JP2005205816A - 表面仕上げ材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】船舶の構造又は設備の外面又は内面に施されたエポキシ系制振材2の外面に、ガラス繊維防火層と金属皮膜防火層とを設けた。ガラス繊維防火層と金属皮膜防火層は、高シリカ繊維等のガラスクロス3、アルミニウム箔等の金属皮膜4、高けい酸ガラス繊維等を原料としてマット状に成形された耐熱ガラスフェルト5をそれぞれ適宜重ね合わせて構成されている。ガラスクロス3と金属皮膜4とは複数枚をそれぞれ交互に重ね合わせて構成されてもよい。
【選択図】 図1
Description
従来のこの種の表面仕上げ材として、エポキシ系制振材の外表面にセメント系床仕上げ材を塗布硬化するものがある(特許文献1参照)。また、エポキシ系制振材の上に、ガラス繊維層を設けたものが知られている(特許文献2参照)。
近年、船舶安全法が改正され、制振材の表面における防火特性はより高い防火性能を要求されるようになった。
エポキシ系制振材の上に、セメント系床仕上げ材を塗布硬化されてなるものや、防火を主目的としていないガラス繊維層を設けたものは、後述する所定の船舶用防火基準(隔壁、天井表面及びパイプ等の断熱材に関する基準)をクリアすることができない。特に、セメント系床仕上げ材は、重量が大であること以外にも、耐熱性が悪く加熱されるとひび割れしてそこから高熱が伝達されてエポキシ系制振材が燃えてしまうという欠陥がある。
〈構成1〉
船舶の構造又は設備に施されたエポキシ系制振材の外面に、ガラス繊維防火層と金属皮膜防火層とを設けたことを特徴とする表面仕上げ材。
構成1に記載の表面仕上げ材において、上記ガラス繊維防火層と上記金属皮膜防火層は、ガラスクロス、金属皮膜、耐熱ガラスフェルト、金属皮膜を順次重ね合わせて構成されていることを特徴とする表面仕上げ材。
金属皮膜は、最外層に位置していなくとも、すなわち、ガラス繊維防火層の中に埋設されていても、外部からの輻射熱を反射し、高温ガスの浸入を遮断する効果を奏する。
構成1に記載の表面仕上げ材において、上記ガラス繊維防火層と上記金属皮膜防火層は、複数のガラスクロス層と複数の金属皮膜とを交互に重ね合わせて構成されていることを特徴とする表面仕上げ材。
構成1に記載の表面仕上げ材において、上記ガラス繊維防火層と上記金属皮膜防火層は、耐熱ガラスフェルトと金属皮膜とを重ね合わせて構成されていることを特徴とする表面仕上げ材。
構成1に記載の表面仕上げ材において、上記ガラス繊維防火層と上記金属皮膜防火層は、複数のガラスクロス層と金属皮膜とを交互に重ね合わせ、最外側の上記金属皮膜の外面に、ガラス糸で縫合した耐熱ガラスフェルトとガラスクロスを重ね合わせて構成したことを特徴とする表面仕上げ材。
構成5に記載の表面仕上げ材において、上記ガラス糸は、上記耐熱ガラスフェルトと上記ガラスクロスとを、非直線状に横断する形で縫っていることを特徴とする表面仕上げ材。
構成2ないし6のいずれかに記載の表面仕上げ材において、上記金属皮膜をアルミニウム箔で構成したことを特徴とする表面仕上げ材。
以下、本発明の実施の形態を具体例を用いて説明する。
図1において、船舶の構造又は設備の外面である基体1の外面に、エポキシ系制振材2が施されている。エポキシ系制振材2の外表面に、ガラスクロス3、金属皮膜4、耐熱ガラスフェルト5、金属皮膜4を順次重ね合わせて構成された防火層が設けられている。
ここで、実施例1による表面仕上げ材の表面燃焼性試験を行ったので、その説明をする。
基体1として厚さ3mmのアルミニウム板を用いた。このアルミニウム板の一面に、厚さ4mmのエポキシ系制振材2、厚さ1.7mmのガラスクロス3、厚さ0.01mmのアルミニウム箔4、厚さ5mmの耐熱ガラスフェルト5、厚さ0.01mmのアルミニウム箔4を順次重ね合わせて各層接着して試験体を構成した。試験体の全体寸法は、幅が155mm、長さが800mm、高さ約14mmである。この試験体は5個製作されて使用された。
試験は、国際海事機関(IMO)海上安全委員会決議61(67)「火災試験方法の適用に関する国際コード」(以下、「火災試験方法コード」という。)のパート5「表面燃焼性試験」及びIMO総会決議A.653(16)「隔壁、天井及び甲板仕上げ材の表面燃焼性試験方法」に従って実施された。
5個の試験体のうち、2個の試験体はパイロット炎を非接触とする、「非接触着火炎における試験」を行い、残り3個の試験体はパイロット炎を接触させる、「接触着火炎における試験」を行った。上記試験法に従い試験を行なった結果、試験時間はいずれも10分間であった。
なお、表面に露出したアルミニウム箔4の外面は光沢面のため、A6537.4項に従って薄い黒色塗装を施して光沢なしとした。
A.非接触着火炎における試験の結果
・試験開始2秒経過後は煙の発生が認められたが、1分経過後、煙の発生が少なくなって3分経過後には煙の発生がなくなった。10分経過後の試験終了時、試験体に対する着火はなく、従って延焼も起こらなかった。
・隔壁、天井表面及びパイプ等の断熱材に関する基準(以下、基準という。)との比較は、次のとおりである。
(1)消火点の熱輻射 CFE (単位:kw/m2)について
基準が20.0以上に対して、2個の試験体とも50.7以上であった。
(2)燃焼持続に必要な熱平均値 Qsb(単位:(MJ/m2)について
基準が1.5以上に対して、2個の試験体とも30.42以上であった。
(3)総発熱量 Qt (単位:MJ)
基準が0.7以下に対して、2個の試験体は0.01と0.00であった。
(4)燃焼発熱速度の最大値 Qp(単位:kw)
基準が4.0以下に対して、2個の試験体は0.12と0.18であった。
・3個の試験体とも次の状況であった。
すなわち、試験開始1秒経過後、煙の発生と変色が認められた。4秒経過後、火炎に接近している試験体の端部に小炎が確認されたが、10秒経過後には消火した。3分経過後、煙の発生はストップした。10分経過後の試験終了時、表面燃焼は確認されなかった。延焼距離は20mmであった。
・基準との比較は次のとおりである。
(1)消火点の熱輻射 CFE (単位:kW/m2)について
基準が20.0以上に対して、3個の試験体とも50.7以上であった。
(2)燃焼持続に必要な熱平均値 Qsb(単位:(MJ/m2)について
基準が1.5以上に対して、3個の試験体とも30.42以上であった。
(3)総発熱量 Qt (単位:MJ)
基準が0.7以下に対して、2個の試験体は0.00で、1個の試験体は0.01であった。
(4)燃焼発熱速度の最大値 Qp(単位:kw)
基準が4.0以下に対して、3個の試験体はそれぞれ0.22、0.16、0.23であった。
これらの結果より、本試験体は、「火災試験方法コードのパート5」並びに「IMO A.653(16)」に規定されている「隔壁、天井又は同様の暴露する表面の表面材料」としての要求基準を満たしていると判定された。
また、火災試験方法コードのAnnex22.2より、本試験体は火災試験方法コードのパート2の要件(煙・毒性試験の免除規定:総発熱量0.2MJ以下、最大発熱率1.0KW以下)を満たすものとみなされた。
図2において、基体1の外面に、エポキシ系制振材2が施されている。エポキシ系制振材2の外表面に、ガラスクロス層3と金属皮膜4と重ね合わせたものを3層設けられて防火層とされている。
ガラスクロス層3及び金属皮膜4は、実施例1のものと同様の材料が用いられる。
図3において、基体1の外面に、エポキシ系制振材2が施されている。エポキシ系制振材2の外表面に、耐熱ガラスフェルト5と金属皮膜4とを重ね合わせてなる防火層が設けられている。耐熱ガラスフェルト5と金属皮膜4は、実施例1のものと同様の材料が用いられる。
図4において、基体1の外面に、エポキシ系制振材2が施されている。エポキシ系制振材2の外表面に、ガラスクロス層3と金属皮膜4とを重ね合わせたものが2層設けられている。外側の金属皮膜4の外面に、耐熱ガラスフェルト5とガラスクロス3Aを重ね合わせて設けられている。ガラスクロス3A、耐熱ガラスフェルト5、外側のガラスクロス4は、ガラス糸6により縫合されている。
ここで、実施例4による表面仕上げ材の表面燃焼性試験を行ったので、その説明をする。
基体1として厚さ3mmのアルミニウム板を用いた。このアルミニウム板の一面に、厚さ4mmのエポキシ系制振材2、厚さ3.4mmのアルミニウム箔付ガラスクロス3(2層)、厚さ5mmの耐熱ガラスフェルト5、厚さ0.6のガラスクロス3Aを順次重ね合わせ、ガラス糸6でガラスクロス3A、耐熱ガラスフェルト5、ガラスクロス3を縫合して試験体を構成した。試験体の全体寸法は、幅が155mm、長さが800mm、高さ16mmである。この試験体は6個製作されて使用された。
試験は、前述の試験1と同様の試験方法に従って実施された。
6個の試験体のうち、3個の試験体はパイロット炎を非接触とする、「非接触着火炎における試験」を行い、残り3個の試験体はパイロット炎を接触させる、「接触着火炎における試験」を行った。上記試験法に従い試験を行なった結果、試験時間はいずれも10分間であった。
A.非接触着火炎における試験の結果
・3個のうち、2個の試験体とも次の状況であった。
すなわち、試験開始2秒経過後、煙の発生と変色が認められた。7秒経過後、火炎に接近している試験体の端部に小炎が確認されたが、10秒経過後には消火した。1分経過後、煙の発生はストップした。10分経過後の試験終了時、表面燃焼は確認されなかった。延焼距離は20mmであった。
・3個のうち、残り1個の試験体は次の状況であった。
すなわち、試験開始2秒経過後は煙の発生、変色が認められた。1分経過後、煙の発生がなくなった。10分経過後の試験終了時、試験体に対する着火はなく、従って延焼も起こらなかった。
・基準との比較は、3個の試験体とも次のとおりである。
(1)消火点の熱輻射 CFE (単位:kW/m2)について
基準が20.0以上に対して、3個の試験体とも51.3以上であった。
(2)燃焼持続に必要な熱平均値 Qsb(単位:(MJ/m2)について
基準が1.5以上に対して、3個の試験体とも30.78以上であった。
(3)総発熱量 Qt (単位:MJ)
基準が0.7以下に対して、3個の試験体はそれぞれ0.01、0.02、0.01であった。
(4)燃焼発熱速度の最大値 Qp(単位:kw)
基準が4.0以下に対して、3個の試験体はそれぞれ0.16、0.16、0.14であった。
・3個の試験体とも次の状況であった。
すなわち、試験開始1秒経過後、煙の発生と変色が認められた。4秒経過後、火炎に接近している試験体の端部に小炎が確認されたが、1分10秒経過後に消火した。10分経過後の試験終了時、表面燃焼は確認されなかった。延焼距離は端部から20mmであった。
・基準との比較は次のとおりである。
(1)消火点の熱輻射 CFE (単位:kW/m2)について
基準が20.0以上に対して、3個の試験体とも51.3以上であった。
(2)燃焼持続に必要な熱平均値 Qsb(単位:(MJ/m2)について
基準が1.5以上に対して、3個の試験体とも30.78以上であった。
(3)総発熱量 Qt (単位:MJ)
基準が0.7以下に対して、3個の試験体はそれぞれ0.00、0.01、0.07であった。
(4)燃焼発熱速度の最大値 Qp(単位:kw)
基準が4.0以下に対して、3個の試験体はそれぞれ0.09、0.12、0.22であった。
これらの結果より、本試験体は、「火災試験方法コードのパート5」並びに「IMO A.653(16)」に規定されている「隔壁、天井又は同様の暴露する表面の表面材料」としての要求基準を満たしていると判定された。
また、火災試験方法コードのAnnex22.2より、本試験体は火災試験方法コードのパート2の要件(煙・毒性試験の免除規定:総発熱量0.2MJ以下、最大発熱率1.0KW以下)を満たすものとみなされた。
2 エポキシ系制振材
3 ガラスクロス
4 金属皮膜
5 耐熱ガラスフェルト
Claims (7)
- 船舶の構造又は設備に施されたエポキシ系制振材の外面に、
ガラス繊維防火層と金属皮膜防火層とを設けたことを特徴とする表面仕上げ材。 - 請求項1に記載の表面仕上げ材において、
前記ガラス繊維防火層と前記金属皮膜防火層は、
ガラスクロス、金属皮膜、耐熱ガラスフェルト、金属皮膜を順次重ね合わせて構成されていることを特徴とする表面仕上げ材。 - 請求項1に記載の表面仕上げ材において、
前記ガラス繊維防火層と前記金属皮膜防火層は、
複数のガラスクロス層と複数の金属皮膜とを交互に重ね合わせて構成されていることを特徴とする表面仕上げ材。 - 請求項1に記載の表面仕上げ材において、
前記ガラス繊維防火層と前記金属皮膜防火層は、
耐熱ガラスフェルトと金属皮膜とを重ね合わせて構成されていることを特徴とする表面仕上げ材。 - 請求項1に記載の表面仕上げ材において、
前記ガラス繊維防火層と前記金属皮膜防火層は、
複数のガラスクロス層と金属皮膜とを交互に重ね合わせ、最外側の前記金属皮膜の外面に、ガラス糸で縫合した耐熱ガラスフェルトとガラスクロスを重ね合わせて構成したことを特徴とする表面仕上げ材。 - 請求項5に記載の表面仕上げ材において、
前記ガラス糸は、前記耐熱ガラスフェルトと前記ガラスクロスとを、非直線状に横断する形で縫っていることを特徴とする表面仕上げ材。 - 請求項2ないし6のいずれかに記載の表面仕上げ材において、
前記金属皮膜をアルミニウム箔で構成したことを特徴とする表面仕上げ材。
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