JP2005186714A - 船体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明にかかる船体1は、プロペラ5上部の船底面7に、上方へ凹弯曲した横断面形状を有して前後方向に延在するトンネル型案内面9を備えるとともに、トンネル型案内面9の左右外側方に、その内面15がトンネル型案内面9の延長部を構成する、船底面7から突出した整流フィン11,11を設けたことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
この相反する課題を解決するものとして、特許文献1に示すようなトンネル型船尾形状というものが提案されている。これは、プロペラ上部の船尾形状がプロペラを覆うように、上方へ凹湾曲(船の喫水線を船底表面が4点で横断)させたものである。これにより、プロペラ上部へ流れを案内してプロペラ周りの流場を改善してプロペラが発生する変動圧力を低減させている。また、プロペラと船体との間隔を確保して変動圧力の船体への影響を低減させている。
本発明は、上記問題点に鑑み、船尾流場が改善され、船体振動が低減された製造が容易な船体を提供することを目的とする。
すなわち、本発明にかかる船体は、プロペラ上部の船底面に、上方へ凹弯曲した横断面形状を有して前後方向に延在するトンネル型案内面を備えるとともに、同トンネル型案内面の左右外側方に、その内面が前記トンネル型案内面の延長部を構成する、船底面から突出した整流フィンを設けたことを特徴とする。
そして、船底面のトンネル型案内面と、整流フィンの内面とが一体となって流場の改善を行っているので、従来の船底面のトンネル型案内面のみによる流場の改善に比べて、改善効率が向上する。そのため、従来と同等の改善を行う場合には、トンネル型案内面の曲率を小さくできる。このように、船底面の曲率を小さくできるので、この部分での外板の曲げ加工が容易になり、また、ロンジ等の補強材の取り付けも容易となる。したがって、船体の製造が容易で、安価になる。
これは、予め模型試験で、載荷状態、船速、船の姿勢等に応じた最適の流場改善効果を奏する位置のデータを採取しておいて、このデータに基づいて、航行中に整流フィンの揺動位置を制御する。例えば、船速が早い場合には、整流フィンが下に向くように制御する。また、喫水が浅い場合にも、整流フィンが下に向くように制御する。
そして、船底面のトンネル型案内面と、整流フィンの内面との一体となって流場の改善を行っているので、従来と同等の改善を行う場合には、従来と比べてトンネル型案内面の曲率を小さくできる。したがって、船体の製造が容易で、安価になる。
[第一実施形態]
以下、本発明の第一実施形態について、図1を用いて説明する。
図1は、プロペラ部分の横断面図を示している。船体1の後部に、船尾3が設けられている。船尾3は、後方に向かって高さが減少するように突出して設けられている。
整流フィン11,11には、船底形状に沿った形状をした基部13が設けられている。整流フィン11,11は、基部13が船体1に固定されることで、船体1に取り付けられる。整流フィン11,11は、基部13から外側方に向けて横断面が略三角形状になるように突出して設けられている。
回転するプロペラ5が発生する推進力により、船体1は推進される。プロペラ5が回転すると、上部における流速の遅い部分でプロペラ5の翼面にキャビテーションが発生する。そのキャビテーションの体積変動および崩壊に伴い変動圧力を生じる。これが、プロペラ5が発生する変動圧力として、船体1および整流フィン11,11に伝達される。
このように、整流されるとともに速度が高められた水流がプロペラ5上部へ流入することにより、プロペラ上部の遅い流れが速まり、プロペラ回転面における速度勾配も小さくなる。すなわち、プロペラ5部分の流場が大幅に改善される。
そのため、トンネル型案内面9の曲率を小さく、言い換えればトンネル型案内面9を浅く形成しているので、船尾3での厚い外板の曲げが少なくなる。これにより、外板加工が容易となる。また、曲げが少なくなった外板へのロンジ等の補強材取付け工事も容易となる。したがって、船体1は、工数が低減されるので、安価となる。
このように、プロペラ5上部の船底面7に、上方へ凹湾曲したトンネル型案内面9と、船底面7から突出して設けた整流フィン11,11の内面15,15とが、一体となってトンネル型案内面を形成しているので、プロペラ5上部の流場は改善され、すなわち、水流は整流されるとともに速度が高められた状態でプロペラ5上部へ流入する。そのため、プロペラ5上部の遅い流れが速まり、速度勾配も小さくなるので、プロペラ翼面でのキャビテーション発生が少なくなる。したがって、キャビテーションの体積変動および崩壊による変動圧力が少なくなるので、船体1の振動発生が少なくなる。
そして、船底面7のトンネル型案内面9と、整流フィン11,11の内面15,15とが一体となって流場の改善を行っているので、従来の船底面のトンネル型案内面のみによる流場の改善に比べて、改善効率が向上する。そのため、従来と同等の改善を行う場合には、トンネル型案内面9の曲率を小さくできる。このように、船底面7の曲率を小さくできるので、この部分での外板の曲げ加工が容易になり、また、ロンジ等の補強材の取り付けも容易となる。したがって、船体1の製造が容易で、安価になる。
次に、本発明の第二実施形態について、図2を用いて説明する。
図2は、本実施形態の特徴を示す部分を強調するため図1と同じ部分で、その左上半分を示している。
本実施形態では、整流フィン11,11の船底面7への取付け構造が主として異なる以外は、第一実施形態と同じなので、以下この異なる点について説明する。
弾性支持部材19としては、所定の強度と弾性を有するゴムを採用している。弾性支持部材19としては、板バネ、コイルバネ等のバネを採用してもよい。
本実施形態においても、第一実施形態と同様に、この変動圧力は低減される。
したがって、整流フィン11,11から伝播される変動応力が低減されるので、船体振動は第一実施形態に比べてさらに低減される。
本実施形態では、第一実施形態の作用・効果に加えて、次の作用・効果を奏する。
このように、整流フィン11,11は弾性支持部材19を介して船体1に取り付けられているので、整流フィン11,11で受けるプロペラ5で発生した変動圧力は、弾性支持部材19により減衰されて船体に伝達される。したがって、変動圧力による船体1の振動発生はさらに減少する。
次に、本発明の第三実施形態について、図3を用いて説明する。
図3は、本実施形態の特徴を示す部分を強調するため図1と同じ部分で、その左上半分を示している。
本実施形態では、整流フィン11,11の船底面7への取付け構造が主として異なる以外は、第一実施形態と同じなので、以下この異なる点について説明する。
揺動手段23は、船速、喫水等の変化に応じて伸縮されて、整流フィン11,11を上下に移動させるよう制御されている。
なお、揺動手段23としては、モータで駆動されるもの等適宜手段を採用してもよい。
本実施形態においても、第一実施形態と同様に、この変動圧力は低減される。
この制御は、予め模型試験により、載荷状態、船の姿勢、船速をパラメータとした最適位置をデータとして採取して置く。そして、このデータに基づいて船体1の航行中に、整流フィン11,11の角度を制御する。
本実施形態では、第一実施形態の作用・効果に加えて、次の作用・効果を奏する。
このように、整流フィン11,11の先端を上下に揺動する揺動手段を設けているので、整流フィン11,11を揺動させることにより、流場の改善効果を調整できる。
次に、本発明の第四実施形態について、図4を用いて説明する。
図4は、本実施形態の特徴を示す部分を強調するため図1と同じ部分で、その左上半分を示している。
本実施形態では、整流フィン11,11の船底面7への取付け構造が主として異なる以外は、第三実施形態と同じなので、以下この異なる点について説明する。
支持部材25には、船底面7を貫通して延設された連結部材29が取り付けられている。整流フィン11,11のヒンジ21は、連結部材29の外端部に取り付けられている。
揺動装置23は、支持部材25に取り付けられている。
本実施形態においても、第一実施形態と同様に、この変動圧力は低減される。
したがって、整流フィン11,11から伝播される変動応力が低減されるので、船体振動は第一実施形態に比べてさらに低減される。
本実施形態では、第一実施形態および第三実施形態の作用・効果に加えて、次の作用・効果を奏する。
このように、整流フィン11,11は、船体1に直接取り付けられずに、船体内部に弾性支持された支持部材25に支持されているので、整流フィン11,11で受けるプロペラ5で発生した変動圧力は、弾性体27により弾性支持された支持部材25により減衰されて船体1に伝達される。したがって、変動圧力による船体1の振動発生はさらに減少する。
次に、本発明の第五実施形態について、図5を用いて説明する。
図5は、本実施形態の特徴を示す部分を強調するため図1と同じ部分で、その左上半分を示している。
本実施形態では、整流フィン11,11の構造が主として異なる以外は、第一実施形態と同じなので、以下この異なる点について説明する。
なお、緩衝材31としては、粘性流体を詰めたゴム袋であってもよい。
緩衝材31は、所定の効果を考慮した面積に亘り取り付けられている。
本実施形態においても、第一実施形態と同様に、この変動圧力は低減される。
すなわち、緩衝材31で吸収される分だけ、整流フィン11,11に入る変動圧力は減少される。言い換えると、整流フィン11,11に入る水際で、受ける変動圧力が低減されることになる。
なお、緩衝材31の取り付け面積および厚さは、所定の振動低減効果を考慮して決めればよい。
本実施形態では、第一実施形態の作用・効果に加えて、次の作用・効果を奏する。
このように、プロペラ5に面した整流フィン11,11の内面15を緩衝材31で構成しているので、整流フィン11,11で受けるプロペラ5で発生した変動圧力は、緩衝材31により減衰される。したがって、減衰された変動圧力が船体1に伝達されるので、船体1の振動発生はさらに減少する。
次に、本発明の第六実施形態について、図6を用いて説明する。
図6は、本実施形態の特徴を示す部分を強調するため図1と同じ部分で、その左上半分を示している。
本実施形態では、整流フィン11,11の構造が主として異なる以外は、第三実施形態と同じなので、以下この異なる点について説明する。
緩衝材31としては、第五実施形態と同じゴム膜を採用している。
本実施形態では、第三実施形態の作用・効果に加えて、次の作用・効果を奏する。
このように、プロペラ5に面した整流フィン11,11の内面15を緩衝材31で構成しているので、整流フィン11,11で受けるプロペラ5で発生した変動圧力は、緩衝材31により減衰される。したがって、減衰された変動圧力が船体1に伝達されるので、船体1の振動発生はさらに減少する。
次に、本発明の第七実施形態について、図7を用いて説明する。
図7は、本実施形態の特徴を示す部分を強調するため図1と同じ部分で、その左上半分を示している。
本実施形態では、整流フィン11,11の構造が主として異なる以外は、第四実施形態と同じなので、以下この異なる点について説明する。
緩衝材31としては、第五実施形態と同じゴム膜を採用している。
本実施形態では、第四実施形態の作用・効果に加えて、次の作用・効果を奏する。
このように、プロペラ5に面した整流フィン11,11の内面15を緩衝材31で構成しているので、整流フィン11,11で受けるプロペラ5で発生した変動圧力は、緩衝材31により減衰される。したがって、減衰された変動圧力が船体1に伝達されるので、船体1の振動発生はさらに減少する。
5 プロペラ
7 船底面
9 トンネル型案内面
11 整流フィン
15 内面
19 弾性支持部材
23 揺動手段
25 支持部材
31 緩衝材
Claims (5)
- プロペラ上部の船底面に、上方へ凹弯曲した横断面形状を有して前後方向に延在するトンネル型案内面を備えるとともに、同トンネル型案内面の左右外側方に、その内面が前記トンネル型案内面の延長部を構成する、船底面から突出した整流フィンを設けたことを特徴とする船体。
- 前記整流フィンは、弾性支持部材を介して船体に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載された船体。
- 前記整流フィンの先端を上下に揺動させる揺動手段を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載された船体。
- 前記整流フィンは、船体内部に弾性支持された支持部材に揺動可能に設けられ、
前記揺動手段は、前記支持手段に設けられていることを特徴とする請求項3に記載された船体。 - 前記プロペラに面した前記整流フィンの内面には、緩衝材が設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載された船体。
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