JP2005191698A - 弾性表面波素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 同一基板上における中心周波数のばらつきを抑えることができる弾性表面波素子の製造方法を提供する。
【解決手段】 圧電性基板2上に成膜された金属膜11の膜厚分布を測定する工程と、櫛形電極3の形状パターンを有するマスク層13を金属膜11上に形成し、金属膜11及び圧電性基板2のうちマスク層13に覆われていない部分をエッチングすることにより櫛形電極3を形成する電極形成工程とを行う。そして、電極形成工程の際に、膜厚測定工程により測定された金属膜11の膜厚分布に基づいて、圧電性基板2のエッチング深さを同一基板内で変化させることにより、複数の素子領域のそれぞれにおける中心周波数を調整する。これにより、同一基板上における中心周波数のばらつきを抑えることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、弾性表面波素子の製造方法に関するものである。
近年、携帯電話等に内蔵される高周波回路用の部品として、圧電性基板上に櫛形電極が形成された弾性表面波フィルタや弾性表面波共振子などの弾性表面波素子が多く用いられている。弾性表面波素子は、従来から用いられてきた誘電体フィルタ等と比較して、小型化が可能であり且つ優れた電気特性を有している。
一般的に、弾性表面波素子は、次のようにして製造される。まず、圧電性基板上に金属膜が成膜される。次に、金属膜上に櫛形電極の形状パターンを有するマスク層が形成される。そして、金属膜のうちマスク層に覆われていない部分がエッチングされ、櫛形電極が形成される。最後に、圧電性基板が分割され、複数の弾性表面波素子が完成する。
ここで、弾性表面波素子の製造段階においては、その中心周波数が使用目的に応じて調整される。弾性表面波素子の中心周波数を調整する従来の方法としては、圧電性基板の材料を選択する方法、櫛形電極の高さを調整する方法(例えば特許文献1)、或いは所定の中心周波数になるまで圧電性基板の櫛形電極に覆われていない部分をエッチングする方法(例えば特許文献2、3)などがある。
特開2003−179453号公報 特開平7−154179号公報 特開平5−090865号公報
しかしながら、例えば圧電性基板上に成膜される金属膜の膜厚が同一基板上において均一ではない場合には、櫛形電極の厚さも同一基板上において均一ではなくなる。或いは、金属膜上に形成されるマスク層のパターン幅が同一基板上において均一ではない場合には、櫛形電極の幅も同一基板上において均一ではなくなる。これらの結果、同一の圧電性基板から製造される複数の弾性表面波素子それぞれの中心周波数にばらつきが生じてしまうこととなる。上記した各特許文献1〜3では、同一の圧電性基板から製造される複数の弾性表面波素子の中心周波数を基板上において一様に調整する方法しか開示されておらず、同一基板上における上記したような中心周波数のばらつきを抑えることは困難であった。
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、同一基板上における中心周波数のばらつきを抑えることができる弾性表面波素子の製造方法を提供することを目的とする。
上記した課題を解決するために、本発明による第1の弾性表面波素子の製造方法は、圧電性基板上の複数の素子領域のそれぞれに櫛形電極を形成し、複数の素子領域単位に圧電性基板を分割することにより弾性表面波素子を製造する方法であって、圧電性基板上に成膜された金属膜の膜厚分布を測定する膜厚測定工程と、櫛形電極の形状パターンを有するマスク層を金属膜上に形成し、金属膜及び圧電性基板のうちマスク層に覆われていない部分をエッチングすることにより櫛形電極を形成する電極形成工程とを備え、電極形成工程の際に、膜厚測定工程により測定された金属膜の膜厚分布に基づいて、圧電性基板のエッチング深さを同一基板内で変化させることにより、複数の素子領域のそれぞれにおける中心周波数を調整することを特徴とする。
上記した第1の弾性表面波素子の製造方法では、圧電性基板のエッチング深さを、金属膜の膜厚分布に基づいて同一基板内で変化させている。ここで、圧電性基板のエッチング深さと中心周波数とには相関がある。例えば、圧電性基板のエッチング深さを深くすると中心周波数は小さくなり、エッチング深さを浅くすると中心周波数は大きくなる。従って、この製造方法によれば、同一の圧電性基板上における金属膜の膜厚の不均一さ(すなわち、櫛形電極の厚さの不均一さ)に起因する中心周波数のばらつきを、圧電性基板のエッチング深さを変化させることによる中心周波数の変化によって相殺することができるので、同一基板上における中心周波数のばらつきを抑えることができる。
また、第1の弾性表面波素子の製造方法は、電極形成工程の際に、プラズマエッチングによって圧電性基板をエッチングするとともに、プラズマエッチング装置において圧電性基板を載置する側の電極に印加するバイアス電力の電力値を選択することによって、圧電性基板のエッチング深さを同一基板内で変化させることを特徴としてもよい。また、第1の弾性表面波素子の製造方法は、電極形成工程の際に、エッチングガスの流量比率を選択することによって、圧電性基板のエッチング深さを同一基板内で変化させることを特徴としてもよい。また、第1の弾性表面波素子の製造方法は、電極形成工程の際に、圧電性基板を収容するチャンバ内の処理圧力を選択することによって、圧電性基板のエッチング深さを同一基板内で変化させることを特徴としてもよい。
本発明者らは、(1)バイアス電力の電力値を選択する方法、(2)エッチングガスの流量比率を選択する方法、(3)圧電性基板を収容するチャンバ内の処理圧力を選択する方法、のうち少なくとも1つの方法を用いることにより、圧電性基板に対するエッチング深さを同一基板内において任意に変化させ得ることを見出した。従って、上記したいずれかの製造方法によれば、同一の圧電性基板上における金属膜の膜厚の不均一さに起因する中心周波数のばらつきを容易に抑えることができる。
また、本発明による第2の弾性表面波素子の製造方法は、圧電性基板上の複数の素子領域のそれぞれに櫛形電極を形成し、複数の素子領域単位に圧電性基板を分割することにより弾性表面波素子を製造する方法であって、圧電性基板上に成膜された金属膜上に櫛形電極の形状パターンを有するマスク層を形成するマスク形成工程と、マスク層のパターン幅の分布を測定するパターン幅測定工程と、金属膜のうちマスク層に覆われていない部分をエッチングすることにより櫛形電極を形成する電極形成工程とを備え、電極形成工程の際に、櫛形電極の側面をテーパ状に形成するとともに、パターン幅測定工程により測定されたマスク層のパターン幅の分布に基づいて、櫛形電極の側面のテーパ角を同一基板内で変化させることにより、複数の素子領域のそれぞれにおける中心周波数を調整することを特徴とする。
上記した第2の弾性表面波素子の製造方法では、櫛形電極の側面をテーパ状に形成するとともに、櫛形電極の側面のテーパ角を、マスク層のパターン幅の分布に基づいて同一基板上で変化させている。ここで、櫛形電極の断面積と中心周波数とには相関がある。例えば、櫛形電極の断面積を大きくすると中心周波数は小さくなり、櫛形電極の断面積を小さくすると中心周波数は大きくなる。従って、この製造方法によれば、同一の圧電性基板内におけるマスク層のパターン幅の不均一さ(すなわち、櫛形電極の幅の不均一さ)に起因する中心周波数のばらつきを、櫛形電極の側面のテーパ角を変化させることによる中心周波数の変化によって相殺することができるので、同一基板上における中心周波数のばらつきを抑えることができる。
また、第2の弾性表面波素子の製造方法は、電極形成工程の際に、プラズマエッチングによって金属膜をエッチングするとともに、プラズマエッチング装置において圧電性基板を載置する側の電極に印加するバイアス電力の電力値を選択することによって、櫛形電極の側面のテーパ角を同一基板内で変化させることを特徴としてもよい。また、第2の弾性表面波素子の製造方法は、電極形成工程の際に、エッチングガスの流量比率を選択することによって、櫛形電極の側面のテーパ角を同一基板内で変化させることを特徴としてもよい。
本発明者らは、(4)バイアス電力の電力値を選択する方法、(5)エッチングガスの流量比率を選択する方法、のうち少なくとも1つの方法を用いることによって、櫛形電極の側面のテーパ角を同一基板上において任意に変化させ得ることを見出した。従って、この製造方法によれば、同一の圧電性基板上における櫛形電極の幅の不均一さに起因する中心周波数のばらつきを容易に抑えることができる。
なお、上記した第1及び第2の弾性表面波素子の製造方法において、圧電性基板は、圧電性材料からなる基板の他、非圧電性材料からなる基板上に圧電性材料の層が形成されているものも含む。
本発明による弾性表面波素子の製造方法によれば、同一基板上における中心周波数のばらつきを抑えることができる。
以下、添付図面を参照しながら本発明による弾性表面波素子の製造方法の実施の形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1の実施の形態)
まず、本発明による弾性表面波素子の製造方法の第1実施形態によって製造される中間生産物について説明する。図1は、本実施形態によって製造される中間生産物1を示す側面断面図である。なお、図1においては、中間生産物1の中央部分(図中C)及び周辺部分(図中D)を拡大して示している。図1を参照すると、中間生産物1は、圧電性基板2と、圧電性基板2上に形成された複数の櫛形電極(IDT、Interdigital Transducer)3と、図示しない反射電極、電極パッド、及び保護膜とを備えている。
圧電性基板2は、例えばニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、水晶などの圧電性材料からなるウェハ状の基板である。圧電性基板2は、主面上に複数の素子領域を有しており、複数の素子領域のそれぞれには所定数の櫛形電極3、反射電極、及び電極パッドが形成される。なお、後に詳述する弾性表面波素子の製造方法においては、複数の素子領域単位に圧電性基板2が分割されることにより、複数の弾性表面波素子が製造される。
複数の櫛形電極3は、例えばAlを主成分とする金属材料からなり、圧電性基板2上において櫛形状にそれぞれ形成されている。反射電極は、例えば櫛形電極3と同じ材料からなり、櫛形電極3を挟む位置に形成される。電極パッドは、例えば櫛形電極3と同じ材料からなり、配線パターンを介して櫛形電極3と電気的に接続されている。保護膜は、圧電性基板2、櫛形電極3、反射電極、及び電極パッドを覆う絶縁性の膜である。
櫛形電極3及び反射電極の厚さは、圧電性基板2上において不均一であり、櫛形電極3及び反射電極の形成位置によって異なっている。例えば、本実施形態では、図1に示すように圧電性基板2の中央部分の櫛形電極3の厚さが、圧電性基板2の周辺部分の櫛形電極3の厚さよりも薄くなっている。このように、櫛形電極3及び反射電極の厚さが圧電性基板2上において不均一なのは、櫛形電極3及び反射電極を形成するための金属膜を圧電性基板2上に成膜する際に、該金属膜の厚さを厳密に均一とすることが難しいからである。
中間生産物1においては、櫛形電極3及び反射電極の厚さが不均一であることに起因する、素子領域の中心周波数の領域間のばらつきを規定範囲内に調整するために、圧電性基板2に対するエッチング深さが同一基板内において変化している。例えば、本実施形態では、図1に示すように圧電性基板2の中央部分における圧電性基板2のエッチング深さD1が、圧電性基板2の周辺部分における圧電性基板2のエッチング深さD2よりも深くなっている。すなわち、櫛形電極3の厚さが比較的薄い部分においては圧電性基板2に対するエッチング深さが深くなっており、櫛形電極3の厚さが比較的厚い部分においては圧電性基板2に対するエッチング深さが浅くなっている。なお、圧電性基板2に対するエッチングは、圧電性基板2上に成膜された金属膜がエッチングされて櫛形電極3及び反射電極が形成される際に連続して行われてもよい。
次に、本実施形態による弾性表面波素子の製造方法について説明する。図2は、本実施形態による弾性表面波素子の製造方法を示すフローチャートである。また、図3及び図4は、本実施形態による弾性表面波素子の製造方法を説明するための断面図である。図2〜図4を参照すると、本製造方法では、まず圧電性材料からなるウェハ状の圧電性基板2を準備する(S101)。続いて、圧電性基板2の主面2aを洗浄し、洗浄した主面2a上に金属膜11を成膜する(S102、図3(a))。なお、金属膜11を成膜する際には、例えばAlを主成分とする金属材料をスパッタリング等によって主面2a上に成膜するとよい。
続いて、金属膜11の膜厚分布を測定する(膜厚測定工程、S103)。すなわち、圧電性基板2の主面2a上における金属膜11の膜厚分布を、蛍光X線等を用いて測定する。ここで、図5(a)及び図5(b)は、金属膜11の膜厚分布の典型例を示す断面図である。図5(a)は、圧電性基板2の中央部分における金属膜11の厚さt1が、圧電性基板2の周辺部分における金属膜11の厚さt2よりも薄い場合を示している。また、図5(b)は、圧電性基板2の中央部分における金属膜11の厚さt1が、圧電性基板2の周辺部分における金属膜11の厚さt2よりも厚い場合を示している。図5(a)及び図5(b)に示した例のように、金属膜11の膜厚は、圧電性基板2の中央部分と周辺部分とにおいて互いに対照的である場合が多い。そして、測定した膜厚分布の傾向別に圧電性基板2を複数のグループに分別する(S104)。なお、膜厚分布の測定方法は、蛍光X線を用いる方法に限らず他の方法を用いてもよい。
続いて、金属膜11上にレジストを塗布し、櫛形電極形状、反射電極形状、パッド電極形状、及び配線パターン形状の各形状を含む所定パターンに該レジストを露光して現像することによりマスク層13を形成する(S105、図3(b))。そして、ステップS104において分別したグループ毎に一つの圧電性基板2(試行基板)を選択する。選択した圧電性基板2に対するエッチング条件を各グループ毎に選択し(S106)、選択したエッチング条件によって金属膜11をエッチングすることにより、櫛形電極3と、電極パッドの基礎部分となる入出力電極5と、図示しない反射電極及び配線パターンとを形成する(S107、図3(c))。本実施形態では、金属膜11をエッチングして櫛形電極3等を形成する際に、圧電性基板2のうち櫛形電極3等が設けられない部分についても所定深さまでエッチングを行う。なお、ステップS106及びステップS107は、本実施形態における電極形成工程である。そして、櫛形電極3等を形成後、マスク層13を除去する。
ここで、図6は、本実施形態による弾性表面波素子の製造方法において、金属膜11及び圧電性基板2をエッチングするために用いられるプラズマエッチング装置であるICP(誘導結合プラズマ:Inductive Coupling Plasma)装置100を示す図である。図6を参照すると、ICP装置100は、チャンバ103、上部電極105、高周波電源107、バイアス電源109、ステージ111、冷却水導入口113、冷却水排出口115、ガス導入口117、及びガス排出口119を備えている。
チャンバ103は、金属膜11が成膜された圧電性基板2を収容するための部分であり、その内部は高温・低圧に保たれる。上部電極105は、チャンバ103内に設けられており、例えば平板状コイルやらせん状コイルといった形状である。上部電極105は、例えば13.56MHzといった高周波電圧を発生する高周波電源107に電気的に接続されている。また、ステージ111は、チャンバ103内において上部電極105と対向するように設けられている。ステージ111は、導電性を有しており、バイアス電源109に電気的に接続されている。バイアス電源109は、ステージ111に所定のバイアス電力を印加する。上部電極105とステージ111との間には、高周波電源107によって誘導結合プラズマPが発生する。誘導結合プラズマPは、バイアス電力により生じる電界によってステージ111へ向けて加速される。
冷却水導入口113及び冷却水排出口115は、それぞれステージ111に接続されており、冷却水導入口113から導入された冷却水Fがステージ111内を通過して冷却水排出口115から排出されるしくみになっている。冷却水Fは、ステージ111上に載置される圧電性基板2を冷却するために導入される。
ガス導入口117は、チャンバ103内にエッチングガスG1を導入するためにチャンバ103に設けられている。また、ガス排出口119は、エッチングにより生じた排出ガスG2をチャンバ103内から排出するためにチャンバ103に設けられている。本実施形態では、エッチングガスG1として三塩化硼素ガス(BCl)及び塩素ガス(Cl)を含む混合気体が用いられる。ガス導入口117から導入されたエッチングガスG1の一部は、誘導結合プラズマPによって活性種(ラジカル)Rとなる。そして、活性種Rが圧電性基板2に到達することにより、金属膜11及び圧電性基板2がエッチングされる。
ここで、ステップS106におけるエッチング条件の選択について説明する。すなわち、ステップS106においては、膜厚測定工程(S103)において測定された金属膜11の膜厚分布に基づいて、圧電性基板2に対するエッチング速度分布が所定の分布となるようにエッチング条件を選択する。これにより、圧電性基板2のエッチング深さを同一基板内で変化させ、圧電性基板2の複数の素子領域のそれぞれにおける中心周波数を規定範囲内に調整する。
例えば、図7は、圧電性基板2における二種類のエッチング速度分布の例を示すグラフである。すなわち、図7におけるグラフA1は、圧電性基板2の中心部におけるエッチング速度が速くなり、圧電性基板2の周辺部におけるエッチング速度が遅くなるような場合のエッチング速度分布を示している。また、グラフA2は、圧電性基板2の中心部におけるエッチング速度が遅くなり、圧電性基板2の周辺部におけるエッチング速度が速くなるような場合のエッチング速度分布を示している。
膜厚測定工程(S103)において、図5(a)に示した膜厚分布(圧電性基板2の中心部分の膜厚t1が薄く、圧電性基板2の周辺部分の膜厚t2が厚い)を金属膜11が有している場合には、グラフA1のようなエッチング速度分布となるようにエッチング条件を選択することが好ましい。また、膜厚測定工程(S103)において、図5(b)に示した膜厚分布(圧電性基板2の中心部分の膜厚t1が厚く、圧電性基板2の周辺部分の膜厚t2が薄い)を金属膜11が有している場合には、グラフA2のようなエッチング速度分布となるようにエッチング条件を選択することが好ましい。このようにエッチング条件を選択することにより、同一基板上において櫛形電極3及び反射電極が薄い部分では圧電性基板2のエッチング深さを深くし、櫛形電極3及び反射電極が厚い部分では圧電性基板2のエッチング深さを浅くして(例えば図1参照)、同一の圧電性基板2上における金属膜11の膜厚の不均一さに起因する各素子領域の中心周波数のばらつきを容易に抑えることができる。このようなエッチング条件の選択方法としては、例えば以下に説明する3つの方法がある。
(1)バイアス電力の電力値を選択する方法
この方法は、図6に示したICP装置100のバイアス電源109におけるバイアス電力の電力値を選択することにより、所望のエッチング速度分布を実現する方法である。すなわち、比較的小さなバイアス電力値を選択することにより、グラフA1のように圧電性基板2の中心部におけるエッチング速度を速くし、圧電性基板2の周辺部におけるエッチング速度を遅くすることができる。また、比較的大きなバイアス電力値を選択すれば、グラフA2のように圧電性基板2の中心部分におけるエッチング速度を遅くし(エッチング深さD1を浅くし)、周辺部分におけるエッチング速度を速くする(エッチング深さD2を深くする)ことができる。
(2)エッチングガスの流量比率を選択する方法
この方法は、ICP装置100においてガス導入口117から導入されるエッチングガスG1に含まれるガス成分の流量比率を選択することにより、所望のエッチング速度分布を実現する方法である。ここで、図8(a)に示すグラフA3〜A7は、本実施形態においてエッチングガスG1として用いられるBCl及びClの流量比率(BCl[sccm]/Cl[sccm])をそれぞれ5/25、10/20、15/15、20/10、及び25/5と設定したときの、圧電性基板2におけるエッチング深さの径方向の分布を測定したグラフである。なお、図8(a)において、圧電性基板2の直径は3インチ(76.2mm)である。また、図8(b)に示すグラフA8は、図8(a)における各流量比率での、圧電性基板2の中心部分のエッチング深さ(図2のD1)と周辺部分のエッチング深さ(図2のD2)との差D1−D2を示すグラフであり、差D1−D2の値が大きいほど、圧電性基板2の中心部分におけるエッチング深さが周辺部分のエッチング深さよりも深いことを示している。
図8(a)及び図8(b)に示すとおり、流量比率(BCl/Cl)が大きいほど、圧電性基板2の中心部分におけるエッチング深さが周辺部分におけるエッチング深さよりも浅くなっており、流量比率(BCl/Cl)が小さいほど、圧電性基板2の中心部分におけるエッチング深さが周辺部分におけるエッチング深さよりも深くなっている。換言すれば、比較的大きな流量比率(BCl/Cl)を選択することにより、図7のグラフA2のように圧電性基板2の中心部分におけるエッチング速度を遅くし(エッチング深さD1を浅くし)、周辺部分におけるエッチング速度を速くする(エッチング深さD2を深くする)ことができる。また、比較的小さな流量比率(BCl/Cl)を選択することにより、図7のグラフA1のように圧電性基板2の中心部分におけるエッチング速度を速くし(エッチング深さD1を深くし)、周辺部分におけるエッチング速度を遅くする(エッチング深さD2を浅くする)ことができる。
なお、図8(a)及び図8(b)に示すデータを測定した際の、他のエッチング条件は以下のとおりである。
処理圧力:1.0[Pa]
高周波電源の電力量:300W
バイアス電源の電力量:100W
ステージ温度:20℃
処理時間:100秒
(3)圧電性基板を収容するチャンバ内の処理圧力を選択する方法
この方法は、ICP装置100のチャンバ103内の処理圧力を選択することにより、所望のエッチング速度分布を実現する方法である。ここで、図9(a)に示すグラフA9〜A13は、チャンバ103内の処理圧力[Pa]をそれぞれ0.5、0.7、1.0、1.5、及び2.0に設定したときの、圧電性基板2におけるエッチング深さの径方向の分布を測定したグラフである。また、図9(b)に示すグラフA14は、図9(a)における各処理圧力での、圧電性基板2の中心部分のエッチング深さ(図2のD1)と周辺部分のエッチング深さ(図2のD2)との差D1−D2を示すグラフである。
図9(a)及び図9(b)に示すとおり、処理圧力が大きいほど、圧電性基板2の中心部分におけるエッチング深さが周辺部分におけるエッチング深さよりも浅くなっており、処理圧力が小さいほど、圧電性基板2の中心部分におけるエッチング深さが周辺部分におけるエッチング深さよりも浅くなっている。換言すれば、比較的大きな処理圧力を選択することにより、図7のグラフA2のように圧電性基板2の中心部分におけるエッチング速度を遅くし(エッチング深さD1を浅くし)、周辺部分におけるエッチング速度を速くする(エッチング深さD2を深くする)ことができる。また、比較的小さな処理圧力を選択することにより、図7のグラフA1のように圧電性基板2の中心部分におけるエッチング速度を速くし(エッチング深さD1を深くし)、周辺部分におけるエッチング速度を遅くする(エッチング深さD2を深くする)ことができる。
なお、図9(a)及び図9(b)に示すデータを測定した際の、他のエッチング条件は以下のとおりである。
流量比率(BCl/Cl):15[sccm]/15[sccm]
高周波電源の電力量:300W
バイアス電源の電力量:100W
ステージ温度:20℃
処理時間:100秒
なお、ステップS106においてエッチング条件を選択する際には、上記した(1)〜(3)の方法のうち、いずれか一つの方法を用いてもよいし、複数の方法を複合させて用いてもよい。
再び図2を参照する。上記のように、圧電性基板2上に櫛形電極3、入出力電極5、及び反射電極などを形成した後、圧電性基板2上における中心周波数分布を測定する(S108)。すなわち、試行基板における複数の素子領域それぞれの中心周波数特性を例えばウェハプローバを用いて測定し、各素子領域の位置を考慮して中心周波数分布を求める。そして、この中心周波数分布に基づいて、金属膜11及び圧電性基板2に対するエッチング条件を見直す。すなわち、複数の素子領域の中心周波数が規定範囲内に有る場合には、ステップS106において選択したエッチング条件をそのまま用いて以下の工程を行う。また、複数の素子領域の中心周波数が所定の範囲内に無い場合には、ステップS104において分別された各グループから試行基板を再び選択し、ステップS106〜ステップS108を繰り返し行う(S109)。
続いて、ステップS104において分別されたグループ毎にステップS109において妥当性が確認されたエッチング条件に従って、残りの圧電性基板2(量産基板)上の金属膜11をエッチングして櫛形電極3、入出力電極5等を形成する(S110)。なお、ステップS109及びS110は、本実施形態における電極形成工程である。
続いて、量産基板における複数の素子領域それぞれの中心周波数を、上記したステップS108と同様にして測定する(S111)。これにより、複数の素子領域の中心周波数が規定範囲内に有ることを確認する。
続いて、入出力電極5上に嵩上げ電極を形成する(S112)。まず、圧電性基板2、櫛形電極3、入出力電極5、及び反射電極を覆うようにCr等からなるバリア層18を形成する(図4(a))。圧電性基板2、櫛形電極3、入出力電極5、及び反射電極を覆っているこのバリア層18はマスク17除去時に除去される。次に圧電性基板2、櫛形電極3、入出力電極5、及び反射電極を覆うように例えばAl、又は主成分としてAlを含有の合金を含む材料からなる金属膜15を形成する(図4(a))。次に、金属膜15上にレジストを塗布し、金属膜15上において入出力電極5に対応する位置にレジストが残るように露光及び現像を行う。これにより、図4(b)に示すように、金属膜15上において入出力電極5に対応する位置にマスク17が形成される。そして、図4(c)に示すように、金属膜15のうちマスク17に覆われていない部分をエッチングすることによって、入出力電極5上に嵩上げ電極7を形成する。こうして、入出力電極5及び嵩上げ電極7を含む電極パッド8が形成される。
続いて、圧電性基板2、櫛形電極3、電極パッド8、及び反射電極等を覆う保護膜9を形成する(S113)。以上の工程によって、図1に示した中間生産物1が形成される。そして、この中間生産物1を各素子領域に分割することにより(S114)、複数の弾性表面波素子が完成する。
以上に説明した本実施形態に係る弾性表面波素子の製造方法は、以下の効果を有する。すなわち、本実施形態による弾性表面波素子の製造方法では、電極形成工程(S106及びS107)の際に、膜厚測定工程(S103)において測定された金属膜11の膜厚分布に基づいて、圧電性基板2に対するエッチング深さを同一基板内で変化させている。そして、同一の圧電性基板2内における金属膜11の膜厚の不均一さ(すなわち、櫛形電極3及び反射電極の厚さの不均一さ)に起因する各素子領域の中心周波数のばらつきを、圧電性基板2に対するエッチング深さを同一基板内において変化させることによって相殺している。従って、本実施形態による弾性表面波素子の製造方法によれば、同一基板上における各素子領域の中心周波数のばらつきを抑えることができる。
(第2の実施の形態)
続いて、本発明による弾性表面波素子の製造方法の第2実施形態について説明する。図10は、本実施形態によって製造される中間生産物12を示す側面断面図である。なお、図10においても図1と同様に、中間生産物12の中央部分及び周辺部分を拡大して示している。図10を参照すると、中間生産物12は、圧電性基板14と、圧電性基板14上に形成された複数の櫛形電極4と、図示しない反射電極、電極パッド、及び保護膜とを備えている。
圧電性基板14は、第1実施形態の圧電性基板2と同様に、圧電性材料からなるウェハ状の基板であり、主面上に複数の素子領域を有する。また、複数の櫛形電極4は、例えばAlを主成分とする金属材料からなり、圧電性基板14上において櫛形状にそれぞれ形成されている。反射電極は、櫛形電極4を挟む位置に形成される。電極パッド及び保護膜の構成は、第1実施形態と同様である。
本実施形態においては、櫛形電極4及び反射電極は、その断面が台形状に形成されており、上面よりも面積が広い下面において圧電性基板14に接している。そして、櫛形電極4及び反射電極の上面の幅は、複数の櫛形電極4及び反射電極において互いに不均一であり、櫛形電極4及び反射電極の圧電性基板14上における形成位置によって異なっている。例えば、本実施形態では、図10に示すように、圧電性基板14の中央部分に位置する櫛形電極4の上面の幅が圧電性基板14の周辺部分の櫛形電極4の上面の幅よりも狭くなっている。このように、櫛形電極4及び反射電極の上面の幅が不均一なのは、櫛形電極4及び反射電極を形成する際に、これらの電極形状のパターンを有するマスク層のパターン幅を厳密に均一とすることが難しいからである。
中間生産物12においては、櫛形電極4及び反射電極を形成する際のマスク層のパターン幅が不均一であることに起因する、素子領域の中心周波数の領域間のばらつきを規定範囲内に調整するために、櫛形電極4及び反射電極の側面がテーパ状に形成されており、且つテーパ角が同一基板内において変化している。例えば、本実施形態では、図10に示すように、圧電性基板14の中央部分における櫛形電極4の側面のテーパ角θ1が、圧電性基板14の周辺部分における櫛形電極4の側面のテーパ角θ2よりも大きくなっている。すなわち、櫛形電極4の上面の幅が比較的狭い部分(マスク層のパターン幅が比較的狭い部分)においては櫛形電極4の側面のテーパ角が大きくなっており、櫛形電極4の上面の幅が比較的広い部分(マスク層のパターン幅が比較的広い部分)においては櫛形電極4の側面のテーパ角が小さくなっている。このように、圧電性基板14の中心部分及び周辺部分のそれぞれにおける櫛形電極4の断面積(すなわち櫛形電極4の質量)を互いに近づけることによって、素子領域の中心周波数の領域間のばらつきを小さく抑えることができる。
なお、本実施形態において、櫛形電極4及び反射電極の側面がテーパ状に形成されるとは、櫛形電極4及び反射電極の長手方向と直交する断面の形状が略台形状を呈しているとともに、該断面における下辺(すなわち圧電性基板14と接する側の辺)の長さが上辺の長さよりも長いような形状に櫛形電極4及び反射電極が形成されることをいう。また、櫛形電極4及び反射電極において対向する両側面のテーパ角は、互いに一致していなくてもよい。
次に、本実施形態による弾性表面波素子の製造方法について説明する。図11は、本実施形態による弾性表面波素子の製造方法を示すフローチャートである。また、図12及び図13は、本実施形態による弾性表面波素子の製造方法を説明するための断面図である。図11〜図13を参照すると、本製造方法では、まず圧電性材料からなるウェハ状の圧電性基板14を準備する(S201)。続いて、圧電性基板14の主面14aを洗浄し、洗浄した主面14a上に金属膜11を成膜する(S202、図12(a))。
続いて、金属膜11上にレジストを塗布し、櫛形電極形状、反射電極形状、パッド電極形状、及び配線パターン形状の各形状を含む所定パターンに該レジストを露光して現像することによりマスク層13を形成する(マスク形成工程、S203、図12(b))。そして、マスク層13のうち櫛形電極及び反射電極に相当する部分のパターン幅を測定する(パターン幅測定工程、S204)。すなわち、圧電性基板14上におけるマスク層13のパターン幅の分布を、例えば線幅測定器や測長SEMを用いて測定する。ここで、図14(a)及び図14(b)は、圧電性基板14上におけるマスク層13のパターン幅の分布の典型例を示す断面図である。図14(a)は、圧電性基板14の中央部分におけるマスク層13のパターン幅W1が、圧電性基板2の周辺部分におけるマスク層13のパターン幅W2よりも狭い場合を示している。また、図14(b)は、パターン幅W1がパターン幅W2よりも広い場合を示している。図14(a)及び図14(b)に示した例のように、マスク層13のパターン幅は、圧電性基板14の中央部分と周辺部分とにおいて互いに対照的である場合が多い。そして、測定したパターン幅分布の傾向別に圧電性基板14を複数のグループに分別する(S205)。なお、マスク層13のパターン幅の測定方法としては、線幅測定器や測長SEMを用いる方法に限らず他の方法を用いてもよい。
続いて、ステップS205において分別したグループ毎に一つの圧電性基板14(試行基板)を選択する。そして、選択した圧電性基板14に対するエッチング条件を各グループ毎に選択し(S206)、選択したエッチング条件によって金属膜11をエッチングすることにより、櫛形電極4と、入出力電極6と、図示しない反射電極及び配線パターンとを形成する(S207、図12(c))。なお、ステップS206及びステップS207は、本実施形態における電極形成工程である。そして、櫛形電極4等を形成後、マスク層13を除去する。なお、本実施形態の電極形成工程(S206及びS207)において用いられるプラズマエッチング装置の構成は、第1実施形態において説明したICP100の構成と同様である。
ここで、ステップS206におけるエッチング条件の選択について説明する。すなわち、ステップS206においては、パターン幅測定工程(S204)において測定されたマスク層13のパターン幅の分布に基づいて、櫛形電極4及び反射電極の側面のテーパ角が圧電性基板14上において所定の分布となるようにエッチング条件を選択する。これにより、櫛形電極4及び反射電極の側面のテーパ角を同一基板内で変化させ、圧電性基板14の複数の素子領域のそれぞれにおける中心周波数を規定範囲内に調整する。
例えば、図15は、櫛形電極4及び反射電極の側面のテーパ角に関する、圧電性基板14上における分布の例を示すグラフである。すなわち、図15におけるグラフA15は、圧電性基板14の中心部における櫛形電極4及び反射電極の側面のテーパ角が大きくなり、圧電性基板14の周辺部における櫛形電極4及び反射電極の側面のテーパ角が小さくなるような場合のテーパ角分布を示している。また、グラフA2は、圧電性基板14の中心部分におけるテーパ角が小さくなり、圧電性基板2の周辺部分におけるテーパ角が大きくなるような場合のテーパ角分布を示している。
パターン幅測定工程(S204)において、図14(a)に示したパターン幅分布(圧電性基板14の中心部分におけるマスク層13のパターン幅が狭く、圧電性基板14の周辺部分におけるマスク層13のパターン幅が広い)をマスク層13が有している場合には、グラフA15のようなテーパ角分布となるようにエッチング条件を選択することが好ましい。また、パターン幅測定工程(S204)において、図14(b)に示したパターン幅分布(圧電性基板14の中心部分におけるパターン幅が広く、圧電性基板14の周辺部分におけるパターン幅が狭い)をマスク層13が有している場合には、グラフA16のようなテーパ角分布となるようにエッチング条件を選択することが好ましい。このようにエッチング条件を選択することにより、同一基板上においてマスク層13のパターン幅が狭い部分では櫛形電極4及び反射電極の側面のテーパ角を大きくし、マスク層13のパターン幅が広い部分では櫛形電極4及び反射電極の側面のテーパ角を小さくして、同一の圧電性基板14上に形成されるマスク層13のパターン幅の不均一さに起因する各素子領域の中心周波数のばらつきを容易に抑えることができる。このようなエッチング条件の選択方法としては、例えば以下に説明する2つの方法がある。
(4)バイアス電力の電力値を選択する方法
この方法は、図6に示したICP装置100のバイアス電源109におけるバイアス電力の電力値を選択することにより、所望のテーパ角分布を実現する方法である。すなわち、比較的小さなバイアス電力値を選択することにより、グラフA15のように、圧電性基板14の中心部分における櫛形電極4及び反射電極のテーパ角を大きくし、圧電性基板14の周辺部分における櫛形電極4及び反射電極のテーパ角を小さくすることができる。また、比較的大きなバイアス電力値を選択すれば、グラフA16のように、圧電性基板14の中心部分における櫛形電極4及び反射電極のテーパ角を小さくし、圧電性基板14の周辺部分における櫛形電極4及び反射電極のテーパ角を大きくすることができる。
(5)エッチングガスの流量比率を選択する方法
この方法は、ICP装置100においてガス導入口117から導入されるエッチングガスG1に含まれるガス成分の流量比率を選択することにより、所望のテーパ角分布を実現する方法である。すなわち、本実施形態においてエッチングガスG1として用いられるBCl及びClの流量比率(BCl/Cl)として比較的小さな流量比率を選択することにより、グラフA15のように、圧電性基板14の中心部分における櫛形電極4及び反射電極のテーパ角を大きくし、圧電性基板14の周辺部分における櫛形電極4及び反射電極のテーパ角を小さくすることができる。また、比較的大きな流量比率(BCl/Cl)を選択すれば、グラフA16のように、圧電性基板14の中心部分における櫛形電極4及び反射電極のテーパ角を小さくし、圧電性基板14の周辺部分における櫛形電極4及び反射電極のテーパ角を大きくすることができる。
なお、ステップS206においてエッチング条件を選択する際には、上記した(4)、(5)の方法のうち、いずれか一つの方法を用いてもよいし、複数の方法を複合させて用いてもよい。
再び図11を参照する。上記のように、圧電性基板14上に櫛形電極4、入出力電極6、及び反射電極などを形成した後、圧電性基板14上における中心周波数分布を測定する(S208)。なお、このステップS208における中心周波数の測定方法は、第1実施形態とにおける中心周波数の測定方法と同様である。そして、この中心周波数分布に基づいて、金属膜11に対するエッチング条件を見直す。すなわち、複数の素子領域の中心周波数が規定範囲内に有る場合には、ステップS206において選択したエッチング条件をそのまま用いて以下の工程を行う。また、複数の素子領域の中心周波数が所定の範囲内に無い場合には、ステップS205において分別された各グループから試行基板を再び選択し、ステップS206〜ステップS208を繰り返し行う(S209)。
続いて、ステップS209において妥当性が確認されたエッチング条件に従って、残りの圧電性基板14(量産基板)上の金属膜11をエッチングして櫛形電極4、入出力電極6等を形成する(S210)。なお、ステップS209及びS210は、本実施形態における電極形成工程である。
続いて、量産基板における複数の素子領域それぞれの中心周波数を測定する(S211)。続いて、入出力電極5上に嵩上げ電極7を形成する(S212、図13(a)〜図13(c))。なお、ステップS212における嵩上げ電極7の形成方法は、第1実施形態と同様である。こうして、入出力電極6及び嵩上げ電極7を含む電極パッド16が形成される。
続いて、圧電性基板14、櫛形電極4、電極パッド16、及び反射電極等を覆う保護膜9を形成する(S213)。以上の工程によって、図10に示した中間生産物12が形成される。そして、この中間生産物12を各素子領域に分割することにより(S214)、複数の弾性表面波素子が完成する。
以上に説明した本実施形態に係る弾性表面波素子の製造方法は、以下の効果を有する。すなわち、本実施形態による弾性表面波素子の製造方法では、電極形成工程(S206及びS207)の際に、パターン幅測定工程(S204)において測定されたマスク層13のパターン幅の分布に基づいて、櫛形電極4及び反射電極の側面のテーパ角を同一基板内で変化させている。そして、同一の圧電性基板14上におけるマスク層13のパターン幅の不均一さ(すなわち、櫛形電極及び反射電極の幅の不均一さ)に起因する各素子領域の中心周波数のばらつきを、櫛形電極4及び反射電極の側面のテーパ角を同一基板上において変化させることによって相殺している。従って、本実施形態による弾性表面波素子の製造方法によれば、同一基板上における各素子領域の中心周波数のばらつきを抑えることができる。
本発明による弾性表面波素子の製造方法は、上記した各実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、第1実施形態では、圧電性基板に対するエッチング深さの分布を同一基板内で変化させることにより、中心周波数のばらつきを抑えている。また、第2実施形態では、櫛形電極及び反射電極の側面にテーパ角を設け、圧電性基板上における該テーパ角の分布を同一基板上で変化させることにより、中心周波数のばらつきを抑えている。これら第1実施形態による方法と第2実施形態による方法とは、併せて実施することが可能である。すなわち、圧電性基板上に金属膜を形成した後、金属膜の膜厚を測定する。そして、金属膜上にマスク層を形成した後、マスク層のパターン幅を測定する。続いて、金属膜の膜厚分布及びマスク層のパターン幅分布に基づいて、中心周波数が規定範囲内におさまるようにエッチング条件を選択し、金属膜及び圧電性基板をエッチングする。このようにして櫛形電極及び反射電極を形成することにより、同一基板上における各素子領域の中心周波数のばらつきをより効果的に抑えることができる。
また、上記した各実施形態の他に、例えば図6に示したICP装置100の高周波電源107における電力を調整することによっても、圧電性基板に対するエッチング深さ、或いは櫛形電極及び反射電極の側面のテーパ角を同一基板内において変化させることが可能である。
図1は、第1実施形態によって製造される中間生産物を示す側面断面図である。 図2は、第1実施形態による弾性表面波素子の製造方法を示すフローチャートである。 図3は、第1実施形態による弾性表面波素子の製造方法を説明するための断面図である。 図4は、第1実施形態による弾性表面波素子の製造方法を説明するための断面図である。 図5(a)及び図5(b)は、金属膜の膜厚分布の典型例を示す断面図である。 図6は、金属膜及び圧電性基板をエッチングするために用いられるプラズマエッチング装置であるICP装置を示す図である。 図7は、圧電性基板における二種類のエッチング速度分布の例を示すグラフである。 図8(a)に示すグラフは、本実施形態においてエッチングガスとして用いられるBCl及びClの流量比率を選択したときの、圧電性基板におけるエッチング深さの径方向の分布を測定したグラフである。また、図8(b)に示すグラフは、図8(a)における各流量比率での、圧電性基板の中心部分のエッチング深さと周辺部分のエッチング深さとの差を示すグラフである。 図9(a)に示すグラフは、チャンバ内の処理圧力を選択したときの、圧電性基板におけるエッチング深さの径方向の分布を測定したグラフである。また、図9(b)に示すグラフは、図9(a)における各処理圧力での、圧電性基板の中心部分のエッチング深さと周辺部分のエッチング深さとの差を示すグラフである。 図10は、第2実施形態によって製造される中間生産物を示す側面断面図である。 図11は、第2実施形態による弾性表面波素子の製造方法を示すフローチャートである。 図12は、第2実施形態による弾性表面波素子の製造方法を説明するための断面図である。 図13は、第2実施形態による弾性表面波素子の製造方法を説明するための断面図である。 図14(a)及び図14(b)は、圧電性基板上におけるマスク層のパターン幅の分布の典型例を示す断面図である。 図15は、櫛形電極及び反射電極の側面のテーパ角に関する、圧電性基板上における分布の例を示すグラフである。
符号の説明
1…中間生産物、2…圧電性基板、3…櫛形電極、4…櫛形電極、5…入出力電極、6…入出力電極、7…嵩上げ電極、8…電極パッド、9…保護膜、11…金属膜、13…マスク層、14…圧電性基板、15…金属膜、16…電極パッド、17…マスク、18…バリア層。

Claims (7)

  1. 圧電性基板上の複数の素子領域のそれぞれに櫛形電極を形成し、前記複数の素子領域単位に前記圧電性基板を分割することにより弾性表面波素子を製造する方法であって、
    前記圧電性基板上に成膜された金属膜の膜厚分布を測定する膜厚測定工程と、
    前記櫛形電極の形状パターンを有するマスク層を前記金属膜上に形成し、前記金属膜及び前記圧電性基板のうち前記マスク層に覆われていない部分をエッチングすることにより前記櫛形電極を形成する電極形成工程と
    を備え、
    前記電極形成工程の際に、前記膜厚測定工程により測定された前記金属膜の前記膜厚分布に基づいて、前記圧電性基板のエッチング深さを同一基板内で変化させることにより、前記複数の素子領域のそれぞれにおける中心周波数を調整することを特徴とする、弾性表面波素子の製造方法。
  2. 前記電極形成工程の際に、プラズマエッチングによって前記圧電性基板をエッチングするとともに、プラズマエッチング装置において前記圧電性基板を載置する側の電極に印加するバイアス電力の電力値を選択することによって、前記圧電性基板の前記エッチング深さを同一基板内で変化させることを特徴とする、請求項1に記載の弾性表面波素子の製造方法。
  3. 前記電極形成工程の際に、エッチングガスの流量比率を選択することによって、前記圧電性基板の前記エッチング深さを同一基板内で変化させることを特徴とする、請求項1または2に記載の弾性表面波素子の製造方法。
  4. 前記電極形成工程の際に、前記圧電性基板を収容するチャンバ内の処理圧力を選択することによって、前記圧電性基板の前記エッチング深さを同一基板内で変化させることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の弾性表面波素子の製造方法。
  5. 圧電性基板上の複数の素子領域のそれぞれに櫛形電極を形成し、前記複数の素子領域単位に前記圧電性基板を分割することにより弾性表面波素子を製造する方法であって、
    前記圧電性基板上に成膜された金属膜上に前記櫛形電極の形状パターンを有するマスク層を形成するマスク形成工程と、
    前記マスク層のパターン幅の分布を測定するパターン幅測定工程と、
    前記金属膜のうち前記マスク層に覆われていない部分をエッチングすることにより前記櫛形電極を形成する電極形成工程と
    を備え、
    前記電極形成工程の際に、前記櫛形電極の側面をテーパ状に形成するとともに、前記パターン幅測定工程により測定された前記マスク層の前記パターン幅の分布に基づいて、前記櫛形電極の側面のテーパ角を同一基板内で変化させることにより、前記複数の素子領域のそれぞれにおける中心周波数を調整することを特徴とする、弾性表面波素子の製造方法。
  6. 前記電極形成工程の際に、プラズマエッチングによって前記金属膜をエッチングするとともに、プラズマエッチング装置において前記圧電性基板を載置する側の電極に印加するバイアス電力の電力値を選択することによって、前記櫛形電極の側面の前記テーパ角を同一基板内で変化させることを特徴とする、請求項5に記載の弾性表面波素子の製造方法。
  7. 前記電極形成工程の際に、エッチングガスの流量比率を選択することによって、前記櫛形電極の側面の前記テーパ角を同一基板内で変化させることを特徴とする、請求項5または6に記載の弾性表面波素子の製造方法。
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