JP2005186398A - インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2005186398A
JP2005186398A JP2003429624A JP2003429624A JP2005186398A JP 2005186398 A JP2005186398 A JP 2005186398A JP 2003429624 A JP2003429624 A JP 2003429624A JP 2003429624 A JP2003429624 A JP 2003429624A JP 2005186398 A JP2005186398 A JP 2005186398A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
density
physical property
unit
property value
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2003429624A
Other languages
English (en)
Inventor
Yusuke Nakazawa
雄祐 中沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2003429624A priority Critical patent/JP2005186398A/ja
Publication of JP2005186398A publication Critical patent/JP2005186398A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

【課題】長時間安定して正確な濃度を検出することのできるインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】帯電した色材粒子を含むインクを静電力により記録媒体に向けて吐出する吐出手段と、吐出手段を含む所定の経路でインクを循環するインク循環手段と、当該インク循環手段に設けられたインク物性検出部と、当該インク物性検出部内を循環するインクの物性値を検出する物性値検出手段と、物性検出手段によって検出されたインクの物性値からインクの濃度を求める濃度検出手段とを備え、濃度検出手段が、インク物性検出部のインクによる汚れに応じてインク濃度を算出することにより、前記課題を解決する。
【選択図】図6

Description

本発明は、インクジェット記録装置の分野に属し、より詳しくは、長時間安定してインク濃度を正確に検出することが可能なインクジェット記録装置に関する。
インクを吐出させて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法としては、例えば、帯電した色材粒子成分を含むインクを用い、画像データに応じて、インクジェットヘッドの吐出電極(駆動電極)に所定の電圧(駆動電圧)を印加することにより、静電力を利用してインクの吐出を制御し、画像データに対応した画像を記録媒体上に記録する静電式のインクジェット記録方式等の様々な方法がある。
このようなインクジェット記録方法において、安定して高画質な画像を形成するためには、インクジェットヘッドに供給するインク濃度が適正であることが重要である。特に、前記帯電した色材粒子を分散したインクを使用する静電式のインクジェット記録方法では、静電力により吐出部に色材粒子を濃縮し、さらに大きな静電力を作用させることでインク液滴を吐出させるため、インク濃度が適正でないと、同じ静電力を作用させても色材粒子の濃縮が一定にならず、インク液滴の吐出が安定しないため、インクの濃度の管理は非常に重要である。
そこで、特許文献1には、帯電したトナー粒子を含むインクと、インク中のトナー粒子を記録媒体に向けて吐出開口部から吐出させる吐出電極と、記録媒体を介して吐出開口部と対向する対向電極とを備えた静電式インクジェット記録装置において、磁気センサ、または発光素子と受光素子を用いてインク流中のトナー粒子の量を検出する手段と、検出したトナー粒子の量を判定する手段と、判定結果に基づいてトナー粒子をインク流中に供給する手段とを有することによってインク中のトナー粒子を所定濃度に保つことができる静電式のインクジェット記録装置が開示されている。
特許第2834100号
しかしながら、光学的あるいは磁気的手段による検出手段は、使用と共に汚れ、これがノイズとなるので、検出されるトナー粒子量(以下、インクの濃度とする)に影響を与えてしまう。しかも、汚れは使用するにしたがって増加する。
このため、特許文献1に開示の静電式のインクジェット記録装置では、長時間使用すると、検出されたインクの濃度と実際のインク流中のインクの濃度にずれが発生し、正確なインク濃度の検出ができなくなるため、検出されたインクの濃度に基づいてインクを調整しても、インク流中を流れるインクの濃度が適正にならないという問題があった。
そこで、本発明の目的は、長時間安定して、正確なインク流中のインク濃度を検出することが可能なインクジェット記録装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、帯電した色材粒子を含むインクを静電力により記録媒体に向けて吐出する吐出手段と、前記吐出手段を含む所定の経路で前記インクを循環するインク循環手段と、当該インク循環手段に設けられたインク物性検出部と、当該インク物性検出部内を循環するインクの物性値を検出する物性値検出手段と、前記物値性検出手段によって検出された前記インクの物性値からインクの濃度を求める濃度検出手段とを備え、前記濃度検出手段が、前記インク物性検出部のインクによる汚れに応じてインク濃度を算出することを特徴とするインクジェット記録装置を提供する。
また、前記濃度検出手段が、インクの物性値とインクの濃度との関係を記憶した複数のLUTを有し、前記インク物性検出部のインクによる汚れに応じてLUTを切り替えてインク濃度を算出することが好ましい。
または、前記濃度検出手段が、インクの物性値からインクの濃度を求める演算式を有し、前記インク物性検出部のインクによる汚れに応じて所定の係数を演算式に適用してインク濃度を算出することが好ましい。
または、前記濃度検出手段は、インクの物性値からインクの濃度を算出する算出手段と、前記算出手段に算出されたインクの濃度を、前記インク物性検出部のインクによる汚れに応じて補正する補正手段とを有することが好ましい。
前記物性値検出手段は、インクの光学的物性値、磁気的物性値および電気的物性値の少なくとも1つを検出することが好ましい。
さらに、前記濃度検出手段が求めた前記インク濃度に基づいて、前記インク循環手段を循環するインクのインク濃度を調節するインク濃度調整手段とを備えることが好ましい。
本発明によって、インク物性検出部のインクによる汚れに応じてインク濃度を算出することにより、長時間安定して、かつ正確にインク濃度を検出することが可能となる。
また、本発明によって、正確にインク濃度を検出することにより、正確なインク濃度の管理が可能で、長期間安定して、高画質な記録が可能となる。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明のインクジェット記録装置を詳細に説明する。
図1は、本発明のインクジェット記録装置の一実施形態の構成概略図である。同図に示したインクジェット記録装置10は、静電力により、帯電した色材粒子を含むインクの吐出を制御し、記録媒体P上に単色印刷をしてモノクロ画像を記録する静電式インクジェット記録装置であり、記録媒体Pの保持手段12と、搬送手段14と、記録手段16と、溶媒回収手段18と、インク濃度調整手段20と、筐体22とを備えている。
まず、記録媒体Pの保持手段12は、記録媒体Pを保持する給紙トレイ24と、フィードローラ26と、記録後の記録媒体Pを保持する排出トレイ28とを備えている。
給紙トレイ24は、その先端部が給紙トレイ24の装着部(図中筐体22の左面下部)の内部に挿入され、装着部の所定位置に着脱可能なものである。給紙トレイ24が装着部に完全に装着された状態では、その挿入方向の先端部が装着部の奥端部に接触し、給紙トレイ24の後端部は筐体22の外部に突出した状態で装着される。また、フィードローラ26は、給紙トレイ24の装着部の奥部近傍に配置されている。
給紙トレイ24内には、記録前の記録媒体Pが複数枚積層されてストックされる。画像の記録時には、フィードローラ26により、記録媒体Pが給紙トレイ24から1枚ずつ取り出され、記録媒体Pの搬送手段14に供給される。
排出トレイ28は、記録媒体Pの排出部(図中筐体22の左面の中央部)の近傍に、その先端部側(記録媒体Pの搬送方向側)が筐体22の外部に位置し、その後端部側が筐体22の内部に位置するように配設されている。また、排出トレイ28は、その先端部が後端部よりも低くなるように、所定の傾斜角度で配設されている。
記録後の記録媒体Pは、搬送手段14により搬送されて排出部から排出され、排出トレイ28内に順次積層されてストックされる。
続いて、記録媒体Pの搬送手段14について説明する。
搬送手段14は、記録媒体Pを静電吸着し、給紙トレイ24から排出トレイ28まで所定の経路に沿って搬送するものであり、搬送ローラ対30と、搬送ベルト32と、ベルトローラ34a、34b、34cと、導電性プラテン36と、記録媒体Pの帯電装置38および除電装置40と、分離爪42と、ガイド44と、定着ローラ対46とを備えている。
搬送ローラ対30は、記録媒体Pの搬送経路上の、フィードローラ26と搬送ベルト32との間の位置に設けられている。
フィードローラ26により給紙トレイ24から取り出された記録媒体Pは、この搬送ローラ対30により挟持搬送され、搬送ベルト32上の所定の位置に供給される。
記録媒体Pの帯電装置38は、スコロトロン帯電器38aと、負の高圧電源38bとを備えている。スコロトロン帯電器38aは、記録媒体Pの搬送経路上の、搬送ローラ対30と記録手段16との間の位置で、搬送ローラ対30により、記録媒体Pが供給される位置の搬送ベルト32の表面に対向する位置に配置されている。また、負の高圧電源38bの負側の端子はスコロトロン帯電器38aに接続され、その正側の端子は接地されている。
記録媒体Pの表面は、負の高圧電源38bに接続されたスコロトロン帯電器38aにより所定の負の高電位に均一に帯電され、常に一定のDCバイアス電圧(例えば、約−1.5kV)が印加された状態となる。これにより、記録媒体Pは、搬送ベルト32の絶縁性を有する表面上に静電吸着される。
搬送ベルト32は、リング状のエンドレスベルトであり、3つのベルトローラ34a、34b、34cによって三角形状に張架されている。また、記録手段16に対向する位置にある搬送ベルト32の内側には、平板状の導電性プラテン36が配置されている。
搬送ベルト32は、記録媒体Pが静電吸着される側の面(表面)が絶縁性、ベルトローラ34a、34b、34cと接触する側の面(裏面)が導電性のものである。ベルトローラ34bは接地されており、従って、搬送ベルト32の裏面を介してベルトローラ34a、34cおよび導電性プラテン36も接地される。これにより、記録手段16に対向する位置の搬送ベルト32は、インクジェットヘッドの対向電極として機能する。
ベルトローラ34a、34b、34cのうちの少なくとも1つは図示していない駆動源に接続されており、記録時には、所定の速度で回転駆動される。これにより、搬送ベルト32は、記録時に図中の矢印方向に移動される。従って、記録媒体Pは、搬送ベルト32の移動とともに移動され、記録手段16の前を搬送される。
記録媒体Pの除電装置40は、コロトロン除電器40aと、高圧電源40bとを備えている。コロトロン除電器40aは、記録媒体Pの搬送経路上の、記録手段16と分離爪42との間の位置で、記録後の記録媒体Pが搬送される位置の搬送ベルト32の表面に対向する位置に配置されている。また、高圧電源40bの一端はコロトロン除電器40aに接続され、他端は接地されている。
記録後の記録媒体Pは、高圧電源40bに接続されたコロトロン除電器40aにより除電される。これにより、記録媒体Pは、搬送ベルト32から分離されやすくなる。
また、分離爪42、ガイド44、および定着ローラ対46は、記録媒体Pの搬送経路上の、除電装置40の下流側にこの順に配置されている。
除電装置40により除電された記録媒体Pは、分離爪42により搬送ベルト32上から分離され、ガイド44に沿って定着ローラ対46に供給される。定着ローラ対46は、ヒートローラを備えるローラ対であり、記録媒体Pは、定着ローラ対46により挟持搬送されつつ、その上に記録された画像は、接触加熱され定着される。定着後の記録媒体Pは排出部から排出され、排出トレイ28内に順次積層されてストックされる。
続いて記録媒体Pの記録手段16について説明する。
記録手段16は、静電力により、記録媒体P上に単色印刷をしてモノクロ画像を形成するものであり、ヘッドユニット48と、ヘッドドライバ50と、インク循環系52と、記録媒体Pの位置検出部54とを備えている。
インク循環系52は、インクタンク56と、ポンプ(図示省略)と、インク供給流路58と、インク回収流路60とを備えている。
インクタンク56は、筐体22内部の底面上に配置され、インク供給流路58およびインク回収流路60を介してヘッドユニット48と接続している。
インクタンク56内には、色材粒子を含んだインクが保持されている。インクタンク56内のインクは、ポンプにより、インク供給流路58を介して、ヘッドユニット48に供給され、使用されなかったインクは、インク回収流路60を介してインクタンク56に回収される。
また、インク供給流路58には後述するインク濃度調整手段20の検出部66が配置され、インクタンク56は後述するインク補充サブタンク70とインク流路を介して接続している。
ヘッドユニット48は、導電性プラテンが配置された位置の搬送ベルト32の表面に対向する位置に所定間隔離間して配置されている。
図2は、ヘッドユニット48の構成を示す拡大斜視図であり、図中矢印X方向が搬送ベルト32の搬送方向である。
ヘッドユニット48は、支持部材72と、ガイドレール74a、74bと、駆動手段76と、記録ヘッド78と、インク供給サブタンク80と、インク回収サブタンク82と、サブタンク位置調節機構(供給サブタンク側84、回収サブタンク側86)とを備えている。
ガイドレール74aとガイドレール74bとは所定間隔離間しており、搬送ベルト32の搬送方向(矢印X方向)に直交する方向に配置されている。
駆動手段76は、図示されていないモータにより駆動されるボールねじ等であり、ガイドレール74aとガイドレール74bとの間にガイドレール74a、74bと平行に配置されている。
支持部材72はガイドレール74a、74bおよび駆動手段76に支持され、駆動手段76によりガイドレール74aおよび74bに沿って、搬送ベルト32の搬送方向(矢印X方向)に直交する方向に移動される。また、支持部材は板状の形状であり、その上には、記録ヘッド78、サブタンク位置調節機構(供給サブタンク側84、回収サブタンク側86)が配置されている。
記録ヘッド78は、支持部材上に固定されており、モノクロ画像を記録するための例えばブラック(B)の単色のインクジェットヘッドを備えている。記録ヘッド78に使用するインクジェットヘッドについては後ほど詳細に説明する。
支持部材72上に配置されたサブタンク位置調節機構(供給サブタンク側84、回収サブタンク側86)は、モータ84a、86aと、ボールねじ84b、86bとを備えている。ボールねじ84b、86bは鉛直方向(図中X方向)に配置され、供給サブタンク80と回収サブタンク82を支持している。
サブタンク位置調節機構84、86はボールねじ84b、86bをモータ84a、86aによって駆動し、インク供給サブタンク80、インク回収サブタンク82を矢印X方向に移動させ、位置調節をすることができる。
ここで、サブタンク位置調節機構は上記形態に限定されず、他の方法の位置調節機構が各種利用できる。また、サブタンクの位置は頻繁に変更するものでないので、手動で調整するように構成してもよい。
インク供給サブタンク80は、インク供給流路58を介してインクタンク56(図1参照)と接続しており、インクタンク56より供給されたインクをインク供給流路58aを介して記録ヘッド78に供給する。
ここで、インク供給サブタンク80に過剰に供給されたインクは静水圧を利用して、インク回収流路60bを通過し、インクタンク56に回収される。これにより、インク供給サブタンク80のインクの量は一定に保たれる。
記録ヘッド78は、供給されたインクで記録を行い、記録ヘッド78で使用されたインクはインク流路88を介してインク回収サブタンク82に供給される。
インク回収サブタンク82は、インク回収流路60aおよび60を介してインクタンク56に接続しており、インク回収サブタンク82に供給されたインクはインクタンク56に回収される。ここで、インク回収サブタンク82は、インク供給サブタンク80と同様に静水圧を利用して液面を一定にできるようになっている。
上記のようなヘッドユニット48は、ガイドレール74a、74bに沿って、記録ヘッド78(支持部材72)を記録媒体Pの搬送方向と直交する方向に主走査しながら吐出を行い、その後、記録媒体Pを一定量のみ搬送することを繰り返すシリアルスキャンを行うことで記録を行う。
また、記録ヘッド78のインクジェットヘッドはその吐出部が導電性プラテンの配置された位置の搬送ベルト32の表面に対向する位置に、搬送ベルト32上に静電吸着されて搬送されてくる記録媒体Pの表面と所定の一定間隔となるように配置されている。
記録媒体Pの位置検出部54は、フォトセンサ等の従来公知の位置検出手段であり、記録媒体Pの搬送経路上の、帯電装置38とヘッドユニット48との間の位置で、記録媒体Pが搬送される搬送ベルト32の表面に対向する位置に配置されている。
位置検出部54により記録媒体Pの位置が検出され、その位置情報はヘッドドライバ50に供給される。
ヘッドドライバ50は、筐体22内部の図中右側に取り付けられており、ヘッドユニット48の記録ヘッド78と接続している。
ヘッドドライバ50には、外部装置から画像データが入力され、位置検出部54から記録媒体Pの位置情報が入力される。ヘッドドライバ50の制御により、記録媒体Pの位置情報に従って、記録ヘッド78のインクジェットヘッド100(図3〜5参照)の吐出タイミングが制御されつつ、画像データに応じてインクジェットヘッドからインクが吐出され、記録媒体P上には、画像データに対応したモノクロ画像が記録される。
ここで、本実施形態の記録ヘッドに使用される帯電した色材粒子を含むインクを吐出する静電式インクジェットヘッドの具体例を図3〜図5に示す。
図3は、図2に示す記録ヘッド78で使用されているインクジェットヘッド100の一実施形態の概略構成を示す模式的部分斜視図である。また、図4(a)は、図3に示すインクジェットヘッド100の一部を示す模式的断面図であり、図4(b)は、図4(a)のIV−IV線切断面図である。図5(a)、図5(b)および図5(c)は、それぞれ図4(b)のA−A線、B−B線およびC−C線矢視図(貫通孔部分を除く)である。
これらの図に示すインクジェットヘッド100は、2層電極構造の吐出電極を持つ静電式インクジェットであって、帯電された顔料等の色材粒子(例えば、トナー等の微粒子)を含むインクQを、静電力により吐出させて、画像データに応じた画像を記録媒体P上に記録するものであり、ヘッド基板104と、インクガイド106と、絶縁性基板108と、吐出電極を構成する第1吐出電極110および第2吐出電極112と、浮遊導電板120とを備えている。ここで、インクジェットヘッド100は、対向電極となる記録媒体Pを支持する搬送ベルト32(図1参照)と対向するように配置されている。
図示例のインクジェットヘッド100において、吐出電極は、絶縁性基板108を挟むように、図中上面に配置される第1吐出電極110と下面に配置される第2吐出電極112との2層電極構造としている。
図示例のインクジェットヘッド100は、さらに、第2吐出電極112の下方(下面)を覆う絶縁層116aと、第1吐出電極110の上方(上面)を覆う絶縁層116bと、第1吐出電極110の上方に絶縁層116bを介して配置されるシート状のガード電極114と、ガード電極114の上面を覆う絶縁層116cとを備えている。
図示例のインクジェットヘッド100においては、インクガイド106は、突状先端部分106aを持つ所定厚みの絶縁性樹脂製平板からなり、吐出部毎にヘッド基板104の上に配置されている。また、絶縁層116a、 絶縁性基板108、絶縁層116bおよび116cの積層体には、インクガイド106の配置に対応する位置に貫通孔118が開孔されている。この貫通孔118には、 絶縁層116a側からインクガイド106が挿入され、 インクガイド106の先端部分106aは、絶縁層116cから突出している。なお、インクガイド106の先端部分106aには、インクQの供給およびインクQ内の色材粒子の先端部分106aへの濃縮を促進するために、インク案内溝となる切り欠きを図中上下方向に形成しても良い。
なお、インクガイド106の先端部分106aは、記録媒体P(搬送ベルト32)側へ向かうに従って次第に細く略三角形(ないしは台形)に成形されている。また、インクガイド106の、インクQが吐出される先端部分(最先端部)106aには、金属が蒸着されているのが好ましい。インクガイド106の先端部分106aの金属蒸着はされていなくても良いが、この金属蒸着により、インクガイド106の先端部分106aの誘電率が実質的に大きくなり、強電界を生じさせやすくできるという効果があるので、金属蒸着を行うのが好ましい。なお、インクガイド106の形状は、インクQ、特に、インクQ内の色材粒子を絶縁性基板108の貫通孔118を通って先端部分106aに濃縮させることができれば、特に、制限的ではなく、例えば、先端部分106aは、突状でなくても良いなど適宜変更してもよく、従来公知の形状とすることができる。
ヘッド基板104と絶縁層116aとは、所定間隔離間して配置されており、両者の間には、インクガイド106にインクQを供給するためのインクリザーバ(インク室)として機能するインク流路124が形成されている。なお、インク流路124内のインクQは、第1吐出電極110および第2吐出電極112に印加される電圧と同極性に帯電した色材粒子を含み、記録時には、インク循環系52(図1参照)によって、所定方向、図4に示す例ではインク流路124内を右側から左側(図中矢印a方向)へ向かって所定の速度(例えば、200mm/sのインク流)で循環される。以下、インク中の色材粒子が正帯電している場合を例にとって説明を行う。
第1吐出電極110および第2吐出電極112は、図3に示すように、絶縁性基板108に開孔された貫通孔118の周囲を囲むように、絶縁性基板108の図中上側、すなわち記録媒体P側の表面に、吐出部毎にリング状に、すなわち円形電極として配置されている。なお、第1吐出電極110および第2吐出電極112の電極形状は、円形電極に限定されず、略円形であっても、分割円形電極であっても、平行電極または略平行電極であっても良い。このような第1吐出電極110および第2吐出電極112は、2層電極構造に構成され、マトリクス状に配置される。ここで、行方向(例えば、主走査方向)に配置された複数の第1吐出電極110は相互に接続され、列方向(例えば、副走査方向)に配置された複数の第2吐出電極112は相互に接続される。
ここで、一つの第1吐出電極110の行を高電圧レベルまたはフローティング(ハイインピーダンス)状態とし、一つの第2吐出電極112の列を高電圧レベルとして、一つの行と一つの列とをともにオン状態にすることにより、両者(行と列)が交差する1つの吐出部をオン状態にして、この吐出部からのインクの吐出を行うことができる。なお、この時、これらの第1および第2吐出電極110および112の一方が接地レベルの場合にはインクは吐出しない。このように、マトリクス状に配置される第1吐出電極110および第2吐出電極112をマトリクス駆動することができる。
一方、インクガイド106と対向する位置には、インク中の帯電した色材粒子と極性が反対となるバイアス電圧に帯電された記録媒体Pが、搬送ベルト32に保持されて配置される。上述したように、本実施形態において、記録媒体Pは負の高電圧に帯電されている。また、搬送ベルト32の記録媒体Pを保持する面は絶縁性のフッ素樹脂面であり、裏面は導電性の金属面であり、この金属面が導電性のベルトローラ34bを介して接地されている(図1参照)。
浮遊導電板120は、インク流路124の下方に配置され、電気的に絶縁状態(ハイインピーダンス状態)となっている。図示例では、ヘッド基板104の内部に配置されている。
この浮遊導電板120は、画像の記録時に、吐出部に印加された電圧値に応じて、誘起された誘導電圧が発生し、インク流路124内のインクQにおいて、その色材粒子を絶縁性基板108側へ泳動させて濃縮させるためのものである。従って、浮遊導電板120は、インク流路124よりもヘッド基板104側に配置される必要がある。また、浮遊導電板120は、吐出部の位置よりもインク流路124の上流側に配置される方が好ましい。この浮遊導電板120により、インク流路124内の上層の色材粒子の濃度を高めるため、絶縁性基板108の貫通孔118を通過するインクQ内の色材粒子の濃度を所定濃度に高めることができ、インクガイド106の先端部分106aに濃縮させて、インク液滴Rとして吐出させるインクQ内の色材粒子の濃度を所定濃度に安定させることができる。
以上のように構成される2層電極構造の吐出電極を持つ本実施形態のインクジェットヘッド100においては、例えば、第2吐出電極112に、常時、所定の電圧、例えば600Vを印加し、第1吐出電極110を、画像データに応じて接地状態(オフ状態)とハイインピーダンス状態(オン状態)とに切り換えることにより、それぞれ第2吐出電極112に印加される高電圧レベルと同極性に帯電した顔料等の色材粒子を含むインクQの吐出/非吐出を制御することができる。すなわち、インクジェットヘッド100では、第1吐出電極110が接地レベルの状態(オフ状態)では、インクガイド106の先端部分106a近傍の電界強度が低く、インクQはインクガイド106の先端部分106aからは飛び出さず、第1吐出電極110がハイインピーダンス状態(オン状態)になると、インクガイド106の先端部分106a近傍の電界強度が高くなり、インクガイド106の先端部分106aに濃縮したインクQは静電力によって先端部分106aから飛び出す。このとき、条件を選ぶことによって更に濃縮を行うこともできる。
このような2層電極構造においては、第1吐出電極110をハイインピーダンス状態と接地レベルとの間でスイッチングすることができるので、スイッチングのために大電力を消費しない。従って、本実施形態によれば、高精細かつ高速性が要求されるインクジェットヘッドにおいても、消費電力を大幅に削減することができる。
なお、第1吐出電極110を、画像データに応じて、接地レベル(オフ状態)と高電圧レベル(オン状態)との間でスイッチングさせて、吐出/非吐出を制御してもよい。本実施形態のインクジェットヘッド100では、第1吐出電極110または第2吐出電極112の一方が接地レベルの場合にはインクが吐出せず、第1吐出電極110がハイインピーダンス状態または高電圧レベルで、かつ第2吐出電極112が高電圧レベルの場合にだけインクが吐出する。
また、本実施形態では、画像信号に応じて、第1および第2吐出電極110および112にパルス電圧を印加し、両電極ともに高電圧レベルとなった時に、インク吐出を行うようにしても良い。
なお、第1吐出電極110または第2吐出電極112のどちらかで、または、両方で、インク吐出/非吐出の制御を行うかは特に制限的ではないが、第1吐出電極110または第2吐出電極112の一方が接地レベルの場合には、インクQが吐出せず、第1吐出電極110がハイインピーダンス状態または高電圧レベルで、かつ第2吐出電極112が高電圧レベルの場合にだけインクQが吐出するようにするのが良い。
また、記録媒体Pを例えば−1.6kVに帯電し、第1吐出電極110および第2吐出電極112の何れか一方または両方が負の高電圧(例えば−600V)の時にはインクが吐出せず、第1吐出電極110および第2吐出電極112の両方が接地レベル(0V)の場合にだけインクが吐出するようにしても良い。
本実施形態によれば、上述のように、吐出部を2次元的に配置し、マトリクス駆動するため、行方向の複数の吐出部を駆動する行ドライバおよび列方向の複数の吐出部を駆動する列ドライバの個数を大幅に削減することができる。従って、本実施形態によれば、2次元配列される吐出部の駆動回路の実装面積および消費電力を大幅に削減することができる。また、本実施形態によれば、各吐出部間を比較的余裕をもって配置することができるため、各吐出部間での放電の危険性を極めて低減することができ、高密度実装と高電圧を安全に両立させることができる。
なお、上述した静電式インクジェットヘッド100のように、第1および第2吐出電極110および112からなる2層電極構造の吐出電極を用いるものでは、吐出部を高密度に配置すると、隣接する吐出部間に電界干渉が生じることがある。このため、本実施形態のように、隣接するインクガイド106への電気力線を遮蔽するために、隣接する吐出部の第1吐出電極110間に、ガード電極114を設けるのが好ましい。
ガード電極114は、隣接する吐出部の第1吐出電極110の間に配置され、隣接する吐出部のインクガイド106の間に生じる電界干渉を抑制するためのものである。図5(a)、(b)および(c)は、それぞれ図4(b)のA−A線、B−B線およびC−C線矢視図である。図5(a)に示すように、ガード電極114は、全吐出部に共通な金属板などのシート状の電極であり、2次元的に配列されている各吐出部毎の貫通孔118の周囲に形成された第1吐出電極110に相当する部分が穿孔されている(図3参照)。なお、本実施形態において、ガード電極114を設ける理由は、吐出部を高密度に配置すると、隣接する吐出部の電界の状態によって自分自身の吐出部の発生する電界が影響を受け、ドットサイズおよびドットの描画位置が乱れ、記録品質に悪影響を及ぼす場合があるからである。
ところで、ガード電極114の図中上側には、貫通孔118を除いて絶縁層116cによって覆われ、ガード電極114と第1吐出電極110との間には、絶縁層116bが介在し、両電極114と110とを絶縁している。すなわち、ガード電極114は、絶縁層116cと絶縁層116bとの間に配置され、第1吐出電極110は、絶縁層116bと絶縁性基板108との間に配置される。
すなわち、図5(b)に示すように、絶縁性基板108の上面には、従って、絶縁層116bと絶縁性基板108との間には、各吐出部毎の貫通孔118の周囲に形成された第1吐出電極110が2次元的に配列されており、列方向の複数の第1吐出電極110が相互に接続されている。
また、図5(c)に示すように、絶縁層116aの上面には、従って、絶縁性基板108の下面には、すなわち、絶縁層116aと絶縁性基板108との間には(図3参照)、各吐出部毎の貫通孔118の周囲に形成された第2吐出電極112が2次元的に配列されており、行方向の複数の第2吐出電極112が相互に接続されている。
また、本実施形態において、各吐出部の吐出電極、例えば第1および第2吐出電極110および112からのインク流路124方向への反発電界を遮蔽するために、第1および第2吐出電極110および112の流路側にシールド電極を設置しても良い。
さらに、本実施形態のインクジェットヘッド100においては、インク流路124の底面を構成すると共に、第1吐出電極110および第2吐出電極112に印加されるパルス電圧によって定常的に生じる誘導電圧により、インク流路124内の正に帯電した色材粒子(荷電着色粒子)を上方へ向けて(すなわち記録媒体P側に向けて)泳動させる浮遊導電板120が設けられている。また、浮遊導電板120の表面には、電気絶縁性である被覆膜(図示せず)が形成されており、インクへの電荷注入等によりインクの物性や成分が不安定化することを防止する。絶縁性被覆膜の電気抵抗は、1012Ω・cm以上が望ましく、より望ましくは1013Ω・cm以上である。また、絶縁性被覆膜は、インクに対して耐腐食性であることが望ましく、これにより浮遊導電板120がインクに腐食されることが防止される。また、浮遊導電板120は、下方から絶縁部材で覆われており、このような構成により、浮遊導電板120は、完全に電気的絶縁浮遊にされている。
浮遊導電板120は、インクジェットヘッドの1ユニットにつき1個以上である。本実施形態では、単色の1つのインクジェットヘッドであるが、例えば、C、M、Y、Kの4つのインクジェットヘッドがあった場合、浮遊導電板数は最低各1個ずつ有し、CとMのインクジェットヘッドユニット間で共通の浮遊導電板とすることはない。
上述した実施形態においては、第1および第2吐出電極110および112として、吐出部毎に円形電極等を設け、それぞれ行および列方向に接続しているが、本発明はこれに限定されず、全ての吐出部を独立にして、個々に駆動するようにしても良いし、第1および第2吐出電極110および112の一方を全ての吐出部に共通のシート状電極(貫通孔118部分は穿孔されている)としても良い。
また、上記実施形態においては、吐出電極を第1および第2吐出電極110および112の2層電極構造としているが、本発明はこれに限定されず、単層電極構造の吐出電極としても良い。単層吐出電極は、絶縁性基板108のどちらの表面に配置させても良いが、記録媒体P側に設けるのが好ましい。インクジェットヘッドは、例えば以上のような構成ものである。
また、上述のように、記録ヘッド78を記録媒体Pの搬送方向と直交する方向に主走査しながら吐出を行い、その後に記録媒体Pを一定量のみ搬送することを繰り返すシリアルスキャンを行うため、インクジェットヘッド100のそれぞれの吐出部の配列方向は記録媒体Pの搬送方向と略並行に配置することが好ましい。
前述の通り、対向電極となる搬送ベルト32上に静電吸着された記録媒体Pの表面は、記録媒体Pの帯電装置38により、所定の負の高電位に均一に帯電され、常に一定のDCバイアス電圧(約−1.5kV)が印加された状態である。また、インクジェットヘッドの吐出部の吐出電極には、インクジェットヘッド印加用のパルス電圧印加装置(図示省略)により、記録時に画像データに応じたパルス電圧が印加される。
インクジェットヘッドでは、記録媒体Pに、一定のDCバイアス電圧(約−1.5kV)が印加された状態で、パルス電圧として、高電圧(400〜600V)が印加された場合にはインクの吐出が行われ、低電圧(0V)が印加された場合にはインクの吐出は行われない。インクジェットヘッドから吐出されたインクは、バイアス電圧を帯電した記録媒体Pに引っ張られて着弾し、画像データに対応したモノクロ画像が記録される。
このように、記録媒体Pにバイアス電圧(色材粒子と逆極性)を帯電させることにより、インク中の正に帯電した色材粒子には、吐出孔からインクガイドの先端部分の方向へ引き寄せる力が働き、インクガイドの先端部分に色材粒子が効率よく濃縮される。そして、吐出電極にパルス電圧が印加されると、インクガイド先端部分でさらに色材粒子が濃縮され、インク滴として吐出される。
なお、本実施形態では、対向電極となる搬送ベルト32上に静電吸着された記録媒体Pの表面に、常に一定のDCバイアス電圧を印加し、吐出電極には、記録時に画像データに応じたパルス電圧を印加しているが、対向電極側を接地し、インクジェットヘッド56印加用のDCバイアス電圧印加装置(図示省略)により、インクジェットヘッドの吐出部の吐出電極側に、常に一定のDCバイアス電圧(例えば、1.5kV)を印加するようにしてもよい。
前述のように、本発明で用いるインク(インクQ)は、色材粒子(色材を含み、かつ,帯電した微粒子)をキャリア液に分散してなるものである(インク組成物)。
また、インク中には、色材粒子ともに、印刷後の画像の定着性を向上させるための分散樹脂粒子を、適宜、含有させてもよい。
キャリア液は、高い電気抵抗率(109 Ω・cm以上、好ましくは1010Ω・cm以上)を有する誘電性の液体(非水溶媒)であるのが好ましい。電気抵抗率の低いキャリア液の電気抵抗が低いと、吐出電極によって印加される電圧により、キャリア液自身が電荷注入を受けて帯電してしまうため、色材粒子の濃縮がおこらない。また、電気抵抗率の低いキャリア液は、隣接する吐出電極間での電気的導通を生じさせる懸念もあるため、本発明には不向きである。
キャリア液として用いられる誘電性液体の比誘電率は、5以下が好ましく、より好ましくは4以下、さらに好ましくは3.5以下である。このような比誘電率の範囲とすることによって、キャリア液中の色材粒子に有効に電界が作用し、泳動が起こりやすくなる。
なお、このような誘電性液体の固有電気抵抗の上限値は1016Ωcm程度であるのが望ましく、比誘電率の下限値は1.9程度であるのが望ましい。誘電性液体の電気抵抗が上記範囲であるのが望ましい理由は、電気抵抗が低くなると、低電界下でのインクの吐出が悪くなるからであり、比誘電率が上記範囲であるのが望ましい理由は、誘電率が高くなると溶媒の分極により電界が緩和され、これにより形成されたドットの色が薄くなったり、滲みを生じたりするからである。
キャリア液として用いられる誘電性液体としては、好ましくは直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、または芳香族炭化水素、および、これらの炭化水素のハロゲン置換体がある。例えば、へキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、アイソパーC、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM(アイソパー:エクソン社の商品名)、シェルゾール70、シェルゾール71(シェルゾール:シェルオイル社の商品名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(アムスコ:スピリッツ社の商品名)、シリコーンオイル(例えば、信越シリコーン社製KF−96L)等を単独あるいは混合して用いることができる。
このようなキャリア液に分散される色材粒子は、色材自身を色材粒子としてキャリア液中に分散させてもよく、定着性を向上させるための分散樹脂粒子中に含有させてもよい。分散樹脂粒子中に含有させる場合、顔料などは分散樹脂粒子の樹脂材料で被覆して樹脂被覆粒子とする方法などが一般的であり、染料などは分散樹脂粒子を着色して着色粒子とする方法などが一般的である。
色材としては、従来からインクジェットインク組成物、印刷用(油性)インキ組成物、あるいは静電写真用液体現像剤に用いられている顔料および染料であればどれでも使用可能である。
インクにおいて、色材粒子の含有量(色材粒子あるいはさらに分散樹脂粒子の合計含有量)は、インク全体に対して0.5〜30重量%の範囲で含有されることが好ましく、より好ましくは1.5〜25重量%、さらに好ましくは3〜20重量%の範囲で含有されることが望ましい。色材粒子の含有量が少なくなると、印刷画像濃度が不足したり、インクと記録媒体P表面との親和性が得られ難くなって強固な画像が得られなくなったりするなどの問題が生じ易くなり、一方、含有量が多くなると均一な分散液が得られにくくなったり、インクジェットヘッド100等でのインクの目詰まりが生じやすく、安定なインク吐出が得られにくいなどの問題が生じるからである。
本実施形態では、K(ブラック)の単色のインクジェットヘッドであるが、色は特に限定されず、以下に示すような色材を使用することできる。
色材として用いる顔料としては、無機顔料、有機顔料を問わず、印刷の技術分野で一般に用いられているものを使用することができる。具体的には、例えば、カーボンブラック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムイエロー、カドミウムイエロー、チタンイエロー、酸化クロム、ビリジアン、コバルトグリーン、ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、ぺリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料、等の従来公知の顔料を特に限定なく用いることができる。
色材として用いる染料としては、アゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノンイミン染料、キサンテン染料、アニリン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ペンゾキノン染料、ナフトキノン染料、フタロシアニン染料、金属フタロシアニン染料、等の油溶性染料が好ましく例示される。
また、キャリア液に分散された色材粒子の平均粒径は、0.1〜5μmが好ましく、より好ましくは0.2〜1.5μmであり、更に好ましくは0.4〜1.0μmである。この粒径はCAPA−500(堀場製作所(株)製商品名)により求めたものである。
色材粒子をキャリア液に分散させた後、荷電制御剤をキャリア液に添加することにより色材粒子を荷電して、荷電した色材粒子をキャリア液に分散してなるインクとする。なお、着色微粒子の分散時には、必要に応じて、分散媒を添加してもよい。
荷電制御剤は、一例として、電子写真液体現像剤に用いられている各種のものが利用可能である。また、「最近の電子写真現像システムとトナー材料の開発・実用化」139〜148頁、電子写真学会編「電子写真技術の基礎と応用」497〜505頁(コロナ社、1988年刊)、原崎勇次「電子写真」16(No.2)、44頁(1977年)等に記載の各種の荷電制御剤も利用可能である。
なお、色材粒子は、吐出電極に印加される駆動電圧と同極性であれば、正電荷および負電荷のいずれに荷電したものであってもよい。
また、色材粒子の荷電量は、好ましくは5〜200μC/g、より好ましくは10〜150μC/g、さらに好ましくは15〜100μC/gの範囲である。
また、荷電制御剤の添加によって誘電性溶媒の電気抵抗が変化することもあるため、下記に定義する分配率Pを、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上とする。
P=100×(σ1−σ2)/σ1
ここで、σ1は、インクの電気伝導度、σ2は、インクを遠心分離器にかけた上澄みの電気伝導度である。電気伝導度は、LCRメーター(安藤電気(株)社製AG−4311)および液体用電極(川口電機製作所(株)社製LP−05型)を使用し、印加電圧5V、周波数1kHzの条件で測定を行った値である。また遠心分離は、小型高速冷却遠心機(トミー精工(株)社製SRX−201)を使用し、回転速度14500rpm、温度23℃の条件で30分間行った。
以上のようなインクを用いることによって、色材粒子の泳動が起こりやすくなり、濃縮しやすくなる。
インクの電気伝導度は、100〜3000pS/cmが好ましく、より好ましくは150〜2500pS/cm、さらに好ましくは200〜2000pS/cmである。以上のような電気伝導度の範囲とすることによって、吐出電極に印加する電圧が極端に高くならず、隣接する記録電極間での電気的導通を生じさせる懸念もない。
また、インクの表面張力は、15〜50mN/mの範囲が好ましく、より好ましくは15.5〜45mN/mさらに好ましくは16〜40mN/mの範囲である。表面張力をこの範囲とすることによって、吐出電極に印加する電圧が極端に高くならず、ヘッド周りにインクが漏れ広がり汚染することがない。
さらに、インクの粘度は0.5〜5mPa・secが好ましく、より好ましくは0.6〜3.0mPa・sec、さらに好ましくは0.7〜2.0mPa・secである。
なお、本発明においては、従来のインクジェット方式のように、インク全体に力を作用させて、インクを記録媒体に向けて飛翔させるのではなく、主に、キャリア液に分散させた固形成分である色材粒子に力を作用させて、飛翔させる。
その結果、普通紙を初めとして、非吸収性のフィルム(例えばPETフィルム等)などの種々の記録媒体Pに画像を記録することができ、また、記録媒体P上で、滲みや流動を生じることなく、種々の記録媒体に対して、高画質な画像を得ることができる。
図1に戻って、インクジェット記録装置10の他の部分について説明を続ける。
続いて溶媒回収手段18について説明する。
溶媒回収手段18は、記録ヘッド78から記録媒体P上に吐出されたインクから蒸発する分散溶媒や、画像の定着時にインクから蒸発する分散溶媒等を回収するもので、排出ファン62と、活性炭フィルタ64とを備えている。活性炭フィルタ64は、筐体22の上面(図中上側)の裏面に取り付けられ、排出ファン62は、活性炭フィルタ64の上に取り付けられている。
筐体22内部の分散溶媒成分を含む空気は、排出ファン62により、活性炭フィルタ64を介して筐体22の外部に排出される。その際、筐体22内部の空気中に含まれる分散溶媒成分は、活性炭フィルタ64によって吸着除去される。
次に、本発明の特徴的な部分であるインク濃度調整手段20について説明する。
インク濃度調整手段20は、検出部66と、制御部68と、インク補充部70とを備えている。
検出部66は、インク供給流路58の所定位置に配置される。検出部66は、インク供給流路58内を流れる色材粒子を含むインクの物性値、例えば光学的物性値を検出する検出素子を備え、検出した物性値を制御部68に送信する。
制御部68は、検出部66から送信された検出結果をインク濃度に変換し、そのインク濃度に応じてインク補充部70によるインクの補充量を決定する。ここでインク濃度とは、例えばインク中に含まれる色材粒子の濃度、例えば質量パーセントである。
インク補充部70は、制御部68から送信される情報(インクの補充量)に基づいてインクタンク56にインクを補充する。
図6は、上記インク濃度調整手段20を模式的に示した拡大模式図である。
以下、図6を用いてインク濃度調整手段20をより詳細に説明する。
検出部66は、発光素子200aと受光素子200bを有する。発光素子200aと受光素子200bとはインク供給流路58中に設けられた光透過性の測定部58bを挟んで対向する位置に配置されている。
発光素子200aは、一定光量の光を受光素子200bの配置されている方向に照射し、受光素子200bは、測定部58bすなわちインクQを透過した透過光の光量を測定する。受光素子200bは、受光した透過光量に応じた出力信号をインクQの物性値として制御手段68(変換手段202)に送信する。
制御部68は、変換手段202と、選択手段204と、濃度制御手段206とを有している。また、変換手段202は、メモリ202aを有する。
変換手段202は、受光素子200bから送信された出力信号にA/D変換等の所定の処理を施して光量データとし、この光量データからインク濃度を検出(すなわち、検出した物性値をインクの色材粒子濃度に換算)して濃度制御手段206に送信する。ここで、変換手段202は、例えば、図7に示すような検出部66による測定で得られた光量データをインク濃度に変換するLUT(ルックアップテーブル)を用いて、光量データからインク濃度を検出する。
ここで、測定部58bは、インクが流れることによって汚れてしまう。検出部66によるインクの透過光量の検出結果は、この汚れを含むものであり、従って、変換手段202によるインク濃度検出結果は実際のインク濃度とは異なる、すなわち、誤差が生じてしまう。また、この測定部58bの汚れは、通常経時と共に大きくなるので、この誤差は経時と共に大きくなる。また、通常経時による汚れ方は一定になる。
本実施形態においては、このような測定部58bの汚れ、さらには汚れの経時変化に対応して、測定部58bの汚れによって生じる誤差を補正し、安定して適正なインク濃度検出を行えるように、後述する駆動時間に対応した複数のLUTを予め作成し、メモリ202aに記憶しており、変換手段202は、駆動時間に応じて選択手段204が選択したLUTを用いて、インク濃度を検出する。
このLUTは、測定部58bの汚れによらず適正なインク濃度が得られるように、例えば、実験やシミュレーション等を行って、駆動時間に応じた測定部58bの汚れの状態を含む光量データ(検出部66による出力信号)と正確なインク濃度との関係を知見して作成されたもので、上述の図7に示した例は、LUT1が駆動時間がT1〜T2間、LUT2が駆動時間がT2〜T3間に対応している。なお、本態様においては、T3以降に対応するLUTを有してよいのはもちろんである。
ここで、駆動時間とは、検出部66がインクと接している時間、すなわち、測定部58bがインクと接している時間である。また、駆動時間は、測定部58bの汚れ等を除去するクリーニングを行った場合には、基本的に初期値に戻す。ここで、初期値とは、例えば駆動時間0、もしくは、経験的に得られた所定の駆動時間である。
選択手段204は、例えば、インクがインクジェット記録装置10に充填されてからの経過時間か、クリーニングを行ってからの経過時間を公知の手段で検出して、これを駆動時間とし、駆動時間に応じてLUTを選択し、選択結果を変換手段202に送信する。つまり、図示例においては、駆動時間がT1〜T2の間の場合はLUT1を、駆動時間がT2〜T3の間の場合はLUT2を選択する。
変換手段202は、選択手段204によって選択されたLUTをメモリ202aから読み出し、このLUTを使用して、光量データからインク濃度を検出する。
ここで、選択手段204は、変換手段202が光量データをインク濃度に変換するたびに毎回LUTを選択しても、所定駆動時間が経過し、他のLUTに切り替える必要が生じた場合に変換手段202で使用するLUTを切り替えるようにしてもよい。
本実施形態では、LUTが2つの場合でかつ駆動時間がT1からT3の間として説明したが、LUTの数、駆動時間に限定はなく、駆動時間に応じたLUTをより多く備えることが好ましい。また、選択するLUTを増やすことにより、より正確にインク濃度を検出することが可能となる。
このように、光量データからインク濃度を検出するためのLUTを駆動時間、すなわち測定部58bの汚れの状態に応じて、複数有し、駆動時間によって選択することで、測定部58bの汚れによって発生する誤差を補正することができ、長時間安定して正確にインク濃度を検出することが可能となる。
濃度制御手段206は、変換手段202から送信されたインク濃度、インク循環系52内の現在のインク量および予め設定された規定のインク量、目的とするインク濃度に基づいて、インク循環系52内のインクが目的濃度かつ規定インク量となるように、後述するコンク液供給部208および希釈液供給部210がインクタンク56に補充するインク量を決定し、コンク液供給部208および希釈液供給部210に送信する。
ここで、インク循環系52内のインクQの量は、測定方法は特に限定されず、例えば、インクの吐出量を画像データ、全吐出部の総吐出回収のカウントで求め、さらに予め測定した経時に応じたインク蒸発量を求めて算出してもよく、また、インクタンク56を除くインク循環系52を流れるインク量は一定であるはずなので、インクタンク56内のインク量を測定することで求めてもよい。
インク補充部70は、コンク液供給部208と希釈液供給部210とを備えている。
コンク液供給部208は、コンク液(インク濃度の比較的高いインク)を充填するコンク液タンクと、供給手段とを有し、濃度制御手段206から送信された補充量に応じて供給手段がコンク液タンクからインクタンク56にコンク液を供給する。
また、希釈液供給部210は、希釈液(インク濃度の比較的低いインク)を充填する希釈液タンクと、供給手段とを有し、濃度制御手段206から送信された補充量に応じて供給手段が希釈液タンクからインクタンク56に希釈液を補充する。
このように、LUTを複数備え、選択することでインク循環系52内を流れるインクのインク濃度を正確に検出することが可能となり、さらに、そのインク濃度に基づいてインク循環系52のインク濃度を調節することで、正確なインク濃度管理が行えるので、記録ヘッド78に濃度の適正なインクを長期間安定して供給でき、これにより、インク液滴の吐出を安定させて、長期間安定して高画質な画像を形成することができる。
以下、インクジェット記録装置10の動作を説明する。
インクジェット記録装置10では、画像の記録時に、給紙トレイ24に収納された記録媒体Pがフィードローラ26により、1枚ずつ取り出され、搬送ローラ対30により挟持搬送されて搬送ベルト32上の所定位置に供給される。
搬送ベルト32上に供給された記録媒体Pは、帯電装置38により負の高電位に帯電され、搬送ベルト32の表面に静電吸着される。
搬送ベルト32の表面に静電吸着された記録媒体Pは、搬送ベルト32の移動ととともに所定の一定速度で移動されつつ、記録ヘッド70により、その表面に画像データに対応した画像が記録される。
画像記録後の記録媒体Pは、除電装置40により除電され、分離爪42により搬送ベルト32から分離され、ガイド44に沿って定着ローラ対46により挟持搬送されつつ、記録された画像が加熱定着され、排出トレイ28内に積層された状態でストックされる。
また、記録中や記録装置10が画像記録を待機している状態では、インクQは、インク循環系52およびヘッドユニット48内の所定の循環経路を循環している。
ここで、記録装置10においては、例えば、定期的に、インク濃度調整手段20によって、インクQの濃度検出を行い、その結果に応じてインクタンク56にインクQが補充される。
インク濃度調整手段20では、検出部66の発光素子200aが照射した光の測定部58bを透過した透過光の光量が受光素子200bによって測定され、受光された透過光量に応じた出力信号がインクの物性値として、変換手段202に送信される。
また、制御部68の選択手段204によって、駆動時間に応じたLUTが選択され、その選択結果が変換手段202に送信される。
変換手段202は、受光素子200bから送信された物性値(出力信号)をA/D変換等の所定の処理を施し光量データとする。さらに、選択手段204によって選択されたLUTをメモリ202aより読み出し、読み出したLUTを用いて、光量データからインク濃度を検出し、そのインク濃度を濃度制御手段206に送信する。
濃度制御手段206は、変換手段で検出されたインク濃度に応じて、インク循環系52内のインク濃度が一定になるように、インク補充部70内のコンク液供給部208および希釈液供給部210からインクタンク56に補充するインクの量を決定する。
コンク液供給部208および希釈液供給部210は濃度制御手段206の決定に基づいてインクタンク56に、コンク液および希釈液を補充する。
このように、駆動時間、すなわち測定部58bの汚れに応じたLUTを複数備え、駆動時間に応じて選択し、選択したLUTによって光量データからインク濃度を検出することによって、より正確なインク濃度を検出することが可能となる。
また、そのインク濃度に基づいてインク循環系52内のインク濃度を調節することにより、記録ヘッド78にインク濃度が一定なインクを長時間安定して供給できる。このため、インク液滴の吐出が安定し、長時間安定して高画質で均一な画像を形成することができる。
また、本実施形態では、汚れの状態の変動を駆動時間とし、LUTを駆動時間によって選択するようにしたが、本発明はこれに限定されず、検出部の汚れを検出し、その汚れに応じてLUTを選択するようにしても、サンプル画像の記録を行って、オペレータがその記録した画像の濃度、例えば濃淡を判断し、オペレータによる入力支持に応じてLUTを選択するようにしてもよい。
以下、図8とともに、検出部の汚れを検出し、その汚れに応じてLUTを選択する実施形態を説明する。なお、図8に示した実施形態は、検出部、制御部以外の構成は図6に示した実施形態と同様の構成である。従って、同一の構成要素には同一の符号を付してその詳細な説明を省略し、特有の点を重点的に説明する。
検出部220は、濃度検出部212と汚れ検出部214とを有し、それぞれ発光素子212a、214aと受光素子212b、214bとを備えている。
濃度検出部212の発光素子212aと受光素子212bとは、光透過性の測定部216を挟んで配置され、濃度検出部214の発光素子214aと受光素子214bとは、光透過性の測定部218を挟んで配置されている。
また、測定部216は測定部218と同じ流路の下流に配置されており、測定部216と測定部218とはインク流路の径の大きさが異なる。
濃度検出部212および汚れ検出部214は、上述の検出部66と同様の方法で、受光素子212bは、測定部216を透過した透過光の光量を測定し、受光素子214bは、測定部218を透過した透過光の光量を測定する。
受光素子212bは、測定した透過光量に応じた出力信号をインクQの物性値として制御部230の変換手段202および選択手段232に送信し、受光素子214bは、測定した透過光量に応じた出力信号をインクQの物性値として制御部230の選択手段232に送信する。ここで、濃度検出部216および汚れ検出部218が検出した透過光量は、測定部216、218の汚れ分を含んだものである。
制御部230は、変換手段202、選択手段232、濃度制御手段206とを有している。また、変換手段202はメモリ202aを有する。
選択手段232は、受光素子212bおよび受光素子214bから送信された出力信号にA/D変換等の所定の処理を施して光量データとし、この光量データを例えば予め作成したLUTで変換して光学濃度とする。そして、この変換した光学濃度に含まれる測定部216、218の汚れ分(以下、汚れ分とする)を検出する。
以下、汚れ分の検出方法について説明する。
受光素子212aによって検出された光量データから算出した光学濃度N1 は、インクQの光学濃度と測定部の汚れに起因する光学濃度とが、加算されたものである。従って、単位測定長当たりのインクQの光学濃度をN、測定部の径(すなわち、測定部における測定光のインクQの通過長)をd1 、汚れに起因する光学濃度をNyとすると、光学濃度N1 は、下記の式で表すことができる。
1 =N×d1 +Ny (式1)
また、受光素子214bによって検出された光量データから算出された光学濃度N2 も、インクQの光学濃度と測定部218の汚れに起因する光学濃度とが、加算されたものである。また、測定部216と測定部218は、径は異なるが直列に配置されているので、測定部218には測定部216と同じインクQが同量流れている。従って、両者の汚れは同等であり、汚れに起因する光学濃度Nyは、測定部216と同じである。すなわち、測定部218の径(同前)をd2 とすると、光学濃度N2 は、下記式で表すことができる。
2 =N×d2 +Ny (式2)
上記(式1)と(式2)の連立方程式をNyについて解くと下記のようになる。
Ny=(d2 ×N1 −d1 ×N2 )/(d2 −d1 ) (式3)
ここで、測定部216、218の径は既知である。
従って、上述のようにして、選択手段232は、同じ流体が同じ流量流れ、かつ、互いに径すなわち測定光のインクQ通過長がことなる測定部216、218で測定したインクQの光学濃度N1 および光学濃度N2 から、測定部216、218の汚れ分であるNyを検出する。
ここで、変換手段のメモリ202aには、この測定部216、218の汚れ分Nyに応じた複数のLUTが記憶されている。また、LUTは、上記実施形態と同様に、予め実験やシミュレーションを行って、汚れ分に応じた測定部216の汚れの状態を含む光量データ(検出部による検出信号)と正確なインク濃度との関係を知見して作成されたものである。
選択手段232は、上述のようにして検出した汚れ分Nyに応じてLUTを選択し、その選択結果を変換手段202に送信する。
変換手段202は、受光素子212bから送信された出力信号にA/D変換等の所定の処理を施して光量データとし、さらに、選択手段232によって選択されたLUTをメモリ202aから読み出し、このLUTを使用して、光量データからインク濃度を検出し、検出したインク濃度を濃度制御手段206に送信する。
このように、光量データからインク濃度を検出するLUTを汚れ分に応じて複数有し、汚れ分に応じてLUTを選択することにより、測定部216の汚れによって発生する誤差を補正することができ、長時間安定してインク濃度を検出することが可能となる。
ここで、濃度制御手段206、およびインク補充部70は上記実施形態と同様の構成および機能であるので、説明は省略するが、上記実施形態と同様に、正確に検出されたインク濃度に基づいて、インク循環系52のインク濃度を調節することで、正確なインク濃度管理が行えるので、記録ヘッドに納所の適正なインクを長時間安定して供給でき、これにより、インク液滴の吐出を安定させ、長時間安定して高画質で均一な画像を形成することができることができる。
上記いずれの実施形態でも、濃度検出条件として複数のLUTを駆動時間、または検出部の汚れ分に応じて選択し、物性値からインク濃度を検出したが、これに限定されず、例えば、変換手段として演算式、濃度検出条件として、検出部の汚れにより発生するずれを補正するために、予め、駆動時間、または測定部の汚れ分に応じて演算式を補正する係数を複数備え、測定部の汚れ分、または駆動時間に応じて係数を選択し、その係数が加えられた演算式によって、物性値からインク濃度を検出してもよい。
また、駆動時間、または測定部の汚れ分に応じた複数の演算式を備え、駆動時間または測定部の汚れ分に応じて選択し、選択された演算式によって、物性値からインク濃度を検出することも可能である。
さらに、1つのLUTと、濃度検出条件として駆動時間または検出部の汚れ分に応じてLUTを補正する複数の補正パラメータとを備え、駆動時間または検出部の汚れ分に応じて選択した補正パラメータによって、補正したLUTを用いて物性値からインク濃度を検出することもできる。
以上の例では、検出値からインク濃度を検出する変換手段を駆動時間または検出部の汚れ分に応じて選択、補正することでインク濃度を検出したが、本発明は、これに限定されず、検出値から汚れを含んだインク濃度を算出し、算出したインク濃度を補正することで正確なインク濃度を検出する方法でもよい。
具体的には、変換手段が検出値からインク濃度を算出する算出手段と、算出手段によって算出されたインク濃度を補正する補正手段を有し、算出手段によって検出値からインク濃度を算出し、この汚れによる誤差を含むインク濃度を補正手段によって駆動時間、または、検出部の汚れ分に応じて補正することによって、正確なインク濃度を検出する方法が例示される。
ここで、算出手段は、LUTまたは演算式を用いて検出値からインク濃度を算出すればよい。
また、補正手段は、上記実施形態の変換手段と同様に、駆動時間または検出部の汚れ分に応じた複数の演算式を備え、選択手段の選択に応じて演算式を選択し、選択した演算式を用いて、算出手段によって算出されたインク濃度を補正することで、正確なインク濃度を検出する。
あるいは、複数の演算式から1つの演算式を選択する方式に限定されず、1つの演算式と、駆動時間または検出部の汚れ分に応じて演算式に適用する複数の所定の係数を備え、選択手段の選択に応じて係数を選択し、選択した係数を適用した演算式を用いて、算出手段が算出したインク濃度を補正してもよい。
上記の形態はいずれも演算式を用いてインク濃度を補正したが、本発明はこれに限定されず、算出されたインク濃度と駆動時間または検出部の汚れ分とに応じて補正を行う複数のLUTを備え、選択手段の選択に応じてLUTを選択し、選択したLUTを用いて、算出手段が算出したインク濃度を補正することも可能である。
また、検出部の配置位置は供給流路に限定されず、インク回収流路、インクタンク、記録ヘッド等のインクが流れる場所であればどのような場所でもよい。
本実施形態では、検出部に発光素子と受光素子を用いて物性値を検出したが、光の反射を利用して光学的物性値を検出してもよい。
検出部によって検出する物性値は光学的な物性値に限定されず、電気的物性値を検出しても、磁気的な物性値を検出してもよい。
ここで、電気的物性値の検出手段としては、例えば、一対の電極をインク流路中に対向するように配置し、電圧を印加した際に流れる電流を検出することによって電気抵抗率の検出を行うことで電気的物性値を検出することができる。
なお、印加する電圧は、電極間の電界強度で数V/cm〜100V/cm程度であり、直流あるいは交流のどちらでも使用できる。ただし、インク中の荷電成分の電極への電着を防ぐため、交流電圧を印加するころとが望ましく、この際には、10Hz〜10kHz程度の周波数とする。
磁気的物性値の検出手段としては、例えば、検出部に磁気センサを有し、測定部をインク中の帯電した色材粒子が流れる際に発生する磁界を検出することによって、磁気的物性値を検出することができる。
しかしながら、電気的物性値および磁気的物性値の検出は検出素子に電圧の印加等を行って物性値を検出するため、帯電した色材粒子を使用する静電式インクジェット記録装置では、検出素子への色材粒子の付着等のノイズ成分が光学的な物性値を検出するよりも大きくなってしまうため、光学的な物性値を検出することがより好ましい。
また、電気的物性値によって、図8に示した実施形態と同様に検出部の汚れ分を検出することも可能である。
具体的には、図8に示した実施形態と同様に電気的物性値を検出する。ここで、検出された電気抵抗率はインクの電気抵抗率ρと汚れに起因する電気抵抗率ρyの和であり、汚れによる電気抵抗率は同じであるので、例えば、測定部の径がd1 、d2 の2つの測定部を有し、その測定した電気抵抗率がそれぞれρ1 、ρ2 とすると、下記式で表すことができる。
ρ1 =ρ×d1 +ρy (式4)
ρ2 =ρ×d2 +ρy (式5)
上記(式4)、(式5)を連立し、図8に示した実施形態と同様にして解くと下記式で表すことができる。
ρy=(d2 ×ρ1 −d1 ×ρ2 )/(d2 −d1 ) (式6)
ここで、d1 、d2 は既知の値であるので、ρ1 、ρ2 からインクの汚れ分の電気抵抗率を求めることができる。
なお、本発明のインクジェット記録装置において、濃度調整手段によるインク濃度検出およびインクタンクへのインク補充のタイミングには、特に限定はなく、例えば、所定期間毎や所定枚数の画像記録毎等に自動的に行ってもよく、インク循環手段を流れるインク量を検出しそのインク量に応じて自動的に行ってもよく、記録した画像を観察したオペレータ等の判断による入力指示に応じて行ってもよく、両者手段を有し、選択的に行ってもよい。
また、本実施形態はヘッドユニットをシリアルヘッド型としたが、これに限定されず、ラインヘッド型のヘッドユニットにしてもよい。
また、本実施形態では、モノクロ画像を記録する場合としたが、これに限定されず例えばシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、ブラック(B)の4色のフルカラー印刷を行うようにしてもよい。この場合はヘッドユニットを各色ごとに設けても、1つの記録ヘッドに各色のインクジェットヘッドを設けてもよい。
本発明は静電式のインクジェット記録装置に限定されず、各種のインクジェット記録装置のインク中の色材粒子の濃度の測定に利用することも可能である。
本発明は基本的に以上のようなものである。
なお、上記実施形態はいずれも本発明の一例を示したものであり、本発明はこれらに限定されるべきものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更または改良を行ってもよいことは言うまでもない。
本発明の一実施形態に係る静電式インクジェット記録装置の概略全体構成を示す模式図である。 図1に示したヘッドユニットの拡大斜視図である。 図2に示した記録ヘッドの一実施形態である静電式インクジェットヘッドの概略構成を示す模式図である。 (a)は図3に示すインクジェットヘッドの概略構成を示す模式的断面図であり、(b)は(a)のIV−IV線切断図である。 (a)、(b)および(c)は、それぞれ図4(b)のA−A線、B−B線およびC−C線矢視図である。 図1に示したインク濃度調節手段の一実施形態の概略構成を示した模式図である。 図6に示したインク濃度調整手段で使用されるLUTの一例のグラフである。 図1に示したインク濃度調整手段の他の実施形態の概略構成を示した模式図である。
符号の説明
10 インクジェット記録装置
12 保持手段
14 搬送手段
16 記録手段
18 溶媒回収手段
20 インク濃度調整手段
22 筐体
24 給紙トレイ
26 フィードローラ
28 排出トレイ
30 搬送ローラ対
32 搬送ベルト
34 ベルトローラ
36 導電性プラテン
38 帯電装置
40 除電装置
42 分離爪
44 ガイド
46 定着ローラ対
48 ヘッドユニット
50 ヘッドドライバ
52 インク循環系
54 位置検出部
56 インクタンク
58 インク供給流路
60 インク回収流路
62 活性炭フィルタ
64 排気ファン
66、220 検出部
68、230 制御部
70 インク補充部
72 支持部材
74a、74b ガイドレール
76 駆動手段
78 記録ヘッド
80 供給サブタンク
82 回収サブタンク
84、86 サブタンク位置調節機構
88 インク流路
100 インクジェットヘッド
104 ヘッド基板
106 インクガイド
106a 先端部分
106b 基部
108 絶縁性基板
110 第1吐出電極
112 第2吐出電極
114 ガード電極
116a、116b、116c 絶縁層
118 吐出口
120 浮遊導電板
124 インク流路
200a 発光素子
200b 受光素子
202 変換手段
204、232 選択手段
206 濃度制御手段
208 コンク液供給部
210 希釈液供給部
212 濃度検出部
214 汚れ検出部
216、218 測定部
P 記録媒体

Claims (6)

  1. 帯電した色材粒子を含むインクを静電力により記録媒体に向けて吐出する吐出手段と、
    前記吐出手段を含む所定の経路で前記インクを循環するインク循環手段と、
    当該インク循環手段に設けられたインク物性検出部と、当該インク物性検出部内を循環するインクの物性値を検出する物性値検出手段と、
    前記物性値検出手段によって検出された前記インクの物性値からインクの濃度を求める濃度検出手段とを備え、
    前記濃度検出手段が、前記インク物性検出部のインクによる汚れに応じてインク濃度を算出することを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記濃度検出手段が、インクの物性値とインクの濃度との関係を記憶した複数のLUTを有し、前記インク物性検出部のインクによる汚れに応じてLUTを切り替えてインク濃度を算出することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記濃度検出手段が、インクの物性値からインクの濃度を求める演算式を有し、前記インク物性検出部のインクによる汚れに応じて所定の係数を演算式に適用してインク濃度を算出することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記濃度検出手段は、インクの物性値からインクの濃度を算出する算出手段と、前記算出手段に算出されたインクの濃度を、前記インク物性検出部のインクによる汚れに応じて補正する補正手段とを有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記物性値検出手段は、インクの光学的物性値、磁気的物性値および電気的物性値の少なくとも1つを検出することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  6. さらに、前記濃度検出手段が求めた前記インク濃度に基づいて、前記インク循環手段を循環するインクのインク濃度を調節するインク濃度調整手段とを備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
JP2003429624A 2003-12-25 2003-12-25 インクジェット記録装置 Withdrawn JP2005186398A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003429624A JP2005186398A (ja) 2003-12-25 2003-12-25 インクジェット記録装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003429624A JP2005186398A (ja) 2003-12-25 2003-12-25 インクジェット記録装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005186398A true JP2005186398A (ja) 2005-07-14

Family

ID=34788223

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003429624A Withdrawn JP2005186398A (ja) 2003-12-25 2003-12-25 インクジェット記録装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005186398A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9457365B2 (en) 2014-02-12 2016-10-04 Samsung Display Co., Ltd. Solution-providing apparatus and method of manufacturing organic light-emitting diode (OLED) display using the apparatus
JP2019043093A (ja) * 2017-09-06 2019-03-22 キヤノン株式会社 インクジェット記録装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9457365B2 (en) 2014-02-12 2016-10-04 Samsung Display Co., Ltd. Solution-providing apparatus and method of manufacturing organic light-emitting diode (OLED) display using the apparatus
US9685641B2 (en) 2014-02-12 2017-06-20 Samsung Display Co., Ltd. Solution-providing apparatus and method of manufacturing organic light-emitting diode (OLED) display using the apparatus
JP2019043093A (ja) * 2017-09-06 2019-03-22 キヤノン株式会社 インクジェット記録装置
JP7002891B2 (ja) 2017-09-06 2022-01-20 キヤノン株式会社 インクジェット記録装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4354786B2 (ja) インク濃度検出方法およびインクジェット記録装置
JP2004230709A (ja) インクジェット式記録装置
US7275812B2 (en) Ink jet head and recording apparatus using the same
US7475957B2 (en) Ink jet recording apparatus and method of controlling the same
JP4371783B2 (ja) インク濃度検出方法、インク濃度検出装置、およびこれを用いるインクジェット記録装置
JP2005186398A (ja) インクジェット記録装置
JP4371872B2 (ja) インク補充装置、インクジェット記録装置およびインク補充方法
US7172267B2 (en) Ink jet recording method and ink jet recording apparatus
JP4330986B2 (ja) インクジェット記録装置
US7419248B2 (en) Ink jet head and ink jet recording apparatus
JP2005096210A (ja) インクジェット記録装置およびその制御方法
JP2004291578A (ja) 静電式インクジェットヘッド、それを用いた記録装置および記録方法
JP4482325B2 (ja) 濃度検出方法、濃度検出装置、およびインクジェット記録装置
JP2006026934A (ja) インクジェット記録装置
JP2004284306A (ja) 画像定着方法および装置
JP2004230652A (ja) インクジェット式記録装置及びインク循環方法
JP2005199579A (ja) インクジェット記録装置
JP2004230653A (ja) 静電式インクジェットヘッド、それを用いた記録装置および記録方法
JP2005193565A (ja) 排液処理装置およびインクジェット記録装置
JP2005161547A (ja) インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置
JP2005041062A (ja) 静電式インクジェットヘッド、静電式インクジェット記録装置および静電式インクジェット記録装置の制御方法
JP2005074977A (ja) インクジェット記録方法およびインクジェット記録装置
JP2005199578A (ja) インクジェット記録装置
JP2005186278A (ja) インクジェット記録装置
JP2006181900A (ja) インクジェット記録装置

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20070306