JP2005204452A - 固定子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 製造コストの上昇を抑制し、コイルの固定子鉄心に対する相対運動を抑制する。
【解決手段】 固定子の製造方法は、コイルの内周側と固定子鉄心との間に絶縁材を充填するステップ(S1000)と、コイルをスロットに挿入して、コイルをティースに巻着させるステップ(S1100)と、コイルの積層方向に隣接する2つの平板導体におけるティースを跨いで互いに対向する位置にある2つの開放端部をティースを跨いで閉じる方向に接続する接続部材を接合するステップ(S1200)とを含む。
【選択図】 図17
【解決手段】 固定子の製造方法は、コイルの内周側と固定子鉄心との間に絶縁材を充填するステップ(S1000)と、コイルをスロットに挿入して、コイルをティースに巻着させるステップ(S1100)と、コイルの積層方向に隣接する2つの平板導体におけるティースを跨いで互いに対向する位置にある2つの開放端部をティースを跨いで閉じる方向に接続する接続部材を接合するステップ(S1200)とを含む。
【選択図】 図17
Description
本発明は、回転電機を構成する固定子の製造方法に関し、特に、コイルと固定子鉄心との固定方法に特徴を有する固定子の製造方法に関する。
通常、モータの構造において、コイルは固定子鉄心に固定される。特にEV(Electric Vehicle)やHV(Hybrid Vehicle)に用いられるモータの構造においては、車両の加減速や旋回による慣性力によりコイルに非常に大きな力がかかる。そのため、固定子鉄心に対してコイルが相対運動しないように、ワニス処理や樹脂によるモールド処理を施すことによりコイルを固定子鉄心に固定する必要がある。すなわち、従来のモータの構造においては、まず、固定子鉄心のスロットに絶縁紙が挿入される。そして、コイルが固定子鉄心に巻着される。その後、絶縁またはコイルを固定子鉄心に固定するためにワニス処理がコイルに対して施される。あるいは、絶縁またはコイルの固定子鉄心への固定の他、さらに放熱性を向上させるためにコイルにモールド処理を施したモータもある。
図23にコイルにワニス処理を施す従来のモータの製造工程を示す。
ステップ(以下、ステップをSと略す。)2000にて、固定子鉄心にエナメル被覆された銅線を巻く。S2100にて、固定子鉄心に巻着されたコイルのコイルエンド部の形状を予め設定された形状に成形するいわゆるコイルエンド成形を行なう。S2200にて、コイルに対してワニス処理を施す。S2300にて、ワニス処理を施したコイルを加熱する加熱硬化処理を行なう。S2400にて、加熱硬化処理を施した固定子鉄心を筐体に組み付ける。
また、固定子鉄心のスロット内に、複数枚の平板U字状のコイルを積層して成るモータ構造について、以下の特許文献1に開示されている技術がある。
特開2000−14068号公報(特許文献1)は、高出力化を達成しつつ、固定子巻線と固定子鉄心との間の絶縁が確実な車両用交流発電機の固定子を開示する。この車両用交流発電機の固定子は、内周側に開口部が形成された複数のスロットを有する固定子鉄心と、スロット内に収容される収容部を有する固定子巻線を形成する電気導体とを備える。固定子巻線の収容部とスロットの内壁面との間には、電気絶縁部材が介在する。電気絶縁部材は開口部を閉塞する閉塞部を有する。
特許文献1に開示された車両用交流発電機の固定子によると、スロット内周側の開口部が電気絶縁部材の閉塞部で塞がれているため、スロットの開口部からの電気導体の飛び出しを防止できる。また、開口部から塩水等の電解液が侵入するのを防ぐことができ、電気導体の被膜が電解作用により破損して絶縁不良を起こすことを防止できる。また、別体の押圧部材をスロット内に挿入する必要がないため、押圧部材挿入時の電気導体の絶縁被膜の破損や、押圧部材の組み付け不良等の問題も回避できる。
特開2000−14068号公報
図23に示すようなワニス処理においては、コイルにワニスを含浸させた後にワニスを硬化させる工程のために熱処理炉が必要である。また、樹脂等によるモールド処理においては型にモールドを施す対象物を入れ温度を上げ射出成形する工程のための炉や射出成形機が必要である。そのため、ワニス処理やモールド処理によりコイルと固定子鉄心の相対運動を抑制すると製造コストが上昇する問題がある。
コイルが固定子鉄心に固定されず、コイルの固定子鉄心に対する相対運動が可能な場合、コイルのエナメル被覆は固定子鉄心との摩擦により損傷する恐れがある。あるいは、コイルのエナメル被覆は、固定子鉄心のエッジにより損傷する恐れがある。その結果、コイルの絶縁性能が確保できなくなる問題がある。
しかしながら、上述した特許文献1には、外部からの慣性力に対するコイルの固定についての技術は開示されていないため、上述した従来のモータ製造工程の問題点を解決し得ない。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、製造コストの上昇を抑制し、コイルの固定子鉄心に対する相対運動を抑制するための簡易な構造を有する回転電機の固定子の製造方法を提供することである。
第1の発明に係る固定子の製造方法は、回転子と固定子とからなる回転電機における固定子の製造方法である。固定子は、複数のスロットとスロット間に形成されるティースとを有する固定子鉄心と、複数枚の平板導体を積層したコイルとを含む。コイルは、平板導体の積層方向から見て、ティースに巻着可能な開放端部を有する矩形形状の薄板である。固定子の製造方法は、コイルをスロットに挿入して、コイルをティースに巻着させるステップと、コイルの積層方向に隣接する2つの平板導体におけるティースを跨いで互いに対向する位置にある2つの開放端部をティースを跨いで閉じる方向に接続する接続部材を接合するステップと、コイルの内周側と固定子鉄心との間に絶縁材を充填するステップとを含む。
第1の発明によると、コイルをティースに巻着させるステップにて、複数枚の平板導体を積層したコイルを、複数のスロットを有する固定子鉄心のスロット間に形成されるティースに巻着させる。接続部材(たとえば、バスバー)を接合するステップにて、コイルの積層方向に隣接する2つの平板導体におけるティースを跨いで互いに対向する位置にある2つの開放端部をティースを跨いで閉じる方向に接続するバスバーを接合する。絶縁材を充填するステップにて、コイルの内周側と固定子鉄心との間を絶縁材で充填した状態にする。たとえば、コイルの内周側と固定子鉄心との間に絶縁材を設けた後にバスバーを組み付けて、コイルのコイルエンド部とバスバーを挟み込むようにして、荷重を付与する。そして、荷重を付与した状態でバスバーとコイルの開放端部とを接合する。このようにして、コイルの内周側と固定子鉄心との間に絶縁材を充填した状態にすることにより、コイルと固定子鉄心との間に応力を発生させることができる。応力の発生により、コイルと固定子鉄心との間における接触面圧が上昇する。そのため、上昇した接触面圧分の摩擦力により、コイルと固定子鉄心との間における相対運動を抑制することが可能となる。その結果、従来のワニス、モールド処理の工程を廃止することができる。したがって、製造コストの上昇を抑制し、コイルの固定子鉄心に対する相対運動を抑制するための簡易な構造を有する回転電機の固定子の製造方法を提供することができる。また、コイルエンド部およびバスバーと固定子鉄心とのそれぞれの間を絶縁材で埋まるため、コイルで発生した熱を固定子鉄心へと放熱する経路を増加させることができる。そのため、コイルの放熱性が向上する。
第2の発明に係る固定子の製造方法においては、第1の発明の構成に加えて、固定子の製造方法は、固定子鉄心とコイルとの間における温度差が発生する状態にするステップをさらに含む。
第2の発明によると、温度差を発生する状態にするステップにて、固定子鉄心とコイルとの間に温度差を発生する状態にする。すなわち、コイルは、加熱されると常温における元の形状から膨張した膨張状態となる。または、固定子鉄心は、冷却されると常温における元の形状から収縮した収縮状態となる。コイルの膨張状態および固定子鉄心の収縮状態のうち少なくとも一方の状態にすることにより、コイルと固定子鉄心との間に温度差を発生する状態とすることができる。温度差を発生する状態において、コイルおよびバスバーを固定子鉄心に組み付け、コイルエンド部とバスバーを挟み込むようにして荷重を付与した状態でバスバーを接合する。そして、コイルまたは固定子鉄心は、常温に戻ると、元の形状に戻る。すなわち、コイルは、膨張状態から収縮する。一方、固定子鉄心は、収縮状態から膨張する。このとき、コイルと固定子鉄心との間における熱膨張差を利用することで、コイルと固定子鉄心との間において応力が発生する。応力が発生することにより、コイルと固定子鉄心とを密着させることができる。すなわち、コイルと固定子鉄心との間において、接触面圧の上昇により、相対運動を抑制することが可能となる。
第3の発明に係る固定子の製造方法においては、第1または2の発明の構成に加えて、接合するステップは、加熱により接合を行なうステップを含む。
第3の発明によると、接合するステップにて、加熱(たとえば、溶接)により接続部材(たとえば、バスバー)とコイルとの接合を行なう。コイルおよびバスバーを固定子鉄心に組み付け、コイルエンド部とバスバーを挟み込むようにして荷重を付与した状態でバスバーを接合する。このとき、バスバーの接合を加熱処理を伴う溶接により行なう。溶接時にコイルおよびバスバーは加熱により常温における元の形状から膨張した膨張状態となる。そして、溶接後、接合部が常温に戻ると、コイルおよびバスバーは元の形状に戻る。すなわち、コイルおよびバスバーは膨張状態から収縮する。これにより、コイルと固定子鉄心との間に応力を発生させることができる。コイルおよびバスバーと固定子鉄心との熱膨張差を利用して応力を発生させることにより、コイルおよびバスバーと固定子鉄心とを密着させることができる。すなわち、コイルと固定子鉄心との間において、接触面圧の上昇により、相対運動を抑制することが可能となる。
第4の発明に係る固定子の製造方法においては、第1〜3のいずれかの発明の構成に加えて、絶縁材は、弾性を有する。
第4の発明によると、絶縁材として弾性を有する部材を用いる。絶縁材、コイルおよびバスバーを固定子鉄心に組み付け、コイルエンド部とバスバーを挟み込むようにして荷重を付与した状態でバスバーを接合する。これにより、弾性を有する絶縁材を荷重の付与により弾性変形させる。そして、弾性変形させた状態でバスバーが接合されるため、コイルと固定子鉄心との間において、絶縁材が変形前の元の形状に戻ろうとする弾性力が発生する。弾性力を発生させることにより、コイルと固定子鉄心との拘束性を高めることができる。すなわち、コイルと固定子鉄心との間において相対運動を抑制することが可能となる。
第5の発明に係る固定子の製造方法においては、第1〜4のいずれかの発明の構成に加えて、固定子鉄心は、弾性を有するように形成される。
第5の発明によると、固定子鉄心を、弾性を有するように形成する。たとえば、固定子鉄心として軸方向に積層した電磁鋼板が用いると、軸方向に弾性を有するように形成することができる。この固定子鉄心自体の弾性を利用することで、コイルと固定子鉄心との間に応力を発生させることができる。すなわち、絶縁材、コイルおよびバスバーを固定子鉄心に組み付け、コイルエンド部とバスバーを挟み込むようにして荷重を付与した状態でバスバーを接合する。これにより、弾性を有する固定子鉄心は、荷重が付与されることにより弾性変形する。そして、固定子鉄心が弾性変形した状態でバスバーが接合されるため、コイルと固定子鉄心との間において、固定子鉄心が変形前の元の形状に戻ろうとする弾性力が発生する。弾性力を発生させることにより、コイルと固定子鉄心との拘束性を高めることができる。すなわち、コイルと固定子鉄心との間において相対運動を抑制することが可能となる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る固定子の製造方法について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
本実施の形態に係る固定子の製造方法を説明するにあたり、まず、この固定子の製造方法により製造された回転電機の固定子の構造について同期モータの固定子を一例として説明する。
<第1の実施の形態>
第1の実施の形態に係る固定子は、固定子と永久磁石からなる回転子とから構成される同期モータの固定子である。固定子100は、図1に示すように固定子鉄心(以下、ステータコアともいう。)102と、コイル112と、バスバー110と、バスバー位置決めブロック104と、渡り部材106とから構成される。
第1の実施の形態に係る固定子は、固定子と永久磁石からなる回転子とから構成される同期モータの固定子である。固定子100は、図1に示すように固定子鉄心(以下、ステータコアともいう。)102と、コイル112と、バスバー110と、バスバー位置決めブロック104と、渡り部材106とから構成される。
ステータコア102は、複数の電磁鋼板が積層され中空円筒形状を形成している。そして、ステータコア102は、同期モータの回転軸に平行な方向に所定数の溝(以下、スロットという。)を有している。所定数のスロットは、極数に対応した個数を有している。極数は、特に限定されるものではないが本実施の形態においては、たとえば、21とする。また、スロット間には、歯部(以下、ティースという。)108を有している。ティースの個数もスロットと同様に極数に対応している。したがって、本実施の形態において、極数が21のステータコア102は、21個のティース間に21個のスロットが形成されている。
そして、ティース108には、開放端部が巻着可能に開いた複数の予め定められた形状の平板導体(図示せず)が積層された積層体コイル(図示せず)が同期モータの回転軸に平行な方向に、ティース108を跨ぐようにして、ティース108の両脇のスロットに挿入されている。この積層体コイルは、予め定められた形状の平板導体が予め定められた積層枚数だけ積層された積層平板導体である。また、平板導体は、導体の平板であれば特に限定されるものではないが、本実施の形態において、たとえば、平板導体を導体の金属平板として以下説明する。そして、ティース108の両脇のスロットにおいては、同期モータの径方向に複数の積層体コイルが挿入されている。挿入される積層体コイルの数は、特に限定されるものではないが、たとえば、本実施の形態においては、ティース108を跨ぐようにして径方向に10個の積層体コイルが挿入されている。
積層体コイルの開放端部は、直線形状の導体であるバスバー110の接合部と接合される。このとき、バスバー110の一方端部は、積層体コイルの開放端部の一方と接合される。そして、バスバー110の他方端部は、積層体コイルに隣接する積層体コイルが有する開放端部の一方に接合される。以下同様に、10個の積層体コイルの開放端部の一方がバスバーを介して隣接する積層体コイルの開放端部の一方とそれぞれ接続されることにより、ティース108にコイルが10回巻着された状態となる。すなわち、積層体コイルの開放端部を閉じて10ターンのコイル112が形成される。
ティース108において複数の積層体コイルの開放端部間を接続するための複数のバスバーが位置決めされてバスバー位置決めブロック104に固定される。そのため、バスバー位置決めブロック104が所定の位置に設置され、押圧されることにより、複数の積層体コイルの開放端部にそれぞれ対応したバスバーが組み付けられる。そして、レーザ溶接、あるいは、TIG(Tungsten Inert Gas arc)溶接などの接合処理により、組み付けられたバスバーと開放端部とが接合される。
複数のバスバーが接続されて、ティース108に巻着されたコイル112は、ティース108の両脇のスロットのうち一方のスロットの内周側と他方のスロットの外周側にそれぞれバスバーと接続されないコイル端部を有する。そして、コイル端部の各々は、他のティースに巻着されたコイルと渡り部材106により接続される。また、ステータコア102に含まれる他のティースにおいても同様に、10ターンのコイルが形成されている。そして、各ティースのコイル間の接続は、3ティース毎のコイル端部が渡り部材を用いて接続される。そして、コイル端部140,142,144は、渡り部材により互いに接続される。このようにして、三相の同期モータの固定子100が形成される。そして、コイル端部134,136,138のそれぞれに交流電力の位相を制御して供給することにより、磁界が発生する。同期モータの回転子は、発生した磁界に基づいて回転力を得る。
積層体コイルを構成する金属平板の材質は、本実施の形態において、たとえば、銅圧延素材である。金属平板として銅圧延素材を用いることにより、銅が高い熱伝達率を有するために、よりコイルの放熱性を向上させることができる。また、銅は内部抵抗が低く、導体として伝導率も高い。そのため、電流密度を向上させたときの発熱も低減させることができる。そして、銅圧延素材の金属平板の表面には酸化銅の絶縁被覆の表面処理が施されている。
また、積層体コイルを構成するステータコアに巻着可能に開いた予め定められた形状の金属平板は、開放端部と、互いに平行な2つの部材と、2つの部材を接続する接続端部とを有する形状である。本実施の形態においては、積層体コイルは、たとえば、コの字形状の金属平板を積層して形成される。すなわち、積層体コイルは、プレス工程においてコの字形状にプレス成型された金属平板が積層されて形成される。ただし、プレス成型される金属平板の形状は、コの字形状に特に限定されるものではない。たとえば、金属平板は、U字形状にプレス成型されてもよい。
図2に示すように、本実施の形態における積層体コイル114は、複数のコの字形状の金属平板が積層されて形成される。このとき、積層体コイル114の開放端部と互いに平行な2つの部材、すなわち、コの字形状における平行な上底および下底とがティース108の両脇のスロット146,148にそれぞれ挿入される。また、上底および下底を接続する接続端部は、コイルエンド部を形成する。このとき、積層体コイル114において、スロット146,148へ挿入される上底および下底の断面を図3(A)に示す。また、コイルエンド部を形成する接続端部の断面を図3(B)に示す。図3(A)および図3(B)を比較すると、積層体コイル114においてコイルエンド部を形成する接続端部の断面積は、スロット146,148に挿入される上底および下底の断面積よりも大きい。
そのため、コイルエンド部およびスロット146,148における積層体コイル114の断面積を同じとした場合に比べて、コイルエンド部を形成するコイルの体積が増加する。そして、コイルエンド部における熱容量が向上する。スロット内に発熱した熱は、熱抵抗の殆どない同一ターンのコイルエンド部に伝達される。その結果、スロット内のコイルからコイルエンド部への放熱性が向上する。したがって、スペースの小さなスロット内のコイルにおいて電流密度を向上させることが可能となる。すなわち、電流密度が向上した分のステータコア102の小型化が可能となる。
以下、図2を用いて説明したように積層体コイル114においてコイルエンド部を形成する接続端部の断面積を、スロットへ挿入される上底および下底の断面積よりも大きくすることにより、スロット内の電流密度を向上させることができる原理について説明する。
コイルの短時間の熱定格として以下のように考える。1)コイルの発熱がすべてコイルの温度上昇に使われているとする。2)コイルの温度はどの部分も均一とする。また、同一ターン内の積層体コイル内部の熱抵抗は、外部への放熱抵抗よりも十分小さい。
このとき、積層体コイルの全発熱量Qは、Q=2×(Ra(積層体コイル114の上底および下底の抵抗)+Rb(積層体コイル114の接続端部の抵抗))×I2(電流)×dt(通電時間)と表わすことができる。すなわち、Q=γ(銅比熱)×ρ(銅密度)×2×(Aa(上底および下底の断面積)×La(上底および下底の長さ)+Ab(接続端部の断面積)×Lb(接続端部の長さ))×dT(温度上昇)となる。なお、本実施の形態において上底および下底の長さは、それぞれ同じ長さである。
一方、コイル抵抗Rは、R=2×(Ra+Rb)=2×α(比抵抗)×(La/Aa+Lb/Ab)と表わすことができる。
すなわち、Q=2×α×(La/Aa+Lb/Ab)×I2×dt=γ×ρ×2×(Aa×La+Ab×Lb)×dTとなる。ここで、Lb=X×Laとし、Ab=Aaとして、上述した式を整理すると、(I/Aa)2=γ×ρ/α×(dT/dt)×(X×Y2+Y)/(X+Y)となる。すなわち、上述した式の右辺のγ×ρ/α×(dT/dt)の項が一般のモータにおいて、スロット側の上底および下底の断面積と、コイルエンド側の接続端部の断面積とが同じである場合の実質的な式となる。すなわち、定格時間における温度上昇dTは、電流密度(I/Aa)の2乗に比例する。また(X×Y2+Y)/(X+Y)の項は、スロット側の上底および下底の長さおよび断面積とコイルエンド側の接続端部の長さおよび断面積とが異なる場合に憂慮すべき項である。たとえば、LbがLaの長さの0.3倍(X=0.3)かつAbがAaの断面積の3倍(Y=3)のとき、(X×Y2+Y)/(X+Y)の項は、1.314となる。すなわち、同一温度条件で約1.3倍のスロット内の電流密度を向上させることができる。これは、約3割のステータコアの小型化が可能であることを意味する。以上のことから、積層体コイル114において、コイルエンド部を形成する接続端部の断面積をスロットへ挿入される上底および下底の断面積よりも大きくすることにより、スロット内の電流密度を向上させることができる。
また、スロット内のコイルにおいては、ステータコア102と接触している。そのため、銅損により発生した熱をステータコアに放熱することにより、温度を低く維持しやすい。一方、コイルエンド部のコイルにおいては、空気にさらされている。そのため、銅損により発生した熱を外部に放熱することが難しい。そこで、本実施の形態において、コイルエンドを形成する金属平板をステータコア102に接触するようにコの字形状を形成する。その結果、コイルエンド部からステータコア102への放熱が可能となる。そのため、コイルエンド部の放熱性を高めることができる。すなわち、たとえば、スロットがステータコアの端面に直交して形成されている場合、コの字形状のコイルを積層方向から見て上底および下底と接続端部との内側の角度を直角にする。そのため、コイルエンドを形成する金属平板をステータコアに接触させることができる。また、たとえば、スロットがスキュー角をつけて形成される場合においても、上底および下底と接続端部との内側の角度をスキュー角に対応した角度にする。そのため、コイルエンドを形成する金属平板をステータコアに接触させることができる。
また、モータの体格の軸方向の長さは、ステータコアとステータコアに巻着されたコイルエンド部の体格で規定される。そのため、金属平板および積層体コイルをコの字形状に形成することにより、コイルエンド部の占積率を高めることができる。その結果、固定子の小型化が図れる。
次に、積層体コイル114を形成する複数のコの字形状の金属平板には、図2の積層体コイル114に示されるように、3ヶ所の突出部が設けられている。そして、積層体コイル114を形成するために、金属平板の突出部の凹部に他の金属平板の突出部の凸部を圧入するいわゆる積層カシメにより互いが固定される。そして、同様に予め定められた枚数の金属平板に対して、積層カシメにより固定することにより、積層体コイル114が形成される。積層体コイル114を形成する金属平板が互いに固定されることにより、積層体毎の運搬が可能となる。その結果、固定子に対して積層体コイル114の組み付け時の作業性が向上する。なお、予め定められた枚数は、特に限定されるものではないが本実施の形態において、3枚または4枚の金属平板の積層により積層体コイル114が形成される。
図4(A)は、コの字形状の金属平板116の突出部を含むように積層方向に切断した断面図である。そして、図4(B)に示すように積層カシメにより、金属平板116の突出部の凸部が金属平板120の突出部の凹部に圧入される。そして、金属平板120の凸部が金属平板122に設けられた穴部に圧入されて互いに固定される。このようにして、図4(C)に示すような積層体コイル114が形成される。
また、隣接する積層体コイルとの固定には、接着剤を用いてもよい。すなわち、金属平板の突出部の凹部を接着剤の受け皿として塗布することにより、図4(D)に示すように積層体コイル114と積層体コイル124との接着を行なってもよい。積層体コイル同士を接着する際に、カシメ部を接着材の受け皿とすることができる。そのため、コイルの組み立て時の作業性を向上させることができる。
以下の説明において、上述した固定子100の構成に基づき、銅圧延素材から固定子100が形成される過程について説明する。
図5は、銅圧延素材の金属平板126の外観を示す図である。銅圧延素材の金属平板126の表面には、酸化銅の絶縁被覆の表面処理がされている。プレス工程において、銅圧延素材の金属平板126は、コの字形状にプレス成型される。そして、コの字形状にプレス成型された金属平板は、図4において説明したように、予め定められた枚数だけ積層される。そして、金属平板を積層カシメにより互いに固定することにより、図6(A)に示すように、積層体コイル114が形成される。そして、積層体コイル114は、図6(B)に示すように、隣接する積層体コイルに対する絶縁処理が行なわれる。隣接する積層体コイルとの絶縁は、特に限定されるものではないが、たとえば、ガラス等の無機材質を介在させてもよいし、積層体毎にエナメル処理を施してもよい。そして、積層体コイル114は、図6(C)に示すように、絶縁体上の所定の位置に接着剤を塗布して、他の積層体コイルと接着することができる。あるいは、図4(D)を用いて説明したように積層体コイルの互いの突出部の凹部を接着剤の受け皿として用いてもよい。
絶縁体を介在させて複数の積層体コイルを接着することにより、図7に示すようにコイル112が形成される。このとき、コイル112を形成する積層体コイルのそれぞれにおいて異なる寸法を有するコの字形状の金属平板を積層する。このようにして、スロットに挿入される積層体コイルの断面形状を自由に設定することができる。すなわち、スロットの形状に合わせて、同期モータの径方向の内周側から外周側にかけて、(図7において、上部から底部にかけて)、コの字形状のスロットに挿入される金属平板の幅を大きくする。そのため、スロット内におけるコイル112の占積率を高くすることができる。
複数の積層体コイルにより形成されたコイル112は、図8に示すように、ステータコア102のティース108を跨ぐようにして挿入される。すなわち、コイル112の上底および下底に対応するそれぞれの開放端部は、同期モータの回転軸方向と平行な方向に、ティース108の両脇のスロット146,148に対してそれぞれ挿入される。
積層体コイルの開放端部とバスバーとが接触する接触部において、予め定められた枚数の金属平板のうちの一部に板厚方向と直交する長さを異なる長さとして所定形状の切り欠きを設けることにより、嵌合部が形成される。嵌合部を形成することにより、バスバーの組付け性が向上する。
図9に、スロット146,148に挿入されたコイル112の開放端部を示す。図9に示すように、コイル112を形成する積層体コイルは、積層体コイルの各々において異なる形状の嵌合部を有する。また、各積層体コイルの各々において、異なる形状の嵌合部を有することにより、すなわち、積層体コイル間において開放端部の断面形状が異なるように開放端部に切り欠きを有することにより、バスバーが組み付けられる際に、組み付け間違いを防止することができる。異なる嵌合部の形状は、積層体コイルを形成する金属平板において、所定形状の切り欠きを有する金属平板の枚数を変更することにより実現できる。
なお、図10に示すように、各積層体コイルの接合部に対応した複数のバスバーを個別に組み付ける場合、少なくとも隣接する積層体コイルにおける嵌合部の形状と異なることとする。隣接する積層体コイルの嵌合部の形状が異なることにより、すなわち、隣接する積層体コイルにおいて開放端部の断面形状が異なることにより、バスバーの組み付け間違いを防止することができる。
特に、図11に示すように、複数のバスバーが固定された位置決めブロック104により一度に組み付け等の作業を行なう場合は、コイル112における各積層体コイルの開放端部の嵌合部において少なくとも1つが異なる形状を有することにより、バスバーの組み付け時の組み付け間違いを防止することができる。さらに、接合場所が特定されるために、位置決めを行なうための治具なしで接合処理を施すことができる。本実施の形態においては、内周側の3つの積層体コイルと、中央の3つの積層体コイルと、外周側の4つの積層体コイルとで嵌合部は、それぞれ異なる形状を有する。
バスバーが積層体コイルに組み付けられると、図12に示すように、コイル112に組み付けられたバスバーと各積層体コイルの開放端部とのそれぞれの嵌合部は、一点毎にレーザ溶接、あるいは、TIG溶接により多点接合される。
バスバーと各積層体コイルの開放端部とが接合されると、渡り部材を用いてティース毎に巻着されたコイルが接続される。すなわち、本実施の形態の同期モータは、三相の交流同期モータであるため、3ティース毎にコイルの外周側のコイル端部と内周側のコイル端部とが図13に示すように、渡り部材を用いて接続される。そして、図14に示すように、コイル112と渡り部材106とをレーザ溶接あるいはTIG溶接により、接合処理が施される。その結果、図1に示すような固定子100が形成される。そして、コイルエンド部に対して樹脂等を用いてモールド処理が施されて、図15に示すような固定子100が形成される。
本実施の形態に係る同期モータの固定子の製造方法により製造された固定子100においては、ステータコア102とコイル112との間を絶縁材で充填されている。たとえば、固定子100を回転中心から外周方向に見た図16に示すように、ステータコア102に絶縁材200,202とを組み付けた後に、コイル112のコイルエンド部とバスバー110とを挟み込むようにして荷重を付与する。荷重を付与した状態でバスバーを接合する。これにより、コイル112とステータコア102との間を絶縁材200,202で充填された状態となる。このとき、荷重を付与した状態でバスバー110を接合しているため、コイル112とステータコア102との間において応力が発生した状態となる。このとき、発生した応力により、コイル112とステータコア102との接触面圧が上昇する。接触面圧の上昇による摩擦力を利用することにより、コイル112とステータコア102との間における相対運動を抑制して、付着された絶縁材料の傷つきを防止するものである。なお、付与する荷重は、接合後に応力が発生する荷重であれば特に限定されない。
本実施の形態に係る同期モータの固定子の製造方法は、図17に示すような手順で行なわれる。
S1000にて、絶縁部材をステータコア102にセットする。ステータコア102のティース108に対して絶縁材200,202を組み付ける。
S1100にて、ステータコア102に設けられるティース108にコイル112を組み付ける。すなわち、コイル112をティース108を跨ぐようにして挿入する。
S1200にて、コイル112の開放端部に対してバスバー110を組み付けて接合する。このとき、コイル112の開放端部にバスバー110を組み付けた後に、コイル112のコイルエンド部とバスバー110とを挟み込むようにして荷重を付与する。そして、荷重を付与した状態でバスバー110とコイル112の開放端部とを接合する。S1300にて、完成した固定子100をケースに組み付ける。
また、バスバー110をコイル112の開放端部に接合したときに、コイル112とステータコア102との間に発生する応力は、以下のようにして、さらに発現させることができる。
すなわち、ステータコア102を弾性を有するように形成する。ステータコア102は、図18に示すように、電磁鋼板103を複数枚回転軸と平行な方向に積層されて形成される。そのため、回転軸と平行な方向の力に対して弾性を有する。すなわち、ステータコア102を構成する1枚ずつの電磁鋼板103同士において、回転軸と平行な方向のわずかな隙間が生じる。そのため、回転軸と平行な方向の力を受けると、この隙間がなくなるようにステータコア102自体が弾性変形する。このとき、電磁鋼板の各々において、変形前の元の形状に戻ろうとする弾性力が発生する。バスバー110とコイル112に対して荷重が付与された状態で接合されることにより発生する応力と、ステータコア102の弾性変形により発生する弾性力とにより、コイル112とステータコア102との拘束性を高めることができる。そのため、コイル112とステータコア102との間の相対運動を抑制することが可能となる。
また、図19に示すように、バスバー110とコイル112の開放端部とは、溶接により接合する。そのため、バスバー110とコイル112の開放端部とは、加熱により常温における元の形状から膨張した膨張状態となる。そして、膨張状態でバスバー110とコイル112の開放端部とが接合される。そのため、コイル112の開放端部とバスバー110との接合部が常温に戻ると、バスバー110とコイル112の開放端部は元の形状に戻る。すなわち、バスバー110とコイル112の開放端部は、膨張状態から収縮する。熱収縮により、バスバー110が接合されたコイル112とステータコア102とを密着させることができる。このとき、コイル112とステータコア102との間には、回転軸と平行な方向の応力が発生する。そのため、コイル112とステータコア102との間における接触面圧が上昇する。したがって、接触面圧の上昇分の摩擦力により、コイル112とステータコア102との間の相対運動を抑制することが可能となる。
以上のようにして、本実施の形態に係る固定子の製造方法においては、コイルをティースに巻着させるステップにて、複数枚の平板導体を積層したコイルを、複数のスロットを有するステータコアのスロット間に形成されるティースに巻着させる。バスバーを接合するステップにて、コイルの積層方向に隣接する2つの平板導体におけるティースを跨いで互いに対向する位置にある2つの開放端部をティースを跨いで閉じる方向に接続するバスバーを接合する。絶縁材を充填するステップにて、コイルの内周側とステータコアとの間を絶縁材で充填した状態にする。たとえば、コイルの内周側とステータコアとの間に絶縁材を設けた後にバスバーを組み付けて、コイルのコイルエンド部とバスバーを挟み込むようにして、荷重を付与する。そして、荷重を付与した状態でバスバーとコイルの開放端部とを接合する。このようにして、コイルの内周側とステータコアとの間に絶縁材を充填した状態にすることにより、コイルとステータコアとの間に応力を発生させることができる。応力の発生により、コイルとステータコアとの間における接触面圧が上昇する。そのため、上昇した接触面圧分の摩擦力により、コイルとステータコアとの間における相対運動を抑制することが可能となる。その結果、従来のワニス、モールド処理の工程を廃止することができる。したがって、製造コストの上昇を抑制し、コイルのステータコアに対する相対運動を抑制するための簡易な構造を有する回転電機の固定子の製造方法を提供することができる。
また、コイルエンド部およびバスバーとステータコアとのそれぞれの間を絶縁材で埋まるため、コイルで発生した熱をステータコアへと放熱する経路を増加させることができる。図20(A)に示すように、バスバーおよびコイルエンド部の内周側とステータコアとの間に空間を有すると、コイルにおいて発生した熱は、ティース108の側面部からの熱伝達経路を伝達する。コイルエンド部およびバスバーとステータコアとの間を絶縁材で埋めると、図20(B)に示すように、回転軸と平行な方向に熱伝達経路を有する。そのため、コイルの放熱性が向上する。
また、一般的なエナメル線を用いたモータ構造においては、ステータコアに線形状のコイルを屈曲させて、巻着させる構造となるため、回転軸と平行な方向においてコイルを挟み込むようにしてステータコアに応力を付与することが困難となる。すなわち、応力をコイルに対して均等に付与することが困難であるため、コイルの絶縁被覆が傷つく可能性がある。そのため、コの字あるいはU字形状のコイルの場合、ステータコアに対して、精度の高い形状を形成させることができる。すなわち、コイルエンド部に、たとえば、面を有する形状に形成させることにより、コイルエンド部とバスバーとを挟み込むようにして荷重を付与する際に、コイルエンド部に対して均等に荷重を付与することが可能となる。
なお、本実施の形態において、ステータコア102に絶縁材200,202とを組み付けた後に、コイル112のコイルエンド部とバスバー110とを挟み込むようにして荷重を付与した状態でバスバー110を接合することにより、ステータコア102とコイル112との間を絶縁材で充填された状態としたが特に限定されない。たとえば、ステータコア102にコイル112とバスバー110とを組み付けて、バスバー110を接合した後に、コイル112とステータコア102との間を埋めるようにして絶縁材を充填させてもよい。すなわち、コイル112とステータコア102との間に応力が発生するように絶縁材を充填させることでコイル112とステータコア102との間の相対運動を抑制することができる。
<第2の実施の形態>
以下、第2の実施の形態に係る固定子の製造方法について説明する。
以下、第2の実施の形態に係る固定子の製造方法について説明する。
本実施の形態に係る固定子は、第1の実施の形態に係る固定子100を構成する絶縁材200,204に代えて弾性を有する絶縁材204,206を含む。それ以外の構成は、第1の実施の形態に係る固定子100の構成と同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
図21に示すように、本実施の形態に係るステータコア102のティース108とコイル112との間に設けられる絶縁材204,206は、回転軸と平行な方向の力に対して弾性を有する。すなわち、絶縁材204,206は、弾性部材である。弾性部材としては、特に限定されるものではないが、たとえば、非導電性のゴムや絶縁材が付着されたバネ等を用いることができる。
絶縁材204,206が弾性を有するため、バスバー110を組み付ける際に、回転軸と平行な方向の荷重を付与した状態で接合する。回転軸と平行な方向の力の荷重が付与されると、絶縁材204,206は弾性変形する。このとき、絶縁材204,206において、元の形状に戻ろうとする弾性力が発生する。バスバー110とコイル112に対して荷重が付与された状態で接合されることによる応力と、絶縁材204,206の弾性力とにより、コイル112とステータコア102との拘束性を高めることができる。
以上のようにして、本実施の形態に係る固定子の製造方法においては、第1の実施の形態と同様の効果を有する。また、荷重が付与された状態で接合されることによる応力と、絶縁材の弾性力とにより、コイルとステータコアとの拘束性を高めることができる。そのため、コイルとステータコアとの間の相対運動を抑制することが可能となる。
なお、第1の実施の形態において説明したように、ステータコア102を弾性を有するように形成することにより、さらにコイル112とステータコア102との拘束性を高めることができる。
<第3の実施の形態>
以下、第3の実施の形態に係る固定子の製造方法について説明する。
以下、第3の実施の形態に係る固定子の製造方法について説明する。
本実施の形態に係る固定子は、第1の実施の形態に係る固定子100と同じ構成である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
本実施の形態に係る固定子の製造方法において、ステータコア102にコイル112を挿入する際に、ステータコア102とコイル112との間に温度差が生じる状態にする。すなわち、図22に示すように、ステータコア102は、冷却装置(1)208、冷却装置(2)210により冷却される。なお、冷却装置の数は特に限定されるものではない。そして、コイル112は、ヒータ212により加熱される。
ステータコア102の形状は、冷却装置208,210により冷却されて収縮状態となる。一方、コイル112の形状は、ヒータ212により加熱されて膨張状態となる。そして、膨張状態のコイル112を収縮状態のステータコア102に挿入して、組み付ける。バスバー110をコイル112に組み付ける際に、荷重を付与する。荷重を付与した状態でバスバー110とコイル112とを接合する。バスバー110の接合後、コイル112およびステータコア102が常温に戻ると、ステータコア102とコイル112は、常温における元の形状に戻る。すなわち、ステータコア102は、収縮状態から膨張する。一方、コイル112は、膨張状態から収縮する。これにより、コイル112とステータコア102とを密着させることができる。すなわち、コイル112とステータコア102との間には、回転軸と平行な方向の応力が発生する。
なお、本実施の形態において、コイル112を膨張状態にし、ステータコア102を収縮状態としたが特に限定されない。たとえば、コイル112の膨張状態およびステータコア102の収縮状態のうち少なくとも一方の状態とすればよい。
以上のようにして、本実施の形態に係る固定子の製造方法においては、温度差を発生する状態にするステップにて、ステータコアとコイルとの間に温度差を発生する状態にする。すなわち、コイルは、加熱されると常温における元の形状から膨張した膨張状態となる。または、ステータコアは、冷却されると常温における元の形状から収縮した収縮状態となる。コイルの膨張状態およびステータコアの収縮状態のうち少なくとも一方の状態にすることにより、コイルとステータコアとの間に温度差を発生する状態とすることができる。温度差を発生する状態において、コイルおよびバスバーをステータコアに組み付け、コイルエンド部とバスバーを挟み込むようにして荷重を付与した状態でバスバーを接合する。そして、コイルまたはステータコアは、常温に戻ると、元の形状に戻る。すなわち、コイルは、膨張状態から収縮する。一方、ステータコアは、収縮状態から膨張する。このとき、コイルとステータコアとの間における熱膨張差を利用することで、コイルとステータコアとの間において応力が発生する。応力が発生することにより、コイルとステータコアとを密着させることができる。すなわち、コイルとステータコアとの間において、接触面圧が上昇する。接触面圧の上昇分の摩擦力により、相対運動を抑制することが可能となる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
100 固定子、102 ステータコア、104 バスバー位置決めブロック、106 渡り部材、108 ティース、110 バスバー、112 コイル、114,124 積層体コイル、116,120,122,126 金属平板、134,136,138,140,142,144 コイル端部、146,148 スロット、200,202,204,206 絶縁材、208,210 冷却装置、212 ヒータ。
Claims (5)
- 回転子と固定子とからなる回転電機における固定子の製造方法であって、前記固定子は、複数のスロットと前記スロット間に形成されるティースとを有する固定子鉄心と、複数枚の平板導体を積層したコイルとを含み、前記コイルは、前記平板導体の積層方向から見て、前記ティースに巻着可能な開放端部を有する矩形形状の薄板であって、
前記コイルを前記スロットに挿入して、前記コイルを前記ティースに巻着させるステップと、
前記コイルの積層方向に隣接する2つの平板導体における前記ティースを跨いで互いに対向する位置にある2つの開放端部を前記ティースを跨いで閉じる方向に接続する接続部材を接合するステップと、
前記コイルの内周側と前記固定子鉄心との間に絶縁材を充填するステップとを含む、固定子の製造方法。 - 前記固定子の製造方法は、前記固定子鉄心と前記コイルとの間における温度差が発生する状態にするステップをさらに含む、請求項1に記載の固定子の製造方法。
- 前記接合するステップは、加熱により接合を行なうステップを含む、請求項1または2に記載の固定子の製造方法。
- 前記絶縁材は、弾性を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の固定子の製造方法。
- 前記固定子鉄心は、弾性を有するように形成される、請求項1〜4のいずれかに記載の固定子の製造方法。
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JP2004009659A JP2005204452A (ja) | 2004-01-16 | 2004-01-16 | 固定子の製造方法 |
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WO2008152966A1 (ja) * | 2007-06-12 | 2008-12-18 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | 回転電機 |
WO2015140955A1 (ja) * | 2014-03-19 | 2015-09-24 | 日立金属株式会社 | 電動機の製造方法及び電動機 |
CN113394929A (zh) * | 2021-06-23 | 2021-09-14 | 厦门钨业股份有限公司 | 一种扁线电机定子的制作方法 |
-
2004
- 2004-01-16 JP JP2004009659A patent/JP2005204452A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20070403 |