JP2005194372A - シリコーン接着剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 充填漏れ、液垂れの問題や段差等のある嵌合部での充填不足等の問題がなく、所定の装着部に間隙なく密着した装着が可能となる接着剤を提供する。
【解決手段】 未硬化の状態で自立した形状に賦形され、25℃におけるウイリアムス可塑度が、100〜500にあるシリコーン接着性成分を含有する硬化可能なシリコーン接着剤であって、導電性充填剤、熱伝導性充填剤及び、電磁波吸収性充填剤から選ばれる1種以上の機能性充填剤を含有することを特徴とするシリコーン接着剤。
【選択図】 なし

Description

本発明は、未硬化の状態で自立した形状に賦形されてなるシリコーン接着剤に関する。
電子・電気部品をはじめ、医療部品、自動車部品、建造物、EMC部品、航空宇宙産業等において、導電性、熱伝導性、電磁波シールド機能、電磁波吸収性などの機能を持った成形部品や接着剤が、接合部材、パッキン材、緩衝材、組み立て部材などとして広く活用されている。これらの機能を持つ成形部品や接着剤は、ゴムやプラスチックなどに各種の機能性充填剤を添加配合し、押出成形やモールド成形された成形品として、接合部位に配設されている。
導電機能を有する機能部材は、導電接続部材や電磁波シールド部材等の用途に多用されている。また、電子部品を内装した筐体等の導電シールには、丸紐状の導電ゴムの成形パッキン等が用いられたものもある。
熱伝導機能を有する機能部材では、CPU、MPU、LSI等の電子機器要素の高密度化、高集積化、高速化により、消費電力が増大すると共に発熱量も増大しており、この大きな発熱量が、電子機器の誤動作や電子部品自体の故障の一因となっているため、効率的な放熱対策が求められている。
例えばパワートランジスタ、サイリスタ等の発熱性部品は、ヒートシンクを取り付けて熱を放散する方法や、金属製のシャーシに熱を逃がす対策がとられ、ヒートシンクや金属製シャーシへの発熱性部品の接合にシリコーンゴムに熱伝導性の充填剤を添加配合した放熱絶縁性シートや熱伝導性のグリース等が用いられている。
一方、接着剤としては、種々の流動性のある接着剤に各種の機能性充填剤を添加配合した接着剤組成物が、接合部の溝に充填して組み立てる用途等に用いられている。例えば、導電接着剤としては、太陽電池のガラス電極接続用に使用されているものがある。
また、接着剤と、金属部材、ガラスクロス、プラスチック部材等とが予め複合化された複合化機能部材が用いられるものもある。この複合化機能部材には、様々な基材に対する良好な接着特性と使用される環境や用途によって、高い熱安定性、耐候性、良好な耐湿性、優れた可撓性等が要求されている。
また、各種の機能が複合されて用いられている機能部材の一例として、特許文献1に、 シリコーン樹脂中に導電性充填剤を分散させた電磁波シールド層と電磁波吸収性充填剤を分散させた電磁波吸収層とを積層し、両層に熱伝導性充填剤を分散させた構成とし、加工性、柔軟性、耐候性、耐熱性、熱伝導性を有する電磁波吸収体が提案されている。
特許文献2では、電磁波シールド処理された携帯用電話機のケースの嵌合部等に、シールパッキン材を形成するFIPG(現場形成ガスケット)法により自己接着性を有する導電性液状シリコーンゴムから成るパッキン材を形成せしめ、上下筺体を一体化させる携帯用電話機の製造方法が提案されている。このシリコーンゴムは液状であるので流動性を有している。
特開2002−329995号公報 特開平5−007177号公報
しかし、上記のような導電機能や熱伝導機能を有する機能部材は、構造物に装着するにあたり、予め機能性部材に金属箔等や導電性編組体などの導電性部材や熱伝導性部材を裏打ちして接着一体化させるために、煩雑な別途成形工程を必要とする等の経済的に不利な問題がある。
特許文献1に記載のような熱伝導機能を有する機能部材においては、発生する熱をヒートシンクへ効率よく伝えるために、ヒートシンクを電子部品に密着させる必要がある。ヒートシンクを電子部品に密着させるためには、各電子部品の高さの違いや、組み付け加工における公差を吸収する必要があり、柔軟性のある熱伝導性の機能部材をシート状にした熱伝導性シートとして各電子部品とヒートシンクとの間に介装させている。この柔軟性を利用して電子部品からヒートシンクへの熱伝導を実現している。しかし、上記機能部材は予めシート状に成形されていることから十分な密着追従性が得られ難い。このため、熱伝導性シートと発熱性部品との間隙に僅かな空隙の発生が避けられず、熱伝導性を損なう問題がある。
このように、各機能を有する機能部材として、装着前に予め成形された成形部材が用いられている場合には、構造物、筐体の嵌合部等に挿入され、圧接挟持して用いられており、必要に応じて、別途用意した接着剤或いは粘着剤を介して接着するなどの方法がとられている。しかし、機能部材が成形部材であるため、装着部が複雑形状の場合に追従が困難となり、機能部材と装着部との部材間に僅かな間隙が生じてしまうことがある。このように部材間に間隙が生じると、電磁波シールド機能、電磁波吸収機能および熱伝導機能を有する機能性部材を用いてもこれらの機能を充分に発揮できないという問題がある。
更に、上記の機能部材において、屋外やエンジンルーム等に用いられるものでは、耐候性や冷熱による収縮膨張追従性を有していないと装着部からの機能部材の剥離や脱落などの問題があるとともに、例えば複数の部材を用いて複合化された部材の場合、接着耐久性が得られずに部材間での剥離や脱落などの可能性がある。柔軟な可撓性のある機能部材に、エラストマー等の素材を用いたものでは、使用方法によっては機械的強度を補う必要性がある等の問題がある。
また、特許文献2に記載の提案のように、流動性のある接着剤の形態で用いる場合には、機能性接着剤を装着部材の構造物や筐体の接合部に、安定して容易に充填させるための充填溝を形成させることが必要となる。機能性接着剤を充填する際には、充填漏れ、液垂れの問題や段差等のある嵌合部での充填不足が発生し、複雑形状の充填溝へ追従した充填が困難となるものである。また、流動性を必要とすることから、各種の機能性充填剤の添加量が制限されてしまう問題がある。
本発明者らは、このような状況に鑑み、各種機能を有するシリコーン接着剤として、導電性充填剤、熱伝導性充填剤及び、電磁波吸収性充填剤から選ばれる1種以上の機能性充填剤を含有し、硬化前の未加硫の状態にありながら自立した形状を保持でき、かつ、圧接や嵌合させる押圧力で多様な形状の装着部の間隙や凹凸に追従して流動しうるシリコーン接着剤を用いると、圧接や押圧力でシリコーン接着性成分が所定の装着部に間隙なく密着した装着が可能となることを見出した。また、装着後にシリコーン樹脂を接着硬化させれば、装着部との接着および、他の機能部材や補助部材との部材間での接着を同時に可能となる。さらには、容易に安定して各種の機能を組合せた複合構成で、同時に装着可能とすることであるとともに、耐熱性、耐寒性、耐候性に富み、冷熱による収縮膨張追従性に優れたものとすることができることを見出した。
このような知見に基づき、本発明を完成するに至った。
本発明は、導電性、熱伝導性、及び電磁波吸収性から選ばれる1種以上の機能を有し、上記従来技術における充填漏れ、液垂れの問題や段差等のある嵌合部での充填不足等の問題がなく、所定の装着部に間隙なく密着した装着、接着を可能とする機能性接着剤を提供することを目的とする。
即ち、本発明のシリコーン接着剤は、未硬化の状態で自立した形状に賦形され、25℃におけるウイリアムス可塑度が、100〜500であるシリコーン接着性成分を含有する硬化可能なシリコーン接着剤であって、導電性充填剤、熱伝導性充填剤及び、電磁波吸収性充填剤から選ばれる1種以上の機能性充填剤を含有することを特徴とする。
本発明のシリコーン接着剤によれば、硬化前の未加硫の状態にありながら自立した形状を保持しているので、液状接着剤の様に接着面への接着剤の設置にあたって液漏れの問題もなく、段差等のある嵌合部での充填不足の心配が無く、圧接や押圧力でシリコーン接着性成分が流動するため、機能性充填剤を含有するシリコーン接着剤が所定の装着部に間隙なく密着した装着が可能となる。
本発明のシリコーン接着剤は、未硬化の状態でフィルム状やシート状、紐状等、所定の自立した形状に賦形されたものである。この自立した形状とは、一定以上の応力がかからない限り、支持体等を必要とせずに賦形された形状を実質的に保持できることを意味する。
この接着剤の使用にあたっては、このシリコーン接着剤賦形物を未硬化の状態で装着部に適用し、応力をかけて圧接あるいは嵌合させる。この時に、圧接や嵌合させる応力で多様な形状の装着部の間隙に流動追従し、密着を可能とする必要がある。
このために、本発明のシリコーン接着剤は、25℃におけるウイリアムス可塑度が100〜500である必要がある。このウイリアムス可塑度とは、平行板可塑度計を使用して、JIS K 6249「未硬化及び硬化シリコーンゴムの試験方法」に規定する測定方法に従って測定される可塑度である。
また、本発明のシリコーン接着剤は好ましくは接着性付与成分を含有し、圧接あるいは嵌合させた状態で硬化させると、この接着性付与成分により被着体に化学的に接着する。
シリコーン接着剤の硬化は、ラジカル反応、白金触媒系による付加反応、縮合反応や電子線、紫外線などのエネルギー線などによる架橋反応によるものがある。経済的、物理的な観点からは、縮合反応あるいは付加反応による硬化のシリコーン接着剤が好ましい。
以下に本発明に用いられるシリコーン接着剤のベースとなる縮合硬化型及び付加硬化型のシリコーン接着性成分について説明する。
1)縮合硬化型シリコーン接着性成分
このシリコーン接着剤の基本組成は概ね以下から構成される。
1−1)オルガノポリシロキサン
縮合硬化型シリコーン接着剤の主剤成分であり、下記一般式(1)又は(2)で表されるジオルガノポリシロキサンである。
Figure 2005194372
Figure 2005194372
一般式(1)、(2)において、Rは置換又は非置換の一価炭化水素基である。Rの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−エチルブチル基、オクチル基などのアルキル基;シクロヘキシル基、シクロペンチル基などのシクロアルキル基;ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘプテニル基、ヘキセニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ジフェニル基などのアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基などのアラルキル基;あるいはクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基などの基の炭素原子に結合している水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したハロゲン置換あるいはシアノ基置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、若しくはアラルキル基から選択される同一又は異種の非置換もしくは置換の一価炭化水素基を挙げることができる。その炭素数1〜12が好ましく、1〜10がより好ましい。
Xは酸素原子、又は、−(CH2m−(mは1〜8の整数を示す。)で表される炭素数1〜8の(ポリ)メチレン基である。これらの中では酸素原子およびエチレン基(−CH2CH2−)が好ましい。
nはジオルガノポリシロキサンの25℃における粘度を100〜1,000,000cSt、好ましくは500〜500,000cStとする数である。
Yは加水分解性基であり、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基;ジメチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基などのケトオキシム基;アセトキシ基などのアシルオキシ基;イソプロペニルオキシ基、イソブテニルオキシ基などのアルケニルオキシ基等が挙げられる。
aは2又は3である。
このようなジオルガノポリシロキサンは、各種オルガノポリシロキサンの単量体である環状シロキサンもしくは線状オリゴマーを酸もしくは塩基触媒による平衡反応によって得る等の公知の方法により製造することができる。
また、このジオルガノポリシロキサンに分岐構造を導入する場合は、上記平衡化重合中にSiO3/2単位及び/又はSiO4/2単位を含むシランもしくはシロキサンを、ジオルガノポリシロキサンがゲル化しないレベルで添加するのが常法である。更に、このジオルガノポリシロキサンは、ストリップや洗浄等により低分子シロキサンを除去しておくことが望ましい。このような低分子シロキサンを除去したオルガノシロキサンを用いた場合、初期の汚れを低減することができる。
1−2)架橋剤
架橋剤としては、加水分解性の基を1分子中に2個以上、好ましくは3個以上有するシラン、あるいはその部分加水分解縮合物が使用される。この場合、その加水分解性の基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基;ジメチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基などのケトオキシム基;アセトキシ基などのアシルオキシ基;イソプロペニルオキシ基、イソブテニルオキシ基などのアルケニルオキシ基、N−ブチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基などのアミノ基、N−メチルアセトアミド基などのアミド基等が挙げられる。これらの中でもアルコキシ基、ケトオキシム基、アシルオキシ基、アルケニルオキシ基が好ましい。
架橋剤の配合量は、上記ジオルガノポリシロキサン100質量部に対して1〜50質量部が好ましく、2〜30質量部がより好ましく、5〜20質量部とすることが更に好ましい。
1−3)硬化触媒
縮合硬化型シリコーン接着性成分には、硬化触媒を使用することによって硬化を促進することが出来る。硬化触媒としては、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクトエート等のアルキル錫エステル化合物;テトライソプロポキシチタン、テトラn−ブトキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキサオキシ)チタン、ジプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタン、チタニウムイソプロポキシオクチレングリコール等のチタン酸エステル又はチタンキレート化合物;ナフテン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、亜鉛−2−エチルオクトエート、鉄−2−エチルヘキソエート、コバルト−2−エチルヘキソエート、マンガン−2−エチルヘキソエート、ナフテン酸コバルト、アルコキシアルミニウム化合物等の有機金属化合物;3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノアルキル基置換アルコキシシラン;ヘキシルアミン、リン酸ドデシルアミン等のアミン化合物及びその塩;ベンジルトリエチルアンモニウムアセテート等の第4級アンモニウム塩;酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、蓚酸リチウム等のアルカリ金属の低級脂肪酸塩;ジメチルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン等のジアルキルヒドロキシルアミン、テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルメチルジメトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン等のグアニジル基を含有するシラン又はシロキサン等が例示され、これらはその1種に限定されず、2種もしくはそれ以上の混合物として使用してもよい。なお、これら硬化触媒の配合量は、上記ジオルガノポリシロキサン100質量部に対して0〜20質量部が好ましく、0.001〜10質量部がより好ましく、0.01〜5質量部がさらに好ましい。
1−4)充填剤
また、縮合硬化型シリコーン接着性成分には、上記成分以外に補強等の目的で1種以上の充填剤を用いることができる。
このような充填剤としては、例えば、煙霧質シリカ、沈降性シリカ、これらのシリカ表面を有機ケイ素化合物で疎水化処理したシリカ、石英粉末、タルク、ゼオライト、ベントナイト、アスベスト、ガラス繊維及び有機繊維等の補強性充填剤;炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、セライト等の塩基性充填剤等が例示される。これらの充填剤のうち、シリカ、炭酸カルシウム、ゼオライト等が好ましく、特に表面を疎水化処理した煙霧質シリカおよび炭酸カルシウムが好ましい。
上記充填剤の配合量は、目的や充填剤の種類により選択すればよいが、ベースポリマーのジオルガノポリシロキサンに対して1〜90体積%、特に5〜60体積%であることが好ましい。なお、後述する導電機能を有するシリコーン接着剤又は電磁波吸収機能を有するシリコーン接着剤において、上記補強性充填剤及び/または塩基性充填剤と導電性性充填剤又は電磁波吸収性充填剤および熱伝導性充填剤を併用する場合には、補強性充填剤及び/または塩基性充填剤の含有量は5〜50体積%とすることが好ましく、充填剤の合計含有量は15〜90体積%、特に30〜80体積%とすることが好ましい。合計含有量が90体積%を超える場合にはシリコーン接着性成分が非常に脆いものとなってしまうおそれがある。
1−5)接着性付与成分
接着性付与成分は、シリコーン接着剤を被着体にイオン結合、配位結合、共有結合などにより、化学的に接着させる成分である。
接着性付与成分としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有オルガノアルコキシシラン;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有オルガノアルコキシシラン;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト含有オルガノアルコキシシラン;アミノ基含有オルガノアルコキシシランとエポキシ基含有オルガノアルコキシシランとの反応混合物が例示される。
接着性付与成分の配合量は、オルガノポリシロキサン100質量部に対して0.1〜5質量部であることが好ましい。
2)付加硬化型シリコーン接着性成分
この接着剤の基本組成は概ね以下から構成される。
2−1)オルガノポリシロキサン
付加硬化型シリコーン接着性成分の主剤であり、一分子中に平均2個以上のアルケニル基を有することを特徴とする。このアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基が例示され、好ましくは、ビニル基である。また、本成分中のアルケニル基以外のケイ素原子に結合する有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基が例示され、好ましくは、メチル基である。本成分の分子構造としては、例えば、直鎖状、一部分枝を有する直鎖状、分枝鎖状、網状、樹枝状が挙げられる。本成分の25℃における粘度は100,000mPa・s以上であることが好ましく、より好ましくは、10,00,000mPa・s以上である。
この成分のオルガノポリシロキサンとしては、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、式:(CH3)3SiO1/2で示されるシロキサン単位と式:(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2で示されるシロキサン単位と式:SiO4/2で示されるシロキサン単位からなるオルガノポリシロキサン、これらのオルガノポリシロキサンのメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基から選ばれる置換基で置換したオルガノポリシロキサン、これらのオルガノポリシロキサンのビニル基の一部または全部をアリル基、プロペニル基等のアルケニル基で置換したオルガノポリシロキサン、およびこれらのオルガノポリシロキサンの二種以上の混合物が例示される。
2−2)水素化オルガノポリシロキサン
このオルガノポリシロキサンは付加硬化型シリコーン接着性成分の硬化剤として作用するものであり、一分子中に平均2個以上のケイ素原子結合水素原子を有することを特徴とする。
本成分中のケイ素原子に結合する有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基が例示され、好ましくは、メチル基である。
本成分の分子構造としては、直鎖状、一部分枝を有する直鎖状、分枝鎖状、網状、樹枝状が例示される。本成分の25℃における粘度は限定されないが、好ましくは、1〜1,000,000mPa・sであり、特に好ましくは、1〜10,000mPa・sである。
この成分のオルガノポリシロキサンとしては、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、環状メチルハイドロジェンポリシロキサン、式:(CH3)2HSiO1/2で示されるシロキサン単位と式:SiO4/2で示されるシロキサン単位からなるオルガノポリシロキサン、これらのオルガノポリシロキサンのメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等の置換基で置換したオルガノポリシロキサン、およびこれらのオルガノポリシロキサンの二種以上の混合物が例示される。これらの中では、得られる硬化物の機械的特性、特には、伸びが向上することから、分子鎖両末端にのみケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンと分子鎖側鎖にケイ素原子結合を有するオルガノポリシロキサンの混合物であることが好ましい。
付加硬化型シリコーン接着性成分において本成分の含有量は、オルガノポリシロキサン中のアルケニル基に対する本成分中のケイ素原子結合水素原子のモル比が0.01〜20となる量が好ましく、より好ましくは、0.1〜10となる量であり、特に好ましくは、0.1〜5となる量である。これは、本成分の含有量が上記範囲の下限未満であると、得られる接着剤が十分に硬化しなくなる傾向があるからであり、一方、上記範囲の上限を超えると、得られる接着剤硬化物の機械的特性が低下する傾向があるからである。
また、本成分として、分子鎖両末端にのみケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンと分子鎖側鎖にケイ素原子結合を有するオルガノポリシロキサンの混合物を用いる場合には、前者のオルガノポリシロキサンの含有量は、2−1)成分中のアルケニル基に対する本成分中のケイ素原子結合水素原子のモル比が0.01〜10となる量であることが好ましく、0.1〜10がより好ましく、特には、0.1〜5となる量であることがさらに好ましい。また、後者のオルガノポリシロキサンの含有量は、2−1)成分中のアルケニル基に対する本成分中のケイ素原子結合水素原子のモル比が0.5〜20となる量であることが好ましく、0.5〜10となる量であることがより好ましく、0.5〜5となる量であることがさらに好ましい。
2−3)硬化触媒
ヒドロシリル化反応用白金系触媒としては、白金微粉末、白金黒、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、白金とジケトンの錯体、塩化白金酸とオレフィン類の錯体、塩化白金酸とアルケニルシロキサンの錯体およびこれらをアルミナ、シリカ、カーボンブラックなどの担体に担持させたものが例示される。
これらの中でも塩化白金酸とアルケニルシロキサンの錯体がヒドロシリル化反応触媒としての触媒活性が高いので好ましく、特に特公昭42−22924号公報に開示されているような塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサン錯体が好ましい。
本成分の添加量は、2−1)成分1,000,000質量部に対して、白金金属原子として1〜1,000質量部が好ましく、1〜100質量部がより好ましい。
2−4)充填剤
充填剤は付加硬化型シリコーン接着性成分の機械的強度を向上させるために添加される補強性充填剤であり、通常、シリコーンゴムの配合に用いられる化合物が用いられる。この成分としては、例えば、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、焼成シリカ、粉砕石英、およびこれらのシリカ粉末をオルガノアルコキシシラン、オルガノハロシラン、オルガノシラザン等の有機ケイ素化合物で表面処理した粉末が挙げられる。特に、得られる接着剤硬化物の機械的強度を十分に向上させるためには、本成分として、BET比表面積が50m2/g以上であるシリカ粉末を用いることが好ましい。
付加硬化型シリコーン接着性成分において本成分の添加は任意であるが、得られるシリコーンゴム硬化物の機械的強度を向上させるためには、2−1)成分100質量部に対して1〜1000質量部であることが好ましく、さらには、1〜400質量部であることが好ましい。
また、付加硬化型シリコーン接着性成分は、その他任意の成分として、例えば、ヒュームド酸化チタン、ケイ藻土、酸化鉄、酸化アルミニウム、アルミノケイ酸塩、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム等の無機質充填剤及び有機充填剤をも含有することができる。付加硬化型シリコーン接着性成分は、これらの充填剤の表面を前記の有機ケイ素化合物で処理した充填剤を含有してもよい。
上記補強性充填剤の配合量は、目的や充填剤の種類により選択すればよいが、ベースポリマーのジオルガノポリシロキサン2−1)成分に対して1〜90体積%、特に5〜60体積%であることが好ましい。なお、上記補強性充填剤と導電性充填剤又は電磁波吸収性充填剤および熱伝導性充填剤を併用する場合には、補強性充填剤の含有量は5〜50体積%とすることが好ましく、充填剤の合計含有量は15〜90体積%、特に30〜80体積%とすることが好ましい。合計含有量が90体積%を超える場合にはシリコーン接着性成分が、非常に脆いものとなってしまうおそれがある。
2−5)接着性付与成分
本成分は、付加硬化型シリコーン接着剤を接着剤として機能させるために、被着体にイオン結合、配位結合、共有結合などにより、化学的に接着させる成分である。
本成分として、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)プロパン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン等のシランカップリング剤及びこれらの部分加水分解物;エポキシ基、酸無水物基、α−シアノアクリロイルオキシ基を有する有機化合物及びこれらの基を含有するシロキサン化合物、或いはこれらの基とアルコキシシリル基を併有する有機化合物若しくはシロキサン化合物;テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンエチルアセトナート、チタンアセチルアセトナート等のチタン化合物;エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、アルミニウムモノアセチルアセトナートビス(エチルアセトアセテート)等のアルミニウム化合物;ジルコニウムアセチルアセトナート、ジルコニウムブトキシアセチルアセトナート、ジルコニウムビスアセチルアセトナート、ジルコニウムエチルアセトアセテート等のジルコニウム化合物等を挙げることができる。
上記のシロキサン化合物として、アルケニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等の低級脂肪族不飽和基、或いはヒドロシリル基を併有するものが接着性向上により効果的である。
上記接着性付与成分の含有量は限定されないが、好ましくは、2−1)成分100質量部に対して0.01〜10質量部である。
さらに、付加硬化型シリコーン接着性成分には、その硬化性を調整するために、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−フェニル−1−ブチン−3−オール等のアセチレン系化合物;3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン等のエンイン化合物;1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラヘキセニルシクロテトラシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルビニルシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルビニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等の1分子中にビニル基を5質量%以上有するオルガノシロキサン化合物;ベンゾトリアゾール等のトリアゾール類、フォスフィン類、メルカプタン類、ヒドラジン類等の硬化抑制剤を含有することが好ましい。
これらの硬化抑制剤の含有量は限定されないが、2−1)成分100質量部に対して0.001〜5質量部であることが好ましい。
付加硬化型シリコーン接着性成分を調製する方法は限定されず、必要に応じてその他任意の成分を混合することにより調製することができるが、予め2−1)成分と2−3)成分を加熱混合して調製したベースコンパウンドに、残余の成分を添加することが好ましい。なお、その他任意の成分を添加する必要がある場合、ベースコンパウンドを調製する際に添加してもよく、また、これが加熱混合により変質する場合には、2−2)成分〜2−4)成分を添加する際に添加することが好ましい。また、このベースコンパウンドを調製する際、前記の有機ケイ素化合物を添加して、2−3)成分の表面をin-situ処理してもよい。
本接着剤を調製する際、2本ロール、ニーダー等の周知の混練装置を用いることができる。
次に、本発明で用いる機能性充填剤につき説明する。
本発明のシリコーン接着剤は導電性充填剤、熱伝導性充填剤、電磁波吸収性充填剤から選ばれる1種以上の機能性充填剤を含有する。
3−1)導電性充填剤
用いられる導電性充填剤としては、10Ω・cm以下の体積固有抵抗率を有する金属系、金属複合系、カーボン系などの導電性充填剤が挙げられる。
金属系導電性充填剤としては、アルミニウム、亜鉛、鉄、銅、ニッケル、銀、金、パラジウム、ステンレスなどの粉末、フレーク、繊維などが例示されるが、これらに限定されるものではない。
金属複合系導電性充填剤としては、金被覆シリカ、銀被覆シリカ、アルミニウム被覆ガラスビーズ、銀被覆ガラスビーズ、ニッケル被覆ガラス繊維、ニッケル被覆炭素繊維などが例示されるが、これらに限定されるものではない。
カーボン系導電性充填剤としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラックやPAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維などの炭素繊維が例示されるが、これらに限定されるものではない。さらには、カーボンナノチューブなどの導電性充填剤が例示されるが、これらに限定されるものではない。
これらの導電性充填剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。導電性充填剤の含有量は、導電機能を有するシリコーン接着剤の全量に対して5〜80体積%、特には20〜70体積%であることが好ましい。5体積%未満では十分な導電性の機能が得られないことがあり、80体積%を超えた場合には導電機能を有するシリコーン接着剤が脆くなってしまうおそれがある。
導電性充填剤を含有するシリコーン接着剤は導電機能を有するとともに電磁波シールド機能を発現する。
3−2)熱伝導性充填剤
熱伝導性充填剤としては、銅やアルミニウム等の金属、アルミニウムやインジウムなどの低融点合金、アルミナ、シリカ、マグネシア、ベンガラ、ベリリア、チタニア等の金属酸化物、金属炭化物、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素等の金属窒化物、或いは炭化ケイ素などを用いることができるが、特にこれらに限定されるものではない。
熱伝導性充填剤の平均粒子径は0.1〜100μmであることが好ましく、1〜50μmであることがより好ましい。
粒径が0.1μm未満の場合には、粒子の比表面積が大きくなりすぎて高充填化が困難となる。粒径が100μmを超える場合には、熱伝導機能を有するシリコーン接着剤の表面に微小な凹凸が現れ、接着が不充分となり、熱的な接触抵抗が大きくなるおそれがある。
熱伝導性充填剤の含有量は充填剤の種類にもよるが、10〜85体積%とすることが好ましい。10体積%未満では、0.5W/m・K以上の熱伝導率が得られない場合があり、85体積%を超えると、シリコーンゴム組成物が、非常に脆いものとなってしまうおそれがある。
3−3)電磁波吸収性充填剤
電磁波吸収性充填剤としては、吸収すべき電磁波の周波数帯域に応じて、カーボンや黒鉛などの粉末状や繊維状の誘電性損失材料;軟磁性フェライト、硬磁性フェライト、軟磁性金属などの粉末からなる磁性損失材料から任意に選択して用いることができる。
これらの中では、鉄元素を15体積%以上含む軟磁性合金、或いはフェライトが好ましい。
軟磁性フェライトとしては、MnFe24、CoFe24、NiFe24、CuFe24、ZnFe24、MgFe24、Fe34、Cu−Zn−フェライト、Ni−Zn−フェライト、Mn−Zn−フェライトなどのスピネル型フェライトや、Ba2Me2Fe1222(Me=Co,Ni,Zn,Mn,Mg,Cu)、Ba3Co2Fe2441などのフェロクスプレーナー型(Y型、Z型)六方晶フェライト等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
硬磁性フェライトとしては、BaFe1219、SrFe1219などのマグネプランバイト(M型)六方晶フェライト等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
軟磁性金属としては、Fe−Cr系、Fe−Si系、Fe−Ni系、Fe−Al系、Fe−Co系、Fe−Al−Si系、Fe−Cr−Si系、Fe−Si−Ni系等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
これらの電磁波吸収性充填剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。粉末の形状は扁平状、非扁平状のどちらかを単独で用いてもよいし、両者を併用してもよい。一般的には扁平状の電磁波吸収性充填剤を用いたものは電磁波吸収性が良好である。
電磁波吸収性充填剤の平均粒子径は0.1〜100μmであることが好ましく、1〜50μmであることがより好ましい。
粒径が0.1μm未満の場合には、粒子の比表面積が大きくなりすぎて高充填化が困難となる場合がある。粒径が100μmを超える場合には、電磁波吸収機能を有するシリコーン接着剤の表面に微小な凹凸が現れるおそれがある。
電磁波吸収性充填剤の含有量は、電磁波吸収機能を有するシリコーン接着剤の全量に対して5〜80体積%、特には20〜70体積%であることが好ましい。5体積%未満では十分な電磁波吸収性能が得られないことがあり、80体積%を超えた場合には電磁波吸収機能を有するシリコーン接着剤が脆くなってしまうおそれがある。
本発明の電磁波吸収機能を有するシリコーン接着剤の体積固有抵抗率は、1×102Ωm以上であることが好ましい。体積固有抵抗率が1×102Ωmより小さいと、電子機器内部の素子に電磁波吸収機能を有するシリコーン接着剤を直接接触して使用する場合などに、電磁波吸収機能を有するシリコーン接着剤を通して短絡が起こり、素子の損傷を引き起こすおそれがある。
上述の導電性充填剤、電磁波吸収性充填剤、熱伝導性充填剤は、その2種以上を同時にシリコーン接着剤に含有させることができる。
2種以上の機能性充填剤を同時に併用する場合は、それぞれの機能性充填剤が上述のそれぞれの機能が発現可能な最低量以上であり、かつ、充填剤の合計量がシリコーン接着剤全量の15〜90体積%とすることが望ましい。合計含有量が90体積%を超える場合には非常に脆いものとなってしまうおそれがある。この合計充填量の範囲内で目的とする機能の充填剤を調整することができる。ここで、充填剤の合計量は補強性及び/または塩基性充填剤も含めた合計量である。
上記の導電機能、熱伝導機能、電磁波吸収機能等の機能を有するシリコーン接着剤の調合には、2本ロール、ニーダーなどの周知の混練装置を用いることができ、導電性充填剤、電磁波吸収性充填剤、熱伝導性充填剤等の機能性充填剤をシリコーン接着性成分の調合と同時に混練調合してもよく、機能性充填剤以外の成分が調合されたシリコーン接着性成分に機能性充填剤を混練調合してもよい。
また、複数の機能を有するシリコーン接着剤として異なる機能性充填剤を含有するシリコーン接着剤を積層したものであってもよい。
様々な機能構成の可能な複合機能を有する接着剤の中から、導電性機能即ち電磁波シールド機能と電磁波吸収機能を兼ね備えた構成のシリコーン接着剤の例について説明する。
電磁波シールド機能と電磁波吸収機能を備えたシリコーン接着剤の一例として、前述の導電性充填剤を含有するシリコーン接着剤の少なくとも片側に、前述の電磁波吸収性充填剤を含有するシリコーン接着剤が接合されてなる構成の積層体を例示できる。
導電性充填剤を含有するシリコーン接着剤及び電磁波吸収性充填剤を含有するシリコーン接着剤の厚さは、適応する周波数や使用材料等により適宜選定されるが、シート形状の積層体とする場合には、導電機能を有するシリコーン接着剤の厚みあるいは更に後述の導電部材をも含む場合の導電機能を有する接着剤層と導電部材層の合計厚みとして、10μm〜3mm、特に30μm〜1mmとすることが好ましく、電磁波吸収機能を有するシリコーン接着剤の厚みは、30μm〜100mm、特に50μm〜10mmとすることが好ましい。
また、上記の積層体の導電機能を有するシリコーン接着剤層と、電磁波吸収機能を有するシリコーン接着剤層の両方に前述した熱伝導性充填剤が併用されて含有された構成のシリコーン接着剤も例示できる。上記の熱伝導機能を有するシリコーン接着剤の調合には、2本ロール、ニーダーなどの周知の混練装置を用いることができ、熱伝導性充填剤は導電機能を有するシリコーン接着剤、電磁波吸収機能を有するシリコーン接着剤のそれぞれの調合と同時に混練調合されてもよい。
また、複合機能を有するシリコーン接着剤として、前述した電磁波シールド機能と電磁波吸収機能を兼ね備えたシリコーン接着剤の少なくとも片方のシリコーン接着剤に、熱伝導性充填剤が併用された構成のものであってもよい。
用途や使用条件によって、これらの機能を複合した構成は、上述に限定されるものではなく、機能単体のみで用いられる以外に複数機能の積層や繰り返し接合構成などを適宜、組み合わせて用いることができる。
本発明のシリコーン接着剤は、さらに、導電性部材および補強部材から選択される1種以上且つ1層以上の部材を、賦形された接着剤の内部若しくは表面に積層あるいは被覆してもよい。
導電性部材としては、金属箔、導電性フィルム、金属繊維布、導電繊維布、金属線編組体、導電繊維編組体を挙げることができ、これらの1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
導電性部材に用いられる金属箔としては、金、銀、銅、ニッケル、鉄、錫、アルミニウム等の箔が挙げられるが、導電性を有するものであれば、金属の種類に限定されるものではない。箔の厚みは、5〜25μmであることが好ましい5μm未満では作業性が困難となる傾向にあり、25μmを超えると柔軟性が損なわれる傾向にある。
導電性フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートや塩化ビニル等からなる各種の有機高分子フィルムに、アルミニウム、チタン、金、銀、ニッケル、銅等の導電性金属を、電解又は無電解メッキ、蒸着、スパッタリング等によって、フィルム表面を導電性としたものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
導電性フィルムの厚みは、5〜25μmであることが好ましく、5μm未満では作業性が困難となる傾向にあり、25μmを超えると柔軟性が損なわれる傾向にある。
金属繊維布、導電繊維布としては、上記の導電性金属により合成繊維をメッキしたメッキ繊維や炭素繊維等からなる導電性不織布等が挙げられるが、導電性を有するものであればよく、特にこれらに限定されるものではない。
厚みは、5〜25μmであることが好ましく、5μm未満では、作業性が困難となる傾向にあり、25μmを超えると柔軟性が損なわれる傾向にある。
金属線編組体、導電繊維編組体としては、上記金属線あるいは上記導電性繊維が、平織りや綾織り等の網状に織られているものを挙げることができ、単線であっても複数の撚線であってもよく、特に材質や織り方などが限定されるものではない。
電磁波シールド機能を発現させるものに用いる場合には、10〜100メッシュの織り目、編み目の導電性編組体が好ましい。編み目が、10メッシュ未満で開口率が99%以上の場合には、開口部寸法が約2.5mm以上となることから充分な電磁波シールド機能を発揮することが困難となり、100メッシュを超え開口率が95%以下の場合には、開口部寸法が、約0.24mm以下となることから、装着時の押圧力で、接着に寄与するシリコーン接着剤がメッシュ開口部から膨出することを妨げることとなる。
導電性部材は、上述したいずれにおいても、シリコーン接着剤との接着性を向上させるために、オルガノハイドロジェンポリシロキサンや、シランカップリング剤やシランカップリング剤の縮合物などからなるプライマーで表面処理されていてもよい。
導電性充填剤を含有していないシリコーン接着性成分の内部若しくは表面に導電性部材を積層、被覆接合させる構成では、導電性部材による導電機能、電磁波シールド機能を有するシリコーン接着剤として用いることが可能であり、導電性部材が、電磁波シールドの施された装着部位と接触し、接地されることで電磁波シールド機能を発現でき、装着部位と接着されて用いられる。
導電性部材が導電機能を有するシリコーン接着剤と複合化される構成では、導電性部材の併用により導電機能、電磁波シールド機能をさらに効果的に向上させるものとなる。
導電性部材が熱伝導機能を有するシリコーン接着剤と複合される構成では、導電性部材の熱伝導性が併用され、熱伝導性を向上させるものとなる。
更には、導電性部材が、各種機能を有するシリコーン接着剤の補強部材として機械的強度を向上させるものであるとともに、シリコーン接着剤の自立した賦形形状の保持を補うものとして、装着操作等が良好となるものである。
次に補強部材について説明する。補強部材はシリコーン接着剤を補強する効果を有するもので、導電性のものと絶縁性のものがあるが、導電性のものは上述の導電性部材で説明したので、絶縁性のもの(以下、絶縁性補強部材という。)について説明する。
絶縁性補強部材としては、合成樹脂フィルム、合成繊維布、ガラス繊維布、繊維編組体、絶縁被覆金属編組体等から選ばれる少なくとも1種類かつ1層以上の補強部材が用いられ、前述の導電機能を有するシリコーン接着剤、電磁波吸収機能を有するシリコーン接着剤、熱伝導機能を有するシリコーン接着剤の内部若しくは表面に積層、被覆接合されてなる構成のものである。
これらの絶縁性補強部材の厚みは、5〜300μmであることが好ましい。5μm未満では、作業性が困難となる傾向にあり、300μmを超えると柔軟性が損なわれる傾向にある。合成樹脂フィルムでは、パンチング加工やスリット加工が施されて、シリコーン樹脂が加工部で流動膨出するものであってもよい。また、編組体では、5メッシュ以上で開口率95%以下のもので約4.83mm以下の開口部寸法となることが望ましく、これ以上の開口の大きさとなると補強性が十分に発現できないおそれがある。メッシュの上限は特定しないが、メッシュの開口部を貫通してシリコーン接着剤が流動して複合化させるものでは、機械的強度を更に向上させることが可能となる。すなわち、装着時の押圧力によって、編組体のメッシュの開口目から流動して装着部との接触が可能となって、接着剤の接着強度が向上する。この場合の編み目は、100メッシュ以下で95%以上の開口率で開口部寸法は約0.24mmとなり、開口部寸法を0.24mm以上とすることが望ましい。
また、絶縁性補強部材は、シリコーン接着剤との接着性を向上させるために、オルガノハイドロジェンポリシロキサンや、シランカップリング剤やシランカップリング剤の縮合物などからなるプライマーで表面処理を施されていてもよい。これらの絶縁性補強部材は、補強性の発現だけでなく、シリコーン接着剤の自立した賦形形状の保持を補うものとして、装着操作性が良好となるものである。
なお、本発明のシリコーン接着剤において、作業性や保存性などの必要に応じて、シリコーン接着剤の少なくとも一面に、離型フィルムや保護フィルムを貼着したシリコーン接着剤であってもよい。
離型フィルムは、ポリエステルフィルム、OPP(二軸延伸ポリプロピレン)フィルムなどの離型性を有するフィルムであれば、特に材質が限定されるものではない。厚みも20〜100μmが望ましい。20μm未満では作業性が困難となるおそれがあり、100μmよりも厚いのを用いることは経済的でない。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(可塑度の測定)
実施例、比較例で得た組成物の混練直後のウイリアムス可塑度を25℃において平行板可塑度計(ウイリアムスプラストメータ、上島製作所製)を使用して、JIS K 6249「未硬化及び硬化シリコーンゴムの試験方法」に規定する測定方法に従って測定した。すなわち、試料2gを球状の試験体として、これをセロハン紙に挟んで、ダイヤルゲージのついた平行板可塑度計中にセットし、5kgの荷重を加えて3分間放置した後、ダイヤルゲージの目盛りをミリメートルまで読み取り、試験体の厚さを記録し、この数値を100倍してウイリアム可塑度とした。
(参考例1)(縮合硬化型シリコーン接着性成分)
密閉混練器中で、両末端水酸基封鎖ジメチルポリシロキサンを100質量部と、表面がジメチルジクロロシランで処理された乾式シリカ(日本アエロジル製、エロジルR972)30質量部(約17.6体積%)を均一に混合し、これにメチルトリメチルエチルケトオキシムシラン4質量部、ジブチル錫ジオクトエート0.05質量部を減圧下で均一になるまで混練して縮合硬化型シリコーン接着性成分を調製した。
得られたシリコーン接着性成分の混練直後の25℃におけるウイリアムス可塑度は173であった。
(参考例2)(付加硬化型シリコーン接着性成分)
ニーダー中で、ケイ素原子に結合した全置換基に対するビニル基の割合が0.44モル%の無色透明流動性固体両末端ビニルジメチルシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン・ビニルメチルシロキサン共重合体(粘度2000万mPa・s、ウイリアムス可塑度90)を100質量部と、表面がジメチルジクロロシランで処理された乾式シリカ(日本アエロジル製、エロジルR972)30質量部、両末端ジメチルヒドロキシシリル基封鎖の重合度が約10のジメチルポリシロキサン2質量部を均一に混合して、窒素通気雰囲気下、150℃で1時間加熱しながら混合を行った後、冷却した。次いで、ミキシングロールを使用して、冷却状態にて、前記混合物100質量部に対して、ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(メチルハイドロジェンシロキサン量は、0.7モル/100g)1.72質量部、塩化白金酸溶液(塩化白金酸5質量部を2−エチルヘキサノールに希釈したもの)0.27質量部、ビニルトリエトキシシラン1質量部、3−メチル−1−ブテン−3−オール0.05質量部を均一に混練し、付加硬化型シリコーン接着性成分を調製した。
得られた接着性成分の混練直後の25℃におけるウイリアムス可塑度は183であった。
(実施例1)
導電性充填剤として、平均粒径が20μmの球状銅粉を選定し、この導電性充填剤100質量部に対して、表面処理剤としてケイ素原子結合アルコキシ基を含有するオルガノポリシロキサンを1質量部添加、混合して表面処理導電性充填剤を得た。
参考例1で得た縮合硬化型シリコーン接着性成分に、上記で得た表面処理導電性充填剤を添加後の組成物全量の50質量%となるように添加して、ニーダーで混練して導電性充填剤が均一に分散した導電機能を有するシリコーン接着剤を得た。このシリコーン接着剤の混練直後のウイリアムス可塑度は211であった。
OPPフィルム(40μm)の上に上述の導電機能を有するシリコーン接着性剤を低湿度環境下(23℃、10%RH)でカレンダーロールを用いて、1mmの厚みのシート形状に賦形し、さらにその上にOPPフィルム(40μm)を貼り付け、密封シール可能な包装形態により、低湿度状態を保持した導電機能を有するシート状シリコーン接着剤を得た。
任意の筐体の一部を装着部とみなし、上記導電機能を有するシート状シリコーン接着剤のOPPフィルムを剥がして装着部に押圧すると、押圧力により装着部の間隙や凹凸に追従してシリコーン接着剤が流動して所定の装着部に間隙無く密着させることができた。
また、装着後には、装着部と接着硬化して強固な接着性、耐久性が得られると共に、優れた導電性を示した。
(実施例2)
電磁波吸収性充填剤として、Mn‐Zn‐フェライト系の扁平形状で大きさ20μmの粒子を用い、これに表面処理剤としてケイ素原子結合アルコキシ基を含有するオルガノポリシロキサンを電磁波吸収性充填剤100質量部に対して1質量部添加、混合して表面処理電磁波吸収性充填剤を得た。
参考例1で得た縮合硬化型シリコーン接着性成分に、上記で得た表面処理電磁波吸収性充填剤を添加後の組成物全量の40体積%となるように添加して、ニーダーで混練して電磁波吸収性充填剤が均一に分散した導電機能を有するシリコーン接着剤を得た。このシリコーン接着剤の混練直後のウイリアムス可塑度は225であった。
上記導電機能を有するシリコーン接着剤を常温環境下(23℃、50%RH)でカレンダーロールを用いて、OPPフィルム(40μm)の上に1mmの厚みのシート形状に賦形し、さらにその上にOPPフィルム(40μm)を貼り付け、電磁波吸収機能を有するシート状シリコーン接着剤を得た。保存は、低温(−20℃)下で行った。
この電磁波吸収機能を有するシート状シリコーン接着剤を装着部に押圧すると、押圧力により装着部の間隙や凹凸に追従してシリコーン接着剤が流動して所定の装着部に間隙無く密着させることができた。
また、装着後には、装着部と接着硬化して強固な接着性、耐久性が得られた。
(実施例3)
熱伝導性充填剤として、鱗片状の平均大きさ15μmの窒化ホウ素を用い、これに表面処理剤としてケイ素原子結合アルコキシ基を含有するオルガノポリシロキサンを熱伝導性充填剤100質量部に対して1質量部添加、混合して表面処理熱伝導性充填剤を得た。
参考例1で得た縮合硬化型シリコーン接着性成分に、上記で得た表面処理熱伝導性充填剤を添加後の組成物全量の50質量%となるように添加して、ニーダーで混練して熱伝導性充填剤が均一に分散した熱伝導機能を有するシリコーン接着剤を得た。このシリコーン接着剤の混練直後のウイリアムス可塑度は254であった。
低湿度環境下(23℃、10%RH)でカレンダーロールを用いて、このシリコーン接着剤をOPPフィルム(40μm)の上に1mmの厚みのシート形状に賦形し、さらにその上にOPPフィルム(40μm)を貼り付け、熱伝導機能を有するシート状シリコーン接着剤を得た。保存は、密封シール可能な包装形態により、低湿度状態を保持した状態で行った。
この熱伝導性シート状シリコーン接着剤を装着部に押圧すると、押圧力により装着部の間隙や凹凸に追従してシリコーン接着剤が流動して所定の装着部に間隙無く密着させることができた。
また、装着後には、装着部と接着硬化して強固な接着性、耐久性が得られた。
この熱伝導性シート状シリコーン接着剤は、発熱・冷却による部材間の伸縮に良好な追従性を示した。
この熱伝導性シート状シリコーン接着剤は6.7W/(m・K)の熱伝導率を示し、パワートランジスタやサイリスタの実装に段差があるような複数の発熱素子にも追従して、ヒートシンクとの相互接着を可能とするものなどに有効な構成であった。
(実施例4)
導電性充填剤として、ニッケルメッキされた長さ約150μmの炭素繊維を用い、熱伝導性充填剤として、平均粒径1μmの球状アルミナ粉を用いた。
導電性充填剤および熱伝導性充填剤の表面処理剤として、導電性充填剤と熱伝導性充填剤のそれぞれ100質量部に対して、ケイ素原子結合アルコキシ基を含有するオルガノポリシロキサンを1質量部添加した。
参考例2の付加硬化型シリコーン接着性成分に導電性充填剤を35質量%、熱伝導性充填剤を20質量%となるように添加し、ニーダーを用い均一に分散して、導電性機能と熱伝導性機能とを有するシリコーン接着剤を得た。このシリコーン接着剤の混練直後のウイリアムス可塑度は263であった。
別途、電磁波吸収性充填剤として、Mn‐Zn‐フェライト系の扁平形状で大きさ20μmの粒子を選定し、熱伝導性充填剤として、平均粒径1μmの球状アルミナ粉を用いた。
電磁波吸収性充填剤および熱伝導性充填剤の表面処理剤として、導電性充填剤と熱伝導性充填剤のそれぞれ100質量部に対して、ケイ素原子結合アルコキシ基を含有するオルガノポリシロキサンを1質量部添加した。
付加硬化型シリコーン接着性成分に電磁波吸収性充填剤を40質量%、熱伝導性充填剤を20質量%となるように添加し、ニーダーを用い均一に分散して、電磁波吸収機能と熱伝導性機能とを有するシリコーン接着剤を得た。このシリコーン接着剤の混練直後のウイリアムス可塑度は242であった。
こうして得られた熱伝導性充填剤及び導電性充填剤を含有するシリコーン接着剤を0.5mm厚のシート状に賦形し、熱伝導性充填剤及び電磁波吸収性充填剤を含有するシリコーン接着剤を1.0mmのシート状に賦形し、これらを積層して導電機能、電波吸収機能、熱伝導機能を有する積層構成のシリコーン接着剤を得た。
図1に示すように、このシリコーン接着剤85を、電磁波シールド加工済みの筐体30に収納された電子部品88に、電磁波吸収機能を有するシリコーン接着剤87が直接接合し、導電機能を有するシリコーン接着剤86が筐体30に接地、接合するように接着して電子部品収納体とした。
得られた電子部品収納体では、電子部品88から発生する電磁波の吸収が電磁波吸収機能を有するシリコーン接着剤87で減衰され、筐体30に接地された導電機能を有するシリコーン接着剤86が電磁波の漏洩間隙を発生させずに電磁波シールド機能を発現した。さらに併用された熱伝導性充填剤によって電子部品88中の電子素子の発熱を筐体30に伝熱することにより、電子素子の温度上昇を抑えることができた。
次に、実施例1〜4のシリコーン接着剤の熱伝導率を評価した。さらに、実施例1、2、4のシリコーン接着剤については、電磁波透過減衰量、電磁波吸収特性として放射ノイズ減衰量を評価した。結果を表1に示した。
Figure 2005194372
(熱伝導率)
熱伝導率の測定は、迅速熱伝導率測定器(「QTM−500」京都電子工業製)を用いて測定した。被検体は、各実施例で得たシート状のシリコーン接着剤の硬化物とし、その大きさは、20mm×20mmのものを用いた。
(電磁波透過減衰量)
電磁波透過減衰量の測定は、図2に示すような測定系を使用した。電磁波源及び検出用素子としてφ1.5mmのマイクロ波ループアンテナ1を用い、ネットワークアナライザ2にて測定した。被検体11は、各実施例で得たシート状のシリコーン接着剤の硬化物とし、その大きさは、100mm×100mmのものを用いた。周波数1GHzでの透過減衰量を代表値として示した。
(放射ノイズ減衰量)
図3に示すような測定計を用いて放射ノイズ減衰量を評価した。まず、ディスプレイ6及びキーボード7と接続したパーソナルコンピュータ4を電波暗室3内に設置した。また、50mm×50mmに切断した被検体を、パーソナルコンピュータ4の動作周波数1GHzのCPUとアルミニウム製ヒートシンクの間に挟み込んで硬化させて組み込んだ。そして、パーソナルコンピュータ4を動作させ、そのパーソナルコンピュータ4から3m離れた位置の受信アンテナ5を通してシールドルーム8内のEMIレシーバ9で電磁波ノイズ発生量を測定した。これは米国連邦通信委員会(FCC)の測定方法における3mの場合に合致するものである。この測定結果と各実施例のシリコーン接着剤を設置しない場合のノイズ発生量との差をノイズ減衰量とした。周波数1GHzでのノイズ減衰量を代表値として示した。
表1に示す結果から明らかなように、それぞれ優れた効果を発揮したが、特に、実施例3に示すものは熱伝導性に優れるものであった。また、実施例1、2、4に示すものは電磁波シールド機能ないし電磁波吸収機能に優れているものであった。
本発明のシリコーン接着剤の使用例を示す断面図である。 電磁波透過減衰量の測定装置の概念図である 放射ノイズ減衰量の評価装置の概念図である。
符号の説明
85 シリコーン接着剤
88 電子部品


Claims (4)

  1. 未硬化の状態で自立した形状に賦形され、25℃におけるウイリアムス可塑度が、100〜500であるシリコーン接着性成分を含有する硬化可能なシリコーン接着剤であって、導電性充填剤、熱伝導性充填剤及び、電磁波吸収性充填剤から選ばれる1種以上の機能性充填剤を含有することを特徴とするシリコーン接着剤。
  2. 前記導電性充填剤が、10Ω・cm以下の体積固有抵抗率を有する金属系充填剤、金属複合系充填剤、カーボン系充填剤から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1に記載のシリコーン接着剤。
  3. 前記熱伝導性充填剤が、金属、金属酸化物、金属炭化物、金属窒化物から選択される1種以上の粉末であることを特徴とする請求項1に記載のシリコーン接着剤。
  4. 前記電磁波吸収性充填剤が、誘電性損失材料及び磁性損失材料から選ばれる1種以上の粉末状あるいは繊維状の充填剤であることを特徴とする請求項1に記載のシリコーン接着剤。

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