JP2005194450A - アゾ金属錯体色素、着色組成物およびインク - Google Patents

アゾ金属錯体色素、着色組成物およびインク Download PDF

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Abstract

【課題】良好な色相を有し、光及び環境中の活性ガス、特にオゾンガスに対する堅牢性および耐水性の高い着色画像を形成することができる色素を提供する。
【解決手段】 下記一般式(1)で表される色素。
【化1】
Figure 2005194450

上記一般式(1)中;
A、BおよびCは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の芳香族基または置換もしくは無置換の複素環基を表す(AおよびCは1価の基であり、Bは2価の基である)。ただし、A、BまたはCは、少なくとも1つの金属イオンに結合できる置換基によって置換されている。Mは、金属イオンを表し、上記金属イオンに結合できる置換基に結合している。mはアゾ色素部分に結合しているMの数を表す。
【選択図】 なし

Description

本発明は、新規なアゾ金属錯体色素、着色組成物およびインクならびにインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方法は、材料費が安価であること、高速記録が可能なこと、記録時の騒音が少ないこと、更にカラー記録が容易であることから、急速に普及し、更に発展しつつある。
インクジェット記録方法には、連続的に液滴を飛翔させるコンティニュアス方式と画像情報信号に応じて液滴を飛翔させるオンデマンド方式が有り、その吐出方式にはピエゾ素子により圧力を加えて液滴を吐出させる方式、熱によりインク中に気泡を発生させて液滴を吐出させる方式、超音波を用いた方式、あるいは静電力により液滴を吸引吐出させる方式がある。また、インクジェット記録用インクとしては、水性インク、油性インク、あるいは固体(溶融型)インクが用いられる。
このようなインクジェット記録用インクに用いられる着色剤に対しては、溶剤に対する溶解性あるいは分散性が良好なこと、高濃度記録が可能であること、色相が良好であること、光、熱、環境中の活性ガス(NOx、オゾン等の酸化性ガスの他SOxなど)に対して堅牢であること、水や薬品に対する堅牢性に優れていること、受像材料に対して定着性が良く滲みにくいこと、インクとしての保存性に優れていること、毒性がないこと、純度が高いこと、更には、安価に入手できることが要求されている。しかしながら、これらの要求を高いレベルで満たす色素を捜し求めることは、極めて難しい。
色相の良好なアゾ色素として、特許文献1(特開2003−306623号公報)に開示された色素が知られているが、さらなるオゾンガスおよび光堅牢性の改良が求められている。
特開2003−306623号公報
本発明は、上記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、良好な色相を有し、光及び環境中の活性ガス、特にオゾンガスに対する堅牢性および耐水性の高い着色画像を形成することができる色素、インクおよびインクジェット記録方法の提供にある。
本発明者らは、良好な色相を有し、光および環境中の活性ガス、特にオゾンガスに対する堅牢性に優れ、かつ耐水性に優れた色素を目指して各種色素化合物誘導体を詳細に検討したところ、下記一般式(1)で表される色素を含有するインクによって上記問題点を解決可能であることを見出した。
即ち、発明によれば下記構成のインク、インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法が提供されて、本発明の上記目的が達成される。
1.下記一般式(1)で表される色素。
Figure 2005194450
上記一般式(1)中;
A、BおよびCは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の芳香族基または置換もしくは無置換の複素環基を表す(AおよびCは1価の基であり、Bは2価の基をである)。ただし、A、BまたはCは、少なくとも1つの金属イオンに結合できる置換基によって置換されている。Mは、金属イオンを表し、金属イオンに結合できる上記置換基に結合している。mはアゾ色素部分に結合しているMの数を表す。
2.一般式(1)のCが、置換もしくは無置換の1価の複素環基であることを特徴とする上記1に記載の色素。
3.一般式(1)のBが、置換もしくは無置換の2価の複素環基であることを特徴とする上記1および2に記載の色素。
4.一般式(1)で表される色素が、下記一般式(2)で表されることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の色素。
Figure 2005194450
上記一般式(2)中;
1は水素原子または置換基を表す。Xは、−CR2=または窒素原子を表し、Xが−CR2 =である場合のR2は置換基を表す。M2、m2は一般式(1)のM、mと同義である。
5.一般式(2)で表される色素が、下記一般式(3)で表されることを特徴とする上記4に記載の色素。
Figure 2005194450
上記一般式(3)中;
1およびB2は、それぞれ=CR5−および−CR6=を表すか、あるいはいずれか一方が窒素原子、他方が=CR5−または−CR6=を表す。
G、R5、R6は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキル及びアリール及び複素環アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキル及びアリールチオ基、複素環チオ基、アルキル及びアリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキル及びアリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、またはスルホ基を表し、各基は更に置換されていても良い。
3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルまたはアリールスルホニル基またはスルファモイル基を表し、各基は更に置換基を有していても良い。ただし、R3とR4が共に水素原子であることはない。
3、m3は一般式(1)のM、mと同義である。前記金属イオンの金属としては、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛が好ましい。
6.上記一般式(1)から一般式(3)で表される色素分子中に少なくとも1つのイオン性親水性基を有する色素を少なくとも1種含有することを特徴とする色素。
7.上記1〜6のいずれか一項に記載の色素を少なくとも一種含有することを特徴とする、着色組成物またはインク(好ましくは水性インク)またはインクジェット用インク。
8.支持体上に白色無機顔料粒子を含有するインク受容層を有する受像材料上に、上記7に記載のインクジェット記録用インクを用いて画像形成することを特徴とするインクジェット記録方法。
本発明のインクは、良好な色相を有し、堅牢性および耐水性に優れた着色画像や着色材料を与えることができる。特に、本発明のインクを用いたインクジェット記録方法は、良好な色相を有し、光および環境中の活性ガス、特にオゾンガスに対する堅牢性が高く、耐水性に優れた画像を形成することができる。
以下本発明について詳細に説明する。本発明における一般式(1)、その下位概念である一般式(2)および一般式(3)で表される色素について詳細に説明する。まず、これら一般式の基や置換基について説明する。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられる。
本明細書において、脂肪族基は、アルキル基、置換アルキル基(アラルキル基および置換アラルキル基を含む)、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基を意味する。脂肪族基は分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜16であることがさらに好ましい。アラルキル基および置換アラルキル基のアリール部分はフェニル基またはナフチル基であることが好ましく、フェニル基が特に好ましい。脂肪族基の例には、メチル基、エチル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ヒドロキシエチル基、メトキシエチル基、シアノエチル基、トリフルオロメチル基、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、2−フェネチル基、ビニル基、およびアリル基を挙げることができる。
本明細書において、1価の芳香族基はアリール基および置換アリール基を意味する。アリール基は、フェニル基またはナフチル基であることが好ましく、フェニル基が特に好ましい。1価の芳香族基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6から16がさらに好ましい。1価の芳香族基の例には、フェニル基、p−トリル基、p−メトキシフェニル基、o−クロロフェニル基およびm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニル基が含まれる。2価の芳香族基は、これらの1価の芳香族基を2価にしたものであり、その例にはとしてフェニレン基、p−トリレン基、p−メトキシフェニレン基、o−クロロフェニレン基およびm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニレン基、ナフチレン基などが含まれる。
複素環基には、置換基を有する複素環基および無置換の複素環基が含まれる。複素環に脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。複素環基としては、5員または6員環の複素環基が好ましく、複素環のヘテロ原子としてはN、O、およびSをあげることができる。上記置換基の例には、脂肪族基、ハロゲン原子、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アシルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、イオン性親水性基などが含まれる。複素環基の例には、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−ベンゾオキサゾリル基および2−フリル基が含まれる。
カルバモイル基には、置換基を有するカルバモイル基および無置換のカルバモイル基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル基およびジメチルカルバモイル基が含まれる。
アルコキシカルボニル基には、置換基を有するアルコキシカルボニル基および無置換のアルコキシカルボニル基が含まれる。アルコキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル基およびエトキシカルボニル基が含まれる。
アリールオキシカルボニル基には、置換基を有するアリールオキシカルボニル基および無置換のアリールオキシカルボニル基が含まれる。アリールオキシカルボニル基としては、炭素原子数が7〜20のアリールオキシカルボニル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アリールオキシカルボニル基の例には、フェノキシカルボニル基が含まれる。
複素環オキシカルボニル基には、置換基を有する複素環オキシカボニル基および無置換の複素環オキシカルボニル基が含まれる。複素環オキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜20の複素環オキシカルボニル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記複素環オキシカルボニル基の例には、2−ピリジルオキシカルボニル基が含まれる。
アシル基には、置換基を有するアシル基および無置換のアシル基が含まれる。前記アシル基としては、炭素原子数が1〜20のアシル基が好ましい。上記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。上記アシル基の例には、アセチル基およびベンゾイル基が含まれる。
アルコキシ基には、置換基を有するアルコキシ基および無置換のアルコキシ基が含まれる。アルコキシ基としては、炭素原子数が1〜20のアルコキシ基が好ましい。置換基の例には、アルコキシ基、ヒドロキシル基、およびイオン性親水性基が含まれる。上記アルコキシ基の例には、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、メトキシエトキシ基、ヒドロキシエトキシ基および3−カルボキシプロポキシ基が含まれる。
アリールオキシ基には、置換基を有するアリールオキシ基および無置換のアリールオキシ基が含まれる。アリールオキシ基としては、炭素原子数が6〜20のアリールオキシ基が好ましい。上記置換基の例には、アルコキシ基およびイオン性親水性基が含まれる。上記アリールオキシ基の例には、フェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基およびo−メトキシフェノキシ基が含まれる。
複素環オキシ基には、置換基を有する複素環オキシ基および無置換の複素環オキシ基が含まれる。上記複素環オキシ基としては、炭素原子数が2〜20の複素環オキシ基が好ましい。上記置換基の例には、アルキル基、アルコキシ基、およびイオン性親水性基が含まれる。上記複素環オキシ基の例には、3−ピリジルオキシ基、3−チエニルオキシ基が含まれる。
シリルオキシ基としては、炭素原子数が1〜20の脂肪族基、芳香族基が置換したシリルオキシ基が好ましい。シリルオキシ基の例には、トリメチルシリルオキシ基、ジフェニルメチルシリルオキシ基が含まれる。
アシルオキシ基には、置換基を有するアシルオキシ基および無置換のアシルオキシ基が含まれる。アシルオキシ基としては、炭素原子数1〜20のアシルオキシ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アシルオキシ基の例には、アセトキシ基およびベンゾイルオキシ基が含まれる。
カルバモイルオキシ基には、置換基を有するカルバモイルオキシ基および無置換のカルバモイルオキシ基が含まれる。置換基の例には、アルキル基が含まれる。カルバモイルオキシ基の例には、N−メチルカルバモイルオキシ基が含まれる。
アルコキシカルボニルオキシ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルオキシ基および無置換のアルコキシカルボニルオキシ基が含まれる。アルコキシカルボニルオキシ基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニルオキシ基が好ましい。アルコキシカルボニルオキシ基の例には、メトキシカルボニルオキシ基、イソプロポキシカルボニルオキシ基が含まれる。
アリールオキシカルボニルオキシ基には、置換基を有するアリールオキシカルボニルオキシ基および無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基が含まれる。アリールオキシカルボニルオキシ基としては、炭素原子数が7〜20のアリールオキシカルボニルオキシ基が好ましい。アリールオキシカルボニルオキシ基の例には、フェノキシカルボニルオキシ基が含まれる。
アミノ基には、アルキル基、アリール基または複素環基で置換されたアミノ基が含まれ、アルキル基、アリール基および複素環基はさらに置換基を有していてもよい。アルキルアミノ基としては、炭素原子数1〜20のアルキルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルキルアミノ基の例には、メチルアミノ基およびジエチルアミノ基が含まれる。アリールアミノ基には、置換基を有するアリールアミノ基および無置換のアリールアミノ基、さらにはアニリノ基が含まれる。アリールアミノ基としては、炭素原子数が6〜20のアリールアミノ基が好ましい。置換基の例としては、ハロゲン原子、およびイオン性親水性基が含まれる。アリールアミノ基の例としては、フェニルアミノ基および2−クロロフェニルアミノ基が含まれる。複素環アミノ基には、置換基を有する複素環アミノ基および無置換の複素環アミノ基が含まれる。複素環アミノ基としては、炭素数2〜20個の複素環アミノ基が好ましい。置換基の例としては、アルキル基、ハロゲン原子、およびイオン性親水性基が含まれる。
アシルアミノ基には、置換基を有するアシルアミノ基および無置換基のアシルアミノ基が含まれる。前記アシルアミノ基としては、炭素原子数が2〜20のアシルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アシルアミノ基の例には、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、N-フェニルアセチルアミノおよび3,5−ジスルホベンゾイルアミノ基が含まれる。
ウレイド基には、置換基を有するウレイド基および無置換のウレイド基が含まれる。ウレイド基としては、炭素原子数が1〜20のウレイド基が好ましい。置換基の例には、アルキル基およびアリール基が含まれる。ウレイド基の例には、3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基および3−フェニルウレイド基が含まれる。
スルファモイルアミノ基には、置換基を有するスルファモイルアミノ基および無置換のスルファモイルアミノ基が含まれる。置換基の例には、アルキル基が含まれる。スルファモイルアミノ基の例には、N, N−ジプロピルスルファモイルアミノ基が含まれる。
アルコキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルアミノ基および無置換のアルコキシカルボニルアミノ基が含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、エトキシカルボニルアミノ基が含まれる。
アリールオキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアリールオキシカボニルアミノ基および無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基が含まれる。アリールオキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が7〜20のアリールオキシカルボニルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アリールオキシカルボニルアミノ基の例には、フェノキシカルボニルアミノ基が含まれる。
アルキル及びアリールスルホニルアミノ基には、置換基を有するアルキル及びアリールスルホニルアミノ基、および無置換のアルキル及びアリールスルホニルアミノ基が含まれる。スルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜20のスルホニルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。これらスルホニルアミノ基の例には、メチルスルホニルアミノ基、N-フェニル-メチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、および3−カルボキシフェニルスルホニルアミノ基が含まれる。
複素環スルホニルアミノ基には、置換基を有する複素環スルホニルアミノ基および無置換の複素環スルホニルアミノ基が含まれる。複素環スルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜12の複素環スルホニルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。複素環スルホニルアミノ基の例には、2−チオフェンスルホニルアミノ基、3−ピリジンスルホニルアミノ基が含まれる。
複素環スルホニル基には、置換基を有する複素環スルホニル基および無置換の複素環スルホニル基が含まれる。複素環スルホニル基としては、炭素原子数が1〜20の複素環スルホニル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。複素環スルホニル基の例には、2−チオフェンスルホニル基、3−ピリジンスルホニル基が含まれる。
複素環スルフィニル基には、置換基を有する複素環スルフィニル基および無置換の複素環スルフィニル基が含まれる。複素環スルフィニル基としては、炭素原子数が1〜20の複素環スルフィニル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。複素環スルフィニル基の例には、4−ピリジンスルフィニル基が含まれる。
アルキル、アリール及び複素環チオ基には、置換基を有するアルキル、アリール及び複素環チオ基と無置換のアルキル、アリール及び複素環チオ基が含まれる。アルキル、アリール及び複素環チオ基としては、炭素原子数が1から20のものが好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルキル、アリール及び複素環チオ基の例には、メチルチオ基、フェニルチオ基、2−ピリジルチオ基が含まれる。
アルキルおよびアリールスルホニル基には、置換基を有するアルキルおよびアリールスルホニル基、無置換のアルキルおよびアリールスルホニル基が含まれる。アルキルおよびアリールスルホニル基の例としては、それぞれメチルスルホニル基およびフェニルスルホニル基を挙げることができる。
アルキルおよびアリールスルフィニル基には、置換基を有するアルキルおよびアリールスルフィニル基、無置換のアルキルおよびアリールスルフィニル基が含まれる。アルキルおよびアリールスルフィニル基の例としては、それぞれメチルスルフィニル基およびフェニルスルフィニル基を挙げることができる。
スルファモイル基には、置換基を有するスルファモイル基および無置換のスルファモイル基が含まれる。置換基の例には、アルキル基が含まれる。スルファモイル基の例には、ジメチルスルファモイル基およびジ−(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基が含まれる。
次に、一般式(1)、(2)および一般式(3)について説明する。以下の説明において、基、置換基は、既に説明したことが適用される。
一般式(1)において、A、B、Cは、それぞれ独立して、置換されていてもよい芳香族基(A、Cは1価の芳香族基、例えばアリール基;Bは2価の芳香族基、例えばアリーレン基)または置換されていてもよい複素環基(A、Cは1価の複素環基;Bは2価の複素環基)を表す。芳香族環の例としてはベンゼン環やナフタレン環をあげることができ、複素環のヘテロ原子としてはN、O、およびSをあげることができる。複素環に脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。置換基としてはアリールアゾ基または複素環アゾ基であってもよい。また、A、B、Cの少なくとも二つは、好ましくは複素環である。
一般式(1)において、アゾ金属錯体系色素を形成するために、A、BまたはCは、少なくとも1つの金属イオンに結合できる置換基によって置換されていることが必須である。ここでいう金属イオンに結合できる置換基とは、活性水素が金属イオンと交換して金属錯体を形成することが可能な置換基や配位結合によって金属イオンと結合できる置換基などである。例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、置換されていてもよいアミノ基(例えば、アミノ基、メチルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環置換アミノ基、ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ基など)、スルホ基、カルバモイル基、置換されていてもよいアルコキシ基(例えば、メトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基など)、メルカプト基、置換されていてもよいアルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、2−ヒドロキシエチルチオ基など)、置換されていてもよいアルキルスルホニルアミノ基(例えば、メチルスルホニルアミノ基など)、置換されていてもよいアリールスルホニルアミノ基(例えば、ベンゼンスルホニルアミノ基など)、アゾ基、シアノ基、アルキニル基などが挙げられる。
一般式(1)中に存在し、かつ金属イオンに結合可能な置換基のすべてが金属イオンと結合していてもよいし、その一部のみが金属イオンに結合していてもよい。
一般式(1)において、Mは金属イオンを表す。Mは、金属イオンに結合できる上記置換基に結合している。
Mで表される金属イオンとしては、錯体形成可能ないずれの金属および価数のものでも良い。金属としては、ホウ素、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、スズなどが挙げられる。好ましくは、マグネシウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、スズである。より好ましくはクロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛である。
mは、アゾ色素部分(即ち、A−N=N−B−N=N−C)に結合しているMの数を表す。mは0より大きな任意の値を取ることができる。mが1/2の場合には、アゾ色素部分:M=2:1の金属錯体を形成していることを表す。mが取る値の範囲として好ましくは0<m≦5であり、より好ましくは0<m≦3である。
本発明におけるMは、一般式(1)のアゾ色素以外の他の配位子と結合していてもよい。そのような配位子として、例えば、ハライドイオン、ヒドロキシイオン、硝酸イオン、シアノイオン、チオシアナートイオン、ペルオキソイオン、アジドイオン、炭酸イオン、硫酸イオン、テトラフルオロホウ素イオン等の無機アニオン、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、コハク酸、アセチルアセトン、サリチルアルデヒド、グリシン、エチレンジアミン2酢酸、エチレンジアミン4酢酸、安息香酸、p−トルエンスルホン酸、フェノール、フタル酸、ピコリン酸、チオフェノール、ジチオールベンゼンのアニオンおよびそれら分子の誘導体アニオン、アンモニア、水、トリフェニルホスフィン、1,3−プロパンジアミン、2,2’−ビピリジン、1,10−フェナントロリン、グリシンアミド、ジエチレントリアミン、2,2’,2”−ターピリジル、トリエチレンテトラミン、エチレンジアミンなどが挙げられる。また、異なる構造を有する複数の色素が配位子として存在しても良いし、一般式(1)中のアゾ色素部分とは異なる構造の色素化合物が配位子として存在しても良い。
一般式(1)によって表される錯体の構造は、溶液状態と結晶状態で必ずしも同じではなく、溶液状態においても、溶媒や濃度などでも構造は異なる場合があるため、本発明のアゾ金属錯体系色素の構造を正確に把握することは困難である。本発明においては、アゾ色素と金属イオンの組み合わせのみを記載し、実際に形成されている錯体の構造が考えられるいずれの構造であるかは限定しない。金属が配位したアゾ色素と、配位していないアゾ色素では、高速液体クロマトグラフィ−(HPLC)の保持時間やλmaxが異なるため、区別可能である。
一般式(1)で表されるアゾ金属錯体系色素が対イオンを有する場合、合成原料の金属塩に由来する対イオン(例えばCl-、CH3COO- 等)を含有することがあるが、脱塩装置などを利用して過剰のイオンを取り除くことが好ましい。アゾ金属錯体系色素と不要の金属塩との溶解度の差を利用して塩含量が少ない色素を製造することもできる。脱塩装置を利用する場合は、市販の装置を使用して所望のイオン濃度になるまで処理をおこなうことによって、望むアゾ金属錯体系色素が得られる。アゾ色素金属錯体系色素を形成していないフリーの金属イオンや、過剰のイオンの存在は、イオンクロマトグラフィーなどの分析によって定量することができる。
一般式(1)で表されるアゾ金属錯体系色素は、一般式(1)中のアゾ色素部分と金属イオン供給化合物とを反応させることによって調製される。金属イオン供給化合物としては、例えば、前記金属における任意の価数のイオンにおいて、ハライドイオン(F-、Cl-、Br-、I-)、亜硫酸イオン、硫酸イオン、アルキルまたはアリールスルホン酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、過塩素酸イオン、カルボキシレート、サリシネート、ベンゾエート、トリフルオロアセテート、ヘキサフルオロホスフェート、テトラフルオロボレートなどを陰イオンとする塩などが挙げられる。また、酢酸やステアリン酸などの脂肪族カルボン酸の塩、安息香酸、サリチル酸などの芳香族カルボン酸の塩なども挙げられる。
また、金属イオンと錯体を形成するものも金属イオン供給化合物として挙げられる。この場合の配位子としては、アンモニアまたは1級アミン(例えばメチルアミン、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジアセテート、グリシンアミド)などが挙げられる。
アンモニアまたは1級アミン以外の配位子あるいは対イオンとしては、例えば、水、2,2−ビピリジル、ハロゲン(クロロ、ブロモ、ヨード)イオン、ヒドロキシイオン、ニトロイオン、シアノイオン、チオシアネナートイオン、アジドイオン、カルボネートイオン、ヘキサフルオロアセチルアセトナートなどを含有した錯体が好ましく用いられる。
Bが環構造であるときの好ましい複素環としては、チオフェン環、チアゾール環、イミダゾール環、ベンゾチアゾール環、チエノチアゾール環であり、特に好ましくはチオフェン環またはチアゾール環を挙げることができる。各複素環基は更に置換基を有していても良い。中でも下記一般式(4)で表されるチオフェン環またはチアゾール環が好ましい。なお、Bが一般式(4)で表される構造であるときは、一般式(1)は一般式(2)に相当することになる。
Figure 2005194450
一般式(2)および一般式(4)におけるR1は、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基、複素環アミノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキル及びアリールチオ基、複素環チオ基、アルキル及びアリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキル及びアリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、またはスルホ基を表し、各基は更に置換されていても良い。
一般式(2)および一般式(4)におけるXは、−CR2=または窒素原子を表し、Xが−CR2=である場合のR2は置換基を表す。R1とR2が互いに結合して5または6員環を形成してもよい。R2で挙げられる置換基としては、一般式(2)のR1と同義であり、好ましくは電子求引性基である。電子求引性基とは、電子効果で電子求引的な性質を有する置換基であり、置換基の電子求引性や電子供与性の尺度であるハメットの置換基定数σp値を用いれば、σp値が大きい置換基である。例えば、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホン基、トリフルオロメチル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アルキル及びアリールスルホニル基などが挙げられる。ハメットの置換基定数σp値について若干説明する。ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるため、1935年にL.P.Hammettより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J.A.Dean編“Lange’s Handbook of Chemistry”第12版、1979年(Mc Graw-Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。R2の電子求引性基として特に好ましくはシアノ基である。
Cの好ましい複素環基として、下記一般式(5)で表される芳香族含窒素6員複素環基があげられる。Cが下記一般式(5)で表される芳香族含窒素6員複素環基である場合は、一般式(1)は一般式(3)に相当する。
Figure 2005194450
一般式(3)および一般式(5)においてB1およびB2は、それぞれ=CR5−および−CR6=を表すか、あるいはいずれか一方が窒素原子で他方が=CR5−または−CR6=を表すが、それぞれ=CR5−、−CR6=を表すものがより好ましい。
3、R4は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、スルファモイル基を表し、各基は更に置換基を有していても良い。R3、R4で表される好ましい置換基は、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルまたはアリールスルホニル基を挙げることができる。さらに好ましくは、水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルまたはアリールスルホニル基である。最も好ましくは、水素原子、アリール基、複素環基である。各基は更に置換基を有していても良い。但し、R3、R4が同時に水素原子であることはない。
G、R5、R6は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基、複素環アミノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキル及びアリールチオ基、複素環チオ基、アルキル及びアリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキル及びアリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基を表し、各基は更に置換されていても良い。
Gで表される好ましい置換基は、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、複素環オキシ基、アミノ基(アニリノ基、複素環アミノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキル及びアリールチオ基、または複素環チオ基であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アミノ基(アニリノ基、複素環アミノ基を含む)、アシルアミノ基であり、特に好ましくは、水素原子、アニリノ基、アシルアミノ基である。各基は更に置換基を有していても良い。
5、R6で表される好ましい置換基は、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シアノ基を挙げることができる。各基は更に置換基を有していても良い。R3とR4あるいはR5とR6が結合して5または6員環を形成しても良い。
一般式(3)および一般式(5)において、A、R3、R4、R5、R6、Gで表される各置換基が更に置換基を有する場合の置換基としては、上記G、R5、R6で挙げた置換基を挙げることができる。
一般式(1)において、A及びCの少なくとも一つに置換基として、イオン性親水性基を少なくとも一つ有することが好ましい。さらに一般式(3)及び(5)において、A、R3、R4、R5、R6、Gのいずれかの位置に置換基としてさらにイオン性親水性基を有することが好ましい。置換基としてのイオン性親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基および4級アンモニウム基等が含まれる。前記イオン性親水性基としては、カルボキシル基、ホスホノ基、およびスルホ基が好ましく、特にカルボキシル基またはスルホ基が好ましい。カルボキシル基、ホスホノ基およびスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)および有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジウムイオン、テトラメチルホスホニウム)が含まれる。
Cの特に好ましい複素環基は、ピリジン環であり、一般式(3)の好ましいものは下記一般式(6)で表される。
一般式(6)
Figure 2005194450
一般式(6)で表されるアゾ色素として特に好ましい置換基の組み合わせは、R3、R4として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、スルホニル基、アシル基であり、さらに好ましくは水素原子、アリール基、複素環基、スルホニル基であり、最も好ましくは、水素原子、アリール基、複素環基である。ただし、R3およびR4が共に水素原子であることはない。
また、R7およびR8は、一般式(5)のR3およびR4と同義であり、M6、m6は一般式(1)のM、mと同義である。
本発明において、特に好ましい構造は、下記一般式(7)で表されるものである。
Figure 2005194450
式中、Aは、1価の芳香族環を表し、特に好ましくはフェニル基またはナフチル基である。R1は、水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族基、置換もしくは無置換の芳香族基または置換もしくは無置換の複素環基を表す。Xは、−CR2=または窒素原子を表し、Xが−CR2=を表す場合のR2は電子求引性基であり、特に好ましいR2はシアノ基である。
5、R6は、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シアノ基を表し、Q1、Q2はイオン性親水性基を表し、特に好ましくは、スルホ基またはカルボキシル基であり、最も好ましくは、スルホ基であり、qおよびpは1〜3(好ましくは1)の整数を表す。M7、m7は一般式(1)のM、mと同義である。
5がシアノ基、かつR6がアルキル基(好ましくはメチル)が好ましい。
一般式(7)で説明した各基は更に置換基を有していても良い。これらの各基が更に置換基を有する場合、該置換基としては、一般式(1)で説明した置換基やR1で例示した基やイオン性親水性基が挙げられる。
本発明の一般式(1)から(7)で表される色素におけるアゾ色素部分の具体例を以下に示す。本発明に用いられるアゾ色素部分は、下記の例に限定されるものではなく、またカルボキシル基、ホスホノ基およびスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)および有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジウムイオン、テトラメチルホスホニウム)が含まれる。
Figure 2005194450
Figure 2005194450
Figure 2005194450
Figure 2005194450
Figure 2005194450
Figure 2005194450
Figure 2005194450
Figure 2005194450
本発明のアゾ金属錯体系色素中のアゾ基は、化合物の構造によってアゾ型およびヒドラゾ型を取り得るが、本発明においてはすべてアゾ型で記載している。その他の互変異性体が存在する場合においても、本発明においては代表的な形の一つで記載しているが、本発明の記述と異なる互変異性体も本発明の化合物に含まれる。
前記一般式(1)、(2)、(3)、(6)、(7)で表される色素は、ジアゾ成分とカプラーとのカップリング反応によって合成することができる。下記に一般式(1)、(2)、(3)、(6)、(7)で表される色素の合成例を示す。
<例示化合物D−1の合成法>
(1)中間体(A−2)の合成法
中間体(A−1)21.8g(0.1モル)とS粉末3.27g(0.1モル)にエタノール40mLを加えた懸濁液にモルホリン8.9mL(0.1モル)を室温で滴下した。反応混合物を50℃で2時間加熱攪拌した後、この反応液を水に注いだ。この水層を酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。フィルターろ過したろ液を濃縮し、シリカゲルカラム精製を行い中間体(A−2)9.8g(黄色結晶、収率39%)得た。
中間体(A−3)の合成法
7−アミノ−1,5−ナフタレンジスルホン酸13.9g(0.04モル)に水100mLと12N塩酸水溶液14.5mLを加えて2℃以下に冷却した。この混合液に亜硝酸ナトリウム2.9g(0.042モル)を水9mLに溶解させた水溶液をゆっくり滴下した。その後、反応液を2℃以下で1時間攪拌した(ジアゾ液)。
一方、中間体(A−2)10.0g(0.04モル)にメタノール250mLと水62.5mLを加えた懸濁液に、上記ジアゾ液を室温で滴下した。この反応液を35℃で1.5時間加熱攪拌して、析出した結晶をろ取、イソプロピルアルコールで洗浄して粗結晶を得た。
この粗結晶に水500mLを加えて、さらにpHが7.0になるまで1N水酸化リチウム水溶液を滴下した。この水溶液に室温で塩化リチウム90gを加えて析出した結晶をろ取し中間体(A−3)15.3g(橙色結晶、収率66%)得た。
例示化合物(D−1)の合成法
85%リン酸270mLと酢酸135mLに40%ニトロシル硫酸4.9mL(0.025モル)を加えて−2℃以下に冷却した。この混合液に中間体(A−3)13g(0.0225モル)を水75mLに溶解させた水溶液をゆっくり滴下した。その後、反応液を−2℃以下で30分攪拌した(ジアゾ液)。
一方、中間体(A−4)10.5g(0.021モル)に水150mLを加えて氷冷攪拌した液に、上記ジアゾ液を滴下した後、室温で1.5時間攪拌した。この反応液を60℃まで加熱し、塩化リチウム90gを添加、析出した結晶をろ過、洗浄した。得られたウェットケーキに水100mLとメタノール100mLを添加し1N水酸化リチウム水溶液でpHを7に調整し、イソプロピルアルコール1000mLを添加した。析出した結晶をろ過、洗浄して例示化合物(D−1)を9.2g(M/S=1060、λmax(水)=607nm)得た。合成ルートを下記に示す。
Figure 2005194450
本発明における一般式(1)で表されるアゾ金属錯体系色素は、上記アゾ色素と金属イオンの組み合わせによって、(D-1)-Niのように記述することができる。好ましいアゾ金属錯体系色素の例としては、(D-1)-Ni、(D-1)-Cu、(D-1)-Fe、(D-1)-Zn、(D-1)-Co、(D-1)-Cr、などが挙げられる。これらの色素は主に配位結合によって金属イオンと結合していると推定する。
〔インク〕
インク(好ましくはインクジェット記録用インク)は、親油性媒体や水性媒体中に前記アゾ金属錯体系色素を溶解及び/又は分散させることによって作製することができる。好ましくは、水性媒体を用いる場合である。必要に応じてその他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有される。その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤(特開2003−306623号公報に記載)が挙げられる。これらの各種添加剤は、水溶性インクの場合にはインク液に直接添加する。油溶性染料を分散物の形で用いる場合には、染料分散物の調製後分散物に添加するのが一般的であるが、調製時に油相または水相に添加してもよい。
本発明のインク100質量部中は、前記アゾ染料を0.2質量部以上30質量部以下含有するのが好ましい。また、本発明のインクジェット記録用インクには、前記アゾ染料とともに、他の着色剤(染料及び/又は顔料、特開2003−306623号公報に記載)を併用してもよい。2種類以上の着色剤を併用する場合は、着色剤の含有量の合計が前記範囲となっているのが好ましい。
本発明のインクには、前記アゾ金属錯体系色素とともにフルカラーの画像を得るため色調を整えるために、他の染料及び/又は顔料(特開2003−306623号公報に記載)を併用してもよい。併用することができる染料の例としては以下を挙げることができる。
本発明のインクを用いたインクジェット記録方式に制限はなく、特開2003−306623号公報の方法が適用できる。
[実施例]
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<アゾ金属錯体系色素(D-1)-Mの調製>
色素(D-1)をメタノールに溶解し、トリエチルアミンを色素に対して1当量添加し、これにNi(OAc)2・4H2Oを色素に対して1.2当量加えて攪拌した。生じた結晶をろ取し、少量のメタノールで洗浄して、アゾ金属錯体色素(D-1)-Niを調製した。
金属イオンが異なる錯体は、Cu(OAc)2、FeCl3・6H2O、Zn(OAc)2・2H2O、Co(OAc)2・4H2O、Cr(OAc)3・H2Oをそれぞれ使用して同様に(D-1)-Cu、(D-1)-Fe、(D-1)-Zn、(D-1)-Co、(D-1)-Crを調製した。
その他のアゾ金属錯体色素も、所望の色素および金属塩を使用して同様にして合成した。
下記の成分に超純水(抵抗値18MΩ以上)、塩基を加え1リッターとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過してブラックインク液 Bk-101を調製した。
〔ブラックインク Bk-101処方〕
(固形分)
本発明のブラック色素(D-1)-Cu 60g/l
プロキセル 5g/l
尿素 20g/l
ベンゾトリアゾール 3g/l
(液体成分)
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DGB) 100g/l
グリセリン(GR) 125g/l
ジエチレングリコール(DEG) 100g/l
2-ピロリドン(PRD) 30g/l
トリエタノールアミン(TEA) 5g/l
サーフィノールSTG(SW) 10g/l
次に、インク処方を下表9の染料、塩基にした以外は、Bk-101と同じ組成のブラックインクBk-102、Bk-104〜Bk110をそれぞれ作製した。
Figure 2005194450
それぞれのインクをEPSON社製インクジェットプリンターPM-980Cのブラックインクのカートリッジに装填し、グレーの階段状に濃度が変化した画像パターンを印字させた。
受像シートは富士写真フイルム(株)製インクジェットペーパーフォト光沢紙「画彩」に画像を印刷し、色相、耐水性ならびに画像堅牢性の評価を行った。
(評価実験)
1)色相については、λmaxが590nm付近のブロードな色相を目視にて最良、良好及び不良の3段階で評価した。評価結果を下記表に示す。下記表中、Aは色相が最良、Bは良好であったことを示し、Cは色相が不良であったことを示す。
2)耐水性については、前記画像を形成したフォト光沢紙を、1時間室温乾燥した後、10秒間脱イオン水に浸漬し、室温にて自然乾燥させ、滲みを観察した。滲みが無いものをA、滲みが僅かに生じたものをB、滲みが多いものをCとして、三段階で評価した。
3)ブラック色素の画像保存性については、グレー印字サンプルを用いて、以下の評価を行った。画像保存性の評価は、グレー階段状パターンの濃度を、ステータスAフィルターを搭載したX-rite 310濃度測定機を用いて測定し、Dvis=1.0付近の点を基準点として、そこの濃度変化を測定することにより行った。
光堅牢性は、印字直後のパターンSの濃度(Dvis)Ciを測定した後、アトラス社製ウェザーメーターを用い画像にキセノン光(8万5千ルックス)を14日照射した。その後再びパターンSの濃度Cfを測定し色素残存率Cf/Ci×100を求め評価を行った。色素残像率が80%以上の場合をA、70〜80%の場合をB、70%未満の場合をCとした。
熱堅牢性については、80℃70%RHの条件下に21日間、試料を保存する前後でのパターンSの濃度をX-rite 310にて測定し、色素残存率を求め評価した。色素残像率が90%以上の場合をA、80〜90%の場合をB、80%未満の場合をCとした。
耐オゾン性(O3堅牢性)については、オゾンガス濃度が5ppmに設定されたボックス内に試料を96時間放置し、オゾンガス下放置前後のパターンSの濃度をX-rite 310にて測定し、色素残存率を求め評価した。ボックス内のオゾンガス濃度は、APPLICS製オゾンガスモニター(モデル:OZG−EM−01)を用いて設定した。色素残像率が80%以上の場合をA、70〜80%の場合をB、70%未満の場合をCとした。
得られた結果を表10に示す。
Figure 2005194450
Figure 2005194450
表10の結果に示されるように、本発明のインク液から得られた画像(色相)は、比較インク液から得られた画像よりも鮮明であった。また、本発明のインクを用いて得られた画像は、耐水性、光堅牢性、熱堅牢性、耐オゾンガス性が優れていた。
更に、インク液Bk-101〜Bk-110を用いて、インクジェットプリンター(PM-980C、セイコーエプソン(株)製)により、スーパーファイン専用光沢紙(MJA4S3P、セイコーエプソン(株)製)に画像を記録した。得られた画像の色相、耐水性および光堅牢性を評価したところ、いずれも表10と同様の結果が得られた。
実施例1で作製した同じインクを用いて、実施例1の同機にて画像を富士写真フイルム製インクジェットペーパーフォト光沢紙EXにプリントし、実施例1と同様な評価を行ったところ、実施例1と同様な結果が得られた。
実施例1で作製した同じインクを、インクジェットプリンターBJ−F850(CANON社製)のカートリッジに詰め、同機にて同社のフォト光沢紙GP−301に画像をプリントし、実施例1と同様な評価を行ったところ、実施例1と同様な結果が得られた。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表される色素。
    Figure 2005194450
    上記一般式(1)中;
    A、BおよびCは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の芳香族基または置換もしくは無置換の複素環基を表す(AおよびCは1価の基であり、Bは2価の基である)。ただし、A、BまたはCは、少なくとも1つの金属イオンに結合できる置換基によって置換されている。Mは、金属イオンを表し、上記金属イオンに結合できる置換基に結合している。mはアゾ色素部分に結合しているMの数を表す。
  2. 一般式(1)のCが、置換もしくは無置換の1価の複素環基であることを特徴とする請求項1に記載の色素。
  3. 一般式(1)のBが、置換もしくは無置換の2価の複素環基であることを特徴とする請求項1または2に記載の色素。
  4. 一般式(1)で表されるアゾ金属錯体系色素が、一般式(2)で表されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の色素。
    Figure 2005194450
    上記一般式(2)中;
    1は水素原子または置換基を表す。Xは、−CR2=または窒素原子を表し、Xが−CR2 =である場合のR2は置換基を表す。M2、m2は一般式(1)のM、mと同義である。
  5. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の色素を少なくとも一種含有することを特徴とする着色組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の色素を少なくとも一種含有することを特徴とするインク。
JP2004003800A 2004-01-09 2004-01-09 アゾ金属錯体色素、着色組成物およびインク Pending JP2005194450A (ja)

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JP2006037045A (ja) * 2004-07-30 2006-02-09 Fuji Photo Film Co Ltd ブラックインク、インクセット、ならびにインクカートリッジ

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