JP2005195811A5 - - Google Patents

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積層複屈折フィルム、それを用いた液晶パネルおよび液晶表示装置
本発明は、積層複屈折フィルム、それを用いた液晶パネルおよび液晶表示装置に関する。
従来、液晶表示装置において、表示画面の視野角を補償し、表示特性を改善するために、様々な位相差フィルムが使用されている。そして近年では、例えば、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル等の非液晶性ポリマーから形成された位相差フィルムが実用化されている(例えば、特許文献1参照。)。このような非液晶性ポリマーは、ポリマー自身の性質により、基板等に塗工するのみで厚み方向の位相差が発生するため、従来の位相差フィルムよりも極めて薄く、また光学特性を調整しやすいという優れた性質を有する。しかしながら、このような位相差フィルムには以下のような問題があった。すなわち、前記位相差フィルムは、通常、溶剤に溶かした非液晶性ポリマーを、例えば、SUSベルト、銅薄板、ガラス、Siウエハ等との無機化合物製の基板上に塗工してフィルム化することによって負の複屈折層を形成し、さらに、前記複屈折層を前記基板から剥離し、その複屈折層の光学特性を妨害しない別の基板に転写することによって製造される(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5参照。)。このように、従来の製造方法では転写が必要であるため、作業の工程数が増加し、それに伴って歩留まりの低下、外観均一性の悪化等といった種々の問題が生じているのである。
特開2000−190385号公報 米国特許第5,344,916号 米国特許第5,395,918号 米国特許第5,480,964号 米国特許第5,580,950号
前述のような問題を回避するために、溶剤に溶かしたポリイミドを透明高分子フィルム等の基板に直接塗工し、その基板上に複屈折層を直接形成し、この積層体をそのまま積層複屈折フィルムとして使用する方法が新たに見出されている(別途出願中)。しかし、このように基板上に複屈折層が直接形成された積層複屈折フィルムは、例えば、透明高分子フィルムの亀裂、破断等による同フィルムの劣化、同フィルムの寸法および重量等の変動、同フィルムの白濁化、透過率の低下等が生じるおそれがある。
そこで、本発明は、透明性等の外観性に優れ、かつ、光学特性、特に優れた透過率や大きな厚み方向の位相差を実現できる積層複屈折フィルムおよびその製造方法の提供を目的する。
前記目的を達成するために、本発明の積層複屈折フィルムは、透明高分子フィルムと複屈折層とを含む積層複屈折フィルムであって、
前記複屈折層が、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミド−イミドおよびポリエステルイミドからなる群から選択される少なくとも一つのポリマーを含み、
前記透明高分子フィルム上にポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂およびポリエチレンイミン系樹脂からなる群から選択される少なくとも一つを含むバリア層が直接形成され、さらに前記バリア層上に前記複屈折層が直接形成されていることを特徴とする。
また、本発明の積層複屈折フィルムの製造方法は、透明高分子フィルムと複屈折層とを含む積層複屈折フィルムの製造方法であって、
複屈折材料が、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミド−イミドおよびポリエステルイミドからなる群から選択される少なくとも一つを含み、
前記透明高分子フィルム上に、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂およびポリエチレンイミン系樹脂からなる群から選択される少なくとも一つを含むバリア層形成材料を含む塗工液を直接塗工し、固定化することによって前記透明高分子フィルム上にバリア層を形成する工程と、さらに、前記バリア層上に前記複屈折材料を溶剤に溶解した溶液を直接塗工し、固定化することによって前記バリア層上に前記複屈折層を形成する工程を含む製造方法である。
本発明者等は、前記目的を達成するために、まず、透明高分子フィルムの白濁化、透過率の低下等といった問題を引き起こす原因を解明すべく、一連の研究を重ねた。その結果、前述のように、ポリイミド等の溶液を透明高分子フィルムに直接塗工すると、前記溶液中の溶剤が前記透明高分子フィルム表面から侵食し、前記透明高分子フィルムが部分的に溶解若しくは膨潤することを突き止めた。そして、このために前記透明高分子フィルムと前記複屈折層との界面が粗くなり、前記透明高分子フィルムの白濁化、透過率の低下等といった問題を引き起こしていることを見出し、本発明に到達した。つまり、本発明のように透明高分子フィルム上にポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂およびポリエチレンイミン系樹脂からなる群から選択される少なくとも一つを含むバリア層を形成しておけば、前記透明高分子フィルムに前記溶液中の溶剤が前記透明高分子フィルムへ侵食することがないため、透明性等の外観性に優れ、かつ、光学特性、特に優れた透過率を実現できる積層複屈折フィルムが得られるのである。このため、本発明の積層複屈折フィルムを各種画像表示装置に適用すれば、優れた表示特性を実現できる。なお、このような積層複屈折フィルムは、例えば、前記本発明の製造方法によって容易に製造できる。
本発明の積層複屈折フィルムは、前述のように、透明高分子フィルムと複屈折層とを含む積層複屈折フィルムであって、
前記複屈折層が、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミド−イミドおよびポリエステルイミドからなる群から選択される少なくとも一つのポリマーを含み、
前記透明高分子フィルム上にポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂およびポリエチレンイミン系樹脂からなる群から選択される少なくとも一つを含むバリア層が直接形成され、さらに前記バリア層上に前記複屈折層が直接形成されていることを特徴とする。
本発明の積層複屈折フィルムを、図面を用いて説明する。図1は、本発明の積層複屈折フィルムを示す断面図である。図1に示すように、積層複屈折フィルム1は、前記透明高分子フィルム13上にバリア層12を介して複屈折層11が直接形成された3層構造の積層複屈折フィルムである。
前記バリア層形成材料としては、各種溶剤に溶解しにくいポリマーであり、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂およびポリエチレンイミン系樹脂があげられる。その中でも、ポリウレタン樹脂が好ましく、具体的には、ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂、ポリカーボネート系ウレタン樹脂等があげられ、より好ましくは、ポリエステル系ウレタン樹脂である。このような材料から形成されたバリア層は、前述のように、複屈折材料を溶解した溶剤の透明高分子フィルムへの侵食を防ぐだけでなく、前記透明高分子フィルムと前記バリア層、前記バリア層と複屈折層との優れた密着性を実現することもできる。なお、これらの形成材料は、一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。
前記バリア層の厚みは、例えば、0.05〜10μmの範囲であり、好ましくは0.1〜5μmであって、より好ましくは0.5〜3μmである。
つぎに、前記透明高分子フィルムの形成材料としては、特に制限されないが、そのまま光学フィルムとして使用できるもの、すなわち、本発明のように積層複屈折フィルムの一構成物として含まれる場合であっても、前記複屈折層の光学特性に実用上影響を与えないものであればよい。このような材料としては、透明性に優れるものが好ましく、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、アセテート系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂等があげられる。前記ノルボルネン系樹脂製の透明高分子フィルムとしては、例えば、商品名アートン(JSR社製)や商品名ゼオノア(日本ゼオン社製)等が使用できる。
さらに、前記透明高分子フィルムの材料として、例えば、特開平2001−343529号公報(WO 01/37007号)に記載されているような、側鎖に置換イミド基または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換フェニル基または非置換フェニル基ならびにニトリル基とを有する熱可塑性樹脂との混合物から形成したフィルムを使用した場合、本発明の構成は特に有用である。具体例としては、例えば、イソブテンとN−メチルマレイミドとからなる交互共重合体と、アクリロニトリル−スチレン共重合体とを有する樹脂組成物等である。これらの形成材料の中でも、例えば、透明高分子フィルムを形成した際の複屈折を、相対的により一層低く設定できる材料が好ましく、具体的には、前述の側鎖に置換イミド基または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換フェニル基または非置換フェニル基ならびにニトリル基とを有する熱可塑性樹脂との混合物が好ましい。また、これらの透明高分子フィルムは、例えば、欧州特許0911656A2に記載されるような、少なくとも2つの芳香環を有する芳香族化合物をレタデーション調整剤として含んでもよい。
前記透明高分子フィルムの厚みは、例えば、5〜200μmの範囲であり、好ましくは10〜150μmであって、より好ましくは20〜100μmである。
一方、前記複屈折材料は、前述のように、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエステルイミドからなる群から選択される少なくとも一つのポリマーを含んでいればよい。これらのポリマーは、耐熱性、耐薬品性、透明性に優れ、剛性にも富み、光学的用途に適している。この中でも、高透明性、高配向性、高延伸性であることから、ポリイミドが特に好ましい。
前記ポリイミドとしては、例えば、US5,071,997、特表平8−511812号、特表平10−508048号に開示されるポリイミド等があげられ、特に、下記一般式(1)および(2)の繰り返し単位のみから構成されるポリイミドが好ましく、より好ましくは、薄い厚みで大きな厚み方向位相差を実現できることから、下記一般式(2)の繰り返し単位のみから構成されるポリイミドである。また、前記ポリエーテルケトンとしては、繰り返し単位中にエーテル基とケトン基とを有し、それらがアリール基で連結されているものが好ましい。なお、前記ポリマーは、いずれか一種類を単独で使用してもよいし、例えば、ポリアリールエーテルケトンとポリアミドとの混合物のように、異なる官能基を持つ2種以上の混合物として使用してもよい。
Figure 2005195811
Figure 2005195811
前記ポリマーの分子量は、特に制限されないが、例えば、重量平均分子量(Mw)が10,000〜400,000であることが好ましい。この中でも、前記複屈折層の厚み方向複屈折が大きくなることから30,000〜400,000が好ましく、さらに、塗工するにあたって適度な粘度となることから50,000〜200,000であることが特に好ましい。
前記複屈折層の厚みは、例えば、0.5〜30μmの範囲であり、好ましくは0.5〜20μmであって、より好ましくは1〜10μmである。
前記複屈折層の光学特性は特に制限されず、光学的一軸性を示すものであっても、光学的二軸性を示すものであってもよいが、光学的に優れることから光学的二軸性であることが好ましい。
前記複屈折層の厚み方向複屈折(Δna)は、例えば、位相差の制御が極めて容易で、より一層薄型化できるため、0.0005〜0.5であることが好ましい。さらには、より生産性に優れた薄型化の積層複屈折フィルムを得ることができるため、0.005〜0.15であることがより好ましく、特に好ましくは0.02〜0.1である。なお、前記Δnaは{(nx+ny)/2}−nzで表され、nx、nyおよびnzはそれぞれ前記複屈折層におけるX軸、Y軸およびZ軸方向の屈折率であって、前記X軸方向とは、前記複屈折層の面内において最大の屈折率を示す軸方向であり、前記Y軸方向は、同面内において前記X軸に対して垂直な軸方向であり、前記Z軸は、前記X軸および前記Y軸に垂直な厚み方向を示す。
前記複屈折層の厚み方向位相差(Rth)は、光学的一軸性か光学的二軸性に関わらず、例えば、10〜1000nmであり、好ましくは50〜800nmであって、より好ましくは100〜700nmである。なお、前記Rthは、[{(nx+ny)/2}−nz]×dで表され、nx、nyおよびnzは、前述のとおりであり、dは、前記複屈折層の厚みである。
前記複屈折層の面内位相差(Δnd)は、光学的二軸性の場合、例えば、5〜200nmであり、好ましくは5〜150nmであって、より好ましくは10〜100nmである。なお、光学的一軸性の場合は、実用上、面内位相差が発現していない程度であり、一般に、0〜3nm程度である。なお、前記Δndは、(nx−ny)×dで表され、nx、nyおよびdは、前述のとおりである。
また、本発明の積層複屈折フィルムは、下記式(I)〜(III)の条件のうち、少なくとも一つを満たすことが好ましい。
Δna>Δnb×10 (I)
1<(nx−nz)/(nx−ny) (II)
0.0005≦Δna≦0.5 (III)
前記式(I)〜前記式(III)において、Δna、nx、nyおよびnzは、前述のとおりであって、前記式(I)において、Δnbは、前記透明高分子フィルムの複屈折であり、下記式で表され、下記式において、n’x、n’yおよびn’zは、それぞれ前記透明高分子フィルムにおけるX軸、Y軸およびZ軸方向の屈折率であって、前記X軸方向とは、前記透明高分子フィルムの面内において最大の屈折率を示す軸方向であり、前記Y軸方向は、同面内において前記X軸に対して垂直な軸方向であり、前記Z軸方向は、前記X軸および前記Y軸に垂直な厚み方向を示す。
Δnb={(n’x+n’y)/2}−n’z
中でも、前記式(II)は光学的二軸性を示す式であり、少なくともこの条件を満たすことが好ましく、前記式(I)〜(III)の全てを満たすことがより好ましい。また、前記式(III)は、前述と同様に、前記複屈折層の厚み方向複屈折(Δna)の範囲を示す。さらに、前記式(I)に示すように、前記複屈折層の厚み方向複屈折(Δna)が前記透明高分子フィルムの厚み方向複屈折(Δnb)の10倍より大きければ、視野角補償や表示特性により一層優れた積層複屈折フィルムとなり、好ましくはΔna>Δnb×15であり、より好ましくはΔna>Δnb×20である。
なお、本発明における前記複屈折層は、前述のような光学的一軸性を示すもの、光学的二軸性を示すものには限られず、この他にも、傾斜型複屈折層でもよい。前記傾斜型複屈折層とは、例えば、前記複屈折層の形成材料(ポリマー)が傾斜配向しており、前記複屈折層の法線を0°、前記法線と測定軸との角度を測定角度(0°を含む)とした場合に、前記測定軸方向から測定した位相差値が、前記0°における位相差値を中心として、測定角度が+側と−側とで、その位相差値の変化が非対称となる複屈折層である。このような傾斜型複屈折層の中でも、前記測定角度が−50°〜+50°の場合、−50°〜−2°若しくは+2°〜+50°の範囲に最大または最小位相差値を示すものが好ましい。
つぎに、本発明の積層複屈折フィルムの製造方法は、前述のように、透明高分子フィルムと複屈折層とを含む積層複屈折フィルムの製造方法であって、
複屈折材料が、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミド−イミドおよびポリエステルイミドからなる群から選択される少なくとも一つを含み、
前記透明高分子フィルム上に、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂およびポリエチレンイミン系樹脂からなる群から選択される少なくとも一つを含むバリア層形成材料を含む塗工液を直接塗工し、固定化することによって前記透明高分子フィルム上にバリア層を形成する工程と、さらに、前記バリア層上に前記複屈折材料を溶剤に溶解した溶液を直接塗工し、固定化することによって前記バリア層上に前記複屈折層を形成する工程を含む製造方法である。
以下に、本発明の積層複屈折フィルムの製造方法の一例について詳述するが、本発明は、これに限定されるものではない。
まず、前述のような透明高分子フィルムを準備し、前記バリア層形成材料を含む塗工液をこの表面に直接塗工し、乾燥処理を施すことによってバリア層を形成する。前記塗工液は、前述のようなバリア層形成材料を、例えば、溶媒に懸濁、分散若しくは溶解することによって調製でき、また市販品を使用することもできる。前記溶媒の種類は、例えば、使用するバリア層形成材料の種類、調製する塗工液の形態等に応じて適宜決定できるが、例えば、水、イソプロピルアルコール、NMP(N−メチルピロリドン)、エタノール、メタノール、ブタノール、メチルエチルケトン、トルエン、アセトン、酢酸エチル等があげられる。なお、前記溶媒は、いずれかを一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。二種類以上を併用する場合、その種類の選択ならびにその混合比は、溶解する樹脂によって適宜決定できる。前記透明高分子フィルムが置換および/または非置換のイミド基を側鎖に有する熱可塑性樹脂と、置換および/または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を側鎖に有する熱可塑性樹脂との混合物を含む場合、水/イソプロピルアルコール/N−メチルピロリドンからなる三種類の混合溶媒を使用することが好ましく、N−メチルピロリドンの比率が5〜50%であることが好ましい。また、エタノール、メタノール、ブタノールをそれぞれ単独で使用してもよい。また、前記透明高分子フィルムがトリアセチルセルロース系フィルムである場合、水/イソプロピルアルコール/N−メチルピロリドンからなる三種類の混合溶媒を使用することが好ましく、N−メチルピロリドンの比率が10〜50%であることが好ましい。エタノール、メタノール、ブタノール、メチルエチルケトン、トルエン、アセトン、酢酸エチルをそれぞれ単独で使用してもよい。
前記塗工液の形態は、特に制限されず、例えば、水溶液、エマルジョン液、ディスパージョン液等があげられる。
前記バリア層形成材料と前記溶媒との組み合わせの具体例としては、前記形成材料がポリエステル系ウレタンの場合、例えば、水、イソプロピルアルコール、N−メチルピロリドン等の溶媒を使用することが好ましい。
前記塗工液における前記バリア層形成材料の割合は、例えば、3〜80重量%であって、好ましくは5〜70重量%であって、より好ましくは10〜50重量%である。
前記塗工液は、前述のようなバリア層形成材料のほかに、例えば、ブレンド材料として、架橋剤、硬化剤、前記バリア層形成材料の主鎖にグラフトさせるもの、ポリビニルアルコール、カップリング剤等、種々のものを配合してもよい。
前記塗工液の塗工方法は、特に制限されず、例えば、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコード法、グラビア印刷法等があげられる。なお、前記塗工液の塗工量は、例えば、前記形成材料の含量や、所望のバリア層の厚み等に応じて適宜決定できる。
なお、前記塗工液を透明高分子フィルムに塗工する前に、例えば、前記透明高分子フィルムに、コロナ処理やオゾン処理等のドライ処理、アルカリ処理等のウェット処理等、各種表面処理を施すことで、前記透明高分子フィルムとバリア層との密着性をより一層向上することができる。
前記乾燥処理の条件は特に制限されないが、例えば、自然乾燥や、加熱処理(例えば、40℃〜350℃)等があげられる。
つぎに、前記バリア層上に複屈折層を直接形成する。これは、予め、前述のような複屈折材料を溶剤に溶解して塗工溶液を調製し、これを前記バリア層上に直接塗工して乾燥処理を施し、この塗工膜を固定化することによって形成できる。
前記溶剤は、前述のような複屈折材料を溶解できるものであれば特に制限されず、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;フェノール、パラクロロフェノール等のフェノール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ピロリドン、N−メチルー2−ピロリドン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;t−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール等のアルコール系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル系溶媒;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;若しくは二硫化炭素、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等があげられる。この中でも、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒が好ましい。なお、これらの溶剤は、いずれか一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。
本発明において、このように複屈折材料が溶解できれば溶剤の種類が制限されない理由は、すでに述べたように透明高分子フィルム上にバリア層を予め形成していることによる。つまり、前記バリア層が形成されていなければ、前記溶剤が透明高分子フィルム表面から侵食するという問題が生じる。このため、使用できる溶剤が限定されるか、若しくは透明高分子フィルムが限定されてしまう。しかし、前記透明高分子フィルム上には予めバリア層が形成されているため、前記溶剤の種類、すなわち前記溶剤の溶解力による影響は回避される。
前記溶液における複屈折材料の溶解割合は、塗工性により一層優れることから、溶剤100重量部に対して、例えば、5〜50重量部であり、好ましくは10〜40重量部である。また、前記溶液の塗工量は、例えば、前記溶液中の複屈折材料含量や、所望の複屈折層の厚み等に応じて適宜決定できる。
なお、前記溶液の塗工方法や乾燥処理は、前記バリア層を形成する場合と同様であり、前記溶液を塗工する前に、前述の透明高分子フィルムの場合と同様に、前記バリア層と複屈折層との密着性をより一層向上するために、前述のような表面処理をバリア層表面に予め施してもよい。
このような製造方法によれば、透明高分子フィルム上に連続的にバリア層を介して、複屈折層が形成されるため、透明高分子フィルムに着色、白濁、ひび割れ等が発生せず、外観が極めて優れた状態で維持された本発明の積層複屈折フィルムを得ることができる。このような積層複屈折フィルムは外観に優れるため、外観不良に基づく光学特性の低下を抑制し、例えば、液晶表示装置等の画像表示装置に使用した際に、きわめて優れた表示特性を実現できる。また、当然、透明高分子フィルムと複屈折層とを別個に形成して積層した積層複屈折フィルムではないため、製造も容易であり、基板からの剥離に伴う歩留まりの低下等の問題もない。
前述のようにして製造した積層複屈折フィルムは、前記形成された塗工膜を乾燥処理することによって複屈折層を形成する工程の後、さらに、前記複屈折層に延伸処理若しくは収縮処理を施してもよい。このように延伸処理または収縮処理を施すことによって、前記バリア層表面に直接形成された複屈折層の光学特性をさらに変化させることができるのである。具体的には、前述のように製造した積層複屈折フィルムの複屈折層は、通常、形成材料の性質から、膜化するのみで光学的一軸性(nx>nz、ny>nz)を示すが、延伸処理や収縮処理を施すことによってさらに光学的二軸性(nx>ny>nz)を示すようになるのである。この延伸処理や収縮処理によって、複屈折層の面内複屈折(nx−ny)や面内位相差(Δnd)等をさらに制御することが好ましい。
まず、延伸処理について説明する。前記複屈折層の延伸方法は特に制限されないが、例えば、長手方向に一軸延伸する自由端縦延伸、フィルムの長手方向を固定した状態で幅方向に一軸延伸する固定端横延伸、長手方向および幅方向の両方向に延伸を行う逐次または同時二軸延伸等の方法があげられる。
前記複屈折層の延伸処理は、例えば、前記透明高分子フィルムと前記バリア層と前記複屈折層との3層を共に引っ張ることによって行ってもよいが、例えば、以下の理由から、前記透明高分子フィルムのみを延伸することが好ましい。前記透明高分子フィルムのみを延伸した場合、この延伸処理により前記透明高分子フィルムに発生する張力によって、前記透明高分子フィルム上の前記バリア層が間接的に延伸され、さらに、前記バリア層に発生する張力によって、前記バリア層上の前記複屈折層が間接的に延伸されるのである。そして、積層体を延伸するよりも、単層体を延伸するほうが、通常、均一な延伸となるため、前述のように透明高分子フィルムのみを均一に延伸すれば、これに伴って、前記透明高分子フィルム上の前記バリア層、ならびにその上の前記複屈折層も均一に延伸できるのである。
また、このように延伸処理や収縮処理を施すため、延伸処理または収縮処理前における前記バリア層は、その伸び率が、例えば、50%以上であり、好ましくは50%〜500%であって、より好ましくは70%〜400%である。このような伸び率であれば、例えば、前記延伸処理の引張り強度等に十分耐えることができ、また、透明高分子フィルムの収縮に伴う複屈折層の収縮を十分に実現できる。
なお、前記伸び率は下記式で表され、例えば、以下の方法によって測定できる。すなわち、テンシロン(引張試験機)を用いて、前記バリア層の長手方向両端を固定し、前記両端を300mm/minの条件で、長手方向の両方向に引張り、破断するまで続ける。そして、破断時におけるバリア層の長手方向全長[L(a)]を測定し、予め測定した引張る前のバリア層の長手方向全長[L(b)]と前記L(a)とを下記式に代入することによって伸び率を算出する。なお、前記バリア層の伸び率は、例えば、別途、同じ条件で基板(例えば、ガラス板等)上に形成して剥離したバリア層を使用した場合でも、前述のように測定することもできる。
伸び率(%)=[{L(a)−L(b)}/L(b)]×100
つぎに、収縮処理について説明する。収縮処理を行う場合、例えば、前記透明高分子フィルムとして、収縮性を有するものを使用し、前記透明高分子フィルム上にバリア層ならびに複屈折層を形成した後、さらに、前記透明高分子フィルムを収縮させてもよい。この透明高分子フィルムの収縮に伴って、前記透明高分子フィルム上のバリア層ならびに前記複屈折層を収縮させることができ、結果として、前述のように前記複屈折層の光学特性を光学的二軸性に変換できるのである。また、前記バリア層も収縮性を有することが好ましく、このバリア層自体の収縮に伴って、前記複屈折層を収縮させてもよい。
前記透明高分子フィルムやバリア層の収縮は、例えば、これらに加熱処理を施すことによって行うことができる。前記加熱処理の条件としては、特に制限されず、例えば、透明高分子フィルムやバリア層の形成材料の種類等によって適宜決定できるが、例えば、加熱温度は、60〜180℃の範囲であり、好ましくは80〜150℃であり、より好ましくは100〜120℃である。
前記透明高分子フィルムの収縮性は、例えば、前記透明高分子フィルムに予め加熱処理等を施すことによって付与することができる。また、前記透明高分子フィルムの面内において、一方向に収縮性を持たせるため、例えば、面内のいずれか一方向において延伸しておくことが好ましい。このように、予め延伸しておくことによって前記延伸方向と反対方
向に収縮力が発生するため、この透明高分子フィルムの面内の収縮差を利用して、前記複屈折材料(ポリマー)に面内複屈折を付与するのである。
なお、この他にも、例えば、透明高分子フィルムのバリア層を形成した逆側の表面に塗工膜を形成し、これらを金属枠に固定し加熱することによっても、複屈折層を収縮することが可能である。
本発明の光学フィルムは、前述のような本発明の積層複屈折フィルムを含むことを特徴とし、この積層複屈折フィルムを含む以外は、その構造や構成は何ら制限されない。
本発明の光学フィルムとしては、例えば、さらに偏光子を含む積層偏光板があげられる。このような偏光板の構成は、特に制限されないが、例えば、図2または図3に示すようなものが例示できる。図2および図3は、それぞれ本発明の積層偏光板の例を示す断面図であり、両図において同一部分には同一符号を付している。なお、本発明の偏光板は、以下の構成に限定されるものではなく、さらに他の光学部材等を含んでいてもよい。
図2に示す積層偏光板20は、前述の透明高分子フィルムとバリア層と複屈折層との積層体1、偏光子2および二つの透明保護層3を有し、偏光子2の両面に透明保護層3がそれぞれ積層されており、一方の透明保護層3にさらに前記積層体1が積層されている。なお、前記積層体1は、前述のように透明高分子フィルムとバリア層と複屈折層とが積層されているため、前記積層体1のいずれの表面が透明保護層3に面してもよいが、前記偏光子2が、前記透明保護層3を介して、前記積層体1の複屈折層に積層されていることが好ましい。
前記透明保護層は、同図に示すように偏光子の両面に積層してもよいし、いずれか一方の面のみに積層してもよい。また、両面に積層する場合には、例えば、同じ種類の透明保護層を使用しても、異なる種類の透明保護層を使用してもよい。
一方、図3に示す積層偏光板30は、前記積層体1、前記偏光子2ならびに前記透明保護層3を有し、前記偏光子2の両面に、前記積層体1および前記透明保護層3がそれぞれ積層されている。
そして、前記積層体1では、前述のように透明高分子フィルムとバリア層と複屈折層とが積層されているため、いずれの表面が偏光子に面してもよいが、例えば、以下のような理由から、前記積層体1の透明高分子フィルム側に前記偏光子2が配置することが好ましい。このような構成であれば、前記積層体1の透明高分子フィルムを、偏光子に対する透明保護層として兼用できるからである。すなわち、偏光子の両面に透明保護層を積層する代わりに、前記偏光子の一方の面には透明保護層を配置し、他方の面には、透明高分子フィルムが面するように前記積層体を配置することによって、前記透明高分子フィルムが偏光子の他方の透明保護層としての役割も果たすのである。このため、より一層薄型化された偏光板を得ることができる。
前記偏光子としては、特に制限されず、例えば、従来公知の方法により、各種フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて染色し、架橋、延伸、乾燥することによって調製したもの等が使用できる。この中でも、自然光を入射させると直線偏光を透過するフィルムが好ましく、光透過率や偏光度に優れるものが好ましい。前記二色性物質を吸着させる各種フィルムとしては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、部分ホルマール化PVA系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム、セルロース系フィルム等の親水性高分子フィルム等があげられ、これらの他にも、例えば、PVAの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン配向フィルム等も使用できる。これらの中でも、好ましくはPVA系フィルムである。また、前記偏光子の厚みは、通常、1〜80μmであるが、これには限定されない。
前記透明保護層としては、特に制限されず、従来公知の透明フィルムを使用できるが、例えば、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れるものが好ましい。このような透明保護層の材質の具体例としては、前記透明高分子フィルムと同様のものが使用できる。また、前記透明保護層は、例えば、色付きが無いことが好ましい。具体的には、下記式で表される前記透明保護フィルムの厚み方向位相差値(Rth’’)が、−90nm〜+75nmの範囲であることが好ましく、より好ましくは−80nm〜+60nmであり、特に好ましくは−70nm〜+45nmである。前記位相差値が−90nm〜+75nmの範囲であれば、保護フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)を十分に解消できる。なお、下記式において、n’’x、n’’yおよびn’’zは、保護フィルムにおけるX軸、Y軸およびZ軸方向の屈折率を示し、d’’は、その厚みを示す。
Rth’’=[{(n’’x+n’’y)/2}−n’’z]×d’’
また、前記透明保護層は、さらに光学補償機能を有するものでもよい。このように光学補償機能を有する透明保護層としては、例えば、液晶セルにおける位相差に基づく視認角の変化が原因である、着色等の防止や、良視認の視野角の拡大等を目的とした公知のものが使用できる。具体例としては、前述した透明樹脂を一軸延伸または二軸延伸した各種延伸フィルムや、液晶ポリマー等の配向フィルム、透明基材上に液晶ポリマー等の配向層を配置した積層体等があげられる。これらの中でも、良視認の広い視野角を達成できることから、前記液晶ポリマーの配向フィルムが好ましく、特に、ディスコチック系やネマチック系の液晶ポリマーの傾斜配向層から構成される光学補償層を、前述のトリアセチルセルロースフィルム等で支持した光学補償位相差板が好ましい。このような光学補償位相差板としては、例えば、富士写真フィルム株式会社製の商品名「WVフィルム」等の市販品があげられる。なお、前記光学補償位相差板は、前記位相差フィルムやトリアセチルセルロースフィルム等のフィルム支持体を2層以上積層させることによって、位相差等の光学特性を制御したもの等でもよい。
前記透明保護層の厚みは、特に制限されず、例えば、位相差や保護強度等に応じて適宜決定できるが、通常、500μm以下であり、好ましくは5〜300μm、より好ましくは5〜150μmである。
前記透明保護層は、例えば、偏光フィルムに前記各種透明樹脂を塗布する方法、前記偏光フィルムに前記透明樹脂製フィルムや前記光学補償位相差板等を積層する方法等の従来公知の方法によって適宜形成でき、また市販品を使用してもよい。
また、前記透明保護層は、さらに、例えば、ハードコート処理、反射防止処理、スティッキングの防止や拡散、アンチグレア等を目的とした処理等が施されたものでもよい。前記ハードコート処理とは、偏光板表面の傷付き防止等を目的とし、例えば、前記透明保護層の表面に、硬化型樹脂から構成される、硬度や滑り性に優れた硬化被膜を形成する処理である。前記硬化型樹脂としては、例えば、シリコーン系、ウレタン系、アクリル系、エポキシ系等の紫外線硬化型樹脂等が使用でき、前記処理は、従来公知の方法によって行うことができる。スティッキングの防止は、隣接する層との密着防止を目的とする。前記反射防止処理とは、偏光板表面での外光の反射防止を目的とし、従来公知の反射防止層等の形成により行うことができる。
前記アンチグレア処理とは、偏光板表面において外光が反射することによる、偏光板透過光の視認妨害を防止すること等を目的とし、例えば、従来公知の方法によって、前記透明保護層の表面に、微細な凹凸構造を形成することによって行うことができる。このような凹凸構造の形成方法としては、例えば、サンドブラスト法やエンボス加工等による粗面化方式や、前述のような透明樹脂に透明微粒子を配合して前記透明保護層を形成する方式等があげられる。
前記透明微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等があげられ、この他にも導電性を有する無機系微粒子や、架橋または未架橋のポリマー粒状物等から構成される有機系微粒子等を使用することもできる。前記透明微粒子の平均粒径は、特に制限されないが、例えば、0.5〜20μmの範囲である。また、前記透明微粒子の配合割合は、特に制限されないが、一般に、前述のような透明樹脂100質量部あたり2〜70質量部が好ましく、より好ましくは5〜50質量部である。
前記透明微粒子を配合したアンチグレア層は、例えば、透明保護層そのものとして使用することもでき、また、透明保護層表面に塗工層等として形成されてもよい。さらに、前記アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角を拡大するための拡散層(視角補償機能等)を兼ねるものであってもよい。
なお、前記反射防止層、スティッキング防止層、拡散層、アンチグレア層等は、前記透明保護層とは別個に、例えば、これらの層を設けたシート等から構成される光学層として、偏光板に積層してもよい。
本発明の光学フィルムは、さらに、接着剤層および粘着剤層の少なくとも一方を有することが好ましい。これによって、本発明の光学フィルムと、他の光学層や液晶セル等の他部材との接着が容易になるとともに、本発明の光学フィルムの剥離を防止することができるからである。したがって、前記接着剤層や粘着剤層は、光学フィルムの最外層に積層されることが好ましく、また、光学フィルムの一方の最外層でもよいし、両方の最外層に積層されてもよい。
前記接着層の材料としては、特に制限されないが、例えば、アクリル系、ビニルアルコール系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系等のポリマー製感圧接着剤や、ゴム系感圧接着剤等が使用できる。また、これらの材料に、微粒子を含有させて光拡散性を示す層としてもよい。これらの中でも、例えば、吸湿性や耐熱性に優れる材料が好ましい。このような性質であれば、例えば、液晶表示装置に使用した場合に、吸湿による発泡や剥離、熱膨張差等による光学特性の低下や、液晶セルの反り等を防止でき、高品質で耐久性にも優れる表示装置となる。
各構成物同士(偏光子、透明保護層等)の積層方法は、特に制限されず、従来公知の方法によって行うことができる。一般には、前述と同様の粘着剤や接着剤等が使用でき、その種類は、前記各構成物の材質等によって適宜決定できる。前記接着剤としては、例えば、アクリル系、ビニルアルコール系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系等のポリマー製接着剤や、ゴム系接着剤等があげられる。また、グルタルアルデヒド、メラミン、シュウ酸等のビニルアルコール系ポリマーの水溶性架橋剤等から構成される接着剤等も使用できる。前述のような粘着剤、接着剤は、例えば、湿度や熱の影響によっても剥がれ難く、光透過率や偏光度にも優れる。具体的には、前記偏光子がPVA系フィルムの場合、例えば、接着処理の安定性等の点から、PVA系接着剤が好ましい。これらの接着剤や粘着剤は、例えば、そのまま偏光子や透明保護層の表面に塗布してもよいし、前記接着剤や粘着剤から構成されたテープやシートのような層を前記表面に配置してもよい。また、例えば、水溶液として調製した場合、必要に応じて、他の添加剤や、酸等の触媒を配合してもよい。なお、前記接着剤を塗布する場合は、例えば、前記接着剤水溶液に、さらに、他の添加剤や、酸等の触媒を配合してもよい。このような接着層の厚みは、特に制限されないが、例えば、1nm〜500nmであり、好ましくは10nm〜300nmであり、より好ましくは20nm〜100nmである。特に限定されず、例えば、アクリル系ポリマーやビニルアルコール系ポリマー等の接着剤等を使用した従来公知の方法が採用できる。また、湿度や熱等によっても剥がれにくく、光透過率や偏光度に優れる偏光板を形成できることから、さらに、グルタルアルデヒド、メラミン、シュウ酸等のPVA系ポリマーの水溶性架橋剤を含む接着剤が好ましい。これらの接着剤は、例えば、その水溶液を前記各構成物表面に塗工し、乾燥すること等によって使用できる。前記水溶液には、例えば、必要に応じて、他の添加剤や、酸等の触媒も配合できる。これらの中でも、前記接着剤としては、PVAフィルムとの接着性に優れる点から、PVA系接着剤が好ましい。
また、本発明の光学フィルムは、前述のような偏光子の他にも、例えば、各種位相差板、拡散制御フィルム、輝度向上フィルム等、従来公知の光学部材と組合せて使用することもできる。前記位相差板としては、例えば、ポリマーフィルムを一軸延伸または二軸延伸したもの、Z軸配向処理したもの、液晶性高分子の塗工膜等があげられる。前記拡散制御フィルムとしては、例えば、拡散、散乱、屈折を利用したフィルムがあげられ、これらは、例えば、視野角の制御や、解像度に関わるギラツキや散乱光の制御等に使用することができる。前記輝度向上フィルムとしては、例えば、コレステリック液晶の選択反射と1/4波長板(λ/4板)とを用いた輝度向上フィルムや、偏光方向による異方性散乱を利用した散乱フィルム等が使用できる。また、前記光学フィルムは、例えば、ワイヤーグリッド型偏光子と組合せることもできる。
本発明の積層偏光板は、実用に際して、前記本発明の光学フィルムの他に、さらに他の光学層を含んでもよい。前記光学層としては、例えば、以下に示すような偏光板、反射板、半透過反射板、輝度向上フィルム、液晶表示装置等の形成に使用される従来公知の各種光学層があげられる。これらの光学層は、一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよく、また、一層でもよいし、二層以上を積層してもよい。このような光学層をさらに含む積層偏光板は、例えば、光学補償機能を有する一体型偏光板として使用することが好ましく、例えば、液晶セル表面に配置する等、各種画像表示装置への使用に適している。
以下に、このような一体型偏光板について説明する。
まず、反射型偏光板または半透過反射型偏光板の一例について説明する。前記反射型偏光板は本発明の積層偏光板にさらに反射板が、前記半透過反射型偏光板は本発明の積層偏光板にさらに半透過反射板が、それぞれ積層されている。
前記反射型偏光板は、通常、液晶セルの裏側に配置され、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置(反射型液晶表示装置)等に使用できる。このような反射型偏光板は、例えば、バックライト等の光源の内蔵を省略できるため、液晶表示装置の薄型化を可能にする等の利点を有する。
前記反射型偏光板は、例えば、前記弾性率を示す偏光板の片面に、金属等から構成される反射板を形成する方法等、従来公知の方法によって作製できる。具体的には、例えば、前記偏光板における透明保護層の片面(露出面)を必要に応じてマット処理し、前記面にアルミニウム等の反射性金属からなる金属箔や蒸着膜を反射板として形成した反射型偏光板等があげられる。
また、前述のように各種透明樹脂に微粒子を含有させて表面を微細凹凸構造とした透明保護層の上に、その微細凹凸構造を反映させた反射板を形成した、反射型偏光板等もあげられる。その表面が微細凹凸構造である反射板は、例えば、入射光を乱反射により拡散させ、指向性やギラギラした見栄えを防止し、明暗のムラを抑制できるという利点を有する。このような反射板は、例えば、前記透明保護層の凹凸表面に、真空蒸着方式、イオンプレーティング方式、スパッタリング方式等の蒸着方式やメッキ方式等、従来公知の方法により、直接、前記金属箔や金属蒸着膜として形成することができる。
また、前述のように偏光板の透明保護層に前記反射板を直接形成する方式に代えて、反射板として、前記透明保護フィルムのような適当なフィルムに反射層を設けた反射シート等を使用してもよい。前記反射板における前記反射層は、通常、金属から構成されるため、例えば、酸化による反射率の低下防止、ひいては初期反射率の長期持続や、透明保護層の別途形成を回避する点等から、その使用形態は、前記反射層の反射面が前記フィルムや偏光板等で被覆された状態であることが好ましい。
一方、前記半透過型偏光板は、前記反射型偏光板において、反射板に代えて、半透過型反射板を有するものである。前記半透過型反射板としては、例えば、反射層で光を反射し、かつ、光を透過するハーフミラー等があげられる。
前記半透過型偏光板は、通常、液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置等を比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射して画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵光源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置等に使用できる。すなわち、前記半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節約でき、一方、比較的暗い雰囲気下においても、前記内蔵光源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置等の形成に有用である。
つぎに、本発明の積層偏光板に、さらに輝度向上フィルムが積層された偏光板の一例を説明する。
前記輝度向上フィルムとしては、特に限定されず、例えば、誘電体の多層薄膜や、屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体のような、所定偏光軸の直線偏光を透過して、他の光は反射する特性を示すもの等が使用できる。このような輝度向上フィルムとしては、例えば、3M社製の商品名「D−BEF」等があげられる。また、コレステリック液晶層、特にコレステリック液晶ポリマーの配向フィルムや、その配向液晶層をフィルム基材上に支持したもの等が使用できる。これらは、左右一方の円偏光を反射して、他の光は透過する特性を示すものであり、例えば、日東電工社製の商品名「PCF350」、Merck社製の商品名「Transmax」等があげられる。
以上のような本発明の各種偏光板は、例えば、本発明の積層偏光板と、さらに2層以上の光学層とを積層した光学部材であってもよい。
このように2層以上の光学層を積層した光学部材は、例えば、液晶表示装置等の製造過程において、順次別個に積層する方式によっても形成できるが、予め積層した光学部材として使用すれば、例えば、品質の安定性や組立作業性等に優れ、液晶表示装置等の製造効率を向上できるという利点がある。なお、積層には、前述と同様に、粘着層等の各種接着手段を用いることができる。
前述のような各種偏光板は、例えば、液晶セル等の他の部材への積層が容易になることから、さらに粘着剤層や接着剤層を有していることが好ましく、これらは、前記偏光板の片面または両面に配置することができる。前記粘着層の材料としては、特に制限されず、アクリル系ポリマー等の従来公知の材料が使用でき、特に、吸湿による発泡や剥離の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる液晶表示装置の形成性等の点より、例えば、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層となることが好ましい。また、微粒子を含有して光拡散性を示す粘着層等でもよい。前記偏光板表面への前記粘着剤層の形成は、例えば、各種粘着材料の溶液または溶融液を、流延や塗工等の展開方式により、前記偏光板の所定の面に直接添加して層を形成する方式や、同様にして後述するセパレータ上に粘着剤層を形成させて、それを前記偏光板の所定面に移着する方式等によって行うことができる。なお、このような層は、偏光板のいずれの表面に形成してもよく、例えば、偏光板における前記位相差板の露出面に形成してもよい。
このように、偏光板に設けた粘着剤層等の表面が露出する場合は、前記粘着層を実用に供するまでの間、汚染防止等を目的として、セパレータによって前記表面をカバーすることが好ましい。このセパレータは、前記透明保護フィルム等のような適当なフィルムに、必要に応じて、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離剤による剥離コートを一層以上設ける方法等によって形成できる。
前記粘着剤層等は、例えば、単層体でもよいし、積層体でもよい。前記積層体としては、例えば、異なる組成や異なる種類の単層を組合せた積層体を使用することもできる。また、前記偏光板の両面に配置する場合は、例えば、それぞれ同じ粘着剤層でもよいし、異なる組成や異なる種類の粘着剤層であってもよい。
前記粘着剤層の厚みは、例えば、偏光板の構成等に応じて適宜に決定でき、一般には、1〜500μmである。
前記粘着剤層を形成する粘着剤としては、例えば、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性、凝集性や接着性の粘着特性を示すものが好ましい。具体的な例としては、アクリル系ポリマーやシリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、合成ゴム等のポリマーを適宜ベースポリマーとして調製された粘着剤等があげられる。
前記粘着剤層の粘着特性の制御は、例えば、前記粘着剤層を形成するベースポリマーの組成や分子量、架橋方式、架橋性官能基の含有割合、架橋剤の配合割合等によって、その架橋度や分子量を調節するというような、従来公知の方法によって適宜行うことができる。
以上のような本発明の光学フィルムや偏光板、各種光学部材(光学層を積層した各種偏光板)を形成する偏光フィルム、透明保護層、光学層、粘着剤層等の各層は、例えば、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で適宜処理することによって、紫外線吸収能を持たせたものでもよい。
本発明の光学フィルムや偏光板は、前述のように、液晶表示装置等の各種装置の形成に使用することが好ましく、例えば、本発明の光学フィルムや偏光板を液晶セルの片側または両側に配置して液晶パネルとし、反射型や半透過型、あるいは透過・反射両用型等の液晶表示装置に用いることができる。
液晶表示装置を形成する前記液晶セルの種類は、任意で選択でき、例えば、薄膜トランジスタ型に代表されるアクティブマトリクス駆動型のもの、ツイストネマチック(TN)型やスーパーツイストネマチック(STN)型に代表される単純マトリクス駆動型のもの等、種々のタイプの液晶セルが使用できる。これらの中でも、本発明の光学フィルムは、特にTNセル、VA(Vertical Alignment)セル、OCB(Optically Aligned Birefringence)セルが光学補償に非常に優れているので、これらの液晶セルを備える液晶表示装置に非常に有用である。
また、前記液晶セルは、通常、対向する液晶セル基板の間隙に液晶が注入された構造であって、前記液晶セル基板としては、特に制限されず、例えば、ガラス基板やプラスチック基板が使用できる。なお、前記プラスチック基板の材質としては、特に制限されず、従来公知の材料が使用できる。
また、液晶セルの両面に偏光板や光学部材を設ける場合、それらは同じ種類のものでもよいし、異なっていてもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば、プリズムアレイシートやレンズアレイシート、光拡散板やバックライト等の適当な部品を、適当な位置に1層または2層以上配置することができる。
さらに、本発明の液晶表示装置は、液晶パネルを含み、前記液晶パネルとして、本発明の液晶パネルを使用する以外は、特に制限されない。光源を含む場合、特に制限されないが、例えば、光のエネルギーが有効に使用できることから、例えば、偏光を出射する平面光源であることが好ましい。
図4は、本発明の液晶パネルの一例を示す断面図である。図示のように、液晶パネル40は、液晶セル21、透明高分子フィルムとバリア層と複屈折層との積層体1、偏光子2および透明保護層3を有しており、前記積層体1の一方の面に液晶セル21が配置されており、前記積層体1の他方の面に、前記偏光子2および前記透明保護層3が、この順序で積層されている。前記液晶セル21は、二枚の液晶セル基板の間に、液晶が保持された構成となっている(図示せず)。また、前記積層体1は、前述のように透明高分子フィルムとバリア層ならびに複屈折層とが積層されており、前記複屈折層側が前記液晶セル21に面し、前記透明高分子フィルム側が前記偏光子2に面している。
本発明の液晶表示装置は、視認側の光学フィルム(偏光板)の上に、例えば、さらに拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護層や保護板を配置することや、または液晶パネルにおける液晶セルと偏光板との間に補償用位相差板等を適宜配置することもできる。
なお、本発明の光学フィルムや偏光板は、前述のような液晶表示装置には限定されず、例えば、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、PDP、FED等の自発光型表示装置にも使用できる。自発光型フラットディスプレイに使用する場合は、例えば、本発明の複屈折性光学フィルムの面内位相差値Δndをλ/4にすることで、円偏光を得ることができるため、反射防止フィルターとして利用できる。
以下に、本発明の光学フィルムを備えるエレクトロルミネッセンス(EL)表示装置について説明する。本発明のEL表示装置は、本発明の光学フィルムを有する表示装置であり、このEL装置は、有機ELおよび無機ELのいずれでもよい。
近年、EL表示装置においても、黒状態における電極からの反射防止として、例えば、偏光子や偏光板等の光学フィルムをλ/4板とともに使用することが提案されている。本発明の偏光子や光学フィルムは、特に、EL層から、直線偏光、円偏光若しくは楕円偏光のいずれかの偏光が発光されている場合、あるいは、正面方向に自然光を発光していても、斜め方向の出射光が部分偏光している場合等に、非常に有用である。
まずここで、一般的な有機EL表示装置について説明する。前記有機EL表示装置は、一般に、透明基板上に、透明電極、有機発光層および金属電極がこの順序で積層された発光体(有機EL発光体)を有している。前記有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えば、トリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層とアントラセン等の蛍光性有機固体からなる発光層との積層体や、このような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層との積層体や、また、前記正孔注入層と発光層と電子注入層との積層体等、種々の組み合わせがあげられる。
そして、このような有機EL表示装置は、陽極と陰極とに電圧を印加することによって、前記有機発光層に正孔と電子とが注入され、前記正孔と電子とが再結合することによって生じるエネルギーが、蛍光物質を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。前記正孔と電子との再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、電流と発光強度とは、印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
前記有機EL表示装置においては、前記有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明であることが必要なため、通常、酸化インジウムスズ(ITO)等の透明導電体で形成された透明電極が陽極として使用される。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要であり、通常、Mg−Ag、Al−Li等の金属電極が使用される。
このような構成の有機EL表示装置において、前記有機発光層は、例えば、厚み10nm程度の極めて薄い膜で形成されることが好ましい。これは、前記有機発光層においても、透明電極と同様に、光をほぼ完全に透過させるためである。その結果、非発光時に、前記透明基板の表面から入射して、前記透明電極と有機発光層とを透過して前記金属電極で反射した光が、再び前記透明基板の表面側へ出る。このため、外部から視認した際に、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見えるのである。
本発明の有機EL表示装置は、例えば、前記有機発光層の表面側に透明電極を備え、前記有機発光層の裏面側に金属電極を備えた前記有機EL発光体を含む有機EL表示装置において、前記透明電極の表面に、本発明の光学フィルム(偏光板等)が配置されることが好ましく、さらにλ/4板を偏光板とEL素子との間に配置することが好ましい。このように、本発明の光学フィルムを配置することによって、外界の反射を抑え、視認性向上が可能であるという効果を示す有機EL表示装置となる。また、前記透明電極と光学フィルムとの間に、さらに位相差板が配置されることが好ましい。
前記位相差板および光学フィルム(偏光板等)は、例えば、外部から入射して前記金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって前記金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差板として1/4波長板を使用し、かつ、前記偏光板と前記位相差板との偏光方向のなす角をπ/4に調整すれば、前記金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、前記偏光板によって直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は、前記位相差板によって、一般に楕円偏光となるが、特に前記位相差板が1/4波長板であり、しかも前記角がπ/4の場合には、円偏光となる。
この円偏光は、例えば、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び、有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、前記位相差板で再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、前記偏光板の偏光方向と直交しているため、前記偏光板を透過できず、その結果、前述のように、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができるのである。
以下、実施例および比較例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。なお、光学フィルムの特性は以下の方法で評価した。
(化学構造式の決定)
ポリイミド試料50mgを重ジメチルスルホキシド(DMSO)0.6mlに溶解してサンプルを調製し、400MHzの1H−NMRである商品名LA400(日本電子製)を用いて測定した。
(分子量の測定)
ポリイミド試料を0.1重量%となるようにDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)に溶解し、この溶液を0.45μmメンブレンフィルターによってろ過した後、商品名HLC−8120GPC(東ソー社製)を用いて、ポリエチレンオキサイド標準試料により、前記ポリイミドの分子量を測定した。
(屈折率の測定)
アッベ屈折率計(商品名NAR−1T型:アタゴ社製)を用いて、得られた光学フィルムの屈折率を測定した。
(位相差・複屈折の測定)
自動複屈折計(商品名KOBRA−21ADH:王子計測機器社製)を用いて、波長590nmにおける屈折率を測定した。なお、厚み方向の位相差(Rth)は、光学フィルムの法線から0〜40°傾斜した方向からの入射光に対する値を測定した。
(透過率測定)
SPECTROPHOTOMETER(商品名DOT−3C:MURAKAMI COLOR RESERCH社製)を用いて、法線方向の透過率を測定した。
(膜厚測定)
瞬間マルチ測光システム(商品名MCPD−2000;大塚電子社製製)を用いて、複屈折層の膜厚を測定した。
(伸び率測定)
バリア層の伸び率は、別途、PET基板上に、実施例等と同様の条件でバリア層を形成してこれを前記基板から剥離し、以下の方法により測定した。
テンシロン(引張試験機)を用いて、前記バリア層(長さ50mm×幅10mm、厚み0.2mm)の長手方向両端を固定し、引張速度300mm/minの条件下で、前記バリア層を長手方向の両方向に引張り、破断するまで続ける。そして、破断時におけるバリア層の長手方向全長[L(a)]を測定し、予め測定した引張る前のバリア層の長手方向全長[L(b)]と前記L(a)とを下記式に代入することによって伸び率を算出した。伸び率(%)=[{L(a)−L(b)}/L(b)]×100
まず、透明高分子フィルムを作製した。予め、イソブテンとN−メチルマレイミドとを含む交互共重合体(N−マレイミド含有量50モル%)65重量部と、アクリルニトリル−スチレン共重合体(アクリルニトリル含有量27モル%)35重量部とを塩化メチレンに溶解し、固形分濃度15重量%の溶液を調製した。ついで、前記溶液を、ガラス板上に配置したポリエチレンテレフタレートフィルム表面に流延し、室温で60分間放置してフィルム化した後、前記ポリエチレンテレフタレートフィルム上に形成されたフィルムを剥離した。この剥離したフィルムを、さらに100℃で10分間、140℃で10分間、160℃で30分間乾燥処理を施し、固定化した。得られた透明高分子フィルムは、厚み50μm、面内位相差(Δnd)4nm、厚み方向位相差(Rth)4nmであった。
つぎに、以下のようにして、透明高分子フィルム上にバリア層を形成した。予め、前記方法で作製した透明高分子フィルムにコロナ処理を行い、その純水接触角を50°にし、一方、水とイソプロピルアルコールとの混合溶液に、水分散系ポリエステル系ウレタン(商品名アデカボンタイターHUX320:旭電化工業社製)を20重量%となるように溶解して、バリア層溶液を調製した。そして、この溶液を前記処理後の透明高分子フィルム上に直接塗工し、100℃で10分間加熱処理を行うことによって、前記透明高分子フィルム上にバリア層を形成した。前記バリア層は、厚み約3μm、伸び率が200%の完全に透明で平滑なフィルムであった。
さらに、前記バリア層の上に、複屈折層(ポリイミド層)を形成した。まず、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンと2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(PFMB)とを用いて、下記一般式(3)で表される繰り返し単位から構成されるポリイミド(Mw=110,000)を合成した。このポリイミドを固形分濃度15重量%となるように酢酸エチルに溶解してポリイミド溶液を調製し、これを前記バリア層表面に直接塗工した後、150℃で10分間乾燥させた。これによって、前記透明高分子フィルム上にバリア層を介して複屈折層(ポリイミド層)が直接積層された3層構造の積層複屈折フィルムが得られた。この積層複屈折フィルムは、完全に透明で平滑なフィルムで、透過率97%であった。また、前記積層複屈折フィルムにおける複屈折層(ポリイミド層)は、厚み4μm、複屈折0.035、厚み方向位相差(Rth)300nmであった。
Figure 2005195811
(比較例1)
前記バリア層を形成することなく、前記透明高分子フィルム上に複屈折層(ポリイミド層)を直接形成した以外は、前記実施例1と同様にして積層複屈折フィルムを作製した。なお、得られた積層複屈折フィルムは、白濁化し、透過率83%であった。
比較例1の積層複屈折フィルムでは、複屈折層形成に使用した溶剤の影響により、透明高分子フィルムが白濁化し、結果として前記積層複屈折フィルムの透過率が83%という低い値となった。これに対して実施例1では、透明高分子フィルム上にバリア層を介して複屈折層(ポリイミド層)を形成することで、前記透明高分子フィルムを完全に透明な状態で維持できたため、積層複屈折フィルムの透過率も97%といった非常に優れた結果となった。このような積層複屈折フィルムであれば、液晶表示装置等に適用した際に優れた表示特性を実現することは明らかである。
以上のように、透明高分子フィルムと複屈折層との間にバリア層を形成することで、透明高分子フィルムの白濁化を回避でき、透明性等の外観性に優れ、かつ、光学特性、特に優れた透過率や大きな厚み方向の位相差を実現できる積層複屈折フィルムを得ることができる。このため、本発明の積層複屈折フィルムを各種画像表示装置に使用すれば、優れた表示特性を実現することができる。
本発明の積層複屈折フィルムの一例を示す断面図である。 本発明の光学フィルムの一例を示す断面図である。 本発明の積層偏光板のその他の一例を示す断面図である。 本発明の液晶パネルの一例を示す断面図である。
符号の説明
11 複屈折層
12 バリア層
13 透明高分子フィルム
1 積層複屈折フィルム
2 偏光子
3 保護層
20 積層偏光板
21 液晶セル
30 積層偏光板
40 液晶パネル

Claims (23)

  1. 透明高分子フィルムと複屈折層とを含む積層複屈折フィルムであって、
    前記複屈折層が、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミド−イミドおよびポリエステルイミドからなる群から選択される少なくとも一つのポリマーを含み、
    前記透明高分子フィルム上にポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂およびポリエチレンイミン系樹脂からなる群から選択される少なくとも一つを含むバリア層が直接形成され、さらに前記バリア層上に前記複屈折層が直接形成されていることを特徴とする積層複屈折フィルム。
  2. 前記ポリウレタン樹脂が、ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂およびポリカーボネート系ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも一つを含む請求項1記載の積層複屈折フィルム。
  3. 前記透明高分子フィルムが、置換および/または非置換のイミド基を側鎖に有する熱可塑性樹脂と、置換および/または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を側鎖に有する熱可塑性樹脂との混合物を含む請求項1または2に記載の積層複屈折フィルム。
  4. 下記式(I)〜(III)の条件のうち少なくとも一つを満たす請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層複屈折フィルム。
    Δna>Δnb×10 (I)
    1<(nx−nz)/(nx−ny) (II)
    0.0005≦Δna≦0.5 (III)
    前記式(I)および前記式(III)において、Δnaは、前記複屈折層の複屈折であり、前記式(I)において、Δnbは、前記透明高分子フィルムの複屈折であり、前記Δnaおよび前記Δnbは、それぞれ下記式で表され、前記式(II)ならびに下記式において、nx、nyおよびnzは、それぞれ前記複屈折層におけるX軸、Y軸およびZ軸方向の屈折率であり、n’x、n’yおよびn’zは、それぞれ前記透明高分子フィルムにおけるX軸、Y軸およびZ軸方向の屈折率であって、前記X軸方向とは、前記複屈折層若しくは前記透明高分子フィルムの面内において最大の屈折率を示す軸方向であり、前記Y軸方向は、同面内において前記X軸に対して垂直な軸方向であり、前記Z軸は、前記X軸および前記Y軸に垂直な厚み方向を示す。
    Δna={(nx+ny)/2}−nz
    Δnb={(n’x+n’y)/2}−n’z
  5. 透明高分子フィルムと複屈折層とを含む積層複屈折フィルムの製造方法であって、
    複屈折材料が、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミド−イミドおよびポリエステルイミドからなる群から選択される少なくとも一つを含み、
    前記透明高分子フィルム上に、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂およびポリエチレンイミン系樹脂からなる群から選択される少なくとも一つを含むバリア層形成材料を含む塗工液を直接塗工し、固定化することによって前記透明高分子フィルム上にバリア層を形成する工程と、さらに、前記バリア層上に前記複屈折材料を溶剤に溶解した溶液を直接塗工し、固定化することによって前記バリア層上に前記複屈折層を形成する工程とを含む積層複屈折フィルムの製造方法。
  6. 前記塗工液の形態が、水溶液、エマルジョン液若しくはディスパージョン液である請求項5記載の製造方法。
  7. 前記ポリウレタン樹脂が、ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂およびポリカーボネート系ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも一つを含む請求項5または6記載の製造方法。
  8. 前記バリア層の下記式で表される伸び率が、50%以上である請求項5〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
    伸び率(%)=[{L(a)−L(b)}/L(b)]×100
    前記式において、L(a)は、300mm/minの条件で前記バリア層を長手方向に引張り、前記バリア層が破断した時のバリア層の長手方向全長を示し、L(b)は、引張る前の前記バリア層の長手方向全長を示す。
  9. 前記透明高分子フィルムが、置換および/または非置換のイミド基を側鎖に有する熱可塑性樹脂と、置換および/または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を側鎖に有する熱可塑性樹脂との混合物を含む請求項5〜8のいずれか一項に記載の製造方法。
  10. 前記複屈折層を形成する工程の後、さらに、前記複屈折層を延伸処理または収縮処理する工程を含む請求項5〜9のいずれか一項に記載の製造方法。
  11. 前記延伸処理が、一軸延伸処理若しくは二軸延伸処理である請求項10記載の製造方法。
  12. 前記透明高分子フィルムならびに前記バリア層が、それぞれ収縮性を有し、前記複屈折層を形成する工程の後、さらに、前記透明高分子フィルムの収縮に伴い前記複屈折層を収縮させる工程を含む請求項10記載の製造方法。
  13. 前記収縮工程が、加熱により前記透明高分子フィルムを収縮させる工程である請求項12記載の製造方法。
  14. 請求項5〜13のいずれか一項に記載の製造方法により製造された積層複屈折フィルム。
  15. 請求項1〜4ならびに請求項14のいずれか一項に記載の積層複屈折フィルムを含む光学フィルム。
  16. さらに、偏光子を含む請求項15記載の光学フィルム。
  17. 前記透明高分子フィルムが、前記偏光子の透明保護層を兼ねている請求項16記載の光学フィルム。
  18. さらに、位相差板または反射板の少なくとも一方を含む請求項17記載の光学フィルム。
  19. 液晶セルと光学部材とを含み、前記液晶セルの少なくとも一方の表面に前記光学部材が配置された液晶パネルであって、前記光学部材が、請求項15〜18のいずれか一項に記載の光学フィルムである液晶パネル。
  20. 前記液晶セルが、OCBモード、VAモードおよびTNモードからなる群から選択される少なくとも一つである請求項19記載の液晶パネル。
  21. 光学フィルムが、請求項15〜18のいずれか一項に記載の光学フィルムであって、前記光学フィルムの光学補償層側が、液晶セルと対向するように配置されている請求項19または20記載の液晶パネル。
  22. 液晶パネルを含む液晶表示装置であって、前記液晶パネルが、請求項19〜21のいずれか一項に記載の液晶パネルである液晶表示装置。
  23. 請求項15〜18のいずれか一項に記載の光学フィルムを含む画像表示装置。
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