JP2005188739A - 多層チューブ - Google Patents
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Abstract
【課題】機械的強度、柔軟性、形状復元性、透明性が良好で、タック性がないポンプ用のチューブを提供する。
【解決手段】JIS K 7215に基づき測定した硬度がHDA40以上、HDA70以下の柔軟なフッ素ゴム系熱可塑性エラストマーからなるチューブの母材1と、その内面に設けた、JIS K 7215に基づき測定した硬度がHDA70以上、HDD80以下のテトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオロライド、ヘキサフルオロプロピレンからなる三元共重合体からなる内面層2とを備えた多層チューブ5。
【選択図】 図3
【解決手段】JIS K 7215に基づき測定した硬度がHDA40以上、HDA70以下の柔軟なフッ素ゴム系熱可塑性エラストマーからなるチューブの母材1と、その内面に設けた、JIS K 7215に基づき測定した硬度がHDA70以上、HDD80以下のテトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオロライド、ヘキサフルオロプロピレンからなる三元共重合体からなる内面層2とを備えた多層チューブ5。
【選択図】 図3
Description
本発明は多層チューブに関する。詳しくは、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマーを母材とし、その内面にフッ素樹脂を被覆することにより内面のタック性、耐薬品性を改善した多層チューブに関する。さらに、薬品業界や医療業界で用いられているしごきポンプと呼ばれるチューブポンプや、チューブフラムポンプのように、チューブの弾性変形を利用して内部の液体を送り出す機能を有するポンプ用のチューブおよびその製造法に関する。
フッ素ゴムおよび樹脂は耐熱性、耐油性、耐薬品性等において、ほかのゴムおよび樹脂にない優れた特性を有しており、パッキン、ガスケット、チューブ等に成形加工され、特に自動車産業、OA機器、半導体産業、化学工業、理化学分野などで広く利用されている。特に過酷な有機溶剤や酸・アルカリなど無機薬品に接触する条件下や、熱環境下で柔軟性を要求されるところではフッ素ゴムが使用されており、またその需要は近年ますます増加しつつある。
しかしフッ素ゴムの加工には複雑な加硫工程が必要で有り、また加硫剤、安定剤、充填剤などが入っておりこれらの溶出などを引き起こすことがある。
一方フッ素樹脂にはそのような欠点はなく、透明に近いチューブなども得られるが、屈曲性に乏しく柔軟性が無いため使用場所に限界がある。
近年加硫剤を必要としない弾性体として熱可塑性エラストマーの研究がなされ各方面で実用化されている。フッ素ゴム系でもこの熱可塑性エラストマーが開発され、実際に使用されている。特公平2−36365号公報に開示されている技術によれば、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマーは、その結晶相としてビニリデンフルオロライド−テトラフルオロエチレン共重合体やエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体などを使用し、ゴム相としてはビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン三元共重合体などが用いられている。上記結晶相とゴム相は、いわゆるブロック的に共重合した構造を有しており、結晶相の融点以下では、結晶相が物理的な架橋点となって成形体の強度を発現する。
結晶相の融点以上で結晶は融解し、全体が流動状態になるので、押出し成形、射出成形、圧縮成形などの加熱成形加工を容易に行うことができ、種々形状の成形品を得ることができ、チューブへの加工も容易である。このようなフッ素ゴム系熱可塑性エラストマーは、たとえば、ダイキン工業株式会社からダイエルサーモプラスチックなる商品名で市場に提供されている。
一般に熱可塑性エラストマーは加熱成形加工のみで充分な強度がえられるが、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマーは、成形品に電離性放射線を照射することにより化学的な架橋を付加することができ、この処理によりさらに物性が向上する。
フッ素系熱可塑性エラストマーは、一般のフッ素ゴムと異なりカーボン粉末、受酸剤、加硫剤等の添加剤を含まないので透明性に優れており、さらに使用に当たって添加物が溶出して接触する溶液や器物を汚染することがない特徴を有している。
壁体に沿わせて装着したチューブを、モーターで回転駆動する回転体に同心状に取り付けた複数個のローラーでしごくように押し潰していくことにより、チューブ内の液体を輸送するポンプがある。このポンプは一般的にチューブポンプとかしごきポンプと言われている。また、密閉容器内にチューブを収容し、その容器内の気圧を交互に増減してチューブを収縮・膨張(復帰)させると共に、チューブの入り口側および出口側にそれぞれ設けた一方向弁の作用でチューブ内の液体を圧送するチューブフラムタイプのポンプも知られている。このようなポンプに使用されるチューブは、柔軟性、機械的強度および耐薬品性が要求されるので、通常は軟質塩化ビニルやシリコンなどの軟質の合成樹脂によりチューブを製造する。しかし最近では種々の薬品および溶剤が使われ、耐薬品性が充分とは言えなくなってきた。
フッ素ゴム系熱可塑性エラストマーは、前述した如く、その特性は機械的強度、耐薬品性が極めて優れており、また透明性に優れている為、薬品類の輸送チューブ、特に前述のポンプ用チューブとして用いられる。そして必要とされる柔軟性を確保するため、柔軟なフッ素ゴム系熱可塑性エラストマーがとくに好ましい。しかしこの範囲のエラストマーの成形体表面は、タック性(相互に引っ付いたり、他の物に粘着しやすい性質)が有り、いろいろな使用上の問題を引き起こすことがある。たとえばチューブポンプに使用した場合、ローラで圧縮した状態で放置すると、内面同士がくっついて復元せず、閉塞してしまう場合が多々ある。またチューブの表面のタック性も、汚れがつきやすい、他の物にくっついて操作しにくいなどの問題がある。
従来よりこのようなタック性を改良する研究が行われており、たとえば特公平6−53822および特公平6−53823で開示されている。この開示技術によれば、ナイロンなどの酸素が透過しにくい素材からなる袋中において、酸素またはオゾンの分圧が11.4mmHgを超えて76mmHg以下であるような雰囲気中に、柔軟なフッ素ゴム系熱可塑性エラストマーの予備成形体を入れて、電離性放射線を照射することによって、成形後の表面のベトツキが少なくなる。しかし多少の効果は認められたが、表面および内面のいずれのタック性についても、実用的なレベルには達していない。
また、フッ素樹脂材料ないしフッ素ゴム材料からなる2層ないし3層チューブはすでに良く知られている。特開平9−131833は、ポリエステル系熱可塑性エラストマーおよびポリオレフィン系熱可塑系エラストマーのうち少なくとも一種の熱可塑性エラストマー層と含フッ素ポリマー層とが中間層に接着層を介在することにより接着している3層構造のチューブを開示している。しかし、含フッ素ポリマー層はエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体であって、得られる3層構造チューブは、チューブポンプに使用すると圧縮後の回復が不充分で、変形したり、つぶれて破損してしまいチューブポンプには適さない物である。本発明は、圧縮後の回復性など、従来のフッ素ゴム系熱可塑性エラストマー製のチューブの利点を損なわず、しかもタック性を少なくした、使用しやすいポンプ用のチューブを提供することを技術課題とするものである。
本発明のポンプ用のチューブは、JIS K 7215に基づき測定した硬度がHDA40以上、HDA70以下であり、結晶相とゴム相とがブロック的に共重合した構造を有しているフッ素ゴム系熱可塑性エラストマー(A)からなる柔軟なチューブ母材と、そのチューブ母材の内面に積層した、JIS K 7215に基づき測定した硬度がHDA70以上、HDD80以下のフッ素樹脂(B)からなる非粘着層(タック防止層あるいは保護層)とを備えていることを特徴としている。
上記の硬度はJIS K 7215(1986)プラスチックのデュロメーター硬さ試験方法に準拠して測定した値とする。デュロメーターはA硬さ(HDA)、D硬さ(HDD)それぞれ高分子計器株式会社製を用いて、デュロメーター保持台に装着し、測定することができる。試料はたとえば2mmの厚さのプレスシートを4枚重ね合わせた物を用いて行う。
前記母材を構成するフッ素ゴム系熱可塑性エラストマー(A)は、その結晶相はビニリデンフルオロライド/テトラフルオロエチレン、エチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン−1、2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロプロピレン−1またはパーフルオロアルキルビニルエーテルから選択された分子量3000〜400000のポリマー鎖セグメントであり、ゴム相としてはビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレンおよびパーフルオロアルキルビニルエーテル/テトラフルオロエチレン/ビニリデンフルオライドから選択された分子量30000〜1200000のポリマー鎖セグメントであり、結晶相とゴム相の重量比が5〜60:40〜95である。このようなフッ素ゴム系熱可塑性エラストマー(A)としては、たとえばダイキン工業(株)製のダイエルサーモプラスチック T−530、T−630などがある。
非粘着層を構成するフッ素樹脂(B)としては、テトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロピレンからなる三元共重合体(B)であることが好ましい。
三元共重合体の各成分のモル比は、テトラフルオロエチレンが30〜80モル%程度、とくに40〜70モル%、ビニリデンフルオライドが40〜70モル%程度、とくに40〜60モル%、ヘキサフルオロプロピレンが10〜50モル%程度、とくに15〜30モル%が好ましい。三元共重合体(B)には、具体的には、住友スリーエム(株)製のTHV500G、THV400G、THV300G、THV200Gなどを使用することができる。
またフッ素樹脂(B)として、テトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体などであってもよい。これらの材料にダイキン工業(株)製のダイエルサーモプラスチックT−530などのフッ素ゴム熱可塑性エラストマーや住友スリーエム(株)製のTHV200G等の三元共重合体やフッ素ゴムを加えることによって硬度を調節することができる。
本発明のチューブでは、母材の内面および外面にそれぞれ非粘着層を設けてもよい。前記母材の厚さは0.1〜40mm、とくに0.3〜3.0mmとするのが好ましい。また、非粘着層の厚さは0.005〜0.3mm、とくに0.01〜0.2mmとするのが好ましい。
本発明のチューブはしごきポンプに用いるのが好ましい。
本発明のチューブはしごきポンプに用いるのが好ましい。
本発明のチューブにおいては、母材チューブの材料として、JIS K 7215に基づき測定した硬度がHDA40以上、HDA70以下の柔軟なフッ素ゴム系熱可塑性エラストマー(A)を用いているので、弾性変形後の回復力が高く、機械的強度も高い。またフッ素ゴム系熱可塑性エラストマーを用いているので、耐熱性、耐油性、耐薬品性が高い。硬度がHDA40未満の場合は、機械的強度が劣る。またHDA70を超えると、柔軟性および形状回復性が劣る。また非粘着層は、硬度がJIS K 7215に基づき測定したHDA70以上、HDD80以下のフッ素樹脂(B)を用いているので、非粘着性の付与と同時に耐熱性、耐油性、耐薬品性が高くなり、母材の柔軟性を損なうこともない。しかも積層した面のタック性がなくなるので、使用が容易になる。非粘着層の硬度がHDA70未満になると、粘着性が生じ、HDD80を超えると柔軟性がなくなる。
さらに両者の化学組成が近いため、容易に溶着することができ、溶着面で剥離することがない。したがって非粘着層を内面または外面に積層したチューブは、タック性がない非粘着層の作用と、柔軟性および形状回復性を有する母材の作用とが相まって、柔軟性や耐薬品性、弾性回復力などの優れた性質を有するポンプ用チューブとなる。
本発明のチューブにおいて、フッ素樹脂(B)としてテトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオロライド、ヘキサフルオロプロピレンからなる三元共重合材料(B)を用いているので、チューブ母材の内面はタック性がなくなり、扱いやすくなる。非粘着層の硬度がHDA70未満になると、粘着性があり、HDD80を超えると柔軟性がなくなる。このものも、ポンプ用のチューブとしての好ましい性質を維持したまま、タック性が著しく改善される。さらに母材チューブと非粘着層の材料は化学組成が近い為に容易に溶着でき境界面で剥離することは無い。
チューブの厚さは従来のポンプ用のチューブと同程度でよく、たとえば0.1〜4.0mm程度、より好ましくは0.3〜3.0mm程度である。0.1mmより薄くすると、強度が低下し、復元性が低下する。逆に4.0mmより厚くすると、可撓性が低くなり、ポンプ用に適せず、必要となる駆動エネルギが高くなる。母材の厚さはチューブの厚さの50〜99.5%程度が好ましく、具体的には0.1〜4.0mm程度である。0.1mmより薄くすると、強度が低下し、復元性が低下する。逆に4.0mmを超えると可撓性が低くなる。非粘着層の厚さは薄くするのが好ましく、通常は0.005mm以上、とくに0.01mm以上が用いられる。0.005mm未満の場合は成形が困難であり、母材への積層強度が劣る。厚さの上限は0.3mm程度、とくに0.2mm程度であり、それ以上厚くすると柔軟性が劣り、ポンプ用に適しなくなる。
本発明の2層チューブの製造法は、第1の押出機よりチューブ母材の材料を、第2の押出機より非粘着層の材料を、それぞれ共通の金型に導入して押出成形により積層するので、両者の接着強度が高く、効率的に製造しうる。
本発明の3層チューブの製造法は、第1の押出機よりチューブ母材の材料を、第2の押出機より内層の材料を、第3の押出機より外層の材料を、それぞれ共通の金型に導入して押出成形により積層するので、内層と外層の材料を変えることができる。たとえばフッ素ゴム系熱可塑性エラストマーの母材に対し、外層をフッ素樹脂とし、内層を三元共重合体としたり、逆に外層を三元共重合体とし、内層をフッ素樹脂とすることもできる。それにより、使用環境やチューブ内を通す薬品に応じた適切な三層構造のチューブを得ることができる。
本発明の3層チューブの製造法は、第1の押出機よりチューブ母材の材料を、第2の押出機より内層の材料を、第3の押出機より外層の材料を、それぞれ共通の金型に導入して押出成形により積層するので、内層と外層の材料を変えることができる。たとえばフッ素ゴム系熱可塑性エラストマーの母材に対し、外層をフッ素樹脂とし、内層を三元共重合体としたり、逆に外層を三元共重合体とし、内層をフッ素樹脂とすることもできる。それにより、使用環境やチューブ内を通す薬品に応じた適切な三層構造のチューブを得ることができる。
上記いずれの場合も、成形温度はフッ素ゴム系熱可塑系エラストマー(A)の融点、フッ素樹脂(B)または3元共重合体(B)の融点以上で、熱分解しない温度以下で成形するのが望ましい。具体的には200〜290℃が望ましい。
フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー(A)も3元共重合体(B)も放射線により架橋する性質があるので、上記のいずれの製造法も押出成形の後に放射線を照射して架橋させるのが好ましい。それにより機械的性質が改善される。放射線架橋に適した線量は、10〜500kGyの範囲が望ましい。10kGy以下では放射線架橋の効果が薄く、500kGy以上では材料の劣化を招くおそれがある。
以下、図面に示した実施例を参照しながら本発明を説明する。
[実施例1]
[2層チューブの成形]
フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー(A)としてダイキン工業(株)ダイエルサーモプラスチック T−530(硬度HDA67)を使用した。また、3元共重合体(B)として住友スリーエム(株)THV500G(硬度HDA92〜93)を使用した。押出成形機としては、母材となるエラストマー(A)にはシリンダー径:40mm、L/D:16を使用し、3元共重合体(B)にはシリンダー径:30mm、L/D:12を使用した。図1は本発明の一実施例による、母材1としてダイエルサーモプラスチックT−530を、内面層2としてTHV500Gを用いた2層チューブ3の断面を示したものである。内面層2、母材1の厚さは、それぞれ0.1mm、0.9mmである。
[実施例1]
[2層チューブの成形]
フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー(A)としてダイキン工業(株)ダイエルサーモプラスチック T−530(硬度HDA67)を使用した。また、3元共重合体(B)として住友スリーエム(株)THV500G(硬度HDA92〜93)を使用した。押出成形機としては、母材となるエラストマー(A)にはシリンダー径:40mm、L/D:16を使用し、3元共重合体(B)にはシリンダー径:30mm、L/D:12を使用した。図1は本発明の一実施例による、母材1としてダイエルサーモプラスチックT−530を、内面層2としてTHV500Gを用いた2層チューブ3の断面を示したものである。内面層2、母材1の厚さは、それぞれ0.1mm、0.9mmである。
図2は、図1の2層チューブ3を成形するための押出金型の断面を示したものである。図示しない40mm押出機が金型の母材入口11に接続されており、加熱され溶融しているダイエルサーモプラスチックT−530が母材入口11から注入され、母材流路12を通る。また30mm押出機が金型の内表面層材料入口13に接続されており、加熱溶融しているTHV500Gが内表面層材料入口13から注入され、内表面層材料流路14を通る。合流部15において、ダイエルサーモプラスチックT−530とTHV500Gが溶着され、金型出口16から、母材AがダイエルサーモプラスチックT−530、内面層BがTHV500Gの2層チューブ3が押出される。
押出されたチューブ3は、水冷、空冷により冷却されながら、引取り機により引き取られ、肉厚が内面層0.1mm、母材層0.9mmである内径:2.0mm、外径:4.0mmのチューブの成形品を得た。
[チューブの放射線架橋]
押出されたチューブを束状にして通常のポリエチレン袋に入れ、入り口を熱溶着機で封緘した。これにCo60を線源として、50kGyの電離性放射線を照射して実施例1のチューブを得た。照射雰囲気は空気中である。
押出されたチューブを束状にして通常のポリエチレン袋に入れ、入り口を熱溶着機で封緘した。これにCo60を線源として、50kGyの電離性放射線を照射して実施例1のチューブを得た。照射雰囲気は空気中である。
[物性評価]
得られた実施例1のチューブの屈曲性およびタック性を測定した。結果を表1に示す。タック性は、指先でチューブを挟んで押しつぶし、チューブの内面を互いに密着させた後、指から離して復元するまでの様子を観察した。また外面の密着性については、チューブを2本重ねて指先で圧縮し、チューブ間の密着性を観察した。表1では、復元した場合を「〇」で、復元しにくかったもの、あるいは外面の密着性があったものを「×」で示す。屈曲性はチューブポンプにかけて作動状態を観察した。良好に動作したものを「〇」で示し、破壊したものを「×」で示す。
得られた実施例1のチューブの屈曲性およびタック性を測定した。結果を表1に示す。タック性は、指先でチューブを挟んで押しつぶし、チューブの内面を互いに密着させた後、指から離して復元するまでの様子を観察した。また外面の密着性については、チューブを2本重ねて指先で圧縮し、チューブ間の密着性を観察した。表1では、復元した場合を「〇」で、復元しにくかったもの、あるいは外面の密着性があったものを「×」で示す。屈曲性はチューブポンプにかけて作動状態を観察した。良好に動作したものを「〇」で示し、破壊したものを「×」で示す。
[実施例2]
[3層チューブの成形]
フッ素系熱可塑性エラストマー(A)としてダイキン工業(株)ダイエルサーモプラスチックT−530を使用した。また、3元共重合体(B)として住友スリーエム(株)THV500Gを使用した。押出成形機については、母材となる(A)にはシリンダー径:40mm、L/D:16を使用し、3元共重合体(B)にはシリンダー径:30mm、L/D:12を使用した。
[3層チューブの成形]
フッ素系熱可塑性エラストマー(A)としてダイキン工業(株)ダイエルサーモプラスチックT−530を使用した。また、3元共重合体(B)として住友スリーエム(株)THV500Gを使用した。押出成形機については、母材となる(A)にはシリンダー径:40mm、L/D:16を使用し、3元共重合体(B)にはシリンダー径:30mm、L/D:12を使用した。
図3は、本発明の一実施例による、母材1にダイエルサーモプラスチックT−530を用い、内面層2および外面層4にTHV500Gを用いた3層チューブ5の断面を示したものである。内面層2、母材1および外面層4の厚みは、それぞれ0.1mm、0.8mm、0.1mmである。
図4は、図3のチューブ5を成形するための押出金型の断面を示したものである。40mm押出機が金型の母材入口21に接続されており、加熱され溶融しているダイエルサーモプラスチックT−530が母材入口21から注入され、母材流路22を通る。また30mm押出機は金型の表面層材料入口23に接続されており、加熱溶融しているTHV500Gが表面層材料入口23から注入され、内表面層材料流路24、外表面層材料流路25に分かれて流れる。合流部26において、ダイエルサーモプラスチックT−530とTHV500Gが溶着され、金型出口27から母材1がダイエルサーモプラスチックT−530、内表面層2、外表面層4がTHV500Gの3層チューブ5が押出される。
押出されたチューブ5は、水冷、空冷により冷却されながら、一定速度で引取り機により引き取られ、肉厚が内面層0.1mm、母材層0.8mm、外面層0.1mmである内径:2.0mm、外径:4.0mmのチューブの成形品を得た。実施例1と同様にCo60を線源として50kGyの放射線を照射し架橋を行なった後、加熱処理により脱色して実施例2を得た。
[比較例1]
実施例1において、用いた材料をダイエルサーモプラスチックT−530単独にした以外は、押出条件、放射線架橋条件、加熱脱色条件などを全く同じにして比較例1のチューブの成形加工を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、用いた材料をダイエルサーモプラスチックT−530単独にした以外は、押出条件、放射線架橋条件、加熱脱色条件などを全く同じにして比較例1のチューブの成形加工を行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1において、用いた材料をTHV200G(硬度HDA88〜89)単独にした以外は、押出条件、放射線架橋条件、加熱脱色条件等を全く同じにして、比較例2のチューブの成形加工を行った。得られたチューブは無色透明であるが、柔軟性に乏しくチューブポンプに掛けたところ直ちに破壊した。物性評価結果を、表1に示す。
実施例1において、用いた材料をTHV200G(硬度HDA88〜89)単独にした以外は、押出条件、放射線架橋条件、加熱脱色条件等を全く同じにして、比較例2のチューブの成形加工を行った。得られたチューブは無色透明であるが、柔軟性に乏しくチューブポンプに掛けたところ直ちに破壊した。物性評価結果を、表1に示す。
[比較例3]
実施例1において、用いた材料をTHV500G単独にした以外は、押出条件、放射線架橋条件、加熱脱色条件等を全く同じにして、比較例3のチューブの成形加工を行った。得られたチューブは無色透明であったが、比較例2のTHV200Gのチューブに比べさらに柔軟性に乏しく、チューブポンプに掛けたところ直ちに破壊した。評価した物性を表1に示す。
実施例1において、用いた材料をTHV500G単独にした以外は、押出条件、放射線架橋条件、加熱脱色条件等を全く同じにして、比較例3のチューブの成形加工を行った。得られたチューブは無色透明であったが、比較例2のTHV200Gのチューブに比べさらに柔軟性に乏しく、チューブポンプに掛けたところ直ちに破壊した。評価した物性を表1に示す。
表1によれば、内面のみに非粘着層を設けた実施例1のチューブでは、外面のタック性以外はいずれも良好な結果が得られた。また、内面および外面の両方に非粘着層を設けた実施例2のチューブでは、全ての項目について良好な結果が得られた。なお、引っ張り強度および伸びについても、母材単独のチューブとほぼ同等の性能を示した。他方、非粘着層を設けない比較例1のチューブでは、内面および外面のいずれもタック性があり、好ましくない。また全体を三元共重合体で構成した比較例2および比較例3のチューブでは、屈曲性および伸びが良好でないことが分かる。また比較例2、3については、硬いため、タック性の測定ができなかった。
1 母材
2 内面層
3 チューブ
4 外面層
5 チューブ
11、21 母材入口
12、22 母材流路
13 内表面層材料入口
14、24 内表面層材料流路
15、26 合流部
16、27 金型出口
23 表面層材料入口
25 外表面層材料流路
2 内面層
3 チューブ
4 外面層
5 チューブ
11、21 母材入口
12、22 母材流路
13 内表面層材料入口
14、24 内表面層材料流路
15、26 合流部
16、27 金型出口
23 表面層材料入口
25 外表面層材料流路
Claims (5)
- JIS K 7215に基づき測定した硬度がHDA40以上、HDA70以下であり、結晶相とゴム相とがブロック的に共重合した構造を有しているフッ素ゴム系熱可塑性エラストマー(A)からなる柔軟なチューブ母材と、
そのチューブ母材の内面に積層した、硬度がJIS K 7215に基づき測定したHDA70以上、HDD80以下のフッ素樹脂(B)からなる非粘着層とを備えている多層チューブ。 - 前記フッ素樹脂(B)がテトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロピレンからなる三元共重合体である請求項1記載の多層チューブ。
- 前記フッ素樹脂(B)がテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体からなる群より選ばれた一種である請求項1記載の多層チューブ。
- 前記チューブ母材の厚さが0.1〜4.0mmで、非粘着層の厚さが0.005〜0.3mmである請求項1記載の多層チューブ。
- しごきポンプに用いられる請求項1記載の多層チューブ。
Priority Applications (1)
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