JP2005200692A - カチオン電着塗膜の形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 平均粒径0.5〜20μmを有する樹脂微粒子を塗料固形分に対し1〜30重量%の量で含有するカチオン電着塗料中に被塗物を浸漬した後、電着塗装することを特徴とする、ガスピン欠陥の少ない電着塗膜の形成方法。
【選択図】 なし
Description
本発明の方法に使用されるカチオン電着塗料組成物は、水性媒体、水性媒体中に分散するか又は溶解した、カチオン性エポキシ樹脂及びブロックイソシアネート硬化剤を含むバインダー樹脂、中和酸、有機溶媒および樹脂微粒子を含有する。このカチオン電着塗料組成物はさらに、顔料を含んでもよい。
本発明の方法に使用されるカチオン電着塗料組成物は、樹脂微粒子を含有する。本明細書中の樹脂微粒子は、粒子内に架橋構造を有していてもよく、その架橋は分子内、分子間およびその混合のいずれでもよい。樹脂微粒子として、一般に、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、塩化ビニルなどの有機高分子系の微粒子、およびシリコーンやフッ素などの無機成分を含有する樹脂微粒子が含まれる。
本発明で用いるカチオン性エポキシ樹脂には、アミンで変性されたエポキシ樹脂が含まれる。このカチオン性エポキシ樹脂は、特開昭54−4978号、同昭56−34186号などに記載されている公知の樹脂でよい。
本発明のブロックイソシアネート硬化剤で使用するポリイソシアネートとは、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物をいう。ポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族系、脂環式系、芳香族系および芳香族−脂肪族系等のうちのいずれであってもよい。
本発明で用いられる電着塗料組成物には通常用いられる顔料を含有させてもよい。但し、本明細書でいう「顔料」には、前述の樹脂微粒子は含まれない。このような顔料の例としては、通常使用される無機顔料、例えば、チタンホワイト、カーボンブラック及びベンガラのような着色顔料;カオリン、タルク、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、マイカおよびクレーのような体質顔料;リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、亜リン酸亜鉛、シアン化亜鉛、酸化亜鉛、トリポリリン酸アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸カルシウム及びリンモリブデン酸アルミニウム、リンモリブデン酸アルミニウム亜鉛のような防錆顔料等、が挙げられる。
本発明のカチオン電着塗料組成物は、上に述べたカチオン性エポキシ樹脂、ブロックイソシアネート硬化剤、樹脂微粒子分散ペースト、および必要に応じた顔料分散ペーストおよび触媒を、水性媒体中に分散させることによって調製することができる。また、通常、水性媒体にはカチオン性エポキシ樹脂を中和して分散性を向上させるために中和酸を含有させる。中和酸は塩酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、乳酸、スルファミン酸、アセチルグリシン等の無機酸または有機酸である。本明細書中における水性媒体とは、水か、水と有機溶剤との混合物である。水としてイオン交換水を用いるのが好ましい。使用しうる有機溶剤の例としては炭化水素類(例えば、キシレンまたはトルエン)、アルコール類(例えば、メチルアルコール、n−ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール)、エーテル類(例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル)、ケトン類(例えば、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、アセチルアセトン)、エステル類(例えば、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)またはそれらの混合物が挙げられる。
上記カチオン電着塗料組成物は被塗物に電着塗装され、電着塗膜を形成する。被塗物としては導電性のあるものであれば特に限定されず、例えば、鉄板、鋼板、アルミニウム板及びこれらを表面処理したもの、これらの成型物等を挙げることができる。
攪拌機、冷却器、窒素注入管、温度計および滴下ロートを取り付けたフラスコにヘキサメチレンジイソシアネートの3量体(コロネートHX:日本ポリウレタン(株)製)199部とメチルイソブチルケトン32部、およびジブチルスズジラウレート0.03部を秤りとり、攪拌、窒素をバブリングしながら、メチルエチルケトオキシム87.0部を滴下ロートより1時間かけて滴下した。温度は50℃からはじめ70℃まで昇温した。そのあと1時間反応を継続し、赤外線分光計によりNCO基の吸収が消失するまで反応させた。その後n−ブタノール0.74部、メチルイソブチルケトン39.93部を加え、不揮発分80%とした。
攪拌機、冷却器、窒素注入管および滴下ロートを取り付けたフラスコに、2,4/2,6−トリレンジイソシアネート(80/20wt%)71.34部と、メチルイソブチルケトン111.98部と、ジブチルスズジラウレート0.02部を秤り取り、攪拌、窒素バブリングしながらメタノール14.24部を滴下ロートより30分かけて滴下した。温度は室温から発熱により60℃まで昇温した。その後30分間反応を継続した後、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル46.98部を滴下ロートより30分かけて滴下した。発熱により70〜75℃へ昇温した。30分間反応を継続した後、ビスフェノールAプロピレンオキシド(5モル)付加体(三洋化成工業(株)製BP−5P)41.25部を加え、90℃まで昇温し、IRスペクトルを測定しながらNCO基が消失するまで反応を継続した。
攪拌機、冷却器、窒素注入管、温度計および滴下ロートを取り付けたフラスコに、エポキシ当量188のビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名DER−331J)382.20部と、ビスフェノールA111.98部を秤り取り、80℃まで昇温し、均一に溶解した後、2−エチル−4−メチルイミダゾール1%溶液1.53部を加え、170℃で2時間反応させた。140℃まで冷却した後、これに2−エチルヘキサノールハーフブロック化イソホロンジイソシアネート(不揮発分90%)196.50部を加え、NCO基が消失するまで反応させた。これにジプロピレングリコールモノブチルエーテル205.00部を加え、続いて1−(2−ヒドロキシエチルチオ)−2−プロパノール408.00部、ジメチロールプロピオン酸134.00部を添加し、イオン交換水144.00部を加え、70℃で反応させた。反応は酸価が5以下になるまで継続した。得られた樹脂ワニスはイオン交換1150.50部で不揮発分35%に希釈した。
サンドグラインドミルに製造例3で得た顔料分散樹脂ワニスを120部、カーボンブラック2.0部、カオリン100.0部、二酸化チタン72.0部、ジブチルスズオキシド8.0部、リンモリブデン酸アルミニウム18.0部およびイオン交換水184部を入れ、粒度10μm以下になるまで分散して、顔料分散ペーストを得た(固形分48%)。
樹脂微粒子(積水化成品工業社製、商品名「テクポリマーMBX−5」)100.0部と製造例3のカチオン性顔料分散樹脂ワニス85.7部と脱イオン水464.3部との混合物を20分攪拌し、樹脂微粒子分散ペーストを得た(固形分20%)。
反応容器に、脱イオン水200部を加え、75℃で加熱攪拌した。ここに2,2’−アゾビス(2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)1部の酢酸100%中和水溶液を5分かけて滴下した。5分間エージングした後、メチルメタクリレート10部を5分かけて滴下した。さらに5分間エージングした後、ノニオン性乳化剤アクアロンRN-20(第一工業製薬社製ノニオン型乳化剤)1部と脱イオン水200部とを混合した水溶液にメタクリル酸メチル(MMA)40部、アクリル酸n-ブチル(NBA)40部、エチレングリコールジメタクリレート(EGDM)10部からなるα,β−エチレン性不飽和モノマー混合物を加え攪拌して得られたプレエマルションを40分かけて滴下した。60分間エージングした後、冷却し、架橋アクリル樹脂微粒子の分散液を得た。得られた架橋樹脂微粒子の分散液の不揮発分は20%、pHは5.2、平均粒子径は100nmであった。
表1に記載の塗料固形分に対する樹脂微粒子濃度になるように製造例2の樹脂エマルションと製造例5の樹脂微粒子分散ペーストを混合し、カチオン電着塗料組成物を得た。得られたカチオン電着塗料組成物の全固形分は20.0%で、全固形分中の樹脂微粒子濃度は5.0%であった。尚、各成分の重量比率および使用する樹脂微粒子の平均粒子径は、以下の各実施例および比較例において表1に示すように変化させた。
つきまわり性は、いわゆる4枚ボックス法により評価した。すなわち、図2に示すように、4枚のリン酸亜鉛処理鋼板(JIS G 3141 SPCC-SDのサーフダインSD-5000(日本ペイント社製)処理)11〜14を、立てた状態で間隔20mmで平行に配置し、両側面下部および底面を布粘着テープ等の絶縁体で密閉したボックス10を調製した。なお、鋼板14以外の鋼板11〜13には下部に8mmφの貫通穴15が設けられている。
溶融亜鉛冷却鋼板に、200V、220V、240V、260V、280Vへそれぞれ5秒で昇圧後、175秒で電着した後、水洗し、170℃で25分間焼き付けた。試験板の塗面状態を観察し、ガスピンホールの有無を調べた。ガスピンホールが発生した電圧が高いほど、ガスピン性が良い、つまりガスピン性が改善されていると評価できる。
浴温30℃において、厚さ20μmの塗膜を電着塗装した。この塗装における塗装電圧および電着終了時の残余電流を測定し、これらの値から膜抵抗値(kΩ・cm)を算出した。
実施例1における製造例5で用いた「テクポリマーMBX−5」の代わりに、「テクポリマーMBX−15」を用いて製造例5と同様にして樹脂微粒子分散ペーストを製造し、実施例1と同様の手法で表1に従ってカチオン電着塗料組成物を得た。得られたカチオン電着塗料組成物の固形分は20.0%であった。こうして得られたカチオン電着塗料組成物を用いて、実施例1と同様に評価を行なった。評価結果を表1に示す。
表1に記載の塗料固形分に対する顔料濃度および樹脂微粒子濃度になるように製造例2の樹脂エマルションと製造例4の顔料分散ペーストおよび製造例5の樹脂微粒子分散ペーストを混合し、カチオン電着塗料組成物を得た。得られたカチオン電着塗料組成物の全固形分は20.0%であり、全固形分中の樹脂微粒子濃度は15.0%であった。尚、各成分の重量比率および使用する樹脂微粒子の平均粒子径は、以下の各実施例および比較例において表1に示すように変化させた。こうして得られたカチオン電着塗料組成物を用いて、実施例1と同様に評価を行なった。評価結果を表1に示す。
実施例3における製造例5で用いた「テクポリマーMBX−5」の代わりに、綜研化学社製「ケミスノーMR−2G」を用いて製造例5と同様にして樹脂微粒子分散ペーストを製造し、実施例3と同様の手法で表1に従ってカチオン電着塗料組成物を得た。得られたカチオン電着塗料組成物の固形分は20.0%であった。こうして得られたカチオン電着塗料組成物を用いて、実施例1と同様に評価を行なった。評価結果を表1に示す。
実施例3における製造例5で用いた「テクポリマーMBX−5」の代わりに、「テクポリマーSBX−12」を用いて製造例5と同様にして樹脂微粒子分散ペーストを製造し、実施例3と同様の手法で表1に従ってカチオン電着塗料組成物を得た。得られたカチオン電着塗料組成物の固形分は20.0%であった。こうして得られたカチオン電着塗料組成物を用いて、実施例1と同様に評価を行なった。評価結果を表1に示す。
実施例3における製造例5で用いた「テクポリマーMBX−5」の代わりに、「テクポリマーMBX−20」を用いて製造例5と同様にして樹脂微粒子分散ペーストを製造し、実施例3と同様の手法で表1に従ってカチオン電着塗料組成物を得た。得られたカチオン電着塗料組成物の固形分は20.0%であった。こうして得られたカチオン電着塗料組成物を用いて、実施例1と同様に評価を行なった。評価結果を表1に示す。
実施例3における製造例5で用いた「テクポリマーMBX−5」の代わりに、「テクポリマーSBX−6」を用いて製造例5と同様にして樹脂微粒子分散ペーストを製造し、顔料濃度10.0%、樹脂微粒子濃度10.0%になるように、実施例3と同様の手法で表1に従ってカチオン電着塗料組成物を得た。得られたカチオン電着塗料組成物の固形分は20.0%であった。こうして得られたカチオン電着塗料組成物を用いて、実施例1と同様に評価を行なった。評価結果を表1に示す。
実施例3における製造例5で用いた「テクポリマーMBX−5」の代わりに、綜研化学社製「ケミスノーSX−350H」を用いて製造例5と同様にして樹脂微粒子分散ペーストを製造し、顔料濃度20.0%、樹脂微粒子濃度10.0%になるように、実施例3と同様の手法で表1に従ってカチオン電着塗料組成物を得た。得られたカチオン電着塗料組成物の固形分は20.0%であった。こうして得られたカチオン電着塗料組成物を用いて、実施例1と同様に評価を行なった。評価結果を表1に示す。
実施例3と同様に、表2に記載の塗料固形分に対する顔料濃度およびアクリル樹脂微粒子濃度になるように製造例2の樹脂エマルションと製造例4の顔料分散ペーストおよび製造例6のアクリル樹脂微粒子を混合し、カチオン電着塗料組成物を得た。得られたカチオン電着塗料組成物の固形分は20.0%であった。こうして得られたカチオン電着塗料組成物を用いて、実施例1と同様に評価を行なった。評価結果を表2に示す。
実施例3における製造例5で用いた「テクポリマーMBX−5」の代わりに、「テクポリマーMB20X−30」を用いて製造例5と同様にして樹脂微粒子分散ペーストを製造し、実施例3と同様の手法で表2に従ってカチオン電着塗料組成物を得た。得られたカチオン電着塗料組成物の固形分は20.0%であった。こうして得られたカチオン電着塗料組成物を用いて、実施例1と同様に評価を行なった。評価結果を表2に示す。
実施例3と同様に、表2に記載のように塗料固形分に対する樹脂微粒子濃度が全固形分の0.5%になるように、同様の手法でカチオン電着塗料組成物を得た。得られたカチオン電着塗料組成物の固形分は20.0%であった。こうして得られたカチオン電着塗料組成物を用いて、実施例1と同様に評価を行なった。評価結果を表2に示す。
実施例3と同様に、表2に記載のように塗料固形分に対する樹脂微粒子濃度が全固形分の40.0%になるように、同様の手法でカチオン電着塗料組成物を得た。得られたカチオン電着塗料組成物の固形分は20.0%であった。こうして得られたカチオン電着塗料組成物を用いて、実施例1と同様に評価を行なった。評価結果を表2に示す。
表2に記載の塗料固形分に対する顔料濃度度になるように製造例2の樹脂エマルションと製造例4の顔料分散ペーストを混合し、カチオン電着塗料組成物を得た。得られたカチオン電着塗料組成物の全固形分は20.0%で、全固形分中の顔料濃度は5.0%で、樹脂微粒子濃度は0%であった。こうして得られたカチオン電着塗料組成物を用いて、実施例1と同様に評価を行なった。評価結果を表2に示す。
2…樹脂微粒子、
3…塗膜、
4…間隙、
10…ボックス、
11〜14…リン酸亜鉛処理鋼板、
15…貫通穴、
20…電着塗装容器、
21…電着塗料、
22…対極。
Claims (2)
- 平均粒径0.5〜20μmを有する樹脂微粒子を塗料固形分に対し1〜30重量%の量で含有するカチオン電着塗料中に被塗物を浸漬した後、電着塗装することを特徴とするガスピン欠陥の少ないカチオン電着塗膜の形成方法。
- 平均粒径0.5〜20μmを有する樹脂微粒子を塗料固形分に対し1〜30重量%の量で含有するカチオン電着塗料中に被塗物を浸漬した後、電着塗装することを特徴とする電着塗膜のガスピン欠陥を抑制する方法。
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JP2007143386A (ja) * | 2005-10-20 | 2007-06-07 | Minebea Co Ltd | 一層ないし二層の絶縁塗膜構造を有するモータ用部品及びその製造方法 |
WO2008050797A1 (fr) * | 2006-10-25 | 2008-05-02 | Nippon Paint Co., Ltd. | Composition de revêtement pour électrodéposition cationique et son application |
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