JP2005194542A - フェライト造粒粉の表面に金属めっき被膜を形成する方法、表面に金属めっき被膜を有するフェライト造粒粉およびこれを用いて作製された温度スイッチ素子 - Google Patents

フェライト造粒粉の表面に金属めっき被膜を形成する方法、表面に金属めっき被膜を有するフェライト造粒粉およびこれを用いて作製された温度スイッチ素子 Download PDF

Info

Publication number
JP2005194542A
JP2005194542A JP2003435159A JP2003435159A JP2005194542A JP 2005194542 A JP2005194542 A JP 2005194542A JP 2003435159 A JP2003435159 A JP 2003435159A JP 2003435159 A JP2003435159 A JP 2003435159A JP 2005194542 A JP2005194542 A JP 2005194542A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
granulated powder
ferrite
plating film
treatment
metal plating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003435159A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4375019B2 (ja
Inventor
Toshinobu Aranae
稔展 新苗
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Proterial Ltd
Original Assignee
Neomax Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Neomax Co Ltd filed Critical Neomax Co Ltd
Priority to JP2003435159A priority Critical patent/JP4375019B2/ja
Publication of JP2005194542A publication Critical patent/JP2005194542A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4375019B2 publication Critical patent/JP4375019B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Chemically Coating (AREA)
  • Hard Magnetic Materials (AREA)
  • Soft Magnetic Materials (AREA)
  • Non-Insulated Conductors (AREA)

Abstract

【課題】 有機系バインダを用いて造粒した後に熱処理することでバインダを熱分解除去して製造されてなるフェライト造粒粉の表面に、湿式めっき処理によって、金属めっき被膜を形成する方法、表面に金属めっき被膜を有するフェライト造粒粉およびこれを用いて作製された温度スイッチ素子を提供することを提供すること。
【解決手段】 造粒粉に対し、パラジウム表面活性化処理を行った後に無電解めっき処理を行い(第1工程)、さらに、パラジウム表面活性化処理を行った後に無電解めっき処理を行う(第2工程)ことを特徴とする。
【選択図】 図5


Description

本発明は、Mn−Zn系フェライトやNi−Zn系フェライトなどのソフトフェライトをはじめとする各種のフェライトを、有機系バインダを用いて造粒した後に熱処理することでバインダを熱分解除去して製造されてなる造粒粉の表面に、湿式めっき処理によって、金属めっき被膜を形成する方法、表面に金属めっき被膜を有するフェライト造粒粉およびこれを用いて作製された温度スイッチ素子に関する。
現在、自動車、OA製品、家電製品などにおいて、各種の温度センサが用いられている。温度センサには、原理として、抵抗変化を利用したもの(サーミスタ、測温抵抗体)、磁気変化を利用したもの(感温フェライト)、熱起電力を利用したもの(熱電対)、熱膨張を利用したもの(バイメタル、水銀温度計)などがあり、温度を検知する用途に応じてそれぞれが使い分けられている。
最近、新たな原理を利用した温度センサとして、キュリー点を持つように強磁性体粒子を媒体中に配した磁性体を備え、キュリー点の前後で強磁性体粒子が分散状態に変化し、この状態変化に対応してキュリー点温度より高温側では電気抵抗が大きくなり低温側では電気抵抗が小さくなる温度変化特性を持たせたものが注目されており、特許文献1と特許文献2では、このような温度センサの用途として、温度スイッチ素子が提案されている。強磁性体粒子を用いた温度スイッチ素子は、従来の温度スイッチ素子に比べ、高温環境下でも劣化せず、かつ小型で大電流容量を有するという利点がある。ここで、強磁性体粒子としては、Mn−Zn系フェライトやNi−Zn系フェライトなどのソフトフェライトを、バインダを用いて造粒してなる造粒粉が挙げられるが、このような造粒粉は非導電体であるため、これを温度スイッチ素子の製作に用いるためには、その表面に導電性物質の薄膜を形成する必要がある。特許文献1と特許文献2には、強磁性体粒子の表面に導電性物質としてAuの薄膜を形成する方法として、めっき、吸着、スパッタが記載されている。
特開平11−3641号公報 特開2000−173426号公報
フェライト造粒粉の表面に導電性物質の薄膜を形成する方法としては、湿式めっき処理が最も簡便かつ低コストで行えることから好ましい。上記の通り、特許文献1と特許文献2には、強磁性体粒子の表面にAuの薄膜をめっきによって形成することが記載されているが、これらの特許文献には、具体的な方法の開示や実施例がない。湿式めっき処理によってフェライト造粒粉のような非導電体の表面に金属めっき被膜を形成する場合、パラジウム表面活性化処理を行った後に無電解めっき処理を行うのが通常である。特開昭62−207875号公報には、フェライト粒子を含む水懸濁液と、界面活性剤を含むパラジウムヒドロゾルとを混合撹拌して粒子の表面にパラジウムコロイドを吸着させるというパラジウム表面活性化処理を行った後に無電解めっき処理を行う方法が記載されている。また、特開昭63−79975号公報には、表面を予めアルカリ土類金属塩化物または第4周期遷移金属塩の水溶液で前処理したフェライト粒子を含む水懸濁液と、界面活性剤を含むパラジウムヒドロゾルとを混合撹拌して粒子の表面にパラジウムコロイドを吸着させるというパラジウム表面活性化処理を行った後に無電解めっき処理を行う方法が記載されている。しかしながら、本発明者が、有機系バインダを用いて造粒した後に熱処理することでバインダを熱分解除去して製造されてなるフェライト造粒粉の表面に金属めっき被膜を形成しようとしたところ、これまでに知られている、パラジウム表面活性化処理を行った後に無電解めっき処理を行う方法では、造粒粉の表面に金属めっき被膜を形成することができないという問題に直面した。
そこで本発明は、この問題を解決し、有機系バインダを用いて造粒した後に熱処理することでバインダを熱分解除去して製造されてなるフェライト造粒粉の表面に、湿式めっき処理によって、金属めっき被膜を形成する方法、表面に金属めっき被膜を有するフェライト造粒粉およびこれを用いて作製された温度スイッチ素子を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の点に鑑みて鋭意検討を重ねた結果、有機系バインダを用いて造粒した後に熱処理することでバインダを熱分解除去して製造されてなるフェライト造粒粉は、温度スイッチ素子の耐久性や信頼性を向上させるためには、強磁性体粒子の強度や流動性を良くすることが必要であり、この観点から、強磁性体粒子の形状は球状であることが好ましいところ、その形状を球状とすることが容易であり、その点においては優れているものの、このような造粒粉は、1度のパラジウム表面活性化処理では、その後に行う無電解めっき処理によって金属めっき被膜を形成することができるに足る表面活性化を十分に行うことができないことを突き止めた。その理由としては、本発明者の推測によれば、フェライト造粒粉を製造する過程で有機系バインダを熱分解除去しても、造粒粉の表面には有機系バインダに由来する有機成分が微量に残存し、これがパラジウム表面活性化処理の効力、即ち、造粒粉の表面への触媒核として機能するパラジウムの吸着を阻害していることが考えられた。そこでこのような場合に通常行う解決手段、即ち、パラジウム表面活性化処理の条件(処理液組成や浴温や浸漬時間など)の最適化を試みたが、問題の解決には至らなかった。しかしながら、パラジウム表面活性化処理を行った後に無電解めっき処理を行っても金属めっき被膜を形成することができないにもかかわらずその処理を行い、さらに、パラジウム表面活性化処理を行った後に無電解めっき処理を行うことで、意外にも、造粒粉の表面に金属めっき被膜を形成することができることがわかった。
上記の知見に基づいてなされた本発明の有機系バインダを用いて造粒した後に熱処理することでバインダを熱分解除去して製造されてなるフェライト造粒粉の表面に金属めっき被膜を形成する方法は、請求項1記載の通り、造粒粉に対し、パラジウム表面活性化処理を行った後に無電解めっき処理を行い(第1工程)、さらに、パラジウム表面活性化処理を行った後に無電解めっき処理を行う(第2工程)ことを特徴とする。
また、請求項2記載の方法は、請求項1記載の方法において、第1工程と第2工程の無電解めっき処理を同一の金属種を用いて行うことを特徴とする。
また、請求項3記載の方法は、請求項2記載の方法において、金属種がNi,Cu,Agから選ばれるいずれか1つであることを特徴とする。
また、請求項4記載の方法は、請求項1乃至3のいずれかに記載の方法において、有機系バインダがポリビニルアルコールであることを特徴とする。
また、本発明のフェライト造粒粉は、請求項5記載の通り、有機系バインダを用いて造粒した後に熱処理することでバインダを熱分解除去して製造されてなり、かつ、表面に金属めっき被膜を有してなることを特徴とする。
また、請求項6記載のフェライト造粒粉は、請求項5記載のフェライト造粒粉において、金属めっき被膜が請求項1記載の方法によって形成されてなることを特徴とする。
また、請求項7記載のフェライト造粒粉は、請求項5または6記載のフェライト造粒粉において、金属めっき被膜の膜厚が0.5〜3μmであることを特徴とする。
また、請求項8記載のフェライト造粒粉は、請求項5乃至7のいずれかに記載のフェライト造粒粉において、フェライト造粒粉の平均粒径が20〜300μmであることを特徴とする。
また、請求項9記載のフェライト造粒粉は、請求項5乃至8のいずれかに記載のフェライト造粒粉において、フェライトがソフトフェライトであることを特徴とする。
また、本発明の温度スイッチ素子は、請求項10記載の通り、請求項9記載のフェライト造粒粉を用いて製作されてなることを特徴とする。
本発明の有機系バインダを用いて造粒した後に熱処理することでバインダを熱分解除去して製造されてなるフェライト造粒粉の表面に金属めっき被膜を形成する方法は、造粒粉に対し、パラジウム表面活性化処理を行った後に無電解めっき処理を行い(第1工程)、さらに、パラジウム表面活性化処理を行った後に無電解めっき処理を行う(第2工程)ことを特徴とするものである。本発明によれば、第1工程にて、第2工程でパラジウム表面活性化処理を行った後に無電解めっき処理を行うことで造粒粉の表面に金属めっき被膜を形成することができるだけの素地作りを行うので、その後に第2工程を行うことで、造粒粉の表面に金属めっき被膜を確実に形成することができる。
本発明の方法を適用することができる、有機系バインダを用いて造粒した後に熱処理することでバインダを熱分解除去して製造されてなるフェライト造粒粉を構成するフェライトとしては、Mn−Zn系フェライトやNi−Zn系フェライトなどのソフトフェライトが挙げられるが、本発明の方法はハードフェライトに適用することもできる。造粒に用いる有機系バインダとしては、強度や流動性に優れる造粒粉を製造することができることから、ポリビニルアルコールを好適に用いることができる。
有機系バインダを用いて造粒した後に熱処理することでバインダを熱分解除去して製造されてなるフェライト造粒粉は、自体公知の方法で製造されてなるものでよく、例えば、温度スイッチ素子の製作に強磁性体粒子として用いることができるソフトフェライト造粒粉としては、平均粒径が0.01〜10μmの原料粉を、容器に入れ、容器や回転板の回転、あるいは熱風の吹込みにより原料粉を流動状態にしておき、そこへバインダ液を噴霧して行う流動造粒によって作製される造粒体や、原料粉をバインダ液に混合、攪拌してスラリーとし、これを熱風中に噴霧して瞬時に乾燥させて行う噴霧乾燥(spray drying)によって作製される造粒体を、不活性ガス雰囲気や窒素ガス雰囲気において900〜1300℃で1〜10時間熱処理することでバインダを熱分解除去して製造されてなる平均粒径が20〜300μmのものが挙げられる。なお、造粒体の作製は、より球状に近く、流動性に優れた造粒体が得られることから、噴霧乾燥によって行うことが好ましい。
フェライト造粒粉に対する第1工程と第2工程におけるパラジウム表面活性化処理は、造粒粉の表面にパラジウムを吸着させるための自体公知の方法で行うことができる。簡便には、例えば、浴温10〜70℃の、塩化パラジウムと塩酸を用いた公知の組成の処理液(パラジウムコロイド溶液)に、造粒粉を1〜10分間浸漬することで行えばよい。
パラジウム表面活性化処理を行った後のフェライト造粒粉は、濾過して水洗を行い、次いで、無電解めっき処理に付す。無電解めっき処理はどのような金属種を用いて行ってもよく、Ni,Cu,Au,Agなどを用いることができる。第1工程と第2工程における無電解めっき処理を同一の金属種を用いて行うようにすれば、準備するめっき浴は1つで済むという利点がある。好適な金属種としては、Ni,Cu,Agから選ばれるいずれか1つが挙げられる。
無電解Niめっき処理を行う場合、使用するNiめっき処理液は特段制限されるものではないが、例えば、硫酸ニッケル水溶液に、錯化剤(乳酸、ヒドロキシ酢酸、コハク酸、サリチル酸、グリシン、フタル酸、酒石酸など)、還元剤(次亜リン酸ナトリウムなど)、緩衝剤(酢酸、プロピオン酸などのモノカルボン酸など)などを添加して調製した処理液が挙げられる。浴温を20〜100℃に調整した処理液にパラジウム表面活性化処理を行ったフェライト造粒粉を浸漬し、5〜120分間攪拌することで、第1工程においては第2工程でパラジウム表面活性化処理を行った後に無電解めっき処理を行うことで造粒粉の表面に金属めっき被膜を形成することができるだけのNi素地を、第2工程においてはNiめっき被膜を形成することができる。
無電解Cuめっき処理を行う場合、使用するCuめっき処理液は特段制限されるものではないが、例えば、硫酸銅水溶液に、錯化剤(エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン、ロッセル塩など)、還元剤(ホルムアルデヒドなど)、安定剤(2−メルカプトベンゾチアゾール、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、チオ尿素、ロダニン、α,α’−ジピリジルなど)などを添加して調製した処理液が挙げられる。浴温を20〜70℃に調整した処理液にパラジウム表面活性化処理を行ったフェライト造粒粉を浸漬し、5〜120分間攪拌することで、第1工程においては第2工程でパラジウム表面活性化処理を行った後に無電解めっき処理を行うことで造粒粉の表面に金属めっき被膜を形成することができるだけのCu素地を、第2工程においてはCuめっき被膜を形成することができる。
無電解Agめっき処理を行う場合、使用するAgめっき処理液は特段制限されるものではないが、例えば、Ag塩として、シアン化銀、硝酸銀、シアン化銀ナトリウムなどを使用し、錯化剤として、アンモニア、アンモニア水、シアン化カリウム、シアン化ナトリウムなどを使用し、還元剤として、グルコース、転化糖、ホルムアルデヒド、デキストリン、グリオキサール、アスコルビン酸塩、ソルビトール、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボランなどを使用し、安定剤として、3−ヨードチロシン、3,5−ジヨードチロシンなどを使用して調製した処理液が挙げられる。浴温を20〜100℃に調整した処理液にパラジウム表面活性化処理を行ったフェライト造粒粉を浸漬し、5〜120分間攪拌することで、第1工程においては第2工程でパラジウム表面活性化処理を行った後に無電解めっき処理を行うことで造粒粉の表面に金属めっき被膜を形成することができるだけのAg素地を、第2工程においてはAgめっき被膜を形成することができる。
本発明の方法によってフェライト造粒粉の表面に形成する金属めっき被膜の膜厚は特段制限されるものではないが、温度スイッチ素子の製作に強磁性体粒子として用いるソフトフェライト造粒粉の表面に形成する金属めっき被膜の膜厚は0.5〜3μmが好ましい。金属めっき被膜の膜厚は処理液への浸漬時間によって調整することができる。
なお、本発明の方法によってフェライト造粒粉の表面に形成された金属めっき被膜の表面にさらに自体公知の被膜を自体公知の方法で形成してもよい。
以下、本発明を実施例と比較例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定して解釈されるものではない。
(実施例1)
自体公知の方法で製造した平均粒径が0.2μmのMn−Zn系フェライト原料粉と有機系バインダとしてポリビニルアルコールを用い、噴霧乾燥によって造粒体を作製し、窒素ガス雰囲気において1100℃で10時間熱処理することでバインダを熱分解除去して平均粒径が100μmの球状のMn−Zn系フェライト造粒粉を製造した。
上記の方法で製造したMn−Zn系フェライト造粒粉1gを、浴温25℃のパラジウムコロイド溶液(上村工業社製AT−450を水で100mL/Lに希釈したもの)60mLに2分間浸漬することで、造粒粉に対してパラジウム表面活性化処理を行った後、濾過して水洗した。次いで、Cuめっき処理液として上村工業社製スルカップPEA(商品名)300mLを浴温36℃に調整し、ここにパラジウム表面活性化処理を行った造粒粉を浸漬し、10分間攪拌することにより無電解Cuめっき処理を行い、濾過して水洗後、空気乾燥した。このような第1工程を行った後の造粒粉は行う前の造粒粉と何らの外観変化はなく、その表面にはCuめっき被膜は形成されていなかった(表面観察による)。続いて、第2工程を行うべく、第1工程を行った造粒粉を第1工程と同じ浴温25℃のパラジウムコロイド溶液に5分間浸漬することで、造粒粉に対してパラジウム表面活性化処理を行った後、濾過して水洗した。次いで、第1工程と同じ浴温36℃のCuめっき処理液にパラジウム表面活性化処理を行った造粒粉を浸漬し、90分間攪拌することにより無電解Cuめっき処理を行い、濾過して水洗後、空気乾燥した。第1工程を行う前の造粒粉のEPMA分析による表面2次電子像を図1に示す。また、第2工程を行った後の造粒粉のEPMA分析による表面2次電子像を図2に、断面2次電子像を図3に、断面鉄X線像を図4に、断面銅X線像を図5に示す。図1〜図5から明らかなように、第1工程と第2工程を行うことで、Mn−Zn系フェライト造粒粉の表面に膜厚が1μm程度の非常に均一なCuめっき被膜を形成することができた。
こうして得られた表面にCuめっき被膜を有するMn−Zn系フェライト造粒粉を用い、特許文献2に記載の方法に従って、耐久性や信頼性に優れる温度スイッチ素子を製作した。
(実施例2)
実施例1で製造したMn−Zn系フェライト造粒粉と同じ造粒粉1gを、浴温25℃のパラジウムコロイド溶液(上村工業社製AT−450を水で100mL/Lに希釈したもの)60mLに2分間浸漬することで、造粒粉に対してパラジウム表面活性化処理を行った後、濾過して水洗した。次いで、Niめっき処理液として上村工業社製ニムデンLPX(商品名)300mLを浴温80℃に調整し、ここにパラジウム表面活性化処理を行った造粒粉を浸漬し、30分間攪拌することにより無電解Niめっき処理を行い、濾過して水洗後、空気乾燥した。続いて、第2工程を行うべく、第1工程を行った造粒粉を第1工程と同じ浴温25℃のパラジウムコロイド溶液に5分間浸漬することで、造粒粉に対してパラジウム表面活性化処理を行った後、濾過して水洗した。次いで、第1工程と同じ浴温80℃のNiめっき処理液にパラジウム表面活性化処理を行った造粒粉を浸漬し、90分間攪拌することにより無電解Niめっき処理を行い、濾過して水洗後、空気乾燥した。その結果、造粒粉の表面に膜厚が1μm程度の非常に均一なNiめっき被膜を形成することができた(EPMA分析による)。
(実施例3)
自体公知の方法で製造した平均粒径が0.2μmのNi−Zn系フェライト原料粉と有機系バインダとしてポリビニルアルコールを用い、噴霧乾燥によって造粒体を作製し、窒素ガス雰囲気において1100℃で10時間熱処理することでバインダを熱分解除去して平均粒径が100μmの球状のNi−Zn系フェライト造粒粉を製造した。この造粒粉1gに対し、実施例1と全て同じ方法でその表面にCuめっき被膜を形成した。その結果、造粒粉の表面に膜厚が1μm程度の非常に均一なCuめっき被膜を形成することができた(EPMA分析による)。
(実施例4)
実施例3で製造したNi−Zn系フェライト造粒粉と同じ造粒粉1gに対し、実施例2と全て同じ方法でその表面にNiめっき被膜を形成した。その結果、造粒粉の表面に膜厚が1μm程度の非常に均一なNiめっき被膜を形成することができた(EPMA分析による)。
(比較例1)
実施例1で製造したMn−Zn系フェライト造粒粉と同じ造粒粉1gに対し、実施例1の第2工程と同じ工程を行い、造粒粉の表面にCuめっき被膜を形成することを試みたが、Cuめっき被膜を形成することはできなかった(表面観察による)。
(比較例2)
特開昭63−79975号公報に記載の方法に従い、実施例1で製造したMn−Zn系フェライト造粒粉と同じ造粒粉1gを、0.1Mの硫酸銅水溶液(浴温25℃)300mLに10分間浸漬した後、濾過して水洗した。この処理を行った造粒粉に対し、実施例1の第2工程と同じ工程を行い、造粒粉の表面にCuめっき被膜を形成することを試みたが、Cuめっき被膜は形成できなかった(表面観察による)。
(比較例3)
実施例1で製造したMn−Zn系フェライト造粒粉と同じ造粒粉1gに対し、実施例1の第1工程におけるパラジウム表面活性化処理と同じ処理を行い、濾過して水洗した。この処理を行った造粒粉に対し、比較例2と同じ方法で造粒粉の表面にCuめっき被膜を形成することを試みたが、Cuめっき被膜は形成できなかった(表面観察による)。
(比較例4)
実施例1で製造したMn−Zn系フェライト造粒粉と同じ造粒粉1gに対し、実施例1の第1工程におけるパラジウム表面活性化処理と同じ処理を行い、濾過して水洗した。この処理を行った造粒粉1gを、ホルムアルデヒド1.5mLを添加した0.1Mの硫酸銅水溶液(浴温25℃)300mLに10分間浸漬した後、濾過して水洗した。この処理を行った造粒粉に対し、実施例1の第2工程と同じ工程を行い、造粒粉の表面にCuめっき被膜を形成することを試みたが、Cuめっき被膜は形成できなかった(表面観察による)。
本発明は、Mn−Zn系フェライトやNi−Zn系フェライトなどのソフトフェライトをはじめとする各種のフェライトを、有機系バインダを用いて造粒した後に熱処理することでバインダを熱分解除去して製造されてなる造粒粉の表面に、湿式めっき処理によって、金属めっき被膜を形成する方法、表面に金属めっき被膜を有するフェライト造粒粉およびこれを用いて作製された温度スイッチ素子を提供することができる点において産業上の利用可能性を有する。
実施例1における第1工程を行う前の造粒粉のEPMA分析による表面2次電子像である。 実施例1における第2工程を行った後の造粒粉のEPMA分析による表面2次電子像である。 同、断面2次電子像である。 同、断面鉄X線像である。 同、断面銅X線像である。

Claims (10)

  1. 有機系バインダを用いて造粒した後に熱処理することでバインダを熱分解除去して製造されてなるフェライト造粒粉の表面に金属めっき被膜を形成する方法であって、造粒粉に対し、パラジウム表面活性化処理を行った後に無電解めっき処理を行い(第1工程)、さらに、パラジウム表面活性化処理を行った後に無電解めっき処理を行う(第2工程)ことを特徴とする方法。
  2. 第1工程と第2工程の無電解めっき処理を同一の金属種を用いて行うことを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 金属種がNi,Cu,Agから選ばれるいずれか1つであることを特徴とする請求項2記載の方法。
  4. 有機系バインダがポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
  5. 有機系バインダを用いて造粒した後に熱処理することでバインダを熱分解除去して製造されてなり、かつ、表面に金属めっき被膜を有してなることを特徴とするフェライト造粒粉。
  6. 金属めっき被膜が請求項1記載の方法によって形成されてなることを特徴とする請求項5記載のフェライト造粒粉。
  7. 金属めっき被膜の膜厚が0.5〜3μmであることを特徴とする請求項5または6記載のフェライト造粒粉。
  8. フェライト造粒粉の平均粒径が20〜300μmであることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載のフェライト造粒粉。
  9. フェライトがソフトフェライトであることを特徴とする請求項5乃至8のいずれかに記載のフェライト造粒粉。
  10. 請求項9記載のフェライト造粒粉を用いて製作されてなることを特徴とする温度スイッチ素子。
JP2003435159A 2003-12-26 2003-12-26 フェライト造粒粉の表面に金属めっき被膜を形成する方法 Expired - Lifetime JP4375019B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003435159A JP4375019B2 (ja) 2003-12-26 2003-12-26 フェライト造粒粉の表面に金属めっき被膜を形成する方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003435159A JP4375019B2 (ja) 2003-12-26 2003-12-26 フェライト造粒粉の表面に金属めっき被膜を形成する方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005194542A true JP2005194542A (ja) 2005-07-21
JP4375019B2 JP4375019B2 (ja) 2009-12-02

Family

ID=34815359

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003435159A Expired - Lifetime JP4375019B2 (ja) 2003-12-26 2003-12-26 フェライト造粒粉の表面に金属めっき被膜を形成する方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4375019B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009263743A (ja) * 2008-04-28 2009-11-12 Fuji Electric Device Technology Co Ltd 磁性材料への無電解めっきの前処理方法
JP2012036426A (ja) * 2010-08-04 2012-02-23 C Uyemura & Co Ltd 無電解めっき方法及びled実装用基板
WO2013147405A1 (en) * 2012-03-30 2013-10-03 Lg Electronics Inc. Method of preparing nanocomposite magnet using electroless or electro deposition method
WO2020158520A1 (ja) * 2019-01-29 2020-08-06 パウダーテック株式会社 電極形成材料、電極の製造方法及び電極
WO2020158519A1 (ja) * 2019-01-29 2020-08-06 パウダーテック株式会社 フェライト複合粉末、フェライト成型体の製造方法、フェライト焼結体の製造方法、成型体、及び焼結体
JP2021014615A (ja) * 2019-07-12 2021-02-12 奥野製薬工業株式会社 無電解めっきの前処理のための組成物

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009263743A (ja) * 2008-04-28 2009-11-12 Fuji Electric Device Technology Co Ltd 磁性材料への無電解めっきの前処理方法
JP2012036426A (ja) * 2010-08-04 2012-02-23 C Uyemura & Co Ltd 無電解めっき方法及びled実装用基板
WO2013147405A1 (en) * 2012-03-30 2013-10-03 Lg Electronics Inc. Method of preparing nanocomposite magnet using electroless or electro deposition method
KR20130111036A (ko) * 2012-03-30 2013-10-10 엘지전자 주식회사 무전해 또는 전해 증착법을 이용한 나노복합 자석의 제조방법
KR101649653B1 (ko) 2012-03-30 2016-08-19 엘지전자 주식회사 무전해 또는 전해 증착법을 이용한 나노복합 자석의 제조방법
WO2020158520A1 (ja) * 2019-01-29 2020-08-06 パウダーテック株式会社 電極形成材料、電極の製造方法及び電極
WO2020158519A1 (ja) * 2019-01-29 2020-08-06 パウダーテック株式会社 フェライト複合粉末、フェライト成型体の製造方法、フェライト焼結体の製造方法、成型体、及び焼結体
JPWO2020158520A1 (ja) * 2019-01-29 2021-12-02 パウダーテック株式会社 電極形成材料、電極の製造方法及び電極
JP7240011B2 (ja) 2019-01-29 2023-03-15 パウダーテック株式会社 電極形成材料、電極の製造方法及び電極
JP2021014615A (ja) * 2019-07-12 2021-02-12 奥野製薬工業株式会社 無電解めっきの前処理のための組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP4375019B2 (ja) 2009-12-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA1045310A (en) Method and composition for treating polymeric substrates prior to plating
US2690401A (en) Chemical nickel plating on nonmetallic materials
JP4375019B2 (ja) フェライト造粒粉の表面に金属めっき被膜を形成する方法
WO2016039016A1 (ja) 無電解ニッケル又はニッケル合金メッキ用のニッケルコロイド触媒液並びに無電解ニッケル又はニッケル合金メッキ方法
CN103993299A (zh) 一种纳米多孔金属材料的制备方法
US6586047B2 (en) Process for plating particulate matter
Sudagar et al. Electroless deposition of nanolayered metallic coatings
JPH0293076A (ja) 無電解メッキに利用される微細な金属体の製造方法
JPH0262007A (ja) 粒状磁性材料およびその製造方法
CN103871540B (zh) 一种导电橡胶用镍包玻璃导电粉体及其制备方法
JP2007126743A (ja) 無電解めっき用前処理方法及び無電解めっき皮膜の形成方法
KR100760254B1 (ko) 무전해 도금방법, 및 도금피막이 형성된 비도전성 피도금물
JPH02116631A (ja) フェライト膜の形成方法
CN103752845B (zh) 镍或镍合金纳米穿孔球及其制备方法
JP2531588B2 (ja) 強磁性を有する金属担持粒子の製造法
CA1058457A (en) Process for sensitizing surface of nonmetallic article for electroless deposition
JP7012982B2 (ja) 無電解ニッケル-リンめっき浴
JPH0258353B2 (ja)
US4132832A (en) Method of applying dispersions for activating non-conductors for electroless plating and article
CN113929312A (zh) 一种无需贵金属活化在玻璃表面镀镍的方法
JPH0762549A (ja) 無電解パラジウムめっき液
JP2005200732A (ja) 複合めっき物とその製造方法
Chen et al. A facial microwave-assisted polyol activation process for fabrication of Ni@ PMMA microspheres
JP2005047752A (ja) 酸化亜鉛膜の皮膜構造の制御方法
CN112501596A (zh) 一种钛表面化学镀镍前无氟无钯银活化方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060928

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20070606

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080523

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080617

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090519

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090716

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090818

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090831

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4375019

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120918

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130918

Year of fee payment: 4

EXPY Cancellation because of completion of term