JP2005200259A - 多孔質炭素、及び、多孔質炭素の製造方法、並びに、電気二重層キャパシタ用多孔質炭素の製造方法、該製造方法により得られた電気二重層キャパシタ用多孔質炭素、及び、該多孔質炭素を用いた電気二重層キャパシタ - Google Patents

多孔質炭素、及び、多孔質炭素の製造方法、並びに、電気二重層キャパシタ用多孔質炭素の製造方法、該製造方法により得られた電気二重層キャパシタ用多孔質炭素、及び、該多孔質炭素を用いた電気二重層キャパシタ Download PDF

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Abstract

【課題】 静電容量の大きい多孔質炭素の製造方法、及び、該製造方法により得られた多孔質炭素、並びに、該製造方法により得られた電気二重層キャパシタ用多孔質炭素、及び、これを用いた電気二重層キャパシタを提供する。
【解決手段】 本発明法は、炭素含有化合物を減圧下で不完全燃焼させて得たスス状物質から有機溶媒可溶分を除去して得た炭素質物質を賦活することを特徴とする。
【選択図】 図3

Description

本発明は、多孔質炭素、及び、多孔質炭素の製造方法、並びに、電気二重層キャパシタ用多孔質炭素の製造方法、該製造方法により得られた電気二重層キャパシタ用多孔質炭素、および、これを用いた電気二重層キャパシタに関するものである。
大電流での充放電ができ、耐久性のある電気二重層キャパシタは、情報機器のメモリーバックアップや道路鋲、更には自動車等に使われ、今後も大きな用途拡大が見込まれている。しかしながら、リチウム二次電池等の二次電池に比べてエネルギー密度が小さいために工業的用途が限定されている。
電気二重層キャパシタに蓄積されるエネルギーEは、静電容量をC(F)、印加電圧をV(V)とするとE=1/2・C・Vで表わされる。印可電圧V(V)は電気二重層キャパシタに使用される電解液の種類によってほぼ決まり、通常、硫酸を用いる場合は約1V以下、有機溶剤を使用する場合は約2.8V以下である。このため、電気二重層キャパシタの蓄積エネルギーを増加させる手段としては、一般的に、電極の構成物質である多孔質炭素の静電容量を大きくする方法が試みられてきた。
多孔質炭素の静電容量を大きくする方法としては、電解液と多孔質炭素の接触面積を増加させるために多孔質炭素の比表面積を大きくしたり、電気二重層容量に関与する電解液中の陽イオンや陰イオンなどの大きさを考慮して細孔分布を制御したり、表面官能基、不純物量を制御する方法などが知られている(例えば、特許文献1)。
通常、単位表面積当たりの静電容量の大きさはある程度一定の範囲にあるため、静電容量の大きい多孔質炭素を作るには、賦活を進めて比表面積を大きくする方策がとられる。賦活を進めて比表面積を大きくすると、質量当たりの静電容量が比表面積にほぼ比例して大きくなることが知られている。しかしながら、賦活が進行し過ぎると、歩留まりが減って細孔容積が大きくなり、多孔質炭素の粒子密度、嵩密度等が減少する。このため、質量当たりの静電容量と嵩密度の積で表現される体積当たりの静電容量は、ある比表面積(賦活度)の時に最大となり、それ以降は賦活の進行、即ち比表面積の増大につれて却って小さくなることが知られている。このため、工業的に使用されている電気二重層キャパシタの多孔質炭素の比表面積は1500〜2500m/gの範囲にあることが多い(非特許文献1、2)。
工業的な賦活方法としては、賦活原料、賦活方法、賦活条件を変更したり、これらに前処理、後処理などが組合わされている。賦活方法は、通常、アルカリ金属水酸化物等の化学薬品を用いる薬品賦活(例えば、特許文献2)や水蒸気、炭酸ガスなどの酸化性ガスを用いたガス賦活(例えば、非特許文献1)が知られている。
特開2002−110472号公報 第2項 特許第3330235号公報(第1〜5頁) 西野敦著「活性炭素繊維を用いた電気二重層キャパシタ」炭素TANSO 1988[132] P.63−65 森本剛著「有機電解液を用いる電気二重層キャパシタ」炭素TANSO 1999[189] P.188−196
しかしながら、上述した方法では、多孔質炭素の体積当たりの静電容量をこれ以上大きくすることはできない。そして現在のレベルの多孔質炭素の静電容量では、コストパフォーマンスが十分に高いとはいえず、電気二重層キャパシタが二次電池ほど幅広く使われていない原因になっている。これは、工業的に用いることのできる静電容量向上手段が、主に、原料物質の選定と賦活方法、賦活条件を含む製造条件の変更による最適化であり、これに限度があったためである。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、新規な多孔質炭素の製造方法、及び、該製造方法により得られた多孔質炭素、並びに、静電容量が大きな電気二重層キャパシタ用多孔質炭素の製造方法、該製造方法により得られる電気二重層キャパシタ用多孔質炭素、及び、これを用いた電気二重層キャパシタを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、従来、工業的に利用することが難しかった新たな炭素質物質を賦活することにより、静電容量が飛躍的に向上した多孔質炭素が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。上記課題を解決することのできた本発明とは、炭素含有化合物、好ましくは芳香族炭化水素を減圧下で不完全燃焼させて得たスス状物質から有機溶媒可溶分を除去して得た炭素質物質を賦活するところに要旨がある。
前記炭素質物質は、特殊な内部構造を有しており、これを賦活することによって、低比表面積であるにもかかわらず飛躍的に大きい静電容量の多孔質炭素が得られる。特に、比表面積当たりの静電容量は、飛躍的に大きい。これは一つには、得られる多孔質炭素に電気二重層形成に有利な細孔が選択的に多く存在することを示しており、原料である炭素質物質が賦活すると10nm以下の細孔となるような大きさの賦活時の反応性が異なる炭素質領域が混在している構造を有しているためと推察される。すなわち、細孔に近い大きさの賦活されやすい炭素質領域が賦活されにくい炭素質領域に混在している構造を有しているためと推察される。また、他の観点ではその原料である前記炭素質物質が有する新規な内部構造が、賦活処理後の多孔質炭素の構造へも影響を与え、両者の相乗効果で特異的な機能を発現するものと推察される。前記炭素質物質は、CuKα線(波長=1.54Å)を用いた広角X線回折によって、回折角3〜30度の範囲内で、最も強いピークが10〜18度の範囲に存在する新規な構造を有する。
本発明の好ましい第1の態様は、多孔質炭素の製造方法であり、炭素含有化合物を減圧下で不完全燃焼させて得たスス状物質から有機溶媒可溶分を除去して得た炭素質物質をアルカリ金属化合物で賦活することを特徴とする。CuKα線(波長=1.54Å)を用いた広角X線回折によって、回折角3〜30度の範囲内で、最も強いピークが10〜18度の範囲に存在する炭素質物質をアルカリ金属化合物で賦活することも好ましい態様である。前記炭素質物質は、さらに、励起波長5145Åでのラマンスペクトル解析においてバンドG1590±20cm−1とバンドD1340±40cm−1にピークを有し、それぞれのバンドのピーク強度をI(G)及びI(D)としたときに、ピーク強度比I(D)/I(G)が0.4〜1.0であることが好ましい。前記賦活処理は、前記炭素質物質と前記アルカリ金属化合物とを混合して、熱処理することにより行うことが好ましい。前記アルカリ金属化合物は、アルカリ金属水酸化物であることが好ましく、さらに好ましくは、水酸化カリウムである。前記賦活処理によって得られた多孔質炭素を、さらに酸、水および有機溶剤よりなる群から選択される少なくとも1種で洗浄することも好ましい態様である。前記賦活処理または前記洗浄処理後に得られた多孔質炭素を熱処理することも好ましい態様である。前記多孔質炭素のBET比表面積は、350〜1300m/gであり、さらに好ましくは、400〜900m/gである。
本発明の好ましい第2の態様は、電気二重層キャパシタ用多孔質炭素の製造方法であり、炭素含有化合物、好ましくは芳香族炭化水素を減圧下で不完全燃焼させて得たスス状物質から有機溶媒可溶分を除去して得た炭素質物質を賦活することを特徴とする。CuKα線(波長=1.54Å)を用いた広角X線回折によって、回折角3〜30度の範囲内で、最も強いピークが10〜18度の範囲に存在する炭素質物質を賦活することも好ましい態様である。前記炭素質物質は、さらに、励起波長5145Åでのラマンスペクトル解析においてバンドG1590±20cm−1とバンドD1340±40cm−1にピークを有し、それぞれのバンドのピーク強度をI(G)及びI(D)としたときに、ピーク強度比I(D)/I(G)が0.4〜1.0であることが好ましい。前記賦活処理は、前記炭素質物質とアルカリ金属化合物とを混合し、熱処理することにより行うことが好ましい。前記アルカリ金属化合物は、アルカリ金属水酸化物であることが好ましく、さらに好ましくは、水酸化カリウムである。前記賦活処理は、例えば、前記炭素質物質を750℃以上で酸化性ガスと接触させることにより行うこともできる。
電気二重層キャパシタが硫酸系電解液を使用するものである場合、前記炭素質物質を酸化性ガスで軽度に賦活して、下記式で表される歩留を75質量%以上にすることが好ましい態様である。得られる多孔質炭素の質量当たりの静電容量を高めることができるからである。また、電気二重層キャパシタが有機系電解液を使用するものである場合、前記炭素質物質を酸化性ガスで高度に賦活して、下記式で表される歩留を88質量%以下にすることが好ましい。得られる多孔質炭素の質量当たりの静電容量を低下させることなく、電気二重層キャパシタの抵抗値を低下させることができるからである。
歩留(質量%)=100×(酸化性ガスによる賦活直後の多孔質炭素の質量)/(酸化性ガスによる賦活直前の炭素質物質の質量)
また、本発明で使用する炭素質物質の賦活処理は、前記炭素質物質を750℃〜1350℃で加熱処理することによっても行うことができる。前記加熱処理を、不活性ガス雰囲気下で行うことも好ましい態様である。
前記賦活処理によって得られた多孔質炭素を、さらに酸、水、および、有機溶剤よりなる群から選択される少なくとも1種で洗浄することも好ましい態様である。また、前記賦活処理または前記洗浄処理後に得られた多孔質炭素を熱処理することも好ましい。前記多孔質炭素のBET比表面積は、好ましくは350〜1450m/gであることが好ましい。特に、電気二重層キャパシタが、硫酸系電解液を使用する場合には、前記多孔質炭素のBET比表面積を350〜900m/g程度にすることが好ましく、有機系電解液を使用する場合には、前記多孔質炭素のBET比表面積は、700〜1450m/gとすることが好ましい。
本発明の製造方法によって得られた電気二重層キャパシタ用多孔質炭素は、静電容量が高く、本発明の電気二重層キャパシタ用多孔質炭素を分極性電極体として使用すれば、静電容量の高い電気二重層キャパシタが得られる。
本発明の好ましい第3の態様は、BET比表面積が1450m/g以下で、窒素吸着法により測定した細孔分布図(縦軸:dV/dlog(D)、V:cc/g、横軸:細孔径D(Å))において、細孔径が30Å、40Å、及び、100ÅのときのdV/dlog(D)の値をそれぞれV30、V40、及び、V100としたときに、0.5≦V100/V30であり、かつ、0.6≦V100/V40であることを特徴とする多孔質炭素である。
すなわち、本発明の多孔質炭素は、ミクロ孔とマクロ孔とがメソ孔領域で効率よく連通するような構造をとっているものと考えられ、ミクロ孔からマクロ孔までの細孔全体の有効利用率が格段に高くなっているものと考えられる。一般に、多孔質炭素の細孔は、細孔径が20Å未満であるミクロ孔と、細孔径が20Å〜500Å未満であるメソ孔と、細孔径が500Å以上であるマクロ孔とに大別される。多孔質炭素におけるメソ孔(細孔径が比較的大きなもの)やマクロ孔の存在は、例えば、電気二重層キャパシタ用多孔質炭素として使用する際には、主に電解液やイオン類の多孔質炭素への拡散性に影響するものと考えられるものである。また、ミクロ孔とメソ孔(細孔径が比較的小さなもの)は、例えば、多孔質炭素中に拡散したイオン類が吸着して静電容量を高めるのに有効なものと考えられる。
窒素吸着法により測定した細孔分布図(縦軸:dV/dlog(D)、横軸:細孔径D(Å))におけるdV/dlog(D)は、細孔の頻度(若しくは、細孔量)を指標するものであり、V100/V30、及び、V100/V40はそれぞれ、多孔質炭素中の細孔径が30Å、及び、40Åである細孔量に対する細孔径100Åの細孔量の割合を示すものである。そして本発明では、V100/V30、及び、V100/V40を一定以上とすることによって、ミクロ孔とマクロ孔とがメソ孔領域で効率よく連通し、例えば、電気二重層キャパシタ用多孔質炭素として使用した際には、電解液やイオン類などの多孔質炭素への拡散性が高くなり、その結果、イオンの吸着量が多くなって静電容量が高くなるものと考えられる。また、0.8≦V100/V30≦1.5であり、かつ、0.8≦V100/V40≦1.5とすることも好ましい態様である。さらに、V100を0.05以上として、100Å近辺の細孔の絶対量を一定以上とすることも好ましい態様である。
また、前記多孔質炭素のBET比表面積は、350m/g以上であることが好ましく、より好ましくは、400〜900m/gである。前記多孔質炭素は、静電容量が極めて高く、例えば、硫酸系電解液を用いて測定したときの単位BET比表面積当たりの静電容量が0.1F/m以上である。前記多孔質炭素を分極性電極体として使用すれば、静電容量が格段に高い電気二重層キャパシタが得られる。
本発明の製造方法によれば、特異的な細孔構造を有する多孔質炭素が得られる。また、本発明によれば、静電容量が極めて高い多孔質炭素が得られるので、本発明は、電気二重層キャパシタ用多孔質炭素の製造方法、該製造方法により得られた電気二重層キャパシタ用多孔質炭素、及び、該多孔質炭素を用いた電気二重層キャパシタに好適に適用できる。
特に、本発明の製造によれば、硫酸系電解液を使用する電気二重層キャパシタ用多孔質炭素をガス賦活法にて製造する場合、賦活の度合を軽くして、歩留を高くすることによって、単位質量当たりの静電容量を高くすることができる。また、有機系電解液を使用する電気二重層キャパシタ用多孔質炭素をガス賦活法にて製造する場合、賦活の度合を高くして、歩留を低くすることによって、単位質量当たりの静電容量を低下させることなく、キャパシタの抵抗値を低下させることができる。
また本発明における炭素質物質を加熱処理により賦活する態様は、酸化性ガスなどを使用することなく、不活性ガス雰囲気下などにおいて炭素質物質を賦活することができるので、製造コスト的に優れるので、極めて有利な態様である。
以下、本発明の実施形態について説明するが、特段の断りがない場合には、上述した本発明に含まれるすべての態様に共通するものである。
まず、炭素含有化合物、好ましくは芳香族炭化水素を減圧下で不完全燃焼させて得られたスス状物質から有機溶媒可溶分を除去して得た炭素質物質について説明する。
本発明で賦活処理を行う炭素質物質は、10nmより小さい球状の炭素質分子を作る際に得られたスス状物質から有機溶媒に可溶な炭素質分子のみを溶かして除いた物質であるため、該物質に10nm以下の大きさの単位で賦活反応性が異なる炭素構造領域が存在しているものと推測される。一般的に、カーボンブラックのようなスス状物質を製造した際、今回のように有機溶媒に可溶な10nmより小さい球状の炭素質分子が残存していることはほとんどなく、本炭素質物質が特異な構造を有していることがわかる。また、本炭素質物質はいわば残さにあたる物であり、工業上はコスト的に有利なものである。
本特異的構造がその効果を十分に発揮する為には、有機溶媒に可溶な炭素質分子が、スス状物質中に5〜50%、好ましくは7〜40%、更に好ましくは10〜30%含有されていることが必要である。この有機溶媒可溶分が少なすぎると、賦活され易い炭素の割合が少なくなり、機能発現に十分な量の細孔が形成されない。有機溶媒可溶分が多すぎると、賦活処理により細孔化する領域が著しく大きくなり、有効細孔径の好ましからぬ増大や、嵩密度の低下、さらには物理的強度の低下等を引き起こす。
前記スス状物質は炭素含有化合物を減圧下で不完全燃焼させて得ることができる。本発明で用いる炭素含有化合物としては、炭素を含有する化合物であれば特に限定されるものではないが、通常は脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素およびそれらの置換基を有する炭化水素が用いられ、芳香族炭化水素が好ましい。芳香族炭化水素としては、単環あるいは多環式芳香族炭化水素が挙げられるが、通常は芳香族環が1〜3個の芳香族炭化水素を用いるのがよく、好ましくはベンゼン、トルエン、ナフタレン、アントラセンなど、およびそれらの混合物を用いるのがよい。
具体的な装置としては、例えば、減圧チャンバーに(水冷)バーナーが設置され、系内を真空ポンプにて排気しつつ、安定に燃焼を継続する事が可能な装置などが使用される。そして上記のバーナーとしては、ベンゼン等の炭素原料化合物と酸化性ガスの予備混合層流炎及び拡散炎を実現し得る構造の物が使用される。
条件としては、C/O比、燃焼室圧力、希釈剤濃度、ガス速度などを適宜選択する事が必要である。具体的にはC/O比は通常0.5以上、好ましくは0.72〜1.07、燃焼室圧力は、通常1.6KPa〜13.35KPa、希釈剤濃度は、通常0〜40モル%、ガス速度は、通常14〜75cm/secの範囲である。希釈剤としては、一般的な不活性ガスが使用できるが、アルゴンが好適である。
燃焼で生成したスス状物質に含まれる有機溶媒に可溶な溶質分子は、有機溶媒による抽出や洗浄を行って除去される。
有機溶媒としては、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、塩素系炭化水素などが挙げられる。工業的観点から、好適な有機溶媒としては、常温で液体であり、沸点が通常100〜300℃、好ましくは120〜250℃の有機溶媒である。かかる有機溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチシレン、1−メチルナフタレン、1,2,3,5−テトラメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素が挙げられ、これらの中では、1,2,4−トリメチルベンゼンが好適である。
抽出装置としては攪拌混合槽が好適に使用される。抽出の際、容器内の圧力は特に制限されないが、通常は常圧とされる。抽出温度は、通常10〜90℃、好ましくは15〜40℃、更に好ましくは25〜35℃の範囲である。抽出時間は、通常1〜120分、好ましくは30〜90分の範囲である。抽出時間の短縮化の為、必要に応じ、抽出液に超音波等を照射しながら抽出を行っても良い。また、抽出回数も不純物が抽出される様に適宜選択することができる。有機溶媒の量も適宜選択することができるが、有機溶媒体積に対する原料スス重量の比は、通常2〜133mg/mL、好ましくは33〜133mg/mLとされる。有機溶媒の体積が多すぎるとコストが上がるのみであり、逆に有機溶媒の体積が少なすぎると原料ススと有機溶媒との接触が十分ではなく、抽出が十分に行われない場合がある。
本発明において、原料として用いられる上記炭素質物質は、その内部構造も従来知られていない全く新規な構造である。具体的には、CuKα線(波長=1.54Å)を用いた広角X線回折における回折角3〜30度の範囲内で、最も強いピークが10〜18度の範囲に有する事により裏づけられる。
X線回折における回折角(2θ)より、格子面間隔d値は次式により計算される。
d=λ/2sinθ λ:X線波長 θ:ブラッグ角 …(式1)
式1より、CuKα線(λ=1.54Å)を用いた場合の上記回折角10〜18度とは、格子面間隔9〜5Åに相当する。好ましい回折角は11〜17度である。
一般のカーボンブラックにおいては、通常グラファイト構造の発達に伴い、回折角26度付近に002反射(格子面間隔3.4Å)による回折ピークが観察される。本発明の炭素質物質では、これに相当するピークは存在しないか、又は存在してもごく僅かである。即ち、内部構造としてグラファイト構造が存在しないか、あるいは存在してもごく僅かであり、通常のカーボンブラック等とは全く異なる構造であることが明らかである。それ故に、本発明で使用する炭素質物質は電気抵抗が極めて高いという特徴的な性質を有し、さらに熱伝導性も低い。
本発明において、原料として用いられる上記炭素質物質は、また励起波長5145Åでのラマンスペクトル解析において、バンドG1590±20cm−1とバンドD1340±40cm−1にピークを有し、それぞれのバンドのピーク強度をI(G)及びI(D)とした際、ピーク強度比I(D)/I(G)が0.4〜1.0の範囲であるという特徴を有する。
このピーク強度比が0.4〜1.0の範囲ということは、通常の炭素材料においては規則性のミクロなグラファイト構造が比較的多いと理解される。そして従来公知の炭素材料では、ミクロなグラファイト構造が多い場合には、広角X線回折においてミクロなグラファイト構造を示す回折角26〜27°に002反射が必ず見られる。
しかしながら、前記炭素質物質の場合、前述のピーク強度比I(D)/I(G)が0.4〜1.0の範囲であるにもかかわらず、回折角26〜27°に002反射によるピークが存在しないか、又は、存在してもごく僅かであるという特異的な性質を示す。
これらの解析結果より、前記炭素質物質はミクロなグラファイト構造以外の、5〜9Åという比較的大きな、何らかの規則性構造を有すると推察される。詳細は明らかでないが、前記炭素質物質の特異的な内部構造が、賦活処理による多孔質化過程、さらには得られた多孔質体の内部構造に対しても何らかの影響を及ぼし、外部形態的な特徴である細孔分布や比表面積の特徴と共に、その相乗効果により電気二重層キャパシタとして使用する際に、特異的な性能を示すものと推察される。
次に、本発明における炭素質物質を賦活する方法について説明する。本発明における「賦活」とは、前記炭素質物質を多孔質化するための処理であって、前記炭素質物質の比表面積、或いは、細孔容積の少なくとも一方を増大させる処理であれば、特に限定されず、例えば、前記炭素質物質を薬品で賦活する態様(薬品賦活処理)、前記炭素質物質をガスで賦活する態様(ガス賦活処理)、前記炭素質物質を加熱処理する態様などを挙げることができる。
前記薬品賦活処理は、例えば、上述した炭素質物質をアルカリ金属化合物で賦活する方法であり、炭素質物質とアルカリ金属化合物とを混合して熱処理することにより行うことができる。前記アルカリ金属化合物としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物;炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩;硫酸カリウム、硫酸ナトリウムなどのアルカリ金属の硫酸塩などや、その水溶液や水和物を挙げることができる。前記賦活剤として好ましいのは、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水和物や濃厚な水溶液である。前記炭素質物質に対するアルカリ金属化合物の使用量は、特に限定されないが、例えば、アルカリ金属化合物として水酸化カリウムを用いる場合は、無水基準で、水酸化カリウム/炭素質物質(質量比)=0.3以上4.0以下であることが好ましい。本発明では、アルカリ金属化合物/炭素質物質の質量比をさらに低くすることができ、例えば、アルカリ金属化合物として水酸化カリウムを用いる場合は、水酸化カリウム/炭素質物質の質量比を、無水基準で、2.5以下、より好ましくは1.5以下とすることができる。本発明によれば、アルカリ金属化合物の使用量を少なくできるので、経済的である。前記薬品賦活をする際の熱処理は、特に限定されるものではないが、例えば、500℃以上900℃以下で行うことができ、アルゴン、窒素などの不活性ガス雰囲気下で熱処理を行うことも好ましい態様である。
前記ガス賦活処理は、例えば、上述した炭素質物質を750℃以上で酸化性ガスと接触することにより行われる。ガス賦活処理の温度は、800℃以上、より好ましくは850℃以上であって、1100℃以下、より好ましくは1050℃以下で行うことが望ましい。また、前記酸化性ガスとしては、例えば、炭酸ガス、水蒸気、酸素若しくはこれらの混合物、或いは、燃焼排ガスなどを使用することができる。
本発明の電気二重層キャパシタ用多孔質炭素の製造方法では、電気二重層キャパシタの電解液の種類に応じて、酸化性ガスによる賦活の態様を適宜変更することが好ましい。
硫酸系電解液を使用する電気二重層キャパシタ用多孔質炭素をガス賦活法にて製造する場合、上記炭素質物質を軽度に賦活することが好ましい態様である。軽度に賦活することによって、単位質量当たりの静電容量を高めることができるからである。本態様において、賦活の程度は、得られる多孔質炭素の歩留で指標することができ、前記歩留は、下記式で定義することができる。
歩留(質量%)=100×(酸化性ガスによる賦活直後の多孔質炭素の質量)/(酸化性ガスによる賦活直前の炭素質物質の質量)
尚、酸化性ガスによる賦活直前の炭素質物質の質量は、不活性ガス雰囲気下における昇温後であって、酸化性ガスを用いて賦活する直前の炭素質物質の質量である。
本態様においては、賦活条件を適宜選択することによって、上記歩留が75質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上になるように軽度に賦活することが望ましい。歩留を75質量%以上とすることによって、単位質量当たりの静電容量を一層高くすることができる。尚、上記歩留の上限は、特に限定されるものではないが、通常、約99質量%程度である。歩留が高すぎると、得られる多孔質炭素を用いた電気二重層キャパシタの抵抗値が高くなる場合がある。
本態様における酸化性ガスとしては、水蒸気、炭酸ガス若しくはこれらの混合物、或いは、燃焼排ガスなどを使用することが好ましい。
前記賦活処理の条件としては、賦活温度、賦活時間、酸化性ガス濃度などを挙げることができ、例えば、上記炭素質物質を軽度に賦活するためには、賦活温度を低くする、賦活処理時間を短くする、酸化性ガス濃度を低下する、或いは、これらの条件を適宜組合わせるなどの条件を選択すればよい。
また本態様において、軽度に賦活して得られる多孔質炭素の比表面積は、350m/g以上、さらに好ましくは400m/g以上であって、1300m/g以下、より好ましくは900m/g以下であることが好ましい。特に、得られる多孔質炭素の比表面積が350m2/gから900m/g程度であれば、質量当たりの静電容量が極めて高い多孔質炭素が得られる。
一方、有機溶剤系電解液を使用する電気二重層キャパシタ用多孔質炭素をガス賦活法にて製造する場合には、賦活の程度を高めることが好ましく、例えば、上記歩留を88質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは75質量%以下とすることが望ましい。有機系電解液を使用する電気二重層キャパシタでは、賦活の程度を高めることによって、質量当たりの静電容量を低下させることなく、キャパシタの抵抗値を低下させることができる。また、本態様における歩留の下限は、特に限定されないが、例えば、30質量%、より好ましくは、40質量%、さらに好ましくは50質量%である。歩留が低下しすぎると製造コストが高くなるからである。本態様において、高度に賦活して得られる多孔質炭素の比表面積は、700m/g以上、より好ましくは800m/g以上であって、1450m/g以下、より好ましくは1300m/g以下であることが好ましい。比表面積を一定以上とすることによって、単位質量当たりの静電容量を低下させることなく、キャパシタの抵抗値を低下することができる。一方、比表面積が高すぎると、歩留が低下して、製造コストが高くなるからである。
また、後述するように、賦活して得られる多孔質炭素には、有機溶剤可溶分が含まれている場合がある。有機系電解液を使用する電気二重層キャパシタ用多孔質炭素をガス賦活法にて製造する場合、賦活温度を750℃以上、より好ましくは850℃以上とすることによって、詳しい理由は不明であるが、得られる多孔質炭素に含有される有機溶剤可溶分を減らすことができる。本態様によれば、後述する有機溶剤可溶分除去工程を省略することができ、得られる多孔質炭素を、直接、有機溶剤を電解液とする電気二重層キャパシタの分極性電極として使用することができる。
また本発明では、上述した炭素質物質を単に加熱処理することによっても賦活することができる。上述した炭素質物質を単に加熱処理することのみによっても、BET比表面積で350m/g以上、さらに好ましくは400m/g以上であって、実用レベルの静電容量を有する多孔質炭素を得ることができる。本態様における加熱処理温度は、特に限定されるものではないが、750℃以上、より好ましくは800℃以上であって、1350℃以下、より好ましくは1300℃以下、さらに好ましくは1050℃以下であることが望ましい。熱処理温度が低すぎると、細孔発達の程度が低くなりすぎるからであり、熱処理温度が高すぎると、得られる多孔質炭素の静電容量が小さくなる場合がある。前記炭素質物質の加熱処理は、不活性雰囲気下で行うことが好ましく、例えば、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、酸化されやすい炭素からなる坩堝に入れて焼成するなど実質的に不活性な雰囲気下で行うことが好ましい。また、前記加熱処理は、例えば、減圧下で行うこともできる。
本態様における加熱処理において、上述した酸化性ガスを併用すれば、上記加熱処理と上述した酸化性ガス賦活処理とが重畳的に行われることになる。また、加熱処理による賦活処理と酸化性ガスを用いるガス賦活処理とを適宜組合わせて賦活することもでき、例えば、加熱処理による賦活処理に続けて、酸化性ガスを用いるガス賦活処理を続けて行うことも好ましい態様である。
本発明では、賦活して得られた多孔質炭素を、さらに、酸、水、および、有機溶剤よりなる群から選択される少なくとも1種で洗浄することも好ましい態様である。特にアルカリ金属水酸化物などで薬品賦活をした場合には、酸および/又は水による洗浄によって、多孔質炭素内に存在する未反応の賦活剤や反応の結果生じたアルカリ金属化合物(例えば、カリウム化合物)などを除去することが好ましい。また、洗浄をした多孔質炭素を乾燥することにより、多孔質炭素中に含まれる酸および/又は水を除去することも好ましい態様である。
賦活処理後の多孔質炭素には、有機溶剤可溶分が含まれている場合がある。この有機溶剤可溶分は、有機溶剤を電解液とする電気二重層キャパシタの分極性電極に多孔質炭素を使用する場合には、電解液中に溶け出す可能性があるので、予め除いておくことが好ましい。ただし、電気二重層キャパシタの電解液として、硫酸などの水系のものを使用する場合には、賦活処理して得られた多孔質炭素から必ずしも有機溶剤可溶分を除去する必要はない。上記目的で多孔質炭素から有機溶剤可溶分を除去するための有機溶剤としては、電気二重層キャパシタに使用される電解液を使用することが好ましい。また、有機溶剤による抽出または洗浄をした多孔質炭素を真空乾燥することにより、多孔質炭素中に含まれる有機溶剤を除去することも好ましい態様である。
本発明の製造方法において、前記洗浄後や賦活処理後の多孔質炭素を不活性ガス雰囲気下で熱処理することも好ましい態様である。多孔質炭素の表面の官能基量や電気伝導度などを調整できるからである。前記洗浄後や賦活処理後の熱処理としては、賦活直後の多孔質炭素を不活性ガス雰囲気下で熱処理する態様;賦活直後の多孔質炭素を、酸および/または水で洗浄した後、不活性ガス雰囲気下で熱処理する態様;賦活直後の多孔質炭素を有機溶剤で洗浄した後、不活性ガス雰囲気下で熱処理する態様;賦活直後の多孔質炭素を酸および/または水で洗浄して、不活性ガス雰囲気下で熱処理を行った後、さらに有機溶剤で洗浄して、不活性ガス雰囲気下で熱処理を行う態様などを挙げることができる。前記不活性ガスとしては、例えば、アルゴン、窒素、ヘリウムなどを使用することができる。また、前記熱処理温度は、特に限定されないが、好ましくは400℃以上1000℃以下である。
次に、本発明の多孔質炭素の特性について説明する。本発明の多孔質炭素は、例えば、上述した製造方法により得ることができる。しかしながら、本発明の多孔質炭素は、以下のような特徴を有し新規なものと考えられ、上述した本発明の製造方法により得られるものに限定されるものではない。
本発明の多孔質炭素は、BET比表面積が350m/g以上、より好ましくは400m/g以上であって、1450m/g以下、より好ましくは1300m/g以下、さらに好ましくは900m/g以下であることが望ましい。350m/g未満では、電気二重層キャパシタ用多孔質炭素として使用する際に、比表面積が小さすぎて静電容量が低下し、1450m/g超では、かさ密度や歩留が低下して体積当たりの静電容量が低下する場合があるからである。
また、本発明の多孔質炭素、特にガス賦活法により得られる多孔質炭素は、ミクロ孔とマクロ孔とがメソ孔領域で効率よく連通するような構造をとっているものと考えられ、ミクロ孔からマクロ孔までの細孔全体の有効利用率が格段に高くなっているものと考えられる。すなわち、本発明の多孔質炭素として好ましい態様は、窒素吸着法により細孔分布を測定し、縦軸をdV/dlog(D)(ここで、Vの単位はcc/gである)、横軸を細孔径D(Å)とした細孔分布図において、細孔径が30Å、40Å、及び、100ÅのときのdV/dlog(D)の値をそれぞれV30、V40、及び、V100としたときに、V100/V30が好ましくは0.5以上であり、より好ましくは0.8以上であり、さらに好ましくは0.9以上である。また、V100/V40が、好ましくは0.6以上であり、0.8以上であり、さらに好ましくは0.9以上である。V100/V30、及び、V100/V40を一定以上とすることによって、ミクロ孔とマクロ孔とがメソ孔領域で効率よく連通し、例えば、電気二重層キャパシタ用として使用した際には、電解液やイオン類などの多孔質炭素内部への拡散性が高くなり、その結果、イオンの吸着量が多くなって静電容量が高くなると考えられる。一方、V100/V30、及び、V100/V40が小さくなりすぎると、細孔径が20Å未満であるミクロ孔への通路となるようなメソ孔領域(特に細孔径が100Å)の細孔量の割合が小さくなるので、ミクロ孔を有効に活用できない虞がある。また、V100/V30、及び、V100/V40の上限は、特に限定されるものではないが、好ましくは2.0であり、より好ましくは1.5程度である。またV100を0.05以上、より好ましくは0.07以上、更に好ましくは0.08以上として、100Å近辺の細孔の絶対量を一定以上とすることも好ましい態様である。
尚、多孔質炭素の細孔分布は、マイクロメリティックス社製ASAP−2400の窒素吸着装置を使用して測定し、島津製作所解析ソフト中のBARRETT−JOYNER−HALENDA法(BJH法)で解析できる。
本発明の多孔質炭素の細孔容積およびその比率は、特に限定されるものではないが、例えば、細孔径が100Å以下の細孔容積に対して、細孔径20Å〜100Åの細孔容積比率が約5〜50%程度であり、細孔径10Å以下の細孔容積比率が約45%以上である。また、本発明の多孔質炭素の全細孔容積は、特に限定されるものではないが、0.2ml/g以上、より好ましくは0.4ml/g以上であることが望ましい。全細孔容積が0.2ml/g未満であると、電気二重層キャパシタ用多孔質炭素として使用する際に、静電容量が低下する虞があるからである。また、前記全細孔容積の上限も特に限定されるものではないが、1.5ml/g以下、より好ましくは1.0ml/g以下であることが望ましい。全細孔容積が1.5ml/gを超える場合には、体積当たり、或は、比表面積当たりの静電容量が低下する場合があるからである。上記多孔質炭素の細孔容積及び細孔容積比率は、マイクロメリティックス社製ASAP−2400の窒素吸着装置を使用して測定し、算出することができる。
本発明の多孔質炭素は、静電容量が極めて高い。すなわち、本発明の多孔質炭素は、質量当たりの静電容量が従来知られている値より飛躍的に大きく、また、電極密度も大きい傾向にあるため、体積当たりの静電容量が飛躍的に大きいという特徴を有する。特に、比表面積が従来より小さいにもかかわらず、静電容量が飛躍的に大きいことは特筆すべきことであり、多孔質炭素の比表面積当たりの静電容量が極めて大きいことを意味している。また、体積当たりの静電容量が最大となる賦活度、即ち比表面積が従来知られている値より小さい。これらのことは、本発明の多孔質炭素の表面が電気二重層形成に有利な化学構造を有し、更に製造時に静電容量に有効な細孔が選択的に作られていることを示唆している。
本発明の多孔質炭素としては、例えば、硫酸系電解液を用いて測定したときの単位BET比表面積当たりの静電容量が0.1F/m以上であることが好ましく、さらに好ましくは前記単位BET比表面積当たりの静電容量が0.15F/m以上である。斯かる静電容量の高い多孔質炭素は、電気二重層キャパシタ用多孔質炭素として好適だからである。尚、単位BET比表面積当たりの静電容量の上限は、特に限定されるものではないが、本発明によれば、0.7F/m程度、より具体的には、0.5F/m程度の多孔質炭素を作製できるものと考えられる。
上述の如く、本発明の多孔質炭素は、電気二重層キャパシタ用として好適であり、かかる多孔質炭素を使用して電気二重層キャパシタを作製すれば、静電容量が格別に高い電気二重層キャパシタが得られる。以下に、本発明の電気二重層キャパシタについて説明する。本発明の電気二重層キャパシタは、上述した本発明の製造方法により作製される電気二重層キャパシタ用多孔質炭素を分極性電極体として使用するものであれば、特に限定されない。
本発明の電気二重層キャパシタは、例えば、前記電気二重層キャパシタ用多孔質炭素を使用した分極性電極体を、セパレータを介して正極および負極として配置し(いずれの分極性電極体が正極または負極となっても良い)、前記正極および負極を電解液で浸すように構成される。このような構成の電気二重層キャパシタでは、例えば、前記電解液と電極との界面に電荷が蓄えられる。
前記多孔質炭素を使用した分極性電極体は、公知の方法により作製することができる。例えば、前記多孔質炭素を水或いは有機溶剤に分散させて得たスラリーを集電体に塗布した後、プレスして乾燥することにより得られる。また、必要に応じて、バインダーを使用してもよい。前記バインダーとしては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン共重合体などのフッ素系高分子化合物や、カルボキシメチルセルロース、スチレン−ブタジエンゴムやアクリロニトリル−ブタジエンゴム、石油ピッチ、フェノール樹脂等を使用することができる。前記バインダーの使用量は特に限定されるものではないが、多孔質炭素100質量部に対して1質量部以上、15質量部以下使用することが好ましい。
また、前記分極性電極体は、上記多孔質炭素、バインダーの他に、導電剤を含有してもよい。前記導電剤としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラックなどを使用できる。
本発明の電気二重層キャパシタで使用できる電解液は特に限定されないが、電気二重層キャパシタ用の公知の電解液を使用することができ、例えば、水系電解液、非水系(有機系)電解液、常温溶融塩などを挙げることができる。前記水系電解液としては、例えば、硫酸水溶液、水酸化カリウム水溶液などを使用できる。前記非水系(有機系)電解液としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、メチルエチルカーボネートなどの有機溶剤に過塩素酸の4級アンモニウム塩を溶解した電解液、4級アンモニウムやLiなどのアルカリ金属のBF塩やPF塩を溶解した電解液、4級ホスホニウム塩を溶解した電解液などを使用することができる。前記電気二重層キャパシタに使用されるセパレータも特に限定されないが、例えば、ガラス繊維、又は、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンを主成分とした不織布、クロス、微孔フィルムなどを使用できる。
以下、本発明を実施例によってより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
[硫酸系電解液を使用する場合の多孔質炭素の静電容量の測定方法]
実施例1〜5、7〜17、22〜27及び比較例1〜2、4〜6で得られた多孔質炭素について、以下の方法により電気二重層キャパシタの静電容量を測定した。まず、所定量(7g)の多孔質炭素に38質量%硫酸電解液を加えてペースト状になるまで混合し(添加量:多孔質炭素の質量の約1.0〜約1.2倍量)、それを3mm厚のゴム板に40mm×40mmの孔を空け、底側の片側に集電極となる炭素板を張り付けた凹状の型枠の中に入れた。同じ物をもうひとつ作り、セパレーターとなるろ紙を介して一対の多孔質炭素が向かい合う形で張り合わせ、電気二重層キャパシタの分極性電極とした。次に、両方の集電極にアドバンテスト社製TR−6143型充放電装置を用いて充電し、電圧が1Vに到達した後1時間保持してから100mAで定電流放電した。縦軸を電圧、横軸を時間にした充放電曲線を作り、放電時電圧0.4Vと0.2Vとの間の勾配の逆数から静電容量を求めた。
[有機系電解液を使用する場合の多孔質炭素の静電容量の測定方法]
(1)実施例6、及び、比較例3について
得られた多孔質炭素にテフロンバインダーとカーボンブラックを(多孔質炭素):(テフロンバインダー):(カーボンブラック)=8:1:1(質量比)になるように混合し、プレスにより直径30mm、厚さ0.5mmの円柱状電極に成形した。一対の円柱電極に電解液(1モルの(CNBFのプロピレンカーボネート溶液)を真空含浸させた後、ポリプロピレンセパレーターを介して張り合わせ、集電板で両側から挟んで電気二重層キャパシタを構成した。充電電圧2.5Vで30分間充電した後、10mAで放電した。放電開始から電圧0Vになるまでの放電曲線から電気二重層キャパシタに蓄積されたエネルギー(E)を求めて、それから重量当たりの静電容量を計算した。更に電極密度を用いて体積当たりの静電容量を求めた。
(2)実施例18〜21、及び、比較例7について
ポリプロピレンセパレータの代わりにセルロースを用いた以外は、実施例6、及び、比較例3と同様の方法により有機電解液系電気二重層キャパシタを作製した。充電電圧2.5Vで30分間充電した後10mAで放電し、放電時電圧2.0Vと1.5Vとの間の勾配の逆数から、重量当たりの静電容量を求めた。更に電極密度を用いて体積当たりの静電容量を求めた。
[抵抗値の測定方法]
放電開始直後の電圧降下(IRドロップ)より求めた。すなわち放電曲線の2.0〜1.0Vの直線部を放電開始時点まで外挿して求めた電圧を2.5Vから差し引いた電位差(V)を放電電流(A)で除して、抵抗(Ω)を求めた。
[サイクル特性測定方法]
作製した電気二重層キャパシタの両方の集電極にアドバンテスト社製TR−6143型充放電装置を用いて充電し、電圧が1Vに到達した後1時間保持してから100mAで0Vまで定電流放電した。縦軸を電圧、横軸を時間にした充放電曲線を作り、放電時電圧0.4Vと0.2Vとの間の勾配の逆数から静電容量を求めた。この充・放電操作を1〜3回繰返して、1回目の静電容量に対する2回目及び3回目の静電容量の比を求めて、サイクル特性を算出した。次いで、同様に充電して電圧が1Vに到達した後、20時間保持してから100mAで0Vまで定電流放電した後、上記と同様の方法により、サイクル特性を測定した。
[BET比表面積測定方法]
炭素質物質、及び、多孔質炭素のBET比表面積は、マイクロメリティックス社製ASAP−2400窒素吸着装置を用いて測った。
[X線回折測定方法]
Philips社製の装置PW1700を用いて測定した。線源:CuKα(波長=1.54Å)、出力:40kV30mA、走査軸:θ/2θ、測定モード:Continuous、測定範囲:2θ=3°〜70°、取り込み幅:0.05°、走査速度:3.0°/min
[ラマンスペクトル測定方法]
日本分光社製NR1800の装置を使用して+フォトメトリックス社製CCD(512チャンネル)で検出した。条件は、励起波長:5145Å、励起出力:5mW以下、スリット幅:400μm、ピーク強度:OMNICソフトを用いてスムージング(11点補正)後、1730〜1165cm−1 の範囲で直線ベースラインを引き、ピークトップまでの高さをピーク強度とした。尚、スムージングに用いたスペクトルとしては、測定を3回行って得られたスペクトルを平均したものを使用した。
[実施例1]
炭素含有化合物としてトルエンを、300Torr(40KPa)以下の減圧条件下で不完全燃焼させてスス状物質を得た。得られたスス状物質からトルエンを用いて、有機溶媒可溶分を除去して、炭素質物質を得た。得られた炭素質物質についてX線回折測定およびラマンスペクトル測定を行った結果をそれぞれ、図1及び図2に示した。図1より、前記炭素質物質は、回折角3〜30度の範囲で、最も強いピークが10〜18度の範囲に存在することが分かる。また、図2より、前記炭素質物質は、バンドG:1590±20cm−1とバンドD:1340±40cm−1にピークを有し、ピーク強度I(G)及びI(D)はそれぞれ、18.8、及び、17.8であり、そのピーク強度比I(D)/I(G)は、0.95であることが分かる。
続いて、有機溶媒可溶分を除去した上記炭素質物質に、無水基準で[KOH/炭素質物質]質量比が2.0となるよう水酸化カリウム(岸田化学社製試薬特級、含水率15%)を加えて混合し、窒素雰囲気下で800℃まで加熱した後、常温まで放冷した。被熱処理物に希塩酸を加えて煮沸後、ろ過して多孔質炭素を分離し、それに更に脱イオン水を加えて煮沸後、ろ過して多孔質炭素を分離して乾燥した。最終的に得られた多孔質炭素の歩留は74%であり、BET比表面積は580m/gであった。尚、以下の例において、特別に言及しない場合には、『歩留』は、使用した炭素質物質(賦活のための加熱処理前の炭素質物質)の質量に対する得られた多孔質炭素の質量の割合である。得られた多孔質炭素の静電容量を測定した結果、多孔質炭素の質量当たりの静電容量は129F/gであった。電極密度(0.67g/ml)を用いて求めた体積当たりの静電容量は86F/mlであった。
尚、前記スス状物質から有機溶媒可溶分を除去した炭素質物質のBET比表面積は、140m/gであり、実質的に静電容量は測定できなかった。
[実施例2]
無水基準で[KOH/炭素質物質]質量比が1.0となるように賦活処理をした以外は実施例1と同様にして多孔質炭素を製造した。得られた多孔質炭素のBET比表面積は650m/gであり、滴定法により求めた官能基量は0.9meq/gであった。また、質量当たりの静電容量は117F/gであった。電極密度(0.71g/ml)より求めた体積当たりの静電容量は、83F/mlであった。
[実施例3]
実施例2で得られた多孔質炭素を更に窒素雰囲気下で600℃に熱処理したところ、多孔質炭素のBET比表面積は670m/g、官能基量は0.2meq/g、質量当たりの静電容量は122F/gとなった。電極密度(0.66g/ml)によって求めた体積当たりの静電容量は、80F/mlであった。
[実施例4]
無水基準で[KOH/炭素質物質]質量比を0.3とし、水酸化カリウムを水溶液の状態で加えて混合して賦活処理をした以外は実施例1と同様にして多孔質炭素を製造した。歩留は93%であった。得られた多孔質炭素のBET比表面積は430m/gであり、質量当たりの静電容量は92F/gであった。電極密度(0.68g/ml)を用いて求めた体積当たりの静電容量は63F/mlであった。
[実施例5]
無水基準で[KOH/炭素質物質]質量比を0.5とし、水酸化カリウムを水溶液の状態で加えて混合し、さらに、窒素雰囲気で700℃まで加熱して賦活処理をした以外は実施例1と同様にして多孔質炭素を製造した。得られた多孔質炭素のBET比表面積は440m/g、全細孔容積は0.3ml/gであり、質量当たりの静電容量は121F/gであった。電極密度(0.87g/ml)より求めた体積当たりの静電容量は98F/mlであった。
[実施例6]
実施例2で得たBET比表面積が650m/gの多孔質炭素にトルエンを加えて撹拌した後、ろ過して分離した多孔質炭素を真空乾燥してトルエン可溶分を除いた多孔質炭素を得た。得られた多孔質炭素を使用して、有機電解液系電気二重層キャパシタを作製し、静電容量を求めた。その結果、得られた多孔質炭素のBET比表面積は640m/gであり、体積当たりの静電容量は、16F/mlであった。
[実施例7]
実施例1で用いた炭素質物質を小型のロータリーキルンに入れて、窒素雰囲気下950℃に昇温して30分間保持した後、該温度において、炭酸ガス雰囲気下で120分保持して賦活処理を行い多孔質炭素を製造した。得られた多孔質炭素のBET比表面積は1120m/g、全細孔容積は0.8ml/gであり、質量当たりの静電容量は104F/gであった。
[実施例8]
前記温度を850℃とした以外は実施例7と同様にして賦活処理を行った。酸化性ガスによる賦活直前の炭素質物質に対する歩留は、92%であった。また、得られた多孔質炭素のBET比表面積は450m/g、全細孔容積は0.4ml/gであり、質量当たりの静電容量は105F/gであった。また、電極密度(0.58g/ml)から求めた体積当たりの静電容量は61F/mlであった。
[実施例9]
炭酸ガス雰囲気下で60分保持した以外は実施例7と同様にして賦活処理を行って多孔質炭素を製造した。得られた多孔質炭素のBET比表面積は740m/gであり、質量当たりの静電容量は124F/gであった。
[実施例10]
実施例1で用いた炭素質物質を小型のロータリーキルンに入れて、窒素雰囲気下で900℃に昇温した後、水蒸気/窒素=50/50(体積比)の雰囲気下で30分間保持して賦活処理を行った。その後再び窒素雰囲気下で放冷して、多孔質炭素を製造した。酸化性ガスによる賦活直前の炭素質物質に対する歩留は88%であった。得られた多孔質炭素のBET比表面積は570m/gであり、質量当たりの静電容量は111F/gであった。電極密度(0.50g/ml)から求めた体積当たりの静電容量は56F/mlであった。
[実施例11]
実施例1で得られた上記炭素質物質を小型のロータリーキルンに入れて、窒素雰囲気下950℃に昇温した後、該温度において、水蒸気/窒素=29/71(体積比)の雰囲気下で60分間保持して賦活処理を行い多孔質炭素を製造した。
別途、加熱処理前の炭素質物質に対する窒素雰囲気下で950℃に昇温(加熱処理)した後であって、酸化性ガスによる賦活直前の炭素質物質の歩留を求めたところ、94質量%であった。さらに、酸化性ガスによる賦活直前の炭素質物質に対する得られた多孔質炭素の歩留を求めたところ77質量%であった。得られた多孔質炭素のBET比表面積は995m/gであり、質量当たりの静電容量は108F/gであった。また、抵抗値は0.9Ωであった。
[実施例12]
実施例1で得られた上記炭素質物質を小型のロータリーキルンに入れて、窒素雰囲気下950℃に昇温した後、該温度において、水蒸気/窒素=11/89(体積比)の雰囲気下で賦活処理を行い多孔質炭素を製造した。酸化性ガスによる賦活直前の炭素質物質に対する歩留は81質量%であった。得られた多孔質炭素のBET比表面積は970m/gであり、質量当たりの静電容量は113F/gであった。
[実施例13]
実施例1で得られた上記炭素質物質を小型のロータリーキルンに入れて、窒素雰囲気下950℃に昇温した後、該温度において、水蒸気/窒素=29/71(体積比)の雰囲気下で賦活処理を行い多孔質炭素を製造した。酸化性ガスによる賦活直前の炭素質物質に対する歩留は86質量%であった。得られた多孔質炭素のBET比表面積は840m/gであり、質量当たりの静電容量は122F/gであった。
[実施例14]
実施例1で得られた上記炭素質物質を小型のロータリーキルンに入れて、窒素雰囲気下950℃に昇温した後、該温度において、水蒸気/窒素=11/89(体積比)の雰囲気下で賦活処理を行い多孔質炭素を製造した。酸化性ガスによる賦活直前の炭素質物質に対する歩留は88質量%であった。得られた多孔質炭素のBET比表面積は870m/g、全細孔容積は0.7ml/gであり、質量当たりの静電容量は120F/gであった。また、抵抗値は1.2Ωであった。
[実施例15]
実施例1で得られた上記炭素質物質を小型のロータリーキルンに入れて、窒素雰囲気下900℃に昇温した後、該温度において、水蒸気/窒素=11/89(体積比)の雰囲気下で30分間保持して、賦活処理を行い多孔質炭素を製造した。加熱処理前の炭素質物質に対する900℃昇温後であって酸化性ガスによる賦活直前の炭素質物質の歩留は94質量%であった。さらに、酸化性ガスによる賦活直前の炭素質物質に対する得られた多孔質炭素の歩留を求めたところ93質量%であった。また、得られた多孔質炭素のBET比表面積は460m/gであり、質量当たりの静電容量は126F/gであった。
[実施例16]
実施例1で得られた上記炭素質物質を小型のロータリーキルンに入れて、窒素雰囲気下950℃に昇温した後、該温度において、水蒸気/窒素=6/94(体積比)の雰囲気下で賦活処理を行い多孔質炭素を製造した。酸化性ガスによる賦活直前の炭素質物質に対する歩留は95質量%であった。得られた多孔質炭素のBET比表面積は710m/g、全細孔容積は0.4ml/gであり、質量当たりの静電容量は148F/gであった。また、抵抗値は、2.3Ωであった。
[実施例17]
実施例1で得られた上記炭素質物質を小型のロータリーキルンに入れて、炭酸ガス雰囲気下で950℃に昇温した後、該温度において、60分間保持して賦活処理を行い多孔質炭素を得た。酸化性ガスによる賦活直前の炭素質物質に対する歩留は94質量%であった。得られた多孔質炭素のBET比表面積は690m/gであり、質量当たりの静電容量は154F/gであった。また、抵抗値は、2.5Ωであった。
[実施例18]
実施例1で得られた上記炭素質物質を小型のロータリーキルンに入れて、窒素雰囲気下900℃に昇温した後、該温度において、水蒸気/窒素=11/89(体積比)の雰囲気下で60分間保持して、賦活処理を行い多孔質炭素を製造した。酸化性ガスによる賦活直前の炭素質物質に対する歩留は97質量%であり、得られた多孔質炭素のBET比表面積は700m/gであった。得られた多孔質炭素を有機溶剤で洗浄することなく使用し、有機電解液系電気二重層キャパシタを作製し、静電容量および抵抗値を測定した。その結果、得られた質量当たりの静電容量は17F/gであり、抵抗値は82Ωであった。
[実施例19]
実施例1で得られた上記炭素質物質を小型のロータリーキルンに入れて、窒素雰囲気下950℃に昇温した後、該温度において、水蒸気/窒素=11/89(体積比)の雰囲気下120分間保持して、賦活処理を行い多孔質炭素を製造した。酸化性ガスによる賦活直前の炭素質物質に対する歩留は79質量%であり、得られた多孔質炭素のBET比表面積は990m/g、全細孔容積は0.5ml/gであった。得られた多孔質炭素を有機溶剤で洗浄することなく使用し、有機電解液系電気二重層キャパシタを作製し、静電容量および抵抗値を測定した。その結果、得られた質量当たりの静電容量は26F/gであり、抵抗値は18Ωであった。
[実施例20]
実施例1で得られた上記炭素質物質を小型のロータリーキルンに入れて、窒素雰囲気下950℃に昇温した後、該温度において、水蒸気/窒素=11/89(体積比)の雰囲気下で賦活処理を行い多孔質炭素を製造した。酸化性ガスによる賦活直前の炭素質物質に対する歩留は66質量%であり、得られた多孔質炭素のBET比表面積は1300m/gであった。得られた多孔質炭素を有機溶剤で洗浄することなく使用し、有機電解液系電気二重層キャパシタを作製し、静電容量および抵抗値を測定した。その結果、得られた質量当たりの静電容量は28F/gであり、抵抗値は8Ωであった。
[実施例21]
実施例1で得られた上記炭素質物質を小型のロータリーキルンに入れて、窒素雰囲気下950℃に昇温した後、該温度において、水蒸気/窒素=11/89(体積比)の雰囲気下で賦活処理を行い多孔質炭素を製造した。酸化性ガスによる賦活直前の炭素質物質に対する歩留は46質量%であり、また、得られた多孔質炭素のBET比表面積は1450m/gであり、全細孔容積は1.0ml/gであった。得られた多孔質炭素を有機溶剤で洗浄することなく使用し、有機電解液系電気二重層キャパシタを作製し、静電容量および抵抗値を測定した。その結果、得られた質量当たりの静電容量は28F/gであり、抵抗値は5Ωであった。
[実施例22]
実施例1で得られた上記炭素質物質を小型のロータリーキルンに入れて、100%窒素雰囲気下において、昇温速度10℃/分で700℃まで昇温し、その後放冷して、多孔質炭素を製造した。加熱処理前の炭素質物質に対する加熱処理後の多孔質炭素の歩留は、95質量%であり、また、得られた多孔質炭素の全細孔容積は0.2ml/gであった。得られた多孔質炭素について、(硫酸電解液系)静電容量及び抵抗値を測定し、その結果を表4に示した。
[実施例23]
実施例1で得られた上記炭素質物質を小型のロータリーキルンに入れて、100%窒素雰囲気下において、昇温速度10℃/分で800℃まで昇温し、その後放冷して、多孔質炭素を製造した。加熱処理前の炭素質物質に対する加熱処理後の多孔質炭素の歩留は、95質量%であり、また、得られた多孔質炭素の全細孔容積は0.2ml/gであった。得られた多孔質炭素について、(硫酸電解液系)静電容量及び抵抗値を測定し、その結果を表4に示した。
[実施例24]
実施例1で得られた上記炭素質物質を小型のロータリーキルンに入れて、100%窒素雰囲気下において、昇温速度10℃/分で950℃まで昇温し、その後放冷して、多孔質炭素を製造した。加熱処理前の炭素質物質の質量に対する加熱処理後の多孔質炭素の歩留は、94質量%であった。得られた多孔質炭素について、(硫酸電解液系)静電容量、抵抗値、及び、BET比表面積を測定した。その結果を表4に示した。
[実施例25]
実施例1で得られた上記炭素質物質を箱型焼成炉に入れて、100%窒素雰囲気下において、昇温速度10℃/分で1050℃まで昇温し、該温度で2時間保持し、その後放冷して、多孔質炭素を製造した。加熱処理前の炭素質物質に対する加熱処理後の多孔質炭素の歩留は、94質量%であった。得られた多孔質炭素について、(硫酸電解液系)静電容量、抵抗値、及び、BET比表面積を測定した。その結果を表4に示した。
[実施例26]
実施例1で得られた上記炭素質物質を箱型焼成炉に入れて、100%窒素雰囲気下において、昇温速度10℃/分で1350℃まで昇温し、該温度で2時間保持し、その後放冷して、多孔質炭素を製造した。加熱処理前の炭素質物質に対する加熱処理後の多孔質炭素の歩留は、94質量%であった。得られた多孔質炭素について、(硫酸電解液系)静電容量及び抵抗値、及び、BET比表面積を測定した。その結果を表4に示した。
[実施例27]
実施例1で得られた上記炭素質物質を小型のロータリーキルンに入れて、100%窒素雰囲気下において昇温速度10℃/分で950℃に昇温した後、該温度において50分保持し、その後放冷して、多孔質炭素を製造した。加熱処理前の炭素質物質の質量に対する加熱処理後の多孔質炭素の歩留は、93質量%であった。得られた多孔質炭素について、(硫酸電解液系)静電容量及び抵抗値を測定した。その結果を表4に示した。
[比較例1]
実施例1で使用した炭素質物質の代わりに、紙基材フェノール樹脂積層板を粉砕して窒素雰囲気下で炭化処理した炭素質物質を使用した以外は実施例1と同様にして多孔質炭素を製造した。得られた多孔質炭素のBET比表面積は1810m/g、官能基量は0.4meq/g、質量当たりの静電容量は79F/gであった。電極密度(0.53g/ml)から算出した体積当たりの静電容量は42F/mlであった。
[比較例2]
実施例1で使用した炭素質物質の代わりに、紙基材フェノール樹脂積層板を粉砕して窒素雰囲気下で炭化処理した炭素質物質を使用し、無水基準で[KOH/炭素質物質]質量比が2.2となるように賦活処理をした以外は、実施例1と同様にして多孔質炭素を製造した。得られた多孔質炭素のBET比表面積は2050m/gであり、質量当たりの静電容量は87F/gであった。電極密度(0.48g/ml)から求めた体積当たりの静電容量は42F/mlであった。
[比較例3]
実施例6で使用した炭素質物質の代わりに、紙基材フェノール樹脂積層板を粉砕して窒素雰囲気下で炭化処理した炭素質物質を使用し、かつ得られた多孔質炭素を(トルエン可溶分を除く操作なしに)そのまま使用して、有機電解液系電気二重層キャパシタを作製した以外は実施例6と同様にして静電容量を求めた。その結果、多孔質炭素のBET比表面積は1330m/gであり、体積当たりの静電容量は、13F/mlであった。
[比較例4]
実施例7で使用した炭素質物質の代わりに、紙基材フェノール樹脂積層板を粉砕して窒素雰囲気下で炭化処理した炭素質物質を使用した以外は実施例7と同様にして多孔質炭素を製造した。得られた多孔質炭素のBET比表面積は1740m/gであり、質量当たりの静電容量は70F/gであった。
[比較例5]
実施例8で使用した炭素質物質の代わりに、紙基材フェノール樹脂積層板を粉砕して窒素雰囲気下で炭化処理した炭素質物質を用いた以外は実施例8と同様にして多孔質炭素を製造した。得られた多孔質炭素のBET比表面積は880m/gであり、質量当たりの静電容量は65F/gであった。
[比較例6]
実施例10で使用した炭素質物質の代わりに、紙基材フェノール樹脂積層板を粉砕して窒素雰囲気下で炭化処理した炭素質物質を使用した以外は実施例10と同様にして多孔質炭素を製造した。歩留まり82.0%であった。得られた多孔質炭素のBET比表面積は710m/gであり、質量当たりの静電容量は50F/gであった。
[比較例7]
BET比表面積が1230m/gの市販の活性炭を使用して、有機電解液系電気二重層キャパシタを作製し、静電容量および抵抗値を測定した。その結果、得られた質量当たりの静電容量は13F/gであり、抵抗値は7Ωであった。
実施例1〜10および比較例1〜6で得られた多孔質炭素の性状を表1に、実施例11〜17の結果を表2に、実施例18〜21及び比較例7の結果を表3に、実施例22〜27の結果を表4に、それぞれ示した。また、実施例11の多孔質炭素について、サイクル特性を測定した結果を表5にまとめた。
Figure 2005200259
表1から明らかなように、本発明の製造方法により得られた多孔質炭素は、単位質量当たり、単位体積当たり、或いは、単位比表面積当たりの静電容量が極めて高いことが分かる。尚、有機系電解液を使用した場合の単位比表面積当たりの静電容量が、硫酸系電解液を使用した場合に比べて小さくなっているのは、電解液中のイオンの大きさの影響などによるものと考えられ、有機系電解液を使用した実施例6と比較例3とを比較すると本発明の製造方法により得られた多孔質炭素の単位比表面積当たりの静電容量が高いことが分かる。
このようなBET比表面積が1450m/g以下、より好ましくは1300m/g以下、さらに好ましくは900m/g以下であって、硫酸系電解液を用いて測定したときの単位BET比表面積当たりの静電容量が0.1F/m以上であるという多孔質炭素も新規なものであると考えられ、かかる多孔質炭素も本発明の好ましい態様である。このような多孔質炭素を使用して電気二重層キャパシタを作製すれば、静電容量が格別に高い電気二重層キャパシタが得られる。
Figure 2005200259
表2には、炭酸ガス、及び、水蒸気を用いてガス賦活した多孔質炭素を分極性電極体として用い、硫酸系電解液を使用する電気二重層キャパシタを作製した場合について、得られた多孔質炭素の歩留と静電容量などの特性との関係をまとめた。表2より、賦活の度合を軽くして、歩留を高くすることによって、単位質量当たりの静電容量が高くなることが分かる。特に、歩留を90質量%以上とすることによって、単位質量当たりの静電容量は極めて高くなることが分かった。
Figure 2005200259
表3には、水蒸気を用いてガス賦活した多孔質炭素を分極性電極体として用い、有機系電解液を使用する電気二重層キャパシタに使用した場合について、得られた多孔質炭素の歩留と静電容量、抵抗値などの特性との関係をまとめた。表3より、有機系電解液を使用する電気二重層キャパシタ用多孔質炭素をガス賦活法にて製造する場合、賦活の度合を高くして、歩留を低くすることによって、単位質量当たりの静電容量を低下させることなく、キャパシタの抵抗値を低下させることができた。実施例18〜21の多孔質炭素はいずれも、有機溶剤可溶分を除去することなく使用したにもかかわらず、優れた性能を有する電気二重層キャパシタが得られた。
Figure 2005200259
表4より、炭素質物質を不活性雰囲気下で加熱処理するのみで、そのBET比表面積が増大して、炭素質物質が賦活されていることが分かる。得られた多孔質炭素のBET比表面積はいずれも、350m/g以上であり、その静電容量も高く実用レベルであった。また、加熱処理のみを施して得られる多孔質炭素は、炭素質物質を酸化性ガスで高度に賦活する態様よりやや抵抗値の低い多孔質炭素が得られた。
Figure 2005200259
表5より、本発明の多孔質炭素は、充放電を繰返しても、静電容量が低下せず、サイクル特性にも優れていることが分かる。
[多孔質炭素の細孔構造]
表6には、実施例1〜27のうち代表的なものについて、窒素吸着法によって測定した細孔分布の測定結果を、表7には、比較例1〜6について、窒素吸着法によって測定した細孔分布の測定結果をまとめた。
Figure 2005200259
表6より、実施例5、7〜12、14〜17、19、21〜27に記載された多孔質炭素はいずれも、窒素吸着法による細孔分布図(縦軸:dV/dlog(D)、横軸:細孔径D(Å))におけるV100/V30が0.5以上であり、V100/V40が0.6以上であることが分かる。この結果より、本発明の多孔質炭素は、ミクロ孔とマクロ孔とがメソ孔領域で効率よく連通するような構造をとっているものと考えられ、ミクロ孔からマクロ孔までの細孔全体の有効利用率が格段に高くなっているものと考えられる。
Figure 2005200259
一方、比較例1〜3、及び比較例5および6の多孔質炭素はいずれも、V100/V30、及び、V100/V40が小さくなり、ミクロ孔を有効に活用できない虞がある。また、比較例5の多孔質炭素のV100/V30、及び、V100/V40が大きくなっているが、比表面積が1740と大きすぎるため、電気二重層キャパシタ用として使用する際の比表面積当たりの静電容量が著しく低くなった。
図3には、本発明の多孔質炭素(実施例7及び14)と従来の多孔質炭素(比較例1)の細孔分布を窒素吸着法により測定した結果を示した。図3に示しように、本発明の多孔質炭素は、細孔径が30Å〜100Åの領域において、dV/dlog(D)の低下が少なく、その結果、ミクロ孔からマクロ孔までが効率よく連通して、細孔全体の有効利用率が高くなっているものと考えられる。一方、従来の多孔質炭素では、細孔径が100Åに近づくにつれて、dV/dlog(D)が小さくなり、ミクロ孔への通路となるような細孔の割合が少なく、ミクロ孔を有効に活用できないものと考えられる。また、図4には、本発明の多孔質炭素の細孔分布(実施例1)と従来の多孔質炭素(比較例1)の細孔分布を窒素吸着法により測定した結果を示した。図3及び図4に示すように、本発明の多孔質炭素には、1〜10nm付近の細孔が比較的万遍なく存在していることがわかる。
本発明によれば、極めて高い静電容量を有する多孔質炭素が得られるので、電気二重層キャパシタなどの分野で好適に適用できる。また、本発明によれば、特異的な細孔構造を有する多孔質炭素が得られ、かかる多孔質炭素は、吸着剤としても利用可能と考えられる。
本発明で使用する炭素質物質のX線回折パターンを例示するグラフ 本発明で使用する炭素質物質のラマンスペクトルを例示するグラフ 本発明及び従来の多孔質炭素の細孔分布を例示するグラフ 本発明及び従来の多孔質炭素の細孔分布を例示するグラフ

Claims (38)

  1. 炭素含有化合物を減圧下で不完全燃焼させて得たスス状物質から有機溶媒可溶分を除去して得た炭素質物質をアルカリ金属化合物で賦活することを特徴とする多孔質炭素の製造方法。
  2. CuKα線(波長=1.54Å)を用いた広角X線回折によって、回折角3〜30度の範囲内で、最も強いピークが10〜18度の範囲に存在する炭素質物質をアルカリ金属化合物で賦活することを特徴とする多孔質炭素の製造方法。
  3. 前記炭素質物質は、さらに、励起波長5145Åでのラマンスペクトル解析においてバンドG1590±20cm−1とバンドD1340±40cm−1にピークを有し、それぞれのバンドのピーク強度をI(G)及びI(D)としたときに、ピーク強度比I(D)/I(G)が0.4〜1.0である請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記賦活処理は、前記炭素質物質と前記アルカリ金属化合物とを混合して、熱処理することにより行われるものである請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記アルカリ金属化合物は、アルカリ金属水酸化物である請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記アルカリ金属水酸化物は、水酸化カリウムである請求項5に記載の製造方法。
  7. 前記賦活処理によって得られた多孔質炭素を、さらに酸、水および有機溶剤よりなる群から選択される少なくとも1種で洗浄する請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 前記賦活処理または前記洗浄処理後に得られた多孔質炭素を熱処理する請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 前記多孔質炭素のBET比表面積は、350〜1300m/gである請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
  10. 前記多孔質炭素のBET比表面積は、400〜900m/gである請求項9に記載の製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法によって得られる多孔質炭素。
  12. 炭素含有化合物を減圧下で不完全燃焼させて得たスス状物質から有機溶媒可溶分を除去して得た炭素質物質を賦活することを特徴とする電気二重層キャパシタ用多孔質炭素の製造方法。
  13. 前記炭素含有化合物は、芳香族炭化水素である請求項12に記載の製造方法。
  14. CuKα線(波長=1.54Å)を用いた広角X線回折によって、回折角3〜30度の範囲内で、最も強いピークが10〜18度の範囲に存在する炭素質物質を賦活することを特徴とする電気二重層キャパシタ用多孔質炭素の製造方法。
  15. 前記炭素質物質は、さらに、励起波長5145Åでのラマンスペクトル解析においてバンドG1590±20cm−1とバンドD1340±40cm−1にピークを有し、それぞれのバンドのピーク強度をI(G)及びI(D)としたときに、ピーク強度比I(D)/I(G)が0.4〜1.0である請求項14に記載の製造方法。
  16. 前記賦活処理は、前記炭素質物質とアルカリ金属化合物とを混合し、熱処理することにより行われるものである請求項12〜15のいずれかに記載の製造方法。
  17. 前記アルカリ金属化合物は、アルカリ金属水酸化物である請求項16に記載の製造方法。
  18. 前記アルカリ金属水酸化物は、水酸化カリウムである請求項17に記載の製造方法。
  19. 前記賦活処理は、前記炭素質物質を750℃以上で酸化性ガスと接触させることにより行われるものである請求項12〜15のいずれかに記載の製造方法。
  20. 前記電気二重層キャパシタは、硫酸系電解液を使用するものであって、前記炭素質物質を酸化性ガスで軽度に賦活して、下記式で表される歩留を75質量%以上にする請求項19に記載の製造方法。
    歩留(質量%)=100×(酸化性ガスによる賦活直後の多孔質炭素の質量)/(酸化性ガスによる賦活直前の炭素質物質の質量)
  21. 前記電気二重層キャパシタは、有機系電解液を使用するものであって、前記炭素質物質を酸化性ガスで高度に賦活して、下記式で表される歩留を88質量%以下にする請求項19に記載の製造方法。
    歩留(質量%)=100×(酸化性ガスによる賦活直後の多孔質炭素の質量)/(酸化性ガスによる賦活直前の炭素質物質の質量)
  22. 前記賦活処理は、前記炭素質物質を750℃から1350℃で加熱処理することにより行われるものである請求項12〜15のいずれかに記載の製造方法。
  23. 前記加熱処理は、不活性雰囲気下で行われるものである請求項22に記載の製造方法。
  24. 前記賦活処理によって得られた多孔質炭素を、さらに酸、水、および、有機溶剤よりなる群から選択される少なくとも1種で洗浄する請求項12〜23のいずれかに記載の製造方法。
  25. 前記賦活処理または前記洗浄処理後に得られた多孔質炭素を熱処理する請求項12〜24のいずれかに記載の製造方法。
  26. 前記多孔質炭素のBET比表面積は、350〜1450m/gである請求項12〜25のいずれかに記載の製造方法。
  27. 前記多孔質炭素のBET比表面積は、350〜900m/gである請求項20に記載の製造方法。
  28. 前記多孔質炭素のBET比表面積は、700〜1450m/gである請求項21に記載の製造方法。
  29. 請求項12〜28のいずれかに記載の製造方法によって得られる電気二重層キャパシタ用多孔質炭素。
  30. 請求項29に記載の電気二重層キャパシタ用多孔質炭素を分極性電極体として使用することを特徴とする電気二重層キャパシタ。
  31. BET比表面積が1450m/g以下で、窒素吸着法により測定した細孔分布図(縦軸:dV/dlog(D)、横軸:細孔径D(Å))において、細孔径が30Å、40Å、及び、100ÅのときのdV/dlog(D)の値をそれぞれV30、V40、及び、V100としたときに、0.5≦V100/V30であり、かつ、0.6≦V100/V40であることを特徴とする多孔質炭素。
  32. 0.8≦V100/V30≦1.5であり、かつ、0.8≦V100/V40≦1.5である請求項31に記載の多孔質炭素。
  33. 0.05≦V100である請求項31又は32に記載の多孔質炭素。
  34. 硫酸系電解液を用いて測定したときの単位BET比表面積当たりの静電容量が0.1F/m以上である請求項31〜33のいずれかに記載の多孔質炭素。
  35. BET比表面積が1450m/g以下で、硫酸系電解液を用いて測定したときの単位BET比表面積当たりの静電容量が0.1F/m以上であることを特徴とする多孔質炭素。
  36. 前記BET比表面積は、350m/g以上である請求項31〜35のいずれかに記載の多孔質炭素。
  37. BET比表面積が400〜900m/gである請求項31〜35のいずれかに記載の多孔質炭素。
  38. 請求項31〜37のいずれかに記載の多孔質炭素を分極性電極体として使用することを特徴とする電気二重層キャパシタ。
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