JP2005200752A - 焼結体の製造方法 - Google Patents

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正憲 大田
Junichi Takahashi
淳一 高橋
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Abstract

【課題】 一度に多数の成形体を焼結し、高密度の焼結体を製造する場合において、焼結密度のばらつきを抑制する。
【解決手段】 希土類元素及び遷移金属元素を含む原料合金粉末を成形した複数の成形体を焼結炉内に入れ、水素ガス及び不活性ガスを含む混合雰囲気で焼結して焼結体を製造するに際し、複数の成形体を複数の容器に分割して収容し、焼結炉内での焼結を行う。原料合金粉末は、例えば、一般式RTy(式中、Rは1種類以上の希土類元素、Tは1種類以上の遷移金属元素であり、1<y<4である。)で示される組成を有する。成形体は、形状の相違や大きさの相違に基づいて分割し、異なる容器に収容する。容器内のような限られた空間内では、水素ガス濃度等が均一化され、焼結密度のばらつきが抑制される。
【選択図】 図4

Description

本発明は、希土類元素及び遷移金属元素を含む焼結体の製造方法に関し、特に、希土類元素及び遷移金属元素を含む磁歪素子の製造方法に関する。
希土類焼結磁石や超磁歪素子等の焼結体の製造方法としては、低コストでの製造が可能なことから、粉末冶金法が広く採用されている。粉末冶金法による焼結体は、基本的には、原料合金粉末を秤量及び混合し、所定の形状に加圧成形し、得られた成形体について焼結を行い、必要に応じて後加工処理を施すことにより製造される。
しかしながら、上述のような粉末冶金法では、成形体に原料合金粉末を加圧成形することによる気孔が存在するため、この気孔が焼結後の焼結体に残存し、焼結体の高密度化を妨げるという問題がある。焼結体が例えば磁歪材料、特に、飽和磁歪定数が大きく超磁歪材料として知られているRFe2ラーベス型金属間化合物等である場合、磁歪値等の特性の向上を図る上で粉末冶金法は極めて有効であるが、前述のように焼結体中に気孔が残存すると、例えば長期間使用によって希土類元素の酸化が進行して、磁歪特性の低下を引き起こすという問題がある。この問題は、特に高温環境下で磁歪材料を長期間放置した場合等に顕著なものとなる。
このため、焼結体の密度向上を目的とした研究開発が各方面において行われている。例えば、特許文献1においては、焼結体の原料の一部(Dy及びFe)に予め水素吸蔵処理を施すこと、焼結体の原料の他の一部(Fe)に予め還元処理を施すこと、及び焼結時の焼結炉内の雰囲気として水素ガス及び不活性ガスの混合ガスを使用することが記載されている。特に、原料合金粉末を水素ガス及び不活性ガスの混合雰囲気中で焼結することにより、不活性ガス単独の雰囲気中で焼結する場合に比べて高密度な焼結体が得られ、高温大気中での磁歪特性等の特性劣化が低減されるものと期待される。
特開2003−3203号公報
ところで、前述の特許文献1記載の技術を利用して実際に焼結体を量産する際には、焼結炉内に多数の焼結体を並べた状態で焼結を行う。すなわち、図6に示すように、焼結用治具である板(セッター)101上に様々な寸法及び形状の成形体202を一様に並べ、この成形体202が配置された板101を焼結炉103内に多段に設置された棚104に載せ、焼結炉103の下部の配管105より所定の雰囲気ガスを導入しながら焼結することにより、一度の焼結で多数の焼結体を得るようにしている。
しかしながら、前述のように多数の成形体を焼結炉に存在させて焼結しようとすると、完成した焼結体間で密度にばらつきが生じるという不都合がある。焼結体の密度の均一化を図るためには、焼結時の焼結炉内の雰囲気、特に焼結工程の途中で焼結炉内に導入する水素ガス量の厳密な制御が必要であるが、例えば、焼結炉の上部空間と下部空間とで焼結炉内の水素ガス濃度が異なる等、焼結炉内の場所によって雰囲気がばらついて雰囲気の均一化が困難であること、焼結炉外部から水素ガス及び不活性ガスの混合ガスを導入する際の水素ガス導入量(混合ガス比率)が変動し易いこと等の理由から、焼結炉内の水素ガス量を安定化することは極めて困難である。
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、一度に多数の成形体を焼結して高密度の焼結体を製造する場合において、焼結体の密度のばらつきを抑制することが可能な焼結体の製造方法を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するために、本発明の焼結体の製造方法は、希土類元素及び遷移金属元素を含む原料合金粉末を成形した複数の成形体を焼結炉内に入れ、水素ガス及び不活性ガスを含む混合雰囲気で焼結して焼結体を製造するに際し、前記複数の成形体を複数の容器に分割して収容し、前記焼結炉内での焼結を行うことを特徴とする。
焼結炉内に多数の成形体を入れ焼結を行う場合、炉内における雰囲気の不均一さや水素ガス導入量の変動等が焼結密度に大きく影響し、得られる焼結体の焼結密度の変動に繋がる。本発明では、成形体を複数の容器に分割して収容し、焼結炉内での焼結を行うようにしているので、仮に焼結炉内の混合ガス雰囲気が場所によって不均一となっていたり、混合ガスにおける水素ガスの導入量が変動することがあっても、各容器内における混合ガス雰囲気は均一化され、各容器内で焼結される焼結体の密度のばらつきが抑制される。さらに、成形体を容器に収容した状態で焼結することで、成形体が加熱用ヒータ等からの輻射熱に直接晒されることがなくなり、処理温度の均一化も図られる。
なお、本明細書における焼結とは、成形体を加熱処理することであり、化学反応を伴う焼成等も含む用語である。
本発明の焼結体の製造方法によれば、水素ガス及び不活性ガスの混合雰囲気で複数の成形体の焼結を行う際に、成形体を複数の例えばMo製容器に分割して収容し、各容器内における雰囲気を均一化するようにしているので、得られる焼結体の密度のばらつきを抑制し、焼結密度を一定に保つことが可能である。したがって、焼結炉内の雰囲気として水素ガス及び不活性ガスの混合ガスを使用することによるメリットを最大限に生かすことができ、高温環境下で長時間放置した場合であっても特性劣化が小さく、信頼性の高い焼結体を安定に製造することができる。
以下、本発明を適用した焼結体の製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下においては、希土類元素と遷移金属元素を含有する磁歪材料(超磁歪材料)の焼結に適用した例について説明するが、本発明がこれに限られるものでないことは言うまでもない。
先ず、本実施形態の焼結方法により製造される磁歪材料について説明する。粉末冶金法を用いて製造される磁歪材料は、例えばRTy(ここで、Rは1種類以上の希土類元素、Tは1種類以上の遷移金属元素であり、yは1<y<4である。)で示される組成の合金粉を焼結することによって得られる。
ここで、Rは、Yを含むランタノイド系列、アクチノイド系列の希土類元素から選択される1種以上を表している。これらの中で、Rとしては、特にNd、Pr、Sm、Tb、Dy、Ho等の希土類元素が好ましく、Tb、Dyがより一層好ましく、これらを混合して用いることができる。Tは、1種以上の遷移金属元素を表している。これらの中で、Tとしては、特に、Fe、Co、Ni、Mn、Cr、Mo等の遷移金属が好ましく、これらを混合して用いることができる。
RTyで表される合金のうち、y=2であるRT2ラーベス型金属間化合物は、キュリー温度が高く、磁歪値が大きいため、磁歪素子に適する。ここで、yが1以下では、焼結後の熱処理でRT相が析出して磁歪値が低下する。また、yが4以上では、RT3相又はRT6相が多くなり、磁歪値が低下する。このため、RT2がリッチな相を多くするために、yは1<y<4の範囲が好ましい。
希土類元素Rは、2種以上の希土類元素を混合してもよく、特に、TbとDyを混合して用いることが好ましい。具体的には、TbaDy(1-a)で表される合金で、aは0.27<a≦0.50の範囲にあることが一層好ましい。これにより、(TbaDy(1-a))Tyなる合金で、飽和磁歪定数が大きく、大きな磁歪値が得られる。ここで、aが0.27以下では室温以下では十分な磁歪値を示さず、逆に0.50を越えると室温付近では十分な磁歪値を示さない。
遷移金属元素Tは、特にFeが好ましく、FeはTb、Dyと(Tb、Dy)Fe2金属間化合物を形成して、大きな磁歪値を有し磁歪特性の高い焼結体が得られる。このときに、Feの一部をCo、Niで置換してもよいが、Coは磁気異方性を大きくするものの、透磁率を低くし、また、Niはキュリー温度を下げ、結果として常温・高磁場での磁歪値を低下させる。したがって、Feは70重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることがより好ましい。
次に、磁歪材料の製造方法について説明する。図1は、粉末冶金法による磁歪材料(焼結体)の製造プロセスの一例を示すものである。図1に示すように、磁歪材料は、基本的には、3種類の原料A,B,Cをそれぞれ前処理した後、秤量、混合及び粉砕処理、成形、焼結等の工程を経ることによって製造される。
原料の一部である原料Aは、所定組成で構成されたTb−Dy−Fe系合金を所定条件で熱処理(アニール)を行った後、粉砕処理をする。原料BとしてDy2Feなる組成を有する合金を水素吸蔵処理後、粉砕処理をする。原料Cとして、Feを水素ガス雰囲気中で酸素を除去する還元処理を行う。
ここで、これら合金粉の一部は、水素吸蔵処理されることが好ましい。合金粉に水素を吸蔵させることにより、歪みが生じ、その内部応力によって割れが生ずる。このために、混合された合金粉は、成形体を形成する時に圧力を受け、内部で粉砕されて細かくなり、焼結したときに緻密な高密度焼結体を得ることができる。さらに、Tb、Dy等の希土類元素は酸化されやすいために、わずかな酸素があっても表面に融点の高い酸化膜を形成して焼結の進行を抑制するが、水素を吸蔵することで、酸化され難くなるという利点もある。水素吸蔵処理される合金粉としては、例えばDyb(1-b)で表され、bが0.37≦b≦1.00である組成であることが好ましい。式中Tは、Fe単独でも、Feの一部をCo、Niで置換されたものでもよい。したがって、前述の原料の中で、原料Bを水素吸蔵処理される合金粉とするのが最適である。
次に、前述の原料A、原料B及び原料Cを所定量秤量して粉砕・混合処理し、これを磁場中で成形して成形体を作製する。このとき、混合後の原料合金粉全体の組成は、例えばTb0.3Dy0.7Fe1.88とする。
続いて、成形体を焼結炉内に入れ、所定の条件で熱処理し、焼結を行うことにより、焼結体を作製する。焼結は、成形体を焼結炉に入れた後に所定温度まで昇温する昇温過程、所定の温度(安定温度)をほぼ一定に保持する過程、及び降温過程を経ることにより行われる。
昇温過程での昇温速度は、3〜20℃/分で行うことが好ましい。昇温速度が3℃/分未満では生産性が低く、昇温速度が20℃/分を越えると炉中で成形した原料粉末の温度が均一にならず、偏析や異相が生じるおそれがあるからである。
また、安定温度は、1150〜1240℃の範囲とすることが好ましい。安定温度が1150℃未満であると、内部歪みを除去するために安定時間を長時間必要とするため非効率となり、逆に安定温度が1240℃を越えると、RTyで表される合金の融点に近くなるため焼結体自体が溶融するおそれや、RT3相等の異相が析出するおそれがあるからである。
焼結の雰囲気については、基本的にはアルゴンガス等の不活性ガスを単独で用いた不活性ガス雰囲気で実施するが、焼結の途中で不活性ガスとともに水素ガスを焼結炉内に導入することにより、焼結の一部を水素ガス及び不活性ガスを含む混合雰囲気で実施することが好ましい。具体的には、先ず、焼結炉内を不活性ガス単独雰囲気として昇温することにより、成形体(水素水素吸蔵処理を行った原料合金粉等)に含まれる水素ガスを完全に放出させる。次に、水素ガスの導入を開始して焼結炉内を水素ガス及び不活性ガスの混合ガス雰囲気とすることにより、原料合金粉末を活性化させる。ここで水素ガス及び不活性ガスの混合ガス雰囲気とすることが、焼結体の高密度化で重要である。最後に水素ガスの導入を停止して再び焼結炉内を不活性ガス単独雰囲気とし、焼結を完了する。
以上の焼結処理中、昇温過程の650℃以上の温度区間、及び1150℃以上1240℃以下の安定温度区間の少なくとも一方は、焼結炉内を水素ガス及び不活性ガスの混合ガス雰囲気とする。具体的には、水素ガス:アルゴン(Ar)ガス=X:100−Xと表したときに、X(体積%)を、0<X<50とすることが好ましい。アルゴンガスは不活性ガスであり、希土類元素Rを酸化することがないので、水素ガスと混合して還元作用を有する雰囲気を得ることができる。還元作用を得るためには、X(体積%)は0より大きくすることが好ましく、また、水素ガスが過剰になると還元作用が飽和するため、X<50であることが好ましい。また、昇温過程の650?以上の温度区間において、水素ガス及び不活性ガスの混合ガス雰囲気とすることで、残留する微量の酸素による酸化を防止することができる。
特に、焼結時の温度及び雰囲気制御については、図2に示すように、水素ガスの導入開始温度を900℃〜1000℃とすることが好ましく、また、水素ガスの導入終了温度を1150℃〜1200℃とすることが好ましい。さらに、水素ガスとアルゴンガスとの混合比率を、体積比で水素ガス:アルゴン(Ar)ガス=X:100−Xと表したときに、10<X<50とすることがより好ましい。
なお、焼結を全て不活性ガス単独雰囲気で実施することも考えられるが、不活性ガスだけでは、高密度化が難しいだけでなく、完全に酸素を除去することが難しく、焼結体の磁気特性を大幅に低下させる。希土類元素Rは、酸素と極めて容易に反応して安定な希土類酸化物を形成するが、この希土類酸化物は、低い磁性を有するものの、実用上の磁性材料になるような磁気特性を示さないためである。したがって、希土類元素の酸化を防止する観点から、水素ガス及び不活性ガスの混合ガス雰囲気で焼結を行うことが好ましい。また、焼結対象によって焼結時の雰囲気は任意に変更でき、例えば真空雰囲気であってもかまわない。
本発明では、複数の成形体を同時に焼結する際に、大きさや形状等、所定の条件に基づいて成形体をグループ分けして複数の焼結容器内に分割収容し、これら焼結容器を焼結炉内に並べた状態で焼結を行う。例えば、図3に示すように、同じ形状及び大きさの成形体1を多数(ここでは20個)焼結する場合には、複数(ここでは4つ)の焼結容器を用意するとともに、成形体1を5個1組のグループにグループ分けし、各グループ毎に別個の焼結容器2に小分けにして収容し、略密閉状態とする。そして、成形体1を収容した4つの焼結容器2を焼結炉3内に入れ、焼結を行う。
この焼結容器2は、上面が開口部となる容器本体2aと、容器本体2aの開口部を閉塞するための蓋体2bとから構成される。容器本体2aとしては、耐熱性に優れることからMo製の容器を用いることが好ましい。また、蓋体2bとしては、焼結容器2内をほぼ密閉状態とすること、水素ガスと反応しないこと、耐熱性を有すること等の条件を満たす材料であれば特に限定されないが、Nb箔を好適に用いることができる。焼結容器2の底には、成形体1を保持するためのセッター4が配置される。
ここで、焼結容器2は、内部をほぼ密閉状態にできることが必要である。ほぼ密閉状態とは、焼結容器2内外でガスの流通が完全に遮断される状態ではなく、容器本体2aと蓋体2bとの隙間から、焼結容器2外部、すなわち焼結炉3内のガス(水素ガス等)と、焼結容器2内部のガスとが交換(流入及び流出)可能な程度の密閉状態のことを言う。
焼結時には、先ず、焼結炉3内を不活性ガス単独雰囲気として昇温し、成形体1に含まれる水素を放出した後、焼結炉3に設置された配管5から水素ガス及び不活性ガスの混合ガスを導入する。焼結炉3内に水素ガス及び不活性ガスの混合ガスを導入すると、容器本体2aと蓋体2bとの隙間から焼結容器2内部に水素ガスが流入する。多数の焼結体間で密度を均一化するには、混合ガス雰囲気で焼結を行うときの水素ガス濃度の安定化が極めて重要である。
そこで本発明では、成形体1を小分けにして焼結容器2という狭い空間に略密閉しておくことで、焼結炉3内に直接並べる場合に比べて、成形体1の周囲(焼結容器2内部)の水素ガス濃度を均一化する。水素ガスは軽いため、焼結炉3の上部空間に偏在する傾向にあり、それにより焼結炉3内で水素ガス濃度の分布が不均一となることがある。あるいは、焼結炉3への水素ガスの導入量が変動し、焼結炉3内で水素ガス濃度の分布が不均一となることもある。このように焼結炉3内で水素ガス濃度の分布が不均一な場合にも、狭く閉ざされた空間である焼結容器2の内部空間においては、水素ガスの濃度がほぼ均一となる。したがって、成形体1を焼結炉3内に直接配置する場合に比べて、焼結体の密度のばらつきを抑制することができる。また、焼結炉3内の水素ガス濃度の分布が直接焼結容器2内の雰囲気に反映されることがなく、したがって各焼結容器2間でも焼結体の密度のばらつきを抑制することができる。
さらに、成形体1を焼結容器2に収容した状態で焼結炉3内で焼結することによって、焼結炉3内での配置場所にかかわらず、成形体1の加熱温度が均一化されるという利点も得られる。これは、焼結炉3と成形体1との間に焼結容器2が介在するため、成形体1は、加熱用ヒータ等からの輻射熱に直接晒されることがなく、焼結容器2を介して間接的に加熱されるからである。
焼結に際して、複数の成形体1をグループ分けする条件は、成形体の種類、寸法、形状等に応じて任意に設定することができる。例えば、形状や大きさが互いに異なる複数種類の成形体を同時に焼結しようとする場合には、成形体の形状、大きさ、炉内での荷姿、焼結炉への搭載数等が焼結のたびに変化するするため、成形体から発生する水素ガス量が変動し、焼結炉内の雰囲気が大きく変動する。その結果、焼結体の密度が大幅にばらつくという問題がある。
そこで、互いに異なる種類の成形体1を同時に焼結する場合には、図4に示すように、形状や大きさ毎に成形体1をグループ分けし、各グループ毎に成形体1を焼結容器2に収容した状態で焼結を行う。これにより、各焼結容器2内部での雰囲気が安定するので、1つの焼結容器2内に収容された焼結体間において、密度のばらつきを抑制することができる。すなわち、形状や大きさ等、成形体の種類毎に密度を一定とすることができる。また、同一種類毎に成形体1を焼結容器2に小分けにするので、異種類の成形体1間で互いに悪影響を及ぼすことなく、安定した密度の焼結体を得ることができる。
なお、複数の成形体をグループ分けする際には、焼結容器の内容積が同じ場合、焼結容器間で中に収容する成形体の総体積を略一致させることが好ましい。例えば、ある1つの焼結容器に40cm3/個の成形体を10個収容する場合、焼結容器あたりの成形体総体積は400cm3となるので、他の焼結容器に収容される成形体の総体積も400cm3に近い値となるように調節することが好ましい。これにより、形状や大きさの異なる成形体を1つの焼結炉で同時に焼結する場合であっても、成形体から発生する水素ガスの量がほぼ一致するので、焼結容器内の雰囲気をいずれの焼結容器においてもほぼ同じにすることができる。この結果、一回の焼結で得られる全ての焼結体の密度をほぼ一致させ、密度のばらつきをより確実に抑制することができる。例えば、焼結容器間で成形体の総体積を略一致させることにより、焼結体の密度のばらつきを±1%の範囲内に抑制できることが実験的に確認された。
次に、本発明の具体的な実施例について、実験結果を基に説明する。
<磁歪材料の焼結>
本実施例では、Tb−Dy−Fe系原料合金粉の成形体を焼結し、Tb−Dy−Fe系金属間化合物からなる磁歪材料を作製した。
先ず、原料Aとして、所定組成で構成されたTb−Dy−Fe系合金を所定条件で熱処理(アニール)を行った後、粉砕処理をした。原料BとしてDy2Feなる組成を有する合金を水素吸蔵処理後、粉砕処理をした。原料Cとして、Feを水素ガス雰囲気中で酸素を除去する還元処理を行った。
次いで、得られた各原料A、B、Cを秤量した後、粉砕・混合処理し、全体の組成がTb0.3Dy0.7Fe1.88である原料合金粉を得た。そして、得られた原料合金粉を型に入れ、8kOeの磁場中で成形し、成形体を得た。
次に、焼結炉内で焼結を行った。焼結は、焼結炉を昇温し、1150℃〜1240℃の安定温度区間で焼成を行い、焼結体を得た。焼結雰囲気は、先の図2に示すプロファイルに従い、900〜1000℃で水素の導入を開始するとともに、1150〜1200℃で水素の導入を終了し、昇温過程の一部を還元ガス雰囲気(H2/Arガス)とした。
<焼結容器への分割収容による効果の確認>
前述の焼結方法に従い、成形体を焼結容器に分割収容して焼結した場合と、そのまま焼結炉内に並べて焼結した場合について、得られる焼結体の密度のばらつきを比較した。成形体は、直径7.4mm、長さ30mmの円柱状とし、これを20個用意した。前者においては、これを分割して4つの焼結容器(内容積80cm3)に5個ずつ入れ、焼結炉内で焼結を行った。後者においては、焼結炉内に板状のセッターを設置し、この上に全ての成形体を並べて焼結を行った。
各々の焼結方法で得られた焼結体の密度を測定したところ、焼結容器に分割収容して焼結した場合には、得られた焼結体の焼結密度は95%以上であり、ばらつきは1%以下と極めて小さいものであった。これに対して、セッター上で焼結した場合には、得られた焼結体の焼結密度は84〜91%であり、ばらつきは3%にも達した。
<大きさの異なる成形体の焼結>
先ず、直径7.4mm、長さ30mmの円柱状の成形体(形状1)を用い、焼結容器の内容積に対する成形体の総体積の最適値を求めた。すなわち、焼結容器(内容積80cm3)内に前記成形体を3本〜10本入れ、前記方法に従って焼結した際の焼結密度を求めた。結果を表1に示す。また、焼結容器内の成形体の総体積と焼結密度の関係を図5に示す。
Figure 2005200752
表1及び図5から明らかなように、焼結容器内に収容する成形体の本数を多くするほど焼結密度が上昇していくが、収容本数を10本以上とした場合には、磁歪特性の低下が見られたため、ここでは成形体の総体積の最適値を9本(11.6cm3)とした。そして、直径3.5mm、長さ30mm(体積0.29cm3)の成形体(形状2)、及び直径12mm、長さ20mm(体積2.26cm3)の成形体(形状3)についても、形状1の成形体を9本入れた場合とほぼ同じ総体積となるように焼結容器に入れ、これらを焼結炉に入れて焼結を行った。得られた焼結体の焼結密度を表2に示す。
Figure 2005200752
この表2から明らかなように、焼結容器内の成形体の総体積を揃えることにより、得られる焼結体の焼結密度のばらつきを極めて小さな値に抑えることができた。具体的には、形状1〜形状3の異なる形状間での焼結密度のばらつきは、96.2%〜96.5%の範囲であり、ばらつき0.3%と僅かなものであった。
本発明の焼結体の製造プロセスの一例を示すフローチャートである。 焼結時の焼結温度及び雰囲気のプロファイルを示す模式図である。 本発明の焼結体の製造方法の一例を示す概略断面図である。 本発明の焼結体の製造方法の他の例を示す概略断面図である。 焼結容器内の成形体の総体積と焼結密度の関係を示す特性図である。 従来の焼結体の製造方法の一例を示す概略断面図である。
符号の説明
1 成形体、2 焼結容器、3 焼結炉、4 セッター、5 配管

Claims (14)

  1. 希土類元素及び遷移金属元素を含む原料合金粉末を成形した複数の成形体を焼結炉内に入れ、水素ガス及び不活性ガスを含む混合雰囲気で焼結して焼結体を製造するに際し、
    前記複数の成形体を複数の容器に分割して収容し、前記焼結炉内での焼結を行うことを特徴とする焼結体の製造方法。
  2. 形状の相違に基づいて成形体を分割し、異なる容器に収容することを特徴とする請求項1記載の焼結体の製造方法。
  3. 大きさの相違に基づいて成形体を分割し、異なる容器に収容することを特徴とする請求項1記載の焼結体の製造方法。
  4. 前記複数の容器の内容積を略同一とするとともに、各容器に収容する成形体の総体積を略同一とすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の焼結体の製造方法。
  5. 前記焼結を行う前に、前記原料合金粉末の一部に水素吸蔵処理を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいすれか1項記載の焼結体の製造方法。
  6. 前記混合雰囲気の組成を体積比で水素ガス:アルゴンガス=X:100−Xと表したとき、
    焼結処理中、昇温過程における650℃以上の温度区間、及び1150℃以上1240℃以下に保持する安定温度区間の少なくとも一方において、0<X<50とすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の焼結体の製造方法。
  7. 前記焼結容器が、上面が開口部となる容器本体と、前記開口部を閉塞する蓋体とからなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の焼結体の製造方法。
  8. 前記蓋体がNb箔からなることを特徴とする請求項7記載の焼結体の製造方法。
  9. 前記容器本体がMoからなることを特徴とする請求項7記載の焼結体の製造方法。
  10. 前記原料合金粉末は、一般式RTy(式中、Rは1種類以上の希土類元素、Tは1種類以上の遷移金属元素であり、1<y<4である。)で示される組成を有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項記載の焼結体の製造方法。
  11. 前記RがTb及びDyであることを特徴とする請求項10記載の焼結体の製造方法。
  12. 前記RがTbaDy(1-a)(式中aは、0.27<a≦0.50の範囲内である。)で示される組成を有することを特徴とする請求項11記載の焼結体の製造方法。
  13. 前記Tが、Fe、Co、Niから選ばれる1種類以上であることを特徴とする請求項10記載の焼結体の製造方法。
  14. 前記焼結体が磁歪素子であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項記載の焼結体の製造方法。
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