(最良の実施の形態1)
図1〜図5は、電気機器として電気炊飯器を採用し、その炊飯機能(炊飯メニュー)を拡大するようにした本願発明の最良の実施の形態1に係る電気炊飯器の構成を示している。
従来から、例えば予じめ設定された白米、玄米、発芽玄米などの米の形態に応じた最適な炊飯加熱制御モード(吸水〜むらし)を有し、ユーザーが、それら各制御モードの何れかを操作ボタンを押して選択入力すると、対応する加熱制御モードが選択されて当該米の形態に最適な炊飯加熱制御(吸水温度、吸水時間、昇温速度、加熱量、加熱パターン)が行われるようになった電気炊飯器は存在する。
しかし、同じ形態の米(例えば白米)であっても、その銘柄(品種)や産地、収穫時期、精米時期などによって、当該米の水分含有率や硬さ、粘度などの本質的な特性が異なる。そして、これらが異なると、良質な御飯を炊くための吸水温度、吸水時間、昇温速度、加熱量、加熱パターンも異なってくる。
したがって、本当に美味しい御飯を炊き上げるためには、上記従来のような米の形態だけではなく、上述した米の銘柄(品種)等本質的な特性をも制御パラメータとして取り込んだより理想的な炊飯加熱制御を行うことが望まれる。
しかし、現実問題として、米の銘柄は多種多様であり、何年かごとに新しい銘柄も登場してくる。しかも、同じ銘柄であっても、さらに産地や収穫時期、精米時期などによっても特性が異なってくる。そこで、先ずそのような各種の米の特性(性質)を示す制御パラメータを、何のようにして電気炊飯器本体側の加熱制御手段(マイコン制御ユニット)に入力するかが問題となる。
その一つの方法として、例えばメーカー側において現在一般に市販されている各種の米の銘柄を、例えば硬さや粘度などを基準として幾つかのグループに区分し、それに応じた最適な加熱制御データを所定の幅をもった状態で予じめマイコン側に記憶させておくとともに、さらに銘柄選択スイッチを設け、該銘柄選択スイッチにより所望の銘柄グループの何れかを選択して炊飯を行うようにすることも考えられる。
しかし、そのようにした場合、相当な炊飯実験を必要とし、多種多様の米の銘柄の特性を各グループ毎に分けて予じめマイコンに入力すること自体が大変であるし、また、そのように多数の銘柄の米を銘柄選択スイッチで選択することも面倒である。さらに、予じめ設定されている同区分に属さない新しい銘柄の米を買って来た時には、どの区分に属するか分からない。
この実施の形態は、このような事情に基いてなされたもので、販売状態にある米の袋等に、その米の銘柄、産地、収穫時期、精米時期等の上述した品種、品質とそれに対応した適切な炊飯プログラムを示す情報をメモリした電子タグを付すようにする一方、電気炊飯器側に、同電子タグからの情報を入力メモリして、銘柄炊飯機能を追加するとともに同入力メモリされた情報内容に応じた最適な炊飯加熱制御モードを設定して炊飯を実行できるようにすることによって、ユーザーに対してスイッチ操作等の何らの負担を強いることなく、ユーザーが買って来た銘柄の米の理想的な炊き上げを行えるようにした電気炊飯器を提供することを目的とするものである。
(全体の特徴)
先ず本実施の形態の電気炊飯器は、その炊飯器本体側において例えば内鍋3として電磁誘導の可能な磁性金属板よりなるものが採用されている一方、当該内鍋3に対する炊飯時の加熱手段として、合成樹脂製の保護枠(内ケース)4を介して当該内鍋3の底壁部3aから側壁部3bの略全体を包み込むように当該内鍋3の底壁部3aの中央部側と側方部側、および側壁部3bの下方側の3ケ所の全周に対応する3組のワークコイルC1,C2,C3が設けられ、また当該内鍋3に対する保温時の加熱手段として、当該内鍋3の側壁部3bの上方側全周に対応する保温ヒータH1が設けられている。そして、それらをマイコン制御ユニット32によって適切に駆動制御することによって、適切な炊飯機能と保温機能とを実現できるようになっている。
また、その場合において、ユーザーが購入した各種の米の袋に設けられている電子タグ中にメモリされている当該銘柄、産地、収穫時期、精米時期に応じた最適な炊飯加熱制御プログラムを入力するか、または米袋に設けられた電子タグ中の銘柄情報により、対応する最適な炊飯加熱制御プログラムを自から設定して、炊飯を実行し、真に理想的な御飯の炊き上げを図るようになっている。これは、次に新たな米の電子タグからの銘柄および炊飯プログラム情報が入力される度にデータが蓄積されて行く。
一方、それらの各機能に対するタイマー予約や通常炊飯、銘柄炊飯(タグ炊飯)、蒸し、保温等の各種メニュー、制御モードの選択は、当該電気炊飯器本体Aの前面側操作パネル部20に設けられた各種入力スイッチ群22a〜22iを介してユーザーにより行われ、それに応じて同メニュー、同制御モードでの上記ワークコイルC1〜C3および保温ヒータH1の加熱量、加熱パターンが適切に制御されるようになっている。
また、上記操作パネル部20の中央部には、通常炊飯、銘柄炊飯(タグ炊飯)、蒸し、保温等の各メニュー、並びに現在時刻および炊飯又は蒸し完了までの残時間その他の必要事項を表示する液晶表示部21が設けられている。この液晶表示部21は、上記操作パネル部20の内側にあるマイコン基板6B上に設けられている液晶ディスプレイ31の前面側ディスプレイ面によって構成されている。
(炊飯器本体部分の構成)
すなわち、先ず該電気炊飯器は、例えば図1に示すように、内部に誘起されるうず電流によって自己発熱が可能な例えばステンレス鋼板等の磁性金属板よりなる内鍋(飯器ないし保温容器)3と、該内鍋3を任意にセットし得るように形成された合成樹脂製の有底筒状の保護枠(内ケース)4と、該保護枠(内ケース)4を保持する外部筺体である有底筒状の外ケース1と、該外ケース1と上記保護枠(内ケース)4とを一体化して形成された炊飯器器体Aの上部に開閉可能に設けられた蓋ユニット(蓋)2とから構成されている。
上記保護枠(内ケース)4の底壁部(底部)4aの下方側にはコイル台7が設けられ、その上部には、フェライトコアを介し、上記内鍋3の底壁部(底部)3aの中央部と側方部および内鍋3の側壁部3bの各位置に対応して各々リッツ線が同心状に巻成された3組のワークコイルC1,C2,C3が、それぞれ内鍋3の底壁部3aから側壁部3bに到る略全体を包み込むように設けられており、それらにより通電時には内鍋3の略全体にうず電流を誘起して、その全体を略均一に加熱するようになっている。そして、該ワークコイルC1,C2,C3は、それぞれ相互に直列に接続されている。そして、その一端は、整流回路および平滑回路を介したワークコイル駆動回路の電源ラインに、また他端は同回路中のIGBT(パワートランジスタ)にそれぞれ接続されている。
また、上記側壁部側ワークコイルC3の上方部には、保温時において加熱手段として機能する保温ヒータH1が設けられており、保温時において上記内鍋3の全体を有効かつ均一に加熱するようになっている。
また、上記保護枠(内ケース)4およびコイル台7の前方部側には、上記ワークコイルC1,C2,C3、保温ヒータH1、肩ヒータH2等を駆動制御する上記IGBTやヒータ駆動回路、マイコン制御ユニット、電源電圧整流用のダイオードブリッジよりなる整流回路、平滑回路などを備えた制御基板6Aおよび制御基板収納ボックス5Aが上下立設状態で設けられている。
また上記外ケース1は、例えば合成樹脂材で形成された上下方向に筒状のカバー部材1aと、該カバー部材1aの上端部に結合された合成樹脂製の肩部材11と、上記カバー部材1aの下端部に一体化された合成樹脂製の底部材1bとからなり、かつ上記保護枠(内ケース)4の底壁部4aとの間に所定の広さの断熱および通風空間部を形成した全体として有底の筒状体に構成されている。そして、該外ケース1の前面部上方には、例えば図2に示すような略半月形状の操作パネル部20が設けられている。
該操作パネル部20面には、例えば図2に示されるように、十分に広く大きな表示面積をもつ液晶表示部21と炊飯スイッチ22a、タイマー予約スイッチ22b、取消スイッチ22c、保温スイッチ22d、再加熱スイッチ22e、メニュー選択スイッチ22f、時スイッチ22g、分スイッチ22h、後述する米袋45側電子タグ50からの銘柄等の情報を入力し、同銘柄等の情報に基いて同銘柄の米を最適な炊飯加熱制御プログラムで炊飯するためのタグ炊飯モード選択スイッチ(銘柄炊飯機能選択スイッチ)22i等の各種入力スイッチ(タッチキースイッチ)が設けられている。また、上記肩部材11の肩部内周側には、肩ヒータH2が設けられている。
また、上記外ケース1内の上記操作パネル部20の内側部分(裏側空間)には、上記制御基板6Aの上端側位置から斜め前方に下降する格好で、例えばマイコン基板6Bが傾斜設置されている。このマイコン基板6Bは、液晶ディスプレイ31、液晶ディスプレイ支持部材30、炊飯スイッチ22a、タイマー予約スイッチ22b、取消スイッチ22c、保温スイッチ22d、再加熱スイッチ22e、メニュー選択スイッチ22f、時スイッチ22g、分スイッチ22h、タグ炊飯モードスイッチ22i等の各種入力スイッチ(タッチキースイッチの動作機構部)、米袋45側電子タグ50からの銘柄等の情報を受信して後述するマイコン制御ユニット32に転送入力するタグ情報受信制御ユニット60(図示省略)等が設けられた操作基板部6Bと、その下方側のマイコン用電源基板部5Bとからなっている。
さらに、図示はしないが、上記保護枠(内ケース)4下方側のコイル台7の中央部には、上下方向に同心状に貫通したセンタセンサ収納空間部が形成されており、該センタセンサ収納空間部中に上下方向に昇降自在な状態で、かつ常時コイルスプリングにより上方に上昇付勢された状態で内鍋温度検知センサおよび内鍋検知スイッチを備えたセンタセンサが設けられている。
一方、符号2は蓋ユニットであり、該蓋ユニット2は、その外周面を構成する合成樹脂製の外カバー12と、該外カバー12と内枠14との間に設けられた金属製の断熱構造体13と、該断熱構造体13の内側にパッキン17を介して設けられた金属製の内カバー15と、該内カバー15の下方に設けられた金属製の放熱板16とによって内側が中空の断熱構造体に形成されている。また、上記断熱構造体13は上下2枚の金属板13a,13bを閉断面構造に対向させて一体化することにより形成されている。
この蓋ユニット2は、上記外ケース1上部の肩部材11に対してヒンジ機構を介して回動自在に取付けられており、その開放端側には、該蓋ユニット2の所定位置に係合して該蓋ユニット2の上下方向への開閉を行うロック機構18が設けられている。
したがって、該構成では、先ず炊飯時には、上記内鍋3は、上記3組のワークコイルC1,C2,C3の駆動によりその底壁部3aから側壁部3b側にかけて略全体が均一に発熱し、例えば内鍋3内の水に浸された飯米が断熱部として作用する吸水工程などにおいても内鍋3の上部側をもムラなく加熱して略全体に均一な吸水性能を可能にするとともに、炊飯量が多い時などにも内鍋3の全体を略均一に加熱して加熱ムラなく効率良く炊き上げることができる。また、沸騰工程以降の水分がなくなった状態における内鍋3の底壁部3aの局部的な熱の集中を防止して焦げ付きの発生を防止することができる。次に、保温時には、上記内鍋3の側壁部3bに対応して設けられた上記保温ヒータH1および肩ヒータH2の駆動により、内鍋3の底壁部3aから側壁部3bおよび上方部の全体が適切な加熱量で均一に加熱されて加熱ムラのない保温が実現される。
一方、上記制御基板6Aのマイコン制御ユニット32には、上記各入力スイッチ22a〜22iを介して入力されたユーザーの指示内容を判断する所望の認識手段が設けられており、該認識手段で認識されたユーザーの指示内容に応じて所望の炊飯又は蒸し、保温機能、所望の炊飯又は蒸し、保温メニュー、それら各種炊飯又は蒸し、保温メニューに対応した、吸水工程における吸水温度,吸水時間、昇温工程における昇温出力,昇温速度、沸とう維持工程における加熱出力,加熱パターン、炊き上げ検知工程における炊き上げ検知温度、保温工程における加熱出力などを適切に設定して、その炊飯加熱制御手段又は保温加熱制御手段としてのマイコン制御ユニット32を適切に作動させて所望の炊飯又は蒸し、保温を行うようになっている。
したがって、ユーザーは、上記各入力スイッチ22a〜22iを使って通常炊飯、銘柄炊飯、蒸し、保温、タイマー予約、予約時刻設定等各種メニューの炊き分け、通常保温又は低温保温その他の各種の炊飯又は蒸し、保温機能の選択設定内容を入力すれば、それに対応した機能内容が当該マイコン制御ユニット32内の上記認識手段を介して炊飯および保温加熱パターン等設定部に自動的に設定入力され、対応する炊飯又は保温加熱制御が最適な制御パターンで適切になされるようになる。
(炊飯器本体側制御回路部分の構成)
次に、図3は上述のように構成された炊飯器本体A側の炊飯および保温制御並びに残時間表示制御用のマイコン制御ユニット32を中心とする制御回路部分の構成を示す。
図中、符号32が上述のような通常又は銘柄炊飯加熱制御手段および蒸し、保温加熱制御手段に加え、銘柄等判定手段、内鍋温度判定手段、内鍋検知手段、ブザー報知手段等を備えた炊飯又は保温制御用のマイコン制御ユニット(CPU)であり、該マイコン制御ユニット32はマイクロコンピュータを中心として構成され、例えばタグ情報送受信制御回路部、内鍋3の温度検知回路部、ワークコイル駆動制御回路部、内鍋3の検知回路部、発振回路部、リセット回路部、保温ヒータおよび肩ヒータ等駆動制御回路部、残時間設定表示制御回路部、ブザー報知部、電源回路部等を各々併設して構成されている。
そして、先ず上記内鍋3の底壁部3a側センタセンサ部の内鍋温度検知センサS、内鍋検知スイッチLSに対応して設けられた温度検知回路43および鍋検知回路44には、例えば上記内鍋温度検知センサSによる内鍋3の底壁部3aの温度検知信号、内鍋検知スイッチLSによる鍋検知信号がそれぞれ入力されるようになっている。
また、上記ワークコイル駆動制御回路部は、例えばパルス幅変調回路41、同期トリガー回路40、IGBT駆動回路42、IGBT37、共振コンデンサ38によって形成されている。そして、上記マイコン制御ユニット32のワークコイル駆動制御回路部により、上記パルス幅変調回路41を制御することにより、例えば炊飯工程に応じて上記ワークコイルC1,C2,C3の出力値および同出力値でのONデューティー比(例えばn秒/16秒)をそれぞれ適切に変えることによって、炊飯又は蒸し加熱工程の各工程における内鍋3の加熱温度と加熱パターンを炊飯量を考慮して適切に可変コントロールし、均一な吸水作用と加熱ムラのない御飯の炊き上げ又は蒸し加熱調理を実現するための適切な出力制御が行われるようになっている。
また同マイコン制御ユニット32の保温ヒータ駆動制御回路部および肩ヒータ駆動制御回路部により、それぞれ保温ヒータ駆動回路33および肩ヒータ駆動回路34を制御することにより、例えば保温又は炊飯、蒸し加熱工程に応じて上記保温ヒータH1、肩ヒータH2の出力値および同出力値でのONデューティー比(例えばn秒/16秒)をそれぞれ適切に変えることによって、炊飯又は炊飯、蒸し各加熱工程における内鍋3の加熱温度と加熱パターンとを実際の炊飯量を考慮して適切に可変コントロールするための適切な出力制御が行われるようになっている。
また、符号22a〜22iは上述した各種入力スイッチ部であり、同スイッチの必要なものが適切に操作されると、上記マイコン制御ユニット32側の認識手段によってユーザーの指示内容が認識され、その認識内容に応じて所望の各種炊飯又は保温加熱パターンを設定して上記各炊飯加熱制御手段又は蒸し保温加熱制御手段を適切に作動させて所望の炊飯又は保温を行うようになっている。
したがって、ユーザーは、同入力スイッチ22a〜22hを使用して通常炊飯又は銘柄炊飯、保温、タイマー予約、予約時刻設定、さらに白米又は玄米、早炊、おかゆ、かため又はやわらかめ、すしめし、炊き込み等の炊き分け、蒸し、通常保温又は低温保温等の各種の炊飯又は蒸し、保温機能の選択設定内容を入力すれば、それに対応した機能内容が当該マイコン制御ユニット32の上述した認識手段を介して炊飯又は蒸し、保温加熱パターン設定部に自動的に設定入力され、対応する炊飯又は蒸し、保温加熱制御が適切に実行される。
そして、この場合、上記マイコン制御ユニット32側には、例えば一般に販売されている各種の米の銘柄に応じて最適な炊飯加熱制御プログラムを有し、例えば米側に設けられた電子タグ50からの銘柄情報(銘柄、産地、収穫年月日、精米年月日)により、対応する最適な炊飯加熱制御プログラムを自動的に選択して炊飯を実行し、理想的な御飯の炊き上げを図るようになっている。また、そのような炊飯加熱制御プログラムが予じめ設定されていない新たな銘柄の米の場合には、同電子タグ50からの上記銘柄等の情報に基いて、自から最適な炊飯加熱制御プログラムをプログラミングして、炊飯を実行するようになっている。
さらに、符号17は炊飯完了を知らせるブザー報知部、16はリセット回路、21は液晶表示部である。この実施の形態の場合、上記液晶表示部21には、上記入力スイッチ22a〜22iのON操作に対応して所定のメニュー(制御モード)や時刻等の必要事項が表示され、以後設定内容に応じた必要な表示がなされて行くようになっている。
(銘柄炊飯制御の実現方法について)
ところで、この実施の形態の場合、上述した銘柄炊飯制御を適切に実行するために、例えば図5に示すように、米穀店やスーパー等で販売されている米の袋45の表面45aには、銘柄a、産地b、収穫時期(年月日)c、精米時期(年月日)dが表示され、さらにその下部45bには、電子タグ50が剥がれにくいように貼設されている。
この電子タグ50は、基本的にはICチップにより構成されており、電源回路50bと、無線周波数(RF)回路(ワイヤレス送受信回路)50cと、変調回路50dと、復調回路50eと、CPU50fと、このCPU50fに対して入出力可能に接続され、上述した銘柄等の情報a〜dの各種データとこれらに基いて予じめ設定された最適な炊飯プログラムが随時記憶されているメモリ50aを有して構成されている。
電源回路50bは、蓄電池としてのコンデンサ(図示せず)を内蔵し、このコンデンサはコイル型の第1の送受信アンテナ51とともに共振回路を形成している。このコンデンサには、第1の送受信アンテナ51が特定の周波数の電波(上記共振回路が共振する周波数)を受信したときに、その相互誘導作用で生じる電力が充電されるようになっている。そして、電源回路50bは、このコンデンサからの電力を整流し安定化してCPU50fに供給し、当該電子タグ50を活性化する。また、上記第1の送受信アンテナ51は、例えば複数枚の軟磁性アモルファス箔又は複数枚の金属箔を耐熱性樹脂又は耐熱性無機材料からなる絶縁層を介して積層してなる磁芯部材51aの外周に、高強度の被覆導線51bを巻成した耐久性の高いものに構成されている。
一方、上記メモリ50aは、例えばROM、RAMおよびEEPROMを含み、CPU50fの制御の下で、後述するタグ情報送送受信制御ユニット60からの送信電波のデジタル・データ通信による読出しコマンドに応じて、上記メモリ50aに記憶されている銘柄等の情報データa〜dの読出しを行うとともに、必要に応じ、同タグ情報送受信制御ユニット60からの書込みコマンドに応じて何らかの必要なデータの書込みが行われる。
以上のように、CPU50f、メモリ50a、RF回路50c、米の銘柄等情報データa〜dを記憶したメモリ50a、およびワイヤレス送信機能等を有して構成された米袋45側の電子タグ50は、それに対応して、例えば上記炊飯器本体Aのマイコン基板6B部分に設けられたタグ情報送受信制御ユニット60とワイヤレスで送受信可能に構成されている。
該タグ情報送受信制御ユニット60は、上記電子タグ50側に記憶された上述した米の銘柄等の情報データa〜dを読み出して、上述したマイコン基板6B側の炊飯又は保温制御用のマイコン制御ユニット32に転送して入力し、また電子タグ50側のメモリ50a内に必要な情報を書込むように構成されており、上記第1の送受信アンテナ51と相互誘導作用する同じくコイル型の第2の送受信アンテナ61が受信した電波データを処理するデータ処理回路部を有する。
すなわち、第2の送受信アンテナ61は、上記電子タグ50側第1の送受信アンテナ51に対して所定の電波を送信し、かつ電子タグ50側第1の送受信アンテナ51からの所定の電波を受信するように構成されている。また、データ処理回路部は上記第2の送受信アンテナ61に接続されており、バッテリを内蔵する電源回路60aと、無線周波数(RF)回路(ワイヤレス送受信回路)60bと、変調回路60cと、復調回路60dと、CPU60eと、このCPU60eに対して入出力可能に接続され、上記電子タグ50のメモリ50aから読み取った情報(米の銘柄a、産地b、収穫時期c、精米時期d等とそれらに基く炊飯プログラム)を記憶するメモリ60fとを有して構成されている。
上記電子タグ50中のメモリ50aに記憶された米の銘柄および炊飯プログラム情報の読み出しは、上記タグ情報送受信制御ユニット60の第2の送受信アンテナ61から上記電子タグ50側の第1の送受信アンテナ51に向けて2値化されたデジタル・データ信号を特定周波数の電波に乗せて送信する。このデジタル信号は、変調回路60cで変調を受け、RF回路60bで増幅されて第2の送受信アンテナ61から送信される。該送信された電波は、電子タグ50側第1の送受信アンテナ51により受信され、この受信時のアンテナコイル間の相互誘導作用により電源回路50bの蓄電用コンデンサに電力が充電される。そして、それにより電源回路50bは動作電力をCPU50fに供給し、電子タグ50を活性化して、RF回路50cを作動させる。
そして、CPU60eは、この受信信号(読出しコマンド信号)に基づいて、上記メモリ50aに記憶されている米の銘柄等の情報データa〜dを送信する。この米の銘柄等の情報データa〜dの送信は、上記同様に2値化されたデジタル・データ信号を変調回路50dで変調した後、RF回路50cで増幅することによって第1の送受信アンテナ51から送信することにより行われる。このようにして送信されたデジタル・データは、タグ情報送受信制御ユニット60側第2の送受信アンテナ61で受信され、上記データ処理回路部でデータ処理されて、上述の各種炊飯又は保温制御用のマイコン制御ユニット32に転送される。これにより、これから炊飯に使用される米の銘柄a、産地b、収穫時期(年月日)c、精米時期(年月日)dが正確に入力され、それに応じた適切な加熱量、加熱パターンでの炊飯加熱制御が実現される。
また、上記CPU60eの入力ゲートには、さらに汎用的な入力装置(入力回路)60gが接続されており、所定の外部入力手段(パソコン等)からの必要な追加情報が、同入力装置60gを介して入力され、上記CPU60e、RF回路60bを通して上記電子タグ50側のメモリ50aに書き込まれるようになっている。
なお、上記構成における電子タグ50の設置位置は、上述のような米袋45の表面45aの底部45bに限らず、どこでもよい。
以上のように、この実施の形態の構成では、内鍋と、該内鍋を収納セットする炊飯器本体と、該炊飯器本体内にあって上記内鍋を加熱する加熱手段と、使用される米の銘柄等を検知判定する銘柄等判定手段と、該銘柄等判定手段の判定データに基いて上記加熱手段の加熱制御を行う加熱制御手段と、上記炊飯器本体の開口部を覆う蓋ユニットとからなる電気炊飯器において、上記銘柄等判定手段は、米側にあって、当該米の銘柄等の情報を上記炊飯器本体側にワイヤレス送信するワイヤレス送信機能を有する電子タグと、上記炊飯器本体側にあって、同電子タグからワイヤレス送信される上記米の銘柄および炊飯プログラム等の情報を受信する受信手段とからなり、使用される米側の銘柄等の情報をワイヤレス状態で検出判定して上記加熱制御手段に入力するようにしたことを特徴としている。
このように、使用される米の米袋側に、当該米の銘柄および炊飯プログラム等の情報をワイヤレスで送信するワイヤレス送信機能を有する電子タグを設ける一方、炊飯器本体A側に同電子タグからワイヤレス送信される銘柄および炊飯プログラム等の情報を読み出して受信する送受信手段を設け、これらによって米の銘柄等判定手段を構成し、使用される米側の銘柄および炊飯プログラム等の情報をワイヤレス状態で検出して、そのままマイコン制御ユニットに取り込むようにすると、従来の銘柄スイッチ等の銘柄選択手段が不要で、何らユーザーの負担を招くことなく、これから使用とする米の銘柄に応じた品質特性データとそれに対応する炊飯プログラムがマイコン制御ユニットに自動的に入力され、同米の銘柄の品種、品質特性に応じた理想的な炊飯が可能となる。
この場合において、上記銘柄情報は、銘柄および産地、収穫時期、精米時期まで含んだ詳細なものとなっている。
すでに述べたように、米の銘柄は多種多様であり、例えば同じ銘柄であっても産地や収穫時期、精米時期などによって、その水分含有量や硬さ、粘度などの本質的な特性が異なる。
そして、米の硬さや粘度、水分含有量は、炊飯時の吸水性、所要加熱量を大きく左右する。それらの内、米の硬さや粘度は、一般に米の主成分である澱粉中のアミロースとアミロペクチンの含有比率で決まるが、その比率は米の銘柄(品種)や産地によっても異なり、また水分含有量は、銘柄のほか、収穫時期、精米時期などによっても異なってくる。
したがって、それらも炊飯に必要な情報として取り込み、より理想的な炊飯を行うようにしている。
また、その場合において、上記米袋側の電子タグは、必要に応じて当該米の商品番号表示機能をも有するように構成される。
そのような構成によると、当該電子タグを米の出荷時の品質検査や配送、販売店納入時の商品チェックなど各種の用途に利用することができるようになる。
また、上記の構成では、上記炊飯器本体側のタグ情報送受信手段は、特にタグ情報送受信制御ユニットとして、送信機能をも有するように構成されている。したがって、必要に応じて当該電気炊飯器自体の製品番号表示識別機能を有するようにも構成することができる。
このような構成によると、当該タグ情報送受信制御ユニットを、電気炊飯器の出荷時の品質検査や配送、販売店納入時の製品チェック、アフターサービスなど各種の用途に利用することができる。
また上記の構成では、炊飯器本体側の加熱制御手段であるマイコン制御ユニットには、特にプログラミング機能が具備されている一方、電子タグ側の銘柄等の情報には、当該銘柄の炊飯加熱制御に必要な品質特性を示す詳細な情報が含まれており、炊飯器本体A側加熱制御手段であるマイコン制御ユニットは、上記電子タグ側に炊飯プログラムがメモリされていない場合には、同情報に基いて、当該銘柄の米の最適な加熱制御プログラムをプログラミングして炊飯を行うようになっている。
このような構成によると、何らかの事情で炊飯プログラムが予じめ設定されていない全く新しい銘柄の米が使用されるようになった時にも、何ら問題なく対応することができる。
(変形例)
以上のような制御モード(メニュー)、制御機能の追加拡大は、上述のような米の銘柄炊飯機能の場合に限らず、次のような各種の場合にも、同様の方法で実現することができる。
(1) 上記電気炊飯器における「発芽玄米」コースの炊飯メニューを追加する。上記の電気炊飯器では、例えば図2の液晶表示部21の表示からも明らかなように、「玄米」コースはあるが、「発芽玄米」コースは具備していない。
「発芽玄米」は、「玄米」炊飯に比べても白米と炊飯条件を異にする割合が高く、より高い温度で吸水工程を実行する方が良い。
そこで、このような「発芽玄米」コースを上述と同様の電子タグ50を用いて新たなメニューとして付加する。この場合にも、「発芽玄米」に対応した米質情報(白米との比率等)と炊飯プログラムをメモリさせた電子タグ50は、同発芽玄米を収納した米袋の表面に貼設して販売する。
(2) 上記同様の新たな炊飯メニューの追加は、さらに例えば「無洗米」の炊飯機能をもっていない機種に「無洗米」コースを付加する場合などにも同様に適用することができる。
(最良の実施の形態2)
図6〜図7は、電気機器として電磁誘導加熱式の電気炊飯器を採用し、その対象物である内鍋の適合性を自動判定するようにした本願発明の最良の実施の形態2に係る電気機器の構成を示している。
従来のヒータ式の電気炊飯器の場合、内鍋はアルミ製のものでも良いが、電磁誘導加熱式の場合にはステンレス製のものでなければならず、アルミ製の内鍋をセットしても全く炊飯を行うことができない。また、最近では、内鍋の加熱効率を向上させるために、ステンレス製の内鍋の中にも通常の単層型の内鍋に加えて多層型の高級な内鍋が採用されるようになってきている。
これらの内鍋は、当該電気炊飯器の各機種毎に適合関係が定められており、内鍋加熱制御手段としてのマイコン制御ユニット32は、同適合関係にある内鍋の特性を前提として加熱制御プログラムが定められており、同定められた制御プログラムで加熱を行うようになっている。
したがって、本実施の形態のような電磁誘導加熱式の電気炊飯器の場合、当該電気炊飯器(図1の構成を参照)の炊飯器本体A内に内鍋3がセットされた時に、それが自己に適合したものであるか否かを判定することができ、適合している場合には炊飯可能な状態にセットする一方、適合していない場合には、その旨をユーザーに報知するとともに炊飯操作を行っても炊飯を行えないようにするなどの処置を取れるようになっていることが望ましい。
そこで、本実施の形態の構成では、例えば図6に示すように、上述の実施の形態1のものと同様のマイコン制御ユニット32を備えた電気炊飯器本体Aに対して所定の対応関係にある対象物としての内鍋3側に、同所定の対応関係にあることを示す製品番号等の機種情報を記憶させた電子タグ50を設ける一方、電気炊飯器本体A側に同電子タグ50からの機種情報(製品番号)を読み込むタグ情報読取制御手段としてのタグ情報送受信制御ユニット60が設ける。具体的には、内鍋3の開口縁部3cの左右両側に取り付けられた把手部8,8の何れか一方内に当該内鍋3の機種情報(製品番号)を記憶させた電子タグ50を、それに対応する下方側炊飯器本体の内ケース4側の肩部材11内にタグ情報送受信制御ユニット60が設けられる。
そして、上記電気炊飯器本体Aに対して内鍋3がセットされた時に、上記電気炊飯器本体A側のタグ情報送受信制御ユニット60が上記内鍋3側の電子タグ50からの機種情報(製品番号)を読み込んで、同機種情報(製品番号)をマイコン制御ユニット32に転送入力する。そして、マイコン制御ユニット32は、該入力された製品番号に基いて、その対応関係の適否を自動的に判定し、同判定結果に対応した適切な処置を取る。
今例えば、上記マイコン制御ユニット32による内鍋の適合関係判定制御方法について、その内容を示すと、図7のフローチャートのようになる。
すなわち、先ず内鍋3がセットされて内鍋検知スイッチLSがON(所定の条件が成立)することにより、自動的に内鍋適合関係(種別)判定制御モードに入って、図7のフローチャートの制御を開始する。
そして、先ずステップS1で上記タグ情報送受信制御ユニット60から内鍋3の電子タグ50側に電子タグ情報読出しコマンド信号を出して、同電子タグ50からのタグ情報を読み込む。そして、次にステップS2に進み、実際にタグ情報が得られたか否かを判定し、タグ情報が得られたYESの時はステップS3に進んで同タグ情報によって示される上記セットされた内鍋3の製品番号が当該電気炊飯器(所定の機種の)に対応した適合関係にあるものであるか否かを判定する。
他方、タグ情報が得られなかったNOの時は、少なくとも当該セットされた内鍋3には当該内鍋3の機種(製品番号)を示す電子タグが付されていないので、適合関係を判定することができませんよ、という意味での音声又は文字による「タグなし報知」を行ってユーザーによる内鍋種別の確認を求めるとともに、さらにステップS5で炊飯禁止処理を行って同判定制御を終了する。
この場合、ユーザーは自から蓋ユニット2を開き、一旦セットした内鍋3を取り出して種別(アルミ製か・ステンレス製か)を判定した後、アルミ製の場合には内鍋3を交換し、またステンレス製の場合には例えば取消スイッチ22cの2度押しにより、内鍋3をセットしても再び上記の判定モードには入らないようにして、炊飯の開始操作を行う。
一方、上記ステップS3の判定で、上記セットされた内鍋3が当該電気炊飯器に適合したものであると判定されたYESの時は、続いてステップS6,S7,S8に進んで制御回路各部を炊飯可能な状態にセットし、さらに炊飯メニューをセットした上で実際に炊飯を実行する。
他方、適合していないとしてステップS3でNOと判定された場合には、ステップS9に移って内鍋3が相異している旨を音声又は文字でユーザーに報知し、ステップS10で炊飯操作を行っても炊飯を行うことができないように炊飯禁止処理を行って同判定制御を終了する。
(変形例)
なお、以上の構成では、内鍋の適合関係を判定する判定制御モードに入る条件として、内鍋3のセットに対応した内鍋検知スイッチLSのONが必要であるとした。これは使用される内鍋3,3・・・の全てに必ずしも電子タグ50,50・・・が設けられているわけではないとの前提による。
しかし、使用される内鍋3,3・・・の全てに電子タグ50,50・・・が付されているとすると、本来内鍋3の内鍋検知スイッチLS自体を設ける必要もなく、図6のステップS2で電子タグ情報の有無の検知判定を行うだけで鍋検知をも合わせて行うことができ、例えば図6のステップS2でNOの時は、ステップS4で鍋無し報知を行った後、ステップS5で炊飯禁止処理を行えばよい。
この結果、内鍋検知スイッチLSが不要となる分、炊飯器本体の構造が簡単で低コストになる。
(最良の実施の形態3)
次に図8〜図11には、電気機器として電気加熱機器のひとつである食器乾燥器を採用し、その乾燥対象物の特性に応じた自動制御を行うようにした本願発明の最良の実施の形態3に係る電気機器の構成が示されている。
この食器乾燥器は、下方に位置する機械室71と上方に位置する乾燥室72とを隔壁73により区画形成してなる乾燥器本体70と、該乾燥器本体70における乾燥室72を開閉自在に覆蓋する開閉蓋75A,75Bとを備えて構成されている。
乾燥室72は、仕切板76および上記開閉蓋75A,75Bにより食器類を収納する第1収納部77とまな板Mや包丁等の調理器具を収納する第2収納部78との互いに独立した2つの部屋となるように区画されている。
機械室71には、第1収納部77および第2収納部78へ乾燥用の低温熱風W1および高温熱風W2をそれぞれ供給する低温熱風供給手段79および高温熱風供給手段80が配設されている。
該低温熱風供給手段79および高温熱風供給手段80は、両手段に共用される1台のファン81と、それぞれに対応する第1および第2の電気ヒータ82,83と、それぞれに対応する第1および第2の導風ダクト84,85とにより構成されている。ファン81としては、例えばターボファンが採用されており、羽根車86と該羽根車86を囲繞するスクロールタイプのファンガイド87と、羽根車86の駆動源となるファンモータ88とにより構成されている。
また、上記第1および第2の導風ダクト84,85は、上記ファンガイド87の吐出口87aに接続された断面直方体形状のダクト構成部材89内を隔壁90により並列状態に区画して形成されている。つまり、第1および第2の導風ダクト84,85は、水平方向に隣り合って形成されており、それぞれの熱風吹出口91,92は、第1および第2の収納部77,78にそれぞれ連通されている。なお、これらの熱風吹出口91,92は、仕切板76の下方にあって乾燥室72の前後方向中央部において第1および第2の収納部77,78にそれぞれ臨まされており、それぞれの内部には、吹出熱風W1,W2を第1および第2の収納部76,77の全体に拡散させるためのガイド93,93・・が設けられている。そして、第1および第2の導風ダクト84,85内に、低温用第1および高温用第2の電気ヒータ82,83がそれぞれ配設されている。なお、第1収納部77への食器等被乾燥物a〜f(図11参照)の収納は、バスケット94に入れた状態でなされる。
開閉蓋75Aは、内部が容易に透視できるように透明あるいは半透明な合成樹脂製の板材からなっている。この開閉蓋75Aは、一側を乾燥器本体70の一方の側壁70aに対して回動中心となる枢支軸98を介して開閉自在に枢支し且つ他側を仕切板76上に回動自在に支持した状態で取り付けられている。
また、開閉蓋75Bは、内部が容易に透視できるように透明あるいは半透明な合成樹脂の板材からなる内板95と外板96とにより空間部97を有する二重壁構造とされている。このようにすると、空間部97が断熱空間として作用するため、第2の収納部78に高温熱風(100℃)W2が供給された場合であっても、開閉蓋75Bの外面が熱くなることがなくなり、安全性を確保できる。
この開閉蓋75Bは、一側を乾燥器本体70の他方の側壁70bに対して回動中心となる枢支軸98を介して開閉自在に枢支し且つ他側を仕切板76上に回動自在に支持した状態で取り付けられている。また符号99,100は第1の収納部77および第2の収納部78の後方側をそれぞれ覆うカバー、101は固定仕切板である。
そして、上記第1,第2の電気ヒータ82,83およびファン(ファンモータ)81は、例えば図11に示すように、乾燥時間設定機能を有するタイマースイッチ111を備えたマイコン制御ユニット110により、それぞれ適切に駆動制御されるようになっている。
このような食器乾燥器の場合、上述の如く高温(100℃程度)の熱風により、茶碗、皿、箸、スプーン、シャモジ、ふきんなど、各種のものを短時間で乾燥させることができるが、それら乾燥処理対象物(例えば図11中のa〜f)の中には耐熱性の低いもの(例えばc,d)などもあり、そのような物に対して高温の熱風を与えるのは好ましくない。
したがって、例えば図11に示すように、食器乾燥器の乾燥室72のバスケット94内に、そのような耐熱性の低い食器等被乾燥物c,dがセットされた時は、それを検出判定してユーザーに報知し、上記高温熱風での乾燥制御を禁止するか、または自動的に低温熱風での乾燥制御に切り替えるようにすることが好ましい。
そこで、この実施の形態では、上記食器乾燥器本体70側隔壁73の下部に上述の実施の形態1の場合と同様のタグ情報送受信制御ユニット60を設ける一方、上記耐熱性の低い食器c,dに実施の形態1のものと同様に対応する電子タグ50を設けて、それら両者を前述の図5のように送受信可能な状態に対応させるようにしている。
そして、それにより、上記食器乾燥器の乾燥室72内のバスケット94に、そのような耐熱性の低い食器等被乾燥物c,dがセットされた時は、例えば図13のフローチャートに示すように、それを検出判定してユーザーに報知し、自動的に低温での乾燥制御に切り替えるようにしている。
すなわち、同制御では、先ずステップS1で上記タグ情報送受信制御ユニット60から食器等被乾燥物c,d側の電子タグ50に対し電子タグ情報読出し用のコマンド信号を出して同電子タグ50からのタグ情報を読み込む。そして、次にステップS2に進み、実際にタグ情報が得られたか否かを判定し、タグ情報が得られたYESの時は、さらにステップS3に進んで同タグ情報によって示される被乾燥物c,dの品質情報が耐熱性が低いことを示すものであるか否かを判定する。
他方、電子タグ情報が得られなかったNOの時は、全く食器等被乾燥物がセットされていないケースも考えられるので、ステップS4でユーザーに食器等被乾燥物確認の指令を出す(音声又は文字)。
一方、ステップS3でNOと判定された場合には、少なくとも当該セットされた被乾燥物の中には耐熱性の低いものはないと認められるので、ステップS5,S6に進んで、上記第2の電気ヒータ83をONにして高温の熱風(100℃)を吹き出させる高温風供給状態にセットし、ファン81を駆動して高温での乾燥を実行する。
他方、同ステップS3でYESと判定された場合には、耐熱性の低い被乾燥物c,dがセットされていると認められるので、ステップS7,S8に進んで、上記第1の電気ヒータ82をONにして低温の熱風(100℃)を吹き出させる低温風供給状態にセットし、ファン81を駆動して低温での安全な乾燥を実行する。
(変形例)
以上の構成において、さらに次のような構成を採用することもできる。
(1) 全ての食器等に電子タグ50,50・・・を設け、耐熱性の問題がない場合には、それらの全ての許容温度条件下で、最も乾燥効率の高い温度、風量に設定して乾燥する。
(2) 全ての食器等被乾燥物に電子タグ50,50・・・を設けることによってバスケット94内の食器等被乾燥物の収納量を判定し、その量に応じて最適な温度、風量、時間で乾燥を行う。
(最良の実施の形態4)
なお、上記図13の最良の実施の形態4と同様の制御方法は、例えば電気機器本体が電子レンジであり、電子タグ50を有する対象物が同電子レンジでは使用できない調理容器であるような場合にも全く同様に適用することができる。
電子レンジの場合、使える容器と使えない容器があり、特にプラスチック容器の場合、使用可能又は使用不可の表示を付したものも多い。
しかし、その表示は全てのものに完全に付加されているわけではないし、ユーザーが見落とすことも多い。
そこで、使用不可能な調理容器に対して、その旨の情報を記憶させた上記同様の電子タグ50を設け、同調理容器が庫内にセットされた時には、タグ情報読取制御手段であるタグ情報送受信制御ユニット60が同電子タグ50からの使用不可情報を読み込んで、その旨をユーザーに報知するとともに加熱操作を行っても加熱できないようにする。
(最良の実施の形態5)
さらに図14〜図15は、電気機器として電子レンジを採用し、その調理対象物の調理加熱情報を調理物パッケージ側の電子タグから得て自動的に加熱調理するようにした本願発明の最良の実施の形態5に係る電気機器の構成を示している。
スーパーやコンビニでは、電子レンジで加熱調理することによって食べられる肉類や惣菜、加工済食品が沢山売られている。これらには、一般に電子レンジでの最適な加熱時間を説明してあるものもあるが、説明していないものも多い。
そこで、この実施の形態では、例えば図14のように、このような各種食品103,103・・・の方に、例えば図15のような食品の品質特性(1)〜(4)を記憶させた電子タグ50,50・・・を設ける一方、電子レンジ本体102の方に当該電子タグ50からの品質情報を読み込んで、マイコン制御ユニット104側に転送入力し、同食品103,103・・・に最適な加熱出力値(1)、加熱パターン(2)、加熱調理時間(3)を演算させて調理を行わせるタグ情報送受信制御ユニット60を設けて構成されている。
このような構成によると、図14に示す如く、上記のような電子タグ50を備えた食品103を電子レンジ本体102の庫内102aのターンテーブル102b上に置いて、扉102cを閉め、例えばタグ情報読み取りモードスイッチSWoをONにすると、自動的に電子タグ情報が読み取られてマイコン制御ユニット104に入力されるので、後は加熱スタートスイッチSW1を押すだけで最適なレンジ加熱調理が実行される。
このような構成によると、従来のようなセンサによる食品サーチの必要がなくなる。
(最良の実施の形態6)
次に図16〜図18は、電気機器として電気ポットを採用し、その対象物である用途物に応じて適切に機能制御するようにした本願発明の最良の実施の形態6に係る電気機器の構成を示している。
最近の電気ポットは、例えば湯沸し、カルキ抜き、通常保温、省エネ保温、保温温度選択、通常給湯、計量給湯、再沸騰などの各種の機能を備えて構成されている。
このような各種の機能は、使用される水の種類やお湯の用途に応じて、適切に制御されることが好ましい。例えば或る温度で「保温」中の場合にも、例えばコーヒーや紅茶を入れる場合、緑茶を入れる場合、ラーメンをつくる場合などでは、それぞれ適した湯の温度が異なる。またできるだけ速く多くの湯を必要とする場合がある反面、ドリップコーヒーを入れる場合などには、できるだけ吐出量を絞った方がよい。
従来の電気ポットでは、このような問題に対し適切な対応が取られていない。湯温の場合、2〜3段階程度の専用の保温温度選択スイッチを設けて選択できるようにしたものが見受けられるが、これとてもユーザーによるマニュアル的な対応が取られているにすぎず、事前のスイッチ操作が必要である。
この実施の形態は、このような事情に基いてなされたもので、湯の用途を用途物側に設けた電子タグを用いて電気ポット本体側のマイコン制御部に自動的に入力し、それに対応した適切な機能制御を自動的に行えるようにした電気ポットを提供することを目的とするものである。この場合、用途物の一例として、例えばドリップコーヒーが採用されている。
(電気ポット本体部の構成)
すなわち、この電気ポットは、先ず図16に示すように、貯湯用の内容器130を備えた容器本体131と、該容器本体131の上部側開口部を開閉する蓋体132と、上記内容器130を湯沸し時において加熱する加熱手段である湯沸しヒータ133と、上記内容器130を保温時において加熱する加熱手段である保温ヒータ134と、上記内容器130内の湯を外部へ給湯注出するための給湯通路(湯注出通路)135と、該給湯通路135の途中に設けられた注出流量計測用の流量センサ136と、AC電源が接続されている状態において上記給湯通路135を介して上記内容器130内の湯を外部に注出する電動式の給湯ポンプ137と、AC電源が接続されていない状態において上記給湯通路135を介して内容器130内の湯を外部に送り出すエア式の手動給湯ポンプ138とを備えて構成されている。
そして、この実施の形態の場合、上記電気ポット本体131の外ケース131aの内側には、次に述べるドリップコーヒーのフィルタカラー140の本体140bの前面側及び使用されるコーヒーカップ150の本体部150bの前面側に各々貼着されている電子タグ50A,50Bからのタグ情報(湯温、湯吐出条件、湯量)を読み出して、後述するマイコン制御ユニット160に転送するタグ情報送受信制御ユニット60が設けられている。
電子タグ50Aには、当該ドリップコーヒーを最も美味しく入れるために最適な湯温と湯の吐出条件を示すデジタルデータ情報がメモリ部にメモリされている一方、電子タグ50Bには、当該コーヒーカップ150に入る最適な湯量(カップの容量)を示すデジタルデータ情報がメモリ部にメモリされている。これら各電子タグ50A,50Bのデジタルデータは、上記電気ポット本体131の本体ケース131a側のタグ情報送受信制御ユニット60からのタグ情報読み出しコマンド信号に応じて読み出されるようになっている。そして、該読み出されたデジタルデータは、最終的にマイコン制御ユニット160に転送されて、その制御機能設定用のメモリ部に入力される。
ドリップ時、上述したドリップコーヒーのフィルタカラー140とコーヒーカップ150とは、上下に積み重ねられた関係になり、フィルタカラー140両側の把手部140a,140aが上記コーヒーカップ150の把手150aを中央にした時の左右両側にくるようにし、かつ電子タグ50Aがコーヒーカップ150の把手150aと反対の向う正面側に位置するように位置設定して、図16に示すように電気ポット本体の湯注出口135a下方に対応せしめられる。
そして、この状態において、上記電子タグ50A,50Bとタグ情報送受信制御ユニット60が相互通信可能に対応して、各タグ情報が読み出されてマイコン制御ユニット160に入力される。そして、マイコン制御ユニット160により、図示しない給湯スイッチが押された時に、後に述べるドリップコーヒーに最適な湯温の湯が、最適な吐出状態で、コーヒーカップ150の大きさに応じた最適な量だけ注出されるように、上述した給湯ポンプ137の駆動状態が適切に制御される。
(制御装置部の構成)
次に図17は、上記構成の電気ポット本体131における制御装置の回路構成を示すブロック図である。
図17中、符号161はAC電源、162は例えば平滑コンデンサおよび電源ICよりなり、マイコン制御ユニット160および加熱制御部163、ポンプ電源部164等に直流電源を供給する直流安定化電源部、また163は湯沸しヒータ133および保温ヒータ134のON,OFF制御用の加熱制御部、133,134は上述した湯沸しヒータおよび保温ヒータよりなる加熱手段、165は上述の給湯スイッチ他のスイッチ手段、137は上述の直流型の電動給湯ポンプである。
上記湯沸しヒータ133は、例えば上記マイコン制御ユニットから、上記加熱制御部163に湯沸しヒータON信号が出力されると、例えば図示しないトランジスタを介して電源リレーを作動させ、それに対応して電源スイッチがONになることにより、駆動される。
また、上記保温ヒータ134は、上記マイコン制御ユニット160から、上記加熱制御部163に保温ヒータON信号が出力されると、例えば図示しないトランジスタがONになることにより、トライアックを駆動させて駆動される。
また、上記マイコン制御ユニット160には、さらにタグ情報送受信制御ユニット60、液晶表示部166、LED表示部167や給湯スイッチ、再沸騰/保温選択スイッチ、給湯ロック解除スイッチ、おやすみタイマースイッチ等の各種操作部165や底センサ(サーミスタ)168、流量センサ136などの各種センサー部、報知手段169等が、各々図示しない入出力ポートを介して接続されている。
そして、以上の電気ポットでは、湯沸し時には上記湯沸しヒータ133を使用して高加熱出力で速やかに沸とう状態まで加熱した後に、同沸とう状態を継続して所定の時間内カルキ抜きを行ない(但し、ミネラルウォータの場合には、カルキ抜きを省略する)、その後、ブザー音による沸とう報知(湯沸し完了報知)を行って湯沸しヒータ133をOFFにし、その後、保温温度選択スイッチにより選択されている所定の保温温度(例えば98℃、90℃)での保温工程に移行する。また、湯沸し完了後、所定の保温温度(例えば98℃、90℃)での保温状態において、再沸とうスイッチの再沸とうキーが押された場合には再沸とう加熱を行ない、所定の沸とう温度に達した時(再沸とう完了時)にも、同様の沸とう報知を行うようになっている。
ところで、一般にフィルター部の開口容積が小さく、また本来的に少量の湯で、じっくりとコーヒー成分を抽出することが好ましいドリップコーヒーを入れる時などの場合、湯の出し方としては、最初に少量、途中で若干多めに、そして最後は少なめにと言った複数の段階のパターンで湯を注ぐことが好ましいが、以上のような構成によると、このような注出パータンの実現も容易となる。
すなわち、本実施の形態の構成では、上述のようにドリップコーヒーのフィルタカラー140側に当該用途物がドリップコーヒーであること、そして、それに対応した最適な湯温と上記パターンの湯の吐出条件を示す情報を記憶させた電子タグ50Aを、またコーヒーカップ150には、当該コーヒーカップ150に入る最適な湯量(カップの容量)を示すデジタルデータ情報をメモリした電子タグ50Bをそれぞれ設ける一方、電気ポット本体131側には同電子タグ50A,50Bからの上記各情報を読み込むタグ情報送受信制御ユニット60が設けられている。
そして、上記図16のようにコーヒーカップ150およびドリップコーヒーのフィルタカラー140が適切にセットされた時に、上記電気ポット本体131側のタグ情報送受信制御ユニット60が上記電子タグ50A,50Bからの各情報(湯温および湯の吐出条件、湯量)を読み込んで、マイコン制御ユニット160に転送入力する。そして、マイコン制御ユニット160は、該入力された湯温および吐出条件並びに湯量データに基いて、その湯温、吐出パターン、湯量を自動的に設定し、上述したドリップコーヒーを入れるのに最適な吐出パターンで給湯ポンプ137を駆動する。
(ドリップコーヒーを入れるのに最適な湯吐出状態および湯吐出量の制御)
今例えば、上記マイコン制御ユニット160による湯の吐出状態および吐出湯量の制御方法について、その内容を示すと、図18のフローチャートのようになる(このフローでは、湯温については省略している)。
すなわち、先ずステップS1で上記タグ情報送受信制御ユニット60から上記電気ポット本体1の電子タグ50A,50B側に電子タグ情報読出しコマンド信号を出して、同電子タグ50Aからのタグ情報を読み込む。そして、次にステップS2に進み、先ずドリップコーヒーであることを示すドリップ情報が得られたか否かを判定し、ドリップ情報が得られたYESの時は、さらにステップS3に進んで、さらにカップ量情報があるか否かを判定する。
その結果、YESと判定されると、ステップS4に進んで、上述したドリップ給湯モード、すなわち「最初は少なく、途中で多めに、そして最後に少ない」湯吐出パターンにセットするとともに、ステップS5で使用されているコーヒーカップ150の大きさに応じた最適な給湯量(流量センサ136で計測し、フィードバック制御できる)にセットした上でステップS6に進む。
そして、ステップS6で、ドリップ給湯モードおよび計量給湯モードでの給湯ポンプ制御を実行し、ステップS7で設定給湯量に達したことが判定されると、同給湯制御を終了する。
一方、上記ステップS3の判定でNO、すなわちドリップ情報はあったがカップ量情報がなかった場合には、ステップS8の方に移って上述のドリップ給湯モードのみにセットし、続くステップS9で計量給湯機能のない給湯スイッチ38のON操作による通常の給湯制御を実行する。
他方、上記ステップS2でドリップ情報が得られなかったNOの時には、ステップS10に移ってカップ量情報があったか否かを判定し、ドリップ情報はなかったが少なくともカップ量情報があった場合には、ステップS11に進んで、そのコーヒーカップ容量に応じて給湯量をセットし、ステップS12で流量センサ136の出力を利用した計量給湯制御を実行する。
そして、その後、ステップS7で流量センサ136の計測値から見て設定給湯量に達したと判定されると同計量給湯制御を終了する。
なお、以上の場合において、必要に応じて上記電子タグ50Aの湯温情報から注出する湯の湯温の調節を行うことも可能である。その場合には、湯の出の際に速やかに湯温調節を行う方法として、例えば熱湯の貯留槽(保温槽)と水の貯留槽(給水槽)とそれらを混合する混合槽(温度調節槽)とを設け、必要とする湯温に応じて熱湯に混合する水の量を調節する構成が採用される。
また、以上の場合、電子タグ50Aは、当該用途物であるドリップコーヒーの製品番号確認用の識別タグを兼ねている。
このような構成によれば、必要な湯温、吐出条件等入力のために別途専用の電子タグを設ける必要がなくなり、低コストになる。
また、タグ情報送受信制御ユニット60の方も、その入出力メモリ機能および送信機能を利用し、同様に自己の製品番号確認用の識別タグを兼用させることができる。
(最良の実施の形態7)
さらに図19は、電気機器として電気加熱調理器のひとつである電気ポットを採用し、同電気ポットにチャイルドロック機能を設けるようにした本願発明の最良の実施の形態7の構成を示している。
この実施の形態では、図19に示す当該電気ポット本体120が対象物である幼児Bにとって危険性のある電気機器であると考え、電気ポット本体120から見た対象物である幼児Bの衣類(衣類のそで)に対して上述のものと同様の電子タグ50を取り付けて、対象物である幼児Bが電気ポット本体120に近付くと自動的にチャイルドロックが掛かるようにしたことを特徴としている。
このような構成によれば、上記幼児Bの衣類に付けられる電子タグ50に幼児であることを示す情報を記憶させて置き、幼児Bが電気ポット本体120に近付いた時に同電子タグ50の情報を読み込んで、操作部121を操作しようとしているのが幼児Bであると判定し、操作できないようにチャイルドロックを掛ける。
したがって、電気ポットの安全性が向上する。
(変形例)
もちろん、これと同様の構成は、上記のような電気ポットだけではなく、例えば電気炊飯器、電気調理鍋、ホットプレート、扇風機など、子供(幼児)が操作するのを避けたい各種の電気機器に適用することができる。
(最良の実施の形態8)
以上の各実施の形態のように、対象物からの電子タグ情報に対応して自動的に作動する制御モードを設けると有効な電気機器として、また食器洗い機がある。
食器洗い機の場合、バスケット中に常に満杯の状態で食器等がセットされているとは限らない。それにも拘わらず、常に多量の湯と多量の洗剤とを使用して洗浄するのは、経済的でない。
そこで、各食器等の各々に上述のような電子タグを設けて置き、洗浄バスケット内の食器容量を判定し、その判定容量に対応した給湯量および洗剤量で洗浄するようにする。
(最良の実施の形態9)
上記実施の形態8の食器洗い機は、電気ポット機能(湯沸し機能)を有しており、例えば60℃程度の湯を使って食器等を洗浄するようになっている。
したがって、スタートスイッチをONしても直ぐに洗浄できる訳ではない。
一方、電気炊飯器の場合、炊き上がってから数時間後には食事が終わり、洗浄を必要とする食器が生じると考えられる。
そこで、電気炊飯器側に上述のような電子タグを設けて、炊飯終了時刻を時計機能を持ったマイコン制御ユニット側からメモリして置く。そして、食器洗い機側に上述のものと同様のタグ情報送受信制御ユニットを設けて、同電子タグからの炊き上げ完了時刻を読み出し食事の終了が予測される時刻の30分前位から湯沸しを行って置く。
このようにすると、食事終了後の後片付けにタイミングを合わせて食器の洗浄を行うことができるので、非常に便利になる。
もちろん、以上の機能は、選択スイッチを設けて、使用/非使用の選択を可能とする。
(最良の実施の形態10)
以上の各実施の形態のように、対象物からの電子タグ情報に対応して自動的に作動する制御モードを持たせると有効な電気機器として、また空気清浄機や除湿機がある。
このような環境快適製品の場合、フィルターが使用されている。
このフィルターは、機種によって異なり、また色々な種類のものがある。したがって、a)設置時の適合関係の判断が必要であるとともに、b)正逆方向、c)適正な交換時期の判定(リセット/セット)も必要である。
そこで、例えば図20に示すようにフィルター170の側面の取付方向面側にアンテナを向けて電子タグ50を設ける一方、空気清浄機又は加湿器本体171側の対向する位置にタグ情報送受信制御ユニット60を設けて、同電子タグ50からのタグ情報を受信させる。
このようにすると、フィルター170が正しい位置に正しい方向で取り付けられた時には、電子タグ50とタグ情報送受信制御ユニット60のアンテナ同士が適正に(相互誘導可能に)対応して、タグ情報の送受信が可能になるが、他方取付位置が正しくないか、取付方向が逆の場合には、タグ情報の送受信ができない。
したがって、これをエラーとして音声等で報知すれば、ユーザーは取付け状態を適正に修正することができる。
また、この場合、フィルター交換時積算表示用のタイマーを、上記電子タグ50とタグ情報送受信制御ユニット60の送受信関係のOFF、ONで正確にリセット、セットするようにすることができる。
(最良の実施の形態11)
以上の各実施の形態のように、対象物からの電子タグ情報に対応して自動的に作動する制御モードを持たせると有効な電気機器として、また加湿器や酸素発生器がある。
このような加湿器や酸素発生器の場合、アロマオイル(エッセンシャルオイル)を付加できるようになったものがある。アロマオイルには、様々な効果、効能があるが、ユーザーにとって、その使い分けは結構難しい。
そこで、各種のアロマオイル容器に各々電子タグを設け、その情報に基いて、例えばA:風邪やのどの痛み、花粉症に効果のあるオイル(マーカリ、ティートゥリーなど)は強運転を数時間行った後、弱又は自動運転で持続的に運転させる。またB:リフレッシュ効果のあるもの(ペパーミントなど)は、短時間で強運転(1時間〜30分程度)を行う。さらにC:リラックス効果のあるもの(レモン、オレンジ、カモミールなど)は弱運転を長時間で、いずれもアロマモードで自動的に行う。
これらは、もちろんアロマスティックにも転用することができる。
(最良の実施の形態12)
以上の各実施の形態のように、対象物からの電子タグ情報に対応して自動的に作動する制御モードを持たせると有効な電気機器として、また除湿器がある。
そして、最近では除湿器の衣類乾燥機能が注目されている。そこで、その機能を衣類の品質に応じて、より効率良く乾燥させるのに、電子タグ情報を活用する。
すなわち、該構成では、衣類側に電子タグ、除湿器側にタグ情報送受信制御ユニットを設ける。
(a) 材質による吸水性
綿・麻・絹・羊毛などの天然繊維やレーヨン・キュプラなどの再生繊維の吸水性は高く、ナイロン・アクリル・ポリエステルといった化繊の吸水性は低い。
したがって、洗濯終了後の含水率は、天然繊維・再生繊維の方が化繊よりも高く、乾燥するのにも時間がかかる。そこで、電子タグからの洗濯物の材質を読み取り、乾燥時間を自動調節する。
判定は、天然繊維・再生繊維あるいは化繊とする。また、混紡は天然繊維同士あるいは天然繊維と化繊の混紡・・・・天然繊維、化繊同士の混紡・・・・化繊に分類する。
乾燥時間は乾燥させる全ての洗濯物における、天然繊維・再生繊維製品、化繊製品それぞれが占める割合によって決定する。
以上により、全ての洗濯物が天然繊維・再生繊維の場合は最大時間、全ての洗濯物がが化繊の場合は最小時間を与えるファクターとする。ファクターは、洗濯物1枚ずつについて電子タグの情報を読み取り、決定する。
材質ファクターの計算は、電子タグの読み取り総数を母数として、天然繊維・再生繊維の数で割っていき、その商(=天然繊維の割合)をファクターとする。
つまり、電子タグを通過した洗濯物数をN、天然繊維・再生繊維の数をxとすると、ファクターは、M=x/Nで表す。
(b) 衣服のサイズ
またサイズによっても衣類の乾燥速度は変化する。大きいサイズほど乾燥に時間を要する。そこで、電子タグより衣類のサイズの情報を読み取り乾燥時間を決定する。
サイズ分けは、乳児・子供・婦人・紳士で個別に設定すると繁雑になるので、「乳児・子供」、「婦人・紳士」と大きく分ける(サイズはJISに規定されている)。
サイズファクターの計算は、電子タグ読み取り総数を母数として、「婦人・紳士」服の数で割っていき、その商(=「婦人・紳士」服の割合)をファクターとする。
つまり、電子タグを通過した洗濯物数をN、「婦人・紳士」服の数をyとすると、ファクターは、S=y/Nで表わされる。
(c) 乾燥時間の決定
洗濯物の乾燥時間は、上記(a),(b)の兼ね合いによって決定する。
例えば、10枚の衣服を乾燥させる場合、紳士服(あるいは婦人服)の木綿製の衣服が10枚なら最大時間、10枚とも化繊の子供服なら最小時間となる。
最大時間は、洗濯物の合計の枚数で決定する。
乾燥時間は、除湿器本体に湿度センサー等が付属していれば、そのデータと適宜調整していくことになるが、安価な機種になれば、付属していないこともあるので、ファクターによる情報のみで決定する。
判定は、MとSの積で行う。
(最良の実施の形態13)
以上の各実施の形態のように、対象物からの電子タグ情報に対応して自動的に作動する制御モードを持たせると有効な電気機器として、また電気アイロンがある。
この場合も、対象物である衣類側に最適なアイロン掛け温度を示す電子タグを設ける。そして、一方アイロン側に同電子タグからの最適温度情報を読み取ってマイコン制御ユニットに送るタグ情報送受信制御ユニットを設け、マイコン制御ユニットでアイロンの温度を最適温度に自動制御する。
このようにすると、衣類に応じた温度調節操作の必要がなく、衣類の傷みを防止することができる。
(最良の実施の形態14)
以上の各実施の形態のように、対象物からの電子タグ情報に対応して自動的に作動する制御モードを持たせると有効な電気機器として、また電気フライヤーがある。
この電気フライヤーは、一般に160℃〜200℃程度の範囲の油温調節機能を備えている。
ところで、冷凍食品等フライを上げる調理の素材は、素材毎に最適な調理温度が異なる。
そこで、冷凍食品のパッケージ側に最適な調理温度を記憶させた電子タグを設ける。一方、電気フライヤー側に、そのタグ情報の読み取り装置であるタグ情報送受信制御ユニットを設けて、最適調理温度を読み取る。
そして、それに対応して油温の調節を図る。
この結果、美味しいフライを上げることができる。
(最良の実施の形態15)
以上の各実施の形態のように、対象物からの電子タグ情報に対応して自動的に作動する制御モードを持たせると有効な電気機器として、またアルカリイオン整水器がある。
一般に米は収穫された地域の水で炊くのが一番おいしいと言われている。しかし、全国各地の水はそれぞれpHが異なっており、家庭にあるアルカリイオン整水器では、調整できるpHは限られている。
そこで、全国各地の未収穫地域の水のpHデータを、上述のようなICチップよりなる電子タグに登録してアルカリイオン整水器に搭載する。その結果、市販の米袋についている電子タグ情報をアルカリイオン整水器側で読み込むことにより、その銘柄米の穫れた水と同じpHの水を生成することができるようになる。
(最良の実施の形態16)
以上の各実施の形態のように、対象物からの電子タグ情報に対応して自動的に作動する制御モードを持たせると有効な電気機器として、また精米機がある。
この精米機の場合、米の銘柄(品種)や産地、収穫時期、精米時期によって、最適な精米度が異なってくる。
そこで、当該米の袋に、それら精米度を決定するパラメータを記憶させた電子タグを設け、精米機側に設けたタグ情報送受信制御ユニットで読み出して、精米機の回転数、回転時間を最適な値に制御する。
この結果、美味しく炊ける最適な精米度を実現することができる。
(最良の実施の形態17)
以上の各実施の形態のように、対象物からの電子タグ情報に対応して自動的に作動する制御モードを持たせると有効な電気機器として、またレンジ台収納庫がある。
このようなレンジ台収納庫は、一般に電源配線を有している。そこで、これに収納されている各種の物に、その種類を示す情報を記憶させた電子タグを付ける一方、レンジ台収納庫側にタグ情報読取手段と表示部を設けて、収納されている物を表示する。
この結果、収納物が一覧できるようになり、非常に便利になる。
(最良の実施の形態18)
以上の各実施の形態のように、対象物からの電子タグ情報に対応して自動的に作動する制御モードを持たせると有効な電気機器として、また電気ポットがある。
電気ポットでは、中栓の付け間違いやオーバーフローがあると、危険である
そこで、中栓の注ぎ口と反対側位置に当該中栓が装着可能なポット本体情報(機種情報)を記憶させた電子タグを設ける一方、電気ポット本体側にタグ情報送受信制御ユニットを設けて、適合関係を判定させる。
このような構成によると、中栓の付け間違いを防ぐことができる。
(最良の実施の形態19)
以上の各実施の形態のように、対象物からの電子タグ情報に対応して自動的に作動する制御モードを持たせると有効な電気機器として、また業務用の魔法瓶や給食容器がある。
食堂や給食センターなどで使用されている魔法瓶や給食容器に保温・保冷されている食品類は、供給された時間や保温・保冷されている時間を管理することが衛生上重要である。そこで、魔法瓶や給食容器に上記同様の電子タグを組み込んで、内容物を入れた時間を記憶させる。そして、この電子タグ情報を、タグ情報送受信制御ユニット(リーダー)で読み取り、規定時間を超えた食品を廃棄するなどの管理を行う。
つまり、先ず食品を入れた時間を電子タグに記憶させる。そして、タグ情報送受信制御ユニット(リーダー)で、記録時間をチェックする。その結果、規定時間を超えた場合は廃棄する。これにより、確実な衛生管理が可能となる。
(最良の実施の形態20)
以上の各実施の形態のように、対象物からの電子タグ情報に対応して自動的に作動する制御モードを持たせると有効な電気機器として、また業務用のエアーポット、ハンディポットなどの携帯型、ハンドフリー型の電気ポットがある。
業務用の場合、コーヒーやお茶などの異なる飲み物を複数の魔法瓶に供給する。この時、間違って供給することを防ぐために電子タグを使用する。魔法瓶本体の電子タグに内容物のデータを記憶させる。コーヒーサーバー等に組み込まれたタグ情報読取手段によりサーバーに魔法瓶をセットするとサーバーが電子タグにより内容部を判別して供給する。
この結果、間違った供給を防止することができる。