〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1、図2、および図12に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
本実施の形態のカラー画像形成装置は、中間転写ベルトの一方側の面にカラー用の複数の色の画像形成ステーション(トナー像形成手段)をタンデム配置(並設)し、この中間転写ベルトの他方側の面であり、かつ全ての画像形成ステーションの最下流となる位置に、黒色(Bk)の画像形成ステーションを形成するというセミタンデム方式となっている。これにより、(1)装置全体の大型化を抑えた上で、(2)画像形成頻度の高いBkの画像形成ステーションを大型化するとともに、(3)画像形成頻度の高いモノクロ(白黒)の画像形成のファーストコピー速度を速くすることができる。
さらに、本実施の形態のカラー画像装置は、上述した複数の画像形成ステーションをタンデム配置している構成において、静電潜像のトナーによる現像または転写において、現像プロセスおよび/または転写プロセスを制御している。これにより、(4)逆転写現象の発生を抑制して色再現性を向上したカラー画像を効率的に形成することができる。
以下に、本実施の形態にかかる画像形成装置について説明する。まず、図1に示すように、本実施の形態にかかる画像形成装置は、少なくとも装置本体1および原稿読み取り装置19(画像読取手段、スキャナーユニット)を備えてなっており、装置本体1には給紙手段が設けられている。給紙手段は、少なくとも給紙カセット(記録媒体収容手段)2と給紙ローラ(給送ローラ)3とを備えてなっており、装置本体1の最下方に一体化されて配設されている。
画像読み取り装置19は、原稿台19aと、原稿走査体19bと、光学レンズ19cと、CCDラインセンサ19dとを備えている。原稿台19aは、その表面に原稿を載置するためのものであり、この原稿台19aの下方に、原稿走査体19bが移動可能に設けられている。
原稿走査体19bは、原稿台19aの下面に対して一定の距離を保ちながら、所定の走査速度で平行に往復移動するようになっており、原稿台19a上の原稿表面に光を照射して、原稿からの反射光像を光学レンズ19cに向かって反射する。なお、図1の原稿読取装置19における一点差線が反射光像の反射経路である。
光学レンズ19cは、原稿走査体19bにより反射された原稿からの反射光像を縮小してCCDラインセンサ19d上に結像させる。CCDラインセンサ19dは、結像された反射光像を順次光電変換して電気信号として出力する。CCDラインセンサ19dにより電気信号に変換された原稿の画像データは、図示しない画像処理部に出力されて所定の画像処理が施され、後述する画像形成に利用される。
なお、図示しないが、本実施の形態の画像形成装置においては、たとえばパーソナルコンピュータのような外部接続された端末装置から、画像データが入力されるようにもなっている。この画像データも、適宜、上記画像処理部に出力されて画像形成に利用される。
給紙カセット2には、記録媒体である記録紙が収納されている。また給紙ローラ3は、該給紙カセット2から記録紙を1枚ずつ給紙するものであり、後述する記録紙搬送経路9と給紙カセット2とをつなぐ位置に配設されている。給紙カセット2は、装置本体1から着脱可能となっている。
装置本体1には、画像形成ステーション(トナー像形成手段)Pa、Pb、Pc、およびPdと、中間転写ベルト(中間転写媒体)4と、転写ローラ(転写手段、または転写極)6と、クリーニング装置(クリーニング手段)7と、定着装置(定着手段)8と、記録紙搬送経路(搬送経路)9と、排紙トレイ(排出部)10と、排紙経路11と、排紙ローラ12と、再搬送経路13と、切り換えゲート14とが備えられている。
なお、本実施の形態においては、上記画像形成ステーションPa〜Pdと、上記中間転写ベルト4とを含む構成が、画像形成部(画像形成手段)20となっている。
中間転写ベルト4は、画像形成ステーションPa〜Pdによって形成される各色のトナー像を一時的に担持して、各色が全て重ね合わされたカラー画像を形成するためのものであり、2個の張架ローラ5a・5bにより、給紙カセット2の上方に、水平方向に張架されている。張架ローラ5aは、転写ローラ6に対向し、かつ記録紙搬送経路9につながるように配置されており、張架ローラ5bは、画像形成ステーションPa〜Pdなどを介して該張架ローラ5aと対向する位置に配置されている。張架ローラ5a・5bの少なくとも一方は、中間転写ベルト4を回転駆動させるように自己回転する。
画像形成ステーションPa〜Pdは、トナー像を形成するトナー像形成手段であり、後述するように、各画像形成ステーションPa〜Pdそれぞれで形成するトナー像の色が異なっている。このうち、画像形成ステーションPa、Pb、およびPcは、上記中間転写ベルト4の回転方向の上流側の面となる一方面側(図1における上面側)に配設されている。また、画像形成ステーションPdは、該中間転写ベルト4の回転方向の下流側の面となる他方面側(図1における下面側)、すなわち上記給紙カセット2と該中間転写ベルト4との間となる位置に配設されている。
上記転写ローラ6は、画像形成部20で形成されたトナー像、すなわち中間転写ベルト4上に形成されたトナー像を記録紙搬送経路9により搬送されてきた記録紙に転写する。この転写ローラ6は、上記画像形成ステーションPaと画像形成ステーションPdとの間となる位置にある張架ローラ5aと対向する位置に配設される。なお、転写ローラ6と張架ローラ5aとが対向する位置を転写部位(または転写部分)とする。
クリーニング装置7は、該中間転写ベルト4の残留トナーをクリーニングするためのものであり、たとえば本実施の形態では、中間転写ベルト4表面に当接して、該表面上の残留トナーを掻き落とすクリーニングブレードを備えてなっている。該クリーニング装置7は、本実施の形態では、上記張架ローラ5aと画像形成ステーションPaとの間に配設される。
このように本実施の形態では、略水平方向となるように配設される中間転写ベルト4の周囲に、該中間転写ベルト4の回転方向の上流側から3つの画像形成ステーションPa、Pb、およびPcがこの順で配設され、張架ローラ5b側の端部を介して、画像形成ステーションPd、転写ローラ6(張架ローラ5aに対向)、クリーニング装置7がこの順で配設されている。
定着装置8は、記録紙搬送経路9から搬送され、転写ローラ6にて記録紙に転写されたトナー像を該記録紙に定着する。上記記録紙搬送経路9は、給紙カセット2から転写ローラ6を介して定着装置8へ記録紙を搬送する。本実施の形態では、給紙カセット2が装置本体1の下方に配設され、その上に画像形成部20および転写ローラ6が配設されているため、上記記録紙搬送経路9は、装置本体1内において、下方から上方に向かって略垂直方向に配設されている。そのため、定着装置8は、転写ローラ6の上方、すなわち記録紙搬送経路9の最上方に配置される。
排紙トレイ10は、装置本体1の最上方(装置本体1の上面)であり、原稿読み取り装置19の下方となる位置に配設されている。この排紙トレイ10には、定着装置8の上方に排紙経路11と排紙ローラ12とが配設されている。定着装置8でトナー像が定着された後の記録紙は、排紙経路11を介して排紙ローラ12によって排紙トレイ10に排紙される。
装置本体1の最上方に配設されるこの排紙トレイ10は、図1に示すように、同じように二次元的な広がりを有する給紙カセット2や、水平方向に張架される中間転写ベルト4とほぼ平行な位置関係になる。つまり、略平板状となるこれら3つの部材が全て重ね合わせられた構成となるので、装置本体1の大型化をより一層抑制することができる。
上記排紙ローラ12は正逆転可能となっており、該排紙ローラ12の上流側には、上記排紙経路11だけでなく再搬送経路13がつながっている。排紙経路11と再搬送経路13との接続点、換言すれば、これら2つの経路の分岐点には、切り換えゲート14が配置されている。
定着装置8を通過した後の記録紙、すなわち一方の面に画像形成された記録紙は、上記排紙ローラ12の逆転と切り換えゲート14の切り換えによって、上記再搬送経路13に導かれることが可能になっている。これによって、他方の面側が中間転写ベルト4に対面するように、再搬送経路13により再度転写ローラ6まで再搬送されて、ここで再びトナー像が転写される。
このように本実施の形態では、上記記録紙搬送経路9、排紙経路11、および再搬送経路13は装置本体1内で略垂直方向となるように形成されている。
次に、上記画像形成ステーションPa〜Pdについて説明する。上記画像形成ステーションPaはイエロー(以下、Yと略す)のトナー像を形成するものであり、上記画像形成ステーションPbはマゼンタ(以下、Mと略す)のトナー像を形成するものであり、上記画像形成ステーションPcはシアン(以下、Cと略す)のトナー像を形成するものであり、上記画像形成ステーションPdはブラック(以下、Bkと略す)のトナー像を形成するものである。
このように、上記Y・M・Cのそれぞれの色のトナー像を形成する画像形成ステーションPa〜Pcは、有彩色のトナー像を形成する有彩色トナー像形成手段であり、Bkのトナー像を形成する画像形成ステーションPdは黒色トナー像形成手段となる。また、基本的に、本発明にかかる画像形成装置においては、この黒色トナー像形成手段としては、画像形成ステーションPdが1つのみ設けられるものとする。
上記画像形成ステーションPa、Pb、またはPcは、図2(a)に示すように、ほぼ同一の構成を有している。具体的には、画像形成ステーションPa、Pb、またはPcは、感光体ドラム(感光体または像担持体)15a、15b、または15cと、LSU(レーザースキャンユニット)16a、16b、または16cと、現像装置(現像手段)17a、17b、または17cと、帯電器31a、31b、または31cと、クリーニング装置32a、32b、または32cと、中間転写ローラ33a、33b、または33cとを備えている。勿論その他の構成を備えていてもよい。また、図2(a)では、中間転写ベルト4については、説明の便宜上、省略している。
感光体ドラム15a、15b、または15cは、露光によってその表面に静電潜像を担持する。LSU16a、16b、または16cは、感光体ドラム15a、15b、または15cを露光してその表面(ドラム表面)に静電潜像を形成する露光手段である。現像装置17a、17b、または17cは、ドラム表面上の静電潜像をトナー像に現像する。
上記現像装置17a、17b、または17cは1成分系現像剤(トナー)を用いており、その上部には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、またはシアン(C)のそれぞれの色の現像剤(カラートナー)をそれぞれ現像装置17a、17b、または17cに供給する現像槽18a、18b、または18cを備えている。さらに、現像装置17a、17b、または17cのケーシング内には、現像剤を感光体ドラム15a、15b、または15cに供給するための現像ローラ34a、34b、または34cが、該感光体ドラム15a、15b、または15cのドラム表面に対向するように配設されている。
帯電器31a、31b、または31cは、露光前の感光体ドラム15a、15b、または15c表面を所定の電位に帯電する。クリーニング装置32a、32b、または32cは、ドラム表面のトナー像が中間転写ベルト4上に転写された後に、ドラム表面の残留トナーを除去(クリーニング)する。
中間転写ローラ33a、33b、または33cは、感光体ドラム15a、15b、または15cのドラム表面に形成されたトナー像を中間転写ベルト4上に転写する。ここで、本発明においては、上記中間転写ローラ33a〜33c、および後述する画像形成ステーションPdに備えられる中間転写ローラ33dは、トナー像を中間転写ベルト4に転写するものであって、上述した転写ローラ6とは異なる構成である。そこで、これら各転写手段を明確に区別するために、本実施の形態では、上記中間転写ローラ33a〜33dを「中間転写手段」と称し、中間転写ベルト4上のトナー像を最終的に記録紙上に転写する上記転写ローラ6を「最終転写手段」と称する。
上記画像形成ステーションPa、Pb、またはPcでは、図1および図2(a)に示すように、感光体ドラム15a、15b、または15cの周囲に、該感光体ドラム15a、15b、または15cの回転方向に沿って、帯電器31a、31b、または31c、LSU16a、16b、または16c、現像装置17a、17b、または17c(現像槽18a、18b、または18cを含む)、中間転写ベルト4(図2(a)には図示せず)、クリーニング装置32a、32b、または32cがこの順で配置されている。
また、LSU16a、16b、または16c、現像装置17a、17b、または17c、および感光体ドラム15a、15b、または15cの配置関係を見ると、LSU16a、16b、または16cが最上方の位置となり、感光体ドラム15a、15b、または15cが最下方の位置となり、現像装置17a、17b、または17cは、LSU16a、16b、または16cおよび感光体ドラム15a、15b、または15cの中間となる位置で、かつ上記のように感光体ドラム15a、15b、または15cの周囲でドラム表面に対向するように配置されている。
つまり、画像形成ステーションPa、Pb、またはPcは、それぞれがタンデム配置(並設)できるように、中間転写ベルト4との対向位置からLSU16a、16b、または16cの配置位置に向かって(装置本体1における垂直方向(高さ方向)に向かって)一次元的な方向性を持った略縦長形状を有している。
上記画像形成ステーションPdは、図2(b)に示すように、上記画像形成ステーションPa、Pb、またはPcの感光体ドラム15dよりも径の大きい感光体ドラム15dと、この感光体ドラム15dを露光しドラム表面に静電潜像を形成する露光手段であるLSU16dと、感光体ドラム15dの静電潜像をトナー像に現像する現像装置17dと、感光体ドラム15dの表面を帯電する帯電器31dと、現像後のドラム表面の残留トナーを除去するクリーニング装置32dと、感光体ドラム15dのドラム表面に形成されたトナー像を中間転写ベルト4上に転写する中間転写ローラ33dとを備えている。
上記現像装置17dは2成分系現像剤、すなわちトナーおよびキャリアからなる現像剤を用いるものである。そのため、その上部には、ブラック(Bk)の現像剤(トナー)を現像装置17dに供給する現像槽18dが備えられている。さらに、現像装置17dのケーシング内には、現像剤を感光体ドラム15dに供給するための現像ローラ34dが、感光体ドラム15dのドラム表面に対向するように配置されている。
上記画像形成ステーションPdでは、図1および図2(b)に示すように、感光体ドラム15dの周囲に、該感光体ドラム15dの回転方向に沿って、帯電器31d、LSU16d、現像装置17d、中間転写ベルト4(図2(b)には図示せず)、クリーニング装置32dがこの順で配置されている点は、上記画像形成ステーションPa、Pb、またはPcと同様である。
しかしながら、画像形成ステーションPdにおいては、図1に示すように、上記画像形成ステーションPa、Pb、またはPcとは異なり、二次元的な広がりを有する略平板形状となっている。具体的には、感光体ドラム15dが給紙ローラ3側に配設されており、この感光体ドラム15dの横で中間転写ベルト4に沿った状態で現像装置17dが配設され、さらに、この現像装置17dの側方に現像槽18dが配設されることによって、画像形成ステーションPdは偏平な形状に形成されている。
つまり、画像形成ステーションPdにおいては、感光体ドラム15d、現像装置17d、および現像槽18dがこの順で一方向に並んで配置された状態で略平板形状となっているとともに、現像槽18dそのものが図1または図2(b)における手前から奥側および左右の水平方向に大きく平板状に形成されている。
これによって、Bkの画像形成ステーションPdが中間転写ベルト4の張架方向により一層対応した形状となる。それゆえ、中間転写ベルト4と給紙カセット2との間に生じる略平板状のスペースにほぼ対応するように、画像形成ステーションPdをほぼ隙間なく収めることが可能となり、装置本体内における空間をより一層有効利用することができる。しかも、現像槽18dを平板状な広がりを有するように形成することで、現像剤の収容容量を大きくして、画像形成頻度の高いモノクロ画像形成に対応させた量のトナーを収容することができる。
本発明における画像形成部20では、このように略縦長形状の画像形成ステーションPa、Pb、およびPcをタンデム配置するとともに、略平板形状の画像形成ステーションPdを、上記タンデム配置した各画像形成ステーションPa、Pb、およびPcに対向配置し、さらにこれらの間に中間転写ベルト4を張架している。特に、二次元的な広がりを有する画像形成ステーションPdは、その二次元的な広がり方向が中間転写ベルト4の張架方向に沿うように配設される。
これによって、4つの画像形成ステーションを並設させずに済むので、(1)装置全体の大型化が抑制される。また、(2)画像形成頻度の高いBkの画像形成ステーションPdを、実質的に単独配置することになるため、画像形成ステーションPdを大型化して、多量のモノクロ(白黒)画像の形成に対応することができるとともに、後述するように、(3)画像形成頻度の高いモノクロ(白黒)の画像形成のファーストコピー速度や、さらにはモノクロ画像形成速度そのものを速くすることができる。
さらに、本発明では、後述するが、(4)逆転写現象の発生を回避するために、上記各画像形成ステーションPa〜Pdにおいて、中間転写ローラ33a〜33dにおける転写電位、上記現像ローラ34a〜34dにおける現像電位、現像槽18a〜18dに収容されているトナーの帯電量および粒径は、それぞれ所定の割合で変化するように設定されている。
次に、本実施の形態にかかる上述したセミタンデム方式のカラー画像形成装置における画像形成動作について説明する。本発明では、カラー画像の形成を迅速化できるのみならず、画像形成頻度の高いモノクロ(白黒)画像についてもより迅速化できるようになっているので、以下の説明においては、(I)カラー画像の形成と(II)モノクロ画像の形成とのそれぞれについて説明する。
(I)カラー画像の形成
まず、原稿読み取り装置19で読み取った原稿画像のデータを画像処理して得られる画像データか、外部接続された端末装置から入力される画像データを、各画像形成ステーションPa〜PdのLSU16a〜16dにそれぞれ出力する。この画像データは、Y・M・C・Bkのそれぞれの色に対応したものとなっているので、画像形成ステーションPaにはYに対応する画像データが、画像形成ステーションPbにはMに対応する画像データが、画像形成ステーションPcにはCに対応する画像データが、画像形成ステーションPdにはBkに対応する画像データがそれぞれ出力されることになる。
LSU16a〜16dでは、通常の画像形成プロセスにしたがって、感光体ドラム15a〜15dのドラム表面にそれぞれの色に対応した静電潜像を形成する。すなわち、LSU16a〜16dによって、Y・M・C・Bkの各色の画像データ(画像信号)に基づいて感光体ドラム15a〜15dのドラム表面に、Y・M・C・Bkの各色に対応する静電潜像が書き込まれる。
具体的には、帯電器31a〜31dによって一様な帯電が付与された感光体ドラム15a〜15dのドラム表面に対して、LSU16a〜16dから、各色に対応する画像データに基づくレーザービームが、ドラム表面上を走査するように照射される。ここで、レーザービームによる主走査と、感光体ドラム15a〜15dの回転による副走査とにより、ドラム表面上には、各色に対応する静電潜像がそれぞれ形成される。
上記各色に対応する静電潜像は、現像装置17a〜17dによって各色の現像剤(トナー)で現像され、感光体ドラム15a〜15d表面上に各色のトナー像が形成される。この各トナー像は、中間転写ベルト4上に重ね合わせられる。
具体的には、まず中間転写ベルト4の回転方向の最上流側に位置する画像形成ステーションPaにて、Yのトナー像が形成され、中間転写ベルト4の表面に転写される。次の、中間転写ベルト4の回転に伴って、画像形成ステーションPaに対向していた表面が、次の画像形成ステーションPbにまで移動する。そして、この画像形成ステーションPbにて、Mのトナー像が、先に転写されているYのトナー像の上に重ね合わせて転写される。同様に、画像形成ステーションPcではCのトナー像が、最下流の画像形成ステーションPdでは、Bkのトナー像が先に転写されているトナー像の上に順次重ね合わせて転写され、中間転写ベルト4上に、多色のトナー像、すなわちカラー画像が形成される。
上記カラー画像は、給紙カセット2から給紙ローラ3によって給紙され、記録紙搬送経路9を介して張架ローラ5aと転写ローラ6との間に搬送された記録紙上に、転写ローラ6によって転写される。
その後、カラー画像が転写された記録紙は定着装置8へ搬送され、該カラー画像が記録紙上に定着される。そして、排紙経路11を通り、排紙ローラ12によって排紙トレイ10へ排紙されて一連のカラー画像形成プロセスが終了する。
さらに、両面に画像形成する場合には、まず、排紙経路11を通って搬送される記録紙の後端を排紙ローラ12で挟持した状態で、該排紙ローラ12の回転を停止する。このときまで排紙ローラ12は、記録紙を排紙トレイ10に排紙する方向に正回転している。そして、切り換えゲート14を切り換え、排紙ローラ12を逆回転させて、記録紙を排紙トレイ10側から再搬送経路13側へ逆搬送する。
一方の面にカラー画像が定着された記録紙は、再搬送経路13を搬送されることによって表裏が反転された状態で、再度、記録紙搬送経路9を介して転写部位まで再搬送される。転写部位では、記録紙の他方の面に対して、転写ローラ6によりカラー画像が転写され、定着装置8によりカラー画像が定着されて排紙トレイ10に排紙される。これによって、両面への画像形成が完了する。
なお、転写部位から見て、中間転写ベルト4の回転方向の下流側で画像形成ステーションPaの上流側に設けられるクリーニング装置7によって、中間転写ベルト4上の残留トナーは除去される。これは後述するモノクロ画像の形成でも同じである。これによって、中間転写ベルト4が1回転した後では、その表面には残留トナーがない状態となり、連続して次の画像形成プロセスに移行することができる。
(II)モノクロ画像の形成
まず、原稿読み取り装置19で読み取った原稿画像のデータを画像処理して得られる画像データか、外部接続された端末装置から入力される画像データを、Bkの画像形成ステーションPdにおけるLSU16dに出力する。
LSU16dでは、通常の画像形成プロセスにしたがって、感光体ドラム15dのドラム表面にBkに対応した静電潜像を形成する。すなわち、LSU16dによってBkの画像データ(画像信号)に基づいて感光体ドラム15dのドラム表面にBkに対応する静電潜像が書き込まれる。具体的には、帯電器31dによって一様な帯電が付与された感光体ドラム15dのドラム表面に対して、LSU16dから、Bkに対応する画像データに基づくレーザービームが、ドラム表面上を走査するように照射される。ここで、レーザービームによる主走査と、感光体ドラム15dの回転による副走査とにより、ドラム表面上には、Bkに対応する静電潜像が形成される。
上記Bkに対応する静電潜像は、現像装置17dによってBkの現像剤(トナー)で現像され、感光体ドラム15d表面上にBkのトナー像が形成される。このBkのトナー像は、中間転写ベルト4上に転写される。
上記Bkのトナー像は、給紙カセット2から給紙ローラ3によって給紙され、記録紙搬送経路9を介して張架ローラ5aと転写ローラ6との間に搬送された記録紙上に、転写ローラ6によって転写され、モノクロ画像となる。
その後、モノクロ画像が転写された記録紙は定着装置8へ搬送され、該モノクロ画像が記録紙上に定着される。そして、排紙経路11を通り、排紙ローラ12によって排紙トレイ10へ排紙されて一連のモノクロ画像形成プロセスが終了する。
なお、記録紙の両面に対してモノクロ画像を形成する場合も、上記カラー画像形成動作と同様に、再搬送経路13を介して記録紙を転写部位に再搬送することによってなされる。
このように、本発明にかかるセミタンデム方式のカラー画像形成装置では、画像形成部20において、Bkの画像形成ステーションPdが、全ての画像形成ステーションPa〜Pdのうち、中間転写ベルト4の最下流側であり、かつ転写ローラ6の配設される転写部位に最も近い位置に配設されている。これによって、実質的に、Bkの画像形成ステーションPdを独立して設けることになるため、画像形成頻度の高いモノクロの画像形成時のファーストコピー速度を速くすることができる。
また、上記Bkの画像形成ステーションPdにおいては、給紙ローラ3の設けられていない側にBkの現像装置17dおよび現像槽18dを配設している。すなわち、通常、装置本体1の下方に配置され、二次元的な広がりを有する給紙カセット2と中間転写ベルト4との間に形成される略平板状のスペースにおいて、給紙カセット2の給紙用部材として設けられる給紙ローラ3といった二次元的な広がりから三次元方向に向かって突出するような部位がある場合に、感光体ドラム15dをこのような突出部位(給紙ローラ3)に近接するようにして、上記略平板状のスペースに画像形成ステーションPdを配設する。
これによって、比較的小さな容積である感光体ドラム15dを、突出部位のある側とする一方、より大きな容積を必要とする現像槽18dを突出部位とは反対側となる位置に配設することになる。そのため、上記略平板状のスペースを有効に利用して、装置全体の高さ方向の大きさを大型化することなく、画像形成頻度の高いBkの画像形成ステーションPdの現像槽18dの容量を大きくすることができる。
しかも、上記Bkの画像形成ステーションPdにおいては、感光体ドラム15dの径を他(Y、M、C)の画像形成ステーションPa、Pb、Pcの感光体ドラム15a、15b、15cの径よりも大きくしている。そのため、経時変化による感光膜の膜減りなどを抑制してライフサイクルを長くすることが可能となる。
したがって、感光体ドラム15dは、他の感光体ドラム15a〜15cよりも長期の使用が可能となる。つまり、感光体ドラム15dが使用不可能に達するまでの総画像形成枚数は他の感光体ドラム15a〜15cの総画像形成枚数よりも多くなる。それゆえ、画像形成頻度の高いものであっても、その交換時期を長く(交換回数を少なく)することが可能になり、使用勝手の向上を図ることができる。
さらに、上記Bkの画像形成ステーションPdのみが中間転写ベルト4と給紙カセット2との間に生じる略平板状のスペースに配設されている。それゆえ、この略平板状のスペースを有効に利用していることになる。この略平板状のスペースは、三次元的な広がり(装置本体1における高さ方向の大きさ)には欠けるものの、二次元的な広がり(水平方向の大きさ)は十分なものとなっている。
それゆえ、現像装置17dおよび現像槽18dを平板状に形成することで、現像装置17dおよび現像槽18dを大きくすることが可能になり、現像装置17dでは、Bkの現像剤として、トナーおよびキャリアを主成分として含む2成分系現像剤を使用することができる。その結果、そのライフサイクルを長くすることができるとともに、Bkの画像形成のスピードアップも図ることができる。
一方、Y、M、Cの画像形成ステーションPa、Pb、Pcにおける現像装置17a、17b、17cにはトナーを主成分として含む1成分系現像剤を使用している。これにより、画像形成ステーションPa、Pb、Pcを小型化することが可能になるので、装置本体1の水平方向の大きさが大きくならないようにすることができる。
また、上記Bkの画像形成ステーションPdは実質的に独立して設けられていることになるため、モノクロ画像形成時に、画像形成ステーションPdのプロセススピード(感光体ドラム15dの回転速度)を速くすることが可能である。そのため、より一層モノクロ画像形成時のファーストコピー速度を速くすることができるとともに、モノクロ画像形成スピードも速くすることができる。
さらに、高温となる定着装置8は、中間転写ベルト4の張架ローラ5aと対向して配置されている転写ローラ6の上方位置に配設されることになる。したがって、中間転写ベルト4と定着装置8との間隔を大きくすることが可能になる。それゆえ、定着装置8の熱の影響による中間転写ベルト4へのトナーの融着を防止することができるとともに、クリーニング装置7のブレードの熱による劣化も防止することができる。
なお、本実施の形態では、Y・M・Cの3色の有彩色とBkとの計4色からなるカラー画像を形成するものであったが、特にこれに限定されないことは言うまでもない。すなわち、本発明においては、中間転写ベルトにおける一方面に有彩色のトナー像を形成する画像形成ステーションがタンデム配置される一方、中間転写ベルトの他方面に、画像形成頻度の高いBkの画像形成ステーションが単独で配置されるようになっていればよい。
ただし、白色のトナーを用いてカラー画像を形成する構成もあるので、中間転写ベルトの一方面にタンデム配置される画像形成ステーションは、上記白色と有彩色とのトナー像を形成するもの、すなわち黒色以外のトナー像を形成するものであればよい。
ここで、従来公知のタンデム方式のカラー画像形成装置や、本発明にかかるセミタンデム方式のカラー画像形成装置も含めた、広い意味でのタンデム方式の構成、すなわち、画像形成部において、トナー像形成手段が、中間転写媒体か記録媒体などの転写媒体に対して複数のトナー像を順次重ね合わせて転写可能となるように、該転写媒体の搬送または移動方向に沿って複数並んで配置されている構成では、逆転写現象が非常に発生し易く、その結果、得られるカラー画像の画質が劣化してしまう。
この逆転写現象は、先に転写される感光体表面上のトナー像に、極性の弱いトナー(弱極性トナー)や逆極性のトナー(逆極性トナー)が含まれることに起因する。すなわち、図12に示すように、前段の画像形成ステーションにてトナー51よりなる先トナー像61が転写され、後段の画像形成ステーションで、先トナー像61に重ね合わせてトナー52よりなる後トナー像62が転写される際に、先トナー像61に対して転写電荷が付与されると、該先トナー像61に含まれる逆極性トナー51aにとっては、転写電荷は逆極性になるので、転写媒体(中間転写ベルト4)から感光体ドラム15側に静電引力が作用して、転写媒体上から感光体ドラム15表面へ逆極性トナー51aが逆戻りすることになる。
そこで、本発明においては、上記逆転写現象の発生を抑制するために、転写媒体の搬送または移動方向に沿ってトナー像形成手段が並列配置している場合に、該搬送または移動方向の上流側から下流側に向かって、感光体ドラム上に存在する逆極性トナーおよび/または弱極性トナーに対して、感光体ドラム側に作用する静電引力が小さくなるように、転写プロセスまたは現像プロセスを制御している。
つまり、先に転写媒体に転写されるトナー像を先トナー像とし、先トナー像の後に転写されるトナー像を後トナー像として、少なくとも先トナー像に逆極性トナーや弱極性トナーなどの帯電不良トナーが含まれている場合には、後トナー像の転写時に、該後トナー像の帯電性を低下させる制御を行う。
なお、ここで言う転写媒体とは、上記のように、中間転写媒体も記録媒体も双方とも含んでおり、トナー像形成手段からトナー像が転写される媒体のことを指す。また、以下の説明では、転写媒体の搬送または移動方向の上流または下流という表現を、単に、上流または下流と表現する。
また、本発明においては、上記転写時におけるトナー像の帯電性とは、トナー像を形成するトナーの帯電されやすさ、あるいは、転写プロセス、および転写プロセスに直接的に影響を与える現像プロセスの少なくとも一方の実施時点において、トナー像を形成するトナーに対して付与される電荷量として定義する。さらに上記帯電性の低下とは、トナーが帯電されにくいか、トナーに付与される電荷が減少するかを表すものとする。
具体的には、本発明では画像形成ステーション(トナー像形成手段)が並列配置している構成の画像形成装置において、トナー逆転写現象を抑制して色再現性に優れたカラー画像を効率的に得るために、少なくとも次の何れかの手法、特に好ましくは全ての手法が用いられる。
(手法1)並設されている複数の画像形成ステーションの転写手段に対してそれぞれ印加される転写電圧を、下流側にいくほど低くなるように設定する。この手法では、転写電圧を調節することによって、転写時に後トナー像を形成するトナーに対して付与される電荷量を減少させることになる。
この手法では、トナー像の転写電圧が下流側にいくほど低くなる。そのため、先トナー像に逆極性トナーや弱極性トナーが含まれていても、逆極性トナーや弱極性トナーと感光体との間に作用する静電引力も小さくなる。その結果、転写媒体上から感光体表面へのトナーの逆戻りが抑制され、下流側の画像形成ステーションにおいて逆転写現象が発生し難くなる。
具体的には、本発明では、下流側にいくほど一定の割合で転写電圧が低く設定されることが好ましい。この一定の割合としては、トナーの転写を妨げない限り特に限定されるものではないが、一般には、トナーを十分効率的に転写させる転写電圧としては、1kV以上2.5kV以下の範囲内であることが好ましい。
そこで、本発明においては、下流側にいくに伴い、転写電圧を|200|V以上|300V|以下の範囲内毎に低下させることが好ましい。また、低下割合をパーセンテージで表した場合、最上流の転写装置における転写電圧を基準とすれば、転写電圧は10%以上20%以下の範囲内の割合毎に低下させることが好ましい。具体例を1つ挙げると、最上流の転写装置の転写電圧を−2000V(−2.0kV)とした場合、転写電圧は順に、−1700V(−1.7kV)、−1400V(1.4kV)、−1100V(−1.1kV)と|300|V毎に低下させる。この場合の低下割合は最上流の転写装置の転写電圧−2000Vを基準として約15%の割合である。
なお、転写電圧の低下を具体的な数値として表す場合とパーセンテージで低下割合を表す場合とは、それぞれ、転写電圧を下流側にいくほど低くなるように設定するための個別の手法であり、上記具体的な数値とパーセンテージから換算した転写電圧の低下の数値とが合致しない場合もありうる。すなわち、本発明においおては、タンデム配置されている複数の画像形成ステーションにおいて、最上流の転写装置における転写電圧と、最下流の転写装置における転写電圧とが、1kV以上2.5kV以下の範囲内の範囲内に入っていれば、その転写電圧の低下のさせ方(手法)は特に限定されるものではない。この点は、後述するトナー帯電量や現像電位の低下、あるいはトナー粒径の増大についても同様である。
ここで、本実施の形態における転写手段を例に挙げて、転写プロセスを説明すると、たとえば図2(a)・(b)における中間転写ローラ33a〜33dは、一般に、導電ゴムなどを用いた導電ローラか、該導電ゴム上にさらに誘電体層を設けてなる誘電ローラとなっている。そして、トナー像を中間転写ベルト4などの転写媒体に転写する最には、上記構成の中間転写ローラ33a〜33dを介して中間転写ベルト4に対して直接に電圧を印加し、これにより発生した電界でトナー像を転写するようになっている。
そのため、上記転写電圧を下流側にいくほど一定の割合で低く設定するための具体的な手法としては、単純に転写手段に印加される電圧を個別に制御する手法や、転写手段の材質やコート剤の組成を変更する手法、つまり転写媒体に直接電圧を印加するための上記導電ゴムや誘電体層の材質や組成を適宜選択する手法が挙げられる。
なお、上記何れの手法においても、上述した従来公知の範囲内であり、かつ、一定の割合で転写電圧を変化させることが可能であれば、その具体的な数値や材質・組成については特に限定されるものではない。
また、ここで言う「転写手段」とは、タンデム状態で配設(並設)された複数のトナー像形成手段によって、転写媒体に対して順次トナー像が重ね合わせられる構成において用いられる転写手段である。したがって、本実施の形態では、上記中間転写ローラ(中間転写手段)33a〜33dが、上記「転写手段」に相当し、最終転写手段である転写ローラ6は、上記「転写手段」に相当しない。
さらに、本発明においては、Bkの画像形成ステーションPdは、実質的に独立して形成されているものの、これは配設上の位置によるものであって、全体としてみれば中間転写ベルト4を介して、他の有彩色の画像形成ステーションPa〜Pcと連続するように配設されていることになる。つまり、本発明では、Bkの画像形成ステーションPdが、状況によっては独立して使用可能であり、状況によっては、他の画像形成ステーションPa〜Pcとタンデム配置に近い状態で使用できるように配置されてなるものである。それゆえ、Bkの画像形成ステーションPdの中間転写ローラ33dも上記「転写手段」に相当する。
(手法2)並設されている複数の画像形成ステーションの現像装置に収容されている各色の現像剤の帯電量を、下流側にいくほど低下するように設定する。この手法では、トナー像を形成するトナーの帯電されやすさそのものを低下させることになる。
この手法では、現像剤すなわちトナーの帯電量が下流側にいくほど低くなる。そのため、先トナー像に逆極性トナーや弱極性トナーが含まれていても、後トナー像の転写に際して印加する転写電圧を小さくすることが可能になることから、逆極性トナーや弱極性トナーと感光体との間に作用する静電引力も小さくなる。その結果、転写媒体上から感光体表面へのトナーの逆戻りが抑制され、下流側の画像形成ステーションにおいて逆転写現象が発生し難くなる。
具体的には、本発明では、下流側にいくほど一定の割合でトナーの帯電量が低下するように設定されることが好ましい。この一定の割合としては、トナーによる静電潜像の現像およびトナー像の転写を可能を妨げない限り特に限定されるものではないが、一般には、トナーの帯電量の好ましい範囲が、|5|μC/g以上|50|μC/g以下の範囲内である。
そこで、本発明では、下流側にいくに伴い、トナーの帯電量を|3|μC/g以上|10|μC/g以下以下の範囲内毎に低下させることが好ましく、さらには|7|μC/g以上|10|μC/g以下の範囲内毎に低下させることがより好ましい。また、低下割合をパーセンテージで表した場合、最上流のトナーの帯電量を基準とすれば、下流側にいくに伴い、10%以上20%以下の範囲内毎に低下させることが好ましい。具体例を1つ挙げると、最上流のトナー帯電量を−40μC/gとした場合、トナー帯電量は順に、−35μC/g、−30μC/g、−25μC/gと|5|μC/g毎に低下させる。この場合の低下割合は最上流のトナー帯電量−40μC/gを基準として約12.5%の割合である。
ここで、本発明に用いられるトナーの構成は、従来公知のものと同様である。すなわち、電子写真方式の画像形成装置の現像剤として用いられるカラートナー(この場合ブラックトナーも含む)は、バインダー樹脂中に、トナーを所望の色に着色する着色剤、上記トナーの帯電量を調整する荷電制御剤、トナーの記録媒体上での定着性を向上するための定着性向上剤などが含有されてなる粒子粉末である。また、必要に応じて、粒子粉末にさらに無機微粒子などといった流動化剤などが適宜添加混合されてもよい。なお、上記カラートナーの製造方法については後述する。
トナーのバインダー樹脂としては、特に限定されるものではなく、従来公知の種々の樹脂を用いることができる。中でも、負帯電性トナーを得る場合には、摩擦帯電序列の観点からポリエステル系樹脂が好ましく、次いで、スチレン/アクリル系樹脂が好ましい。一方、正帯電性トナーを得る場合には、スチレン/アクリル系樹脂やエポキシ樹脂が好ましい。
このバインダー樹脂の物性も特に限定されるものではないが、たとえば、良好な定着性を発揮するためには、フロー軟化温度やガラス転移温度などが公知の範囲内となっていることが好ましい。
トナーの着色剤としても、特に限定されるものではなく、従来公知の顔料や染料を用いることができる。具体的には、たとえば、ハンザイエローG、クロムイエロー、ベンジジンイエローなどの黄系顔料;モノアゾおよびジアゾ系顔料などの黄ないし赤系顔料;キナクリドン、ローズベンガルなどの赤系顔料;群青、紺青、フタロシアニンブルーなどの青系顔料;フタロシアニングリーンなどの緑系顔料;カーボンブラック、チタンブラック、鉄黒などの黒色顔料;などの各種顔料を単独か、または2種以上を適宜選択して混合することなどにより、それぞれイエロー(Y)顔料、マゼンタ(M)顔料、シアン(C)顔料、黒色(Bk)顔料として適宜使用することができる。もちろん、具体例は挙げていないが、公知の染料も好適に用いることができる。
上記着色剤の添加量は、トナーに所望の色を着色できるとともに、トナーの物性を低下させない限り特に限定されるものではなく、従来公知の範囲で添加することができる。
トナーの荷電制御剤(帯電制御剤/CCA)としては、負帯電性トナーであれば負帯電性のものを、正帯電性トナーであれば正帯電性のものを適宜選択することができる。
負帯電性のものとしては、たとえば、Cr、Co、Al、Feなどの金属含有アゾ系染料、サリチル酸金属化合物、アルキルサリチル酸金属化合物、カーリックスアレーン化合物などが挙げられるが特に限定されるものではない。上記の中でもサリチル酸金属化合物、特にサリチル酸金属錯体が好ましい。正帯電性のものとしては、たとえば、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩系化合物、トリフェニルメタン系化合物、イミダゾール系化合物、ポリアミン樹脂などが挙げられるが特に限定されるものではない。上記の中でもニグロシン系染料や4級アンモニウム塩系化合物が好ましい。
上記荷電制御剤の添加量も、トナーの荷電性を適宜制御できるとともに、トナーの物性を低下させない限り特に限定されるものではなく、従来公知の範囲で添加することができる。
トナーの定着性向上剤としては、ポリオレフィンワックス、パラギンワックス、脂肪酸エステル類またはそのケン化物類、脂肪酸アミド系化合物、高級アルコールなどを用いることができるが特に限定されるものではない。
上記定着性向上剤の添加量も、トナーの定着性を適宜向上できるとともに、トナーの物性を低下させない限り特に限定されるものではなく、従来公知の範囲で添加することができる。
さらに上述したように、トナーには、必要に応じて、外部添加剤として流動化剤が添加されてもよい。この流動化剤としても特に限定されるものではないが、具体的には、種々の薬剤などによって表面処理されたシリカ微粒子、導電性チタン微粒子およびシリカ微粒子などが好適に用いられる。また、流動化剤の添加量も特に限定されるものではなく、従来公知の範囲で添加することができる。
より具体的には、負帯電性トナーを得る場合の流動化剤としては、たとえば、ジメチルジクロルシラン、ヘキサメチルジシラザンなどで表面処理されたシリカ微粒子などが好ましく用いられる。正帯電性トナーを得る場合の流動化剤としては、たとえば、シリコーンオイルなどで表面処理されたシリカ微粒子などが好ましく用いられる。
さらに、本発明では、Bk以外のカラートナーは1成分系現像剤として用いることが特に好ましいが、この場合、マグネタイトなどの磁性物を適宜含有させてなる磁性1成分トナーとしてもよいし、磁性物を含有しない非磁性1成分トナーとしてもよい。一方、Bkのトナーは、2成分系現像剤として用いることが非常に好ましいことから、鉄粉、フェライト、マグネタイト、磁性樹脂キャリアなどの磁性キャリアを混合して2成分系現像剤とする。
したがって、本発明において、トナーの帯電量(Q/M)を制御(調整)する手法としては特に限定されるものではないが、i)トナーに添加される荷電制御剤(CCA)の種類を選択する、ii) トナーの外部添加剤(流動化剤)の種類を選択する、iii)荷電制御剤の添加量を変化させる、iV) 製造工程での荷電制御剤の混練時間等を変更して荷電制御剤の分散状態を変化させる、V)トナーを帯電させるドクターブレードの当接圧を変更する、などの各手法を採用することが好ましい。
i)およびii) の手法の場合、選択される荷電制御剤または外部添加剤の種類は、トナーの他の成分(バインダー樹脂や着色剤など)によって適宜選択されるため特に限定されるものではない。iii)ないしV)の手法の場合、上述した従来公知の範囲内であり、かつ、一定の割合で帯電量を変化させることが可能なように、その添加量を変化させたり、混練時間等を変更したり、トナー供給を妨げない範囲で当接圧を変更したりすればよく、具体的な数値は特に限定されるものではない。
(手法3)並設されている複数の画像形成ステーションの現像電位(|VL −Vbias|)を、下流側にいくほど低下させる。この手法では、現像電位(|VL −Vbias|)を調節することによって、現像時に後トナー像を形成するトナーに対して付与される電荷量を減少させることで、転写時の逆転写現象を抑制している。
この手法では、感光体表面の静電潜像をトナーによって現像する際の現像電位|VL −Vbias|が下流側にいくほど低くなる。そのため、逆極性トナーや弱極性トナーと感光体との間に作用する静電引力も小さくなる。その結果、転写媒体上から感光体表面へのトナーの逆戻りが抑制され、下流側の画像形成ステーションにおいて逆転写現象が発生し難くなる。
具体的には、本発明では、下流側にいくほど一定の割合で現像電位|VL −Vbias|が低く設定されることが好ましい。この一定の割合としては、トナーの転写を妨げない限り特に限定されるものではないが、一般には、静電潜像を十分に現像するための現像電位|VL −Vbias|としては、50V以上200V以下の範囲内であることが好ましい。
そこで、本発明においては、下流側にいくに伴い、現像電位|VL −Vbias|を|5|V以上|15|V以下の範囲内毎に低下させることが好ましい。また、低下割合をパーセンテージで表した場合、最上流の現像装置における現像電位|VL −Vbias|を基準とすれば、該現像電位|VL −Vbias|は2%以上10%の範囲内毎に低下させることが好ましい。具体例を1つ挙げると、最上流の現像装置における現像電位|VL −Vbias|を150Vとした場合、現像電位|VL −Vbias|は順に、135V、120V、105Vと|15|V毎に低下させる。この場合の低下割合は最上流の像電位|VL −Vbias|150Vを基準として約10%の割合である。
上記現像電位|VL −Vbias|を一定の割合で低下させる具体的な手法としては特に限定されないが、たとえば、静電潜像電位VL を一定として、現像ローラ印加電圧(現像バイアス電圧)Vbiasを変化させる手法や、現像ローラ印加電圧Vbiasを一定として、露光手段の出力(たとえばLSUであればレーザービームの出力)を変更して静電潜像電位VL を変化させる手法が挙げられる。
なお、上記何れの手法においても、上述した従来公知の範囲内であり、かつ、一定の割合で現像電位|VL −Vbias|を変化させることが可能なように、その電圧値を変化させればよく、具体的な数値は特に限定されるものではない。
(手法4)並設されている複数の画像形成ステーションの現像装置で静電潜像の現像に用いられる各色の現像剤として、下流側にいくほど平均粒径(体積平均粒径)の大きなものを用いる。この手法では、トナー像を形成するトナーの平均粒径を大きくすることで、帯電されやすさを低下させることになる。
この手法では、現像剤すなわちトナーの平均粒径が下流側にいくほど大きくなる。そのため、トナーの移動に要する静電引力が相対的に大きくなる。それゆえ、先トナー像に逆極性トナーや弱極性トナーが含まれていても、後トナー像の転写に際して通常のトナーであれば移動するような静電引力が生じてもトナーの移動が抑制されることから、逆極性トナーや弱極性トナーと感光体との間に作用する静電引力も小さくなる。その結果、転写媒体上から感光体表面へのトナーの逆戻りが抑制され、下流側の画像形成ステーションにおいて逆転写現象が発生し難くなる。
具体的には、本発明では、下流側にいくほど一定の割合でトナーの平均粒径が増大するように設定されることが好ましい。この一定の割合としては、トナーによる静電潜像の現像およびトナー像の転写を可能を妨げない限り特に限定されるものではないが、一般には、バインダー樹脂を用いてなるトナーの好ましい平均粒径としては、3μm以上15μm以下の範囲内であるとされている。
そこで、本発明では、下流側にいくに伴い、トナーの粒径を1μm以上2μm以下の範囲内毎に増大させることが好ましく、約2μmずつ増大させることがより好ましい。また、増大割合をパーセンテージで表した場合、最上流のトナーの平均粒径を基準とすれば、下流側にいくに伴い、トナーの平均粒径を10%以上20%以下の範囲内毎に増大させることが好ましい。具体例を1つ挙げると、最上流のトナーの平均粒径を約6μmとした場合、平均粒径は順に、約7μm、約8μm、約9μmと約1μm毎に増大させる。この場合の増大割合は最上流のトナーの平均粒径6μmを基準として約17%の割合である。
ここで、本発明に用いられるトナーの構成は、上記手法2で説明した通りであり、その製造方法も従来公知のものと同様であり、その詳細な製造方法は特に限定されるものではない。
本実施の形態では、代表的なトナーの製造方法を説明する。まず、原料となるバインダー樹脂(たとえばポリエステル100重量部)と着色剤(たとえば銅フタロシアニン5重量部など、所定の色のトナーに対しては所定の色の着色剤を添加)、荷電制御剤(たとえばサリチル酸の亜鉛化合物2重量部)、その他定着性向上剤などを所定量配合してたとえばスーパーミキサーなどの混合装置で均一に混合し(混合工程)て混合物を得る。
そして、この混合物をたとえば二軸押出機などの混練機で加熱溶融・混練する(混練工程)。混練後、空冷や水冷などにより冷却し(冷却工程)、得られる塊状物をたとえばカッティングミルなどの粉砕機により粗砕した後、超音波式ジェットミルで微粉砕する(粉砕工程)。粉砕後得られる粉砕物を各種分級装置などにより、たとえば体積換算粒径5μm以下の微粉を除去する程度に分級し(分級工程)、所定の粒径、たとえば粒径の分布が体積換算粒径で5μm以上16μm以下の範囲内であり、体積平均粒径が8.0μm以上8.5μm以下の範囲内であるトナーを得る。
ここで、本発明においては、上記分級工程において、最終的に得られるトナーの粒径を適宜設定することによって、種々の粒径のトナーを得ることができる。これによって、下流側にいくほど一定の割合で粒径が低下するように、複数色のトナーを製造することができる。
なお、上記分級工程の後には、適宜外添剤を添加して略均一に混合する外添剤添加工程が実施されてもよい。また、2成分系現像剤の場合には、キャリアを添加して混合するためにキャリア添加工程が必要となる。また、上記製造方法としては、製造するトナーの材質、種類または特徴などに応じて、適宜変更が加えられるものであり、上記工程全てが必須であるわけではなく、また他の工程を追加することも可能であることは言うまでもない。
このように、本発明では、上記手法1〜手法4の少なくとも1つ、好ましくは2つ以上、より好ましくは全ての手法を用いることによって、タンデム方式またはセミタンデム方式のカラー画像形成装置において、中間転写媒体または記録媒体の搬送または移動方向の上流側から下流側に向かって、感光体上に存在する逆極性トナーおよび/または弱極性トナーに対して、感光体側に作用する静電引力を小さくしている。これによって、(4)トナーの逆転写現象の発生を抑制して色再現性に優れたカラー画像を効率的に得ることができる。
特に、画像形成部において、上述した画像形成ステーションの構成を採用することによって、(1)装置全体の大型化が抑制され、(2)画像形成頻度の高いBkの画像形成ステーションを大型化して、多量のモノクロ(白黒)画像の形成に対応することができるとともに、Bkの画像形成ステーションPdが1つだけ独立して配置されることになるので、(3)画像形成頻度の高いモノクロ(白黒)の画像形成のファーストコピー速度を速くすることができ、さらに、(4)トナーの逆転写現象の発生を抑制して色再現性に優れたカラー画像を効率的に得ることができる、非常に高画質でかつ小型であり、さらに画像形成速度の速いカラー画像形成装置を得ることができる。
なお、逆転写現象は、先トナー像に帯電不良トナーが含まれていない状態でも発生する可能性がある。たとえば、図12を参照すれば、感光体ドラム15表面に対して転写媒体4が密着すると、転写電圧が印加されていないが感光体ドラム15表面に密着している部分で、一部のトナー51が転写媒体4表面に吸引されずに感光体ドラム15表面へ戻る現象が発生する場合がある。
そこでこの場合には、タンデム配置している複数の画像形成ステーションにおいて、上流側から下流側に向かって、トナーをより紙に引き付け易くすればよく、具体的には、上記手法1〜4と同様の手法において、各種条件を下流側に行くほど低下させるのであれば、逆に上昇させ、増大させるのであれば、逆に減少させる手法を用いればよい。
〔実施の形態2〕
本発明の実施の他の形態について、図3および図4に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記実施の形態1で使用した部材と同じ機能を有する部材には同一の番号を付記し、その説明を省略する。また、本発明はこれに限定されるものではない。
本実施の形態における画像形成装置は、図3および図4(a)・(b)に示すように、上記実施の形態1の画像形成装置とほぼ同一の構成であるが、画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdに備えられる露光手段として、LSU16a、16b、16c、16dに代えてLED(発光ダイオード)アレイ21a、21b、21c、21dを用いている。
LSUもLEDアレイも、何れもデジタル情報に基づく画像形成に好適に利用されるものであるが、特に、LEDアレイは、LSUと比較して、ポリゴンミラーやfθレンズなどの複雑な光学系が不要となり、露光手段としての容積を小さくできるという利点がある。
それゆえ、露光手段としてより小さなLEDアレイ21a〜21dを用いることにより、画像形成ステーションPa〜Pdにおいて、図3および図4(a)・(b)に示すように、現像装置17a〜17dの近傍にLEDアレイ21a〜21dを配置することができる。そのため、現像槽18a〜18dの上方または下方となる位置に露光手段を設ける必要がなくなり(図1および図2(a)・(b)参照)、画像形成ステーションPa〜Pdの大型化をより一層抑制することができる。
特に、画像形成部20において、中間転写ベルト4の上方に配置される画像形成ステーションPa〜Pcにおいては、前述したように、一次元的な方向性を持った略縦長形状となっているが、前記実施の形態1では、より大きな容積を有するLSU16a〜16cが特に1次元的な方向を大きくすることになっていた。そのため、このLSU16a〜16cに代えて、より小さな容積を有するLEDアレイ21a〜21cを用いることによって、装置本体1の垂直方向(高さ方向)への大きさをより小型化することができる。
したがって、上述した例では、全てのLSUをLEDアレイに代えているが、本実施の形態では、画像形成ステーションPa、Pb、PcのLSU16a、16b、16cをLEDアレイ21a、21b、21cに代えて画像形成ステーションpdの露光手段をLSU16dのままにしても構わない。
〔実施の形態3〕
本発明の実施のさらに他の形態について、図5に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記実施の形態1または2で使用した部材と同じ機能を有する部材には同一の番号を付記し、その説明を省略する。また、本発明はこれに限定されるものではない。
本実施の形態におけるカラー画像形成装置は、図5に示すように、中間転写ベルト4を3個の張架ローラ5a、5b、5cで略水平方向に張架している。なお、その他の構成は、前記各実施の形態と同様であるが、露光手段としては、実施の形態2で述べたLEDアレイを用いている。
具体的には、3個の張架ローラ5a〜5cのうち、張架ローラ5b、5cを水平方向に並ぶように配設し、上記張架ローラ5cの下方に張架ローラ5aを配設し、このように配設した3つの張架ローラ5a、5b、5cによって中間転写ベルト4を略三角形状に張架する。
これにより、中間転写ベルト4の張架ローラ5c、5b間の水平面(上面)側(実施の形態1における中間転写ベルト4の一方面側に相当、図1参照)に画像形成ステーションPa、Pb、Pcを配設するので、これら画像形成ステーションPa、Pb、Pcを、中間転写ベルト4の張架方向に沿ってタンデム配置することができる。
また、中間転写ベルト4の張架ローラ5b、5a間の略傾斜面(下面)側(実施の形態1における中間転写ベルト4の他方面側に相当、図1参照)に、画像形成ステーションPdを配設するので、画像形成ステーションPdが、中間転写ベルト4の下方で給紙カセット2の上方となる略平板状のスペースに効率よく収容される。
特に、張架ローラ5b、5a間の中間転写ベルト4は、張架ローラ5c、5b間とは異なり、若干傾斜した状態で張架されることになる。そのため、給紙ローラ3が設けられている位置近傍には、張架ローラ5aが配置される一方、給紙ローラ3が設けられていない側の空間が大きくなる。その結果、画像形成ステーションPdを配設する空間が大きくなるため、画像形成ステーションPdをより配設し易くなるとともに、画像形成頻度の高いモノクロ画像に対応させて、画像形成ステーションPdをより大きくすることもできる。
そして、上記のように、張架ローラ5aは、給紙手段の給紙ローラ3が設けられている位置近傍に配設されるため、前記各実施の形態と同様に張架ローラ5aと対向する位置に転写ローラ6を配設することになる。そのため、給紙ローラ3、張架ローラ5a、転写ローラ6という各ローラが近接した位置に配設されるため、より空間を効率的に利用することができる。
さらに、張架ローラ5a、5c間の略垂直面側で、かつ張架ローラ5cとの対向位置にクリーニング装置7を配設している。これにより、クリーニング装置7を画像形成ステーションPa、Pb、Pcに並列させて配置する必要がなくなる。すなわち、画像形成ステーションPa、Pb、Pcに並設してクリーニング装置7を配設するための左右方向へのスペースを無くすことができる。
その結果、装置本体1の左右方向の大きさを小型にすることができる。しかも、クリーニング装置7の配設が中間転写ベルト4の略垂直部分であるので、中間転写ベルト4の残留トナーをクリーニングする場合、ブレードなどにより掻き取った残留トナーを下方で受けることができる。それゆえ、トナーの自重を利用して容易かつ確実に残留トナーのクリーニングを行うことができる。
また、張架ローラ5cおよび5aが近接して配置されることになるので、これら各張架ローラ5c・5a間のベルト長さが、他の部位に比べて最も短くなっており、かつ、装置本体1内において、略垂直方向に張架されることになる。そのため、本実施の形態においても、2個の張架ローラ5a、5bで張架されている前記各実施の形態と同様に、中間転写ベルト4を略平板状に張架することができる。
なお、本実施の形態では、定着装置8を上方ではなく、中間転写ベルト4の側方に配置しているため、排紙トレイ10については、装置本体1の上でかつ原稿読み取り装置19の下となる位置には設けられず、装置本体1の側方に設けられることになる(図5では排紙トレイ10は図示せず)。しかしながら、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、前記実施の形態1および2と同様に、排紙トレイ10を、装置本体1の上でかつ原稿読み取り装置19の下となる位置に設けることも可能である。
〔実施の形態4〕
本発明の実施のさらに他の形態について、図6に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記実施の形態1ないし3で使用した部材と同じ機能を有する部材には同一の番号を付記し、その説明を省略する。また、本発明はこれに限定されるものではない。
本実施の形態の画像形成装置では、図6に示すように、中間転写ベルト4を斜めに張架している。具体的には、中間転写ベルト4を張架している2個の張架ローラ5a、5bの配設位置を、水平方向に対して張架ローラ5aよりも張架ローラ5bの方を上方の位置に配設する。これによって、中間転写ベルト4が、張架ローラ5b側を上方に、張架ローラ5a側を下方にした状態で傾斜して張架される。なお、その他の構成は前記各実施の形態と同様であるが、露光手段としては、実施の形態1で述べたものと同様のLSU26a〜26dを用いている。
本実施の形態では、中間転写ベルト4を斜めに配置することを利用して、画像形成装置の幅方向の寸法を縮め、設置スペースを小さくしている。具体的には、図6に示すように、本実施の形態におけるカラー画像形成用のLSU26a〜26cは偏平形状を有している。そのため、単に画像形成ステーションPa〜Pcを並列配置する構成では、各画像形成ステーションPa・PbまたはPb・Pc間にLSU26a〜26c分の間隔を確保しなければならない。
しかしながら本実施の形態では、中間転写ベルト4を斜めに配置しているので、図6に示すように、偏平形状のLSU26a〜26cの一部を隣接するLSU26a〜26cと重ねることにより、上記各画像形成ステーションPa〜Pc間の間隔を狭めることができる。それゆえ、画像形成装置全体の幅方向の大きさが小さくなり、結果的に設置スペースを小さくすることができる。
また、露光装置として上記LSU26a〜26dに代えてLEDを用いた場合(図示せず)でも、中間転写ベルト4を傾斜させることにより画像形成装置の高さは多少増加するものの、各LED間の距離を最小にする(画像形成ステーションPa〜Pcを最も密に配置する)ことができるので、やはり画像形成装置の幅方向を小さくすることが可能になり、設置面積を小さくすることができる。
さらに、上記のように、中間転写ベルト4を斜めに張架することによっても、前記実施の形態3と同様に、中間転写ベルト4と装置本体1の下部の給紙カセット2との間のスペースを大きくとることができる。特にこの場合、傾斜角度を大きくすることによって、前記実施の形態3よりも、より一層大きなスペースを確保することができる。
前記実施の形態1ないし3では、中間転写ベルト4と給紙カセット2との間のスペースは、略平板状のスペースであったが、本実施の形態4では、図6に示すように、略三角柱状のスペースとなる。そのため、Bkの画像形成ステーションPdおよびLSU26dを設置する空間を確保するとともに、Bkの画像形成ステーションPdの現像槽18dの容量をさらに一層大きく形成することを可能とした上で、さらに設置スペース(設置面積)まで小さくすることができる。
したがって、本実施の形態における中間転写ベルト4の傾斜角としては、上記偏平形状のLSU26a〜26cを用いる場合では、これらLSU26a〜26cを互いに重ねることができるような中間転写ベルト4の傾斜状態を確保できるような範囲内であればよく、またLEDを用いる場合でも、画像形成ステーションPa〜Pcを最も密に配置することができるよう傾斜状態を確保できるような範囲内であればよい。それゆえ、上記中間転写ベルト4の傾斜角の好ましい範囲としては、特に限定されるものではなく、画像形成装置の形式やサイズなどによって適宜設定されるものである。
このように、画像形成装置の設置面積を小さくして画像装置全体を幅方向にコンパクト化する観点から、高さ方向が許せる範囲内で中間転写ベルト4を傾斜させる構成が非常に有効となる。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、画像のカブリ(BG)、画像の濃度(ID)、および画像の階調性については、下記の方法により測定または評価した。また、実施例および比較例中で用いられるトナーは、各実施例および比較例の条件に対応して、適宜成分の配合量を変更した以外は、下記のトナー製造例に基づいて製造した。
〔画像のカブリ〕
ISO/JIS-SCID-S7.tif のカラー画像を形成した記録紙において、画像が形成されていない部分の濃度、すなわち画像のカブリ(BG)を、Color Meter ZE2000(商品名:NIPPON DENSHOKU (日本電色)製)によって測定した。このときの測定値が0.35以下であれば○、0.35〜0.7の範囲内であれば△、0.7以上であれば×として評価した。
〔画像の濃度〕
ISO/JIS-SCID-S7.tif のカラー画像におけるシアンの濃度を、PROCESS MEASUREMENTS RD914型(商品名:Macbeth 社製)によって測定した。このときの測定値が1.3以上であれば○、1.0〜1.3の範囲内であれば△、1.0以下であれば×として評価した。
〔画像の階調性〕
ISO/JIS-SCID-S7.tif のカラー画像における階調性が30階調以上再現されていれば○、10〜30階調の範囲内であれば△、10階調以下であれば×として評価した。
〔トナー製造例〕
本実施例および比較例におけるY・M・C・Bkの各色のトナーは、以下の成分および配合量にて、前記実施の形態1で述べた従来公知の製造方法により製造した。
つまり、バインダー樹脂として、ポリエステル樹脂を100重量部、着色剤として、YにはPIG.Y74 を4重量部、MにはPIG.R122を3重量部、CにはPIG.B15 を5重量部、Bkにはカーボンブラックを6重量部、荷電制御剤としてE84(サリチル酸の亜鉛化合物)を、1.5〜3重量部用いた。そして、これら各成分を用いて、混合工程・混練工程・冷却工程・粉砕工程・分級工程を実施して、所定の粒径のトナーを得た。
なお、Bkのトナーは2成分系現像剤として用いるため、キャリアとしてフェライトを用い、Bkのトナー6重量部に対してキャリア100重量部を添加・混合した。
〔実施例1〕
前述した実施の形態1の画像形成装置(図1参照)として、AR-C150 (商品名:シャープ製)を用いて、A4のPPC用紙に対してISO/JIS-SCID-S7.tif のカラー画像(6%原稿)を40,000枚を形成した。
このとき、第1色目のトナー像(Y)を形成する画像形成ステーションPaの中間転写ローラ33a(図2(a)参照)に印加する電圧値を最も高くし、第2色目のトナー像(M)を形成する画像形成ステーションPbの中間転写ローラ33b(図2(a)参照)、第3色目のトナー像(C)を形成する画像形成ステーションPcの中間転写ローラ33c(図2(a)参照)、第4色目のトナー像(Bk)を形成する画像形成ステーションPdの中間転写ローラ33d(図2(b)参照)の順で、印加する電圧値を所定の割合で低くなるように制御した。
具体的には、中間転写ローラ33aに印加される転写電圧を2kV、中間転写ローラ33bに印加される転写電圧を1.7kV、中間転写ローラ33cに印加される転写電圧を1.4kV、中間転写ローラ33dに印加される転写電圧を1.1kVとした。したがって、中間転写ローラ33aに印加される転写電圧を基準として、下流側にいくほど15%の割合で転写電圧が徐々に低くなるように設定した。
そして、最初に形成されたカラー画像(0Kとする)と最終に形成されたカラー画像(40Kとする)について、上記BG、ID、および階調性を測定・評価した。その結果を表1に示す。
〔比較例1〕
中間転写ローラ33aに印加する電圧値を最も低くし、中間転写ローラ33b、中間転写ローラ33c、中間転写ローラ33dの順で、印加する電圧値を所定の割合で高くなるように制御した以外は、実施例1と同様にカラー画像を形成した。
具体的には、中間転写ローラ33aに印加される転写電圧を1kV、中間転写ローラ33bに印加される転写電圧を1.2kV、中間転写ローラ33cに印加される転写電圧を1.4kV、中間転写ローラ33dに印加される転写電圧を1.6kVとした。したがって、中間転写ローラ33aに印加される転写電圧を基準として、下流側にいくほど20%の割合で転写電圧が徐々に高くなるように設定した。
そして、0Kのカラー画像と40Kのカラー画像について、上記BG、ID、および階調性を測定・評価した。その結果を表1に示す。
〔比較例2〕
中間転写ローラ33a、中間転写ローラ33b、中間転写ローラ33c、中間転写ローラ33dの全てにおいて、印加する電圧値を一定となるように制御した以外は、実施例1と同様にカラー画像を形成した。具体的には、中間転写ローラ33a〜33dに印加される転写電圧を全て1.5kVとした。
そして、0Kのカラー画像と40Kのカラー画像について、上記BG、ID、および階調性を測定・評価した。その結果を表1に示す。
このように各転写ローラ33a〜33dに印加される転写電圧を個別に制御した場合、実施例1では、0Kおよび40Kの双方ともにBG、ID、および階調性が全て良好な結果を示した。それゆえ、本発明によれば、転写プロセスにおける下流側の画像形成ステーションPb〜Pdでの逆転写現象の発生を十分に抑制して、良好なカラー画像を形成することができる。
一方、比較例1では、0Kおよび40Kの双方でカブリが見られた上に、40Kにおいては、濃度や階調性が大きく低下してしまい、良好なカラー画像が得られなかった。また、比較例2では、0Kでは、BG、ID、および階調性の何れも良好な結果が得られるが、40Kでは、ある程度のカブリの発生や階調性の低下は避けられず、特に濃度が大きく低下してしまい、良好なカラー画像が得られなかった。
〔比較例3〕
Y・M・C・Bkの各色の画像形成ステーションPa〜Pdにおけるそれぞれの現像装置17a〜17dで用いられる各色のトナーに含まれる荷電制御剤(CCA)の含有量がほぼ等しくなるようにトナーを製造することによって、各現像装置17a〜17dにおけるトナーの帯電量をほぼ等しく設定した以外は、実施例1と同様にカラー画像を形成した。
具体的には、上記トナー製造例において、上記荷電制御剤E84を2重量部用いた以外は、同様にしてY・M・C・Bkの各色のトナーを製造した。得られた各トナーの具体的な帯電量は、Y・M・C・Bkの全てがほぼ−20μC/gとなった。
そして、0Kのカラー画像と40Kのカラー画像について、上記BG、ID、および階調性を測定・評価した。その結果を表2に示す。
〔実施例2〕
第1色目のトナー像(Y)を形成する画像形成ステーションPaの現像装置17aで用いられるYのトナーに含まれるCCAの含有量を最大として、第2色目のトナー像(M)を転写する画像形成ステーションPbの現像装置17b、第3色目のトナー像(C)を転写する画像形成ステーションPcの現像装置17c、第4色目のトナー像(Bk)を転写する画像形成ステーションPdの現像装置17dの順で、各色のトナーに含まれるCCAの含有量を所定の割合で減少させることによって、各色のトナーの帯電量を所定の割合で低く設定した以外は、実施例1と同様にカラー画像を形成した。
具体的には、上記トナー製造例において、荷電制御剤E84を、Yには3重量部、Mには2.5重量部、Cには2重量部、Bkには1.5重量部用いた以外は同様にしてY・M・C・Bkの各色のトナーを製造した。得られた各トナーの具体的な帯電量は、Yが−40μC/g、Mが−32μC/g、Cが−24μC/g、Bkが−15μC/gとなった。したがって、第1色目のYのトナーの帯電量を基準として、下流側にいくほど20%の割合で帯電量が徐々に低くなるように設定した。
そして、0Kのカラー画像と40Kのカラー画像について、上記BG、ID、および階調性を測定・評価した。その結果を表2に示す。
〔比較例4〕
第1色目のトナー像(Y)を形成する画像形成ステーションPaの現像装置17aで用いられるYのトナーに含まれるCCAの含有量を最小として、第2色目のトナー像(M)を転写する画像形成ステーションPbの現像装置17b、第3色目のトナー像(C)を転写する画像形成ステーションPcの現像装置17c、第4色目のトナー像(Bk)を転写する画像形成ステーションPdの現像装置17dの順で、各色のトナーに含まれるCCAの含有量を所定の割合で減少させることによって、各色のトナーの帯電量を所定の割合で高く設定した以外は、実施例1と同様にカラー画像を形成した。
具体的には、上記トナー製造例において、荷電制御剤E84を、Yには1.5重量部、Mには2重量部、Cには2.5重量部、Bkには3重量部用いた以外は同様にしてY・M・C・Bkの各色のトナーを製造した。得られた各トナーの具体的な帯電量は、Yが20μC/g、Mが27μC/g、Cが34μC/g、Bkが41μC/gとなった。したがって、第1色目のYのトナーの帯電量を基準として、下流側にいくほど35%の割合で帯電量が徐々に高くなるように設定した。
そして、0Kのカラー画像と40Kのカラー画像について、上記BG、ID、および階調性を測定・評価した。その結果を表2に示す。
このように、各色に対応する静電潜像を現像する各色のトナーの帯電量を制御するために、CCAの添加量と現像剤の帯電量の設定とを変化させた場合、実施例2では、0Kおよび40Kの双方ともにBG、ID、および階調性が全て良好な結果を示した。それゆえ、本発明によれば、転写プロセスにおける下流側の画像形成ステーションPb〜Pdでの逆転写現象の発生を十分に抑制して、良好なカラー画像を形成することができる。
一方、比較例3では、0Kでは、BG、ID、および階調性の何れも良好な結果が得られるが、40Kでは、ある程度のカブリの発生や階調性の低下は避けられず、特に濃度が大きく低下してしまい、良好なカラー画像が得られなかった。また、比較例4では、0Kおよび40Kの双方でカブリが見られた上に、40Kにおいては、濃度や階調性がある程度低下してしまい、良好なカラー画像が得られなかった。
〔実施例3〕
第1色目のトナー像(Y)を形成する画像形成ステーションPaの現像装置17aにおける現像ローラ34aの印加電圧値Vbiasを最高として、第2色目のトナー像(M)を転写する画像形成ステーションPbの現像装置17bにおける現像ローラ34b、第3色目のトナー像(C)を転写する画像形成ステーションPcの現像装置17cにおける現像ローラ34c、第4色目のトナー像(Bk)を転写する画像形成ステーションPdの現像装置17dにおける現像ローラ34dの順で、印加電圧値Vbiasを所定の割合で低くなるように制御し、これによって、現像電位|VL −Vbias|を所定の割合で低くなるように設定した以外は、実施例1と同様にカラー画像を形成した。
具体的には、現像装置17aにおける現像ローラ34aの印加電圧値Vbias=−200Vとし、現像装置17bにおける現像ローラ34bの印加電圧値Vbias=−190Vとし、現像装置17cにおける現像ローラ34cの印加電圧値Vbias=−180Vとし、現像装置17dにおける現像ローラ34dの印加電圧値Vbias=−170Vとした。このときの静電潜像電位VL は−50Vであるので、現像ローラ34aの現像電位|VL −Vbias|=150Vとなり、現像ローラ34bの現像電位|VL −Vbias|=140Vとなり、現像ローラ34cの現像電位|VL −Vbias|=130Vとなり、現像ローラ34dの現像電位|VL −Vbias|=120Vとなった。したがって、現像ローラ34aにおける現像電位|VL −Vbias|を基準として、下流側にいくほど7%の割合で現像電位が徐々に低くなるように設定した。
そして、0Kのカラー画像と40Kのカラー画像について、上記BG、ID、および階調性を測定・評価した。その結果を表3に示す。
〔比較例5〕
第1色目のトナー像(Y)を形成する画像形成ステーションPaの現像装置17aにおける現像ローラ34aの印加電圧値Vbiasを最低として、第2色目のトナー像(M)を転写する画像形成ステーションPbの現像装置17bにおける現像ローラ34b、第3色目のトナー像(C)を転写する画像形成ステーションPcの現像装置17cにおける現像ローラ34c、第4色目のトナー像(Bk)を転写する画像形成ステーションPdの現像装置17dにおける現像ローラ34dの順で、印加電圧値Vbiasを所定の割合で高くなるように制御し、これによって、現像電位|VL −Vbias|を所定の割合で高くなるように設定した以外は、実施例1と同様にカラー画像を形成した。
具体的には、現像装置17aにおける現像ローラ34aの印加電圧値Vbias=−200Vとし、現像装置17bにおける現像ローラ34bの印加電圧値Vbias=−210Vとし、現像装置17cにおける現像ローラ34cの印加電圧値Vbias=−220Vとし、現像装置17dにおける現像ローラ34dの印加電圧値Vbias=−230Vとした。このときの静電潜像電位VL は−50Vであるので、現像ローラ34aの現像電位|VL −Vbias|=150Vとなり、現像ローラ34bの現像電位|VL −Vbias|=160Vとなり、現像ローラ34cの現像電位|VL −Vbias|=170Vとなり、現像ローラ34dの現像電位|VL −Vbias|=180Vとなった。したがって、現像ローラ34aにおける現像電位|VL −Vbias|を基準として、下流側にいくほど7%の割合で現像電位が徐々に高くなるように設定した。
そして、0Kのカラー画像と40Kのカラー画像について、上記BG、ID、および階調性を測定・評価した。その結果を表3に示す。
〔比較例6〕
Y・M・C・Bkの各色の画像形成ステーションPa〜Pdにおけるそれぞれの現像装置17a〜17dにおける現像ローラ34a〜34dの印加電圧値Vbiasを全てほぼ同一とした以外は、実施例1と同様にカラー画像を形成した。
具体的には、現像ローラ34a〜34d全ての印加電圧値Vbias=−200Vとした。このときの静電潜像電位VL は−50Vであるので、現像ローラ34a〜34dの現像電位|VL −Vbias|=150Vとなった。
そして、0Kのカラー画像と40Kのカラー画像について、上記BG、ID、および階調性を測定・評価した。その結果を表3に示す。
このように、各色に対応する静電潜像を現像するための現像電位(|VL −Vbias|)を制御した場合、実施例3では、0Kおよび40Kの双方ともにBG、ID、および階調性が全て良好な結果を示した。それゆえ、本発明によれば、転写プロセスにおける下流側の画像形成ステーションでの逆転写現象の発生を十分に抑制して、良好なカラー画像を形成することができる。
一方、比較例5では、0Kおよび40K双方ともにカブリは見られないが、40Kでは、ある程度濃度が低下する上に、特に階調性が大きく低下してしまい、良好なカラー画像が得られなかった。また、比較例6では、0Kでは、BG、ID、および階調性の何れも良好な結果が得られるが、40Kにおいては、ある程度のカブリの発生や階調性の低下は避けられず、特に濃度が大きく低下してしまい、良好なカラー画像が得られなかった。
〔実施例4〕
第1色目のトナー像(Y)を形成する画像形成ステーションPaの現像装置17aで用いられるYのトナーの粒径を最大として、第2色目のトナー像(M)を転写する画像形成ステーションPbの現像装置17b、第3色目のトナー像(C)を転写する画像形成ステーションPcの現像装置17c、第4色目のトナー像(Bk)を転写する画像形成ステーションPdの現像装置17dの順で、各色のトナーの粒径を所定の割合で大きくするように設定した以外は、実施例2と同様にカラー画像を形成した。
具体的には、上記トナー製造例において、Yの粒径が7μm以上7.5μm以下の範囲内、Mの粒径が8μm以上8.5μm以下の範囲内、Cの粒径が9μm以上9.5μm以下の範囲内、Bkの粒径が10μm以上10.5μm以下の範囲内となるように分級工程を実施した以外は同様にして、Y・M・C・Bkの各色のトナーを得た。したがって、第1色目のYのトナーにおける粒径を基準とし
て、下流側にいくほど15%の割合で粒径が徐々に大きくなるように設定した。
そして、0Kのカラー画像と40Kのカラー画像について、上記BG、ID、および階調性を測定・評価した。その結果を表4に示す。
〔比較例7〕
第1色目のトナー像(Y)を形成する画像形成ステーションPaの現像装置17aで用いられるYのトナーの粒径を最小として、第2色目のトナー像(M)を転写する画像形成ステーションPbの現像装置17b、第3色目のトナー像(C)を転写する画像形成ステーションPcの現像装置17c、第4色目のトナー像(Bk)を転写する画像形成ステーションPdの現像装置17dの順で、各色のトナーの粒径を所定の割合で小さくするように設定した以外は、実施例2と同様にカラー画像を形成した。
具体的には、上記トナー製造例において、Yの粒径が10μm以上11μm以下の範囲内、Mの粒径が9μm以上9.5μm以下の範囲内、Cの粒径が8μm以上8.5μm以下の範囲内、Bkの粒径が6μm以上7μm以下の範囲内となるように分級工程を実施した以外は同様にして、Y・M・C・Bkの各色のトナーを得た。したがって、第1色目のYのトナーにおける粒径を基準として、下流側にいくほど10%の割合で粒径が徐々に小さくなるように設定した。
そして、0Kのカラー画像と40Kのカラー画像について、上記BG、ID、および階調性を測定・評価した。その結果を表4に示す。
〔比較例8〕
Y・M・C・Bkの各色のトナーの粒径がほぼ全て等しくなるようにトナーを製造した以外は、実施例2と同様にカラー画像を形成した。
具体的には、上記トナー製造例において、Y・M・C・Bkの各トナーの粒径が全て8μm以上8.5μm以下の範囲内となるように分級工程を実施した以外は同様にして、Y・M・C・Bkの各色のトナーを得た。
そして、0Kのカラー画像と40Kのカラー画像について、上記BG、ID、および階調性を測定・評価した。その結果を表4に示す。
このように、各色に対応する静電潜像を現像するための現像剤として、各色毎に平均粒径を変化させた場合、実施例4では、0Kおよび40Kの双方ともにBG、ID、および階調性が全て良好な結果を示した。それゆえ、本発明によれば、転写プロセスにおける下流側の画像形成ステーションでの逆転写現象の発生を十分に抑制して、良好なカラー画像を形成することができる。
一方、比較例7では、0Kおよび40K双方ともに濃度の低下は見られないが、40Kである程度のカブリが見られ、さらに、階調性については0Kおよび40K双方ともにある程度低下してしまい、良好なカラー画像が得られなかった。また、比較例8では、0Kでは、BG、ID、および階調性の何れも良好な結果が得られるが、40Kにおいては、ある程度のカブリの発生や階調性の低下は避けられず、特に濃度が大きく低下してしまい、良好なカラー画像が得られなかった。
このように、本発明にかかる画像形成装置は、カラー画像及びモノクロ(白黒)画像を形成するための各色及び黒色に対応したトナー像を形成するトナー像形成手段と、該トナー像形成手段により形成された各色および黒色のトナー像が転写される中間転写ベルトと、該中間転写ベルト上のトナー像を記録媒体に転写する転写手段とを備え、上記カラー画像を形成する各色のトナー像形成手段を上記中間転写ベルトの一方面側に配設し、上記黒色のトナー画像形成手段を全てのトナー像形成手段のうち最下流側となるよう上記中間転写ベルトの他方面側でかつ転写手段の上流側近傍に配設している。
上記構成によれば、黒色のトナー像形成手段のみを中間転写ベルトの他方面側で且つ全てのトナー像形成手段のうち最下流側に配設することで、装置全体の大きさを抑えた上で、画像形成頻度の高い黒色のトナー像形成手段の大型化を可能とするとともに,画像形成頻度の高いモノクロの画像形成のファーストコピー速度を速くすることができる。
本発明にかかる画像形成装置は、黒色のトナー像形成手段を中間転写ベルトに沿って並設している。また、中間転写ベルトを水平に張架し、中間転写ベルトの下方に給紙手段を配設し、中間転写ベルトと給紙手段との間に黒色のトナー像形成手段を並設している。
上記構成によれば、装置内のスペースを有効に利用して、黒色トナー像形成手段を大型化することができる。
本発明にかかる画像形成装置は、黒色のトナー像形成手段を、感光体と、該感光体にトナーを供給してトナー像を形成する現像装置とから構成し、感光体を給紙手段の記録媒体を給紙する給紙ローラ側に配設し、現像装置の現像槽を給紙ローラと反対側で感光体の横に中間転写ベルトに沿うように配設している。
上記構成によれば、給紙手段の給紙ローラが設けられていない側、すなわち、給紙手段の高さ方向の高さが低い方に現像槽が配設されているので、給紙手段と中間転写ベルトとの間のスペースをより有効利用することにより、装置全体をより小型化することが可能になる。
本発明にかかる画像形成装置は、黒色のトナー像形成手段を2成分系現像剤を使用する現像装置により形成し、各色のトナー像形成手段を1成分系現像剤を使用する現像装置により形成している。また、黒色のトナー像形成手段の感光体の径を、各色のトナー像形成手段の感光体の径より大きく形成している。
上記構成によれば、黒色のトナー像形成手段のライフサイクルを長くすることができ、画像形成頻度の高い黒色のトナー像形成手段の交換回数を少なくすることができ、使用勝手の向上が可能となる。
本発明にかかる画像形成装置は、トナー像形成手段を、感光体と、該感光体を露光した当該感光体表面に静電潜像を形成する露光手段と、静電潜像をトナー像に現像する現像装置とから構成し、少なくとも黒色以外の各色のトナー像形成手段の露光手段をLEDアレイで形成している。
上記構成によれば、装置全体の大きさをより小型化することが可能になる。
本発明にかかる画像形成装置は、中間転写ベルトを水平に張架し、中間転写ベルトの下方に給紙手段を配設するとともに、上方に画像形成された記録媒体を排紙する給紙部を配設し、給紙手段から排紙部へ転写手段による転写部分を経由し記録媒体を搬送する搬送路を垂直に形成し、排紙路の転写手段の上方に記録媒体にトナー像を定着する定着手段を配設している。
上記構成によれば、高温となる定着手段が転写手段の上方に位置しているので、例えば、中間転写ベルト上の残留トナーをクリーニングするブレードの高温の熱による劣化を防止することが可能となる。
本発明にかかる画像形成装置は、中間転写ベルトを、トナー像形成手段からのトナー像の転写部分を略水平方向となるように張架するとともに、転写手段の下流側で複数のトナー像形成手段のうち最上流側までの部分を略垂直方向となるよう張架し、中間転写ベルトの略垂直方向に張架された部分に中間転写ベルト上の残留トナーをクリーニングするクリーニング手段を設けている。
上記構成によれば、中間転写ベルトの略垂直部分で残留トナーのクリーニングをすることにより、残留トナーを確実にクリーニングすることが可能になる。