JP2005200568A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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健太郎 武貞
Daichi Maruyama
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Abstract

【課題】アクリル系ブロック共重合体に、安価な酸変性ポリプロピレン系樹脂とメタクリル酸グリシジル単位、アクリル酸メチル単位を有する変性ポリエチレン系樹脂を加え、耐油性と耐磨耗性の組成物を提供する。
【解決手段】アクリル系ブロック共重合体50〜70重量部、酸変性ポリプロピレン系樹脂20〜40重量部、ならびにメタクリル酸グリシジル単位およびアクリル酸メチル単位を有する変性ポリエチレン系樹脂5〜20重量部からなるアクリル系熱可塑性樹脂組成物であって、アクリル系ブロック共重合体が、x−y−x型のトリブロック共重合体であり、アクリル系ブロック共重合体が、アクリル系重合体ブロック50〜70重量%およびMMA重合体50〜30重量%からなり、かつアクリル系重合体ブロックが、アクリル酸2−メトキシエチル20〜30重量%、BA30〜50重量%、およびEA30〜50重量%からなる。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐油性と耐磨耗性に優れるアクリル系ブロック共重合体と、オレフィン系熱可塑性樹脂からなる組成物に関する。
一般的に、熱可塑性樹脂は種々の分野で使用されているが、単一の樹脂だけでは充分な性能が得られない場合は、他の樹脂等と組み合わせて複合化する手法が試みられている。
ハードセグメントとソフトセグメントを組み合わせたブロック共重合体が熱可塑性エラストマーとして使用されているが、コストダウンと環境対応のために、安価でリサイクル可能なオレフィン系樹脂との複合化が求められる場合がある。たとえば、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体は、ポリプロピレン樹脂との相溶性が良いため、プロピレン樹脂との複合材料として使用される(例えば、非特許文献1参照)。
メタアクリル系重合体ブロックおよびアクリル系重合体ブロックを含有するブロック共重合体は、熱可塑性エラストマーとして機能することが開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、極性の高いアクリル系ブロック共重合体と低極性樹脂であるポリオレフィン系樹脂との複合化が可能であることも開示されているが(例えば、特許文献2参照)、それらの樹脂が耐油性、耐磨耗性の両物性を満足するとの記載も示唆も全くない。また、ポリオレフィン系樹脂との複合化によって物性バランスを望ましいレベルに保ったままコストを下げる手段はいまだに知られていないことから、その開発が強く求められていた。
特開2002−338646号公報 国際公開第02/092696号パンフレット タフテックPシリーズ技術資料(旭化成(株))
本発明は、耐油性と耐磨耗性に優れるアクリル系ブロック共重合体に、安価な酸変性ポリプロピレン系樹脂、ならびにメタクリル酸グリシジル単位および/またはアクリル酸メチル単位を有する変性ポリエチレン系樹脂を加えることで、耐油性と耐磨耗性に優れた組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、(A)アクリル系ブロック共重合体、(B)酸変性ポリプロピレン系樹脂、および(C)メタクリル酸グリシジル単位およびアクリル酸メチル単位を有する変性ポリエチレン系樹脂を特定比率で有するアクリル系熱可塑性樹脂組成物の成形品が、耐油性と耐磨耗性を併せ持つことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、(A)アクリル系ブロック共重合体50〜70重量部、(B)酸変性ポリプロピレン系樹脂20〜40重量部、および(C)メタクリル酸グリシジル単位およびアクリル酸メチル単位を有する変性ポリエチレン系樹脂5〜20重量部からなるアクリル系熱可塑性樹脂組成物であって、アクリル系ブロック共重合体(A)が、x−y−x型のトリブロック共重合体であり、アクリル系ブロック共重合体(A)が、(A1)アクリル系重合体ブロック50〜70重量%および(A2)メタアクリル酸メチル重合体50〜30重量%からなり、かつアクリル系重合体ブロック(A1)が、アクリル酸2−メトキシエチル20〜30重量%、アクリル酸n−ブチル30〜50重量%、およびアクリル酸エチル30〜50重量%からなるアクリル系熱可塑性樹脂組成物に関する。
本発明は、耐油性と耐磨耗性に優れるアクリル系ブロック共重合体(A)に、安価な酸変性ポリプロピレン系樹脂(B)、ならびにメタクリル酸グリシジル単位およびアクリル酸メチル単位を有する変性ポリエチレン系樹脂(C)を加えることで、耐油性と耐磨耗性に優れた組成物を提供する。
<(A)アクリル系ブロック共重合体>
アクリル系ブロック共重合体(A)の構造は、コスト面や重合の容易性から、線状ブロック共重合体であることが好ましい。また、それを単体で用いる場合の物性または組成物にした場合の物性の点から、2種の重合体ブロックx、yから構成される場合、加工時の取扱いの容易性や、組成物にした場合の物性の点から、一般式:x−y−x型のトリブロック共重合体が好ましい。
アクリル系ブロック共重合体(A)の数平均分子量は、40000〜400000が好ましく、50000〜300000がより好ましい。分子量が40000未満であるとエラストマーとして充分な機械特性を発現することができない場合があり、400000を超えると加工特性が低下する場合がある。
アクリル系ブロック共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)としては、1〜2であるのが好ましく、1〜1.8であることがより好ましい。Mw/Mnが2をこえるとブロック共重合体(A)の均一性が低下する傾向がある。尚、本発明で、数平均分子量および重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いてクロロホルムを移動相とし、ポリスチレン換算の分子量により求めた値を示す。
アクリル系ブロック共重合体(A)を構成するアクリル系重合体ブロック(A1)とメタアクリル酸メチル重合体(A2)との組成比は、要求される成形性、およびアクリル系重合体ブロック(A1)とメタアクリル酸メチル重合体(A2)にそれぞれ必要とされる分子量などから決めればよい。アクリル系重合体ブロック(A1)とメタアクリル酸メチル重合体(A2)の組成比の範囲は、アクリル系重合体ブロック(A1)が50〜70重量%、メタアクリル酸メチル重合体(A2)が50〜30重量%であり、アクリル系重合体ブロック(A1)が55〜70重量%、メタアクリル酸メチル重合体(A2)が45〜30重量%であることが好ましい。アクリル系重合体ブロック(A1)の割合が50重量%より少ない場合には、エラストマーとしての機械特性、とくに破断伸びが低下したり、柔軟性が低下する場合があり、70重量%より多い場合には、高温でのゴム弾性が低下する場合がある。
アクリル系ブロック共重合体(A)を構成するアクリル系重合体ブロック(A1)とメタアクリル酸メチル重合体(A2)とのガラス転移温度の関係は、アクリル系重合体ブロック(A1)のガラス転移温度をTgA1、メタアクリル酸メチル重合体(A2)のそれをTgA2とした場合、下式の関係を満たすことが好ましい。
TgA1<TgA2
前記重合体ブロック(アクリル系重合体ブロック(A1)およびメタアクリル酸メチル重合体(A2))のガラス転移温度(Tg)は、概略、下記Foxの式に従い、重合体ブロックにおける単量体の重量比率を用いて求めることができる。
1/Tg=(W1/Tg1)+(W2/Tg2)+…+(Wm/Tgm
1+W2+…+Wm=1
式中、Tgは重合体ブロックのガラス転移温度を表わし、Tg1,Tg2,…,Tgmはそれぞれの単量体を単独で重合した重合体(ホモポリマー)のガラス転移温度を表わす。また、W1,W2,…,Wmは、それぞれ重合した単量体の重量比率を表わす。
前記Foxの式における重合した単量体それぞれのガラス転移温度は、たとえば、ポリマー ハンドブック 3版(Polymer Handbook Third Edition)(ウイレィ インターサイエンス(Wiley−Interscience),1989)に記載されており、本明細書ではこの値を用いる。
<(A1)アクリル系重合体ブロック>
アクリル系重合体ブロック(A1)は、ブロック共重合体(A)中のアクリル系重合体ブロックであり、メタアクリル酸メチル重合体(A2)とのガラス転移温度の関係、TgA1<TgA2を満たすものが好ましい。
アクリル系重合体ブロック(A1)に必要とされる分子量は、アクリル系重合体ブロック(A1)に必要とされる弾性率とゴム弾性、その重合に必要な時間などから決めればよい。
アクリル系重合体ブロック(A1)に必要とされる数平均分子量は、10000以上であることが好ましく、40000以上であることがより好ましい。ただし、数平均分子量が大きいと重合時間が長くなる傾向があるため、必要とする生産性に応じて設定すればよいが、好ましくは100000以下であり、より好ましくは50000以下である。
アクリル系重合体ブロック(A1)を構成するアクリル酸エステルとしては、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸エチルがあげられ、機械特性、耐油性、低温特性および耐磨耗性の点からそれらの含有量は、アクリル系重合体ブロック(A1)全体中、アクリル酸2−メトキシエチル20〜30重量%、アクリル酸n−ブチル30〜50重量%、アクリル酸エチル30〜50重量%の混合物である。
アクリル系重合体ブロック(A1)のガラス転移温度は、好ましくは50℃以下、より好ましくは0℃以下である。ガラス転移温度が50℃より高いと、ブロック共重合体(A)のゴム弾性が低下する場合がある。
アクリル系重合体ブロック(A1)のガラス転移温度(TgA1)は、前記Foxの式にしたがい、重合体ブロックを構成する単量体の重量割合を調節することにより行なうことができる。
ここで、ガラス転移温度とは、重合体ブロックを構成する各単量体のホモポリマーのガラス転移温度として前述のポリマーハンドブック3版に記載の値を用い、各単量体の重合比率を用いて、Foxの式にしたがって求めたものである。
<(A2)メタアクリル酸メチル重合体>
メタアクリル酸メチル重合体(A2)は、ブロック共重合体(A)中のメタアクリル系重合体ブロックであり、アクリル系重合体ブロック(A1)とのガラス転移温度の関係、TgA1<TgA2を満たすものが好ましい。
メタアクリル酸メチル重合体(A2)に必要とされる分子量は、メタアクリル酸メチル重合体(A2)に必要とされる凝集力と、その重合に必要な時間などから決めればよい。
メタアクリル酸メチル重合体(A2)の数平均分子量は、10000以上であることが好ましく、40000以上であることがより好ましい。数平均分子量が大きくなると、重合時間が長くなる傾向にあるため、必要とする生産性に応じて設定すればよいが、好ましくは100000以下、さらに好ましくは50000以下である。
メタアクリル酸メチル重合体(A2)のガラス転移温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上である。ガラス転移温度が100℃未満の場合、高温でのゴム弾性が所望の値より低下する場合がある。
<アクリル系ブロック共重合体(A)の製造方法>
アクリル系ブロック共重合体(A)の製造方法としては、特に限定されないが、制御重合を用いることが好ましい。制御重合としては、リビングアニオン重合、連鎖移動剤を用いるラジカル重合および近年開発されたリビングラジカル重合をあげることができる。リビングラジカル重合がブロック共重合体の分子量および構造制御の点ならびに架橋性官能基を有する単量体を共重合できる点から好ましい。
リビング重合とは、狭義においては、末端が常に活性を持ち続ける重合のことを示すが、一般には、末端が不活性化されたものと活性化されたものが平衡状態にある擬リビング重合も含まれ、本発明におけるリビングラジカル重合は、重合末端が活性化されたものと不活性化されたものが平衡状態で維持されるラジカル重合であり、近年様々なグループで積極的に研究がなされている。
その例としては、ポリスルフィドなどの連鎖移動剤を用いるもの、コバルトポルフィリン錯体(Journal of American Chemical Society,1994,116,7943)やニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いるもの(Macromolecules,1994,27,7228)、有機ハロゲン化物などを開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP)などをあげることができる。本発明において、これらのうちどの方法を使用するかは特に制約はないが、制御の容易さなどから原子移動ラジカル重合が好ましい。
原子移動ラジカル重合は、有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、周期律表第8族、9族、10族または11族元素を中心金属とする金属錯体を触媒として重合される(例えば、Matyjaszewskiら,Journal of American Chemical Society,1995,117,5614、Macromolecules,1995,28,7901、Science,1996,272,866、またはSawamotoら,Macromolecules,1995,28,1721)。
これらの方法によると一般的に非常に重合速度が高く、ラジカル同士のカップリングなどの停止反応が起こりやすいラジカル重合でありながら、重合がリビング的に進行し、分子量分布の狭いMw/Mn=1.1〜1.5程度の重合体が得られ、分子量はモノマーと開始剤の仕込み時の比率によって自由にコントロールすることができる。
原子移動ラジカル重合法において、開始剤として用いられる有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物としては、一官能性、二官能性、または、多官能性の化合物を使用できる。これらは目的に応じて使い分けることができるが、x−y−x型のトリブロック共重合体を製造する場合は二官能性化合物を使用することが好ましい。
一官能性化合物としては、たとえば、以下の化学式で示される化合物などをあげることができる。
65−CH2
65−CHX−CH3
65−C(CH32
1−CHX−COOR2
1−C(CH3)X−COOR2
1−CHX−CO−R2
1−C(CH3)X−CO−R2
1−C64−SO2
式中、C64は、フェニレン基を表わす。フェニレン基は、オルト置換、メタ置換およびパラ置換のいずれでもよい。R1は、水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、または炭素数7〜20のアラルキル基を表わす。Xは、塩素、臭素またはヨウ素を表わす。R2は、炭素数1〜20の一価の有機基を表わす。
二官能性化合物としては、たとえば、以下の化学式で示される化合物などをあげることができる。
X−CH2−C64−CH2−X
X−CH(CH3)−C64−CH(CH3)−X
X−C(CH32−C64−C(CH32−X
X−CH(COOR3)−(CH2n−CH(COOR3)−X
X−C(CH3)(COOR3)−(CH2n−C(CH3)(COOR3)−X
X−CH(COR3)−(CH2n−CH(COR3)−X
X−C(CH3)(COR3)−(CH2n−C(CH3)(COR3)−X
X−CH2−CO−CH2−X
X−CH(CH3)−CO−CH(CH3)−X
X−C(CH32−CO−C(CH32
X−CH(C65)−CO−CH(C65)−X
X−CH2−COO−(CH2m−OCO−CH2−X
X−CH(CH3)−COO−(CH2m−OCO−CH(CH3)−X
X−C(CH32−COO−(CH2m−OCO−C(CH32−X
X−CH2−CO−CO−CH2−X
X−CH(CH3)−CO−CO−CH(CH3)−X
X−C(CH32−CO−CO−C(CH32−X
X−CH2−COO−C64−OCO−CH2−X
X−CH(CH3)−COO−C64−OCO−CH(CH3)−X
X−C(CH32−COO−C64−OCO−C(CH32−X
X−SO2−C64−SO2−X
式中、R3は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20アリール基または炭素数7〜20アラルキル基を表わす。C64は、フェニレン基を表わす。フェニレン基は、オルト置換、メタ置換およびパラ置換のいずれでもよい。C65は、フェニル基を表わす。nは、0〜20の整数を表わし、mは、1〜20の整数を表わす。Xは、塩素、臭素またはヨウ素を表わす。
多官能性化合物としては、たとえば、以下の化学式で示される化合物などをあげることができる。
63(CH2X)3
63(CH(CH3)−X)3
63(C(CH32−X)3
63(OCO−CH2X)3
63(OCO−CH(CH3)−X)3
63(OCO−C(CH32−X)3
63(SO2X)3
式中、C63は、三置換フェニル基を表わす。三置換フェニル基は、置換基の位置は1位〜6位のいずれでもよい。Xは、塩素、臭素またはヨウ素を表わす。
これらの開始剤として用いられうる有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物は、ハロゲンが結合している炭素がカルボニル基、フェニル基などと結合しており、炭素−ハロゲン結合が活性化されて重合が開始する。使用する開始剤の量は、必要とするブロック共重合体の分子量に合わせて、単量体との比から決定すればよい。すなわち、開始剤1分子あたり、何分子の単量体を使用するかによって、ブロック共重合体の分子量を制御することができる。
前記原子移動ラジカル重合の触媒として用いられる遷移金属錯体としてはとくに限定はないが、好ましいものとして、1価および0価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄または2価のニッケルの錯体をあげることができる。これらの中でも、コストや反応制御の点から銅の錯体が好ましい。
1価の銅化合物としては、たとえば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅などをあげることができる。銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために、2,2′−ビピリジルおよびその誘導体、1,10−フェナントロリンおよびその誘導体、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチル(2−アミノエチル)アミンなどのポリアミンなどを配位子として添加することもできる。また、2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体(RuCl2(PPh33)も触媒として使用する事ができる。
ルテニウム化合物を触媒として用いる場合は、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類を添加することもできる。さらに、2価の鉄のビストリフェニルホスフィン錯体(FeCl2(PPh32)、2価のニッケルのビストリフェニルホスフィン錯体(NiCl2(PPh32)、および、2価のニッケルのビストリブチルホスフィン錯体(NiBr2(PBu32)も触媒として使用できる。使用する触媒、配位子および活性化剤の量は、特に限定されないが、使用する開始剤、単量体および溶媒の量と必要とする反応速度の関係から適宜決定することができる。
前記原子移動ラジカル重合は、無溶媒(塊状重合)または各種溶媒中で行なうことができる。前記溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素系溶媒;塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノールなどのアルコール系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート系溶媒などをあげることができ、これらは単独で用いることもできるし、少なくとも2種を混合して用いることができる。また、溶媒を使用する場合、その使用量は、系全体の粘度と必要とする攪拌効率の関係から適宜決定することができる。
また、前記原子移動ラジカル重合は、好ましくは室温〜200℃、より好ましくは50〜150℃の範囲で行うことができる。前記原子移動ラジカル重合温度が室温より低いと粘度が高くなり過ぎて反応速度が遅くなる場合があるし、200℃を超えると安価な重合溶媒を使用できない場合がある。
前記原子移動ラジカル重合により、ブロック共重合体を製造する方法としては、単量体を逐次添加する方法、あらかじめ合成した重合体を高分子開始剤としてつぎのブロックを重合する方法、別々に重合した重合体を反応により結合する方法などをあげることができる。これらの方法は、目的に応じて使い分けることができる。製造工程の簡便性の点から、単量体の逐次添加による方法が好ましい。
<(B)酸変性ポリプロピレン系樹脂>
酸変性ポリプロピレン系樹脂(B)としては、たとえば、マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレンなどがあげられる。これらの中では、無水マレイン酸変性ポリプロピレンが相溶性の観点から好ましい。
具体的には、無水マレイン酸変性ポリプロピレンとして「アドマーQE305」(商品名、三井化学(株)製)などがあげられる。
この樹脂を、アクリル系ブロック共重合体(A)と複合化すると、本来アクリル系ブロック共重合体(A)が有する耐磨耗性を損なう傾向にあるが、耐油性は殆ど損なわない。
<(C)変性ポリエチレン系樹脂>
本発明の変性ポリエチレン系樹脂(C)は、メタクリル酸グリシジル単位およびアクリル酸メチル単位を有しているポリエチレン系樹脂であれば、特に限定するものではないが、例えば、エチレン−メチルアクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体などがあげられる。
具体的には、ボンドファースト7M(商品名、住友化学工業(株)製)をあげることができる。
この樹脂を、アクリル系ブロック共重合体(A)と複合化すると、本来アクリル系ブロック共重合体(A)が有する耐油性を損なう傾向にあるが、耐磨耗性は殆ど損なわれない。
従って、アクリル系ブロック共重合体(A)と耐油性・耐摩耗性に優れる酸変性ポリプロピレン系樹脂(B)に、変性ポリエチレン系樹脂(C)を添加すると、アクリル系ブロック共重合体(A)と酸変性ポリプロピレン系樹脂(B)の相溶性が向上し、その結果、耐油性、耐摩耗性に優れるアクリル系熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
<アクリル系熱可塑性樹脂組成物>
本発明のアクリル系熱可塑性樹脂組成物は、アクリル系ブロック共重合体(A)50〜70重量部、酸変性ポリプロピレン系樹脂(B)20〜40重量部、ならびにメタクリル酸グリシジル単位およびアクリル酸メチル単位を有する変性ポリエチレン系樹脂(C)5〜20重量部からなり、全体として100重量部となることが好ましい。それぞれの含有量が、上記範囲内にあることで、耐油性と耐磨耗性に非常に優れた所望の物性を有する組成物を得ることができる。
アクリル系ブロック共重合体(A)が、50重量部未満であると、耐磨耗性が悪くなる場合がある。酸変性ポリプロピレン系樹脂(B)の含有量が、20重量部未満であると、コストが高くなる場合がある。変性ポリエチレン系樹脂(C)の含有量が、5重量部未満であると、耐磨耗性が悪くなる場合があり、変性ポリエチレン系樹脂(C)の含有量が、20重量部をこえると、耐油性が悪くなる場合がある。
上記で得られたアクリル系熱可塑性樹脂組成物の成形は、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、カレンダー成形、真空成形、発泡成形、射出成形、射出ブロー成形、パウダースラッシュ成形などの任意の成形加工法によって成形加工することにより行うことができる。これらのうちでは、射出成形が、簡便である点から好ましい。
前記樹脂組成物から本発明の成形体を成形する際の条件としては、たとえば射出成形法による場合、一般にシリンダー温度150〜240℃、ノズル温度240℃、射出速度:低速、金型温度:40〜120℃のごとき成形条件があげられる。
前記のごとき方法により製造された本発明によるアクリル系熱可塑性樹脂組成物は、耐油性と耐磨耗性を有するものであり、インストルパネル、コンソールボックス、ドアリムなどの自動車内装材として用いられる。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。なお、以下における、EA、BA、MEA、MMAは、それぞれアクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−メトキシエチルおよびメタクリル酸メチルを意味する。
<試験方法>
(分子量)
ブロック共重合体の分子量は、GPC分析装置(システム:ウオーターズ(Waters)社製のGPCシステム、カラム:昭和電工(株)製のShodex K−804(ポリスチレンゲル))で測定した。クロロホルムを移動相とし、ポリスチレン換算の分子量を求めた。
(耐油性評価法)
軽質流動パラフィンオイル(ナカライテスク(株)製)をシボの付いたシート表面に0.1g滴下し、100℃で24時間放置した後のシボ変化を目視で観察し、次のように5点満点で判定した。
1:穴があく。
2:シボが完全に消え、膨潤している。
3:シボが少し消え、膨潤している。
4:シボは残っているが膨潤している。
5:シボが全く変化していない。
(耐磨耗性評価法)
HEIDON式試験機(新東化学(株)製 表面性測定機 TYPE−HEIDON−14DR)を使用して、荷重1kg/cm2、速度6000mm/minの条件で、シボの付いたシート表面を金巾3号の布で往復回数5回擦り、シボの変化を目視で次のように5点満点で判定した。
1:穴があく。
2:シボが完全に消え、白化している。
3:シボが少しつぶれ、白化している。
4:白化していないがシボが少しつぶれている。
5:シボが全く変化していない。
製造例1 [MMA−b−(BA−co−EA−co−MEA)−b−MMA((BA−co−EA−co−MEA)/MMA=65/35(重量%))型ブロック共重合体(以下、M3AMと記載する)の合成]
M3AMを得るために以下の操作を行なった。5Lセパラブルフラスコを用い、臭化銅7.98g、アセトニトリル(3時間以上窒素バブリングしたもの)100ml、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル(開始剤)8.01g、BA 373.1ml、EA 354.5mlおよびMEA 200.8mlを加えたのち、適宜、ジエチレントリアミン(配位子)を1.16mlで、MMA 498.0ml、塩化銅5.506g、ジエチレントリアミン1.16mlおよびトルエン(3時間以上窒素バブリングしたもの)834mlを加え、BAの転化率が97%、EAの転化率が97%、MEAの転化率が98%、MMAの転化率が90%の時点で、トルエン1000mlを加え、水浴で反応器を冷却して反応を終了させた。
反応溶液をトルエン400mlで希釈し、p−トルエンスルホン酸一水和物19gを加えて室温で3時間撹拌した。析出した不溶部を桐山漏斗で濾過して除いたのち、ポリマー溶液に吸着剤(キョーワード500SH、協和化学(株)製)を15g加えて室温でさらに3時間撹拌した。桐山漏斗で吸着剤を濾過し、無色透明のポリマー溶液を得た。この溶液を乾燥させて溶剤および残存モノマーを除き、目的のM3AMを得た。得られたブロック共重合体のGPC分析を行なったところ、数平均分子量(Mn)がポリスチレン換算で85000、分子量分布(Mw/Mn)が1.3であった。組成分析を行なったところ、EA/BA/MEA/MMA=22.3/30.7/14/33(重量比)であった。
実施例1
表1の配合に従い、製造例1で得られたブロック共重合体(M3AM)59.7重量%と無水マレイン酸変性ポリプロピレン(三井化学(株)製、商品名:アドマーQE305)29.9重量%、メタクリル酸グリシジル単位、アクリル酸メチル単位を有する変性ポリエチレン系樹脂(住友化学工業(株)製、商品名:ボンドファースト7M)10重量%、およびカーボンブラック(旭カーボン(株)製、商品名:旭#15)0.4重量%を220℃に設定したプラストミル(東洋精機(株)製、型番:MODEL20C200、形式:R60、ブレード形状:ローラ型R60B、チャンバー容量:60cc)を用いて100rpmで10分間溶融混練し、塊状のアクリル系熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた塊状のサンプルを220℃でシボのついたプレス用フェロ板を用いて厚さ1mmのシートを得、耐油性と耐磨耗性を評価した。結果は表1に示す。
比較例1
表1の配合に従い、メタクリル酸グリシジル単位およびアクリル酸メチル単位を有する変性ポリエチレン系樹脂(住友化学工業(株)製、商品名:ボンドファースト7M)は添加せず、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(三井化学(株)製、商品名:アドマーQE305)の量を33.2重量%にした以外は、実施例1に従って塊状のアクリル系熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた塊状のサンプルを220℃でシボのついたプレス用フェロ板を用いて厚さ1mmのシートを得、耐油性と耐磨耗性を評価した。結果は表1に示す。
Figure 2005200568
表1の結果から明らかのように、実施例1で示したアクリル系ブロック共重合体と2種の変性オレフィン系樹脂からなる組成物は、比較例1よりも耐磨耗性が優れ、耐油性と耐磨耗性の両物性を両立していることがわかる。

Claims (1)

  1. (A)アクリル系ブロック共重合体50〜70重量部、(B)酸変性ポリプロピレン系樹脂20〜40重量部、ならびに(C)メタクリル酸グリシジル単位およびアクリル酸メチル単位を有する変性ポリエチレン系樹脂5〜20重量部からなるアクリル系熱可塑性樹脂組成物であって、アクリル系ブロック共重合体(A)が、x−y−x型のトリブロック共重合体であり、アクリル系ブロック共重合体(A)が、(A1)アクリル系重合体ブロック50〜70重量%および(A2)メタアクリル酸メチル重合体50〜30重量%からなり、かつアクリル系重合体ブロック(A1)が、アクリル酸2−メトキシエチル20〜30重量%、アクリル酸n−ブチル30〜50重量%、およびアクリル酸エチル30〜50重量%からなるアクリル系熱可塑性樹脂組成物。
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