JP2005205677A - 圧縮木製品および電子機器用外装材 - Google Patents

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Abstract

【課題】木材に対する圧縮方向をあらかじめ考慮して木材を形取って圧縮成形して、吸汗性を向上する圧縮木製品を提供する。
【解決手段】圧縮木製品は、圧縮によって減少する容積をあらかじめ加えた形態で形取られた木材からなり、前記木材の繊維方向Lに沿う方向を圧縮方向として圧縮力を受けて成形される。例えば、圧縮によって減少する容積をあらかじめ加えた厚さW1を有して形取られて厚さW1方向にあらわれる面が木口面を有した主板部1aと、主板部1aから立ち上がる態様で設けてあり圧縮によって減少する容積をあらかじめ加えた厚さW2および高さT1を有して形取られた側板部1bとを備えた木材1を得る。そして、この木材1に対して主板部1aの厚さW1方向である繊維方向Lに交わる方向を圧縮方向として圧縮力を加える。
【選択図】 図4

Description

本発明は、圧縮木材を用いた圧縮木製品および前記圧縮木製品を用いた電子機器用外装材に関するものである。
手に持って操作する携帯型電子機器には、例えばカメラ、携帯通信機器(主に携帯電話機)、ICレコーダ、PDA、携帯テレビあるいは携帯ラジオがあり、また各種家電製品のリモコンなどもある。これら携帯型電子機器の外装材としては、工業的に大量生産するために、合成樹脂(ABS、ポリカーボネイト、アクリルなど)や、軽金属(アルミニウム、ステンレス、チタン、マグネシウムなど)が材料として多く用いられている。このように、外装材をなす合成樹脂あるいは軽金属は、適当な強度を有しているものの工業製品性を重視してあるので個体差がない。さらに、外装材をなす合成樹脂あるいは軽金属では、長期の使用に際して傷や色落ちが生じるが、この傷や色落ちは単に電子機器としての価値を損なうだけのものである。
そこで、自然素材である木材を外装材として用いることが考えられる。木材は、様々な木目を有しているので個体差があって個性を有する。また、木材は、長期の使用に際して傷や色合いの変化が生じるが、これが木材独特の風合いとなって使用者にとって慣れ親しみを生じさせる。
従来、木材の加工方法として、吸水軟化した木材を圧縮保持した形状を固定し、その木材を圧縮方向にスライスして板状の一次固定品を得て、一次固定品を加熱吸水させつつ所定の三次元形状を有する成形品に成形して、成形品の形状を固定した二次固定品とする方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
従来、木質材の三次元加工方法として、軟化処理した状態で圧縮した木質材を仮固定し、この木質材の回復を型内で行って型成形する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特許第3078452号公報 特開平11−77619号公報
木材には人手に触れたときに吸汗性を生じて馴染みやすくなる性質があることが知られている。吸汗性を得るためには木材の繊維の切断面を人手に触れるべき面として表出する必要がある。上述した従来の技術では、最初に圧縮した木材を繊維方向に沿って切断しているので表出した面が板目面、柾目面あるいは追柾面となるので吸汗性が損なわれる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、木材に対する圧縮方向をあらかじめ考慮して木材を形取って圧縮成形して、吸汗性を向上することができる圧縮木製品および電子機器用外装材を提供することを目的としている。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の請求項1に係る圧縮木製品は、圧縮によって減少する容積をあらかじめ加えた形態で形取られた木材からなり、前記木材の繊維方向に沿う方向を圧縮方向として圧縮力を受けて成形されてなることを特徴とする。
本発明の請求項2に係る圧縮木製品は、上記請求項1において、圧縮によって減少する容積をあらかじめ加えた厚さを有して形取られて厚さ方向にあらわれる面が木口面を有した主板部と、前記主板部から立ち上がる態様で設けてあり圧縮によって減少する容積をあらかじめ加えた厚さおよび高さを有して形取られた側板部とを備えたことを特徴とする。
本発明の請求項3に係る圧縮木製品は、上記請求項2において、前記主板部と前記側板部との間に設けてあり前記主板部が受ける圧縮力および前記側板部が受ける圧縮力を合わせて受ける態様で圧縮によって減少する容積を予め加えた形態で形取られた湾曲部を備えたことを特徴とする。
本発明の請求項4に係る電子機器用外装材は、前記1〜3のいずれか一つに記載の圧縮木製品によって形成してあることを特徴とする。
本発明にかかる圧縮木製品は、圧縮によって減少する容積をあらかじめ加えた形態で形取られた木材が繊維方向に沿う方向を圧縮方向として圧縮力を加えられているため、圧縮された面に繊維の切断面が表出することになる。この結果、吸汗性を向上することができる。
また、圧縮によって減少する容積をあらかじめ加えた厚さを有して形取られて厚さ方向にあらわれる面が木口面を有した主板部と、主板部から立ち上がる態様で設けてあり圧縮によって減少する容積をあらかじめ加えた厚さおよび高さを有して形取られた側板部とを備えた構成とする。これにより、主板部は、圧縮された面に繊維の切断面が表出することになるので高い吸汗性が得られる。
また、主板部が受ける圧縮力および側板部が受ける圧縮力を合わせて受ける態様で圧縮によって減少する容積を予め加えた形態で形取られた湾曲部を主板部と側板部との間に設けた構成とする。これにより、湾曲部が木目に対して斜め方向あるいは木目に重なる方向に圧縮力を加えられているため繊維密度を増すことになるので高い強度が付与される。
本発明にかかる電子機器用外装材は、上述した圧縮木製品によって形成してあるため、電子機器の外装材として十分な吸汗性を有することができる。
以下に添付図面を参照して、本発明に係る圧縮木製品および電子機器用外装材の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1は本発明に係る圧縮木製品を外装材として用いた電子機器を示す断面図である。図1では、電子機器の一例としてデジタルカメラを示している。デジタルカメラは、圧縮木製品からなる外装材10の内部に補強フレーム11および内部機構12を有している。また、デジタルカメラは、外装材10の外部に撮像レンズ13および液晶モニタ14を表出して構成してある。内部機構12としては、CCDなどの撮像素子12a、撮像素子12aの駆動回路12b、液晶モニタ14の駆動回路12c、画像記録媒体Cに対する記録装置12dおよび外部パソコンとの接続端子12eなどがある。
外装材10は、前カバー10aと後カバー10bからなる。前カバー10aの主板部には、撮像レンズ13を外部に表出する態様でレンズ穴10cが設けてある。レンズ穴10cは、撮像レンズ13を保持する保持部の外形に対応して穿設してあり、例えば保持部が円筒形であれば、当該保持部を前カバー10aの外部に表出する態様でレンズ穴10cは円形状に穿設してある。また、前カバー10aの側板部には、画像記録媒体Cを挿抜する態様で開口穴10dが設けてある。後カバー10bの主板部には、液晶モニタ14を表出する態様で矩形状の窓穴10eが設けてある。また、後カバー10bの側板部には、接続端子12eに接続される接続ケーブルを挿抜する態様で開口穴10fが設けてある。その他、図には明示しないが前カバー10aおよび後カバー10bには、デジタルカメラを操作するための各種操作ボタンなどを表出する態様でボタン穴が設けてあり、当該ボタン穴には必要に応じて蓋などが設けられる。
図2は本発明に係る圧縮木製品の形取りを示す斜視図、図3は本発明に係る圧縮木製品の形取りを示す平面図である。図2に示すように外装材10をなす圧縮木製品は、木材1を圧縮して成形してなる。そして、圧縮される以前の木材1を無垢材100から形取ってなる。無垢材100としては、例えば檜、檜葉、桐、チーク、マホガニー、杉、松あるいは桜などがある。この木材1は、前カバー10aあるいは後カバー10bの主板部をなす所定形状(本実施の形態では略長方形状)の主板部1aと、主板部1aの周縁に立ち上がる態様で設けてあり前カバー10aあるいは後カバー10bの側板部をなす側板部1bとを備えた一塊のものである。また、木材1は、主板部1aと側板部1bとの間が滑らかな曲面で繋がって湾曲形成してある。
図3に示すように木材1を無垢材100から形取る形態としては、主板部1aの厚さ方向が繊維方向に沿って、厚さ方向にあらわれる面が木口面を有して形取られてなる。
図4は木材の圧縮工程図である。木材1は、圧縮によって減少する容積をあらかじめ加えた形態で形取られている。具体的に主板部1aは、図4(a)に示すように圧縮によって減少する容積をあらかじめ加えた厚さW1を有して形取られている。また、側板部1bは、圧縮によって減少する容積をあらかじめ加えた厚さW2よび高さT1を有して形取られている。そして、全体で幅H1を有して形取られている。主板部1aの厚さW1は、側板部1bの厚さW2よりも厚く形成してある。また、主板部1aと側板部1bとの間は、主板部1aの厚さW1から側板部1bの厚さW2に徐々に至る態様で湾曲形成してある。さらに、側板部1bは、主板部1aから斜め外側方に立ち上がる態様で形成してある。なお、図4で示す木材1は、圧縮木材品からなる外装材10として前カバー10aあるいは後カバー10bの一方をなす形態を示してある。前カバー10aあるいは後カバー10bの他方の形態は一方の形態と同様であるため図示および説明を省略する。
この木材1は、下型枠Aと上型枠Bとの間で圧縮される。図4(a)に示すように下型枠Aは、木材1の主板部1aから側板部1bが立ち上がる湾曲した外側面(図4中下面)に当たる凹面を有している。下型枠Aの凹面は、木材1の外側面を嵌入する形状であり、木材1の外側面の曲面ROの曲率半径と、この曲面ROに対面する下型枠Aの曲面RAの曲率半径とは、RO>RAの関係にある。一方、上型枠Bは、木材1の主板部1aから側板部1bが立ち上がる湾曲した内側面(図4中上面)に当たる凸面を有している。上型枠Bの凸面は、木材1の内側面に嵌合する形状であり、木材1の内側面の曲面RIの曲率半径と、この曲面RIに対面する上型枠Bの曲面RBの曲率半径とは、RI>RBの関係にある。また、下型枠Aと上型枠Bとが組み合わされた形態、すなわち木材1を圧縮した後の形態で下型枠Aの凹面と上型枠Bの凸面との間がなす空間は、木材1の圧縮後の形状をなす(図4(b)参照)。
上記形態にした木材1および上記構成の上下型枠A,Bに係り、まず、図4(a)に示すように木材1を高温高圧の水蒸気雰囲気中に置く。木材1は、高温高圧の水蒸気雰囲気中に所定時間おくことによって過剰に水分を吸収して軟化する。そして、高温高圧の水蒸気雰囲気中において、下型枠Aと上型枠Bとの間であって、下型枠Aの凹面に木材1を配置する。このとき、木材1は、主板部1aが木口面を有するので木目Gの重なり方向Mを図4中の左右側方向に重ねた形態であり、かつ、繊維方向Lを図4中の上下方向に沿った形態となる。
次いで、図4(b)に示すように上型枠Bを下型枠Aに近接移動させて木材1を圧縮する。すなわち、上型枠Bの凸面を下型枠Aの凹面に嵌入する。下型枠Aと上型枠Bとの間に挟まれた木材1は、主板部1aが厚さW1方向(木目Gに沿う方向)であって、繊維方向Lに沿う方向に圧縮力を加えられる。さらに、木材1は、側板部1bが厚さW2方向(木目Gの重なり方向M)および高さT1方向(木目Gに沿う方向)であって、繊維方向Lに沿う方向に圧縮力を加えられる。さらにまた、木材1は、主板部1aと側板部1bとの間に繋がる湾曲部1cが、木目Gの重なり方向Mおよび木目Gに沿う方向であって、繊維方向Lに沿う方向に圧縮力を加えられる。具体的に湾曲部1cは、上述したように側板部1bが斜め外側方に立ち上がって形成してあり、かつ、上述した上下型枠A,Bとの曲率半径の関係から、外側面では上向きに圧縮力を加えられ、内側面では下向きに圧縮力を加えられる。そして、木材1に圧縮力を加えた状態のまま所定時間放置する。
最後に、所定時間の放置が経過した後、高温高圧の水蒸気雰囲気を解いて下型枠Aから上型枠Bを離間移動して、図4(c)に示すように圧縮された木材1を取り出す。取り出された圧縮後の木材1は、主板部1aから側板部1bまでがほぼ均等な厚さW1′,W2′に圧縮される。また、圧縮後の木材1は、側板部1bが高さT1′に圧縮される。さらに、圧縮後の木材1は、主板部1aと側板部1bとの間に繋がる湾曲部1cが、木目Gが重なる形態で圧縮される。そして、圧縮後の木材1は、幅H1′に若干圧縮される。
このように圧縮した木材1は、繊維方向Lに沿う方向に圧縮力を加えられているために圧縮された面に繊維の切断面が表出することになる。この結果、吸汗性を向上することができる。特に、主板部1aは、木口面を有しているため繊維の切断面が表出することになるので高い吸汗性が得られて持ち易さが向上する。さらに、主板部1aが木口面を有しているため、同様の木口面を有する木材1を形取ることができるので、強度や模様の同一性を備えることが可能である。
また、側板部1bは、木目Gの重なり方向Mに圧縮力を加えられているために硬質な木目Gの繊維が束ねられて繊維密度が増すことになるので高い強度が付与される。さらに、主板部1aと側板部1bとの間に繋がる湾曲部1cは、木目Gの重なり方向Mに圧縮力を加えられているため繊維密度を増して高い強度が付与される。
そして、上記圧縮木製品を電子機器用外装材として用いることで、電子機器の外装材として十分な吸汗性を有することになる。
ところで、上述したように主板部1aの厚さ方向の面が木口面を有する場合では、当該面の方向への押圧力に対して強度の低下が予想される。そこで、以下のように補強することが好ましい。
図5は補強構造を備えた木材を示す断面図である。図5で示す補強構造は、主板部1aの内側面に対して補強材として金属製あるいは合成樹脂などの木材1よりも硬い材質の棒状材2を複数並設したものである。この場合、図5(a)に示すように圧縮する以前において、棒状材2を木材1の内側面に所定間隔をおいて平行に並設する。その後、図5(b)に示すように圧縮を行って棒状材2を木材1の内側面に埋め込んで木材1と一体化させる。これにより、木材1における主板部1aの強度が向上する。また、棒状材2を木目Gに交わる方向に向けて設けることで、さらに木材1における主板部1aの強度が向上することになる。また、金属製の棒状材2に焼き入れすれば、金属硬化による強度の向上を図ることが可能である。
図6は他の補強構造を備えた木材を示す斜視図である。図6で示す補強構造は、主板部1aの内側面に対して補強材として金属製あるいは合成樹脂などの木材1よりも硬い材質の網状材3を設けたものである。この場合、図5で示す形態と同様に圧縮を行って網状材3を木材1の内側面に埋め込んで木材1と一体化させる。これにより、木材1における主板部1aの強度が向上する。この網状材3は、複数の線状材3aが交差して構成してあるので面方向に高い強度を有する。なお、網状材3の他にパンチングメタルなどであって同様に強度の向上を図ることが可能である。
なお、上述した実施の形態において、圧縮して得られた木材1(圧縮木製品)の表面を焼成してもよい。表面を焼成することにより木目G部分に凹凸が生じるので、吸汗性および滑り止めの効果がさらに向上する。また、焼成によって得た炭化層は、導電体となり金属に比較して格段に軽量な電磁シールド材となるので、電子機器用外装材として有効に用いることができる。
また、上述した実施の形態では、主板部1aから側板部1bを立ち上げた形状の圧縮木製品の例を説明したがこの限りではない。上述したように木材1の繊維方向Lに沿う方向に圧縮力を加えて吸汗性を得れば例えば食器など如何なる形状であってもよい。また、電子機器用外装材としても、上記デジタルカメラに限らず、携帯型電子機器として、例えばカメラ、携帯通信機器(主に携帯電話機)、ICレコーダ、PDA、携帯テレビあるいは携帯ラジオ、各種家電製品のリモコンなどに採用することが可能である。
本発明に係る圧縮木製品を外装材として用いた電子機器を示す断面図である。 本発明に係る圧縮木製品の形取りを示す斜視図である。 本発明に係る圧縮木製品の形取りを示す平面図である。 木材の圧縮工程図である。 補強構造を備えた木材を示す断面図である。 他の補強構造を備えた木材を示す斜視図である。
符号の説明
1 木材
1a 主板部
1b 側板部
1c 湾曲部
10 外装材
10a 前カバー
10b 後カバー
W1 主板部の厚さ
W2 側板部の厚さ
T1 側板部の高さ
H1 全体の幅
G 木目
L 繊維方向
M 木目の重なり方向
P 圧縮方向
RA 下型枠の曲面
RB 上型枠の曲面
RI 木材の内側面の曲面
RO 木材の外側面の曲面

Claims (4)

  1. 圧縮によって減少する容積をあらかじめ加えた形態で形取られた木材からなり、前記木材の繊維方向に沿う方向を圧縮方向として圧縮力を受けて成形されてなることを特徴とする圧縮木製品。
  2. 圧縮によって減少する容積をあらかじめ加えた厚さを有して形取られて厚さ方向にあらわれる面が木口面を有した主板部と、前記主板部から立ち上がる態様で設けてあり圧縮によって減少する容積をあらかじめ加えた厚さおよび高さを有して形取られた側板部とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の圧縮木製品。
  3. 前記主板部と前記側板部との間に設けてあり前記主板部が受ける圧縮力および前記側板部が受ける圧縮力を合わせて受ける態様で圧縮によって減少する容積を予め加えた形態で形取られた湾曲部を備えたことを特徴とする請求項2に記載の圧縮木製品。
  4. 前記1〜3のいずれか一つに記載の圧縮木製品によって形成してあることを特徴とする電子機器用外装材。

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