JP2005201211A - 内燃機関用点火装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】内燃機関の全回転速度領域において、デトネーションの発生を抑制する制御を的確に行うことができるようにした内燃機関用点火装置を提供する。
【解決手段】燃焼圧センサ8A,8Bの出力のピーク値のデジタル値を判定値と比較することによりデトネーションが発生したことを検出する。所定の時間内にデトネーションが発生した回数が設定値を超えているときに機関の点火位置を一定角度遅角させ、所定の時間内にデトネーションが発生しない場合及び発生回数が設定値未満の場合に点火位置を一定角度進角させる。内燃機関の回転速度が設定値以下のときに、内燃機関の回転速度の上昇に伴って上記判定値を高くしていくように、回転速度に応じて判定値を変化させることにより、デトネーションの検出を的確に行わせる。
【選択図】 図1
【解決手段】燃焼圧センサ8A,8Bの出力のピーク値のデジタル値を判定値と比較することによりデトネーションが発生したことを検出する。所定の時間内にデトネーションが発生した回数が設定値を超えているときに機関の点火位置を一定角度遅角させ、所定の時間内にデトネーションが発生しない場合及び発生回数が設定値未満の場合に点火位置を一定角度進角させる。内燃機関の回転速度が設定値以下のときに、内燃機関の回転速度の上昇に伴って上記判定値を高くしていくように、回転速度に応じて判定値を変化させることにより、デトネーションの検出を的確に行わせる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、デトネーションの発生を抑制する機能を備えた内燃機関用点火装置に関するものである。
内燃機関においては、シリンダ内の混合気が点火プラグにより着火された後、火炎が伝搬していく過程で既燃焼ガスが周囲の未燃焼ガスを圧縮して未燃焼ガスの圧力を過度に上昇させると、その圧力上昇と火炎からの放射熱とにより未燃焼ガスの温度が上昇して、未燃焼ガスが自己発火し、シリンダ内で爆発的な異常燃焼が生じることが知られている。この現象はデトネーションと呼ばれ、機関を損傷する原因になる。この現象は、点火位置の進角量が大きい場合や、混合気の空燃比がリーン側にずれていて燃料の気化潜熱によるピストンの冷却効果が弱い場合に起るため、点火位置を遅角させたり、空燃比をリッチ側に制御したりすることにより抑制することができるが、一般には、空燃比のばらつきを考慮して、点火位置を遅角側に設定している。ところが、内燃機関においては、デトネーションが発生する直前の状態か、または多少デトネーションが発生している状態で最も大きな出力が得られるため、点火位置を遅角側に設定したのでは、機関から高い性能を引出すことができない。
そこで、二輪車やスノーモービル等に用いる高性能機関では、デトネーションが発生する直前の状態または多少はデトネーションが発生する状態で機関が運転されるように点火位置を設定して、デトネーションが検出されたときに点火位置を遅角させ、デトネーションの発生が止まったときに点火位置を進角させる制御を行わせている。このような制御を行えば、機関の出力を犠牲にすることなく、デトネーションの発生を抑制して、機関から高い性能を引出すことができる。
このような制御を行うためには、デトネーションを検出する必要がある。通常デトネーションの検出は、点火プラグと共締めされて機関のシリンダに取り付けられる座型燃焼圧センサ(GPS)により行われる。この燃焼圧センサは、圧力を電圧に変換するトランスデューサとして圧電素子を用いたもので、デトネーション発生時には、周波数が10[kHz]〜20[kHz]の振動電圧を燃焼圧検出信号として出力する。デトネーションを抑制する機能を持たせた従来の点火装置では、燃焼圧センサの出力信号電圧を電圧変換回路により低い電圧の信号に変換した後、この信号を10[kHz]〜20[kHz]の周波数の信号のみを通過させるバンドパスフィルタに入力し、該フィルタから出力される10[kHz]〜20[kHz]の信号のレベルをコンパレータに入力してしきい値と比較することにより、デトネーション検出信号を得ていた。そして、この検出信号を、点火位置制御用のMPUの外部割り込み入力端子に入力することにより、MPUが実行中のプログラムに割り込みをかけて、この割り込みによりデトネーションの発生回数をカウントする処理を行わせ、この処理により、デトネーションが所定回数発生したことが検出されたときに、点火位置を遅角させるようにしていた。
上記のように、燃焼圧センサの出力をバンドパスフィルタに通してデトネーションの検出に用いる周波数帯域の信号のみを得た後、その信号をコンパーレータにてしきい値と比較することにより、デトネーション検出信号を得るようにした場合には、高価なバンドパスフィルタを必要とする上に、コンパレータの比較レベルを調整する面倒な調整作業を必要とするため、コストが高くなるのを避けられなかった。
そこで本出願人は先に、特許文献1に示されているように、バンドパスフィルタを用いずに、燃焼圧センサの出力のピーク値のデジタル変換値を所定の判定値と比較することによりデトネーションを検出して、デトネーションが検出される頻度が高くなったときに機関の点火位置を遅角させることによりデトネーションの発生を抑制するようにした内燃機関用点火装置を提案した。
特許文献1に示された点火装置は、内燃機関の気筒内の燃焼圧力を検出する燃焼圧センサと、燃焼圧センサの出力のピーク値を検出するピーク値検出手段と、燃焼圧センサの出力のピーク値のデジタル値をデトネーションの発生の有無を判定するための判定値と比較して、デジタル値が判定値を超えているときにデトネーションが発生したことを検出するデトネーション検出手段と、デトネーションの発生を抑制するべく、デトネーション検出手段によりデトネーションが検出される頻度が設定値を超えたときに内燃機関の点火位置を遅角させ、デトネーションが検出される頻度が設定値よりも低くなるかまたは検出されなくなったときに点火位置を進角させるように内燃機関の点火位置を制御するデトネーション抑制用点火位置制御手段とを備えていて、デトネーションが検出される頻度が高くなったときに点火位置を遅角させることにより、デトネーションの発生を抑制するようにしている。
特開2003−176751号公報
デトネーション発生時の燃焼圧センサの出力レベルは機関の回転速度に依存し、機関の回転速度が低いときの燃焼圧センサの出力レベルは、回転速度が高いときの出力レベルに比べて大幅に低くなる。
ところが、既提案の内燃機関用点火装置においては、燃焼圧センサの出力のピーク値のデジタル値と比較する判定値を一定値に設定していたため、機関の回転速度が低いときにデトネーションを的確に検出することができないことがあり、機関の低速運転時にデトネーションの発生を抑制する制御を的確に行うことができないおそれがあった。
本発明の目的は、機関の低速運転時から高速運転時までデトネーションの発生を的確に検出して、機関の全回転速度領域において、デトネーションの発生を抑制する制御を的確に行うことができるようにした内燃機関用点火装置を提供することにある。
本発明は、内燃機関の気筒内の燃焼圧力を検出する燃焼圧センサと、燃焼圧センサの出力のピーク値を検出するピーク値検出手段と、燃焼圧センサの出力のピーク値のデジタル値をデトネーションの発生の有無を判定するための判定値と比較して、デジタル値が判定値を超えているときにデトネーションが発生したことを検出するデトネーション検出手段と、デトネーションの発生を抑制するべく、デトネーション検出手段によりデトネーションが検出される頻度が設定値を超えたときに前記内燃機関の点火位置を遅角させ、前記デトネーションが検出される頻度が低くなるかまたは検出されなくなったときに前記点火位置を進角させるように前記内燃機関の点火位置を制御するデトネーション抑制用点火位置制御手段とを備えた内燃機関用点火装置を対象とする。
本発明においては、内燃機関の回転速度が設定値以下のときに、内燃機関の回転速度の上昇に伴って上記判定値を高くしていくように、内燃機関の回転速度に応じて判定値を決定する判定値決定手段が設けられる。またデトネーション検出手段は、燃焼圧センサの出力のピーク値のデジタル値を判定値決定手段により決定された判定値と比較することによりデトネーションが発生したことを検出するように構成される。
上記のように、内燃機関の回転速度が設定値以下のときに、燃焼圧センサの出力のピーク値のデジタル値と比較する判定値を回転速度の上昇に伴って高くしていくように、内燃機関の回転速度に応じて判定値を決定するようにすると、機関の低速回転時から高速回転時までデトネーションの検出を的確に行うことができるため、機関の全回転速度領域において、デトネーションの発生を抑制する制御を的確に行わせることができる。
燃焼圧センサの出力のピーク値は、機関の回転速度がある程度以上高い領域ではほぼ一定の範囲の値を示すので、上記判定値決定手段は、回転速度が設定値を超えているときに判定値を一定とするように構成するのが好ましい。
燃焼圧センサの出力は、スロットル開度が小さいときに小さくなり、スロットル開度が大きいときに大きくなる傾向がある。従って、判定値決定手段は、内燃機関の回転速度が設定値以下のときには判定値を前記回転速度の上昇に伴って高くしていくが回転速度が設定値を超えているときには判定値を回転速度の変化に対して一定に保ち、かつ各回転速度における判定値をスロットル開度の増大に伴って高くしていくように、判定値を内燃機関の回転速度及びスロットル開度に応じて決定するように構成するのが好ましい。
上記のように、燃焼圧センサの出力のピーク値のデジタル値と比較する判定値を、内燃機関の回転速度が設定値以下のときには回転速度の上昇に伴って高くしていくが回転速度が設定値を超えているときには回転速度の変化に対して一定に保ち、かつスロットル開度の増大に伴って高くしていくようにすると、機関の回転速度がいかなる場合でも、またスロットル開度がいかなる場合でも、判定値を的確に設定して、デトネーションの検出を的確に行うことができるため、機関の運転状態がいかなる場合でも、デトネーションの発生を抑制する制御を的確に行わせることができる。
上記デトネーション抑制用点火位置制御手段は、設定された遅角条件判定時間内にデトネーション検出手段がデトネーションの発生を検出した回数が設定された遅角判定回数以上であるときに点火制御手段により演算された点火位置を設定された遅角量だけ遅角させ、設定された進角条件判定時間内にデトネーション検出手段がデトネーションを検出した回数が設定された進角判定回数以下または零のときに点火位置を設定された進角量だけ進角させるように構成することができる。この場合、遅角条件判定時間及び進角条件判定時間は、内燃機関の回転速度の上昇に伴って短くなっていくように設定するのが好ましい。
以上のように、本発明によれば、燃焼圧センサの出力のピーク値のデジタル値と比較する判定値を、内燃機関の回転速度が設定値以下のときに、内燃機関の回転速度の上昇に伴って高くしていくようにしたので、機関の低速回転時から高速回転時までデトネーションの検出を的確に行って、機関の全回転速度領域においてデトネーションの発生を抑制する制御を的確に行わせることができる。
以下図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明を適用した2気筒2サイクル内燃機関用の点火装置のハードウェアの構成を示したもので、同図において1は内燃機関の回転に同期して交流電圧を誘起するエキサイタコイル、2はエキサイタコイル1を電源として、点火信号が与えられた際に点火用の高電圧を発生する点火回路、3は点火制御手段を構成するMPU(マイクロプロセッサ)、4はエキサイタコイル3の負の半波の出力電圧を一定の直流電圧に変換する電源回路である。
図1は、本発明を適用した2気筒2サイクル内燃機関用の点火装置のハードウェアの構成を示したもので、同図において1は内燃機関の回転に同期して交流電圧を誘起するエキサイタコイル、2はエキサイタコイル1を電源として、点火信号が与えられた際に点火用の高電圧を発生する点火回路、3は点火制御手段を構成するMPU(マイクロプロセッサ)、4はエキサイタコイル3の負の半波の出力電圧を一定の直流電圧に変換する電源回路である。
また5は内燃機関の特定の回転角度位置で第1のパルス信号Vs1及び第2のパルス信号Vs2を発生するパルサコイル、6及び7はそれぞれパルサコイル5が発生する第1のパルス信号Vs1及び第2のパルス信号Vs2をMPUが認識し得る信号に変換してMPUの割り込み端子INT1 及びINT2 に割り込み信号として入力する第1及び第2の波形整形回路である。
更に、8A及び8Bはそれぞれ機関の第1気筒及び第2気筒の燃焼圧力を検出する第1及び第2の燃焼圧センサ(GPS)、9A及び9Bはそれぞれ第1及び第2の燃焼圧センサ8A及び8Bが出力する検出信号の電圧レベルをMPU3に入力し得るレベル付近まで低下させる第1及び第2の電圧変換回路、10A及び10Bはそれぞれ第1及び第2の電圧変換回路から得られる電圧のピーク値に相当する電圧信号を検出して保持する第1及び第2のピークホールド回路、11A及び11Bはそれぞれ第1及び第2のピークホールド回路のホールドコンデンサを放電させる第1及び第2の放電回路であり、第1及び第2のピークホールド回路10A及び10Bが出力する電圧信号がそれぞれMPUのA/D変換入力ポートA1 及びA2 に入力されている。
各部を更に詳細に説明すると、エキサイタコイル1は、内燃機関に取り付けられた磁石発電機内に設けられていて、機関の回転に同期して正の半波の出力電圧Ve1と負の半波の出力電圧Ve2とからなる交流電圧を誘起する。エキサイタコイル1の一端と接地間及び他端と接地間にはそれぞれアノードが接地された電流帰還用ダイオードD1 及びD2 が接続されている。
図示の点火回路2は周知のコンデンサ放電式の回路で、点火コイルIGと、点火コイルの一次側に設けられてエキサイタコイル1の正の半波の出力電圧Ve1により図示の極性に充電される点火用コンデンサCi と、点火信号が与えられた際に導通してコンデンサCi の電荷を点火コイルIGの一次コイルを通して放電させるように設けられた放電用スイッチとしてのサイリスタThiとにより主要部が構成されている。
図示の例では、点火コイルIGの一次コイルの一端が接地されていて、点火コイルの一次コイルの他端に点火用コンデンサCi の一端が接続され、コンデンサCi の他端と接地間にサイリスタThiがそのカソードを接地側に向けて接続されている。コンデンサCi の他端にはまた、アノードがエキサイタコイル1の一端に接続されたダイオードD3 のカソードが接続され、点火コイルIGの一次コイルの両端にはカソードが接地されたダイオードD4 が接続されている。
サイリスタThiのゲートにはダイオードD5 のカソードが接続され、ダイオードD5 のアノードは抵抗器R1 を通してPNPトランジスタTR1 のコレクタに接続されている。トランジスタTR1 のエミッタは電源回路4の出力端子に接続され、ベースは抵抗器R2 を通してMPU3のポートP1 に接続されている。この例では、トランジスタTR1 とダイオードD5 と抵抗器R1 及びR2 とにより、MPU3がポートP1 から点火信号を発生したとき(ポートP1 の電位をLレベルにしたとき)にサイリスタThiのゲートにトリガ信号を与えるサイリスタトリガ回路が構成されている。
図示の点火回路2の動作は以下の通りである。エキサイタコイル1が正の半波の出力電圧Ve1を誘起すると、エキサイタコイル1−ダイオードD3 −点火用コンデンサCi −ダイオードD4 及び点火コイルIGの一次コイル−ダイオードD2 −エキサイタコイル1の経路で電流が流れて点火用コンデンサCi が図示の極性に充電される。MPU3は機関の点火位置でポートP1 の電位をLレベル(接地電位)にして点火信号を発生する。MPU3が点火信号を発生するとトランジスタTR1 が導通状態になるため、電源回路4からトランジスタTR1 と抵抗器R4 とダイオードD5 とを通してサイリスタThiにトリガ信号が与えられる。このとき点火用コンデンサCi が図示の極性に充電されていると、サイリスタThiのアノードカソード間に順方向電圧が印加されているため、サイリスタThiが導通状態になり、点火用コンデンサCi に蓄積された電荷がサイリスタThiと点火コイルIGの一次コイルとを通して放電する。この放電により点火コイルIGの二次コイルに点火用の高電圧が誘起する。この例では点火コイルIGが同時発火コイルとして用いられており、点火コイルIGの二次コイルの一端と接地間及び他端と接地間にそれぞれ機関の第1気筒に取り付けらた点火プラグPL1 及び第2気筒に取り付けられた点火プラグPL2 が接続されている。したがって、点火コイルの二次コイルに点火用高電圧が誘起すると、点火プラグPL1 及びPL2 に同時に火花が発生し、機関の第1気筒及び第2気筒の内、点火タイミングにある方の気筒内の混合気に点火される。
電源回路4は、エキサイタコイル1の負の半波の出力電圧により充電される電源コンデンサと、該電源コンデンサの両端の電圧を一定値に保つように制御する制御回路とを備えたもので、この電源回路の出力電圧は、MPU3の電源端子を始め、各部の電源端子に電源電圧として与えられる。
パルサコイル5は内燃機関のクランク軸に取り付けられたロータに設けられたリラクタを検出してパルス信号を発生する周知のパルサ(信号発電子)内に設けられていて、パルサがリラクタの回転方向の前端縁及び後端縁を検出したときに極性が異なるパルス信号Vs1及びVs2を出力する。この例では、信号発生器のロータ(図示せず。)に、機関の2つの気筒にそれぞれ対応する2つのリラクタが180°間隔で設けられている。そのためパルサコイル5は、図8に示すように、クランク軸が1回転する間に、第1及び第2のパルス信号Vs1及びVs2を180°間隔で2回発生する。図3において符号#1が付されたパルス信号Vs1及びVs2は機関の第1気筒に対して発生させられるパルス信号であり、符号#2が付されたパルス信号Vs1及びVs2は機関の第2気筒に対して発生させられるパルス信号である。また図3において、#1TDC及び#2TDCはそれぞれ第1気筒及び第2気筒の上死点位置(第1気筒及び第2気筒のピストンが上死点に達したときのクランク軸の回転角度位置)を示し、BTDCは上死点位置を基準にして進角側に測った角度であることを示している。またATDCは上死点を基準にして遅角側に測った角度であることを示している。
図8において、第1気筒用及び第2気筒用の第1のパルス信号#1Vs1及び#2Vs1はそれぞれ、内燃機関のクランク角θが、第1気筒及び第2気筒の上死点位置#1TDC及び#2TDCよりも十分に進角した位置に設定された第1気筒用及び第2気筒用の基準位置θ11及びθ12に相応する角度に一致したときに発生し、第1気筒用及び第2気筒用の第2のパルス信号#1Vs2及び#2Vs2はそれぞれ、クランク角θが第1気筒及び第2気筒の上死点位置#1TDC及び#2TDC付近に設定された低速時固定点火位置θ21及びθ22で発生している。
第1気筒用及び第2気筒用の第1のパルス信号#1Vs1及び#2Vs1はそれぞれMPUに第1気筒用及び第2気筒用の基準位置θ11及びθ12を検出させるための基準信号として用いられる。これらの基準位置は、演算された点火位置を計測するための処理を開始する位置として用いられる。
また第1気筒用及び第2気筒用の第2のパス信号#1Vs2及び#2Vs2はそれぞれMPU3に第1気筒及び第2気筒の低速時点火位置を検出させるための低速時点火位置信号として用いられる。低速時点火位置は、機関の始動時及び低速時(例えばアイドリング時)の点火位置として適した位置に設定される。
なおこの例では、各パルス信号がしきい値に達する位置を各パルス信号の発生位置としている。
なおこの例では、各パルス信号がしきい値に達する位置を各パルス信号の発生位置としている。
図示の例では、第1気筒及び第2気筒の基準位置θ11及びθ12がそれぞれ第1気筒及び第2気筒の上死点前75°の位置に設定され、第1気筒及び第2気筒用の低速時点火位置θ21及びθ22がそれぞれ第1気筒及び第2気筒の上死点位置前15°の位置に設定されている。各気筒の上死点位置と基準位置及び低速時点火位置との関係を示す機関の行程図を図7に示した。
第1の波形整形回路6は、第1のパルス信号Vs1をMPUが認識し得る信号に変換する回路で、トランジスタTR2 及びTR3 と、抵抗器R6 ないしR9 と、コンデンサC2 と、ダイオードD7 及びD8 とからなっている。トランジスタTR3 のコレクタがMPU3の割り込み端子INT1 に接続され、ダイオードD8 のカソードがパルサコイル5の非接地側端子に接続されている。
第1の波形整形回路6においては、第1のパルス信号Vs1が発生してないときにトランジスタTR2 がオン状態にあり、トランジスタTR3 がオフ状態にあるため、トランジスタTR3 のコレクタの電位はHレベル(高レベル)の状態にある。しきい値以上の第1のパルス信号Vs1が発生すると、ダイオードD7 と抵抗器R6 とダイオードD8 とを通して電流が流れるため、ダイオードD7 の両端に順方向電圧降下が生じ、この電圧によりトランジスタTR2 のベースエミッタ間が逆バイアスされる。これによりトランジスタTR2 がオフ状態になり、トランジスタTR3 がオン状態になるため、トランジスタTR3 のコレクタの電位がLレベル(ほぼ接地電位)になる。したがって、割り込み端子INT1 の電位は、第1のパルス信号Vs1がしきい値に達したときにHレベルからLレベルに低下し、この電位の低下がMPUにより第1の割り込み信号として認識される。
第2の波形整形回路7は、トランジスタTR4 と、抵抗器R10及びR11と、コンデンサC3 と、ダイオードD9 とからなっていて、トランジスタTR4 のコレクタがMPUの第2の割り込み端子INT2 に接続され、ダイオードD9 のアノードがパルサコイル5の非接地側端子に接続されている。
この第2の波形整形回路においては、第2のパルス信号Vs2が発生していないときにトランジスタTR4 がオフ状態になり、そのコレクタの電位はHレベルになっている。第2のパルス信号Vs2が発生すると、トランジスタTR4 がオン状態になるため、そのコレクタの電位がLレベルになり、第2の割り込み端子INT2 の電位がHレベルからLレベルに低下する。この電位の低下がMPUにより第2の割り込み信号として認識される。
第1の燃焼圧センサ8A及び第2の燃焼圧センサ8Bは、図10に示したように、点火プラグPL1 ,PL2 のネジ部に嵌合されて、点火プラグと共締めされた状態で機関のシリンダヘッド12に取り付けられる座型燃焼圧センサ(GPSセンサ)である。この燃焼圧センサは圧力を電気信号に変換するトランスデューサとして圧電素子を用いたもので、機関のシリンダ内の燃焼圧力の変動に応じてレベルが変化する振動波形の検出信号を出力する。燃焼圧センサ8A及び8Bの出力はリード線13を通して第1の電圧変換回路9A及び第2の電圧変換回路9Bに入力される。
燃焼圧センサの出力信号波形の一例を図9(A)及び(B)に示した。図9(A)は機関の回転速度が低いときに燃焼圧センサが発生する検出信号の波形を示し、図9(B)は機関の回転速度が高いときに燃焼圧センサが発生する検出信号を波形を示している。
このように、デトネーション発生時には、燃焼圧センサが出力する検出信号のレベルが正常燃焼時よりも大きくなるため、このセンサの出力のピーク値のデジタル値を判定値と比較判定する処理をMPU3に行わせることにより、デトネーション検出手段を構成することができる。
ところが、燃焼圧センサの出力は、図9(A),(B)に見られるように、機関の回転速度により大幅に変化するため、既提案の内燃機関用点火装置のように判定値を一定値に設定した場合には、機関の回転速度が低いときにデトネーションを的確に検出することができないおそれがある。
そこで、本実施形態においては、図4に示したように、内燃機関の回転速度Neが設定値Ns以下のときに、内燃機関の回転速度の上昇に伴って上記判定値を高くしていくように、内燃機関の回転速度に応じて判定値を決定する判定値決定手段を設けて、この判定値決定手段により決定された判定値を燃焼圧センサの出力のピーク値のデジタル値と比較することによりデトネーションが発生したことを検出する。燃焼圧センサの出力のピーク値は、機関の回転速度がある程度の回転速度(図4に示した設定回転速度Nsに相当する速度)以上になるとほぼ一定値を示すので、設定回転速度Nsを超える回転速度領域では、判定値を一定にするのが好ましい。
第1の電圧変換回路9Aは、電源回路4の出力電圧が印加された抵抗器R15及びR16の直列回路と、抵抗器R16の両端に接続されたコンデンサC4 と、抵抗器R15及びR16の接続点にカソードが接続されたダイオードD11と、センサ8Aの非接地側出力端子とダイオードD11との間に接続された抵抗器R17と、抵抗器R15及びR16の接続点に一端が接続された抵抗器R18と、コンデンサC4 の両端の電圧が逆方向に印加される向きにしてコンデンサC4 の両端に接続されたダイオードD12と、抵抗器R15及びR16の接続点と電源回路4の非接地側(プラス側)の出力端子との間に接続されたダイオードD12と同方向のダイオードD13とからなっている。
この電圧変換回路9Aは、燃焼圧センサ8Aの出力電圧を抵抗器R17とR16とからなる分圧回路で分圧することにより、燃焼圧センサの出力電圧を低下させて、燃焼圧センサ8Aが出力する検出電圧の波高値に比例した直流電圧信号を出力する。この電圧変換回路9Aは、燃焼圧センサ8Aの出力が零のときに、電源回路4の出力電圧を抵抗器R15とR16とにより分圧して得た電圧に相当する一定の直流電圧を最低出力電圧として出力する。デトネーション発生時に電圧変換回路9Aが出力する電圧の最大値がMPU3に入力し得る電圧レベル(5V)よりも低くなるように、抵抗器R15〜R18の抵抗器値が設定されている。
第1のピークホールド回路10Aは、第1の電圧変換回路9Aの出力電圧のピーク値を保持する回路で、ホールドコンデンサC5 と、このコンデンサC5 を電圧変換回路9Aの出力電圧のピーク値まで充電する回路とにより構成される。図示の例では、ホールドコンデンサC5 を充電する回路が、演算増幅器OP1 とダイオードD15とにより構成されたボルテージホロワ回路からなっていて、コンデンサC5 の両端に燃焼圧センサ8Aが出力する検出信号のピーク値に相当する電圧信号を発生する。
第1の放電回路11Aは、ホールドコンデンサC5 の非接地側の端子に一端が接続された抵抗器R20と、抵抗器R20の他端と接地間に接続された抵抗器R21とからなっていて、コンデンサC5 の電荷を一定の放電時定数で放電させる。第1のピークホールド回路10AのコンデンサC5 の両端に得られる電圧信号は、放電回路11Aの抵抗器R20を通してMPU3のA/D変換入力ポートA1 に入力されている。
この例では、第1の電圧変換回路9Aと第1のピークホールド回路10Aと第1の放電回路11Aとにより、第1の燃焼圧センサ8Aが出力する検出信号のピーク値を検出して該ピーク値に相当する電圧信号を出力する第1のピーク値検出回路20Aが構成されている。
第2の電圧変換回路9B、第2のピークホールド回路10B及び第2の放電回路11Bはそれぞれ第1の電圧変換回路9A、第1のピークホールド回路10A及び第1の放電回路11Aと全く同様に構成されていて、これら第2の電圧変換回路9B、第2のピークホールド回路10B及び第2の放電回路11Bにより、第2の燃焼圧センサ8Bが出力する検出信号のピーク値を検出して該ピーク値に相当する電圧信号を出力する第2のピーク値検出回路20Bが構成されている。このピーク値検出回路の出力はMPU3のA/D変換入力ポートA2 に入力されている。
上記第1及び第2のピーク値検出回路から得られる電圧信号は、MPU3内のA/D変換器によりデジタル値に変換されてMPU内のRAMに記憶される。
MPU3は、ROMまたは該MPUに接続されたEEPROM(図示せず。)に記憶されたプログラムを実行することにより、内燃機関の各気筒の上死点位置よりも進角した位置に設定された基準位置θ11,θ12と上死点位置との間のクランク角度範囲を、点火信号を発生させるための処理を行う点火処理区間として、この点火処理区間で点火位置の演算と、演算した点火位置の計測と、点火信号の発生とを含む点火処理を行う点火制御手段を構成する。
この点火制御手段は、例えば、パルサコイル5の出力パルスの発生間隔から内燃機関の回転速度を演算する回転速度演算手段と、スロットル開度、冷却水温度等の各種の制御条件に対して点火位置を演算する点火位置演算手段と、演算した点火位置を計測する点火位置計測手段と、点火位置が計測されたときにポートP1 の電位をLレベル(接地電位)にして点火信号を発生する点火信号発生手段とにより構成される。通常点火位置は、基準位置から点火位置までの角度(点火角度)の形で演算される。点火位置計測手段は、演算された点火角度と機関の回転速度とから、機関が基準位置から演算された点火角度だけ回転するのに要する時間を点火タイマ時間として演算し、MPU内に設けられたタイマを点火タイマとして用いて,基準位置でこの点火タイマによる点火タイマ時間の計時動作を開始させる。点火タイマにより計測された時間が演算された点火タイマ時間に一致したときのクランク角位置を点火位置として検出する。
図示してないが、本実施形態では、スロットルバルブの開度(スロットル開度)Thを検出するスロットルセンサの出力と、機関の冷却水の温度Tを検出する水温センサの出力とがMPU3に入力されている。
MPU3は点火角度(基準位置から点火位置に相当する位置までの角度)Igtを下記の式により演算する。
Igt=Igt・X(Ne,θth,T)−Igt・F …(1)
ここで、Igt・X(Ne,θth,T)は、機関の回転速度Neと、スロットル開度θthと、機関の冷却水温度Tとに対して演算される通常点火角度であり、デトネーションの発生がないとした場合に機関から最大の出力を引き出すために適した値を有している。通常この通常点火角度Igt・X(Ne,θth,T)は、ROMに記憶された点火角度演算用マップ(回転速度Neと、スロットル開度θthと、機関の冷却水温度Tと点火角度との関係を与えるテーブル)から読み出したデータに補間演算を施すことにより求められる。
Igt=Igt・X(Ne,θth,T)−Igt・F …(1)
ここで、Igt・X(Ne,θth,T)は、機関の回転速度Neと、スロットル開度θthと、機関の冷却水温度Tとに対して演算される通常点火角度であり、デトネーションの発生がないとした場合に機関から最大の出力を引き出すために適した値を有している。通常この通常点火角度Igt・X(Ne,θth,T)は、ROMに記憶された点火角度演算用マップ(回転速度Neと、スロットル開度θthと、機関の冷却水温度Tと点火角度との関係を与えるテーブル)から読み出したデータに補間演算を施すことにより求められる。
また(1)式においてIgt・Fは、デトネーション発生時に点火位置を遅角させたり、デトネーションの発生が止まったときに点火位置を進角させたりするために、通常点火角度Igt・X(Ne,θth,T)に加算したり、該通常点火角度から減算したりする点火角度の補正値である。ここで、補正値Igt・Fは常に正であるとする。
この種の点火装置では、通常、基準位置θ11,θ12で第1のパルス信号Vs1によりMPU3の割り込み入力端子INT1 に割り込み信号を入力することにより、第1の割り込み処理を行わせる。この割り込み処理では、パルサコイル5の出力パルスの発生間隔から回転速度を演算した後、演算された回転速度で基準位置から点火位置までクランク軸が回転するのに要する時間を点火タイマ時間として演算する。その後、機関の回転速度が設定回転速度以上であるか否かを判定して、回転速度が設定回転速度未満の場合(機関の行程変化に基づくクランク軸の回転速度変動が大きく、点火タイマによっては演算した点火位置を正確に検出できない場合)には、パルサコイルが低速時点火位置信号(第2のパルス信号Vs2)を発生したときに点火信号を発生させることを許可するための処理を行わせた後、第1の割り込み処理を終了する。また回転速度が設定回転速度以上の場合には、低速時点火位置信号により点火信号を発生させるのを禁止するための処理や、点火タイマに演算された点火タイマ時間をセットする等の処理を行った後第1の割り込み処理を終了する。
MPU3はまた、パルサコイルが発生する第2のパルス信号Vs2により第2の割り込み信号が与えられたときに、第2の割り込み処理を行わせる。この割り込み処理では、低速時点火位置信号により点火信号を発生させることが許可されているときに、MPU3のポートP1 の電位をLレベルにして点火信号を発生させる。
MPU3はまた、上記点火タイマがセットされた点火タイマ時間の計測を終了した時に、点火タイマ割り込み処理を行って、ポートP1 の電位をLレベルにし、点火信号を発生させる。
なおこれらの割り込み処理については後でフローチャートを用いて更に詳細に説明する。
なおこれらの割り込み処理については後でフローチャートを用いて更に詳細に説明する。
現用のMPUでは、回転速度の演算や、点火タイマ時間の演算など、基準位置で開始される第1の割り込み処理における演算処理に約0.5msecの時間がかかる。したがって、例えば機関の回転速度が10,000rpmであるとすると、MPU3は、BTDC75°の位置(基準位置)からほぼBTDC45°の位置までの約30°の区間、第1の割り込み処理を行っている。
また、回転速度の行程変化が大きく、点火タイマによる点火位置の検出を適確に行うことができない機関の始動時及び低速時には、パルサコイル5が第1気筒及び第2気筒の低速時点火位置θ21及びθ22でそれぞれの気筒用の低速時点火位置信号#1Vs2及び#2Vs2を発生したときに第2のパルス信号Vs2を波形整形して得た割り込み信号を割り込み端子INT2 に入力することによりMPU3に第2の割り込み処理を行わせ、この割り込み処理でそれぞれポートP1 の電位をLレベルにして第1気筒及び第2気筒の点火信号を発生させる。
また点火位置を最大上死点位置まで遅角させることがあるとすると、各気筒の上死点までは点火タイマによる点火位置の計測動作が行われることになる。したがって、2気筒2サイクル内燃機関では、第1気筒の基準位置である#1BTDC75°の位置から、上死点#1TDCの位置までの区間及び第2気筒の基準位置である#2BTDC75°の位置から上死点#2TDCの位置までの区間をそれぞれ、点火信号の発生に必要な処理(点火処理)を行わせる点火処理区間#1α及び#2αとして確保する必要があり、これらの点火処理区間では、他の処理を行わせることができない。しかし、#1BTDC0°から#1ATDC105°の区間及び#2BTDC0°から#2ATDC105°の区間は点火処理を行わないため、他の処理を行う区間として利用することができる。
発明者が行った実験の結果によると、2サイクル機関においてデトネーションが発生し易いのは、ほぼ#1ATDC15°から#1ATDC70°の区間#1γ及びほぼ#2ATDC15°から#2ATDC70°の区間#2γ(図7参照)である。本実施形態では、点火処理区間以外の区間(上記の例では#1BTDC0°から#1ATDC105°までの#1βの区間及び#2BTDC0°から#2ATDC105°までの#2β区間)では点火処理以外の他の処理を行い得ること、及びこれらの区間にデトネーションが発生し易い区間が含まれることに着目して、点火処理区間#1α及び#2αに続く一定の区間#1β及び#2βで、点火角度の演算等とともに、デトネーションの検出に必要な一連の処理を行わせる。
本実施形態においては、内燃機関の気筒内の燃焼圧力を検出してデトネーション発生時に所定のレベルを超える検出信号を出力する燃焼圧センサ8A及び8Bと、これらの燃焼圧センサが出力する検出信号のピーク値を検出して該ピーク値に相当する電圧信号を出力するピーク値検出回路(9A〜11A及び9B〜11B)とをハードウェア回路として設けるとともに、これらのピーク値検出回路が出力する電圧信号をデジタル値VD1 及びVD2 に変換するA/D変換手段をMPU3内のA/D変換器を用いて構成し、更に、MPU3に所定のプログラムを実行させることにより、各種の機能を実現するための手段を構成する。MPUにより実現される機能実現手段を含めた本実施形態の要部の構成を示す機能ブロック図を図2に示した。
図2において、8A及び8Bは図1に示した第1及び第2の燃焼圧センサ、20A及び20Bはそれぞれ電圧変換回路9A及び9Bとピークホールド回路10A及び10Bと放電回路11A及び11Bとからなっていて、燃焼圧センサ8A及び8Bがそれぞれ出力する検出信号のピーク値を検出して該ピーク値に相当する電圧信号を出力する第1及び第2のピーク値検出回路、21はクランク角位置が上死点位置よりも遅れた一定のクランク角度範囲の区間#1β及び#2β(デトネーション検出区間)にあるか否かを判定するデトネーション検出区間検出手段、22A及び22Bはそれぞれ、クランク角位置がデトネーション検出区間にあるときにピーク値検出回路20A及び20Bの出力信号をデジタル値VD1 及びVD2 に変換するA/D変換手段、23は内燃機関の回転速度を検出する回転速度検出手段、24は、回転速度検出手段24により検出された内燃機関の回転速度が設定値以下のときに、内燃機関の回転速度の上昇に伴って判定値を高くしていくように、内燃機関の回転速度に応じて、第1及び第2の燃焼圧センサ8A及び8Bの出力のピーク値と比較する第1の判定値VX1 及び第2の判定値VX2 を決定する判定値決定手段、25は、デジタル値VD1 及びVD2 を判定値VX1 及びVX2 と比較して、デジタル値が判定値を超えているときにデトネーションが発生したことを検出するデトネーション検出手段、26は、設定された遅角条件判定時間内に上記デトネーション検出手段がデトネーションの発生を検出した回数が設定された遅角判定回数以上であるときに点火制御手段により演算された点火位置を予め定めた遅角量だけ遅角させるように修正し、設定された進角条件判定時間内にデトネーション検出手段がデトネーションを検出した回数が設定された進角判定回数以下または零のときに点火位置を進角させて点火位置の遅角側への修正を解除するように点火位置を制御するデトネーション抑制用点火位置制御手段である。
A/D変換手段21A及び21Bを、MPU3に内蔵されたA/D変換器により実現する場合、A/D変換に要する時間(変換速度)は約10μsec である。これに対し、デトネーション発生時に燃焼圧センサ8A及び8Bが出力する検出信号の振動の周期は数μsec のオーダーである。したがって、燃焼圧センサの検出信号出力を直接A/D変換入力ポートに入力して、該検出信号のピーク値をA/D変換することはできない。
そこで本実施形態では、ピークホールド回路10A及び10Bを用いたピーク値検出回路を設けて、これらの回路により燃焼圧センサの出力電圧に相当する電圧のピーク値を保持させることにより、燃焼圧センサ8A及び8Bの検出信号出力を数100μsec の周期の電圧信号に変換し、これらの電圧信号をそれぞれA/D変換入力ポートA1 及びA2 に入力することにより、A/D変換を支障なく行わせるようにしている。
デトネーション検出手段25は、このようにして得た燃焼圧センサ8A及び8Bの検出信号のピーク値に相当するデジタル値VD1 及びVD2 を、回転速度に対して決定してRAMに記憶させておいた判定値VX1 及びVX2 と比較して、第1気筒の燃焼圧センサ8Aの検出信号のピーク値に相当するデジタル値VD1 が判定値VX1 よりも大きいときに第1気筒でデトネーションが発生したことを検出し、第2気筒の燃焼圧センサ8Bの検出信号のピーク値に相当するデジタル値VD2 が判定値VX2 よりも大きいときに第2気筒でデトネーションが発生したことを検出する。
本実施形態では、デトネーション抑制用点火位置制御手段26において、点火位置を遅角させるための条件が成立したことを検出するために、MPU3内の1つのカウンタを第1のデトネーションカウンタ(遅角条件検出用デトネーションカウンタ)27として用い、1つのタイマを、第1のタイマ(遅角条件判定時間計測用タイマ)28として用いる。第1のデトネーションカウンタ27により、デトネーションの発生回数を検出し、第1のタイマ28により、点火位置を遅角させる条件が成立したか否かを判定するための遅角条件判定時間T1sec を計測する。第1のタイマ28は、該タイマが計測している時間が遅角条件判定時間T1sec を超えた時、及び第1のデトネーションカウンタ27の計数値A1が設定値B1に達した時にリセットする。そして、遅角条件判定時間T1sec (例えば1sec )の時間内に検出されたデトネーションの発生回数が設定値B1(例えば1回)に達したときに点火角度の補正値に設定された遅角量C°を加えることにより、点火位置を設定された遅角量C°(例えば1°)だけ遅角させる。
例えば、クランク軸が1/2回転する間に第1気筒または第2気筒のいずれかでデトネーションが検出されたときに第1のデトネーションカウンタ27の計数値に1を加える。クランク軸が1/2回転する間に各気筒で2回以上デトネーションが発生したことが検出された場合でも、第1のデトネーションカウンタの計数値は1だけ増加させるものとする。
第1のデトネーションカウンタ27により計数されたデトネーションの発生回数が設定値A1(例えば1回)に達したときに、点火角度の補正値Igt・FにC°を加えて、第1のデトネーションカウンタ27をリセットすると同時に第1のタイマ28もリセットする。第1のタイマは、計測している時間が判定時間T1sec (例えば1sec )に達した時にもリセットする。
これらの動作により、第1のタイマ28が計測している時間が遅角条件判定時間T1sec に達するまでの間に第1のデトネーションカウンタ27の計数値がB1回に達すると、点火角度の補正値Igt・FにC°が加えられるため、点火位置がC°(例えば1°)だけ遅角側に修正される。この点火位置の遅角によりデトネーションが抑制される。
本実施形態ではまた、デトネーション抑制用点火位置制御手段26において点火位置を進角させるための条件が成立したことを検出するために、MPU3内の他の1つのカウンタを第2のデトネーションカウンタ(進角条件検出用デトネーションカウンタ)29として用い、他の1つのタイマを第2のタイマ(進角条件判定時間計測用タイマ)30として用いる。そして、第2のデトネーションカウンタ29により、デトネーションの発生回数を検出し、第2のタイマ30により、点火位置を進角させる条件が成立したか否かを判定するための進角条件判定時間T2sec を計測する。第2のタイマは、進角条件判定時間T2sec が経過したとき及び第2のデトネーションカウンタ30の計数値A2が設定値B2に達したときにリセットする。そして、進角条件判定時間T2sec (例えば3sec )の時間内に検出されたデトネーションの発生回数A2が設定値B2(例えば0)以下であるときに点火位置を設定された進角量D°(例えば1°)だけ進角させる。
例えば、クランク軸が1/2回転する間に第1気筒または第2気筒のいずれかでデトネーションが検出されたときに第2のデトネーションカウンタ29の計数値に1を加える。クランク軸が1/2回転する間に各気筒で2回以上デトネーションが検出された場合でも、第2のデトネーションカウンタの計数値は1だけ増加させる。
第2のデトネーションカウンタ29により計数されたデトネーションの発生回数A2が設定値B2(例えばB2=0)以下であるときに、点火角度の補正値Igt・Fから設定値D°を引いて、第2のデトネーション検出用カウンタ27をリセットすると同時に、第2のタイマ28をリセットする。第2のタイマ30は、計測している時間が判定時間Esec (例えば1sec )に達した時にもリセットする。
このような制御を行わせると、第2のタイマ30が計測している時間が判定時間T2sec に達したときに第2のデトネーションカウンタ30の計数値がB2以下(例えば0)であるときに、点火角度の補正値Igt・FからD°が引かれて、点火位置がD°(例えば1°)だけ進角させられる。
このように、本発明においては、デトネーションの発生回数を計数するとともに、判定時間の計測を行って、所定の判定時間内に所定回数のデトネーションが発生したことが検出されたときに点火角度の補正値を設定値だけ増加させることにより機関の点火位置を遅角側に修正する。これによりデトネーションが抑制されるため、デトネーションが検出されなくなるか、または検出される回数が少なくなる。
また所定の判定時間の間に計数されたデトネーションの発生回数が所定回数(0回を含む)以下であるときに、点火角度の補正値を設定値だけ減少させることにより点火位置を進角させて、点火位置の遅角側への修正を解除する。
このような制御を行うと、デトネーションの発生時に点火位置が遅角してデトネーションの発生が抑えられ、デトネーションが消滅すると直ちに点火位置が進角させられて、点火位置の遅角が解除されるため、機関の出力を犠牲にすることなく、デトネーションの発生を抑制することができる。
図2に示した各手段を実現するためにMPUに実行させるプログラムのアルゴリズムの一例を示すフローチャートを図11及び図12に示した。図11は、メインルーチンのアルゴリズムを示したもので、このアルゴリズムによる場合には、先ずステップ1において回転速度等の制御条件に対して基本点火位置演算用マップを検索することにより、基本点火位置を求める。次いでステップ2においてパルサコイル5が出力する第1のパルス信号Vs1による割り込みが行われる位置(基準位置)から基本点火位置までの回転角度を演算し、ステップ3において、回転速度に対してデトネーション発生の有無を判定する際に用いる判定値を演算する。
上記のようにして基準位置から基本点火位置までの回転角度及び判定値を演算した後、ステップ4で現在の回転角度位置が上死点位置(BTDC0°)からATDC105°までの間の区間(デトネーション検出区間)であるか否かを判定し、デトネーション検出区間である場合には、ステップ5に進んで燃焼圧センサ8Aまたは8Bの出力をデジタル変換し、ステップ6で燃焼圧センサの出力のデジタル変換値を読み込んで判定値と比較する。その結果、燃焼圧センサの出力のデジタル変換値が判定値以上であると判定されたときには、ステップ7でデトネーションが発生したことを示すフラグをセットする等のデトネーション発生時の処理を行わせる。その後ステップ8で他の必要な処理(燃料噴射装置が設けられている場合には、燃料噴射時間の演算など)を行わせた後、ステップ1に戻る。
図11のステップ4で現在の回転角度位置がデトネーション検出区間にないと判定されたとき、及びステップ6において燃焼圧センサの出力のデジタル変換値が判定値未満であると判定されたときには、何もしないでステップ8に移行する。
図11のステップ4によりクランク角位置がデトネーション検出区間にあるか否かを判定するデトネーション検出区間検出手段が構成され、ステップ5により図2のA/D変換手段22A及び22Bが構成される。またステップ3により判定値決定手段24が構成され、ステップ6及び7により燃焼圧デジタル値読み込み手段22及びデトネーション検出手段25が構成される。
図12は、パルサコイル5が第1のパルス信号Vs1を発生する毎に(基準位置が検出される毎に)実行される割り込みルーチンで、この割り込みルーチンでは先ずステップ1において、タイマの計測値を読み込んで、前回のパルス信号Vs1が発生してから今回のパルス信号Vs1が発生する間での時間を1回転周期(クランク軸が1回転するのに要した時間)として演算し、ステップ2でこの1回転周期から機関の回転速度を演算する。
回転速度を検出した後、ステップ3で現在の回転速度が演算により求められた点火位置で点火を行わせる回転速度であるか否かを判定する。その結果、現在の回転速度が演算により求められた点火位置で点火を行わせる回転速度でない場合には、ステップ4に進んで固定点火位置(第2のパルス信号Vs2の発生位置)で点火動作を行わせるための処理を行った後、この割り込みルーチンを終了する。
ステップ3で現在の回転速度が演算により求められた点火位置で点火を行わせる回転速度であると判定されたときには、次いでステップ5でデトネーション検出されているか否かを判定し、デトネーションが検出されている場合には、ステップ6で第1のカウンタ(今回の割り込みが第1気筒のパルス信号Vs1による割り込みの場合)または第2のカウンタ(今回の割り込みが第2気筒のパルス信号Vs1による割り込みの場合)を1だけインクリメントする。
次いでステップ7で遅角条件判定時間T1が経過しているか否かを判定し、遅角条件判定時間が経過している場合には、ステップ8で遅角条件判定時間T1の間の第1のカウンタの計数値A1が設定値B1以上であるか否かを判定する。その結果、計数値A1が設定値B1以上である場合には、ステップ9に進んで点火位置を予め定めた角度C°遅角させる制御を行わせた後、ステップ10に移行する。ステップ8で計数値A1が設定値B1未満であると判定された場合には、ステップ11に移行して遅角条件判定時間T1を計測するカウンタをクリアした後ステップ10に移行する。
ステップ10では、進角条件判定時間T2が経過しているか否かを判定し、経過している場合には、ステップ12で進角条件判定時間T2の間の第2のカウンタの計数値A2が設定値B2以下であるか否かを判定する。その結果、計数値A2が設定値B2以下である場合には、ステップ13に進んで点火位置を予め定めた角度D°だけ進角させる制御を行わせた後、ステップ14に移行する。ステップ12で計数値A2が設定値B2未満であると判定された場合には、ステップ15に移行して進角条件判定時間T2を計測するカウンタをクリアした後ステップ14に移行する。
ステップ14では、第1のパルス信号Vs1による割り込みが行われた位置から点火位置までの時間(図11のメインルーチンのステップ2で演算された回転角度を回転するのに要する時間)を演算し、演算した時間をステップ16で点火位置計測用のタイマにセットしてその計測を開始させた後メインルーチンに復帰する。
図12の割り込みルーチンのステップ1及び2により回転速度検出手段23が構成され、ステップ5ないし16によりデトネーション抑制用点火位置制御手段26が構成される。
上記のように、内燃機関の回転速度が設定値以下のときに、燃焼圧センサ8A,8Bの出力のピーク値のデジタル値と比較する判定値VX1,VX2を、回転速度の上昇に伴って高くしていくようにすると、機関の低速回転時から高速回転時までデトネーションの検出を的確に行うことができるため、機関の全回転速度領域において、デトネーションの発生を抑制する制御を的確に行わせることができる。
一般に、各回転速度における燃焼圧センサの出力は、スロットル開度の増大に伴って大
きくなっていく傾向にある。従って、判定値決定手段は、内燃機関の回転速度が設定値以下のときに判定値を回転速度の上昇に伴って高くしていくが、回転速度が設定値を超えているときには回転速度の変化に対して判定値を一定に保ち、かつ判定値をスロットル開度の増大に伴って高くしていくように、判定値を回転速度とスロットル開度との双方に対して決定するようにするのが好ましい。
きくなっていく傾向にある。従って、判定値決定手段は、内燃機関の回転速度が設定値以下のときに判定値を回転速度の上昇に伴って高くしていくが、回転速度が設定値を超えているときには回転速度の変化に対して判定値を一定に保ち、かつ判定値をスロットル開度の増大に伴って高くしていくように、判定値を回転速度とスロットル開度との双方に対して決定するようにするのが好ましい。
図5は、判定値を回転速度とスロットル開度との双方に対して決定する場合の判定値VXと、回転速度Neとの間の関係をスロットル開度TPsをパラメータにとって示したものである。
上記のように、判定値を回転速度とスロットル開度との双方に対して決定するようにした本発明の第2の実施形態の構成を図3に示した。この実施形態では、回転速度検出手段23により検出された回転速度とスロットルセンサ31により検出されたスロットル開度とに対して判定値を決定する判定値決定手段24が設けられている。判定値決定手段24は、内燃機関の回転速度が設定値Ns以下のときには判定値を回転速度の上昇に伴って高くしていくが回転速度が設定値を超えているときには判定値を回転速度の変化に対して一定に保ち、かつ各回転速度における判定値をスロットル開度の増大に伴って高くしていくように、判定値を内燃機関の回転速度及びスロットル開度に応じて決定するように構成される。この場合判定値は、図11のメインルーチンのステップ3において、回転速度及びスロットル開度と判定値との関係を与える3次元マップを検索することにより演算されるる。デトネーション検出手段25は、燃焼圧センサの出力のピーク値のデジタル値VD1及びVD2をそれぞれ判定値決定手段により決定された判定値VX1及びVX2と比較することによりデトネーションの発生を検出する。その他の点は、図2に示した例と同様である。
上記のように、燃焼圧センサの出力のピーク値のデジタル値と比較する判定値を、内燃機関の回転速度とスロットル開度との双方に対して決定するようにすると、機関の回転速度がいかなる場合でも、またスロットル開度がいかなる場合でも、判定値を的確に設定して、デトネーションの検出を的確に行うことができるため、機関の運転状態がいかなる場合でも、デトネーションの発生を抑制する制御を的確に行わせることができる。
上記の各実施形態において、デトネーション抑制用点火位置制御手段26は、設定された遅角条件判定時間T1内にデトネーション検出手段がデトネーションの発生を検出した回数が設定された遅角判定回数以上であるときに点火制御手段により演算された点火位置を設定された遅角量だけ遅角させ、設定された進角条件判定時間T2内にデトネーション検出手段がデトネーションを検出した回数が設定された進角判定回数以下または零のときに点火位置を設定された進角量だけ進角させるように構成されるが、このように、デトネーション抑制用点火位置制御手段26が構成される場合、遅角条件判定時間T1及び進角条件判定時間T2は、図6に示したように、内燃機関の回転速度の上昇に伴って短くなっていくようにするのが好ましい。このように遅角条件判定時間T1及び進角条件判定時間T2を回転速度の変化に伴って変化させる場合には、パルサコイル5が第1のパルス信号Vs1を発生する毎に実行される割り込みルーチンを図13に示したように構成する。図13に示した割込ルーチンは、ステップ2とステップ3との間に、回転速度Neに対して遅角条件判定時間T1及び進角条件判定時間T2をマップ演算するステップ(回転速度Neに対して演算式を用いてT1及びT2を演算するステップでも可)2´を追加した点を除き、図12に示した割込ルーチンと同様である。
点火位置を遅角させるか進角させるかを的確に判定するためには、ある一定回数の燃焼に対してどの程度の割合でデトネーションが発生したかを判定して、その判定結果に応じて点火位置を遅角させるか進角させるかを判定するようにするのが好ましい。
単位時間内に行われる燃焼の回数は、機関の回転速度の上昇に伴って増加していくので、ある一定回数の燃焼に対してどの程度の割合でデトネーションが発生したかを判定するためには、遅角条件判定時間及び進角条件判定時間を内燃機関の回転速度の上昇に伴って短くしていくか、または遅角条件判定時間及び進角条件判定時間を一定として、回転速度の上昇に伴って、遅角判定回数及び進角判定回数を増加させる必要があるが、遅角条件判定時間及び進角条件判定時間を一定として、回転速度の上昇に伴って、遅角判定回数及び進角判定回数を増加させるよりは、遅角条件判定時間及び進角条件判定時間を内燃機関の回転速度の上昇に伴って短くしていく方が容易である。
従って、上記のようにデトネーション抑制用点火位置制御手段を構成する場合、遅角条件判定時間及び進角条件判定時間を内燃機関の回転速度の上昇に伴って短くしていくようにするのが好ましい。
単位時間内に行われる燃焼の回数は、機関の回転速度の上昇に伴って増加していくので、ある一定回数の燃焼に対してどの程度の割合でデトネーションが発生したかを判定するためには、遅角条件判定時間及び進角条件判定時間を内燃機関の回転速度の上昇に伴って短くしていくか、または遅角条件判定時間及び進角条件判定時間を一定として、回転速度の上昇に伴って、遅角判定回数及び進角判定回数を増加させる必要があるが、遅角条件判定時間及び進角条件判定時間を一定として、回転速度の上昇に伴って、遅角判定回数及び進角判定回数を増加させるよりは、遅角条件判定時間及び進角条件判定時間を内燃機関の回転速度の上昇に伴って短くしていく方が容易である。
従って、上記のようにデトネーション抑制用点火位置制御手段を構成する場合、遅角条件判定時間及び進角条件判定時間を内燃機関の回転速度の上昇に伴って短くしていくようにするのが好ましい。
1 エキサイタコイル
2 点火回路
3 MPU
8A,8B 燃焼圧センサ
9A,9B 電圧変換回路
10A,10B ピークホールド回路
11A,11B 放電回路
20A,20B ピーク値検出回路
21 デトネーション検出区間検出手段
22A,22B A/D変換手段
23 回転速度検出手段
24 判定値決定手段
26 デトネーション抑制用点火位置制御手段
2 点火回路
3 MPU
8A,8B 燃焼圧センサ
9A,9B 電圧変換回路
10A,10B ピークホールド回路
11A,11B 放電回路
20A,20B ピーク値検出回路
21 デトネーション検出区間検出手段
22A,22B A/D変換手段
23 回転速度検出手段
24 判定値決定手段
26 デトネーション抑制用点火位置制御手段
Claims (4)
- 内燃機関の気筒内の燃焼圧力を検出する燃焼圧センサと、前記燃焼圧センサの出力のピーク値を検出するピーク値検出手段と、前記燃焼圧センサの出力のピーク値のデジタル値をデトネーションの発生の有無を判定するための判定値と比較して、前記デジタル値が判定値を超えているときにデトネーションが発生したことを検出するデトネーション検出手段と、前記デトネーションの発生を抑制するべく、前記デトネーション検出手段によりデトネーションが検出される頻度が設定値を超えたときに前記内燃機関の点火位置を遅角させ、前記デトネーションが検出される頻度が低くなるかまたは検出されなくなったときに前記点火位置を進角させるように前記内燃機関の点火位置を制御するデトネーション抑制用点火位置制御手段とを備えた内燃機関用点火装置において、
前記内燃機関の回転速度が設定値以下のときに、前記内燃機関の回転速度の上昇に伴って前記判定値を高くしていくように、内燃機関の回転速度に応じて前記判定値を決定する判定値決定手段が設けられ、
前記デトネーション検出手段は、前記デジタル値を前記判定値決定手段により決定された判定値と比較することによりデトネーションが発生したことを検出するように構成されていること、
を特徴とする内燃機関用点火装置。 - 前記判定値決定手段は、前記回転速度が設定値を超えているときには前記判定値を一定とするように構成されている請求項1に記載の内燃機関用点火装置。
- 内燃機関の気筒内の燃焼圧力を検出する燃焼圧センサと、前記燃焼圧センサの出力のピーク値を検出するピーク値検出手段と、前記燃焼圧センサの出力のピーク値のデジタル値をデトネーションの発生の有無を判定するための判定値と比較して、前記デジタル値が判定値を超えているときにデトネーションが発生したことを検出するデトネーション検出手段と、前記デトネーションの発生を抑制するべく、前記デトネーション検出手段によりデトネーションが検出される頻度が設定値を超えたときに前記内燃機関の点火位置を遅角させ、前記デトネーションが検出される頻度が低くなるかまたは検出されなくなったときに前記点火位置を進角させるように前記内燃機関の点火位置を制御するデトネーション抑制用点火位置制御手段とを備えた内燃機関用点火装置において、
前記内燃機関の回転速度が設定値以下のときには前記判定値を前記回転速度の上昇に伴って高くしていくが前記回転速度が設定値を超えているときには前記判定値を前記回転速度の変化に対して一定に保ち、かつ各回転速度における前記判定値を前記スロットル開度の増大に伴って高くしていくように、前記判定値を前記内燃機関の回転速度及びスロットル開度に応じて決定する判定値決定手段が設けられ、
前記デトネーション検出手段は、前記デジタル値を前記判定値決定手段により決定された判定値と比較することによりデトネーションが発生したことを検出するように構成されていること、
を特徴とする内燃機関用点火装置。 - 前記デトネーション抑制用点火位置制御手段は、設定された遅角条件判定時間内に前記デトネーション検出手段がデトネーションの発生を検出した回数が設定された遅角判定回数以上であるときに前記点火制御手段により演算された点火位置を設定された遅角量だけ遅角させ、設定された進角条件判定時間内に前記デトネーション検出手段がデトネーションを検出した回数が設定された進角判定回数以下または零のときに前記点火位置を設定された進角量だけ進角させるように構成され、
前記遅角条件判定時間及び進角条件判定時間は、前記内燃機関の回転速度の上昇に伴って短くなっていくように設定されること、
を特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の内燃機関用点火装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004010802A JP2005201211A (ja) | 2004-01-19 | 2004-01-19 | 内燃機関用点火装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004010802A JP2005201211A (ja) | 2004-01-19 | 2004-01-19 | 内燃機関用点火装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005201211A true JP2005201211A (ja) | 2005-07-28 |
Family
ID=34823425
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004010802A Pending JP2005201211A (ja) | 2004-01-19 | 2004-01-19 | 内燃機関用点火装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2005201211A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007107458A (ja) * | 2005-10-13 | 2007-04-26 | Honda Motor Co Ltd | 内燃機関の制御装置 |
CN114458510A (zh) * | 2022-04-13 | 2022-05-10 | 潍柴动力股份有限公司 | 确定点火提前角的方法、装置及天然气发动机系统 |
-
2004
- 2004-01-19 JP JP2004010802A patent/JP2005201211A/ja active Pending
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A02 | Decision of refusal |
Effective date: 20090630 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |