JP2005194551A - 高耐食・高加工性メッキ鋼線およびその製造方法ならびに金網製かご - Google Patents

高耐食・高加工性メッキ鋼線およびその製造方法ならびに金網製かご Download PDF

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Abstract

【課題】 無添加のAl−Znメッキ鋼線よりも高い耐食性を有する高耐食性メッキ鋼線およびこの高耐食性のメッキ鋼線を安定して生産できる製造方法を提供すること。
【解決手段】 高耐食・高加工性メッキ鋼線では、Zn−Al−Mnメッキ層とZn−Al−Mn−Fe中間層からなるメッキ鋼線であって、メッキ層および中間層におけるMn、Al、Znの組成比(平均重量%)が、Mn:0.02〜0.30重量%、Al:8〜25重量%、残部がZnとFe等の不可避的成分であることを特徴とする。かかるメッキ鋼線の製造方法では、Zn−Al−Mnメッキ浴中のMnの浴組成を、製造されるメッキ線のMnの付着組成の2〜5倍に調整し、このMnが高濃度のZn−Al−Mnメッキ浴中に線材を通すことで、Zn−Al−Mnメッキ層およびZn−Al−Mn−Fe中間層からなるメッキ線を製造するようにしたことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は護岸工事用かごマット、金網、落下防止網等の屋外で使用される各種金網製品に有用な耐食性と加工性を高めた高耐食・高加工性メッキ鋼線およびその製造方法ならびに同メッキ鋼線を用いた金網製かごに関する。
Zn−Al合金メッキ鋼線の耐食性を向上させる方法として、Mgを添加し、メッキ層の組成比(重量%)で、Mg:0.8〜5、Al:4〜20、Zn:残部とすることが、さらに加工性を良くする方法として、硬度の高いメッキ−地鉄界面のZn−Al−Fe中間層の厚さを20μm以下とすることが、特許文献1等に提案されている。
Zn−Al合金に添加元素たとえばMgを添加した場合、耐食性については無添加のものに比較して、図1に示す如く約4〜5倍と大幅に向上するが、第5図に示す如く、自己径巻付(1×d)では加工性が低下するという問題を有している。この加工性の低下原因は、図3に示すように、少量のMgでもメッキ層および中間層の硬度が大幅にアップするためである。
したがって、Zn−Al合金の耐食性向上には、Mgの添加は有効な反面、金網等の強加工を伴う用途には、加工時にメッキ層に大きなクラックや剥離が発生し易く、加工性が劣るという問題を有していた。
このZn−Al合金を、無添加で耐食性向上させるには、メッキ層の凝固冷却を通常使用される水冷ではなく、風冷により凝固速度を下げることにより、耐食性の悪いメッキ組織である共析相を微細分散させず塊状化する方法がある。しかし、この冷却方法は、空冷のため凝固完了長さが長くなるのにともない、トップローラーの高さが高くなり、設備も大きくなって、線通し等の作業性が良くない問題を有していた。
特開2001−207250
解決しようとする課題は、第1には、無添加のZn−Alメッキ鋼線よりも高い耐食性を有する高耐食性メッキ鋼線を、第2には、さらに、高耐食性と同時に高い加工性を有する高耐食・高加工性メッキ鋼線を、第3には、さらに、作業性良好な水冷凝固が可能なメッキ組織からなる高耐食・高加工性メッキ鋼線を、第4には、前記した高耐食、高加工性のメッキ鋼線を安定して生産することができる製造方法を、第5には、高耐食で良好な製網加工性による形態自由性が高い金網製かごを提供することにある。
本発明は前記した課題を達成するため、Zn−Al合金メッキ浴に各種の添加元素(マンガン、マグネシウム、シリコン、スズ)を数種の濃度で添加し、凝固を水冷、風冷に別けてそれぞれサンプルを製作し、塩水噴霧試験、メッキ組織調査、メッキ層および中間層のEPMA線分析、メッキ層および中間層の硬度調査、自己径巻き付け試験(1×d:8回)を行ない、適切な添加元素と添加量を希求し、ある組成と平均組成比(重量%)である時に、高耐食・高加工性のメッキ鋼線が得られることを知見し、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明の高耐食・高加工性メッキ鋼線では、以下の構成にしたことを特徴とする。
1.Zn−Al−Mnメッキ層とZn−Al−Mn−Fe中間層からなるメッキ鋼線であって、メッキ層および中間層におけるMn、Al、Znの組成比(平均重量%)が、Mn:0.02〜0.30重量%、Al:8〜25重量%、残部がZnとFe等の不可避的成分であることを特徴とする。
2.前記した1において、メッキ層および中間層におけるMnが大きな濃度変化部を有さず、メッキ層のビッカース硬度が45〜65、中間層のビッカース硬度が50〜70であることを特徴とする。
3.前記した1または2において、メッキ層におけるメッキ組織中の共析相が塊状に分散化し、鋼線部に向けて方向性がない共析相を有するメッキ組織であることを特徴とする。
そして、前記した高耐食・高加工性メッキ鋼線の製造方法では、以下の構成にしたことを特徴とする。
4.線材をメッキ槽のZn−Al−Mnメッキ浴中に通して、Zn−Al−Mnメッキ層およびZn−Al−Mn−Fe中間層を有するメッキ鋼線を製造するようにしたメッキ線の製造方法であって、Zn−Al−Mnメッキ浴中のMnの浴組成を、製造されるメッキ線のZn−Al−Mnメッキ層におけるMnの付着組成の2〜5倍に調整し、このMnが高濃度のZn−Al−Mnメッキ浴中に線材を通すことで、前記1記載のZn−Al−Mnメッキ層およびZn−Al−Mn−Fe中間層からなるメッキ線を製造するようにしたことを特徴とする。
また、前記の高耐食・高加工性メッキ鋼線を用いた金網製かごでは、以下の構成にしたことを特徴とする。
5.前記した1〜3のいずれか1項記載の高耐食・高加工性メッキ鋼線を用いて、上面部のみまたは各面部を形成してあることを特徴とする。
6.前記した5の金網製かごは、護岸工事用のかごマット、ふとんかご、だるまかご或いは港湾築提用のマット等であることを特徴とする。
A.請求項1により、無添加のZn−Alメッキ鋼線よりも、高耐食のメッキ層および中間層を有するZn−Al−Mnメッキ鋼線である。
B.請求項2により、さらに、メッキ層および中間層におけるMnの分布が均一で大きな濃度変化部を有しておらず、小さい結晶を呈しているため、Zn−Al−Mg或いはZn−Al−Sn若しくはZn−Al−Si等の各種メッキ鋼線よりも高耐食・高加工性のメッキ層または中間層を有するZn−Al−Mnメッキ鋼線である。
C.請求項3により、さらに、作業性良好な水冷凝固が可能なメッキ組織からなるZn−Al−Mnメッキ鋼線である。
D.請求項4により、Mnのトップドロス化によるメッキ浴中のMn低下および偏析を見込み、所定のMn付着組成を有するZn−Al−Mnメッキ鋼線を安定して製造することができる。
E.請求項5により、高耐食性、高加工性に優れ、上面が滑り難い金網製かごが得られる。
F.請求項6により、護岸工事用のかごマット、ふとんかご、だるまかご或いは港湾築提用のマット等として有用である。
本発明の高耐食・高加工性メッキ鋼線は、Zn−Alメッキ鋼線におけるメッキ層および中間層の組成成分としてMnを適正量添加することにより、耐食性と加工性をともに高いレベルに改良したものである。
本発明の高耐食・高加工性メッキ鋼線は、メッキ層と中間層における組成および組成比(平均重量%)を、Mn:0.02〜0.30重量%、Al:8〜25重量%、残部がZnとFe等の不可避的成分にしてある。Mnは0.02〜0.30重量%の範囲とし、このことによる特徴的な現象として、風冷凝固によるものに比べて水冷凝固によるものの方が塩水噴霧試験における腐食減量の改善が認められた(図2、本発明例4〜7)。
Mnの下限を0.02重量%としたのは、これ未満では耐食性の改善が明確でなく、Mnの上限を0,30重量%としたのは、Mnを例えば0.46重量%にアップしても、特に風冷凝固では明確な耐食性の向上が認められず、また、付着量を0.46重量%程度とするにはメッキ浴におけるMnの組成比が1重量%程度を必要とし、Mnのトップドロス濃度変化による浴中Mnの低濃度偏析により、Mn:1重量%のメッキ浴の管理が困難になるからである。
Mnは、0.02〜0.30さらに0.46重量%の範囲までは、メッキ層のビッカース硬度は45〜65、中間層の硬度は50〜70と、Mg添加品(図3参照)およびSi添加品(図4参照)に比較し、メッキ層および中間層ともビッカース硬度のアップはほとんど認められない(図2参照)。
このように、Mnが0.02〜0.30さらに0.46重量%の範囲まで、Mnが無添加のものに比較して、水冷凝固のメッキ組織は変化するが、メッキ層および中間層の硬度は変化しないという現象を新たに知見し、これが高耐食性(図1、本発明例4〜7)と同時に高加工性(図5、本発明例4〜7)を両立できる原因と推測される。
EPMA線分析でも、Mnは大きな結晶を作らず、MnはSn、Mg、Siと異なり、メッキ層および中間層中にMnの大きな濃度変化部を認められないことが新たに知見された(図6〜9参照)。本現象により硬度のアップが発生しない原因と推測される。
Mnが0.02〜0.30重量%の範囲では、水冷凝固、風冷凝固ともにMnが無添加のAl−Znメッキ鋼線(図1の比較例No.12および図13参照)と比較すると、同等以上の耐食性があることを確認できた。特に、従来は空冷凝固でしか得られないでいた耐食性の良くない共析相が塊状分散化していると共に、鋼線部に向けて方向性を有しない高耐食メッキ組織を、作業性の良い水冷凝固でも得られることが新たに知見された(図10〜12参照)。
Alを8〜25重量%とするのは、Alが8重量%未満の場合、溶湯の流動性が高い共晶組成(Al:5重量%)に近づくため、Zn−11%Alメッキ鋼線の空冷凝固によるメッキ表面の粗度を大きくした滑り止め効果のある粗面メッキ鋼線が製造不能となるためである。Alが8重量%以上であれば、風冷凝固でも粗面メッキ鋼線を、水冷でも通常の滑面メッキ鋼線を、それぞれ作り分けられる利便性がある。Alの上限を25重量%としたのは、それ以上であっても耐食性の改善効果がなく、メッキ層の硬度がアップし加工性が低下するためである。
そして、かかるメッキ鋼線の製造方法においては、Mnは、トップドロスとしてメッキ浴面近くに濃縮して偏析するため、浴組成中におけるMnの組成比を、メッキ鋼線における付着組成量の2〜5倍程度の高濃度浴にすることが必要であることを新たに知見した。
本発明のメッキ鋼線の耐食性、加工性についての改善テストを行なうため、1次メッキ鋼線として径が4mmのZnメッキ鋼線を用い、メッキ槽におけるZn−11%Al合金浴中にMnを数種の組成比に添加した。この450℃のメッキ浴にZnメッキ鋼線を8秒間浸漬して2次メッキを行ない、水冷凝固と空冷凝固の双方で、それぞれ各種サンプルを2浴法で製作し、他の添加元素によるものとの比較のため下記の比較試験を行なった。
耐食性の評価は、塩水噴霧試験500Hを行なった後、メッキ層の腐食減量を調べ、その結果を図1に示す。
添加元素別の耐食性改善効果は、水冷、空冷ともにMg、Sn、Mnの順で改善効果が認められた。Siを添加したものでは効果が認められなかった。Snを添加したものでは耐食性改善効果はあるが、水冷および風冷凝固ともに外観がくすんだ鉛色を呈し光沢が無く、また加工性については、メッキ層に中・大のクラックさらに剥離が発生していて劣るものであった(図5参照)。
図1の比較品No.12のメッキ腐食減量結果に示す如く、Mnが添加されていないZn−11%Alメッキ鋼線の場合、水冷凝固されたものは空冷凝固されたものに比較して耐食性が悪い結果を示した。
本発明のMnが添加された図1における本発明例4〜7の場合、水冷凝固及び風冷凝固でも、比較品No.12のように耐食性が良好な数値(41.3g/m)を示したMn無添加の空冷による場合のものと同等以上の高耐食性を付与できることが新たに知見された。特に水冷の場合、トップローラーを低くできる等のことから装置がコンパクトになり、作業性は空冷より良好となり、メッキ線の一般的な冷却方法である水冷凝固によって高耐食性が得られるのは、Mnを添加して組成した本発明特有の優位点である。
通常の滑面メッキ鋼線は水冷凝固により製作されるが、メッキ鋼線の冷却は水冷に限定されるものではなく、滑り難い粗面メッキ鋼線は風冷凝固で製作される。
本発明例のZn−Al−Mnメッキ鋼線は、Mnを添加したことによるメッキ層及び中間層の硬度アップが無いため、曲げ等の加工性に優れ、厚メッキ製品への適用も可能であり、中間層厚さ5〜50μm、メッキ付着量50〜800g/m程度の広範囲のメッキ鋼線に適用可能である。
そして、メッキ鋼線は、金網等の各種製品の作成時に曲げ等の強加工を伴うため、メッキ層に大きなクラックや剥離が発生しないように、耐食性改善のための元素を添加しても、それによってメッキ層および中間層に硬度のアップを起こさず加工性が良好であることが重要である。
図5には本発明のメッキ鋼線の加工性評価を示す。加工性の評価は、10本のサンプルを自己径に8回巻き付けた後、15倍の拡大鏡にてメッキ外観を観察し、ミクロおよび少クラックまでを使用可能として評価した。
比較例1、2、9、10、11のSn、Mg、Si添加品は、ともに中・大クラックや剥離が発生していて加工性が悪いのに比べ、本発明例4〜7はミクロおよび少クラックまでの発生しか認められず、図2のメッキ層および中間層に硬度の変化が殆どないことを示すデーターと整合することが確認できた。
この本発明のメッキ層および中間層のビッカース硬度がほとんどアップしないのに対し、Sn、Mg添加品におけるメッキ層および中間層はともに硬度がアップし、Si添加品は中間層の硬度のみがアップした原因を解明するために、中間層およびメッキ層のEPMA線分析を加速電圧20kv、試料電流30nA、ビーム径1μmで行なった。
図6にはメッキ浴の組成がZn−11%Al−0.5%Mnで、線径4mmの鋼線をメッキした後に風冷凝固させて製造した本発明例6のメッキ線のEPMA線分析結果を、図7にはメッキ浴の組成がZn−11%Al−0.5%Snで、線径4mmの鋼線をメッキした後に水冷凝固させて製造した比較例1のメッキ線のEPMA線分析結果を、図8にはメッキ浴の組成がZn−11%Al−0.5%Mgで、線径4mmの鋼線をメッキした後に水冷凝固させて製造した比較例2のメッキ線のEPMA線分析結果を、図9にはメッキ浴の組成がZn−11%Al−0.3%Siで、線径4mmの鋼線をメッキした後に風冷凝固させて製造した比較例10のメッキ線のEPMA線分析結果を、それぞれ示している。
図7〜8のEPMA線分析結果における添加元素の大きな山形の波形で示されているように、SnおよびMgはメッキ層および中間層において局部的濃度変化部を伴う比較的大きな結晶を作っており、また、図9によりSiは中間層のみで前記の現象が起きていることが判明した。
これに対し、図6に示されているように、本発明ではメッキ層および中間層中でEPMA線分析によるMnの波形が平坦で、局部的濃度変化部もなく、比較的小さな結晶であることが新たに判明し、Mn添加によりメッキ層および中間層に硬度アップが起こらず、加工性低下が発生しないことを確認した。
図10〜14にメッキ鋼線の各種メッキ組成の水冷凝固によるものと風冷凝固によるものとのメッキ組織の断面を拡大して示す。
Zn−11%Alメッキ鋼線のメッキ組織では、組織写真で黒く見えるのはα−Al相とβ−Zn相の電位の異なる2つの微細な粒が混在している共析相であり、この共析相は異種金属接触腐食効果により耐食性が悪い傾向がある。共析相がメッキ組織中で検鏡用の酸性腐食液で早く選択腐食されるのはこの理由による。
図10には本発明例4のZn−12%Al−0.02%Mnメッキ鋼線のメッキ組織断面を拡大して示す。風冷凝固によるものは図13の比較例12および図14の比較例3のものと同様の形態を示すが、水冷凝固では大幅に形態が異なり、比較例12および比較例3の風冷凝固による場合と似たメッキ組織を示し、耐食性の悪い共析相が塊状化し、水冷凝固でありながら風冷凝固と同様の高耐食性のものにメッキ組織化していることが新たに判明した。
図11には本発明例6のZn−12.1%Al−0.21%Mnメッキ鋼線のメッキ組織断面を拡大して示し、図12には本発明例7のZn−11.8%Al−0.30%Mnメッキ鋼線のメッキ組織断面を拡大して示し、水冷凝固および空冷凝固ともに図10と同じメッキ組織を示している。斯様に、本発明におけるメッキ層および中間層の耐食性が、水冷凝固による場合であっても、比較的に耐食性の良好な風冷凝固したものと比較して同等以上の耐食性が得られるのは、図10〜12の本発明例4、6、7の水冷凝固によるメッキ組織が示すように、Mn添加によるメッキ組織の変化であると推測される。
図13には比較例12のZn−11.8%Al合金メッキのメッキ組織断面を示し、水冷凝固の場合、耐食性の悪い共析相がメッキ組織全体に微細且つ近距離に分散されているために、腐食がこの間に伝わり易く、耐食性の悪いメッキ組織となっている。それに対し、空冷組織の場合、β−Zn相をマトリックスとし、この内に耐食性の悪い共析相が初晶として塊状に分散された形で入っており、耐食性の悪い共析相の距離が離れているため、腐食はこの間を伝わり難く、耐食性のあるメッキ組織となっている。
図14には比較例3のZn−11.9%Al−0.01Mn合金メッキのメッキ組織断面を示す。水冷凝固および風冷凝固ともに図13の比較例12と同様のメッキ組織断面を示している。
次に、本発明の高耐食・高加工性メッキ鋼線の製造方法について説明する。
図1中におけるメッキ浴組成とメッキ層付着組成の欄にそれぞれ示すように、Mnがトップドロスとして浴面に浮上し偏析するため、メッキ層付着組成量の2〜5倍の高濃度のメッキ浴組成量であることが必要となる。
すなわち、本発明では、Znメッキ線材をメッキ槽のZn−Al−Mnメッキ浴中に通して、Zn−Al−Mnメッキ層およびZn−Al−Mn−Fe中間層を有するメッキ鋼線を製造する。さらに詳しくは、Zn−Al−Mnメッキ浴中のMnの浴組成を、製造されるメッキ線のMnの付着組成の2〜5倍に調整し、このMnが高濃度のZn−Al−Mnメッキ浴中にZnメッキ線材を通すことで、0.02〜0.30重量%のMnの付着組成からなるメッキ線を製造する。
図15には本発明のZn−Al−Mn溶融合金メッキ鋼線Lを上面13aに用いた金網製かご13を例示している。
図16には本発明のZn−Al−Mn溶融合金メッキ鋼線Lを用いて、正面部13b、左側面部13c、右側面部13d、背面部13e、上面部13a、底面部13fの各面を形成した金網製かご13を例示している。
金網製かごは、一般的に護岸工事用に石詰めされてから用いられるかごマット等であり、じゃかご、ふとんかご、だるまかご、港湾築提用のマット等が挙げられる。この金網製かごに用いられる高耐食・高加工性メッキ鋼線は、面部の一部或いは面部全体さらには各面部全てに用いるようにしても良い。
本発明のメッキ鋼線における腐食減量のテスト結果を比較例と対比して示す表。 本発明のメッキ層および中間層の硬度を示すグラフ。 比較例のMgを添加して組成したメッキ層および中間層の硬度を示すグラフ。 比較例のSiを添加して組成したメッキ層および中間層の硬度を示すグラフ。 本発明のメッキ鋼線における加工性評価テスト結果を比較例と対比して示す表。 本発明のMnを添加して組成したメッキ層および中間層のEPMA線分析結果を示すグラフ。 比較例のSnを添加して組成したメッキ層および中間層のEPMA線分析結果を示すグラフ。 比較例のMgを添加して組成したメッキ層および中間層のEPMA線分析結果を示すグラフ。 比較例のSiを添加して組成したメッキ層および中間層のEPMA線分析結果を示すグラフ。 本発明の0.02%Mn−12%Al−Znメッキ鋼線におけるメッキ組織の顕微鏡写真で、(A)は水冷凝固による場合を、(B)は空冷凝固による場合を、それぞれ示している。 本発明の0.21%Mn−12.1%Al−Znメッキ鋼線におけるメッキ組織の顕微鏡写真で、(A)は水冷凝固による場合を、(B)は空冷凝固による場合を、それそれ示している。 本発明の0.30%Mn−11.8%Al−Znメッキ鋼線におけるメッキ組織の顕微鏡写真で、(A)は水冷凝固による場合を、(B)は空冷凝固による場合を、それぞれ示している。 比較例のZn−11.8%Alメッキ鋼線におけるメッキ組織の顕微鏡写真で、(A)は水冷凝固による場合を、(B)は空冷凝固による場合を、それぞれ示している。 比較例の0.01%Mn−11.9%Al−Znメッキ鋼線におけるメッキ組織の顕微鏡写真で、(A)は水冷凝固による場合を、(B)は空冷凝固による場合を、それぞれ示している。 本発明の本発明のZn−Al−Mn溶融合金メッキ鋼線を上面に用いた金網製かごを例示している。 本発明のメッキ鋼線を用いて各面を製網して形成した金網製かごを例示している斜視図。
符号の説明
13 金網製かご
13a 上面部
13b 正面部
13c 左側面部
13d 右側面部
13e 背面部
13f 底面部

Claims (6)

  1. Zn−Al−Mnメッキ層とZn−Al−Mn−Fe中間層からなるメッキ鋼線であって、メッキ層および中間層におけるMn、Al、Znの組成比(平均重量%)が、Mn:0.02〜0.30、Al:8〜25、残部がZnとFe等の不可避的成分であることを特徴とする高耐食・高加工性メッキ鋼線。
  2. メッキ層および中間層におけるMnが大きな濃度変化部を有さず、メッキ層のビッカース硬度が45〜65、中間層のビッカース硬度が50〜70であることを特徴とする請求項1項記載の高耐食・高加工性メッキ鋼線。
  3. メッキ層におけるメッキ組織中の共析相が塊状に分散化し、鋼線部に向けて方向性がない共析相を有するメッキ組織であることを特徴とする請求項1または2記載の高耐食・高加工性メッキ鋼線。
  4. 線材をメッキ槽のZn−Al−Mnメッキ浴中に通して、Zn−Al−Mnメッキ層およびZn−Al−Mn−Fe中間層を有するメッキ鋼線を製造するようにしたメッキ線の製造方法であって、Zn−Al−Mnメッキ浴中のMnの浴組成を、製造されるメッキ線のZn−Al−Mnメッキ層におけるMnの付着組成の2〜5倍に調整し、このMnが高濃度のZn−Al−Mnメッキ浴中に線材を通すことで、請求項1記載のZn−Al−Mnメッキ層およびZn−Al−Mn−Fe中間層からなるメッキ線を製造するようにしたことを特徴とする高耐食・高加工性メッキ鋼線の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項記載の高耐食・高加工性メッキ鋼線を用いて、上面部のみまたは各面部を形成してあることを特徴とする金網製かご。
  6. 金網製かごは、護岸工事用のかごマット、ふとんかご、だるまかご或いは港湾築提用のマット等であることを特徴とする請求項5記載の金網製かご。
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