JP2005200761A - 電気化学反応槽 - Google Patents

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Abstract

【課題】導電部等からの反応生成物の液漏れを無くし、反応槽の温度上昇を抑えうる電気化学反応槽を提供する。
【解決手段】第一の容器1を他の第二の容器4内に収蔵し、第一の容器に収蔵された電極9に電力を供給するための導電体8が第一および第二の容器壁を貫通し、第二の容器の外部から電力を供給できる。さらに、第一の容器内に原料流体を供給する供給手段2が、第一の容器の開口部に接合され、第二の容器壁を貫通し、原料流体を第二の容器の外部から第一の容器内へ供給できる。さらに、第一の容器内で生成された電気化学反応生成物を排出手段3から第二の容器内に排出する構造にした。さらに、第二の容器内に外部から流体を供給する供給手段5を備え、第一の容器から排出された電気化学反応生成物と第二の容器に供給手段から供給された流体を混合した後、第二の容器の外部に排出手段6から排出する構造とした。
【選択図】図1

Description

本発明は物質の変換を起こす電気化学反応槽に関する。より詳しくは電気化学反応なとに伴う激しい性質を有する物質を安全に取り扱う電気化学反応槽に関する。
電気化学反応を生起させる反応槽の内部では、激烈な性質を有する物質が取り扱われることが多い。そのような場合、容器の耐久性もさることながら、外部との遮断は重要な課題である。反応生成物の漏溢は機械装置への障害や環境の悪化など産業上重大な損失を引き起こすためである。特に電気化学反応槽は外部から電気エネルギーを供給するために、槽の内外を繋ぐ導電体が必要となる。一方、反応槽は電気的に絶縁体である必要があり、導電体と絶縁体という異物質の接触部分の密着性能が重要な課題となる。このような部位の封止の目的には通常、ゴムなどのように弾力性を持った材質が利用されるが、激烈な腐食性を有する反応生成物には、実用的に十分な耐久性のある材質が知られていないものもある。また、電気化学反応等で発生する熱は電極や反応槽の劣化を促進し、反応効率も劣化させるために高温化を防ぐ対策が必要となる。
特許文献1、特許文献2、特許文献3などはいずれも、ゴムなどの材質を使ったパッキンやオーリングなどによって導電体をシールしようとする技術であるが、シール材の耐食性のみに依存しており、一旦それらの部材が劣化するとすぐに液漏れを引き起こす。また、特許文献4は本発明者等の発明によるもので、電解槽の一部にジャケットを設けて二重構造とし、冷却と濃厚電解生成物の希釈をその中で行うものであるが、導電体のシールに関しては前出の特許文献と本質的に同じ技術である。
このように、反応槽からの液漏れおよび反応槽の冷却を本質的に解決する技術は知られていなかった。
特開平6−220675 特開平8−309358 特開平9−1148 特開2003−190953
本発明が解決しようとする課題は、電気化学反応槽の導電部と槽の接合部等からの反応生成物の液漏れを本質的に無くし、槽内の温度上昇を抑えうる電気化学反応槽を提供することである。
前記課題を解決するために本発明者は、電極を収蔵し実質的に内部で電気化学反応が生起する第一の容器を他の第二の容器内に収蔵し、その第一の容器に収蔵された電極に電力を供給するための導電体が第一の容器壁および第二の容器壁を、液体の入出を防ぐ状態で貫通し、第二の容器の外部から電力を供給できるようにし、第一の容器内に原料流体を供給する原料流体供給手段が、第一の容器の開口部に接合され、第二の容器壁を、液体の入出を防ぐ状態で貫通し、原料流体を第二の容器の外部から、第二の容器内に漏溢することなく第一の容器内へ供給できるようにし、第一の容器内で生成された電気化学反応生成物を第二の容器内に排出する構造にし、第二の容器内に外部から流体を供給する流体供給手段を備え、第一の容器の排出手段から排出された電気化学反応生成物と第二の容器に備えられた流体供給手段から供給された流体を混合した後、その混合物を第二の容器の外部に排出させる混合物排出手段を備えた構造で、さらに、前記全ての流体の供給または排出手段以外にいかなる開口部も無い構造を持つことを特徴とする電気化学反応槽を手段とした。また、前記第一の容器内に供給される原料流体が塩素イオン溶液であり、前記第二の容器内に供給される流体が水であることを特徴とする電気化学反応槽も別の一手段とした。
さらにまた、前記第一の容器が直方体または立方体であり、前記第二の容器が円筒形もしくは球形であることを特徴とする電気化学反応槽もさらに別の一手段とした。
本発明の効果は、電気化学反応槽の内部で生成する激烈な性質を有する流体を、ゴムなどの材質を使ったパッキンやオーリングなどの耐久性のみに頼ることなく、本質的にシールすることを可能にし、幾多の産業的不利益を生ずる恐れのある液漏れを解消した。また、実質的に反応が生起する容器全体を冷却することを可能にし、電気化学反応槽の寿命の延長を可能にした。
本発明を実施するための最良の形態を電気分解槽を例に説明する。
実際に電解反応が生起する第一の容器は、内蔵する2枚あるいはそれ以上の電極板の外縁が第一の容器内面に略接触するような状態で等間隔で相互に略平行に配置できる形状が望ましく、立方体または直方体が最良である。第一の容器には電解原液を供給する原液供給手段と生成物である電解液を排出する電解液排出手段を設ける。第一の容器を収蔵する第二の容器は、第一の容器が内接するサイズの円筒形で、第一の容器を収蔵した場合に第一の容器が完全に収蔵できる程度に、第一の容器より十分に長くなければならない。円筒の両端にはフランジ構造等の閉塞手段を有し、蓋によって実質的に閉塞できなければならない。この第二の容器は二個に分割できる球形容器を使って同様の機能を持つように構成してもよい。第二の容器には、第一の容器への原液供給手段を貫通固定する構造、第一の容器内に給電する導電体を貫通固定する構造、第二の容器内に稀釈水を供給する供給手段を備えた構造および、第二の容器から混合液を排出する排出手段を備えた構造を備えていることが必要である。
これらの構成によって、この電解槽は次のように作用する。第二の容器には一定流量で稀釈水が供給され、同じ流量で排出手段から混合液が排出される。次に、第一の容器には第二の容器の外部から電解原液が供給され、同様に供給された電力により第一の容器内で電気分解反応が生起し電解液が生成される。電解液は第一の容器の電解液排出手段によって、第二の容器内に供給されている稀釈水中に排出され混合稀釈されて第二の容器の排出手段から排出される。
このように構成することによって、実際に電解反応が生起し、内部に激烈な性質の物質を包含する第一の容器は完全に稀釈水の流れに浸漬された状態にあるために、例え導電体の導出部から電解物が漏溢してもすぐに安全レベルに稀釈されるため第二の容器のシール材等への影響は避けられ外部へ漏出する恐れはない。また、第一の容器で発生した熱は、その周囲を流下する稀釈水によって冷却されるので、温度の上昇も抑制される。また最後に第二の容器から排出される液は安全レベルまで稀釈された電解液であるため、外部に危険な高濃度電解液が排出される心配も無い。
次にさらに理解を深めるために実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明の範囲をこの実施例に限定する趣旨ではない。
図1に本発明の実施例の断面図、図2には斜視図、さらに図3には本発明を使用した電解装置のフロー図を示した。本実施例における第一の容器1は厚さ10mmの硬質塩化ビニール板で製作された、断面が1辺200mmの正方形で長さ130mmの角柱である。内部には複数の白金メッキチタン平板(159×159mm)電極9を収蔵している。第一の容器には原液供給手段2が内径6mmのテフロンチューブと同じくテフロン製のハーフユニオンで配設されており、テフロンチューブが第二の容器壁を貫通する部分はテフロン製貫通ユニオンで流体が封止されている。電解液排出手段3は内径6mmのテフロンチューブが、第一の容器にテフロン製ハーフユニオンで配置され、他端は第二の容器内に開放されている。原液供給手段2から供給された原液が第一の容器の内部で電解作用を受けて、生成した電解液が電解液排出手段から排出される構造になっている。さらに第一の容器には、その内部に電力を供給するためにチタン製の一対の導電体8が設置されており、第一の容器壁の貫通部はフッ素ゴムのシートパッキンで封止され、第二の容器壁の貫通部分は同じ材質のOリングで封止されている。第二の容器4は同じく硬質塩化ビニール製で内径286mm、長さ240mmの円筒であり、両端にはフランジ10を備え蓋11をボルトナット(図1には図示されていない)で閉塞されている。それぞれの蓋には稀釈水の給水手段5と混合液の排出手段6が設置されている。第一の容器は第二の容器の略中央部に、内面に略内接するように嵌合固定されている。
この実施例を図3に示した電解装置に組み込んで電解を行った。原液タンク(ポリエチレン製5L容)15から5%塩酸を、定量ポンプ(イワキ社EH−R−B15)16で毎分40mlで供給し、稀釈水を毎分200Lで稀釈水供給口13から供給しながら、電源(北越技研社製S82J−02515)17から50V、15Aの電力を供給して電解を行ない、稀釈電解水排出口14から毎分200Lで、25ppm濃度の次亜塩素酸水を得た。この間電解槽の温度は常時室温+5℃以下であった。また第二の容器の導電体貫通部からの液漏れは1年使用後も起きなかった。
実施例の電解槽の断面図 実施例の電解槽の外観斜視図 実施例を組み込んだ電解装置のフロー図
符号の説明
18 蓋締め付けナットおよびボルト

Claims (3)

  1. 次の(1)から(7)に記載した、
    (1)電極を収蔵し実質的に内部で電気化学反応が生起する第一の容器を他の第二の容器内に収蔵した構造、
    (2)該第一の容器に収蔵された該電極に電力を供給するための導電体が該第一の容器壁および該第二の容器壁を、液体の入出を防ぐ状態で貫通し、該第二の容器の外部から電力を供給できる構造、
    (3)該第一の容器内に原料流体を供給する原料流体供給手段が、第一の容器の開口部に接合され、該第二の容器壁を、液体の入出を防ぐ状態で貫通し、原料流体を該第二の容器の外部から、該第二の容器内に漏溢することなく該第一の容器内へ供給する構造、
    (4)該第一の容器内で生起した反応で生成された電気化学反応生成物を該第二の容器内に排出する排出手段を備えた構造、
    (5)該第二の容器内に外部から流体を供給する流体供給手段を備えた構造、
    (6)該第一の容器の排出手段から排出された電気化学反応生成物と該第二の容器に備えられた流体供給手段から供給された流体を混合した後、該第二の容器から外部に該混合物を排出させる混合物排出手段を備えた構造、
    (7)および、前記全ての流体の供給または排出手段以外にいかなる開口部も無い構造、を特徴とする電気化学反応槽
  2. 請求項1記載の第一の容器内に供給される原料流体が塩素イオン溶液であり、同じく請求項1記載の第二の容器内に供給される流体が水であることを特徴とする請求項1記載の電気化学反応槽
  3. 請求項1記載の第一の容器が直方体または立方体であり、同第二の容器が円筒形もしくは球形であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の電気化学反応槽
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