JPH0733891A - 表面層架橋吸水性樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

表面層架橋吸水性樹脂成形体の製造方法

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JPH0733891A
JPH0733891A JP5201308A JP20130893A JPH0733891A JP H0733891 A JPH0733891 A JP H0733891A JP 5201308 A JP5201308 A JP 5201308A JP 20130893 A JP20130893 A JP 20130893A JP H0733891 A JPH0733891 A JP H0733891A
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water
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absorbent resin
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JP5201308A
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English (en)
Inventor
Masakatsu Suetsugu
正克 末次
Takao Kuno
貴雄 久野
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Tonen Chemical Corp
Original Assignee
Tonen Sekiyu Kagaku KK
Tonen Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 (a)ポリエチレン系重合体およびエチレン
−プロピレン−ジエン共重合体からなるオレフィン系熱
可塑性エラストマーと、(b)水添ジエン系共重合体
と、(c)吸水性樹脂と、(d)無機フィラーと、
(e)軟化剤と、(f)可塑剤と、所望により(g)
α,β−不飽和カルボン酸の金属塩、ビスマレイミド化
合物および多官能ビニルモノマー類から選ばれる1種ま
たは2種以上の架橋助剤とを含有する樹脂組成物を成形
した後、その両面あるいは片面に電離性放射線を照射
し、表面層付近のみを強く架橋することを特徴とする表
面層架橋吸水性樹脂成形体の製造方法。 【効果】 力学的物性、形態保持性等に優れ、各種防水
用シール、止水剤などに好適な表面層架橋吸水性樹脂成
形体を製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水膨潤性の高分子吸水
剤とオレフィン系熱可塑性エラストマーを含有する表面
層架橋吸水性樹脂成形体の製造方法に関する。本発明に
よる表面層架橋吸水性樹脂成形体は、トンネルや上下水
道工事のセグメント間の防水用シール、通信ケーブル、
電話線等の地下埋設ケーブルの継手シール材、建築物外
壁パネルの間隙のシールなどの土木、建築工事の止水
材、防震機能を兼ねた結露防止材などに有用である。
【0002】
【従来の技術およびその課題】トンネルや上下水道工事
のセグメント間の防水用シール材としては、従来、ポ
リアクリル酸塩の架橋物、デンプン−ポリアクリル酸
塩系樹脂、ビニルアルコール共重合体あるいは無水マ
レイン酸共重合体と塩基性物質との反応生成物を架橋し
た高吸水性樹脂をジエン系ゴムなどに配合し加硫した水
膨脹性組成物が広く用いられている(特開昭57-108143
号、同57-135160 号等)。しかしながら、これらの吸水
性樹脂組成物は、加硫工程を要するため成形加工コスト
が高く、生産性が低い等の問題があった。
【0003】熱可塑性樹脂に高吸水性樹脂を含有させた
他の吸水性樹脂組成物として、例えば、エチレン−酢酸
ビニル共重合体またはポリブタジエンに細かく分割した
吸水ポリマー(低級オレフィン−無水マレイン酸を尿素
樹脂またはメラミン樹脂で架橋したもの)を配合したも
の(特開昭55-8424 号公報)、塩素化ポリエチレンとポ
リイソブチレンとの組成物に高吸水性樹脂(無水マレイ
ン酸−イソブチレン共重合体、アクリル酸−ビニルアル
コール共重合体など)を混合したもの(特開昭62-10687
9 号公報)等がある。しかし、前者は温度依存性が大き
く、特に低温度における吸水性、柔軟性が低く作業性に
問題があり、後者は焼却処分時に塩化水素を発生するな
ど環境対策上の問題もある。
【0004】その他の例として、カルボキシレート含有
の吸水性樹脂とグリシジル基含有のオレフィンとを溶融
混練してポリオレフィン樹脂組成物にすること、あるい
は吸水性樹脂粉体とポリオレフィン樹脂ペレットとオレ
フィン樹脂ペレット粉体を溶融混練して吸水後の形態保
持率を高めるものがあるが(特開昭63-110226 号公報、
特開昭63-135431 号公報)、熱可塑性ポリマーをベース
にする複合組成物であるため、吸水と乾燥を繰返すと吸
水剤が樹脂組成物から徐々に失われる現象(ゲル抜け現
象)を生じ、吸水効率が低下し耐久性に問題がある。
【0005】本発明者らはオレフィン系熱可塑性エラス
トマーをベースにした非加硫タイプの吸水性樹脂組成物
について検討し、(1) ポリエチレン系重合体とエチレン
−プロピレン−ジエン共重合体とからなるオレフィン系
熱可塑性エラストマーに吸水性樹脂、軟化剤および可塑
剤を配合した樹脂組成物が柔軟性、成形加工性に優れて
いること、(2) 前記(1) の成分に無機フィラーを配合し
た組成物では吸水性樹脂の組成物中における分散性が良
好となり優れた吸水性樹脂組成物になること、(3) 前記
(1) および(2) の各成分に水添ジエン系共重合体を配合
することにより、吸水力が向上し、柔軟性、吸水性、成
形加工性に優れていること、また(4) 前記(1) 〜(3) の
組成物成形体の全体に電離性放射線を照射して架橋する
ことによりゲル抜け防止が図られ耐久性が向上すること
を見出し、それぞれ特許出願している(特願平4-237695
号、同4-237696号、同4-250666号、同4-259056号)。
【0006】上記(1) 〜(4) の吸水性樹脂組成物は各物
性のバランスが取れた良好な組成物であるが、用途の多
様化に対応するには、弾性、強度等の機械的物性を向上
させることが必要となる。従って、本発明の目的は、オ
レフィン系熱可塑性エラストマーをベースとし、加工
性、強度及びコスト面で優れた吸水性樹脂組成物の製造
方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討を
重ねた結果、電離性放射線を照射して吸水性樹脂組成物
成形体の表面付近のみを強く架橋することにより前記の
課題が解決できることを確認し、本発明に到達した。
【0008】すなわち、本発明は、(a)ポリエチレン
系重合体15〜55重量%とエチレン−プロピレン−ジ
エン共重合体85〜45重量%とからなるオレフィン系
熱可塑性エラストマー100重量部に対して(b)水添
ジエン系共重合体10〜100重量部を含有し、前記成
分(a)+(b)100重量部に対して(c)吸水性樹
脂5〜95重量部と、(d)無機フィラー1〜25重量
部と、(e)軟化剤2〜50重量部と、(f)可塑剤2
〜50重量部と、所望により(g)α,β−不飽和カル
ボン酸の金属塩、ビスマレイミド化合物および多官能ビ
ニルモノマー類から選ばれる1種または2種以上の架橋
助剤0.01〜25重量部とを含有する樹脂組成物を成形し
た後、その両面あるいは片面に電離性放射線を照射し、
表面層付近のみを強く架橋することを特徴とする表面層
架橋吸水性樹脂成形体の製造方法を提供するものであ
る。以下、本発明の表面層架橋吸水性樹脂成形体の製造
方法について説明する。
【0009】本発明の表面層架橋吸水性樹脂成形体のベ
ースとなるオレフィン系熱可塑性エラストマー(a)は
ポリエチレン系重合体(第1成分)とエチレン−プロピ
レン−ジエン共重合体(第2成分)とからなる組成物で
ある。ここで、第1成分であるポリエチレン系重合体と
しては、エチレンの単独重合体、エチレンとプロピレン
または他のα−オレフィン共重合体、もしくはエチレン
と酢酸ビニル、エチルアクリレート等との共重合、ある
いはこれらの単独重合体同志、さらには単独重合体と共
重合体とブレンドしたもの等を用いることができる。具
体的には、ポリエチレンおよびエチレン−酢酸ビニル共
重合体が好ましい。
【0010】ポリエチレンとしては、メルトインデック
ス(MI, JISK7210, 荷重2.16kg)が0.01〜100g/
10分、密度 0.910〜0.935 g/cm3 のものが好ましい。
また、ポリエチレンには、炭素原子数4〜20程度のα
−オレフィンを20モル%以下程度まで共重合したもの
も含まれる。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体(E
VA)としては酢酸ビニル含有率が10〜30重量%の
共重合体が好ましく、特に酢酸ビニルの含有率が17〜
30重量%の範囲内にあるものが好ましい。このような
EVAのメルトインデックス(190℃、2.16kg荷重)
は15〜25g/10分が好ましい。上記ポリエチレン
系重合体としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(E
VA)がより好ましい。
【0011】オレフィン系熱可塑性エラストマー(a)
の第2の成分であるエチレン−プロピレン−ジエン共重
合体(EPDM)は、エチレン、プロピレンおよびジエ
ンよりなる共重合体である。前記ジエン化合物として
は、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、
ジシクロペンタジエンなどが挙げられる。上記EPDM
は、エチレン含有率が50〜60モル%、プロピレン含
有率が20〜30モル%、ジエン化合物含有率が1〜2
0モル%、およびヨウ素価が1〜30であるものが好ま
しい。EPDMのムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)
は、20〜100が好ましく、特に50〜90が好まし
い。
【0012】前記ポリエチレン系重合体とエチレン−プ
ロピレン−ジエン共重合体(EPDM)との配合割合は
ポリエチレン系重合体が15〜55重量%、好ましくは
20〜50重量%、EPDMが85〜45重量%、好ま
しくは80〜50重量%である。ポリエチレン系重合体
が15重量%未満では機械的強度および成形性が低下
し、一方ポリエチレン系重合体が55重量%を超えると
硬度が上昇し、引裂強度等が低下する。
【0013】オレフィン系熱可塑性エラストマー(a)
は、ポリエチレン系重合体とEPDMとを上記の割合で
溶融混練して製造される。すなわち、ポリエチレン系重
合体15〜55重量%とEPDM85〜45重量%とを
二軸押出機、単軸押出機、ロール混練機、バンバリミキ
サー、ブラベンダー等の混練機により混練する。混練温
度はベースとなる樹脂成分が溶融する温度以上で適宜設
定すればよいが、通常90〜160℃未満の範囲で行な
うのが好ましい。このようにして得られるオレフィン系
熱可塑性エラストマー組成物のメルトインデックス(1
90℃、2.16kg荷重)は 0.5〜20g/10分が好まし
い。
【0014】なお、本発明ではオレフィン系熱可塑性エ
ラストマー(a)は、ポリエチレン系重合体とEPDM
とを独立した成分として、後に述べる水添ジエン系共重
合体(b)、吸水性樹脂成分(c)、無機フィラー
(d)、軟化剤(e)、可塑剤(f)および架橋助剤
(g)と一括あるいは任意の順序で混練して調製するこ
ともできる。
【0015】本発明では、表面層架橋吸水性樹脂成形体
の吸水性を向上させるために(b)水添ジエン系共重合
体を配合する。水添ジエン系共重合体は、特開平 3-725
12号に記載されているように、ビニル芳香族化合物重合
体ブロック(A)と共役ジエン系重合体もしくはビニル
芳香族化合物と、共役ジエンとのランダム共重合体ブロ
ック(B)とからなる(A)−(B)ブロック共重合
体、またはさらに必要に応じてビニル芳香族化合物と共
役ジエンのうち、ビニル芳香族化合物が漸増するテーパ
ーブロック(C)とからなる(A)−(B)−(C)ブ
ロック共重合体、もしくはビニル芳香族重合体(A)か
らなる(A)−(B)−(A)ブロック共重合体を水素
添加して、共役ジエンの少なくとも80%が飽和され、
数平均分子量が5万〜60万のものである。上記水添ジ
エン系共重合体としては、結合スチレン量10〜30重
量%、メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)3
〜6g/10分のものが好ましい。水添ジエン系共重合
体の配合量は、前記成分(a)100重量部に対して、
10〜100重量部である。配合量が10重量部未満で
は、組成物の吸水率の向上が不十分であり、また100
重量部を越えると重量保持率が低下する。
【0016】本発明の表面層架橋吸水性樹脂成形体にお
ける吸水性樹脂(c)としては、高吸水性樹脂として市
販されているものが制限なく使用できる。これらのう
ち、カルボキシル基またはカルボキシル基に誘導しうる
基を分子内に1個もしくは2個有するα,β−不飽和化
合物を単量体成分として含有する重合体を架橋剤により
架橋した高吸水性樹脂が好ましく、粒子径が5〜30μ
m、好ましくは10〜20μmのものである。
【0017】このような吸水性樹脂としては、例えばポ
リアクリル酸塩系樹脂、デンプン−アクリル酸塩グラフ
ト系ポリマー、酢酸ビニル共重合体、無水マレイン酸共
重合体、ビニルアルコール系共重合体などが挙げられ、
中でもポリアクリル酸塩系樹脂が好ましくい。前記吸水
性樹脂はその吸水率が自重の10〜500倍、好ましく
は50〜200倍の吸水能を有するものが望ましい。吸
水性樹脂の配合量は、前記成分(a)+(b)100重
量部に対して、5〜95重量部、好ましくは30〜60
重量部である。配合量が5重量部未満では、組成物の吸
水率が不十分となり、また95重量部を越えると組成物
の機械的強度が低下する。
【0018】本発明の表面層架橋吸水性樹脂成形体にお
いては、無機フィラー(d)を配合する。無機フィラー
(d)を併用することにより、吸水性樹脂の分散性が向
上するため、従来使用しているような相溶剤は不要とな
る。ここで無機フィラー(d)としては、タルク、炭酸
カルシウム、セッコウ、カーボンブラック、クレー、カ
オリン、シリカ、ケイソウ土、炭酸マグネシウム、炭酸
バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カル
シウム、リン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化
亜鉛、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグ
ネシウム、酸化チタン、アルミナ、マイカ、シラスバル
ーン、ゼオライト、珪酸白土、セメント、シリカフュー
ム、雲母粉等を使用することができ、中でもタルク、炭
酸カルシウム、シリカが好ましい。これらの無機フィラ
ーは粉末状、球状、フレーク状等の各種形状のものを用
いることができる。無機フィラーの添加量は、前記成分
(a)+(b)100重量部に対して、1〜25重量
部、好ましくは3〜15重量部である。添加量が1重量
部未満では、吸水性樹脂の分散性が低下し、吸水性が不
十分となり、また25重量部を越えると柔軟性が低下
し、吸水性樹脂の抜けも増加する。
【0019】本発明の表面層架橋吸水性樹脂成形体で
は、吸水力の調整、低温での柔軟性の向上、粉つき性の
向上、作業性の改善のために軟化剤(e)および可塑剤
(f)を配合する。軟化剤(e)としては、鉱物油系軟
化剤が好ましく用いられる。鉱物系の軟化剤としては、
パラフィン系、ナフテン系、芳香族系等の石油系軟化
剤、重合した高沸点強芳香族系オイル、流動パラフィ
ン、ホワイトオイルなどが挙げられるが、石油系軟化
剤、特にEPDMなどとの相溶性の良好なパラフィン系
石油軟化剤を好ましく用いられる。軟化剤の添加量は、
前記成分(a)+(b)100重量部に対して、2〜5
0重量部、好ましくは30〜45重量部である。添加量
が2重量部未満では柔軟性が不十分であり、50重量部
を越えると成形加工性が悪くなる。
【0020】可塑剤(f)は、通常樹脂組成物で用いら
れている、例えば、フタル酸誘導体を好ましく用いるこ
とができる。フタル酸誘導体としては、ジメチルフタレ
ート、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート、ジエチ
ルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−n−オクチル
フタレート、ジイソオクチルフタレート、ジイソブチル
フタレート、ジヘプチルフタレート、ジフェニルフタレ
ート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレー
ト、ジウンデシルフタレート、ベンジルフタレート、ブ
チルベンジルフタレート、ジノニルフタレート、アルキ
ルベンジルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、
ジメチルシクロヘキシルフタレート、メチルフタリルエ
チルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレー
ト、ブチルフタリルブチルグリコレート等およびそれら
の混合物などが挙げられる。可塑剤の添加量は、前記成
分(a)+(b)100重量部に対して、2〜50重量
部である。添加量が50重量部を越えると混練作業が困
難となる。
【0021】本発明の表面層架橋吸水性樹脂成形体で
は、架橋構造の導入をスムーズに行ない、さらには強度
を一層向上させるために、架橋助剤(g)を配合するこ
とができる。架橋助剤(g)としては、α,β−不飽和
カルボン酸の金属塩、ビスマレイミド化合物および多官
能ビニルモノマーなどが使用できる。ここで、α,β−
不飽和カルボン酸の金属塩のα,β−不飽和カルボン酸
成分としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロ
トン酸、イソクロトン酸、フマル酸、マレイン酸等が挙
げられ、中でもアクリル酸およびメタクリル酸が好まし
い。一方、金属成分としては、例えばリチウム、ナトリ
ウム、カリウム、セシウムなどの1価金属、マグネシウ
ム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、銅、亜鉛
などの2価金属が挙げられる。これらのうち、2価金属
が好ましく、特に亜鉛が好ましい。
【0022】また、ビスマレイミド化合物としてはN,
N′−m−フェニレンビスマレイミドが、多官能ビニル
モノマーとしてはジビニルベンゼン、トリアリルシアヌ
レートなどが好ましく用いられる。これら架橋助剤は通
常は単独で用いられるが、複数のα,β−不飽和カルボ
ン酸の金属塩、複数の多官能ビニルモノマーまたは複数
のビスマレイミド化合物のいずれかを用いてもよい。
【0023】架橋助剤の配合量は、前記成分(a)+
(b)100重量部に対して、0.01〜25重量部、好ま
しくは0.05〜5.0 重量部である。また、本発明では上記
した成分以外にも、所望によりさらに、紫外線吸収剤、
熱安定剤、光安定剤、難燃剤、帯電防止剤、造核剤、着
色剤等を適宜配合することができる。
【0024】本発明の表面層架橋吸水性樹脂成形体を得
るためには、まず、オレフィン系熱可塑性エラストマー
成分(a)、水添ジエン系共重合体(b)、吸水性樹脂
成分(c)、無機フィラー(d)、軟化剤(e)、可塑
剤(f)および所望により架橋助剤(g)を前記の割合
で、また任意の順序で溶融混練する。しかし、吸水性樹
脂の組成物中における均一分散性を向上させるために
は、予めポリエチレン系重合体とEPDMとから調製し
たオレフィン系熱可塑性エラストマー成分(a)と吸水
性樹脂(c)をヘンシェルミキサー等の撹拌機を用いて
予備混合しておくことが好ましい。この予備混合物に他
の成分を加えて十分に撹拌した後、単軸押出機、二軸押
出機、バンバリーミキサー、混練ロール、ブラベンダ
ー、ニーダールーダー等の混練機を用いて溶融混練す
る。ここで、混練温度はベースとなる樹脂成分が溶融す
る温度以上の範囲で適宜設定すればよいが、通常90〜
250℃の範囲で行なうのが好ましい。次に得られた混
練物をシートあるいはその他所望の形状に成形する。
【0025】次に得られた成形体の片面または両面層に
電離性放射線を照射し、照射表面層のみを強く架橋させ
た表面層架橋構造体を形成する。表面照射により得られ
る表面層高架橋成形体では、表面の架橋層により機械的
強度が向上し、さらに吸水乾燥を繰り返した時の吸水性
樹脂の損失防止、形態保持性、耐熱水性等の向上が図ら
れる。ここで片面のみを架橋したものは異方膨潤性を有
し、例えば、車輌、建材用のウェザーストリップ、ウィ
ンドシールド、土木工事用シールドセグメント、ヒュー
ム管のシール材等の用途に使用することができる。この
ような異方膨潤性樹脂成形体は、従来異形共押出成形法
で製造されているが、本発明によれば異形共押出工程は
不要となり、比較的簡単な操作で異方膨潤性成形体を製
造することができる。
【0026】架橋構造を持たせるために照射する電離性
放射線としては、α線、β線、γ線、X線を挙げること
ができるが、β線(電子線)が好ましい。電離性放射線
の照射は、吸水性樹脂成形体の表面のみが強く架橋する
条件で行なう。電子線については、加速電圧は高いほど
対象物の内部に到達するので、表面層のみを強く架橋す
るには比較的低い加速電圧条件を採用する。また、照射
線量(電子の密度)は架橋度に影響を与える。したがっ
て、加速電圧および照射線量は、シートの厚みなど対象
物の形状および目的に応じて選定する。
【0027】具体的には、加速電圧は200〜300K
Vの範囲が好ましく、線量は3Mrad以上、特に3〜10
Mradの範囲が好ましい。3Mrad未満では架橋が十分に行
われないので十分な強度が得られず、かつゲル抜けを防
止することができない。また線量が大きくなると表面が
劣化し柔軟性が失われ吸水力が低下する。加速電圧が2
00KV未満では強度を得るに十分な厚みを持つ、表面
スキン層を形成しにくく、また300KVを越えるとシ
ートの中心付近まで架橋が進むこととなり、本発明の効
果が得られない。
【0028】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさ
らに詳細に説明するが、本発明は下記の記載により限定
されるものではない。なお、各実施例および比較例にお
いて、樹脂原料および添加剤としては、以下のものを使
用した。
【0029】オレフィン系熱可塑性エラストマー:EP
DM(プロピレン含有量28重量%、ヨウ素価15、ム
ーニー粘度(ML1+4 ,100℃)88)と、EVA
(酢酸ビニル含有量28重量%、メルトインデックス
(190℃、2.16kg荷重)20g/10分)とを第1表
に示す割合で常温でヘンシェルミキサーを用いて、予備
混合した後、約120℃でロール混練を行ない、ペレッ
ト化したもの。
【0030】水添ジエン系共重合体:ダイナロン1320P
(商品名)(日本合成ゴム株式会社製、結合スチレン量
10%、メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)
3.5g/10分、ショアA硬度39、水素添加率99%
以上。 吸水性樹脂:アクアリック CS-6S(日本触媒化学工業株
式会社製;ポリアクリル酸塩系)。 無機フィラー:シリカ(林化成株式会社製;ミクロンホ
ワイト5000A 、平均粒子径6μm)。 軟化剤:鉱物油(出光石油化学株式会社製;PW−38
0(商品名)、パラフィン系鉱物油)。 可塑剤:DIDP(ジイソデシルフタレート)。 架橋助剤: (1) ジアクリル酸亜鉛(ZA;川口化学工業株式会社
製)。 (2) ジビニルベンゼン(DVB)。 (3) N,N′−m−フェニレンビスマレイミド(BM
I)。
【0031】実施例1〜9、比較例1〜4 第1表に示す割合でポリエチレン系重合体とEPDMと
からなるオレフィン系熱可塑性エラストマーと吸水性樹
脂とを、室温でヘンシェルミキサーを用いて予備混練し
た後、水添ジエン共重合体、無機フィラー、軟化剤、可
塑剤および架橋助剤をブラベンダー混合機を用い、14
0℃で溶融混練し、ダイスより押出し、厚さ2mmのシ
ート状に成形した。その後、第1表に示す条件で電子線
を両面または片面に照射し、架橋構造とし、第1表に示
す物性を有する表面層架橋吸水性樹脂成形体(実施例1
〜9)を得た。また、第1表に示す条件で電子線を用い
層全体に照射したものを比較例1〜2とし、両面に照射
したものを比較例3〜4とした。その組成、電子線照射
条件、および物性(1日後および7日経過後の吸水倍
率、破断強度、重量保持率および耐熱水性)を第1表に
合わせて示す。
【0032】実施例10、比較例5〜6 実施例1の組成物から得たシートに第2表に示す条件で
電子線を片面に照射したものを実施例10とした。ま
た、第2表に示す条件で電子線を全層に照射したものを
比較例5とし、無照射のものを比較例6とした。上記実
施例と同様の物性の他、1日後および7日後の吸水後の
膨張倍率を測定した。その結果を第2表に合わせて示
す。
【0033】なお、第1表および第2表に示した各物性
の測定方法は以下のとおりである。 (1) 1日後および7日経過後の吸水倍率:吸水後の樹脂
成形体の重量を吸水前の樹脂成形体の重量で除した値。 (2) 破断強度:JIS K6301 により測定した。 (3) 重量保持率:一度、膨潤させたものを乾燥した後秤
量し、その重量を膨潤前の重量で除した値(この値が小
さい程吸水剤のゲル抜けが多いことを表わす。)。 (4) 耐熱水性:第1表に示す組成物を70℃の熱水に7
2時間浸した後の状態を以下の基準により評価した。 ○:組成物の膨潤が良好であり、表面が平滑であるも
の。 ×:組成物の膨潤が良好でなく、かつ架橋体にカールが
発生し、表面の荒れが激しいもの。 (5) 膨張倍率:縦2cm×横2cm×厚さ2mmの樹脂成形体
の吸水後の長さを吸水前の長さで除した値。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】第1表および第2表から明らかなように、
低加速電圧の電子線を照射したもの(比較例3)および
照射線量の少ないもの(比較例4)は熱水に対する耐久
性が低い。また、全層を架橋したもの(比較例1〜2)
は耐熱水性は良好であるものの破断強度が低い。これら
に対し、表面層を架橋した本発明の表面層架橋吸水性樹
脂成形体(実施例1〜9)は、各物性共に良好であり、
特に破断強度に優れていることがわかる。また、片面の
みに照射したもの(実施例10)は良好な異方膨潤性を
示すことがわかる。
【0038】
【発明の効果】本発明に係る表面層架橋吸水性樹脂成形
体は、オレフィン系熱可塑性エラストマーをベースにし
て、特定量の吸水性樹脂、無機フィラー、軟化剤、可塑
剤および所望により架橋助剤を配合した組成物を成形し
た後、電離性放射線により表面層を強く架橋してなるも
のであり、架橋前の組成物は熱可塑性であるためシート
成形、異形押出し成形などの方法により任意の形状に容
易に成形できること、柔軟性等に優れるため低温度にお
ける作業性がよいこと、水添ジエン系共重合体の配合に
より吸水速度および吸水率が優れること、加硫工程を要
せず製造でき生産性に優れることなどの特長を有する。
さらに、本発明の表面層架橋吸水性樹脂成形体は、電離
性放射線により表面架橋されているため力学的物性、特
に強度に優れ、また、形態保持性に優れている。
【0039】このような本発明の方法により得られる架
橋体は、トンネルや上下水道工事のセグメント間の防水
用シール、通信ケーブル、電話線等の地下埋設ケーブル
の継手シール材、建築物外壁パネルの間隙のシールなど
の土木、建築工事の止水材、防震機能を兼ねた結露防止
材、さらには農林や園芸の保水材などとしても用いるこ
とができる。また、片面の表面を架橋したものは異方膨
潤性の要求される車輌、建材用のウェザーストリップ、
ウィンドシールド、土木工事用シールドセグメント、ヒ
ューム管のシール材等に利用することができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)ポリエチレン系重合体15〜55
    重量%とエチレン−プロピレン−ジエン共重合体85〜
    45重量%とからなるオレフィン系熱可塑性エラストマ
    ー100重量部に対して(b)水添ジエン系共重合体1
    0〜100重量部を含有し、前記成分(a)+(b)1
    00重量部に対して(c)吸水性樹脂5〜95重量部
    と、(d)無機フィラー1〜25重量部と、(e)軟化
    剤2〜50重量部と、(f)可塑剤2〜50重量部とを
    含有する樹脂組成物を成形した後、その両面あるいは片
    面に電離性放射線を照射し、表面層付近のみを強く架橋
    することを特徴とする表面層架橋吸水性樹脂成形体の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 (a)ポリエチレン系重合体15〜55
    重量%とエチレン−プロピレン−ジエン共重合体85〜
    45重量%とからなるオレフィン系熱可塑性エラストマ
    ー100重量部に対して(b)水添ジエン系共重合体1
    0〜100重量部を含有し、前記成分(a)+(b)1
    00重量部に対して(c)吸水性樹脂5〜95重量部
    と、(d)無機フィラー1〜25重量部と、(e)軟化
    剤2〜50重量部と、(f)可塑剤2〜50重量部と、
    (g)α,β−不飽和カルボン酸の金属塩、ビスマレイ
    ミド化合物および多官能ビニルモノマー類から選ばれる
    1種または2種以上の架橋助剤0.01〜25重量部とを含
    有する樹脂組成物を成形した後、その両面あるいは片面
    に電離性放射線を照射し、表面層付近のみを強く架橋す
    ることを特徴とする表面層架橋吸水性樹脂成形体の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 加速電圧200〜300KV、線量3Mr
    ad以上の電子線を照射する請求項1または2に記載の表
    面層架橋吸水性樹脂成形体の製造方法。
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