以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
(1)音楽再生システムの構成
図1において、1は全体として音楽再生システムを示し、ユーザの家に設置されているパーソナルコンピュータ2は、ユーザの所定操作に応じてインターネットから暗号化された圧縮音楽データ(以下、暗号化圧縮音楽データと呼ぶ)をダウンロードし、これを内部のハードディスクドライブに記憶保持する。
パーソナルコンピュータ2は、例えば図示しないケーブルによって携帯再生装置3と接続された後、ユーザにより転送操作が行われると、記憶保持している暗号化圧縮音楽データをこのケーブルを介して携帯再生装置3へ転送する。このとき携帯再生装置3は、転送された暗号化圧縮音楽データを内部のハードディスクドライブに記憶保持する。
この後携帯再生装置3は、ユーザにより再生操作が行われると、記憶保持している暗号化圧縮音楽データのうち、当該再生操作に応じた暗号化圧縮音楽データに対して、暗号化を解くための復号化処理を実行することにより圧縮音楽データを得る。続いて携帯再生装置3は、この圧縮音楽データに対して伸長符号化処理を実行することにより音楽データを生成した後、当該生成した音楽データに対してD/A変換処理等を実行し、この結果得られた音楽信号に基づく音楽を接続されているイヤホン4を介して放音する。
また携帯再生装置3は、ユーザの宿泊先に持ち込まれて所定操作が行われると、当該宿泊先に設置されている再生専用オーディオ機器5と、所定の無線通信方式(例えば、Bluetooth(R))に準拠して無線通信を開始する。
この状態において、携帯再生装置3の操作部に対しユーザが再生操作を行うと、携帯再生装置3は、記憶保持している暗号化圧縮音楽データのうち、当該再生操作に応じた暗号化圧縮音楽データを、再生専用オーディオ機器5へ送信する。このとき再生専用オーディオ機器5は、携帯再生装置3から受信した暗号化圧縮音楽データに対して、復号化処理、伸長復号化処理及びD/A変換処理等を順次実行し、この結果得られた音楽信号に基づいてスピーカから音楽を放音する。
また携帯再生装置3は、ユーザ所有の車の中に持ち込まれて、その筐体が車内に設置されているステーション7の挿入孔HLに挿入されると、このステーション7から延長しているケーブル8を介して、車内のオーディオ機器6と通信を開始する。
この状態において、携帯再生装置3の操作部に対しユーザが再生操作を行うと、携帯再生装置3は、記憶保持している暗号化圧縮音楽データのうち、当該再生操作に応じた暗号化圧縮音楽データを、オーディオ機器6へ送信する。このときオーディオ機器6は、携帯再生装置3から受信した暗号化圧縮音楽データに対して、復号化処理、伸長復号化処理及びD/A変換処理等を順次実行し、この結果得られた音楽信号に基づいてスピーカから音楽を放音する。
またこの状態において、携帯再生装置3の操作部に対しユーザがコピー操作を行うと、携帯再生装置3は、記憶保持している暗号化圧縮音楽データのうち、当該コピー操作に応じた暗号化圧縮音楽データを、ステーション7のケーブル8を介してオーディオ機器6へ送信する。このときオーディオ機器6は、携帯再生装置3から送信された圧縮音楽データを、内部のハードディスクドライブに記憶保持する。このようにしてユーザは、携帯再生装置3に記憶保持されている暗号化圧縮音楽データを、オーディオ機器6のハードディスクドライブにコピーすることもできる。
そして、オーディオ機器6の操作部に対してユーザが再生操作を行うと、オーディオ機器6は、ハードディスクドライブに記憶されている暗号化圧縮音楽データのうち、当該再生操作に応じた暗号化圧縮音楽データを読み出して、これに復号化処理、伸長復号化処理及びD/A変換処理等を順次実行し、この結果得られた音楽信号に基づいてスピーカから音楽を放音する。
(2)パーソナルコンピュータの構成
図2に示すパーソナルコンピュータ2において、音楽CD(Compact Disc)がドライブ部10に挿入された後、この音楽CDに記憶されている音楽データをハードディスクドライブ11にコピーする操作(いわゆるリッピング操作)が行われると、これに応じてメインコントローラ12は、ドライブ部10を制御することにより音楽CDに記憶されている音楽データを読み出し、これをエンコーダ部13へ送出する。
エンコーダ部13はメインコントローラ12の制御の下、ドライブ部10からの音楽データに対して圧縮符号化処理を施し、この結果得られた圧縮音楽データを暗号化部14へ送出する。暗号化部14はメインコントローラ12の制御の下、エンコーダ部13からの圧縮音楽データに対して、著作権保護のための暗号化処理を施すことにより暗号化圧縮音楽データを生成し、これをハードディスクドライブ11に記憶する。
このようにしてパーソナルコンピュータ2は、音楽CDに記憶されていた音楽データを、圧縮及び暗号化した状態でハードディスクドライブ11に蓄積するようになされている。
また、ユーザにより操作部15を介してハードディスクドライブ11に記憶保持されている暗号化圧縮音楽データを再生する再生操作が行われると、これに応じてメインコントローラ12は、当該暗号化圧縮音楽データに対応するタイトル情報等を表示部16に表示しつつ、ハードディスクドライブ11から当該暗号化圧縮音楽データを読み出してこれを復号化部17へ送出する。
復号化部17はメインコントローラ12の制御の下、かかる暗号化圧縮音楽データに対して、暗号化部14の暗号化処理に対応する復号化処理を施し、この結果得られた圧縮音楽データをデコーダ部18へ送出する。デコーダ部18はメインコントローラ12の制御の下、復号化部17からの圧縮音楽データに対して伸長復号化処理を施し、この結果得られた音楽データを音楽データ処理部19へ送出する。
音楽データ処理部19は、デコーダ部18からの音楽データに対してD/A変換処理等を施すことにより音楽信号を得て、これに基づく音楽をスピーカ20から放音する。
一方、ユーザにより操作部15を介してインターネットNT1におけるコンテンツサーバSV1にアクセスするための操作が行われると、これに応じてメインコントローラ12はネットワーク処理部23を制御することにより、インターネットNT1を介してコンテンツサーバSV1へアクセスする。
そして、ユーザにより操作部15を介してコンテンツサーバSV1が保持している音楽データをダウンロードするためのダウンロード操作が行われると、これに応じてメインコントローラ12は、当該ダウンロード操作に応じた音楽データをダウンロードするように要求するためのダウンロード要求信号を、コンテンツサーバSV1へ送信する(ステップSP1(図3))。
コンテンツサーバSV1は、当該ダウンロード要求信号に応じた音楽データに対して、圧縮符号化処理及び暗号化処理を施すことにより得られた暗号化圧縮音楽データを、インターネットNT1を介してパーソナルコンピュータ2へ送信する(ステップSP2(図3))。
続いてパーソナルコンピュータ2は、受信した暗号化圧縮音楽データを購入するための購入要求信号を、コンテンツサーバSV1へ送信する(ステップSP3(図3))。
コンテンツサーバSV1はかかる購入要求信号を受信すると、パーソナルコンピュータ2を認証するために必要となる認証データを要求する認証要求信号を、パーソナルコンピュータ2へ送信する(ステップSP4(図3))。
この認証要求信号に応じてパーソナルコンピュータ2は、当該パーソナルコンピュータ2固有のID(Identification)情報等が示されてなる認証データをコンテンツサーバSV1へ送信する(ステップSP5(図3))。
コンテンツサーバSV1は、受信した認証データに基づいてパーソナルコンピュータ2を認証することができると、このパーソナルコンピュータ2の利用者であるユーザに対して課金を行うための課金処理を実行する。そしてこの課金処理を正常に終了すると、コンテンツサーバSV1は、パーソナルコンピュータ2がダウンロードした暗号化圧縮音楽データに施されている暗号を解くための復号鍵データを、パーソナルコンピュータ2へ送信する(ステップSP6(図3))。
この後パーソナルコンピュータ2においてネットワーク処理部23は、コンテンツサーバSV1から受信した復号鍵データを利用して、暗号化圧縮音楽データに対する復号化処理を実行し、この結果得られた圧縮音楽データを暗号化部14へ送出する。
暗号化部14はメインコントローラ12の制御の下、ネットワーク処理部23からの圧縮音楽データに対して新たに暗号化処理を施し、この結果得られた暗号化圧縮音楽データをハードディスクドライブ11に記憶する。
このようにしてパーソナルコンピュータ2は、音楽CDに記憶されていた音楽データの他に、コンテンツサーバSV1からダウンロードした音楽データも、暗号化及び圧縮した状態でハードディスクドライブ11に蓄積するようになされている。
ところでパーソナルコンピュータ2の接続部(USB(Universal Serial Bus)端子等に相当する)21に対し、図示しないケーブルを介して携帯再生装置3が接続されると、認証部22はメインコントローラ12の制御の下、接続された携帯再生装置3を認証するための認証処理を実行する。
そしてこの認証処理が正常に終了した後、ハードディスクドライブ11に記憶されている暗号化圧縮音楽データを携帯再生装置3へ転送するための転送操作が操作部15に対して行われると、メインコントローラ12は、ハードディスクドライブ11から当該暗号化圧縮音楽データを読み出して、これを携帯再生装置3へ送信する。
(3)携帯再生装置の構成
図4に示す携帯再生装置3において、受信部30はメインコントローラ31の制御の下、パーソナルコンピュータ2から送信された暗号化圧縮音楽データを受信し、これをハードディスクドライブ32へ記憶する。
かくして携帯再生装置3は、パーソナルコンピュータ2からの暗号化圧縮音楽データを、ハードディスクドライブ32に蓄積しておくことができる。
この後、この携帯再生装置3がパーソナルコンピュータ2の接続部21から取り外されて、ユーザにより携帯されて使用されているとき、操作部33を介してハードディスクドライブ32に記憶されている暗号化圧縮音楽データを再生するための再生操作が行われると、これに応じてメインコントローラ31は、当該暗号化圧縮音楽データに対応するタイトル情報等を表示部34に表示しつつ、ハードディスクドライブ32から当該暗号化圧縮音楽データを読み出してこれを復号化部35へ送出する。
復号化部35はメインコントローラ31の制御の下、暗号化圧縮音楽データに対して復号化処理を施し、この結果得られた圧縮音楽データをデコーダ部36へ送出する。デコーダ部36はメインコントローラ31の制御の下、復号化部35からの圧縮音楽データに対して伸長復号化処理を施し、この結果得られた音楽データを音楽データ処理部37へ送出する。
音楽データ処理部37はメインコントローラ31の制御の下、デコーダ部36からの音楽データに対してD/A変換処理等を施すことにより音楽信号を得て、この音楽信号に基づく音楽をイヤホン4を介して放音する。
因みにこのような携帯再生装置3は、イヤホン4を介して音楽が聴かれることを前提に設計されているので、搭載されているデコーダ部36及び音楽データ処理部37は、この前提に応じた処理精度のみを有している。
一方この携帯再生装置3は、宿泊先に設置されている再生専用オーディオ機器5と所定の無線接続方式に準拠して無線接続するための無線接続部38と、ユーザの車内に設置されているオーディオ機器6のステーション7と接続するためのステーション接続部39とを有している。
例えばユーザによりこの携帯再生装置3が宿泊先に持ち込まれ、操作部33を介して所定操作が行われたとき、これに応じてメインコントローラ31は無線接続部38を制御することにより、再生専用オーディオ機器5に対して無線通信の開始を要求するための通信開始要求信号を送信する。そして無線接続部38が再生専用オーディオ機器5から当該通信開始要求信号に対応する応答信号を受信すると、無線接続部38と再生専用オーディオ機器5との間で無線接続が確立された状態になる。この結果、携帯再生装置3は再生専用オーディオ機器5と無線通信することができる。
このように再生専用オーディオ機器5との無線通信が可能な状態で、例えばハードディスクドライブ32に記憶されている暗号化圧縮音楽データを再生するための再生操作が操作部33に対して行われたとき、これに応じてメインコントローラ31は、ハードディスクドライブ32から当該暗号化圧縮音楽データを読み出して、これを再生専用オーディオ機器5へ送信するようになされている。
また、ユーザにより携帯再生装置3が車内におけるステーション7の挿入孔HLに挿入されると、メインコントローラ31はステーション接続部39を介して、当該挿入孔HLに差し込まれた旨を検知する。続いてメインコントローラ31は、ステーション7とオーディオ機器6とを結ぶケーブル8を介して、通信の開始を要求するための通信開始要求信号をオーディオ機器6へ送信する。そしてステーション接続部39がオーディオ機器6から当該通信開始要求信号に対応する応答信号を受信すると、ステーション接続部39とオーディオ機器6との間でデータ通信が可能な状態になる。この結果、携帯再生装置3はオーディオ機器6とデータ通信することができる。
このようにオーディオ機器6とデータ通信が可能な状態で、例えばハードディスクドライブ32に記憶されている暗号化圧縮音楽データを再生する再生操作が操作部33に対して行われたとき、これに応じてメインコントローラ31は、当該暗号化圧縮音楽データをオーディオ機器6へ送信するようになされている。
(4)宿泊先に設置された再生専用オーディオ機器の構成
図5に示す再生専用オーディオ機器5において、無線接続部40はメインコントローラ41の制御の下、携帯再生装置3から送信された通信開始要求信号を受信すると、これに応じた応答信号を携帯再生装置3へ送信する。これによりこの再生専用オーディオ機器5の無線接続部40は、携帯再生装置3と無線接続が確立された状態になり、この結果再生専用オーディオ機器5は、携帯再生装置3との無線通信を開始する。
このようにして携帯再生装置3との間で無線通信が開始されたとき、まず最初に認証部42はメインコントローラ41の制御の下、当該携帯再生装置3を認証するための認証処理を実行する。
やがてこの認証処理が正常に終了した後、携帯再生装置3から暗号化圧縮音楽データが送信されると、メインコントローラ41は無線接続部40を介してこれを受信し、受信した暗号化圧縮音楽データを一時的にメモリ43へ記憶しながら(いわゆるバッファリング)、これを復号化部44へ順次送出する。
復号化部44はメインコントローラ41の制御の下、当該暗号化圧縮音楽データに対して復号化処理を施し、この結果得られた圧縮音楽データをデコーダ部45へ送出する。デコーダ部45はメインコントローラ41の制御の下、復号化部44からの圧縮音楽データに対して伸長復号化処理を施し、この結果得られた音楽データを音楽データ処理部46へ送出する。
音楽データ処理部46は、デコーダ部45からの音楽データに対してD/A変換処理等を施すことにより音楽信号を得て、これに基づく音楽をスピーカ47から放音する。
因みにこのような再生専用オーディオ機器5は、屋内でスピーカ47を介して音楽が聴かれることを前提に設計されているので、搭載されているデコーダ部45及び音楽データ処理部46は、携帯再生装置3のデコーダ部36及び音楽データ処理部37よりも高い処理精度を有している。
このように再生専用オーディオ機器5は、携帯再生装置3から暗号化圧縮音楽データを受信したとき、これを記憶保持するようなことはしないで、復号化処理、伸長復号化処理及びD/A変換処理等を即時に順次実行し、この結果得られる音楽信号に基づく音楽をスピーカ47から放音するようになされている。
(5)車内に設置されたオーディオ機器の構成
図6に示すオーディオ機器6において、ステーション7とケーブル8を介して接続している接続部50は、ステーション7に挿入されている携帯再生装置3から通信開始要求信号を受信すると、メインコントローラ51の制御の下、これに応じた応答信号を携帯再生装置3へ送信する。これにより接続部50は、携帯再生装置3とデータ通信可能な状態になり、この結果オーディオ機器6は、携帯再生装置3とのデータ通信を開始する。
このようにして携帯再生装置3との間でデータ通信が開始されたとき、まず最初に認証部52はメインコントローラ51の制御の下、当該携帯再生装置3を認証するための認証処理を実行する。
そしてこの認証処理が正常に終了した後、例えば携帯再生装置3の操作部33に対して再生操作が行われることにより当該携帯再生装置3から暗号化圧縮音楽データが送信されると、メインコントローラ51は接続部50を介してこれを受信し、受信した暗号化圧縮音楽データをハードディスクドライブ53へ一時的に記憶しながら(バッファリングに相当する)、これを復号化部54へ順次送出する。
復号化部54はメインコントローラ51の制御の下、かかる暗号化圧縮音楽データに対して復号化処理を施し、この結果得られた圧縮音楽データをデコーダ部55へ送出する。デコーダ部55はメインコントローラ51の制御の下、復号化部54からの圧縮音楽データに対して伸長復号化処理を施し、この結果得られた音楽データをエフェクト処理部56へ送出する。
エフェクト処理部56は、デコーダ部55からの音楽データに対してエフェクト処理(リバーブレーション処理やディレイ処理等)を施し、この結果得られたエフェクト処理後の音楽データを音楽データ処理部57へ送出する。音楽データ処理部57は、エフェクト処理部56からの音楽データに対してD/A変換処理等を施すことにより音楽信号を得て、これに基づく音楽をスピーカ58から放音する。
因みにこのようなオーディオ機器6は、車内でスピーカ58を介して音楽が聴かれることを前提に設計されているので、搭載されているデコーダ部55及び音楽データ処理部57は、携帯再生装置3のデコーダ部36及び音楽データ処理部37よりも高い処理精度を有している。
(6)再生処理
ここでは、携帯再生装置3と宿泊先の再生専用オーディオ機器5との間で実行される再生処理の手順について、図7のシーケンスチャートを用いて説明する。
例えばユーザにより携帯再生装置3が宿泊先に持ち込まれた後、携帯再生装置3の操作部33に対して再生専用オーディオ機器5との無線通信を開始させるための通信開始操作が行われると、これに応じて携帯再生装置3のメインコントローラ31はステップSP10において、再生専用オーディオ機器5と無線通信を開始する。
そして携帯再生装置3のメインコントローラ31はステップSP11へ進み、この携帯再生装置3に対して固有に割り当てられているID情報を、再生専用オーディオ機器5へ送信する。
再生専用オーディオ機器5のメインコントローラ41は、携帯再生装置3からID情報を受信するとステップSP12へ進み、受信したID情報に基づいて携帯再生装置3に対する認証処理を実行する。
ここで再生専用オーディオ機器5の認証部42には、この再生専用オーディオ機器5を利用することができる携帯再生装置3のID情報が予め登録されている。再生専用オーディオ機器5のメインコントローラ41はかかる認証処理として、携帯再生装置3から受信したID情報が認証部42に登録されているか否かを確認し、当該ID情報が登録されていることを確認すると、この認証処理を正常に終了してステップSP13へ進み、携帯再生装置3に対して認証処理結果を通知すると共に、当該携帯再生装置3から送信される暗号化圧縮音楽データを受け付けるデータ受付モードへ移行する。
このとき携帯再生装置3のメインコントローラ31は、再生専用オーディオ機器5から認証処理結果が通知されたタイミングで暗号化圧縮音楽データからの音楽信号の再生に用いるデコーダ部36及び音楽データ処理部37を当該再生専用オーディオ機器5のデコーダ部45及び音楽データ処理部46に切り替えるように設定する。
これによりこの後、例えば携帯再生装置3の操作部33に対して当該携帯再生装置3のハードディスクドライブ32に記憶保持されている暗号化圧縮音楽データを再生するための再生操作が行われると、これに応じて携帯再生装置3のメインコントローラ31はステップSP14へ進み、当該再生操作に応じた暗号化圧縮音楽データをハードディスクドライブ32から読み出して、これを再生専用オーディオ機器5へ送信する。
再生専用オーディオ機器5のメインコントローラ41は、携帯再生装置3から暗号化圧縮音楽データを受信するとステップSP15へ進み、復号化部44によって当該暗号化圧縮音楽データを復号化処理して圧縮音楽データを生成する。続いて再生専用オーディオ機器5のメインコントローラ41は、この再生専用オーディオ機器5に搭載されているデコーダ部45及び音楽データ処理部46で当該圧縮音楽データを処理することにより、携帯再生装置3のデコーダ部36及び音楽データ処理部37で処理するよりも品質の良い音楽信号を得て、これに基づく音楽をスピーカ47から放音する。
このようにしてこの音楽再生システム1では、携帯再生装置3に記憶保持されている暗号化された圧縮音楽データが、携帯再生装置3のデコーダ部36及び音楽データ処理部37よりも高い処理精度を有する再生専用オーディオ機器5のデコーダ部45及び音楽データ処理部46で処理されるので、携帯再生装置3のデコーダ部36及び音楽データ処理部37で処理するよりも高品質な音楽信号を得ることができ、かくして携帯再生装置3のイヤホン4から放音させる音楽の音質よりも高音質な音楽をユーザに提供することができる。
次に、車内に設置されているユーザ所有のオーディオ機器6と携帯再生装置3との間で実行される再生処理の手順について、図8のシーケンスチャートを用いて説明する。
例えばユーザにより携帯再生装置3が車内に持ち込まれてステーション7の挿入孔HLへ挿入されると、これに応じて携帯再生装置3のメインコントローラ31はステップSP20において、オーディオ機器6とのデータ通信を開始する。
そして携帯再生装置3のメインコントローラ31はステップSP21へ進み、この携帯再生装置3の機種を表す機種情報(例えば型式番号)と、この携帯再生装置3に対して固有に割り当てられているID情報とを、オーディオ機器6へ送信する。
オーディオ機器6のメインコントローラ51は、携帯再生装置3から機種情報及びID情報を受信するとステップSP22へ移り、受信した機種情報に基づいてこの携帯再生装置3が音楽再生システム1用に製造された機種であるか否かを判断する。
ここで肯定結果が得られると、このことはこの携帯再生装置3が音楽再生システム1用に製造された正規の機種であることを意味しており、このときオーディオ機器6のメインコントローラ51は次のステップSP23へ進む。
これに対して否定結果が得られた場合、例えばこのことは、携帯再生装置3が音楽再生システム1用のものではない異機種であることを意味しており、このときオーディオ機器6のメインコントローラ51はステップSP24へ進んで、正規の機種の携帯再生装置3をステーション7に挿入するように警告するメッセージを表示部60に表示するようになされている。
ステップSP23においてオーディオ機器6のメインコントローラ51は、受信したID情報に基づいて携帯再生装置3に対する認証処理を実行する。ここで本実施の形態の場合、オーディオ機器6の認証部52には、ユーザが所有する携帯再生装置3のID情報のみが予め登録されている。オーディオ機器6のメインコントローラ51はかかる認証処理として、携帯再生装置3から受信したID情報が認証部52に登録されているか否かを判断し、この場合、携帯再生装置3がユーザの所有物であることから肯定結果が得られるので、ステップSP25へ進んで再生/コピー可能モードへ移行すると共に、携帯再生装置3に対して認証処理結果を通知する。
このとき携帯再生装置3のメインコントローラ31は、オーディオ機器6から認証処理結果が通知されたタイミングで暗号化圧縮音楽データからの音楽信号の再生に用いるデコーダ部36及び音楽データ処理部37を当該オーディオ機器6のデコーダ部55及び音楽データ処理部57に切り替えるように設定する。
これによりこの後、例えば携帯再生装置3の操作部33に対して当該携帯再生装置3のハードディスクドライブ32に記憶保持されている暗号化圧縮音楽データを再生するための再生操作が行われると、これに応じて携帯再生装置3のメインコントローラ31は当該再生操作に応じた暗号化圧縮音楽データをハードディスクドライブ32から読み出して、これをオーディオ機器6へ送信する。
そして再生/コピー可能モード時のオーディオ機器6においては、携帯再生装置3に再生操作が行われて当該携帯再生装置3から暗号化圧縮音楽データが送信されたとき、この暗号化圧縮音楽データを、携帯再生装置3のデコーダ部36及び音楽データ処理部37よりも高い処理精度を有するオーディオ機器6のデコーダ部55及び音楽データ処理部57によって処理することにより、携帯再生装置3よりも高品質な音楽信号を再生して音楽を放音するようになされている。これによりユーザは、自身が所有するオーディオ機器6を利用することにより、携帯再生装置3に記憶保持されている暗号化圧縮音楽データに基づく音楽を、格段と良好な高音質で聴くことができる。
またこの再生/コピー可能モード時のオーディオ機器6においては、携帯再生装置3にコピー操作が行われて当該携帯再生装置3から暗号化圧縮音楽データが送信されたとき、これをハードディスクドライブ53に記憶保持するようにもなされている。これによりユーザは、携帯再生装置3に記憶保持されている暗号化圧縮音楽データを、自身が所有するオーディオ機器6のハードディスクドライブ53へコピーすることもできる。
これに対してステップSP23において否定結果が得られた場合、例えばこのことは、ステーション7に挿入された携帯再生装置3が他ユーザの所有物であることを意味しており、オーディオ機器6のメインコントローラ51は、ステップSP25へ進んで再生モードへ移行する。
この再生モード時のオーディオ機器6においては、他ユーザの携帯再生装置3に再生操作が行われて当該携帯再生装置3から暗号化圧縮音楽データが送信されたとき、この暗号化圧縮音楽データから品質の良い音楽信号を再生して音楽を放音するようにはなされているが、当該携帯再生装置3にコピー操作が行われて当該携帯再生装置3から暗号化圧縮音楽データが送信されたとしても、これをハードディスクドライブ53に一切記憶しないようになされている。
(7)動作及び効果
以上の構成において携帯再生装置3は、例えば宿泊先の再生専用オーディオ機器5と無線通信が可能な状態で、ユーザにより操作部33を介して再生操作が行われると、当該再生操作に応じた暗号化圧縮音楽データをハードディスクドライブ32から読み出し、これを再生専用オーディオ機器5へ送信する。
再生専用オーディオ機器5は、携帯再生装置3からの暗号化圧縮音楽データに復号化処理を施して圧縮音楽データを得た後、この再生専用オーディオ機器5に搭載されているデコーダ部45及び音楽データ処理部46によって当該圧縮音楽データを処理することにより、携帯再生装置3のデコーダ部36及び音楽データ処理部37で処理するよりも高品質な音楽信号を再生する。
この結果この再生専用オーディオ機器5は、携帯再生装置3で暗号化圧縮音楽データから音楽信号を再生するときよりも、高品質な音楽信号に基づいて音質の良好な(すなわち、高音質な)音楽をスピーカ47から放音することができる。
以上の構成によれば、携帯再生装置3に記憶保持されている暗号化された圧縮音楽データが、再生専用オーディオ機器5のデコーダ部45及び音楽データ処理部46で処理されるので、携帯再生装置3のデコーダ部36及び音楽データ処理部37で処理したときよりも高品質な音楽信号を得ることができ、かくして良好な音質の音楽をユーザに提供することができる。
また本実施の形態の場合、ユーザは携帯再生装置3の操作部33に対して通信開始操作をした後に再生操作を行うだけで、携帯再生装置3に記憶保持されている暗号化圧縮音楽データを、再生専用オーディオ機器5に再生させることができる。また、ユーザは携帯再生装置3をステーション7に挿入した後に当該携帯再生装置3の操作部33に対して再生操作を行うだけで、携帯再生装置3に記憶保持されている暗号化圧縮音楽データを、オーディオ機器6に再生させることができる。
さらに本実施の形態の場合、車内に設置されているオーディオ機器6は、デコーダ部55から送出される音楽データに対してエフェクト処理(リバーブレーション処理等)を実行するエフェクト処理部56を有している。これによりこのオーディオ機器6のスピーカ58から放音される音楽については、従来よりも音質が良いだけでなく例えば臨場感も有するようになされている。
ところで、携帯再生装置3に記憶保持されている暗号化圧縮音楽データを宿泊先の再生専用オーディオ機器5に再生させたとき、この暗号化圧縮音楽データが再生専用オーディオ機器5に残存してしまうと、この後に再生専用オーディオ機器5を利用する他の宿泊者によって、当該暗号化圧縮音楽データに基づく音楽が聴かれてしまう場合があり、この場合には著作権関連の問題が生じてしまう可能性がある。
しかしながら本実施の形態の場合、携帯再生装置3に記憶保持されている暗号化圧縮音楽データを再生専用オーディオ機器5に再生させたとき、携帯再生装置3から順次送信される暗号化圧縮音楽データは、再生専用オーディオ機器5のメモリ43に一時的に記憶(バッファリング)されるだけで残存しないので、上述した著作権関連の問題が発生してしまうことを回避することができる。
(8)他の実施の形態
なお上述の実施の形態において、オーディオ機器6は認証部52に予め登録されているID情報に基づいて携帯再生装置3を認証する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、携帯再生装置3を認証するための認証サーバを別途設けるようにしても良い。
ここでは、図9(図1との対応部分に同一符号を付す)に示すような認証サーバSV2によって、ステーション7に挿入される携帯再生装置3を認証する場合について説明する。
例えばユーザにより携帯再生装置3がステーション7の挿入孔HLへ挿入されると、これに応じて携帯再生装置3は図10に示すステップSP30において、オーディオ機器6とのデータ通信を開始する。
そして携帯再生装置3はステップSP31へ進み、この携帯再生装置3に対して固有に割り当てられているID情報(以下、携帯再生装置ID情報と呼ぶ)を、オーディオ機器6へ送信する。
オーディオ機器6は、携帯再生装置3から携帯再生装置ID情報を受信するとステップSP32へ移り、当該携帯再生装置ID情報と、このオーディオ機器6に対して固有に割り当てられているID情報(以下、オーディオ機器ID情報と呼ぶ)とを、認証サーバSV2へ送信する。
認証サーバSV2は、オーディオ機器6から携帯再生装置ID情報及びオーディオ機器ID情報を受信するとステップSP33へ移り、受信したオーディオ機器ID情報に基づいてかかるオーディオ機器6のユーザを認識し、当該認識したユーザが業者、法人等ではない個人ユーザであるか否かを判断する。
ここで肯定結果が得られると、例えばこのことは、オーディオ機器6のユーザが個人ユーザであって、当該オーディオ機器6がユーザの自宅に設置されていることを意味しており、このとき認証サーバSV2はステップSP34へ進み、受信した携帯再生装置ID情報に基づいてかかる携帯再生装置3のユーザを認識し、当該認識したユーザがオーディオ機器6のユーザと同一であるか否かを判断する。
ここで肯定結果が得られると、このことはオーディオ機器6を所有するユーザの携帯再生装置3がステーション7に挿入されていることを意味しており、このとき認証サーバSV2はステップSP35へ進んで、再生/コピー可能モードへ移行するように命令する命令信号を、オーディオ機器6へ送信する。
かくしてユーザは、自身が所有する携帯再生装置3に記憶保持させている暗号化圧縮音楽データを、自身が所有するオーディオ機器6を利用して音質良く再生することができ、またこのオーディオ機器6のハードディスクドライブ53にコピーすることもできる。
これに対して否定結果が得られると、このことはオーディオ機器6を所有するユーザとは異なる他ユーザの携帯再生装置3がステーション7に挿入されていることを意味しており、このとき認証サーバSV2はステップSP36へ進んで、再生モードへ移行するように命令する命令信号を、オーディオ機器6へ送信するようになされている。
かくしてオーディオ機器6を所有するユーザとは異なる他ユーザは、自身が所有する携帯再生装置3に記憶保持させている暗号化圧縮音楽データを、オーディオ機器6を利用して音質良く再生することはできるが、オーディオ機器6のハードディスクドライブ53にコピーすることができないようになされている。
一方ステップSP33において否定結果が得られると、例えばこのことは、オーディオ機器6の所有者が公共サービスを提供する業者であって、当該オーディオ機器6が公共の場に設置されていることを意味しており、このとき認証サーバSV2はステップSP37へ進み、受信した携帯再生装置ID情報に基づいてかかる携帯再生装置3のユーザを認識し、当該認識したユーザがオーディオ機器6を正規に利用することができるユーザか否かを判断する。
ここで肯定結果が得られると、このことは携帯再生装置3のユーザがオーディオ機器6を正規に利用することができるユーザであることを意味しており、このとき認証サーバSV2はステップSP38へ進んで、再生モードへ移行するように命令する命令信号を、オーディオ機器6へ送信する。
かくしてオーディオ機器6を正規に利用することができるユーザは、自身が所有する携帯再生装置3に記憶保持させている暗号化圧縮音楽データを、公共の場に設置されているオーディオ機器6を利用して音質良く再生することができる。
これに対して否定結果が得られると、このことは携帯再生装置3のユーザがオーディオ機器6を正規に利用することができないユーザであることを意味しており、このとき認証サーバSV2はステップSP39へ進んで、音質を劣化させて音楽を再生させる音質劣化再生モードへ移行するように命令する命令信号を、オーディオ機器6へ送信するようになされている。
かくしてオーディオ機器6を正規に利用することができないユーザは、自身が所有する携帯再生装置3に記憶保持させている暗号化圧縮音楽データを、音質が悪いながらもオーディオ機器6を利用して再生することができる。
以上のように、ステーション7に挿入される携帯再生装置3を、オーディオ機器6で認証するのではなく、オーディオ機器6と接続している認証サーバSV2によって認証するようにしても良い。
また上述の実施の形態においては、オーディオ機器6の2つのスピーカ58から音楽が放音される場合について述べたが、本発明はこれに限らず、携帯再生装置3からオーディオ機器6へ送信される暗号化圧縮データが、マルチチャンネル(例えば5.1ch)対応のものであれば、オーディオ機器6に当該マルチチャンネルに対応する個数のスピーカを設け、これらのスピーカから臨場感のある音楽を放音するようにしても良い。
さらに上述の実施の形態においては、携帯再生装置3のメインコントローラ31が、再生専用オーディオ機器5やオーディオ機器6から認証処理結果が通知されたタイミングで暗号化圧縮音楽データからの音楽信号の再生に用いるデコーダ部36及び音楽データ処理部37を、当該再生専用オーディオ機器5のデコーダ部45及び音楽データ処理部46やオーディオ機器6のデコーダ部55及び音楽データ処理部57に切り替えるように設定する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、携帯再生装置3が再生専用オーディオ機器5やオーディオ機器6とのデータ通信を開始したタイミング、また携帯再生装置3がステーション7の挿入孔HLに差し込まれた旨を検知したタイミング等のように、この他種々のタイミングで、暗号化圧縮音楽データからの音楽信号の再生に用いるデコーダ部36及び音楽データ処理部37を、当該再生専用オーディオ機器5のデコーダ部45及び音楽データ処理部46やオーディオ機器6のデコーダ部55及び音楽データ処理部57に切り替えるように設定するようにしても良い。
そして暗号化圧縮音楽データからの音楽信号の再生に用いるデコーダ部及び音楽データ処理部の切替設定を、携帯再生装置3が再生専用オーディオ機器5及びオーディオ機器6と通信接続した際に実行すれば、何れの場合でもユーザに何ら特別な操作を行わせることなく、再生操作を行わせるだけで、ハードディスクドライブ32から暗号化圧縮音楽データを読み出して再生専用オーディオ機器5及びオーディオ機器6に送信して高品質な音楽信号を再生して高音質な音楽を提供することができる。
さらに上述の実施の形態では、第1の再生装置としての携帯再生装置3と、第2の再生装置及び再生装置としての再生専用オーディオ機器5やオーディオ機器6とによって、コンテンツデータとしての圧縮音楽データから音楽信号を再生する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、映像やプログラムを表すコンテンツデータから信号を再生するようにしても良い。
さらに上述の実施の形態では、コンテンツデータを記憶する記憶手段として、携帯再生装置3のハードディスクドライブ32を適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、不揮発性の半導体メモリ等を適用するようにしても良い。
さらに上述の実施の形態では、コンテンツデータから信号を再生する再生手段として、携帯再生装置3のデコーダ部36及び音楽データ処理部37を適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他種々の構成を適用するようにしても良い。
さらに上述の実施の形態では、携帯再生装置3から送信されるコンテンツデータを受信する受信手段として、再生専用オーディオ機器5及びオーディオ機器6に設けられた無線接続部40及び接続部50を適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他種々の構成を適用するようにしても良い。
さらに上述の実施の形態では、コンテンツデータから携帯再生装置3の再生手段よりも高精度に信号を再生する高精度再生手段として、再生専用オーディオ機器5及びオーディオ機器6のそれぞれに搭載されているデコーダ部45、55及び音楽データ処理部46、57を適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他種々の構成を適用するようにしても良い。
さらに上述の実施の形態では、携帯再生装置3が載置される載置部としてステーション7を適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、クレードル等のこの他種々の構成を適用するようにしても良い。
1……音楽再生システム、3……携帯再生装置、5……再生専用オーディオ機器、6……オーディオ機器、7……ステーション、31、41、51……メインコントローラ、32……ハードディスクドライブ、36、45、55……デコーダ部、37、46、57……音楽データ処理部、38、40……無線接続部、39……ステーション接続部、50……接続部。