JP2005204510A - ニンニク臭の消臭方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】食べる時には臭いはするが、食後速やかに消臭し、体内での滞留時間の長い成分の生成を阻害または分解して、翌日には影響のないニンニク産品を得ることができるニンニク臭の消臭方法を提供するものである。
【解決手段】(1)加熱によるアリナーゼの抑制または阻害または失活とそれに起因するアリインからアリシンへの変化の抑制または阻害または阻止による消臭。(2)極性基を有する多糖類の混合による、ニンニク臭成分の結合または包摂による消臭。(3)多価陽イオン金属元素と配位または架橋結合して分子構造が緻密化した極性基を有する多糖類とニンニク臭成分の結合または包摂による消臭。更に(4)pH調整によるアリナーゼ作用の抑制または阻害または失活とそれに起因するアリインからアリシンへの変化の抑制または阻害または阻止による消臭の4点を組み合わせたものである。
【選択図】 なし
【解決手段】(1)加熱によるアリナーゼの抑制または阻害または失活とそれに起因するアリインからアリシンへの変化の抑制または阻害または阻止による消臭。(2)極性基を有する多糖類の混合による、ニンニク臭成分の結合または包摂による消臭。(3)多価陽イオン金属元素と配位または架橋結合して分子構造が緻密化した極性基を有する多糖類とニンニク臭成分の結合または包摂による消臭。更に(4)pH調整によるアリナーゼ作用の抑制または阻害または失活とそれに起因するアリインからアリシンへの変化の抑制または阻害または阻止による消臭の4点を組み合わせたものである。
【選択図】 なし
Description
本発明はニンニクのニンニク臭を消臭する方法に関するものである。
アメリカの国立ガン研究所は、食品に含まれるガン予防物質を積極的に摂取することにより70才になった時のガン発生率を半減しようとする意図でデザイナーズフーズプログラムを作成し、該当する食品のトップにニンニクを挙げている。また、ニンニクは料理に欠かせない食材として広く普及しているが、翌日まで残る特有な臭いのために食べることを制限する人も多い。こうしたことからニンニク臭の消臭については多くの方法が開発されている。
従来のニンニク臭の消臭方法としては、例えば水にアルギン酸ナトリウムを溶かした溶液にカルシウム塩、マグネシウム塩またはこれらの混合物を添加し、生成した水不溶性アルギン酸塩を分散させてゼオライトまたは珪澡土を添加し、得られた溶液中にニンニクを浸漬させることによる消臭方法が示されている(例えば特許文献1)。
また漬物などに用いる生ニンニクに関しては、例えば皮剥きした生のニンニクまたは細断したニンニクを(1)クエン酸またはクエン酸を主とする酢酸、酒石酸の混合物と、(2)塩化ナトリウムまたは塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムの群から選ばれた1種または2種以上の無機塩類とからなる混合水溶液に浸漬し、10〜40℃で保持し脱臭する方法が記載されている(例えば特許文献2)。しかしながらこれらの方法は何れも効果が少なく不安定である。
更に、すり下ろしたニンニクまたはニンニク搾汁にタマネギエキスとビタミンB1 を添加することによるニンニクの消臭方法が示されている(例えば特許文献3)。
しかしながらこの方法は、タマネギエキスの酵素を使用するので、処理条件によって効果が大きく左右されて不安定であり、また産業廃棄物の処理コストが高くなり実用的な方法ではない。
ニンニク臭の発生原因について考察すると、ニンニクは組織が破壊されない状態では無臭である。これは臭い成分の前駆物質であるアリインを代表とするSーアルケニル- Lーシステインスルホキシド類が細胞原形質、その分解酵素のアリナーゼが維管束鞘に存在するためである。すなわち、切断や磨砕等により組織が破壊され両成分が接触すると、無臭のSーアルケニル- Lーシステインスルホキシド類はアリナーゼにより有臭成分のアリシンに変化する。
生成したアリシンは化学的に変化して有臭成分のジアリルジスルフィド、ジアリルトリスルフィド、アリルメチルスルフィド等々になる。したがって、ニンニク臭の無臭化はアリナーゼを失活させるか、Sーアルケニル- Lーシステインスルホキシド類を分解するか、安定な物質に変えることでほぼ達成できる。
また、ニンニクを食した後の呼気にはジアリルジスルフィド、ジアリルスルフィド、アリルメチルジスルフィド、アリルメチルスルフィド等々が検出される。これら有臭成分の中でアリルメチルスルフィドは一日後でも呼気に残る。しかし、他は食後20分程度でピークに達し、2〜3時間で消失する。この事実はニンニク臭の成分には体内で速やかに消費されるタイプと、代謝に時間のかかるタイプのあることを示唆している。
特開平06ー253769号
特開平09ー187247号
特開平11ー215961号
本発明は上記問題を改善し、加熱処理した原料ニンニクを希薄な濃度の処理溶液に浸漬する極めて簡単な処理により、体内での滞留時間の長い有臭成分の生成阻害、分解または包摂を起こし、食後速やかに且つ確実に無臭化し、翌日には影響のないニンニク産品を得ることができるニンニク臭の消臭方法を提供するものである。
本発明は、次の4点の作用を複合することによりニンニク臭の消臭を図ることを特徴とするものである。(1)加熱によるアリナーゼの抑制または阻害または失活とそれに起因するアリインからアリシンへの変化の抑制または阻害または阻止による消臭。(2)極性基を有する多糖類の混合による、ニンニク臭成分の結合または包摂による消臭。(3)多価陽イオン金属元素と配位または架橋結合して分子構造が緻密化した極性基を有する多糖類とニンニク臭成分の結合または包摂による消臭。更に(4)pH調整によるアリナーゼ作用の抑制または阻害または失活とそれに起因するアリインからアリシンへの変化の抑制または阻害または阻止による消臭。
以下本発明を更に詳細に説明する。先ず請求項1記載のニンニク臭の消臭方法は、原料ニンニクとして、ニンニクを40〜70℃に加熱して、5〜120分保持したものを用いて、多価陽イオン濃度がニンニク重量の0.001〜2.0%の多価陽イオン含有溶液に原料ニンニクを5分〜24時間浸漬する工程と、極性基を有する多糖類がニンニク重量の0.001〜2.0%の極性基を有する多糖類の懸濁液に原料ニンニクを5分〜48時間浸漬する工程との、両浸漬工程を行なうことを特徴とするものである。
なお本発明では原料ニンニクの多価陽イオン含有溶液への浸漬工程の後、極性基を有する多糖類懸濁液への浸漬工程を行なう場合と、逆に極性基を有する多糖類懸濁液への浸漬工程を先に行なってから、多価陽イオン含有溶液への浸漬工程を行なう方法でも良い。
先ず原料ニンニクとしては、皮剥きしたニンニクまたはニンニク球根を、40〜70℃になるまで加熱してから5〜120分保持する。つまり、ニンニクを40〜70℃になるまで加熱してから5〜120分保持することによりタンパク質が熱変性を起こしアリナーゼ活性が抑制または阻害または失活される。
その結果、(+)ーSーアリルーLーシステインスルホキシド(アリイン)のアリシンへの分解が抑制、阻害または阻止され、臭い成分のジアリルジスルフィド、ジアリルトリスルフィド、アリルメチルスルフィド等々の生成も抑制または阻害または阻止される。この場合、40℃未満で5分未満の加熱では、酵素を十分に失活できない恐れがある。また70℃を超えた温度または120分を超える加熱ではニンニクが軟化または変色するので上記範囲が好ましい。
次に、原料ニンニクを多価陽イオン濃度がニンニク重量の0.001〜2.0%になるように多価陽イオン含有物質を加えた多価陽イオン含有溶液に5分〜24時間浸漬後、極性基を有する多糖類がニンニク重量の0.001〜2.0%になるように混合した極性基を有する多糖類の懸濁液に5分〜48時間浸漬する。
本発明に用いる多価陽イオン含有物質としては食品への使用が許可されているものの内、多価陽イオン含有化合物である(1)塩基性無機物の水酸化カルシウム、生石灰、粉末石灰石。(2)多価陽イオン含有物質である無機塩類の炭酸カルシウム、塩化カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸二水素カルシウム、ピロリン酸ニ水素カルシウム、ポリリン酸カルシウム、炭酸マグネシウム。(3)多価陽イオン含有物質である有機酸塩類のクエン酸カルシウム、乳酸カルシウム、発酵乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グルタミン酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム。(4)多価陽イオン含有物質である焼成カルシウムの環礁サンゴ焼成カルシウム、乳精焼成カルシウム、貝殻焼成カルシウム、卵殻焼成カルシウム、卵殻灰化物、ウニ殻焼成カルシウム、骨焼成カルシウム。(5)多価陽イオン含有物質である未焼成カルシウムの貝殻未焼成カルシウム、卵殻未焼成カルシウム、骨未焼成カルシウム、真珠層未焼成カルシウム、サンゴ未焼成カルシウム。(6)多価陽イオン含有物質である灰化物の海藻灰化物、木灰、骨炭、海藻灰抽出物。(7)灰化抽出物の木灰抽出物、モウソウ竹灰抽出物、ダイズ灰抽出物。(8)その他として醸造用食品添加物の多価陽イオン含有物質であるカンスイ、苦汁。等々を挙げることができる。これらは単独でもよいが二種以上を併用してもよい。
また、極性基を有する多糖類としては、食品への使用が許可されている多糖類の内、(1)カルボキシ多糖類のペクチン、ペクチン酸、ペクチニン酸、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ポリアクリル酸ナトリウム、ジェランガム、サイリウムシードガム、アラビアガム、カラヤガム、トラガントガム、カルボキシメチシルセルロースナトリウム、カルボキシメチシルセルロースカルシウム。(2)硫酸多糖類のカラーギーナン、寒天、ファーセルラン。(3)塩基性多糖類のキトサン。(4)その他の極性基を有する多糖類を含むダイズ多糖類、エン麦ガム、オクラ抽出物、オリゴグルコサミン、カシアガム、褐藻抽出物、グルコサミン等々及びそれらの分解産物と野菜、果物、藻類から抽出した極性基を有する多糖類及び多糖類抽出画分。等々を挙げることができる。これらは単独でも、二種以上を併用してもよい。また、中性多糖類を混合してもよい。
このように原料ニンニクの多価陽イオン含有溶液への浸漬工程と、極性基を有する多糖類懸濁液への浸漬工程を行なうことにより、ニンニク中で起こる多価陽イオンと極性基を有する多糖類との反応により、無臭化を更に確実にすることができる。
つまり、極性基を有する多糖類と多価陽イオンの反応は、今後の研究に待つ部分は多いが、極性基を有する多糖類は多価陽イオンと架橋または配位結合し網状構造が緻密化する。この場合、電場が変化し、分子中に(+)と(ー)の部分が新たに生成すると考えられる。それらの部分は、反応性の高い極性基を有する化合物と何らかの形で結合する。また、化合物によっては多糖類の分子中に取り込まれるものがあると考えられる。その結果、ニンニクの一部の有臭成分が分子構造の緻密化した極性基を有する多糖類の分子中に結合・包摂され、結果的に消臭作用を発現すると考えられる。
また、中性多糖類のサイクロデキストリンに見られるように、極性基を有する多糖類に多価陽イオン金属元素との結合で生じた網状分子が低分子化合物の包摂媒体として作用する可能性もある。以上のようなことから、反応性の高い含硫化合物のSーアルケニル- Lーシステインスルホキシド類やそれから生成する有臭成分のジアリルジスルフィド、ジアリルトリスルフィド、アリルメチルスルフィド等々の一部は多糖類と何らかの結合をする可能性がある。また、分子中に包摂されることも予測できる。その結果、有臭成分の一部は無臭化すると考えられる。
本発明において極性基を有する多糖類の添加量を0.001〜2.0%に限定したのは0.001未満では効果がなく、2.0%を超えても更なる効果が認められないからである。また、多価陽イオンの濃度を0.001〜2.0%に限定したのは、極性基を有する多糖類との反応を十分するのに必要な多価陽イオンは極性基を有する多糖類の当量以上の為である。また、ニンニクの多価陽イオン含有溶液への浸漬を5分〜24時間にしたのは、5分未満であった場合は、減圧状態で処理しても皮剥きしたニンニク鱗片の内部への浸透が不十分な恐れがある。また、24時間以上浸漬しても浸透量は殆ど増加しない。また、極性基を有する多糖類への浸漬を5分〜48時間にしたのは48時間未満であった場合は、極性基を有する多糖類の分子量が多価陽イオン含有物質より著しく大きい為である。また、ニンニクの多価陽イオン含有溶液への浸漬と極性基を有する多糖類懸濁液への浸漬は、順序が逆であっても多価陽イオン含有物質の多価陽イオンと極性基を有する多糖類は反応し同様な消臭作用を発現する。
次に請求項2記載のニンニク臭の消臭方法は、原料ニンニクとして、ニンニクを40〜70℃に加熱して、5〜120分保持したニンニクの磨砕物を用いて、多価陽イオン濃度がニンニク重量の0.001〜2.0%の多価陽イオン含有溶液をニンニク磨砕物に混合する工程と、極性基を有する多糖類がニンニク重量の0.001〜2.0%の極性基を有する多糖類の懸濁液をニンニク磨砕物に混合する工程との、両混合工程を行なうことを特徴とするものである。この場合、ニンニク磨砕物の多価陽イオン含有物質溶液と極性基を有する多糖類の懸濁液への混合は順序が逆でもよい。
請求項1記載のニンニク臭の消臭方法との相違は、請求項1では原料ニンニクとして剥皮したニンニク鱗片を加熱して用いているが、請求項2では、加熱したニンニク鱗片を更に磨砕した磨砕物を用いている点と、ニンニク磨砕物の多価陽イオン含有溶液への浸漬時間と、極性基を有する多糖類懸濁液への浸漬時間を規定していない点である。
この場合のニンニク鱗片を、40〜70℃になるまで加熱してから5〜120分保持することにより、請求項1と同様にタンパク質が熱変性を起こしアリナーゼ活性が抑制または阻害または失活される。この加熱したニンニク鱗片を磨砕して磨砕物とすることにより表面積の大きいペースト状となり、多価陽イオン含有溶液と、極性基を有する多糖類の懸濁液との混合工程で、溶液との接触が促進されて速やかに含浸し、請求項1の記載の無臭化反応を確実に促進させることができる。
また請求項3記載のニンニク臭の消臭方法は、原料ニンニクとして、ニンニクを40〜70℃に加熱して、5〜120分保持したニンニクの磨砕物を用い、多価陽イオンを含有する塩基性の化合物を多価陽イオン濃度がニンニク重量の0.001〜2.0%の濃度になるように混合して、pH7.5〜11.0にしたニンニク磨砕物を、有機酸でpH5.0〜7.0に調整する混合工程と、極性基を有する多糖類がニンニク重量の0.001〜2.0%の極性基を有する多糖類の懸濁液をニンニク磨砕物に混合する工程との、両混合工程を行なうことを特徴とするものである。この場合、ニンニク磨砕物への多価陽イオン含有物質溶液と極性基を有する多糖類の懸濁液への混合は順序が逆でもよい。
なお原料ニンニクとして、ニンニクを40〜70℃に加熱して、5〜120分保持したニンニク磨砕物を用いる点は請求項2記載の発明と同様である。また本発明に用いる塩基性の多価陽イオン含有物質としては食品への使用が許可されているものの内、(1)水酸化カルシウム、生石灰、粉末石灰石。(2)環礁サンゴ焼成カルシウム、乳精焼成カルシウム、貝殻焼成カルシウム、卵殻焼成カルシウム、卵殻灰化物、ウニ殻焼成カルシウム、骨焼成カルシウム。(3)海藻灰化物、木灰、骨炭、海藻灰抽出物。(4)木灰抽出物、モウソウ竹灰抽出物、ダイズ灰抽出物。(5)カンスイ、苦汁。等々を挙げることができる。これらは単独でもよいが二種以上を併用してもよい。また、多価陽イオンを含有する有機酸や無機塩類等々を併用してもよい。
また、本発明に用いることのできる極性基を有する多糖類は請求項1記載の発明で説明したものを全て用いることができる。これら極性基を有する多価陽イオン含有物質と多糖類は単独でも、2種以上を併用しても良い。
本発明において、ニンニク磨砕物を塩基性の多価陽イオン含有物質でpH7.5〜11.0にするのは、至適pHが6.0近辺であるアリナーゼの活性が抑制または阻害または失活され、(+)ーSーアリルーLーシステインスルホキシド(アリイン)のアリシンへの分解が抑制、阻害または阻止されるからである。その後、有機酸でpH5.0〜7.0に調整することにより、未処理のニンニクと同様の状態に戻すことができる。その結果、アリシンから臭い成分のジアリルジスルフィド、ジアリルトリスルフィド、アリルメチルスルフィド等々の生成も抑制または阻害または阻止される。
本発明でpH調整に塩基性多価陽イオン含有物質を用いるのは、その後に混合する極性基を有する多糖類と多価陽イオンの反応により、無臭化を更に高める為である。また、pH7.5未満からpH5.0程度では、アリナーゼの活性が抑制されず、更にpHを低下させるとニンニクが緑変することもある。またpH11.0を超えると食味が低下するからである。
これにニンニク磨砕物の0.001〜2.0%量に相当する極性基を有する多糖類を混合するが、これは請求項1記載の発明と同様にpH調製に用いた塩基性の多価陽イオン含有物質の多価陽イオンと極性基を有する多糖類との反応により無臭化を確実にする為である。また本発明において極性基を有する多糖類の添加量を0.001〜2.0%に限定したのは請求項1記載の発明と同様の理由からである。
本発明に係る請求項1記載のニンニク臭の消臭方法によれば、加熱処理した原料ニンニクを希薄な濃度の多価陽イオン含有物質溶液と極性基を有する多糖類の懸濁液への2工程の浸漬を行なう極めて簡単な処理により、ニンニク中で極性基を有する多糖類と多価陽イオンが架橋または配位結合して極性基を有する多糖類分子が網状化し、その結果、新たに生成した電場に有臭成分が結合し、また、網状化した極性基を有する多糖類分子が有臭成分の包摂媒体として作用してニンニク臭の消臭を確実にする。このために食す際にはニンニク臭を有するが、体内での滞留時間の長い有臭成分の生成阻害、分解または包摂が起こり、食後速やかに且つ確実に無臭化し、翌日には影響のないニンニク産品を簡単に製造でき、また製造する際に特別な設備や技術、素材も必要としないので安価に、大量に処理することができる。
また請求項2記載のニンニク臭の消臭方法によれば、原料ニンニクとして、加熱したニンニク鱗片を磨砕した磨砕物を用いることにより、アリナーゼが熱変性し、その活性が抑制または阻害または失活されていると共に、表面積の大きいペースト状とし、多価陽イオン含有溶液と、極性基を有する多糖類の懸濁液との混合工程で、溶液との接触が促進されて速やかに含浸し、更に無臭化反応を確実に且つ短時間で促進させることができる。
また請求項3記載のニンニク臭の消臭方法によれば、加熱したニンニク鱗片を磨砕した磨砕物を用いることにより、アリナーゼが熱変性し、その活性が抑制または阻害または失活されていると共に、表面積の大きいペースト状とし、塩基性の多価陽イオン含有物質でpH7.5〜11.0にすることにより、至適pHが6.0近辺であるアリナーゼの活性が抑制または阻害または失活され、その後、有機酸でpH5.0〜7.0に調整することにより、未処理のニンニクと同様の状態に戻してから、極性基を有する多糖類を混合することにより、極性基を有する多糖類と多価陽イオンが架橋または配位結合し極性基を有する多糖類が網状化する。その結果、新たに生成した電場に有臭成分が結合し、また、網状化した極性基を有する多糖類分子が有臭成分の包摂媒体として作用して、食味を保持した状態で無臭化反応を確実に且つ短時間で促進させることができる。
食す際にはニンニク臭を有するが、体内での滞留時間の長い有臭成分の生成阻害、分解または包摂して食後速やかに且つ確実に無臭化し、翌日には影響のないニンニク産品を実現した。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
(請求項1に該当)
剥皮したニンニク鱗片500gを恒温恒湿機で55℃になるまで加熱してから20分間保持する。冷却後、塩化カルシウム(2水和物)1gを溶解したニンニクと同量の水(カルシウムはニンニク重量の約0.054%)に、ニンニクを入れ攪拌しながら5時間浸漬する。続いてペクチン0.4gを懸濁させたニンニクと同量の水(ペクチンはニンニク重量の約0.08%)にニンニクを入れ攪拌しながら10時間浸漬した。
剥皮したニンニク鱗片500gを恒温恒湿機で55℃になるまで加熱してから20分間保持する。冷却後、塩化カルシウム(2水和物)1gを溶解したニンニクと同量の水(カルシウムはニンニク重量の約0.054%)に、ニンニクを入れ攪拌しながら5時間浸漬する。続いてペクチン0.4gを懸濁させたニンニクと同量の水(ペクチンはニンニク重量の約0.08%)にニンニクを入れ攪拌しながら10時間浸漬した。
この処理ニンニクについて官能検査を行なった。官能検査は、食事をする際に未処理と本発明により処理したニンニク10gに生味噌をつけ食させ、官能検査室で、匂いに敏感な第三者に口臭を評価させることにより行なった。また、消臭効果を厳密に判断するために翌朝起床時に寝室(6畳) の臭いを家人に評価させた。パネリストは各5名、計10名とした。官能検査の結果は表1に示す通りである。
その結果、食す前の処理ニンニクの臭いは生ニンニクと同様に「極めて臭い」であったが、食後8時間の口臭は「全く臭くない」と評価された。しかし、生ニンニクを食した者の口臭は「臭い」と評価された。翌朝起床時の寝室の臭いは「全く臭くない」であったが、生ニンニクを食した者の部屋は「極めて臭い」と評価された。以上のことからニンニクは本発明の処理により明らかに減臭または消臭されることが確認できた。
(請求項2に該当)
剥皮したニンニク鱗片500gを恒温恒湿機で55℃になるまで加熱してから20分間保持する。この磨砕物に塩化カルシウム0.5gを溶解した水(カルシウムはニンニク重量の約0.027%)を混合し、これにペクチン0.2gを懸濁させた懸濁液(ペクチンはニンニク重量の約0.04%)を混合した。このニンニク磨砕物について官能検査を行なった。官能検査は食事の際に、納豆50gに処理ニンニク磨砕物または未処理ニンニク磨砕物10gを混ぜて食させ、官能検査室で、匂いに敏感な第三者に口臭を評価させることにより行なった。また、消臭効果を厳密に判断するために翌朝起床時に寝室(6畳)の臭いを家人に評価させた。パネリストは各5名、計10名とした。この官能検査の結果は表2に示す通りである。
剥皮したニンニク鱗片500gを恒温恒湿機で55℃になるまで加熱してから20分間保持する。この磨砕物に塩化カルシウム0.5gを溶解した水(カルシウムはニンニク重量の約0.027%)を混合し、これにペクチン0.2gを懸濁させた懸濁液(ペクチンはニンニク重量の約0.04%)を混合した。このニンニク磨砕物について官能検査を行なった。官能検査は食事の際に、納豆50gに処理ニンニク磨砕物または未処理ニンニク磨砕物10gを混ぜて食させ、官能検査室で、匂いに敏感な第三者に口臭を評価させることにより行なった。また、消臭効果を厳密に判断するために翌朝起床時に寝室(6畳)の臭いを家人に評価させた。パネリストは各5名、計10名とした。この官能検査の結果は表2に示す通りである。
その結果、食す前の処理ニンニクの臭いは生ニンニクと同様に「極めて臭い」であったが、食後2時間の口臭は「臭い」、食後5時間では「やや臭い」、8時間では「全く臭くない」であった。しかし、生ニンニクを食した者の口臭は食後2、5時間が「極めて臭い」、8時間が「臭い」と評価された。翌朝起床時の寝室の臭いは処理ニンニクを食した者の部屋は「全く臭くない」、生ニンニクを食した者の部屋は「極めて臭い」と評価された。以上のことからニンニクは本発明の処理により明らかに減臭または消臭されることが確認できた。
(請求項3に該当)
剥皮したニンニク鱗片500gを恒温恒湿機で55℃になるまで加熱してから20分間保持する。これを磨砕してから水酸化カルシウム0.3gを懸濁させた水(カルシウムはニンニク重量の約0.032%)を加えてpH8.5にした後に、クエン酸水溶液を加えてpH6.0に調整した。これにペクチン0.2gを懸濁させた懸濁液(ペクチンはニンニク重量の約0.04%)を混合した。このニンニク磨砕物について官能検査を行なった。官能検査の方法は食事の際に、納豆50gに処理ニンニク磨砕物または未処理ニンニク磨砕物10gを混ぜて食させ、官能検査室で、匂いに敏感な第三者に口臭を評価させることにより行なった。また、消臭効果を厳密に判断するために翌朝起床時に寝室(6畳)の臭いを家人に評価させた。パネリストは各5名、計10名とした。この官能検査の結果は表3に示す通りである。
剥皮したニンニク鱗片500gを恒温恒湿機で55℃になるまで加熱してから20分間保持する。これを磨砕してから水酸化カルシウム0.3gを懸濁させた水(カルシウムはニンニク重量の約0.032%)を加えてpH8.5にした後に、クエン酸水溶液を加えてpH6.0に調整した。これにペクチン0.2gを懸濁させた懸濁液(ペクチンはニンニク重量の約0.04%)を混合した。このニンニク磨砕物について官能検査を行なった。官能検査の方法は食事の際に、納豆50gに処理ニンニク磨砕物または未処理ニンニク磨砕物10gを混ぜて食させ、官能検査室で、匂いに敏感な第三者に口臭を評価させることにより行なった。また、消臭効果を厳密に判断するために翌朝起床時に寝室(6畳)の臭いを家人に評価させた。パネリストは各5名、計10名とした。この官能検査の結果は表3に示す通りである。
その結果、食す前の処理ニンニクの臭いは生ニンニクと同様に「極めて臭い」であったが、食後2時間の口臭は「殆んど臭くない」、食後5、8時間は「全く臭くない」であった。しかし、生ニンニクを食した者の口臭は食後2、5時間が「極めて臭い」、8時間が「臭い」と評価された。翌朝起床時の寝室の臭いは処理ニンニクを食した者の部屋は「全く臭くない」、生ニンニクを食した者の部屋は「極めて臭い」と評価された。以上のことからニンニクは本発明の処理により明らかに減臭または消臭されることが確認できた。
請求項1の方法で処理したニンニク鱗片はスライスして料理用とすることの他、すりおろして刺身等々の薬味とすることもできるので料理へのニンニクの利用を拡大できる。また、鱗片をスライスしてスナック菓子にすることもできる。また請求項2、3の方法で処理したニンニク磨砕物は、そのまま餃子やキムチ等の材料として使用することができ、更にニンニクを素材とした新たな産品を創出することができるのでニンニクの用途拡大が期待できる。
Claims (3)
- 原料ニンニクとして、ニンニクを40〜70℃に加熱して、5〜120分保持したものを用いて、多価陽イオン濃度がニンニク重量の0.001〜2.0%の多価陽イオン含有溶液に原料ニンニクを5分〜24時間浸漬する工程と、極性基を有する多糖類がニンニク重量の0.001〜2.0%の極性基を有する多糖類の懸濁液に原料ニンニクを5分〜48時間浸漬する工程との、両浸漬工程を行なうことを特徴とするニンニク臭の消臭方法。
- 原料ニンニクとして、ニンニクを40〜70℃に加熱して、5〜120分保持したニンニクの磨砕物を用いて、多価陽イオン濃度がニンニク重量の0.001〜2.0%の多価陽イオン含有溶液をニンニク磨砕物に混合する工程と、極性基を有する多糖類がニンニク重量の0.001〜2.0%の極性基を有する多糖類の懸濁液をニンニク磨砕物に混合する工程との、両混合工程を行なうことを特徴とするニンニク臭の消臭方法。
- 原料ニンニクとして、ニンニクを40〜70℃に加熱して、5〜120分保持したニンニク磨砕物を用い、多価陽イオンを含有する塩基性の化合物を多価陽イオン濃度がニンニク重量の0.001〜2.0%の濃度になるように混合して、pH7.5〜11.0にしたニンニク磨砕物を、有機酸でpH5.0〜7.0に調整する混合工程と、極性基を有する多糖類がニンニク重量の0.001〜2.0%の極性基を有する多糖類の懸濁液をニンニク磨砕物に混合する工程との、両混合工程を行なうことを特徴とするニンニク臭の消臭方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011010612A (ja) * | 2009-07-03 | 2011-01-20 | Acera:Kk | アリイン含有量の高い脱臭ニンニクの製造方法 |
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KR101799909B1 (ko) * | 2017-06-13 | 2017-11-22 | 주식회사 다림바이오텍 | 마늘의 냄새 제거 방법 |
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2004
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