末(高純度化学研究所製、粒径425〜850μm)およびメタノール(和光純薬工業製、1級、純度99%)を充填した。また、メタノールの充填率が50%になるような長さで石英管を封管し、これをサンプル管とした。このサンプル管を275℃〜350℃の範囲内で昇温させた電気炉に1時間入れて反応させた。このときの圧力は165atm〜350atmの範囲内であった。その後、ウォーターバスにて急冷した。これを、外径5mmのNMRチューブに入れ、サンプル管およびNMRチューブ間に既知濃度の1,3,5−トリオキサン/DO溶液を外部基準として充填した。常温で分離した気相・液相を、高分解能NMR(日本電子製 ECA400NB)を用いてそれぞれ測定した。気相H−NMR、液相H−NMRおよび気相13C−NMRスペクトルより、ジメチルエーテル、水素およびメタンの生成が確認された。また、NMRスペクトルにおける外部基準に対する積分強度比により各生成物の濃度を算出した。さらにこれにより、ジメチルエーテル生成の選択率およびメタノールの転化率を算出した。
[比較例1]
反応温度を300℃とし、金属アルミニウム粉末を添加しなかった以外は、実施例1〜4と同様にして反応させて、測定した。気相H−NMR、液相H−NMRおよび気相13C−NMRスペクトルより、ジメチルエーテルの生成は確認されなかった。
実施例1〜4および比較例1におけるジメチルエーテル(DME)の生成量、ジメチルエーテル(DME)生成の選択率およびメタノールの転化率を表1に示す。なお、表1における反応温度および反応圧力は、密度0.39g/cmのメタノールの温度および圧力とした。また、実施例4ではサンプル管が破損したため、ジメチルエーテルの生成量は測定できなかったが、ジメチルエーテルの生成は確認できた。
Figure 2005206498
気相H−NMRのスペクトルを示すグラフである。 液相H−NMRのスペクトルを示すグラフである。 気相13C−NMRのスペクトルを示すグラフである。 反応温度と反応生成物の濃度との関係を示すグラフである。 反応時間と反応生成物の濃度との関係を示すグラフである。 本発明のエーテルの製造装置の一例を示す模式図である。 本発明のエーテルの製造装置の他の例を示す模式図である。 本発明のエーテルの製造装置の他の例を示す模式図である。

Claims (12)

  1. 1価のアルコールを金属アルミニウムおよびアルミニウムアルコキシドの少なくとも一方と接触させ、前記アルコールの少なくとも一部を反応させて、前記アルコールに対応するエーテルを生成する反応工程を有することを特徴とするエーテルの製造方法。
  2. 前記反応工程において生成した反応生成物および未反応物質から前記エーテルを分離する分離工程を有することを特徴とする請求項1に記載のエーテルの製造方法。
  3. 前記アルコールの炭素数が1〜4の範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエーテルの製造方法。
  4. 前記反応工程における反応温度が、250℃〜400℃の範囲内であることを特徴とする請求項3に記載のエーテルの製造方法。
  5. 前記反応工程における反応圧力が、100atm〜400atmの範囲内であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のエーテルの製造方法。
  6. 前記アルコールがメタノールであり、前記エーテルがジメチルエーテルであることを特徴とする請求項3から請求項5までのいずれかの請求項に記載のエーテルの製造方法。
  7. アルコールと、金属アルミニウムおよびアルミニウムアルコキシドの少なくとも一方とを供給する原料供給口を有し、前記アルコールを反応させて前記アルコールに対応するエーテルを生成する反応器であって、前記反応器の外側にヒーターが配置され、密閉可能である反応器と、
    前記反応器に接続され、前記反応器から排出された反応生成物および未反応物質を冷却して前記エーテルを分離回収する冷却器と
    を有することを特徴とするエーテルの製造装置。
  8. 前記アルコールが充填されたアルコール貯蔵槽と、前記金属アルミニウムおよびアルミニウムアルコキシドの少なくとも一方が充填されたアルミニウム貯蔵槽と、前記アルコール貯蔵槽および前記アルミニウム貯蔵槽に接続され、前記アルコールと前記金属アルミニウムおよびアルミニウムアルコキシドの少なくとも一方とを攪拌する攪拌槽とを有し、前記原料供給口が、前記攪拌槽に接続されていることを特徴とする請求項7に記載のエーテルの製造装置。
  9. 前記冷却器に接続され、前記冷却器から排出された反応生成物および未反応物質から未反応のアルコールを分離回収する遠心分離器と、
    前記遠心分離器に接続され、前記遠心分離器から排出された前記未反応のアルコールから水を除去する脱水槽と、
    前記脱水槽および前記アルコール貯蔵槽に接続され、前記脱水槽から排出された水が除去されたアルコールを前記アルコール貯蔵槽に返送する返送ラインと
    を有することを特徴とする請求項8に記載のエーテルの製造装置。
  10. アルコールを供給する原料供給口を有し、前記アルコールを反応させて前記アルコールに対応するエーテルを生成する反応器であって、前記反応器の外側にヒーターが配置され、密閉可能である反応器と、
    前記アルコールを金属アルミニウムに接触させるアルミニウム接触部と、
    前記反応器に接続され、前記反応器から排出された反応生成物および未反応物質を冷却して前記エーテルを分離回収する冷却器と
    を有することを特徴とするエーテルの製造装置。
  11. 前記冷却器に接続され、前記冷却器から排出された未反応のアルコールから水を除去する脱水槽と、
    前記脱水槽および前記原料供給口に接続され、前記脱水槽から排出された水が除去されたアルコールを前記原料供給口に返送する返送ラインと
    を有することを特徴とする請求項10に記載のエーテルの製造装置。
  12. 前記冷却器は、前記反応生成物および未反応物質を冷却して前記エーテルを含む気体を分離回収する第1冷却器と、前記第1冷却器に接続され、前記第1冷却器から排出された前記エーテルを含む気体を冷却して前記エーテルを分離回収する第2冷却器とを有することを特徴とする請求項7から請求項11までのいずれかの請求項に記載のエーテルの製造装置。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012510445A (ja) * 2008-11-28 2012-05-10 トータル・ペトロケミカルズ・リサーチ・フエリユイ 酸触媒存在下で使用前にアルコールを精製する方法

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