JP2005203195A - 燃料電池用電解質膜及びその製造方法、燃料電池及びその製造方法、固体高分子膜電極アセンブリ - Google Patents

燃料電池用電解質膜及びその製造方法、燃料電池及びその製造方法、固体高分子膜電極アセンブリ Download PDF

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Abstract

【課題】 低コストで耐水性や耐メタノール性に優れた電解質膜と、それを用いた燃料電池の製造方法を提供する。
【解決手段】 芳香族炭化水素系高分子に、スルホン基、スルホアルキル基、カルボキシル基、リン酸エステル基のいずれかによる変性と、電離性放射線の照射による改質が行われているものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料電池用電解質膜とその製造方法及び燃料電池とその製造方法、並びに固体高分子膜電極アセンブリに関するものである。
燃料電池は、従来の内燃機関よりも発電効率が高く、環境にも良いという利点がある。
従来の燃料電池は、例えば、固体高分子電解質膜を用いたものは、図2に示すように、固体電解質膜30を挟んで、触媒31,32、燃料極(アノード電極)33,空気極(カソード電極)34で構成されており、燃料極33に水素を、空気極34に酸素を供給することで水分解の逆反応で発電が行われる。
燃料極33では供給された水素ガスが、燃料極33内を通過させて反応領域近くに達し、触媒31で水素イオンになる。
この水素分子は、触媒31で次式のように反応して水素イオンとなり、その際、電子を空気極34に送る。
2 → 2H+ + 2e-
一方、空気極34では、触媒の存在の下で、空気極34から2個の電子を受け取り、供給された酸素分子が、電解質膜30からの水素イオンと反応して水を生成する。
1/2O2 + 2H+ + 2e- → H2
従って、電池全体の反応は、
2 + 1/2O2 → H2
となり、燃料ガス中の水素と空気中の酸素が反応し、水が生成する反応となる。
現在、燃料電池に用いられる電解質膜として化学的な安定性に優れることから、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)に代表されるようなパーフルオロスルホン酸系の電解質膜が実用及び検討されている。この電解質膜を燃料電池に用いた場合、その特徴は内燃機関に比べ発電効率が高く、小型軽量化が可能であり、メンテナンスが容易なこと等があり、燃料電池の高分子電解質として注目されている。イオン伝導性の高いパーフルオロスルホン酸系の電解質膜は、この両側に白金等の触媒を塗布した電極で挟み、さらにグラファイトからなるセパレータで構成され、燃料電池に用いられる。
他には、特許文献1に示すように、芳香族炭化水素系高分子を電解質膜に用いた燃料電池が提案されており、安価な燃料電池の供給が期待できる。
また、水素を燃料剤として供給する燃料電池の他に、メタノールを直接燃料とするダイレクトメタノール燃料電池(DMFC:Direct Methanol Fuel Cell )の開発が進められ、燃料電池の軽量、小型化が期待されている。
特開2002−110174号公報
しかしながら、パーフルオロスルホン酸膜に代表されるフッ素系イオン交換膜は製造上の困難さから非常に高価なものである。
そこで、パーフルオロスルホン酸膜より安価な電解質膜として芳香族炭化水素系高分子を用いる方法が検討されているが、それは水やメタノールに対する膨潤が大きく、耐久性の問題から実用上大きな課題となっている。
またDMFCにおいては、電解質膜がメタノールと直接接触し、前記ナフィオン等ではメタノール透過性が大きく、電池性能の大幅な低下を伴うという問題がある。このため用途が限定されたものとなり、汎用エネルギ源として用いるにはこれらの課題を解決する必要がある。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、低コストで耐水性や耐メタノール性に優れた電解質膜と、それを用いた燃料電池の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、芳香族炭化水素系高分子に、スルホン基、スルホアルキル基、カルボキシル基、リン酸エステル基のいずれかによる変性と、電離性放射線の照射による改質が行われている燃料電池用電解質膜である。
請求項2の発明は、芳香族炭化水素系高分子は、ポリエーテルスルホンである請求項1記載の燃料電池用電解質膜である。
請求項3の発明は、改質は、酸素濃度1.3×103Pa(10torr)以下の雰囲気下で、かつ芳香族炭化水素系高分子のガラス転移点近傍あるいは融点近傍に加熱された状態で、電離性放射線を照射線量1kGy〜10MGyの範囲で照射した請求項1または2記載の燃料電池用電解質膜である。
請求項4の発明は、電解質膜と、該電解質膜の表裏に形成された電極とからなり、電極が粉状の導電材の表面に触媒金属の微粒子をバインダーによって担持させた構成を有する固体高分子膜電極アセンブリにおいて、電解質膜が芳香族炭化水素系高分子に、スルホン基、スルホアルキル基、カルボキシル基、リン酸エステル基のいずれかによる変性と、電離性放射線の照射による改質が行われたものである固体高分子膜電極アセンブリである。
請求項5の発明は、バインダーは、芳香族炭化水素系高分子に、スルホン基、スルホアルキル基、カルボキシル基、リン酸エステル基のいずれかによる変性と、電離性放射線の照射による改質が行われたものを含む請求項4記載の固体高分子膜電極アセンブリである。
請求項6の発明は、請求項4または5記載の固体高分子膜電極アセンブリを用い、固体高分子膜電極アセンブリの一方の電極をアノード電極、他方の電極をカソード電極とし、固体高分子膜電極アセンブリを挟んだ一対のセパレータとでセルが形成され、当該セルが複数積層されてなる燃料電池である。
請求項7の発明は、スルホン基、スルホアルキル基、カルボキシル基、リン酸エステル基のいずれかにより変性させた芳香族炭化水素系高分子に、電離性放射線を照射することにより、改質して燃料電池用電解質膜とした燃料電池用電解質膜の製造方法である。
請求項8の発明は、芳香族炭化水素系高分子は、ポリエーテルスルホンである請求項7記載の燃料電池用電解質膜の製造方法である。
請求項9の発明は、改質は、酸素濃度1.3×103Pa(10torr)以下の雰囲気下で、かつ芳香族炭化水素系高分子のガラス転移点近傍あるいは融点近傍に加熱された状態で、電離性放射線を照射線量1kGy〜10MGyの範囲で照射する請求項7または8記載の燃料電池用電解質膜の製造方法である。
請求項10の発明は、請求項4または5記載の固体高分子膜電極アセンブリの一方の電極をアノード電極、他方の電極をカソード電極とし、固体高分子膜電極アセンブリを一対のセパレータで挟んでセルを形成し、セルを複数積層して燃料電池を形成してなる燃料電池の製造方法である。
本発明によれば、電解質膜が低コストで耐水性及び耐メタノール性に優れるといった効果を発揮する。
以下、本発明の好適な一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
図1は、本実施の形態の電解質膜11を用いた固体高分子膜電極アセンブリ(MEA:Membrane-Electrode Assembly )12とそれを用いた燃料電池セル21を示す概略断面図である。
電解質膜11の両側にアノード、カソードの各電極13,14が設けられ、MEA12を構成している。そのMEA12の両面をガス流路15,16がそれぞれ形成された一対のセパレータ17、18で挟み、その周囲をガスケット19,20でシールしながら、適切な圧力で加圧して固定し、固体高分子電解質型燃料電池セル21が形成される。さらに、この燃料電池セル21が多数積層されて燃料電池が構成される(図示せず)。
電極13,14は、炭素材からなる導電材の表面に、白金等の触媒金属の微粒子をバインダーにより担持させてなるものである。電極13、14に用いられる触媒金属は、白金に限らず、水素及び酸素の酸化還元反応を促進する金属であればいずれのものでもよい。
そのMEA12を組み込んだ燃料電池の発電原理は従来の燃料電池と同様であり、その詳細は省略するが、本発明に係る電解質膜を用いることにより、熱水への耐水性が向上し、導電性を低下させることなく電解質膜11の膨潤を抑制できる。この作用により、安価ではあるが取扱いが困難であった芳香族炭化水素系高分子による電解質膜11を用いた燃料電池が実現可能になる。
さらに、本実施形態の電解質膜11は耐水性だけでなく、耐メタノール性にも優れており、メタノールを燃料として直接に利用するダイレクトメタノール燃料電池のMEAにも利用可能である。
本実施形態の電解質膜11に用いる芳香族炭化水素系高分子は、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイドである。これらをスルホン基、スルホアルキル基、カルボキシル基、リン酸エステル基のいずれかにより変性させ、変性芳香族炭化水素系高分子とし、イオン伝導性を付与させる。
芳香族炭化水素系高分子にはスルホン基、スルホアルキル基、カルボキシル基、リン酸エステル基のいずれかを導入するが、その方法には、芳香族炭化水素高分子をクロロスルホン酸溶液中に浸漬し、スルホン基を導入する方法や、サルトンを用いて芳香環にスルホアルキル基を導入する方法がある。
変性芳香族炭化水素系高分子を、無酸素雰囲気中において、ガラス転移点近傍または融点近傍まで加熱し、電離性放射線を照射することで架橋し、改質する。使用する電離性放射線はγ線、電子線、X線、中性子線、高エネルギー線等であり、電離性放射線の照射線量は1kGy〜10MGyの範囲であるが、好ましくは10kGy〜5MGyの範囲での照射が望ましい。
照射温度をガラス転移点近傍あるいは融点近傍としたのは、これらの領域では高分子鎖の運動が活発となり、架橋反応の確率が増大するためである。しかしこれより低温では架橋反応が生じにくく、より高温では架橋反応の他に分解反応も活発に起こり架橋が優先的に進行しにくくなるためである。ここでのガラス転移点近傍あるいは融点近傍とは、高分子により異なるが、これらの±20℃が目安となる。架橋反応を起こすには放射線照射する雰囲気中に酸素が存在してはならず、その酸素濃度は1.3×103Pa(10torr)以下の無酸素状態にする必要があり、より好ましくは、6.7×102Pa(5torr)以下が望ましい。この濃度を越える酸素が存在すると、架橋が阻害され、分解反応が架橋反応より優先して進行してしまい、高分子膜の改質が十分に行われない。
また、スルホン基、スルホアルキル基、カルボキシル基、リン酸エステル基を芳香族炭化水素系高分子の芳香環に導入する段階は、電離性放射線で高分子膜を改質させる前後どちらでもかまわない。本実施の形態ではスルホン基に変性させた後、電離性放射線を照射し高分子膜を改質させた試料について評価したが、先に芳香族炭化水素系高分子に放射線照射したのち、変性させた高分子膜でも同等の効果が得られる。
さらに、他の実施形態として、燃料電池用の電解質膜11を水分解や食塩電解等に用いることもできる。
次に電解質膜11に電極13,14を形成した固体高分子膜電極アセンブリについて説明する。
電極13、14は、バインダーに粉状の導電材と微粒子状の触媒金属を混ぜ合わせて製造したものであり、カーボンブラック等の粉状の導電材の表面に白金等の触媒金属の微粒子をバインダーにより担持させた構造を有する高分子膜である。バインダーは、電解質膜11と同じ芳香族炭化水素系高分子を用いて形成するのが好ましく、芳香族炭化水素系高分子をスルホン基、スルホアルキル基、カルボキシル基、リン酸エステル基のいずれかにより変性させた後、そのガラス転移点近傍、または融点近傍において無酸素雰囲気中で電離性放射線を照射し、改質させる。
MEA12は、改質された本実施の形態の電解質膜11の表裏に電極13,14となる膜を成膜し改質させ形成される。
また、電解質膜用の高分子膜を改質させる前に、スピンコートにより電解質膜用の高分子膜と電極形成用の高分子膜とを三層に成膜した後、電離性放射線を照射して、一度に改質させ、MEA12を形成してもよい。
以下、より具体的な本発明の実施例を比較例との対比で説明する。
本実施例で得られる高分子電解質膜を評価する物性は、耐膨潤性とイオン交換基当量重量であり、その各物性の測定条件を先に説明しておく。
(1)耐膨潤性
測定する試料(60mm角、膜厚50μm)を蒸留水500mlが入ったステンレス製耐圧管に入れ、これを90℃に保ち24時間保持した。その後、この耐圧管を水道水で室温まで冷却してから試料を取り出し、その縦横の長さ(縦Amm、横Bmm)を測定する。熱水やメタノールに対する耐膨潤性は、水浸漬前後の面積変化を評価し、その変化率ΔSを指標とし、次式より求められる。
ΔS=(A×B−3600)×100/3600
ΔSの値が小さい程、試料が水浸漬前後において面積変化が小さいことを表し、耐膨潤性が良いと評価できる。
(2)イオン交換基当量重量
測定するサンプル(重量aグラム)を密閉できるガラス容器中に入れ、過剰量の塩化カルシウム水溶液を添加し、一晩攪拌する。ガラス容器内に発生した塩化水素を0.1Nの水酸化ナトリウム標準水溶液(力価f)にて、指示薬フェノールフタレイン溶液にて滴定する。その滴定量をb(ml)とする。イオン交換基当量重量EW(g/mol)は次式より求められる。
EW=(1000×a)/(0.1×b×f)
イオン交換基当量重量EWはイオン交換基1モル当りの乾燥膜重量を表し、この値が小さい程電解質膜のイオン伝導性が良いと評価できる。
(実施例1)
パラフェニレン基がスルホン基とエーテル基で交互に結合しているポリエーテルスルホン酸25gと濃硫酸125mlを窒素置換したフラスコに入れ、窒素バブルしながら室温で24時間攪拌した。この溶液に窒素バブル下でクロロ硫酸48mlを滴下し、その後反応溶液を25℃にて3.5時間攪拌し、スルホン化した。
次に反応溶液を15000mlの脱イオン水に滴下し、スルホン化ポリエーテルスルホンを析出させ、濾過乾燥した。これを5重量%の濃度になるようにN,N’−ジメチルホルムアミドに溶解させた。この溶液をスピンコートによりガラス板上に展開し、自然乾燥後、80℃で真空乾燥して、膜厚50μmの膜を得た。
得られた膜を改質するために、250℃、窒素雰囲気中の加熱装置(容量2リットル)中に入れ、その温度に30分保持した後、2MeVの電子線加速器を用いて電流2.9mA、照射時間20分で電離性放射線を照射した。このときの照射線量は300kGyであった。照射終了後、200℃に装置を冷却し、試料が得られた。
この試料を90℃水浸漬による耐膨潤性ΔSと、イオン交換基当量重量EWを測定した。
測定した試料の耐膨潤性は、面積変化率で17%あり、イオン交換基当量重量は830g/molであった。ここで、後に詳述するが、比較例1との比較をすると、電離性放射線を照射した実施例1の面積変化率が約1/3に小さくなり、耐膨潤性が大幅に向上している。また、実施例1の250℃という改質温度では、脱スルホン化も殆ど起きておらず、イオン交換基当量重量EWは比較例1とほぼ同じであり、フッ素系イオン交換膜として用いられているナフィオン(登録商標、デュポン社製)のイオン交換基当量重量EWが1100g/mol程度であることから実施例1の試料は良好なイオン伝導性を有している。
(実施例2)
本実施例は実施例1と同様の調整を行ったもので、実施例1では改質条件の電離性放射線照射時間を20分であったところを、本実施例ではそれを40分をとし、照射線量が600kGyにした試料を作製した。この試料の水浸漬後の耐膨潤性は、面積変化率ΔSが13%と、さらに良くなり、イオン交換基当量重量は825g/molで実施例1の試料とほぼ同じ値であり、本実施例の試料は良好なイオン伝導性をもつことを示している。
(実施例3)
本実施例も実施例1と同様の調整をおこない、電離性放射線照射を67分とし、照射線量を1000kGyとして試料を作製した。この試料の水浸漬後の耐膨潤性は、ΔSが8%とさらに良くなり、イオン交換基当量も810g/molと実施例1または2とほぼ同じ値であり、本実施例の試料も良好なイオン伝導性をもつことを示している。
(実施例4)
実施例1の5重量%濃度のN,N−ジメチルホルムアミド溶液を、白金触媒とバインダとの重量比が2:1となるように添加し、均一に分散させてペースト(電極触媒被覆用溶液)を調整した。この電極触媒被覆用溶液を実施例1の電解質膜の両側に塗布した後、乾燥して改質し、白金担持量0.25mg/cm2 のMEAを作製した。
これをイオン交換水20mlの入ったSUS製密閉容器に投入し、120℃×1週間保持した。
その後、図1に示した評価用のセルに組み込み、燃料電池性能を評価した。その結果、電流密度300mA/cm2 の条件で出力電圧は0.8Vであり、この値は、稼動時間5000時間後も変化が見られなかった。
(比較例1)
比較例1は、実施例1と同様の調整により得たスルホン化ポリエーテルスルホンに対し、電離性放射線により改質しなかった場合である。その試料を測定したところ、面積変化率ΔSは45%、イオン交換基当量重量EWは830g/molであった。イオン交換基当量重量は低くイオン伝導性は良好であるが、耐膨潤性は実施例1の3倍程度悪く、実用上大きな問題となる。
(比較例2)
実施例1〜3は、すべて膜の改質温度を約250℃で電離性放射線を照射したが、比較例2は膜の改質温度を100℃と低くした例である。
比較例2は実施例1と同様の調整により得たスルホン化ポリエーテルスルホンを100℃の温度下で放射線照射を行った。この試料の面積変化率ΔSは55%、イオン交換基当量重量は820g/molであった。これらの値は比較例1に近い値であり、イオン交換当量重量EWはほぼ同じだが、面積変化率ΔSが大きい。これはスルホン化ポリエーテルスルホンのガラス転移温度が234℃であり、膜の改質は融点近傍またはガラス転移点近傍での放射線照射により行われるため、ガラス転移温度より遥かに低い温度では十分な膜の改質が行われずに、耐膨潤性が悪いと考えられる。
(比較例3)
比較例3は膜の改質温度を320℃と高くした例である。試料は実施例1と同様の調整により得たスルホン化ポリエーテルスルホンを320℃の温度下で放射線照射を行ったものである。この試料の面積変化率ΔSは36%、イオン交換基当量重量EWは3400g/molであった。ΔSが大きい、即ち耐膨潤性が悪いのは、スルホン化ポリエーテルスルホンのガラス転移温度234℃より高い温度で放射線照射したので十分な膜の改質が行われなかった。また高温により脱スルホン化反応が起きたため、イオン交換基当量重量EWが非常に大きくなってしまい、電解質膜のイオン伝導性が低下している。
比較例2及び3より、放射線照射温度を融点近傍またはガラス転移点近傍の±20℃を越える温度下において電離性放射線を照射したときは、放射線照射による芳香族炭化水素系高分子の改質が不十分であることが分かる。
(比較例4)
実施例1〜4及び比較例1〜3ではポリエーテルスルホンをスルホン基により変性したスルホン化ポリエーテルスルホンを電離性放射線により改質したが、ポリエーテルスルホン自体を電離性放射線により改質した電解質膜を比較例4とする。
この面積変化率ΔSは2%、イオン交換基当量重量EWは10000以上であった。この試料はスルホン基による変性を行っていないためイオン伝導性を有せず、電解質膜として機能しない。
以上、実施例1〜3及び比較例1〜4の耐膨潤性とイオン交換基当量重量の測定結果を表1に示しておく。
Figure 2005203195
上述の実施例では、電解質膜について説明したが、燃料極または空気極となる電極の形成は、前記の溶液をバインダーとして粉状の導電材と触媒金属の微粒子を混ぜ合わせることにより形成される。粉状の導電材の表面に触媒金属の微粒子をバインダーによって担持させた電極用の膜を電解質膜の表裏に成膜し、放射線照射により改質させ、MEAを形成してもよく、また、前記の電極用の膜をスピンコートにより未改質の電解質膜用の膜の両面に一体成膜して放射線照射し、MEAを形成してもよい。
本実施の形態に係る電解質膜と、それを用いた燃料電池セルの構造断面図である。 燃料電池の原理を説明する概略構造図である。
符号の説明
11 燃料電池用電解質膜
12 固体高分子膜電極アセンブリ(MEA)
13 アノード電極
14 カソード電極
17,18 セパレータ
21 燃料電池セル

Claims (10)

  1. 芳香族炭化水素系高分子に、スルホン基、スルホアルキル基、カルボキシル基、リン酸エステル基のいずれかによる変性と、電離性放射線の照射による改質が行われていることを特徴とする燃料電池用電解質膜。
  2. 前記芳香族炭化水素系高分子は、ポリエーテルスルホンである請求項1記載の燃料電池用電解質膜。
  3. 前記改質は、酸素濃度1.3×103Pa(10torr)以下の雰囲気下で、かつ前記芳香族炭化水素系高分子のガラス転移点近傍あるいは融点近傍に加熱された状態で、電離性放射線を照射線量1kGy〜10MGyの範囲で照射した請求項1または2記載の燃料電池用電解質膜。
  4. 電解質膜と、該電解質膜の表裏に形成された電極とからなり、該電極は、粉状の導電材の表面に触媒金属の微粒子をバインダーによって担持させた構成を有する固体高分子膜電極アセンブリにおいて、前記電解質膜は、芳香族炭化水素系高分子に、スルホン基、スルホアルキル基、カルボキシル基、リン酸エステル基のいずれかによる変性と、電離性放射線の照射による改質が行われたものであることを特徴とする固体高分子膜電極アセンブリ。
  5. 前記バインダーは、芳香族炭化水素系高分子に、スルホン基、スルホアルキル基、カルボキシル基、リン酸エステル基のいずれかによる変性と、電離性放射線の照射による改質が行われたものを含む請求項4記載の固体高分子膜電極アセンブリ。
  6. 請求項4または5記載の固体高分子膜電極アセンブリを用い、当該固体高分子膜電極アセンブリの一方の電極をアノード電極、他方の電極をカソード電極とし、当該固体高分子膜電極アセンブリを挟んだ一対のセパレータとでセルが形成され、当該セルが複数積層されてなることを特徴とする燃料電池。
  7. スルホン基、スルホアルキル基、カルボキシル基、リン酸エステル基のいずれかにより変性させた芳香族炭化水素系高分子に、電離性放射線を照射することにより、改質して燃料電池用電解質膜としたことを特徴とする燃料電池用電解質膜の製造方法。
  8. 前記芳香族炭化水素系高分子は、ポリエーテルスルホンである請求項7記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
  9. 前記改質は、酸素濃度1.3×103Pa(10torr)以下の雰囲気下で、かつ前記芳香族炭化水素系高分子のガラス転移点近傍あるいは融点近傍に加熱された状態で、電離性放射線を照射線量1kGy〜10MGyの範囲で照射する請求項7または8記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
  10. 請求項4または5記載の固体高分子膜電極アセンブリの一方の電極をアノード電極、他方の電極をカソード電極とし、当該固体高分子膜電極アセンブリを一対のセパレータで挟んでセルを形成し、当該セルを複数積層して燃料電池を形成してなる燃料電池の製造方法。
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